特許第6887221号(P6887221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887221
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】エレベーター用足場台
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
   B66B5/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-112507(P2016-112507)
(22)【出願日】2016年6月6日
(65)【公開番号】特開2017-218258(P2017-218258A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100090011
【弁理士】
【氏名又は名称】茂泉 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(74)【代理人】
【識別番号】100206782
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】半田 剛史
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/189074(WO,A1)
【文献】 特開2012−142176(JP,A)
【文献】 米国特許第07174994(US,B1)
【文献】 実開昭59−126098(JP,U)
【文献】 特開平08−198549(JP,A)
【文献】 米国特許第05954154(US,A)
【文献】 特開2010−132362(JP,A)
【文献】 特開2004−299796(JP,A)
【文献】 特開昭61−296603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能な足場部材と、前記足場部材を支持する脚とを有する足場台本体
光を出して周囲を照らす全体照明器具本体を有し、前記足場部材に設けられている全体照明器具、及び
前記足場部材に設けられ、前記全体照明器具と異なる位置に配置されているスポット照明器具
を備え
前記スポット照明器具は、光を出すスポット照明器具本体を有し、
前記スポット照明器具本体から出る光の指向性は、前記全体照明器具本体から出る光の指向性よりも高くなっているエレベーター用足場台。
【請求項2】
前記スポット照明器具本体は、遮光ケースと、前記遮光ケース内に配置されている光源とを有し、
前記遮光ケースには、前記光源から出た光を通す開口部が設けられている請求項に記載のエレベーター用足場台。
【請求項3】
前記スポット照明器具は、前記足場部材に取り付けられ前記スポット照明器具本体を支持する一対のスポット照明器具取付部を有し、
前記スポット照明器具本体は、前記一対のスポット照明器具取付部を結ぶ軸線を中心として前記一対のスポット照明器具取付部に対して回転自在になっている請求項又は請求項に記載のエレベーター用足場台。
【請求項4】
前記スポット照明器具は、前記スポット照明器具本体と一体になって前記軸線を中心に回転自在な回転体である角度調整用操作部を有し、
前記角度調整用操作部の外周部は、前記スポット照明器具本体の外周部よりも滑りにくい滑り止め部になっている請求項に記載のエレベーター用足場台。
【請求項5】
前記スポット照明器具は、前記足場部材に対して着脱可能になっている請求項〜請求項のいずれか一項に記載のエレベーター用足場台。
【請求項6】
前記全体照明器具は、前記足場部材に対して着脱可能になっている請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のエレベーター用足場台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターの保守点検作業を行うときに用いられるエレベーター用足場台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、機械室が存在しない機械室レスエレベーターでは、エレベーターの制御盤が昇降路内に設置されている。また、機械室レスエレベーターでは、昇降路内に雨水等が流れ込んだ場合に制御盤の水没を回避するために、制御盤が最下階の乗場の床面よりも高い位置に配置されることがある。この場合、保守員は、昇降路のピット部の底面に立っても制御盤に届かず、例えば脚立等を用いなければ制御盤の保守点検作業をすることができない。
