特許第6887239号(P6887239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887239
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】電動機直結形液圧ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/02 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
   F04B9/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-227348(P2016-227348)
(22)【出願日】2016年11月23日
(65)【公開番号】特開2018-84185(P2018-84185A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】豊興工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三浦 惠史
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 佑亮
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−012797(JP,U)
【文献】 特開2001−248544(JP,A)
【文献】 特開昭63−256103(JP,A)
【文献】 特開平01−277691(JP,A)
【文献】 特開平3−199685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在な出力軸を軸方向一端側に突出する電動機と、軸方向一端側に突出した入力軸の回転駆動で液体を吸入吐出する液圧ポンプと、電動機と液圧ポンプとを連結するスペーサ部材と、スペーサ部材の内部に収容する連結部材とを備え、スペーサ部材は電動機を凹部と凸部でいんろう嵌合して連結すると共に、液圧ポンプを凹部と凸部でいんろう嵌合して連結し、連結部材はスペーサ部材にいんろう嵌合した電動機の出力軸と液圧ポンプの入力軸とを結合し、連結部材には出力軸と入力軸とを結合する結合部に充填室を形成し、充填室には結合部を潤滑する潤滑剤を充填し、潤滑剤は液圧ポンプが吸入吐出する液体としての作動油とし、この作動油を液圧ポンプの内部より充填室に充填する第1連通路を入力軸の内部に設け、充填室は出力軸と連結部材との結合部に形成した第1充填室と入力軸と連結部材との結合部に形成した第2充填室とで構成し、第1充填室と第2充填室との間を第2連通路で連通したことを特徴とする電動機直結形液圧ポンプ装置。
【請求項2】
前記出力軸は軸方向一端に第1キーを有し、前記連結部材の前記出力軸との前記結合部には、第1キーを嵌合する第1キー溝を有したことを特徴とする請求項1に記載の電動機直結形液圧ポンプ装置。
【請求項3】
前記入力軸は軸方向一端に第2キーを有し、前記連結部材の前記入力軸との前記結合部には、第2キーを嵌合する第2キー溝を有したことを特徴とする請求項1に記載の電動機直結形液圧ポンプ装置。
【請求項4】
前記入力軸は外周面に歯を形成するスプライン軸で、前記連結部材の前記入力軸との前記結合部には、スプライン軸の歯と噛合する歯溝を内周面に形成するスプライン穴を有したことを特徴とする請求項1に記載の電動機直結形液圧ポンプ装置。
【請求項5】
前記スペーサ部材は、被取付部材に固定する取付脚を有したことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の電動機直結形液圧ポンプ装置。
【請求項6】
