特許第6887241号(P6887241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6887241貨幣処理システム、貨幣処理装置、および、貨幣処理システムにおける情報連携方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887241
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】貨幣処理システム、貨幣処理装置、および、貨幣処理システムにおける情報連携方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20210603BHJP
【FI】
   G06Q40/02
【請求項の数】12
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-235561(P2016-235561)
(22)【出願日】2016年12月5日
(65)【公開番号】特開2018-92387(P2018-92387A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松野 信次郎
(72)【発明者】
【氏名】弘瀬 正樹
【審査官】 菊池 伸郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−027693(JP,A)
【文献】 特開2015−176551(JP,A)
【文献】 特開2010−122891(JP,A)
【文献】 特開2012−248059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1拠点に設置された貨幣処理装置と、
前記第1拠点と異なる第2拠点に設置され、前記貨幣処理装置と通信可能な外部装置とを備え、
前記貨幣処理装置は、
伝達する情報内容を少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶する記憶部と、
前記情報連携データベースに登録された伝達情報データを、通信インターフェース部を介して、前記外部装置に送信する制御部とを備え、
前記外部装置は、
前記貨幣処理装置から送信された伝達情報データを、第2通信インターフェース部を介して受信し、受信した伝達情報データに含まれた情報内容を、出力部を介して出力する第2制御部を備え
前記伝達情報データは、当該情報内容を伝達すべき対象拠点を特定する対象拠点条件を含み、
前記制御部は、前記情報連携データベースの中から、前記第2拠点が対象拠点条件を満たす伝達情報データを特定し、この伝達情報データを、前記外部装置に送信する
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
第1拠点に設置された貨幣処理装置と、
前記第1拠点と異なる第2拠点に設置され、前記貨幣処理装置と通信可能な外部装置とを備え、
前記貨幣処理装置は、
伝達する情報内容を少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶する記憶部と、
前記情報連携データベースに登録された伝達情報データを、通信インターフェース部を介して、前記外部装置に送信する制御部とを備え、
前記外部装置は、
前記貨幣処理装置から送信された伝達情報データを、第2通信インターフェース部を介して受信し、受信した伝達情報データに含まれた情報内容を、出力部を介して出力する第2制御部を備え
前記伝達情報データは、当該情報内容を伝達すべき対象者を特定する対象者条件を含み、
前記外部装置は、
受信された伝達情報データを保存するための第2記憶部を備え、
前記第2制御部は、前記第2記憶部に保存された伝達情報データの中から、当該外部装置の操作者が対象者条件を満たす伝達情報データを特定し、この伝達情報データに含まれた情報内容を、出力情報として決定する
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項3】
第1拠点に設置された貨幣処理装置と、
前記第1拠点と異なる第2拠点に設置され、前記貨幣処理装置と通信可能な外部装置とを備え、
前記貨幣処理装置は、
伝達する情報内容を少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶する記憶部と、
前記情報連携データベースに登録された伝達情報データを、通信インターフェース部を介して、前記外部装置に送信する制御部とを備え、
前記外部装置は、
前記貨幣処理装置から送信された伝達情報データを、第2通信インターフェース部を介して受信し、受信した伝達情報データに含まれた情報内容を、出力部を介して出力する第2制御部を備え
前記外部装置は、第2貨幣処理装置であり、
前記第2貨幣処理装置は、前記出力部として、貨幣処理に関する情報を表示する第2表示部を備える
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項記載の貨幣処理システムにおいて、
前記貨幣処理装置は、