【0003】
従来、昇降路のピット部での制御盤の保守点検作業を容易にするために、昇降路のピット部の壁面に点検作業台を回動可能に設け、制御盤の保守点検作業を行うときに、点検作業台を固定棒で水平に保持するとともに、点検作業台に乗り降りするための梯子を点検作業台に取り付けるようにしたエレベーター用保守点検装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−299796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されている従来のエレベーター用保守点検装置では、点検作業台の広さが固定されているので、昇降路のピット部の状態及び保守点検作業の内容に応じて点検作業台の広さを調整することができない。また、昇降路内には、ピット部を明るくするための点検灯が設置されているが、点検灯の光が届きにくい暗い場所で保守員が作業をする場合もある。これにより、特許文献1に示されている従来のエレベーター用保守点検装置では、保守点検作業の負担が大きくなってしまう。
【0006】
また、不使用時の梯子を保管しておく保管スペースを昇降路のピット部に確保する必要があるが、点検作業台を配置しておくスペースだけでなく、梯子の保管スペースも確保する必要があるので、エレベーター用保守点検装置の保管スペースが大きくなってしまい、昇降路のピット部のスペースを有効に活用することが難しくなってしまう。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、保管スペースの縮小化を図ることができ、保守点検作業の負担の軽減化を図ることができるエレベーター用足場台を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るエレベーター用足場台は、伸縮可能な足場部材と、足場部材を支持する脚とを有する足場台本体、及び光を出して周囲を照らす全体照明器具本体を有し、足場部材に設けられている全体照明器具を備えている。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るエレベーター用足場台によれば、足場部材を短くした状態で保管することができ、保管スペースの縮小化を図ることができる。また、足場部材の長さを調整しながら足場台を設置することができ、保守員の作業スペースを広く確保することができる。さらに、全体照明器具を足場台とともに移動させることができ、保守員が足場台に乗って作業をする場合に、作業場所の周囲をより確実に明るくすることができる。従って、保守点検作業の負担の軽減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1によるエレベーターの昇降路のピット部を示す側面図である。
図2図1の足場台を示す斜視図である。
図3図2の全体照明器具を示す斜視図である。
図4図2のスポット照明器具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベーターの昇降路のピット部を示す側面図である。昇降路1のピット部(即ち、昇降路1の底部)の壁面1aには、エレベーターの運転を制御する制御盤2が設けられている。制御盤2は、壁面1aに固定されている筐体3と、筐体3の開口部を開閉する蓋4と、筐体3内に収容されている図示しない制御機器とを有している。筐体3の開口部は、筐体3の奥行き方向の前面に設けられている。筐体3は、筐体3の奥行き方向を水平にして壁面1aに固定されている。
【0012】
制御盤2の保守点検作業は、昇降路1のピット部で保守員5によって行われる。制御盤2の保守点検作業が行われるときには、保守員5が制御盤2にアクセスするために足場台6が用いられる。足場台6は、エレベーターの通常運転時には昇降路1のピット部の予め決められた保管スペースに保管されている。
【0013】
足場台6は、保守員5が乗るための足場台本体7と、足場台本体7にそれぞれ設けられている全体照明器具8及びスポット照明器具9とを有している。
【0014】
