特許第6887218号(P6887218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887218
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】EVOH層を含む多層複合材料
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/34 20060101AFI20210603BHJP
   C08G 69/26 20060101ALI20210603BHJP
   B32B 27/28 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B32B27/34
   C08G69/26
   B32B27/28 102
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-54433(P2016-54433)
(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公開番号】特開2016-172447(P2016-172447A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2019年3月13日
(31)【優先権主張番号】15159377.9
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤスミン ベアガー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ゲーリング
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ガールマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ベーア
(72)【発明者】
【氏名】マリオ レージング
【審査官】 岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−514212(JP,A)
【文献】 特開2006−265398(JP,A)
【文献】 特表2014−528508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/00−27/42
C08G 69/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の層:
I. 少なくとも40質量%が次の成分を含む成形材料からなる第1の層(層I):
1) 次の
α) ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との組み合わせ41〜90モル%並びに
β) ヘキサメチレンジアミンと8〜19個のC原子を有する線状脂肪族ジカルボン酸との組み合わせ59〜10モル%
に由来するモノマー単位からなる部分芳香族コポリアミド60〜99質量部、
ここで、前記モル%の記載は、α)及びβ)の合計を基準とし、かつ前記ヘキサメチレンジアミンの最大20%は、等価量の他のジアミンに置き換えられていてもよく、及び/又は、前記テレフタル酸の最大20%は、等価量の他の芳香族ジカルボン酸及び/又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に置き換えられていてもよく、及び/又は、ヘキサメチレンジアミンと線状脂肪族ジカルボン酸とからなる繰り返し単位の最大20%は、6〜12個のC原子を有するラクタム又はω−アミノカルボン酸に由来する等価量の単位に置き換えられていてもよく、
2) 耐衝撃性改質剤としてのオレフィン系コポリマー40〜1質量部、
ここで、前記耐衝撃性改質剤は、次のモノマーの単位を含むオレフィン系コポリマーであり:
a) 2〜12個のC原子を有する1種以上のα−オレフィン20〜99.9質量%、
b) 次のものから選択される1種以上のアクリル系化合物0〜50質量%
− アクリル酸又はメタクリル酸又はそれらの塩及び
− アクリル酸又はメタクリル酸とC〜C12−アルコールとのエステル、ここで、グリシジルアクリラート及びグリシジルメタクリラートのようなエポキシ基含有エステルは除外される、
c) オレフィン系不飽和エポキシド又はジカルボン酸無水物0.1〜50質量%、
a)〜c)における質量%の記載はオレフィン系コポリマーを基準とし、その合計は最大で100であり、且つ
1)及び2)の質量部の合計は100であり;
II. 少なくとも60質量%がEVOHからなる成形材料からなる第2の層(層II);
III. ポリアミド成形材料からなる第3の層
を含み、
前記第1の層と前記第2の層が、定着剤層を介さずに直接積層されている、多層複合材料。
【請求項2】
層Iの前記成形材料は、他の添加物0.01〜60質量%を含有することを特徴とする、請求項1に記載の多層複合材料。
【請求項3】
前記他の添加物の1つが、銅を含む安定剤であることを特徴とする、請求項2に記載の多層複合材料。
【請求項4】
前記他の添加物の1つが、酸化安定剤であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の多層複合材料。
【請求項5】
層Iのコポリアミドのクリスタリット融点Tmは、ISO 11357による2回目の昇温時で測定して、240℃〜300℃の範囲内であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の多層複合材料。
【請求項6】
層IIの成形材料のEVOHは、エチレン単位22〜60モル%を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の多層複合材料。
【請求項7】
第3の層のポリアミド成形材料は、第1の層のポリアミド成形材料と同じ種類であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の多層複合材料。
【請求項8】
第3の層のポリアミド成形材料は、脂肪族ポリアミドを基礎として構成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の多層複合材料。
【請求項9】
前記多層複合材料は、1つ以上の他の層を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の多層複合材料。
【請求項10】
前記多層複合材料は、シート、フィルム、又は中空成形品であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の多層複合材料。
【請求項11】
前記中空成形品は、中空異形材、殊に管、又は容器であることを特徴とする、請求項10に記載の多層複合材料。
【請求項12】
前記多層複合材料は、導電性層及びエラストマー外側被覆から選択される1つ以上の他の層を含む、請求項11に記載の多層複合材料。
【請求項13】
前記多層複合材料は、燃料導管、液圧導管、ブレーキ導管、クラッチ導管、冷却液導管、石油生産工業若しくはガス生産工業における剛性管若しくはフレキシブル管用のライナー、又はアンビリカルチューブであることを特徴とする、請求項11又は12に記載の多層複合材料。
【請求項14】