貨幣処理に関する情報を表示する表示部と、
操作者が当該貨幣処理装置の操作を行うための操作部とを備え、
前記制御部は、伝達情報データを入力する情報登録画面を前記表示部に表示し、前記操作部を介した操作によって入力された伝達情報データを、前記情報連携データベースに登録する
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項5】
請求項4記載の貨幣処理システムにおいて、
前記制御部は、前記情報登録画面において、操作者が、所定操作における画面遷移に関するデータ、または、当該貨幣処理装置が取得した貨幣の画像データを、伝達情報データに添付可能にする
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項6】
請求項3記載の貨幣処理システムにおいて、
前記伝達情報データは、貨幣処理装置において行われる所定処理に関する情報を前記情報内容として含むとともに、前記所定処理の実行指示を含み、
前記第2制御部は、
前記実行指示に従って、当該第2貨幣処理装置において前記所定処理が実行された場合に、この実行結果を、前記第2通信インターフェース部を介して、前記貨幣処理装置に返信する
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項7】
請求項6記載の貨幣処理システムにおいて、
前記所定処理は、精査処理またはデータクリア処理を含む
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項8】
請求項3記載の貨幣処理システムにおいて、
前記伝達情報データは、貨幣処理装置において行われる所定処理に関する情報を前記情報内容として含むとともに、貨幣処理装置において前記所定処理を再現させるための再現情報を含み、
前記第2制御部は、
前記再現情報を用いて、前記第2貨幣処理装置において、前記所定処理を再現させる
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項9】
異なる拠点に設置された他の貨幣処理装置と通信可能に構成された貨幣処理装置であって、
伝達する情報内容を少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶する記憶部と、
前記情報連携データベースに登録された伝達情報データを、通信インターフェース部を介して、前記他の貨幣処理装置に送信し、かつ、前記他の貨幣処理装置から送信された伝達情報データを、前記通信インターフェース部を介して受信し、受信した伝達情報に含まれた情報内容を、貨幣処理に関する情報を表示する表示部を介して出力する制御部とを備えた
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項10】
第1拠点に設置された貨幣処理装置と、前記第1拠点と異なる第2拠点に設置され、前記貨幣処理装置と通信可能な外部装置とを備えた貨幣処理システムにおいて、情報連携を行う方法であって、
前記貨幣処理装置が、
伝達する情報内容と、当該情報内容を伝達すべき対象拠点を特定する対象拠点条件とを少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶しており、
前記情報連携データベースの中から、前記第2拠点が対象拠点条件を満たす伝達情報データを特定し、この伝達情報データを、前記外部装置に送信し、
前記情報連携データベースに登録された伝達情報データを、前記外部装置に送信し、
前記外部装置が、
前記貨幣処理装置から送信された伝達情報データを受信し、
受信した伝達情報データに含まれた情報内容を、出力する
ことを特徴とする情報連携方法。
【請求項11】
第1拠点に設置された貨幣処理装置と、前記第1拠点と異なる第2拠点に設置され、前記貨幣処理装置と通信可能な外部装置とを備えた貨幣処理システムにおいて、情報連携を行う方法であって、
前記貨幣処理装置が、
伝達する情報内容と、当該情報内容を伝達すべき対象者を特定する対象者条件とを少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶しており、
前記情報連携データベースに登録された伝達情報データを、前記外部装置に送信し、
前記外部装置が、
前記貨幣処理装置から送信された伝達情報データを受信し、
受信した伝達情報データを記憶部に保存し、
前記記憶部に保存された伝達情報データの中から、当該外部装置の操作者が対象者条件を満たす伝達情報データを特定し、この伝達情報データに含まれた情報内容を、出力する
ことを特徴とする情報連携方法。
【請求項12】
第1拠点に設置された貨幣処理装置と、前記第1拠点と異なる第2拠点に設置され、前記貨幣処理装置と通信可能な第2貨幣処理装置とを備えた貨幣処理システムにおいて、情報連携を行う方法であって、
前記貨幣処理装置が、
伝達する情報内容を少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶しており、
前記情報連携データベースに登録された伝達情報データを、前記第2貨幣処理装置に送信し、