足場台本体7は、伸縮可能な足場部材10と、足場部材10を支持する一対の脚11とを有している。全体照明器具8及びスポット照明器具9は、足場部材10の互いに異なる位置に配置されている。
【0015】
図2は、図1の足場台6を示す斜視図である。足場部材10は、足場部材10の長手方向に沿って伸縮可能になっている。また、足場部材10は、互いにスライド可能に組み合わされた第1の足場構成部12及び第2の足場構成部13を有している。
【0016】
第1の足場構成部12は、互いに間隔をおいて平行に並ぶ複数の第1のアングル材121と、複数の第1のアングル材121のそれぞれの一端部が固定されている共通の第1の端部材122と、複数の第1のアングル材121のそれぞれの他端部が固定されている共通の枠である第1の外れ止め枠123とを有している。
【0017】
第2の足場構成部13は、互いに間隔をおいて平行に並ぶ複数の第2のアングル材131と、複数の第2のアングル材131のそれぞれの一端部が固定されている共通の第2の端部材132と、複数の第2のアングル材131のそれぞれの他端部が固定されている共通の枠である第2の外れ止め枠133とを有している。
【0018】
各第1のアングル材121と各第2のアングル材131とは、足場部材10の長手方向に沿ってそれぞれ配置され、かつ足場部材10の幅方向へ交互に並べられている。第1の外れ止め枠123内には各第2のアングル材131が通され、第2の外れ止め枠133内には各第1のアングル材121が通されている。これにより、第1及び第2の足場構成部12,13は、足場部材10の長手方向について互いにスライド可能になっている。
【0019】
足場部材10は、第1及び第2の足場構成部12,13が互いにスライドされることにより、足場部材10の長手方向へ伸縮される。即ち、第1及び第2の外れ止め枠123,133が互いに近づく方向へ第1及び第2の足場構成部12,13が互いにスライドされることにより足場部材10が伸び、第1及び第2の外れ止め枠123,133が互いに遠ざかる方向へ第1及び第2の足場構成部12,13が互いにスライドされることにより足場部材10が縮む。
【0020】
一方の脚11は足場部材10の長手方向一端部に連結され、他方の脚11は足場部材10の長手方向他端部に連結されている。また、一対の脚11のそれぞれは、脚本体14と、脚本体14の一端部から突出している一対の引出用脚部材15と、脚本体14の他端部に固定され、足場部材10の長手方向端部に連結されている一対の連結部材16とを有している。
【0021】
脚本体14は、互いに平行に配置されている一対の縦部材141と、一対の縦部材141間にそれぞれ固定されている複数(この例では、2つ)のステップ142とを有している。一対の縦部材141のそれぞれは、中空のパイプである。複数のステップ142は、縦部材141の長手方向へ互いに間隔をおいて配置されている。
【0022】
一対の引出用脚部材15は、各縦部材141内に個別にスライド可能に挿入された棒状部材である。引出用脚部材15は、縦部材141の長手方向一端部から突出している。脚11は、一対の引出用脚部材15が脚本体14に対してスライドされることにより脚11の長手方向へ伸縮される。即ち、脚本体14からの引出用脚部材15の突出量が大きくなる方向へ各引出用脚部材15がスライドされることにより脚11が伸び、脚本体14からの引出用脚部材15の突出量が小さくなる方向へ各引出用脚部材15がスライドされることにより脚11が縮む。
【0023】
脚本体14には、図示しない伸縮ロック機構が設けられている。伸縮ロック機構は、脚11が伸びて引出用脚部材15が脚本体14に対して脚伸長位置に達すると脚本体14に対する引出用脚部材15の位置を自動的に保持し、伸縮ロック機構に対する解除操作が行われると脚伸長位置での引出用脚部材15の保持を解除する。
【0024】
一方の脚11の各連結部材16は、第1の端部材122に連結されているとともに、足場部材10の幅方向に沿った軸線を中心として第1の端部材122に対して回動可能になっている。他方の脚11の各連結部材16は、第2の端部材132に連結されているとともに、足場部材10の幅方向に沿った軸線を中心として第2の端部材132に対して回動可能になっている。これにより、一方の脚11は第1の足場構成部12に回動可能に連結され、他方の脚11は第2の足場構成部13に回動可能に連結されている。