前記多層複合材料が、ブレーキ液容器又は燃料容器であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の多層複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、EVOHからなる遮断層と、耐衝撃性が改質された部分芳香族ポリアミドを基礎とする成形材料からなる層とを含む多層複合材料である。この多層複合材料は、第1に、中空成形品、例えば、液状媒体又はガス状媒体を導通又は貯蔵するための中空異形材又は容器である。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車中で液状媒体又はガス状媒体を導くための管として使用される多層複合材料を開発する際に、十分な耐燃料性についての要求の他に、燃料成分の環境への排出を低減するために、自動車工業により特に燃料導管の遮断作用の改善が求められる。これが、例えばエチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)を遮断層材料として使用する多層管系の開発を引き起こした。EVOH層の他に脂肪族ポリアミドを基礎とする更なる層を含む、この種の多層複合材料は、例えば特許文献1から公知である。
【0003】
自動車用途においてはエンジンルーム内で比較的高い温度になる傾向があるため、多くの場合に、脂肪族ポリアミドの熱形状安定性は、この種の用途のためにはもはや十分とはいえない。従って、ここ数年来、脂肪族ポリアミドを部分芳香族ポリアミドに置き換える努力がなされている。特許文献2には、耐衝撃性が改質された部分芳香族ポリアミドからなる少なくとも1つの層を含む中空成形品が記載されていて;この中空成形品は、更に脂肪族ポリアミドからなる層を含むことができるが、他の層は含まない。この文献は、PA12と比べて耐衝撃性が改質された部分芳香族ポリアミドが、燃料成分の拡散に対して改善された遮断作用を示すことを教示している。しかしながら、多くの用途にとって、比較的高い温度であっても、この遮断作用はまだ十分とはいえない。
【0004】
特許文献3からは、燃料導管は、耐衝撃性が改質された部分芳香族ポリアミドからなる層と、遮断層とを含むことができ、この遮断層は例えばEVOHからなることが公知である。更に、特許文献4は、ポリフタルアミドからなる外層と、EVOHからなる中間層と、フッ素ポリマーからなる内層とを含む管を記載している。ポリフタルアミドの種類については何も述べられていない。
【0005】
特許文献5では、EVOH層がPA11層又はPA12層に対して付着せず、従って付加的な定着剤層が必要であるという問題が取り上げられている。このような複合材料中では、EVOH層を、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジアミンに由来する単位10〜40モル%と、脂肪族モノマーに由来する単位60〜90モル%とからなるコポリアミドを基礎とする層と組み合わせることが提案されている。この実施例では、6T単位25モル%を含むPA612/6T及び6T単位30モル%を含むPA612/6Tが使用されている。しかしながら、同時押出されたEVOH層への付着は、1.2〜2.3N/mmで、たいていの工業的用途に対して十分ではない。更に、これらの典型的なコポリアミドは、特許文献6の表3が示すように、198℃又は197℃のクリスタリット融点Tmを有することが加わる。従って、この熱形状安定性は不十分である。このコポリアミドの機械特性について、特許文献5には述べられていない。
【0006】
自動車用途にとって、エンジンルーム内では、ポリアミドが少なくとも240℃のクリスタリット融点Tm並びに十分な結晶度を有するポリアミド−EVOH複合材料が望ましい。この基準は、市場で入手可能な、結晶性の部分芳香族ポリアミドにより満たされる。しかしながら、その機械特性は悪く、特に耐衝撃性が悪くかつ破断点伸びが低いため、これはこの種の用途にとっては適していない。特許文献7には多様な耐衝撃性改質剤をそれぞれ30質量%有するPA6T/6I/66若しくはPA10T/TMDTからなる成形材料の測定が示されていて;この破断点伸びは、3〜6%である。特許文献8は更なる情報を記載している;この比較例22は、耐衝撃性が改質されたPA6T/6I/66からなる800μmの厚さの層と、ETFEからなる200μmの厚さの層を含む管を示し、この場合、この管の破断点伸びは13%である。比較例24では、ポリアミド層は、耐衝撃性が改質されたPA9Tからなり、そのジアミン部分は、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとからなる50:50の異性体混合物である相応する管を示し;この場合の破断点伸びは22%である。最後に、比較例27は、ポリアミド層が、耐衝撃性が改質された他のPA6T/6I/66からなる相応する管を記載し;この場合に、破断点伸びは18%である。しかしながら、管のより高い破断点伸びが望ましく、多くの用途の場合に100%を越えるのが望ましい。この問題は、ここでの場合に、EVOHが比較的脆く、従って、良好な機械特性を有する管を得ることができるように、高い耐衝撃性及び延性を有する2つの層の間に挟み込まなければならないということにより更に深刻化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7 175 896号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/018891号
【特許文献3】欧州特許出願公開第2 666 823号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2010/0035116号明細書
【特許文献5】国際公開第2011/084423号
【特許文献6】国際公開第2012/106309号
【特許文献7】欧州特許出願公開第2857456号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2014/0299220号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、1つのEVOH層と少なくとも2つのポリアミド層とからなり、高い熱形状安定性並びに高い耐衝撃性及び高い破断点伸びを有し、かつ良好な層付着が更に得られる複合材料を提供することにある。更に、極めて僅かな量のオリゴマーしか溶出されず、かつそれによりエンジンに燃料供給する場合に閉塞しない内層材料の使用を可能にすることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、次の層:
I. 少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも50質量%、特に好ましくは少なくとも60質量%、殊に好ましくは少なくとも70質量%、更に特に好ましくは少なくとも80質量%が、次の成分を含む成形材料からなる第1の層(層I):
1) 次の
α) ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との組み合わせ、41〜90モル%、好ましくは42〜85モル%、特に好ましくは43〜80モル%、殊に好ましくは44〜75モル%、更に特に好ましくは45〜70モル%、並びに
β) ヘキサメチレンジアミンと8〜19個のC原子を有する線状脂肪族ジカルボン酸との組み合わせ、59〜10モル%、好ましくは58〜15モル%、特に好ましくは57〜20モル%、殊に好ましくは56〜25モル%、更に特に好ましくは55〜30モル%
に由来するモノマー単位からなる部分芳香族コポリアミド60〜99質量部、好ましくは65〜98質量部、特に好ましくは68〜97質量部、殊に好ましくは70〜96質量部、