前記取付脚は、前記スペーサ部材に着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項に記載の電動機直結形液圧ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧ポンプと電動機とを直結した電動機直結形液圧ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動機直結形液圧ポンプ装置は、電動機のフランジ部材には一端面に凹部を形成し、液圧ポンプのケーシングには一端面に凸部を形成し、電動機のフランジ部材の凹部に液圧ポンプのケーシングの凸部をいんろう嵌合し、電動機と液圧ポンプとを複数のボルト部材で締結して直結している。電動機の出力軸には、軸端より窪ませて挿入孔とキー溝を形成し、液圧ポンプの入力軸を電動機の出力軸の挿入孔に挿入し、入力軸に有するキーをキー溝に嵌合し、電動機の回転駆動力を液圧ポンプに伝達している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2559226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる従来の電動機直結形液圧ポンプ装置では、電動機の出力軸に液圧ポンプの入力軸を挿入するための挿入孔と入力軸に有するキーを嵌合するためのキー溝を形成した専用の電動機が必要で、さらに電動機を変更する場合にはそれぞれ専用の電動機が必要となるため、電動機の種類が増加して管理が煩雑になる問題点があった。
【0005】
本発明の課題は、液圧ポンプメーカの標準液圧ポンプを電動機メーカの標準電動機に結合可能で、専用の電動機を用意することなくし、電動機の種類を低減して管理の簡素化を図り得る電動機直結形液圧ポンプ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
回転自在な出力軸を軸方向一端側に突出する電動機と、軸方向一端側に突出した入力軸の回転駆動で液体を吸入吐出する液圧ポンプと、電動機と液圧ポンプとを連結するスペーサ部材と、スペーサ部材の内部に収容する連結部材とを備え、スペーサ部材は電動機を凹部と凸部でいんろう嵌合して連結すると共に、液圧ポンプを凹部と凸部でいんろう嵌合して連結し、連結部材はスペーサ部材にいんろう嵌合した電動機の出力軸と液圧ポンプの入力軸とを結合し、連結部材には出力軸と入力軸とを結合する結合部に充填室を形成し、充填室には結合部を潤滑する潤滑剤を充填し、潤滑剤は液圧ポンプが吸入吐出する液体としての作動油とし、この作動油を液圧ポンプの内部より充填室に充填する第1連通路を入力軸の内部に設け、充填室は出力軸と連結部材との結合部に形成した第1充填室と入力軸と連結部材との結合部に形成した第2充填室とで構成し、第1充填室と第2充填室との間を第2連通路で連通したことを特徴とする電動機直結形液圧ポンプ装置がそれである。
【0007】
この場合、前記出力軸は軸方向一端に第1キーを有し、前記連結部材の前記出力軸との前記結合部には、第1キーを嵌合する第1キー溝を有しても良い。また、前記入力軸は軸方向一端に第2キーを有し、前記連結部材の前記入力軸との前記結合部には、第2キーを嵌合する第2キー溝を有しても良い。また、前記入力軸は外周面に歯を形成するスプライン軸で、前記連結部材の前記入力軸との前記結合部には、スプライン軸の歯と噛合する歯溝を内周面に形成するスプライン穴を有しても良い。また、前記スペーサ部材は、被取付部材に固定する取付脚を有しても良い。また、前記取付脚は、前記スペーサ部材に着脱自在に取り付けても良い。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、スペーサ部材は電動機を凹部と凸部でいんろう嵌合して連結すると共に、液圧ポンプを凹部と凸部でいんろう嵌合して連結し、連結部材はスペーサ部材にいんろう嵌合した電動機の出力軸と液圧ポンプの入力軸とを結合した。このため、従来装置の如く、液圧ポンプに合わせて出力軸を加工した専用の電動機を準備する必要がなく、液圧ポンプメーカの標準液圧ポンプを電動機メーカの標準電動機に結合可能である。そして、電動機を変更する場合には、他の連結部材に変更することで、電動機メーカの標準電動機で対応でき、電動機の種類を低減して管理の簡素化を図ることができる。また、標準電動機に合わせて入力軸を加工した専用の液圧ポンプを使用することで、液圧ポンプを標準電動機に結合することも可能であるが、このものに比し、液圧ポンプもメーカの標準品で対応できるため、電動機の種類低減に加え、液圧ポンプの種類を低減でき、より一層管理の簡素化を図ることができる。