【0025】
一方の脚11は、第1の足場構成部12に対する回動により、第1の足場構成部12に重なる倒伏位置と、第1の足場構成部12に対して立つ起立位置との間で変位可能になっている。第1の足場構成部12には、図示しない第1の回動ロック機構が設けられている。第1の回動ロック機構は、一方の脚11が回動して起立位置に達すると第1の足場構成部12に対する一方の脚11の位置を自動的に保持し、第1の回動ロック機構に対する解除操作が行われると起立位置での一方の脚11の保持を解除する。
【0026】
他方の脚11は、第2の足場構成部13に対する回動により、第2の足場構成部13に重なる倒伏位置と、第2の足場構成部13に対して立つ起立位置との間で変位可能になっている。第2の足場構成部13には、図示しない第2の回動ロック機構が設けられている。第2の回動ロック機構は、他方の脚11が回動して起立位置に達すると第2の足場構成部13に対する他方の脚11の位置を自動的に保持し、第2の回動ロック機構に対する解除操作が行われると起立位置での他方の脚11の保持を解除する。
【0027】
足場台本体7の状態は、各脚11が伸びて各脚11がそれぞれの起立位置に変位されることにより展開状態になり、足場部材10及び各脚11のそれぞれが縮んで各脚11がそれぞれの倒伏位置に変位されることにより折り畳み状態になる。足場台本体7の状態が折り畳み状態であるときには、一方及び他方のそれぞれの脚11の引出用脚部材15同士が足場部材10の長手方向について対向している。足場台本体7の状態が展開状態であるときには、足場部材10から長手方向外側へ広がる方向へ各脚11が足場部材10に対して傾斜している。
【0028】
昇降路1のピット部には、図示しない複数のピット部内機器が設置されている。ピット部内機器としては、かご及び釣合おもりの移動を案内する複数のガイドレール、かご及び釣合おもりが落下したときの衝撃を緩和する複数の緩衝器等が挙げられる。制御盤2に対する保守点検作業が行われるときには、図1に示すように、足場台本体7の状態を展開状態にし、足場部材10を水平にし、足場部材10に対して各脚11を下にした状態で、足場台6が、ピット部内機器を避けて昇降路1のピット部の床面に設置される。エレベーターの通常運転時には、折り畳み状態にされた足場台6が昇降路1のピット部の保管スペースに保管される。保管スペースは、複数のピット部内機器の設置スペースから外れた位置に設定されている。
【0029】
全体照明器具8は足場部材10の長手方向一端部に設けられ、スポット照明器具9は足場部材10の長手方向他端部に設けられている。即ち、全体照明器具8が第1の端部材122に設けられ、スポット照明器具9が第2の端部材132に設けられている。この例では、全体照明器具8が第1の端部材122の上面に取り付けられ、スポット照明器具9が第2の端部材132の外側端面に取り付けられている。制御盤2に対する保守点検作業が行われるときには、スポット照明器具9を制御盤2の位置に対向させ、スポット照明器具9の位置よりも制御盤2の位置から遠い位置に全体照明器具8を配置させた状態で、足場台6が昇降路1のピット部の床面に設置される。即ち、足場部材10の長手方向両端部のうち、保守作業時に制御盤2の位置に対向する端部にスポット照明器具9が設けられ、保守作業時に制御盤2の位置に対向しない端部に全体照明器具8が設けられている。
【0030】
図3は、図2の全体照明器具8を示す斜視図である。全体照明器具8は、光を出して周囲を照らす全体照明器具本体81と、第1の端部材122に取り付けられ、全体照明器具本体81を支持する全体照明器具取付部82とを有している。
【0031】
全体照明器具本体81は、足場部材10の幅方向に沿って配置された筒状の透光性ケース811と、透光性ケース811内に配置されている棒状のLED光源812と、LED光源812に給電する図示しないバッテリとを有している。透光性ケース811は、透明又は半透明のケースである。LED光源812は、複数のLEDを直線状に並べた光源である。全体照明器具8の周囲は、LED光源812からの光によって照らされる。
【0032】