ここで、モル%の記載は、α)及びβ)の合計を基礎とし、かつ上述のヘキサメチレンジアミンの最大20%、好ましくは最大15%、特に好ましくは最大12%、殊に好ましくは最大8%、更に特に好ましくは最大5%又は最大4%は、等価量の他のジアミンに置き換えられていてもよく、及び/又は、上述のテレフタル酸の最大20%、好ましくは最大15%、特に好ましくは最大12%、殊に好ましくは最大8%、更に特に好ましくは最大5%又は最大4%は、等価量の他の芳香族ジカルボン酸及び/又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に置き換えられていてもよく、及び/又は、ヘキサメチレンジアミンと線状脂肪族ジカルボン酸とからなる繰り返し単位の最大20%、好ましくは最大15%、特に好ましくは最大12%、殊に好ましくは最大8%、更に特に好ましくは最大5%又は最大4%は、6〜12個のC原子を有するラクタム又はω−アミノカルボン酸に由来する、等価量の単位に置き換えられていてもよく、
2) 耐衝撃性改質剤としてオレフィン系コポリマー40〜1質量部、好ましくは35〜2質量部、特に好ましくは32〜3質量部、殊に好ましくは30〜4質量部、
ここで、1)及び2)の質量部の合計は100であり;
II. 少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%、殊に好ましくは少なくとも90質量%、更に特に好ましくは95質量%が、EVOHからなる成形材料からなる第2の層(層II);
III. ポリアミド成形材料からなる第3の層
を有する多層複合材料により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましくは、この層IIは、層Iと層IIIとの間に配置されている。
【0011】
8〜19個のC原子を有する線状脂肪族ジカルボン酸として、次のものが挙げられる:オクタン二酸(コルク酸;C8)、ノナン二酸(アゼライン酸;C9)、デカン二酸(セバシン酸;C10)、ウンデカン二酸(C11)、ドデカン二酸(C12)、トリデカン二酸(C13)、テトラデカン二酸(C14)、ペンタデカン二酸(C15)、ヘキサデカン二酸(C16)、ヘプタデカン二酸(C17)、オクタデカン二酸(C18)及びノナデカン二酸(C19)。
【0012】
特許請求の範囲に記載のように、任意に、ヘキサメチレンジアミンの一部は、他のジアミンに置き換えられていてもよい。ここで、原則として全てのジアミンが適している;例として次のジアミンが挙げられる:1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、並びに1,4−ビス−アミノメチル−シクロヘキサン。もちろん、この種のジアミンの混合物も使用することができる。しかしながら、好ましくはヘキサメチレンジアミンの他に他のジアミンを使用しない。
【0013】
特許請求の範囲に記載のように、任意に、テレフタル酸の一部は、他の芳香族ジカルボン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に置き換えられていてもよい。ここでは、原則として、全ての芳香族ジカルボン酸が適している;例として次のジカルボン酸が挙げられる:イソフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸並びに1,5−ナフタレンジカルボン酸。もちろん、この種のジカルボン酸の混合物も使用することができる。しかしながら、好ましくは、テレフタル酸の他に、他の芳香族ジカルボン酸及び/又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を使用しない。同様に、特許請求の範囲に記載のように、任意に、ヘキサメチレンジアミンと線状脂肪族ジカルボン酸とからなる繰り返し単位の一部は、6〜12個のC原子を有するラクタム若しくはω−アミノカルボン酸に置き換えられていてもよい。ヘキサメチレンジアミンと線状脂肪族ジカルボン酸とからなる繰り返し単位は、この場合、ラクタム若しくはω−アミノカルボン酸に由来する単位に相当する。6〜12個のC原子を有するラクタム若しくはω−アミノカルボン酸は、例えばカプロラクタム、カプリルラクタム、ウンデカノラクタム、ω−アミノウンデカン酸、ラウリンラクタム並びにω−アミノドデカン酸である。ここで、11又は12個のC原子を有するラクタム若しくはω−アミノカルボン酸が好ましい。しかしながら、好ましくは、ヘキサメチレンジアミン及び線状脂肪族ジカルボン酸の他に、ラクタム若しくはω−アミノカルボン酸を使用しない。
【0014】
部分芳香族コポリアミドの組成は、好ましくは、ISO 11357による2回目の昇温時に測定されたクリスタリット融点Tmが、240〜300℃の範囲内、好ましくは250〜295℃の範囲内、特に好ましくは260〜290℃の範囲内にあるように選択される。複数の溶融ピークが出現する場合には、Tmは、メイン溶融ピークから算出される。
【0015】
コポリアミドは、一般に、溶融重縮合により製造される。相応する方法は、先行技術である。これとは別に、他の公知の全てのポリアミド合成法も使用できる。
【0016】
モノマーがモル比1:1で反応できることが保証される場合には、必然的にヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等モルの組み合わせが存在する。この場合、ヘキサメチレンジアミンは、比較的揮発性であり、この理由から重縮合の間に損失量が生じることがあり、この損失量ははかり入れる量を多くすることにより補償しなければならないことを考慮することができる。更に、所定の末端基比率を調節するために、正確な化学量論から僅かな程度で相違することが必要となることもある。同様のことが、1)β)において、必然的に、ヘキサメチレンジアミンと8〜19個の炭素原子を有する線状脂肪族ジカルボン酸との等モルの組み合わせについても当てはまる。
【0017】
好ましい実施態様の場合に、部分芳香族ポリアミドにおいて、アミノ末端基の、アミノ末端基とカルボキシル末端基との合計に対する比の値は、0.3〜0.7、特に好ましくは0.35〜0.65である。アミノ末端基の割合は、当業者に公知の方法による重縮合の制御によって調節することができる。この制御は、例えば、使用したジアミン対使用したジカルボン酸の比率の変更により、モノカルボン酸の添加により、又はモノアミンの添加により行うことができる。更に、アミノ末端基の割合は、一方はアミノ末端基が豊富であり、他方はアミノ末端基が少ない、2種のコポリアミドを、顆粒として又は融液の形で混合することによって調節することもできる。
【0018】
アミノ基含有率は、m−クレゾール中のコポリアミドの溶液を過塩素酸によって滴定することにより決定することができる。カルボキシル基含有率の決定は、o−クレゾール中のコポリアミドの溶液を、エタノール中のKOHによって滴定することにより行うことができる。これらの方法は、当業者にとって周知である。
【0019】
耐衝撃性改質剤は、殊に、次のモノマーの単位を含むオレフィン系コポリマーである:
a) 2〜12個のC原子を有する1種以上のα−オレフィン20〜99.9質量%、好ましくは30〜99.7質量%、
b) 次のものから選択される1種以上のアクリル系化合物 0〜50質量%
− アクリル酸又はメタクリル酸又はそれらの塩及び
− アクリル酸又はメタクリル酸とC1〜C12−アルコールとのエステル、ここで、グリシジルアクリラート及びグリシジルメタクリラートのようなエポキシ基含有エステルは除外される、
c) オレフィン系不飽和エポキシド又はジカルボン酸無水物0.1〜50質量%、