【0009】
また、請求項に記載の発明は、潤滑剤は液圧ポンプが吸入吐出する液体としての作動油とし、この作動油を液圧ポンプの内部より充填室に充填する連通路を入力軸の内部に設けた。このため、液圧ポンプの作動油を潤滑剤として流用できるから、格別に潤滑剤を用意する必要がなく、コストを低減できる。また、粘度の高いグリース等の潤滑剤を使用するものに比し、結合部を十分に作動油で油浸できるから、結合部のグリースの飛散等によって結合部のグリースが不足することで生じるフレッチング摩耗を抑制し、結合部の長寿命化を図ることができる。
【0011】
また、請求項に記載の発明は、出力軸は軸方向一端に第1キーを有し、連結部材の出力軸との結合部には、第1キーを嵌合する第1キー溝を有した。このため、第1キーを第1キー溝に嵌合して回転駆動力を伝達するから、結合部にはそれぞれ1つのキーとキー溝を設ければよく、結合部を容易に製作することができる。
【0012】
また、請求項に記載の発明は、入力軸は軸方向一端に第2キーを有し、連結部材の入力軸との結合部には、第2キーを嵌合する第2キー溝を有した。このため、第2キーを第2キー溝に嵌合して回転駆動力を伝達するから、結合部にはそれぞれ1つのキーとキー溝を設ければよく、結合部を容易に製作することができる。
【0013】
また、請求項に記載の発明は、入力軸は外周面に歯を形成するスプライン軸で、連結部材の入力軸との結合部には、スプライン軸の歯と噛合する歯溝を内周面に形成するスプライン穴を有した。このため、複数の歯と歯溝によって回転駆動力を伝達するから、荷重を受ける歯あたり面積を大きくでき、結合部の長寿命化を図ることができる。
【0014】
また、請求項に記載の発明は、スペーサ部材は、被取付部材に固定する取付脚を有している。このため、電動機と液圧ポンプとを連結するスペーサ部材に被取付部材へ固定する取付脚を有しているから、被取付部材に容易に固定できる。
【0015】
また、請求項に記載の発明は、取付脚は、スペーサ部材に着脱自在に取り付けている。このため、スペーサ部材を電動機および液圧ポンプから取り外すことなく、取付脚を取り外しできるから、取付脚による固定を簡単に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を示し、電動機直結形液圧ポンプ装置の一部を断面で示した正面図である。
図2】他の実施形態を示した電動機直結形液圧ポンプ装置の一部を断面で示した正面図である。
図3】さらに他の実施形態を示した電動機直結形液圧ポンプ装置の一部を断面で示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1において、1は電動機で、円筒状の電動機ケーシング2の軸方向一端側にフランジ部材3を設けると共に、電動機ケーシング2の軸方向他端側にカバー4を設けている。フランジ部材3は軸方向一端側に円柱状の第1凸部3Aを形成している。5は電動機ケーシング2の内部に回転自在に設けた出力軸で、軸端を外方に突出している。出力軸5は軸方向一端に第1キー5Aを有する。6は図示しない外部電源からの動力線を電動機1に電気接続する端子箱で、電動機ケーシング2の外周面に固定して取り付けている。
【0018】
7は液圧ポンプで、内部に回転自在に軸支した入力軸8を液圧ポンプケーシング9の軸方向一端側に突出し、入力軸8の回転駆動で液体を吸入吐出する。液圧ポンプ7は入力軸8が突出する液圧ポンプケーシング9の一端面に第2凸部9Aを形成している。10は入力軸8の軸心に穿設した第1連通路で、軸方向一端に開口し、液圧ポンプ7の内部に連通する。入力軸8は軸方向一端に第2キー8Aを有する。11は軸受で、内輪を入力軸8に嵌合する。12は入力軸8に嵌合したオイルシールで、液圧ポンプ7内の液体を液密的に封止している。
【0019】
13は電動機1と液圧ポンプ7とを連結するスペーサ部材で、略直方体で図1の紙面垂直方向を開口した中空形状である。スペーサ部材13は電動機1に対向する一端面13Aに凹部としての第1貫通孔14Aを貫通形成し、液圧ポンプ7に対向する他端面13Bに凹部としての第2貫通孔14Bを貫通形成しており、第1貫通孔14Aと第2貫通孔14Bとは同軸心上に位置している。