全体照明器具取付部82は、透光性ケース811に沿って配置されている。また、全体照明器具取付部82は、第1の端部材122に対して着脱可能になっている。この例では、全体照明器具取付部82が永久磁石を有しており、第1の端部材122が鉄等の磁性体で構成されている。これにより、この例では、全体照明器具取付部82の永久磁石の磁力によって全体照明器具8が第1の端部材122に着脱可能に取り付けられている。
【0033】
図4は、図2のスポット照明器具9を示す斜視図である。スポット照明器具9は、光を出すスポット照明器具本体91と、第2の端部材132に取り付けられ、スポット照明器具本体91を支持する一対のスポット照明器具取付部92と、スポット照明器具本体91と一体になっている一対の角度調整用操作部93とを有している。
【0034】
一対のスポット照明器具取付部92は、足場部材10の幅方向について互いに離して配置されている。また、各スポット照明器具取付部92には、一対のスポット照明器具取付部92同士を結ぶ軸線上に配置された回転軸94がそれぞれ設けられている。この例では、足場部材10の幅方向に沿った軸線上に各回転軸94が配置されている。
【0035】
スポット照明器具本体91は、一対のスポット照明器具取付部92の間に配置されている。また、スポット照明器具本体91は、各回転軸94を中心に回転自在になっている。これにより、スポット照明器具本体91は、一対のスポット照明器具取付部92同士を結ぶ軸線を中心として一対のスポット照明器具取付部92に対して回転自在になっている。
【0036】
スポット照明器具本体91は、足場部材10の幅方向に沿って配置された筒状の遮光ケース911と、遮光ケース911内に配置されている棒状のLED光源912と、LED光源912に給電する図示しないバッテリとを有している。LED光源912は、複数のLEDを直線状に並べた光源である。
【0037】
遮光ケース911には、LED光源912から出た光を通す開口部95が遮光ケース911の長手方向に沿って設けられている。LED光源912から出た光によって照らされる範囲は、遮光ケース911によって制限されている。これにより、スポット照明器具本体91から出る光の指向性は、全体照明器具本体81から出る光の指向性よりも高くなっている。即ち、スポット照明器具本体91から出る光によって照らされる範囲は、全体照明器具本体81から出る光によって照らされる範囲よりも狭くなっている。
【0038】
開口部95の位置は、一対のスポット照明器具取付部92に対するスポット照明器具本体91の回転角度に応じて遮光ケース911の周方向へ変化する。これにより、スポット照明器具本体91から出る光の方向は、スポット照明器具本体91の回転角度に応じて遮光ケース911の周方向へ変化する。従って、スポット照明器具9では、スポット照明器具本体91の回転角度を調整することにより、スポット照明器具本体91から出る光によって照らされる範囲の位置を調整することが可能になっている。
【0039】
一対のスポット照明器具取付部92は、第2の端部材132に対して着脱可能になっている。これにより、スポット照明器具9は、足場部材10に対して着脱可能になっている。この例では、各スポット照明器具取付部92のそれぞれが永久磁石を有しており、第2の端部材132が鉄等の磁性体で構成されている。これにより、この例では、各スポット照明器具取付部92の永久磁石の磁力によってスポット照明器具9が第2の端部材132に着脱可能に取り付けられている。
【0040】
一対の角度調整用操作部93は、スポット照明器具本体91と一体になって一対のスポット照明器具取付部92同士を結ぶ軸線を中心に回転自在な円板状の回転体である。この例では、スポット照明器具本体91の長手方向両端部に角度調整用操作部93がそれぞれ固定されている。
【0041】
各角度調整用操作部93の外径は、スポット照明器具本体91の外径よりも大きくなっている。また、各角度調整用操作部93の外周部は、スポット照明器具本体91の外周部よりも滑りにくい滑り止め部になっている。この例では、角度調整用操作部93の回転方向に交差する複数の溝93aが各角度調整用操作部93の外周部に形成されている。スポット照明器具取付部92に対するスポット照明器具本体91の回転角度は、角度調整用操作部93の回転操作によって調整可能になっている。
【0042】
次に、制御盤2に対する保守点検作業を昇降路1のピット部で行うときの手順について説明する。エレベーターの通常運転時には、足場台6が折り畳み状態で昇降路1のピット部の保管スペースに配置されている。保管スペースに足場台6が配置されている状態では、全体照明器具8及びスポット照明器具9のそれぞれのバッテリへの充電が商用電源から可能になっている。