ここで、質量%の記載は、オレフィン系コポリマーを基準とし、その合計は最大で100であることができる。その他に、他のコモノマーに由来する単位、例えばスチレン、又は非共役ジエンに由来する単位が存在していてもよいことを考慮することができる。
【0020】
成分c)が、不飽和ジカルボン酸無水物に由来する単位からなる場合、この単位は好ましくは0.1〜8質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%存在する。
【0021】
成分c)が、オレフィン系不飽和エポキシドに由来する単位からなる場合、成分b)のアクリル系化合物は、アクリル酸もメタクリル酸も含まない。
【0022】
第1の実施態様の場合に、この耐衝撃性改質剤は、次のモノマー単位を含むオレフィン系コポリマーである:
− エテンを基礎とするモノマー単位35〜94.9質量%、好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは45〜85質量%、
− 4〜8個のC原子を有する1−アルケンを基礎とするモノマー単位5〜65質量%、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜55質量%、
− 他のオレフィンを基礎とするモノマー単位0〜10質量%、並びに
− 脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物を基礎とするモノマー単位0.1〜2.5質量%、
ここで、個々の割合は、その質量%の記載の合計が100となるように選択される。エテンを基礎するモノマー単位についての更なる本発明の下限値は、34.9質量%、好ましくは39.9質量%、特に好ましくは44.9質量%であり、これについての更なる本発明の上限値は、好ましくは89.9質量%、特に好ましくは84.9質量%である。
【0023】
オレフィン系コポリマーの場合に、4〜8個のC原子を有する1−アルケンとして、次の化合物が挙げられる:1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン及び1−オクテン。もちろん、4〜8個のC原子を有する1−アルケンを基礎とするモノマー単位は、これらの化合物の混合物に由来していてもよい。
【0024】
他のオレフィン(このモノマー単位はオレフィン系コポリマー中に0〜10質量%含まれていてもよい)は、ここで種類について制限されない。これは、例えば非共役ジエン、プロペン、4−メチルペンテン−1又はスチレンのようなモノエン又はこれらの混合物であることができる。
【0025】
第1の変更態様の場合に、他のオレフィン(このモノマー単位はオレフィン系コポリマー中に0〜10質量%含まれていてもよい)は、非共役ジエンではない。
【0026】
第2の変更態様の場合に、他のオレフィンは、スチレンではなく及び/又はプロペンでもない。
【0027】
第3の変更態様の場合に、このオレフィン系コポリマーは、エテン、4〜8個のC原子を有する1−アルケン及び脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物に由来するモノマー単位だけを含む。
【0028】
第4の変更態様の場合に、4〜8個のC原子を有する1−アルケンは、1−ブテンである。
【0029】
第5の変更態様の場合に、4〜8個のC原子を有する1−アルケンは、1−ヘキセンである。
【0030】
第6の変更態様の場合に、4〜8個のC原子を有する1−アルケンは、1−オクテンである。
【0031】
これらの変更態様は、互いに制限なく組み合わせることができる。
【0032】
脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物は、例えば、無水マレイン酸であることができるが、他の相応する化合物、例えばアコニット酸無水物、シトラコン酸無水物又はイタコン酸無水物も適している。
【0033】
特許請求の範囲に記載のオレフィン系コポリマーは、公知のように製造することができ、ここでは、脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物又はその前駆体、例えば相応する酸又は半エステルは、熱によって又は好ましくはラジカルによって、あらかじめ形成されたコポリマーと反応する。脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物は、ここでは、他のモノマー、例えばフマル酸ジブチルエステル又はスチレンと組み合わせて反応させることができる。特許請求の範囲に記載のオレフィン系コポリマーは、多様なタイプが市場で入手可能である。
【0034】
第2の実施態様の場合に、この耐衝撃性改質剤は、次のモノマー単位を含むオレフィン系コポリマーである:
− エテンを基礎とするモノマー単位35〜94.9質量%、好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは45〜85質量%、
− プロペンを基礎とするモノマー単位5〜65質量%、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜55質量%、
− 他のオレフィン、例えば非共役ジエンを基礎とするモノマー単位0〜10質量%、並びに
− 脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物を基礎とするモノマー単位0.1〜2.5質量%、
ここで、個々の割合は、その質量%の記載の合計が100となるように選択される。エテンを基礎するモノマー単位についての更なる本発明の下限値は、34.9質量%、好ましくは39.9質量%、特に好ましくは44.9質量%であり、これについての更なる本発明の上限値は、好ましくは89.9質量%、特に好ましくは84.9質量%である。
【0035】
第3の実施態様の場合に、この耐衝撃性改質剤は、少なくとも1つのポリビニル芳香族ブロックAと、少なくとも1つのポリオレフィンブロックBとを有する、水素化されかつ酸無水物で変性されたブロックコポリマーである。これらのブロックは、線状又は星形に配置されていてもよく、例えばA−B、A−B−A、B−A−B、A−B−A−B、A−B−A−B−A、B−A−B−A−B、(A)B3,(B)A3、(A)(B−A)3,(B)(A−B)3等の種類の構造として配置されていてもよく、ここで、このブロックコポリマーの数平均分子量は、約10,000〜約800,000の範囲内、好ましくは約20,000〜約500,000の範囲内にある。ブロックコポリマー中のビニル芳香族化合物の割合は、好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは10〜55質量%である。ゴム状のポリオレフィンブロックBは、例えば、エチレン/プロピレン単位、エチレン/ブチレン単位又はエチレン/ペンチレン単位を含み;このブロックは、共役ジエン及び特にブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン又はこれらの混合物の重合により並びに引き続く選択的水素化により得られる。この場合、重合したジエン部分の脂肪族二重結合の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも94%が水素化される。ポリビニル芳香族ブロックの製造のために使用されたビニル芳香族化合物は、通常ではスチレンであるが;例えばα−メチルスチレン等を使用することもできる。この水素化されたブロックコポリマーは、コハク酸無水物基0.1〜8質量%、好ましくは0.3〜5質量%を含み、この基は、水素化の前又は好ましくは水素化の後に、不飽和ジカルボン酸又はその無水物、例えばマレイン酸無水物、シトラコン酸、イタコン酸等との反応によって導入される。この種の酸無水物で改質された、水素化されたビニル芳香族/共役ジエン−ブロックコポリマーの製造は先行技術であり;適切なタイプは市場で、例えばKraton(登録商標)FG1901Xの商品名で入手できる。これは、30質量%のポリスチレン割合及び1.4〜2質量%のコハク酸無水物基の含有率を有するSEBS型(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)の線状トリブロックコポリマーである。