【0020】
15はスペーサ部材13の内部に収容する円筒形状の連結部材で、軸方向一端側には電動機1に対向して出力軸5を軸封して嵌合する第1軸封部材16Aを着脱自在に有すると共に、軸方向他端側には液圧ポンプ7に対向して入力軸8を軸封して嵌合する第2軸封部材16Bを着脱自在に有している。連結部材15には第1軸封部材16Aの軸方向奥側に連設して出力軸5を挿入する第1挿入孔17Aを形成すると共に、第2軸封部材16Bに連設して入力軸8を挿入する第2挿入孔17Bを形成している。第1挿入孔17Aには周方向の一部を窪ませて出力軸5に有する第1キー5Aを嵌合する第1キー溝18Aを形成し、第1キー5Aと第1キー溝18Aとで出力軸5と連結部材15との結合部を構成している。第2挿入孔17Bには周方向の一部を窪ませて入力軸8に有する第2キー8Aを嵌合する第2キー溝18Bを形成し、第2キー8Aと第2キー溝18Bとで入力軸8と連結部材15との結合部を構成している。そして、連結部材15は図示しないボルト部材で出力軸5および入力軸8に固定して、軸方向への移動を規制している。
【0021】
19Aは出力軸5と連結部材15との結合部に形成した第1充填室で、出力軸5の軸方向奥側に出力軸5、第1キー5A、第1挿入孔17A、第1キー溝18Aで区画形成している。19Bは入力軸8と連結部材15との結合部に形成した第2充填室で、入力軸8の軸方向奥側に入力軸8、第2キー8A、第2挿入孔17B、第2キー溝18Bで区画形成している。20は第1充填室19Aと第2充填室19Bとの間を連通する第2連通路である。第2充填室19Bには、液圧ポンプ7の作動油(ドレン)を潤滑剤として第1連通路10より充填し、入力軸8と連結部材15との結合部を潤滑する。第1充填室19Aには、第2充填室19Bに充填した液圧ポンプ7の作動油(ドレン)を第2連通路20より充填し、出力軸5と連結部材15との結合部を潤滑する。そして、第1充填室19Aと第2充填室19Bとで、出力軸5と入力軸8とを結合する結合部に形成する充填室19を構成している。
【0022】
スペーサ部材13に、電動機1と液圧ポンプ7とを連結する順序は、次のとおりである。
(1)第一貫通孔14Aにフランジ部材3の第1凸部3Aをいんろう嵌合し、スペーサ部材13に図示しないボルト部材で電動機1を連結する。
(2)出力軸5に第1軸封部材16Aを嵌合し、この後、第1キー5Aを取付ける。
(3)出力軸5を第1挿入孔17Aに挿入すると共に、第1キー5Aを第1キー溝18Aに嵌合して、第1軸封部材16Aに連結部材15を装着する。
(4)液圧ポンプ7の入力軸8に第2軸封部材16Bを嵌合し、この後、第2キー8Aを取付ける。
(5)液圧ポンプ7の第2凸部9Aを、スペーサ部材13の第2貫通孔14Bにいんろう嵌合し、入力軸8を第1挿入孔17Bに挿入すると共に、第2キー8Aを第2キー溝18Bに嵌合して、第2軸封部材16Bを連結部材15に装着する。
これにより、出力軸5より入力軸8に回転駆動力を伝達する。
なお、前述と連結する順序を逆にして、液圧ポンプ7をスペーサ部材13に連結した後、電動機1をスペーサ部材13に連結してもよい。
【0023】
21は電動機直結形液圧ポンプ装置を図示しない被取付部材に固定する取付脚で、スペーサ部材13の下方にボルト部材22で着脱自在に取り付けている。
【0024】
次に、かかる構成の作動を説明する。
図1に示す状態で、電動機1を通電すると、出力軸5が回転して連結部材15を介して入力軸8を回転駆動し、液圧ポンプ7はポンプ作動して作動油を吸入吐出する。そして、電動機1を非通電にすると、出力軸5の回転が止まり、液圧ポンプ7はポンプ作動を停止する。
【0025】