【0043】
制御盤2に対する保守点検作業を行うときには、保守員5が最下階から昇降路1のピット部に入った後、保管スペースから足場台6を取り出し、昇降路1の壁面及び各ピット部内機器に足場台6が当たらないように制御盤2の前まで足場台6を運ぶ。このとき、全体照明器具8をON状態にしてLED光源812を点灯させておく。
【0044】
この後、足場台6を折り畳み状態から展開状態にし、足場台6を昇降路1の床面に設置する。このとき、スポット照明器具9が全体照明器具8よりも制御盤2の近くになるように足場台6の向きを調整する。これにより、スポット照明器具9が制御盤2の位置に対向する。また、このとき、昇降路1の壁面及び各ピット部内機器に足場台6が当たらないように足場部材10を伸ばす量を調整する。
【0045】
この後、保守員5が足場台6の足場部材10に乗り、制御盤2に対する保守点検作業を行う。制御盤2に対する保守点検作業を行うときには、全体照明器具8のLED光源812を点灯させたまま、スポット照明器具9をON状態にしてLED光源912を点灯させる。
【0046】
この後、制御盤2の中の保守点検部分に光が照射されるように、角度調整用操作部93を操作しながらスポット照明器具本体91の回転角度を調整する。角度調整用操作部93の操作は、保守員5の手でも足でも行うことができる。保守員5の作業中にスポット照明器具本体91の回転角度を調整する場合には、保守員5の足で角度調整用操作部93を操作することができ、保守員5の作業を中断しなくてもよい。
【0047】
制御盤2に対する保守点検作業が終わると、全体照明器具8のLED光源812を点灯させたまま、スポット照明器具9のLED光源912を消灯させる。この後、保守員5は、足場部材10から昇降路1の床面に降りて、足場台6を展開状態から折り畳み状態にする。
【0048】
この後、全体照明器具8のLED光源812を点灯させたまま、昇降路1の壁面及び各ピット部内機器に足場台6が当たらないように保管スペースまで足場台6を運ぶ。この後、全体照明器具8のLED光源812を消灯させ、保管スペースに足場台6を保管する。
【0049】
このような足場台6では、足場部材10が伸縮可能になっているので、足場部材10を短くした状態で保管することができ、足場台6を保管しておく保管スペースの縮小化を図ることができる。また、昇降路1の壁面及びピット部内機器に足場台6が当たらないように足場部材10の長さを調整しながら、昇降路1のピット部に足場台6を設置することができる。これにより、昇降路1のピット部の空間を効率良く活用して足場台6を設置することができ、保守員5の作業スペースを広く確保することができる。さらに、全体照明器具8が足場部材10に設けられているので、全体照明器具8を足場台6とともに移動させることができ、保守員5が足場台6に乗って作業をする場合に、作業場所の周囲をより確実に明るくすることができる。従って、保守点検作業の負担の軽減化を図ることができる。
【0050】
また、足場部材10には、スポット照明器具9がさらに設けられており、スポット照明器具本体91から出る光の指向性は、全体照明器具本体81から出る光の指向性よりも高くなっているので、全体照明器具本体81によって作業場所の周囲を全体的に明るくすることができるとともに、スポット照明器具本体91によって保守点検部分を集中的に照らすことができる。これにより、保守員5から保守点検部分がさらに見えやすくなり、保守点検作業の負担の軽減化をさらに図ることができる。
【0051】
また、スポット照明器具本体91の遮光ケース911には、遮光ケース911内のLED光源912から出た光を通す開口部95が設けられているので、スポット照明器具本体91から出る光の指向性を開口部95によって容易に高めることができる。
【0052】
また、スポット照明器具本体91は、一対のスポット照明器具取付部92同士を結ぶ軸線を中心として回転自在になっているので、スポット照明器具本体91から出る光の向きを、スポット照明器具本体91の回転角度を調整することにより容易に調整することができる。これにより、光を照射する範囲が保守点検部分からずれている場合であっても、スポット照明器具本体91の回転角度を調整することにより、光を照射する範囲を保守点検部分に容易に合わせることができる。