【0036】
第4の実施態様の場合に、この耐衝撃性改質剤は、次の混合物である:
− 次のモノマーの単位を含むオレフィン系コポリマー5〜95質量%:
a) 2〜12個のC原子を有する1種以上のα−オレフィン20〜99.9質量%、
b) アクリル酸又はメタクリル酸の、C1〜C12−アルコールとのエステル0〜50質量%、ここで、エポキシ基含有エステルは除外される、及び
c) オレフィン系不飽和エポキシド0.1〜50質量%、
ここで、質量%の記載は、オレフィン系コポリマーを基準とし、その合計は最大100であり、かつ
− 次のモノマーの単位を含むオレフィン系コポリマー95〜5質量%:
a) 2〜12個のC原子を有する1種以上のα−オレフィン42〜99.9質量%、
b) アクリル酸又はメタクリル酸の、C1〜C12−アルコールとのエステル0〜50質量%、ここで、エポキシ基含有エステルは除外される、及び
c) オレフィン系不飽和ジカルボン酸無水物0.1〜8質量%、
ここで、質量%の記載は、オレフィン系コポリマーを基準とし、その合計は最大100である。
【0037】
2〜12個のC原子を有するα−オレフィンは、例えばエテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチルペンター1−エン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン及び1−ドデセンから選択され、ここで、エテンが好ましい。
【0038】
アクリル酸又はメタクリル酸のエステルの例として、殊に、メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、n−ブチルメタクリラート及び2−エチルヘキシルメタクリラートが挙げられる。
【0039】
オレフィン系不飽和エポキシドの例は、殊に、グリシジルエステル及びグリシジルエーテル、例えばグリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、グリシジルマレアート、グリシジルイタコナート、ビニルグリシジルエーテル及びアリルグリシジルエーテルである。
【0040】
オレフィン系不飽和ジカルボン酸無水物の例は、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、及び(2.2.2)−ビシクロオクタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物である。
【0041】
第5の実施態様の場合に、この耐衝撃性改質剤は、次の混合物である:
− 第1の実施態様の耐衝撃性改質剤70〜99質量%、及び
− 次のモノマーの単位を含むオレフィン系コポリマー1〜30質量%:
a) 2〜12個のC原子を有する1種以上のα−オレフィン20〜99.9質量%、
b) アクリル酸又はメタクリル酸の、C1〜C12−アルコールとのエステル0〜50質量%、ここで、エポキシ基含有エステルは除外される、及び
c) オレフィン系不飽和エポキシド0.1〜50質量%、
ここで、質量%の記載は、オレフィン系コポリマーを基準とし、その合計は最大100である。
【0042】
ここで使用されたオレフィン系コポリマーの詳細は、第4の実施態様の場合に記載されたのと同じである。
【0043】
第6の実施態様の場合に、この耐衝撃性改質剤は、次の混合物である:
− 第2の実施態様の耐衝撃性改質剤70〜99質量%、及び
− 次のモノマーの単位を含むオレフィン系コポリマー1〜30質量%:
a) 2〜12個のC原子を有する1種以上のα−オレフィン20〜99.9質量%、
b) アクリル酸又はメタクリル酸の、C1〜C12−アルコールとのエステル0〜50質量%、ここで、エポキシ基含有エステルは除外される、及び
c) オレフィン系不飽和エポキシド0.1〜50質量%、
ここで、質量%の記載は、オレフィン系コポリマーを基準とし、その合計は最大100である。
【0044】
ここで使用されたコポリマーの詳細は、第4の実施態様の場合に記載されたのと同じである。
【0045】
第7の実施態様の場合に、この耐衝撃性改質剤は、次の混合物である:
− 第1の実施態様の耐衝撃性改質剤50〜99質量%、及び
− 第3の実施態様の水素化されかつ酸無水物で変性されたブロックコポリマー1〜50質量%。
【0046】
第8の実施態様の場合に、この耐衝撃性改質剤は、次の混合物である:
− 第2の実施態様の耐衝撃性改質剤50〜99質量%、及び
− 第3の実施態様の水素化されかつ酸無水物で変性されたブロックコポリマー1〜50質量%。
【0047】
これらの実施態様は、例示に過ぎない。本発明の範囲内で、ここに挙げられていない他の耐衝撃性改質剤を使用することもできる。この場合、第1の実施態様は特に好ましい、というのもこの種の成形材料は特に高い耐熱老化性を有するためである。更に、第1の実施態様の耐衝撃性改質剤を同様に含む第5及び第7の実施態様も好ましい。
【0048】
本発明により使用された、層Iの成形材料は、成分1)及び2)の他に、場合により他の添加物を含み、これらを合わせて100質量%になり、かつ好ましくはこれを少なくとも0.01質量%含む。この他の添加物は、例えば次のものである:
a) 安定剤、
b) 他のポリマー、
c) 可塑剤、
d) 顔料及び/又は染料
e) 導電性を高める添加物及び
f) 加工助剤。
【0049】
好ましい実施態様の場合に、この成形材料は、有効量の銅を含む安定剤を含む。この安定剤は、特に、ポリアミドマトリックス中に可溶性の銅化合物である。好ましくは、この銅化合物はアルカリ金属ハロゲン化物と組み合わせられる。
【0050】
所定の実施態様の場合に、この安定剤は、アルカリ金属ハロゲン化物と組み合わせた、銅(I)塩、例えば酢酸銅、ステアリン酸銅、有機銅錯化合物、例えば銅アセチルアセトナート、ハロゲン化銅等である。
【0051】
所定の実施態様の場合に、この銅を含む安定剤は、ヨウ化銅及び臭化銅から選択されるハロゲン化銅と、リチウム、ナトリウム及びカリウムのヨウ化物及び臭化物から選択されるアルカリ金属ハロゲン化物とを含む。
【0052】
好ましくは、この銅を含む安定剤は、この成形材料が、銅20〜2000ppm、特に好ましくは銅30〜1500ppm、殊に好ましくは銅40〜1000ppmを含むように添加される。
【0053】
更に、この銅を含む安定剤は、アルカリ金属ハロゲン化物の銅化合物に対する質量比の値が、2.5〜12の範囲内、特に好ましくは6〜10の範囲内にあるように構成されているのが好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物と銅化合物との組み合わせは、一般に、成形材料中で約0.01質量%〜約2.5質量%含まれている。
【0054】