前記第2貨幣処理装置が、
前記貨幣処理装置から送信された伝達情報データを受信し、
受信した伝達情報データに含まれた情報内容を、貨幣処理に関する情報を表示する表示部に、出力する
ことを特徴とする情報連携方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、金融機関の店舗等において貨幣を処理する貨幣処理装置および貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行等の金融機関の店舗では、店舗内の貨幣等を管理するための貨幣処理システムが利用されている。この貨幣処理システムでは、各貨幣処理装置に紙幣や硬貨が入出金されると、その金種、正損、真偽等の識別結果に基づいて、貨幣の金額や枚数等のデータが管理される。
【0003】
また、金融機関では、本店と支店との間や支店同士の間等において、情報を共有する必要がある場合が多い。例えば本店から各支店へ、「本日、自動精査処理を行う」といった情報を適切に伝達する必要がある。
【0004】
特許文献1には、情報共有システムが開示されている。この情報共有システムは、運営本部内に設置される情報共有サーバ装置および運営本部端末装置と、各店舗に設置される店舗端末装置を有している。例えば店舗端末装置からの要求に応じて、情報共有サーバ装置が、店舗での陳列状況に関する報告情報を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−58036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に開示された情報共有システムでは、各店舗に情報共有専用の店舗端末装置を設置する必要がある。このため、コストがかかるとともに、装置の設置スペースが別途必要になる。また、各店舗の勤務者は店舗端末装置の操作を習得する必要があり、また装置のメンテナンスが別途必要になるため、システムの維持管理が煩わしいという問題もある。
【0007】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、複数の店舗等の間における情報連携を、コストアップを招くことなく、容易に実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示する技術は、貨幣処理システムであって、第1拠点に設置された貨幣処理装置と、前記第1拠点と異なる第2拠点に設置され、前記貨幣処理装置と通信可能な外部装置とを備え、前記貨幣処理装置は、伝達する情報内容を少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶する記憶部と、前記情報連携データベースに登録された伝達情報データを、通信インターフェース部を介して、前記外部装置に送信する制御部とを備え、前記外部装置は、前記貨幣処理装置から送信された伝達情報データを、第2通信インターフェース部を介して受信し、受信した伝達情報データに含まれた情報内容を、出力部を介して出力する第2制御部とを備える。
【0009】
そして、前記伝達情報データは、当該情報内容を伝達すべき対象拠点を特定する対象拠点条件を含み、前記制御部は、前記情報連携データベースの中から、前記第2拠点が対象拠点条件を満たす伝達情報データを特定し、この伝達情報データを、前記外部装置に送信する。あるいは、前記伝達情報データは、当該情報内容を伝達すべき対象者を特定する対象者条件を含み、前記外部装置は、受信された伝達情報データを保存するための第2記憶部を備え、前記第2制御部は、前記第2記憶部に保存された伝達情報データの中から、当該外部装置の操作者が対象者条件を満たす伝達情報データを特定し、この伝達情報データに含まれた情報内容を、出力情報として決定する。あるいは、前記外部装置は、第2貨幣処理装置であり、前記第2貨幣処理装置は、前記出力部として、貨幣処理に関する情報を表示する第2表示部を備える。
【0010】
この構成によると、第1拠点に設置された貨幣処理装置は、情報連携データベースに登録された伝達情報データを、別の第2拠点に設置された外部装置に送信する。外部装置は、貨幣処理装置から送信された伝達情報データを受信し、これに含まれた情報内容を出力する。これにより、貨幣処理システムによって、第1拠点から第2拠点に情報を伝達することができる。したがって、複数の店舗等の間における情報連携を、コストアップを招くことなく、容易に実現することができる。
【0011】
加えて、所望の対象拠点に、情報を送信することができる。あるいは、外部装置において、所望の対象者に対して、情報を提示することができる。あるいは、第2拠点に設置された貨幣処理装置において、貨幣処理に関する情報を表示する第2表示部を介して、情報を提示することができる。
【0012】
そして、上述の貨幣処理システムおいて、前記貨幣処理装置は、貨幣処理に関する情報を表示する表示部と、操作者が当該貨幣処理装置の操作を行うための操作部とを備え、前記制御部は、伝達情報データを入力する情報登録画面を前記表示部に表示し、前記操作部を介した操作によって入力された伝達情報データを、前記情報連携データベースに登録する、としてもよい。