かかる作動において、スペーサ部材13は電動機1を第1貫通孔14Aとフランジ部材3の第1凸部3Aでいんろう嵌合して連結すると共に、液圧ポンプ7を第1貫通孔14Bと液圧ポンプ7の第2凸部9Aでいんろう嵌合して連結し、連結部材15はスペーサ部材13にいんろう嵌合した電動機1の出力軸5と液圧ポンプ7の入力軸8とを結合した。このため、従来装置の如く、液圧ポンプに合わせて出力軸を加工した専用の電動機を準備する必要がなく、液圧ポンプメーカの標準液圧ポンプを電動機メーカの標準電動機に結合可能である。そして、電動機を変更する場合には、電動機の出力軸に対応する結合部を有する他の連結部材に変更することで、電動機メーカの標準電動機で対応でき、電動機の種類を低減して管理の簡素化を図ることができる。また、標準電動機に合わせて入力軸を加工した専用の液圧ポンプを使用することで、液圧ポンプを標準電動機に結合することも可能であるが、このものに比し、液圧ポンプもメーカの標準品で対応できるため、電動機の種類低減に加え、液圧ポンプの種類を低減でき、より一層管理の簡素化を図ることができる。
【0026】
また、潤滑剤は液圧ポンプ7の作動油とし、この作動油を液圧ポンプ7の内部より充填室19に充填する第1連通路10を入力軸8の軸心に設けた。このため、液圧ポンプ7の作動油を充填室19に充填して潤滑剤として流用できるから、格別に潤滑剤を用意する必要がなく、コストを低減できる。また、粘度の高いグリース等の潤滑剤を使用するものに比し、連結部材15と出力軸5の結合部および連結部材15と入力軸8の結合部を十分に作動油で油浸できるから、結合部のグリースの飛散等によって結合部のグリースが不足することで生じるフレッチング摩耗を抑制し、結合部の長寿命化を図ることができる。
【0027】
また、出力軸5は軸方向一端に第1キー5Aを有し、連結部材15の出力軸5との結合部には、第1キー5Aを嵌合する第1キー溝18Aを有した。このため、第1キー5Aを第1キー溝18Aに嵌合して回転駆動力を伝達するから、結合部にはそれぞれ1つのキーとキー溝を設ければよく、結合部を容易に製作することができる。
【0028】
また、入力軸8は軸方向一端に第2キー8Aを有し、連結部材15の入力軸8との結合部には、第2キー8Aを嵌合する第2キー溝18Aを有した。このため、第2キー8Aを第2キー溝18Bに嵌合して回転駆動力を伝達するから、結合部にはそれぞれ1つのキーとキー溝を設ければよく、結合部を容易に製作することができる。
【0029】
また、スペーサ部材13は、被取付部材に固定する取付脚21を有している。このため、電動機1と液圧ポンプ7とを連結するスペーサ部材13に被取付部材へ固定する取付脚21を有しているから、被取付部材に容易に固定できる。
【0030】
また、取付脚21は、スペーサ部材13に着脱自在に取り付けている。このため、スペーサ部材13を電動機1および液圧ポンプ7から取り外すことなく、取付脚21を取り外しできるから、取付脚21による固定を簡単に変更することができる。
【0031】
図2は本発明の他の実施形態を示し、一実施形態と同一個所には同符号を付して説明を省略し、異なる個所についてのみ説明する。
23は第1充填室19Aに連通する充填孔で、連結部材15の径方向一端に開口している。24は潤滑剤としてのグリースを充填室19に充填する充填部材で、充填孔23に螺合して連結部材15に取付けている。充填部材24は連結部材15の外部から第1充填室19Aへのグリースの流れを許容し、第1潤滑室19Aから連結部材15の外部への流れを阻止する。第1充填室19Aには、充填部材24よりグリースを充填し、出力軸5と連結部材15との結合部を潤滑する。第2充填室19Bには、第1潤滑室19Aに充填したグリースを第2連通路20より充填し、入力軸8と連結部材15との結合部を潤滑する。
【0032】
作動は、電動機1で液圧ポンプ7を回転駆動し、作動油を吸入吐出する。
この作動で、一実施形態と略同様に、液圧ポンプメーカの標準液圧ポンプを電動機メーカの標準電動機に結合可能で、専用の電動機を用意することなくし、電動機の種類を低減して管理の簡素化を図ることができる。また、液圧ポンプもメーカの標準品で対応できるため、電動機の種類低減に加え、液圧ポンプの種類を低減でき、より一層管理の簡素化を図ることができる。また、一実施形態と略同様に、第1キー5Aを第1キー溝18Aに嵌合して回転駆動力を伝達するから、結合部にはそれぞれ1つのキーとキー溝を設ければよく、結合部を容易に製作することができる。また、一実施形態と略同様に、第2キー8Aを第2キー溝18Bに嵌合して回転駆動力を伝達するから、結合部にはそれぞれ1つのキーとキー溝を設ければよく、結合部を容易に製作することができる。また、一実施形態と略同様に、電動機1と液圧ポンプ7とを連結するスペーサ部材13に被取付部材へ固定する取付脚21を有しているから、被取付部材に容易に固定できる。また、一実施形態と略同様に、スペーサ部材13を電動機1および液圧ポンプ7から取り外すことなく、取付脚21を取り外しできるから、取付脚21による固定を簡単に変更することができる。