この銅を含む安定剤は、例えば自動車のエンジンフード下で使用する場合に、長期間の熱老化に対する保護を提供する。
【0055】
他の好ましい実施態様の場合に、この成形材料は、有効量の酸化安定剤を含み、特に好ましくは、有効量の酸化安定剤を、有効量の銅を含む安定剤と組み合わせて含む。適切な酸化安定剤は、例えば芳香族アミン、立体障害フェノール、ホスフィット、ホスホニット、チオ相乗剤、ヒドロキシルアミン、ベンゾフラノン誘導体、アクリロイルにより変性されたフェノールなどである。この種の酸化安定剤は、多数のタイプで、例えば商品名Naugard 445、Irganox 1010、Irganox 1098、Irgafos 168、P-EPQ又はLowinox DSTDPとして市場で入手できる。一般に、この成形材料は、酸化安定剤を約0.01〜約2質量%、好ましくは約0.1〜約1.5質量%含む。
【0056】
更に、この成形材料は、UV安定剤又はHALS型の光安定剤を含んでいてもよい。適切なUV安定剤は、まず、有機UV吸収剤、例えばベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、オキサルアニリド又はフェニルトリアジンである。HALS型の光安定剤は、テトラメチルピペリジン誘導体であり;これは、ラジカル捕捉剤として作用する防止剤である。UV安定剤と光安定剤とを、好ましくは組み合わせて使用することもできる。この両方は、多数のタイプで市場で入手可能であり、この添加に関して、製造元の記載に従うことができる。
【0057】
この成形材料は、更に、加水分解安定剤、例えばモノマー、オリゴマー又はポリマーのカルボジイミド又はビスオキサゾリンを含むことができる。
【0058】
成形材料中に添加物として含まれていてもよい他のポリマーは、例えば脂肪族ポリアミド、ポリエーテルアミド又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0059】
適切な脂肪族ポリアミドは、例えばPA46、PA66、PA68、PA610、PA612、PA613、PA410、PA412、PA810、PA1010、PA1012、PA1013、PA1014、PA1018、PA1212、PA6、PA11及びPA12並びに、これらのタイプに由来するコポリアミドである。好ましくは、部分芳香族コポリアミド、場合により脂肪族ポリアミド並びに場合によりポリエーテルアミドから構成されたこの成形材料のポリアミド割合は、脂肪族ポリアミドを10質量%未満、特に好ましくは8質量%未満、殊に好ましくは5質量%未満、更に特に好ましくは3質量%未満、又は好ましくは少なくとも脂肪族ポリアミドとポリエーテルアミドの合計を好ましくは10質量%未満、特に好ましくは8質量%未満、殊に好ましくは5質量%未満、更に特に好ましくは3質量%未満含む。
【0060】
ポリアミドの場合の可塑剤及びその使用は公知である。ポリアミドに適している可塑剤に関する一般的な概要は、Gaechter/Mueller著、Kunststoffadditive, C. Hanser Verlag, 第2版、296頁から読み取ることができる。
【0061】
可塑剤として適した通常の化合物は、例えばアルコール成分中に2〜20個のC原子を有するp−ヒドロキシ安息香酸のエステル又はアミン成分中に2〜12個のC原子を有するアリールスルホン酸のアミド、好ましくはベンゼンスルホン酸のアミドである。
【0062】
可塑剤として、特にp−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸オクチルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸−i−ヘキサデシルエステル、トルエンスルホン酸−n−オクチルアミド、ベンゼンスルホン酸−n−ブチルアミド又はベンゼンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミドが挙げられる。
【0063】
適切な顔料及び/又は染料は、例えばカーボンブラック、酸化鉄、硫化亜鉛、ウルトラマリン、ニグロシン、パール光沢顔料及び金属フレークである。
【0064】
導電性を高める添加物は、例えば導電性カーボンブラック又はカーボンナノチューブである。
【0065】
適切な加工助剤は、例えばパラフィン、脂肪アルコール、脂肪酸アミド、ステアラート、例えばステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、モンタン酸エステル又はポリシロキサンである。
【0066】
この成形材料は、個々の成分から当業者に公知のように、融液の形で混合することにより製造される。
【0067】
第2の層のEVOHは、エチレンとビニルアルコールとからなるコポリマーである;これは、ときにはEVALとも言われる。コポリマー中のエチレン含有量は、一般に22〜60モル%、特に28〜45モル%である。多数のタイプが市場で入手できる。例えば、Kuraray EVAL Europe社のカタログ「Introduction to Kuraray EVALTM Resins」、バージョン1.2/9810が指摘される。この成形材料は、EVOHの他に、先行技術に従って、遮断層用途のために通常の他の添加物を含んでいてもよい。この種の添加物は、一般に、EVOH供給元のノウハウである。
【0068】
第3の層のポリアミド成形材料は、第1の層のポリアミド成形材料と同じ種類であることができる。これとは別に、このポリアミド成形材料は、脂肪族ポリアミドを基礎として構成されていてもよい。適切な脂肪族ポリアミドは、例えばPA46、PA66、PA68、PA610、PA612、PA613、PA410、PA412、PA810、PA1010、PA1012、PA1013、PA1014、PA1018、PA1212、PA6、PA11及びPA12並びに、これらのタイプに由来するコポリアミドである。この場合、クリスタリット融点Tmが、190℃を越える、特に好ましくは200℃を越える、殊に好ましくは210℃を越える脂肪族ポリアミドが好ましい。
【0069】
脂肪族ポリアミドを基礎とするポリアミド成形材料は、少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも50質量%、特に好ましくは少なくとも60質量%、殊に好ましくは少なくとも70質量%が脂肪族ポリアミドを含み;これは更に、例えば第1の層の成形材料について記載したような種類の、耐衝撃性改質剤並びに通常の添加物を含むことができる。
【0070】
本発明による多層複合材料は、平坦な複合材料として存在していてもよく、例えばプレート又はシート若しくはフィルム(Folie)として、例えば包装シート若しくはフィルムとして(この場合、EVOHの遮断作用は、ガス、例えば酸素又は二酸化炭素に対して利用される)、又はオフショア採収用のフレキシブル管の場合に耐摩耗性テープとして存在してもよい。
【0071】
好ましい実施態様の場合に、本発明による多層複合材料は、中空成形品であり、なによりも管又は容器である。この中には、例えば燃料導管、液圧導管、ブレーキ導管、クラッチ導管又は冷却液導管、ブレーキ液容器又は燃料容器が含まれる。他の用途は、例えば石油又はガス生産工業における剛性管又はフレキシブル管のためのライナー、又は熱い液体を搬送するアンビリカルチューブ(Leitung von Umbilicals)である。内層がガソリン又はバイオディーゼルと接触する場合、この内層は好ましくは銅安定剤を含まない。
【0072】