【0013】
これにより、貨幣処理装置において、貨幣処理に関する情報を表示する表示部と、操作者が当該貨幣処理装置の操作を行うための操作部とを用いて、伝達情報データを登録することができる。
【0014】
そして、前記制御部は、前記情報登録画面において、操作者が、所定操作における画面遷移に関するデータ、または、当該貨幣処理装置が取得した貨幣の画像データを、伝達情報データに添付可能にする、としてもよい。
【0015】
これにより、伝達情報データに、所定操作における画面遷移に関するデータや、当該貨幣処理装置が取得した貨幣の画像データを、容易に含めることができる。
【0016】
そして、前記伝達情報データは、貨幣処理装置において行われる所定処理に関する情報を前記情報内容として含むとともに、前記所定処理の実行指示を含み、前記第2制御部は、前記実行指示に従って、当該第2貨幣処理装置において前記所定処理が実行された場合に、この実行結果を、前記第2通信インターフェース部を介して、前記貨幣処理装置に返信する、としてもよい。そして、前記所定処理は、精査処理またはデータクリア処理を含む、としてもよい。
【0017】
これにより、第1拠点に設置された貨幣処理装置は、貨幣処理装置において行われる所定処理に関する情報(実行指示)を第2拠点に設置された貨幣処理装置に送信し、第2拠点に設置された貨幣処理装置から、この所定処理の実行結果を受信することができる。
【0018】
また、前記伝達情報データは、貨幣処理装置において行われる所定処理に関する情報を前記情報内容として含むとともに、貨幣処理装置において前記所定処理を再現させるための再現情報を含み、前記第2制御部は、前記再現情報を用いて、前記第2貨幣処理装置において、前記所定処理を再現させる、としてもよい。
【0019】
これにより、第1拠点に設置された貨幣処理装置は、貨幣処理装置において行われる所定処理に関する情報を第2拠点に設置された貨幣処理装置に送信し、第2拠点に設置された貨幣処理装置は、受信した再現情報を用いて、所定処理を再現させることができる。
【0020】
また、ここに開示する技術は、異なる拠点に設置された他の貨幣処理装置と通信可能に構成された貨幣処理装置であって、伝達する情報内容を少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶する記憶部と、前記情報連携データベースに登録された伝達情報データを、通信インターフェース部を介して、前記他の貨幣処理装置に送信し、かつ、前記他の貨幣処理装置から送信された伝達情報データを、前記通信インターフェース部を介して受信し、受信した伝達情報に含まれた情報内容を、貨幣処理に関する情報を表示する表示部を介して出力する制御部とを備える。
【0021】
この構成によると、貨幣処理装置は、情報連携データベースに登録された伝達情報データを、異なる拠点に設置された他の貨幣処理装置に送信する。これにより、貨幣処理システムによって、異なる拠点に向けて情報を伝達することができる。したがって、複数の店舗等の間における情報連携を、コストアップを招くことなく、容易に実現することができる。また、異なる拠点に設置された他の貨幣処理装置から送信された伝達情報データについて、貨幣処理に関する情報を表示する表示部を介して、その情報内容を提示することができる。
【0022】
また、ここに開示する技術は、第1拠点に設置された貨幣処理装置と、前記第1拠点と異なる第2拠点に設置され、前記貨幣処理装置と通信可能な外部装置とを備えた貨幣処理システムにおいて、情報連携を行う方法であって、前記貨幣処理装置が、伝達する情報内容と、当該情報内容を伝達すべき対象拠点を特定する対象拠点条件とを少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶しており、前記情報連携データベースの中から、前記第2拠点が対象拠点条件を満たす伝達情報データを特定し、この伝達情報データを、前記外部装置に送信し、前記外部装置が、前記貨幣処理装置から送信された伝達情報データを受信し、受信した伝達情報データに含まれた情報内容を、出力する。
【0023】
この構成によると、第1拠点に設置された貨幣処理装置は、情報連携データベースに登録された伝達情報データを、別の第2拠点に設置された外部装置に送信する。外部装置は、貨幣処理装置から送信された伝達情報データを受信し、これに含まれた情報内容を出力する。これにより、貨幣処理システムによって、第1拠点から第2拠点に情報を伝達することができる。したがって、複数の店舗等の間における情報連携を、コストアップを招くことなく、容易に実現することができる。加えて、伝達情報データは当該情報内容を伝達すべき対象拠点を特定する対象拠点条件を含み、第2拠点が対象拠点条件を満たす伝達情報データが特定され、外部装置に送信されるので、所望の対象拠点に、情報を送信することができる。
【0024】