【0033】
さらにまた、グリースを充填室19に充填する充填部材24を連結部材15に設けた。このため、電動機1と液圧ポンプ7を連結した後に連結部材15の外部からグリースを充填できるから、充填室19にグリースを充填してから電動機1と液圧ポンプ7を連結するものに比し、組立を容易にできる。また、分解することなく、必要に応じてグリースを充填室19に補充することができるから、保守管理を容易にできる。
【0034】
図3は本発明のさらに他の実施形態を示し、一実施形態と同一個所には同符号を付して説明を省略し、異なる個所についてのみ説明する。
図1の第2キー8Aを有する入力軸8に替えて、入力軸としてのスプライン軸25を設けた。入力軸25は軸方向一端の外周面に複数の歯25Aを形成している。さらに、図1の連結部材15に形成した第2挿入孔17Bに替えて、連結部材15にスプライン穴26を設けた。スプライン穴26は入力軸25の歯25Aに噛合する複数の歯溝26Aを内周面に形成している。そして、複数の歯25Aと歯溝26Aとで入力軸25と連結部材15との結合部を構成している。
【0035】
作動は、電動機1で液圧ポンプ7を回転駆動し、作動油を吸入吐出する。
この作動で、一実施形態と略同様に、液圧ポンプメーカの標準液圧ポンプを電動機メーカの標準電動機に結合可能で、専用の電動機を用意することなくし、電動機の種類を低減して管理の簡素化を図ることができる。また、液圧ポンプもメーカの標準品で対応できるため、電動機の種類低減に加え、液圧ポンプの種類を低減でき、より一層管理の簡素化を図ることができる。また、一実施形態と略同様に、第1キー5Aを第1キー溝18Aに嵌合して回転駆動力を伝達するから、結合部にはそれぞれ1つのキーとキー溝のみを設ければよく、結合部を容易に製作することができる。また、一実施形態と略同様に、電動機1と液圧ポンプ7とを連結するスペーサ部材13に被取付部材へ固定する取付脚21を有しているから、被取付部材に容易に固定できる。また、一実施形態と略同様に、スペーサ部材13を電動機1および液圧ポンプ7から取り外すことなく、取付脚21を取り外しできるから、取付脚21による固定を簡単に変更することができる。
【0036】
さらにまた、入力軸25は外周面に複数の歯25Aを形成するスプライン軸で、連結部材15の入力軸25との結合部には、スプライン軸と噛合する複数の歯溝26Aを内周面に形成するスプライン穴26を有した。このため、複数の歯25Aと歯溝26Aによって回転駆動力を伝達するから、荷重を受ける歯あたり面積を大きくでき、結合部の長寿命化を図ることができる。
【0037】
なお、前述の各実施形態では、取付脚21はスペーサ部材13に着脱自在に取り付けたが、スペーサ部材13と一体としてもよい。また、連結部材15は図示しないボルト部材で出力軸5と入力軸8に固定して軸方向への移動を規制したが、出力軸5と入力軸8に段部を形成し、出力軸5の段部で第1軸封部材16Aを受けると共に、入力軸8の段部で第2軸封部材16Bを受けて、軸方向への移動を規制してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
1:電動機
3A:第1凸部
5:出力軸
5A:第1キー
7:液圧ポンプ
8:入力軸
8A: 第2キー
9A:第2凸部
10:第1連通路
13:スペーサ部材
14A:第1貫通孔
14B:第2貫通孔
15:連結部材
18A:第1キー溝
18B:第2キー溝
19:充填室
21:取付脚
24:充填部材
25:入力軸
25A:歯
26:スプライン穴
26A:歯溝
図1
図2
図3