意外にも、特許請求の範囲に記載された部分芳香族コポリアミドを基礎とする層は、EVOH層上に良好に付着することが見出された。用途に応じて更に強固な付着が要求される場合には、これを、定着剤層を間に挟むことで達成することができる。適切な定着剤は、例えば、第1の層とも、第2の層とも相溶性であるポリアミド又はポリアミドブレンド、例えばPA6を基礎とする成形材料、PA66を基礎とする成形材料、特許請求の範囲に記載の、PA6及び/又はPA66を含む、耐衝撃性が改質された部分芳香族ポリアミドを基礎とする成形材料、又はUS 7 175 896から公知のような定着剤、例えば酸無水物で官能化されたゴムを用いて耐衝撃性を改質することができるPA6/PA612ブレンドである。
【0073】
本発明による多層複合材料を、可燃性の液体、ガス又は粉塵、例えば燃料又は燃料蒸気の導通又は貯蔵のために使用する場合、この複合材料に所属する層の1つ又は付加的な内層が導電性を備えていることが推奨される。これは、先行技術の全ての方法により導電性添加物を配合することによって行うことができる。導電性添加物として、例えば導電性カーボンブラック、金属フレーク、金属粉、金属化されたガラスビーズ、金属化されたガラス繊維、金属繊維(例えばステンレス鋼製)、金属化されたホイスカー、炭素繊維(金属化されていてもよい)、固有導電性ポリマー又はグラファイトフィブリルを使用することもできる。異なる導電性添加物の混合物を使用することもできる。
【0074】
好ましい場合には、この導電性層は、導通されるべき媒体又は貯蔵されるべき媒体と直接接触して存在し、かつ最大109Ω/スクウェアの比表面抵抗を有する。多層管の抵抗を決定する測定方法は、2004年11月発行のSAE J 2260に説明されている。
【0075】
本発明による多層複合材料が中空成形品又は中空異形材(例えば管)として構成される場合、この多層複合材料は更に付加的なエラストマー層で外側が被覆されていてもよい。外側被覆のために、架橋性ゴム材料も、熱可塑性エラストマーも適している。この外側被覆は、付加的な定着剤を使用しても又は使用しなくても、多層複合材料に塗布することができ、例えば、横方向押出ヘッドを経る押出によるか又は押し出して仕上げられた多層管の上にあらかじめ製造されたエラストマーホースを被せることにより設けることができる。一般に、この外側被覆は、0.1〜4mm、好ましくは0.2〜3mmの厚さを有する。
【0076】
適切なエラストマーは、例えばクロロプレンゴム、エチレン/プロピレンゴム(EPM)、エチレン/プロピレン/ジエンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、塩素化ポリエチレン、アクリラートゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、シリコーンゴム、サントプレン(Santoprene)、ポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミドである。
【0077】
多層複合材料の製造は、一段階又は多段階で、例えば多成分射出成形、同時押出成形、同時押出ブロー成形(例えば、三次元ブロー成形、開放した金型部分中でのパリソン押出成形、三次元パリソンマニピュレーション、サクションブロー成形、三次元サクションブロー成形、シーケンシャルブロー成形)による一段階法で、又は例えばUS 5 554 425に記載されたような多段階法で行うことができる。
【0078】
次の表中に、例示的に可能な層構成を示す。これらの例は、説明のためだけのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。この示された層構成は、一般に形状とは無関係であり、つまりシート若しくはフィルムについても通用する。しかしながら、この層構成は、中空異形材のような中空成形品、例えば管、又は容器について特に通用し;この場合に、a)の層が外側の層である。
【0079】
本発明による複合材料は、高い熱形状安定性、極めて良好な耐衝撃性及び高い破断点伸びを示す。この層付着は、定着剤なしでも既に良好であり、この層付着はたいていの用途にとって十分である。更に、層Iの本発明により使用される成形材料からは、この成形材料が内層として存在する場合に、極めて少量のオリゴマーが溶出されるだけであり;従って、エンジンに燃料供給する際に閉塞を引き起こさないことが明らかになった。本発明による管の燃料成分に対する遮断効果は極めて良好である。
【0080】
本発明を、次に例示的に説明する。
【0081】
この実施例において、次の材料が使用された:
PA6T/612:製造例1参照
カラーバッチ:PA12 80質量%とカーボンブラック20質量%との混合物
TAFMER(登録商標)MH7010:三井化学株式会社の、酸無水物により改質されたエチレン−ブチレンゴム
ステアリン酸カルシウム:加工助剤
Polyad(登録商標)PB201 Iodide:ヨウ化銅とアルカリ金属ハロゲン化物を基礎とする銅を含む安定剤
Naugard(登録商標)445:酸化安定剤(芳香族アミン)
定着剤:PA612 62.13質量部、PA6 15.93質量部、可塑剤(BBSA)7.97質量部、耐衝撃性改質剤11.15質量部及び安定剤1.22質量部からなる成形材料
EVOH:EVAL(登録商標)FP101B、クラレ社の、エチレン32モル%を有するEVOH
PA12:VESTAMID(登録商標)LX9002、耐衝撃性が改質された、可塑化されたPA12押出成形材料
HI-PA6T/612:本発明により使用された耐衝撃性が改質されたPA6T/612成形材料
製造例1(PA6T/612 50:50):
重縮合槽中に、ヘキサメチレンジアミン12.621kg、テレフタル酸9.021kg、ドデカン二酸13.356kg、蒸留水15.000kg及び次亜リン酸の50質量%の水溶液3.53gを装入した。この装填材料を180℃で溶融し、225℃/22barで3時間撹拌した。10barに連続的に放圧しながら、300℃に加熱し、この温度で再び放圧した。0.5barに達したときに、この槽を空にし、生成物を顆粒化した。この顆粒を、ドラム乾燥器中で後縮合させ、所望の分子量に到達させた。
【0082】
クリスタリット融点Tm:278℃(メインピーク)。
【0083】
本発明により使用した成形材料の製造(HI−PA6T/612):
製造されたPA6T/612 65.38質量部、TAFMER MH7010 30質量部、カラーバッチ2.5質量部、Polyad PB201 Iodide 1.2質量部、Naugard 445 0.6質量部及びステアリン酸カルシウム0.32質量部を装填した。成形材料を、これらの個々の成分から、溶融混合によって混練装置中で製造し、ストランドとして排出し、顆粒化しかつ乾燥させた。
【0084】
対照:
IDE社のME 45/4 x 25D型の単層管押出装置で、本発明により使用した成形材料からなる、外径8.0mm及び壁厚1.0mmの単層管を、280℃で、100rpmの回転数で製造した。
【0085】
実施例1〜3:
Bellaform社の多層管装置で、それぞれ外径8.0mm及び全壁厚1.0mmの多層管を製造した。この層構成は表1に示されている。
【0086】
試験:
a) 引張試験:単層管及び多層管を、DIN EN ISO 527-1に準拠して、100mm/minの引取速度で試験した。この試験体は、約200mmの長さであり、取付部の長さは100mmであり、ひずみゲージの間隔は50mmであった。
【0087】
b) 衝撃曲げ試験:単層管及び多層管の耐衝撃性の測定を、DIN 73378に準拠して、23℃及び−40℃で行った。このために、長さ約100mmの10本の管片をそれぞれ使用した。