また、ここに開示する技術は、第1拠点に設置された貨幣処理装置と、前記第1拠点と異なる第2拠点に設置され、前記貨幣処理装置と通信可能な外部装置とを備えた貨幣処理システムにおいて、情報連携を行う方法であって、前記貨幣処理装置が、伝達する情報内容と、当該情報内容を伝達すべき対象者を特定する対象者条件とを少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶しており、前記情報連携データベースに登録された伝達情報データを、前記外部装置に送信し、前記外部装置が、前記貨幣処理装置から送信された伝達情報データを受信し、受信した伝達情報データを記憶部に保存し、前記記憶部に保存された伝達情報データの中から、当該外部装置の操作者が対象者条件を満たす伝達情報データを特定し、この伝達情報データに含まれた情報内容を、出力する。
【0025】
この構成によると、第1拠点に設置された貨幣処理装置は、情報連携データベースに登録された伝達情報データを、別の第2拠点に設置された外部装置に送信する。外部装置は、貨幣処理装置から送信された伝達情報データを受信し、これに含まれた情報内容を出力する。これにより、貨幣処理システムによって、第1拠点から第2拠点に情報を伝達することができる。したがって、複数の店舗等の間における情報連携を、コストアップを招くことなく、容易に実現することができる。加えて、伝達情報データは当該情報内容を伝達すべき対象者を特定する対象者条件を含み、外部装置は、受信した伝達情報データの中から、当該外部装置の操作者が対象者条件を満たす伝達情報データを特定し、この伝達情報データに含まれた情報内容を出力するので、外部装置において、所望の対象者に対して、情報を提示することができる。
【0026】
また、ここに開示する技術は、第1拠点に設置された貨幣処理装置と、前記第1拠点と異なる第2拠点に設置され、前記貨幣処理装置と通信可能な第2貨幣処理装置とを備えた貨幣処理システムにおいて、情報連携を行う方法であって、前記貨幣処理装置が、伝達する情報内容を少なくとも含む伝達情報データが登録される情報連携データベースを、記憶しており、前記情報連携データベースに登録された伝達情報データを、前記第2貨幣処理装置に送信し、前記第2貨幣処理装置が、前記貨幣処理装置から送信された伝達情報データを受信し、受信した伝達情報データに含まれた情報内容を、貨幣処理に関する情報を表示する表示部に、出力する。
【0027】
この構成によると、第1拠点に設置された貨幣処理装置は、情報連携データベースに登録された伝達情報データを、別の第2拠点に設置された第2貨幣処理装置に送信する。第2貨幣処理装置は、貨幣処理装置から送信された伝達情報データを受信し、これに含まれた情報内容を出力する。これにより、貨幣処理システムによって、第1拠点から第2拠点に情報を伝達することができる。したがって、複数の店舗等の間における情報連携を、コストアップを招くことなく、容易に実現することができる。加えて、第2拠点に設置された第2貨幣処理装置において、貨幣処理に関する情報を表示する第2表示部を介して、情報を提示することができる。
【発明の効果】
【0028】
本開示によると、貨幣処理システムによって、異なる拠点間で情報を伝達することができる。したがって、複数の店舗等の間における情報連携を、コストアップを招くことなく、容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態に係る貨幣処理システムの全体構成図
図2】実施形態に係る貨幣処理装置の機能構成を示すブロック図
図3】第1実施形態における情報登録処理の一例を示すフローチャート
図4】(a),(b)は情報登録処理における画面例
図5】第1実施形態における情報閲覧処理の一例を示すフローチャート
図6】(a)(b)は情報閲覧処理における画面例
図7】(a)〜(c)は第2実施形態における画面例
図8】第3実施形態における画面例
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
以下の説明では、貨幣処理装置の一例として、オープン出納システムを例にとって説明を行う。ただし、以下の説明は、例示である。このオープン出納システムは、例えば銀行等の金融機関に設置され、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行する装置である。なお、ここに開示する貨幣処理システムは、金融機関に設置する以外の用途にも用いることが可能である。
【0032】
(第1実施形態)
<貨幣処理システムの全体構成>
図1は実施形態に係る貨幣処理システムの全体構成を示す図である。図1の構成では、支店Aにおいて、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行する貨幣処理装置1と、支店A内の貨幣処理全般を管理する管理コンピュータ13とが、店内のネットワーク12に接続されている。また、監視カメラ11がネットワーク12に接続されており、監視カメラ11の撮像画像が管理コンピュータ13に保存可能になっている。管理コンピュータ13は、例えば管理責任者が有するタブレット14Aやスマートフォン14B等の携帯端末と通信可能になっている。
【0033】