【0053】
また、角度調整用操作部93は、スポット照明器具本体91と一体になって軸線を中心に回転自在になっており、角度調整用操作部93の外周部は、スポット照明器具本体91の外周部よりも滑りにくい滑り止め部になっているので、スポット照明器具本体91の回転角度の調整を、角度調整用操作部93の操作によって容易にかつより正確にすることができる。
【0054】
また、スポット照明器具9は、足場部材10に対して着脱可能になっているので、例えば、足場部材10から取り外したスポット照明器具9を持ってスポット照明器具9を保守点検部分に近づけることにより、保守点検部分をさらに明るく照らすことができる。これにより、保守点検作業をさらに確実に行うことができ、保守点検作業の負担の軽減化をさらに図ることができる。
【0055】
また、全体照明器具8は、足場部材10に対して着脱可能になっているので、例えば、足場部材10から取り外した全体照明器具8を持って全体照明器具8を保守点検部分に近づけることにより、保守点検部分の周囲をより確実に明るく照らすことができる。これにより、保守点検作業をさらに確実に行うことができ、保守点検作業の負担の軽減化をさらに図ることができる。
【0056】
なお、上記の例では、全体照明器具8が足場部材10に対して着脱可能になっているが、これに限定されず、足場部材10から外れないように全体照明器具8を足場部材10に取り付けてもよい。
【0057】
また、上記の例では、全体照明器具8が永久磁石の磁力によって足場部材10に着脱可能に取り付けられているが、これに限定されず、ねじ等の締結具によって全体照明器具8を足場部材10に着脱可能に取り付けてもよい。
【0058】
また、上記の例では、スポット照明器具9が足場部材10に対して着脱可能になっているが、これに限定されず、足場部材10から外れないようにスポット照明器具9を足場部材10に取り付けてもよい。
【0059】
また、上記の例では、スポット照明器具9が永久磁石の磁力によって足場部材10に着脱可能に取り付けられているが、これに限定されず、ねじ等の締結具によってスポット照明器具9を足場部材10に着脱可能に取り付けてもよい。
【0060】
また、上記の例では、スポット照明器具本体91が一対のスポット照明器具取付部92に対して回転自在になっているが、スポット照明器具取付部92にスポット照明器具本体91を固定してもよい。このようにしても、スポット照明器具本体91から出た光によって保守点検部分を照らすことができ、保守点検作業の負担の軽減化を図ることができる。
【0061】
また、上記の例では、角度調整用操作部93がスポット照明器具本体91と一体に回転自在になっているが、スポット照明器具本体91を直接操作することもできるので、角度調整用操作部93はなくてもよい。
【0062】
また、上記の例では、角度調整用操作部93の外周部に複数の溝93aが設けられることにより角度調整用操作部93の外周部が滑りにくくなっているが、これに限定されず、例えば角度調整用操作部93の外周部の材料をゴムにすることにより角度調整用操作部93の外周部を滑りにくくしてもよい。
【0063】
また、上記の例では、複数の第1のアングル材121と複数の第2のアングル材131とをスライド可能に組み合わせることにより足場部材10が伸縮可能になっているが、これに限定されず、第1及び第2の足場構成部12,13のそれぞれをパネルにし、第1及び第2の足場構成部12,13のそれぞれのパネルを互いにスライド可能に重ねて組み合わせることにより足場部材10を伸縮可能にしてもよい。
【0064】
また、上記の例では、LED光源912から出た光を通す透明又は半透明のカバーで遮光ケース911の開口部95を塞いでもよい。このようにすれば、開口部95から遮光ケース911内への異物の侵入を防止することができ、遮光ケース911内の機器を保護することができる。
【符号の説明】
【0065】
6 足場台、7 足場台本体、8 全体照明器具、9 スポット照明器具、10 足場部材、11 脚、81 全体照明器具本体、91 スポット照明器具本体、92 スポット照明器具取付部、93 角度調整用操作部、95 開口部、911 遮光ケース、912 LED光源(光源)。
図1
図2
図3
図4