【0088】
c) ドロップハンマー試験:ドロップハンマー試験を、SAE仕様書に従って実施した。この場合、特定の重りを規定の落下高さから試験体に落とした。この試験によって、SAE J2260及びSAE J844に従って、衝撃作用時の単層管及び多層管の耐衝撃性の挙動を決定した。それぞれ10本の試験体を−40℃で測定し、負荷の後に、損傷について視覚的に調査した。
【0089】
d) 分離試験:この分離試験を、Zwick社のBZ 2.5/TN1S型の引張試験機で実施し、この引張試験機には、試験体のそれぞれの層を互いに分離できるように、引張装置及び回転する金属歯車が固定されている。DIN EN ISO 2411に準拠する分離試験によって、2つの層を互いに分離するのに要する力を測定することにより、2つの層間の付着を評価した。このために、多層管から切断装置を用いて長さ20cmの管片を縦方向に三等分した。
【0090】
この測定の開始前に、ノギスを用いて試験体の幅を多様な箇所で数回測定し、この平均値を評価ソフトウェアに入力した。その後、層の分離された端部をクランプに挟み、このクランプを連続的に90°の角度で第2の層から引き剥がした。
【0091】
この層を、50mm/minの試験速度で相互に引き剥がし、これに並行して、ミリメートルで示す経路に対するニュートンで示す、要した力のグラフを記録した。このグラフから、付着する接触面の幅に関する、N/mmで示す分離抵抗を算出した。
【0092】
e) 燃料透過性:この浸透試験によって、60℃での静止状態での貯蔵で、1日当たりで、管1メートル当たり又は管の内面積1平方メートル当たりで、どの程度の燃料が燃料導管を通して浸透するのかを決定した。このため、それぞれ長さ300mmの管片を秤量し、引き続き、CE10(トルエン45体積%、イソオクタン45体積%及びエタノール10体積%の組成)300mlを満たし、端部を閉鎖した。満たされた管を再度秤量して、所定の時間内での質量損失及びそれによる透過された燃料質量を決定できる。有効な浸透長さはこの場合に、285mmであった。
【0093】
この結果は、表1中に示されている。
【0094】
オリゴマー溶出抵抗性:
このオリゴマー溶出抵抗性(Oligomerauswaschbestaendigkeit)について、試験燃料によって、この管から、管1メートル当たりどのくらいの質量の可溶性及び不溶性の抽出物が溶出されるかを試験した。この試験のために、アルコール含有の試験燃料FAM B(トルエン42.3体積%、イソオクタン25.4体積%、エタノール4.3体積%、ジイソブチレン12.7体積%、メタノール15.0体積%及び脱イオン水0.5体積%)を、長さ2メートルの管片中で60℃で72時間貯蔵した。試験準備のために、管の一方の端部をそれぞれ金属球で閉鎖した。この試験体の約95%を試験燃料で満たし、閉鎖し、引き続き循環空気炉中で60℃で放置した。72時間の試験時間が経過した後、この管を取り出し、室温に冷却し、短時間揺り動かして、管内壁に場合により付着する残留物を溶かした。この試験液体を、それぞれガラスビーカーに移し、0℃に冷却し、この温度で更に24時間貯蔵した。試験液体中に含まれる不溶性の抽出物を、孔径0.045μmのポリエーテルスルホン(PES)フィルターを介して吸引濾過し、秤量した。引き続き、この濾液を24時間換気フード中で蒸発させ、残留物を秤量した。それぞれ3回測定を行った。
【0095】
実施例1の管では、管1m当たり不溶性抽出物1.2mg、及び、管1m当たり、濾液の蒸発後の残留物135mgが得られた。
【0096】
比較のため:PA12成形材料のVESTAMID(登録商標)X7293からなる単層管(この成形材料は、多層管において頻繁に内層として使用される)は、同じ手順で、管1m当たり不溶性抽出物15.9mg、及び、管1m当たり、濾液の蒸発後の残留物853mgが生じた。
【0097】
表1:層構成及び試験結果
【表1】
【0098】
従って、本発明による管は、燃料導管に課せられた要求を満たす。
【0099】
[発明の態様]
1. 次の層:
I. 少なくとも40質量%が次の成分を含む成形材料からなる第1の層(層I):
1) 次の
α) ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との組み合わせ41〜90モル%並びに
β) ヘキサメチレンジアミンと8〜19個のC原子を有する線状脂肪族ジカルボン酸との組み合わせ59〜10モル%
に由来するモノマー単位からなる部分芳香族コポリアミド60〜99質量部、
ここで、前記モル%の記載は、α)及びβ)の合計を基準とし、かつ前記ヘキサメチレンジアミンの最大20%は、等価量の他のジアミンに置き換えられていてもよく、及び/又は、前記テレフタル酸の最大20%は、等価量の他の芳香族ジカルボン酸及び/又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に置き換えられていてもよく、及び/又は、ヘキサメチレンジアミンと線状脂肪族ジカルボン酸とからなる繰り返し単位の最大20%は、6〜12個のC原子を有するラクタム又はω−アミノカルボン酸に由来する等価量の単位に置き換えられていてもよく、
2) 耐衝撃性改質剤としてのオレフィン系コポリマー40〜1質量部、
ここで、1)及び2)の質量部の合計は100であり;
II. 少なくとも60質量%がEVOHからなる成形材料からなる第2の層(層II);
III. ポリアミド成形材料からなる第3の層
を含む、多層複合材料。
2. 層Iの前記成形材料は、他の添加物0.01〜60質量%を含有することを特徴とする、前記1に記載の多層複合材料。
3. 前記他の添加物の1つが、銅を含む安定剤であることを特徴とする、前記2に記載の多層複合材料。
4. 前記他の添加物の1つが、酸化安定剤であることを特徴とする、前記2又は3に記載の多層複合材料。
5. 層Iのコポリアミドのクリスタリット融点Tmは、ISO 11357による2回目の昇温時で測定して、240℃〜300℃の範囲内であることを特徴とする、前記1から4までのいずれか1に記載の多層複合材料。
6. 層IIの成形材料のEVOHは、エチレン単位22〜60モル%を含むことを特徴とする、前記1から5までのいずれか1に記載の多層複合材料。
7. 第3の層のポリアミド成形材料は、第1の層のポリアミド成形材料と同じ種類であることを特徴とする、前記1から6までのいずれか1に記載の多層複合材料。
8. 第3の層のポリアミド成形材料は、脂肪族ポリアミドを基礎として構成されていることを特徴とする、前記1から6までのいずれか1に記載の多層複合材料。
9. 前記多層複合材料は、1つ以上の他の層を含むことを特徴とする、前記1から8までのいずれか1に記載の多層複合材料。
10. 前記多層複合材料は、シート若しくはフィルム、プレート又は中空成形品であることを特徴とする、前記1から9までのいずれか1に記載の多層複合材料。
11. 前記中空成形品は、中空異形材、殊に管、又は容器であることを特徴とする、前記10に記載の多層複合材料。
12. 前記多層複合材料は、導電性層及びエラストマー外側被覆から選択される1つ以上の他の層を含む、前記11に記載の多層複合材料。
13. 前記多層複合材料は、燃料導管、液圧導管、ブレーキ導管、クラッチ導管、冷却液導管、石油生産工業若しくはガス生産工業における剛性管若しくはフレキシブル管用のライナー、又はアンビリカルチューブであることを特徴とする、前記11又は12に記載の多層複合材料。
14. 前記多層複合材料が、ブレーキ液容器又は燃料容器であることを特徴とする、前記11又は12に記載の多層複合材料。