貨幣処理装置1は、紙幣を処理する紙幣処理機100と、硬貨を処理する硬貨処理機110と、紙幣や小切手等の有価媒体を処理する有価媒体処理機120とを備えている。また、プリンタ130と、操作表示部140とが、硬貨処理機110の上に設けられている。操作表示部140は例えばタッチパネル等から構成されており、貨幣処理装置1における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置1に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示する。また、操作者は操作表示部140を介して、貨幣処理装置1に対して様々な操作を行うことができる。プリンタ130は、貨幣処理装置1における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置1に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシート等に印刷する。また、図示は省略するが、操作者のIDカードを読み取るためのカードリーダが設けられている。
【0034】
また、支店Bにおいて、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行する貨幣処理装置2と、支店B内の貨幣処理全般を管理する管理コンピュータ23とが、店内のネットワーク22に接続されている。また、監視カメラ21がネットワーク22に接続されており、監視カメラ21の撮像画像が管理コンピュータ23に保存可能になっている。管理コンピュータ23は、例えば管理責任者が有するタブレット24Aやスマートフォン24B等の携帯端末と通信可能になっている。
【0035】
貨幣処理装置2は、紙幣を処理する紙幣処理機200と、硬貨を処理する硬貨処理機210と、紙幣や小切手等の有価媒体を処理する有価媒体処理機220とを備えている。また、プリンタ230と、操作表示部240とが、硬貨処理機210の上に設けられている。操作表示部240は例えばタッチパネル等から構成されており、貨幣処理装置2における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置2に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示する。また、操作者は操作表示部240を介して、貨幣処理装置2に対して様々な操作を行うことができる。プリンタ230は、貨幣処理装置2における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置2に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシート等に印刷する。また、図示は省略するが、操作者のIDカードを読み取るためのカードリーダが設けられている。
【0036】
また、本店において、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行する大型の貨幣処理装置3と、本店内の貨幣処理全般を管理する管理コンピュータ36とが、店内のネットワーク35に接続されている。また、窓口の近傍に設置されたオートキャッシャー31が、その操作端末32を介してネットワーク35に接続されている。また、監視カメラ33,34がネットワーク35に接続されており、監視カメラ33,34の撮像画像が管理コンピュータ36に保存可能になっている。管理コンピュータ36は、例えば管理責任者が有するタブレット37Aやスマートフォン37B等の携帯端末と通信可能になっている。
【0037】
貨幣処理装置3は、バラ紙幣処理部310と、束紙幣処理部320と、バラ硬貨処理部330と、包装硬貨処理部340と、機械受付ができない損貨および記念硬貨を処理する損貨処理装置350と、機械受付ができない損券や旧券を処理する損券処理装置360と、現金保管装置370とを備えている。また、操作表示部301と、プリンタ302とが、バラ紙幣処理部310等の上に設けられている。操作表示部301は例えばタッチパネル等から構成されており、貨幣処理装置3における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置3に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示する。また、操作者は操作表示部301を介して、貨幣処理装置3に対して様々な操作を行うことができる。プリンタ302は、貨幣処理装置3における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置3に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシート等に印刷する。また、図示は省略するが、操作者のIDカードを読み取るためのカードリーダが設けられている。
【0038】
そして、支店Aのネットワーク12、支店Bのネットワーク22、および、本店のネットワーク35は、金融機関の店舗外ネットワーク4を介して、互いに接続されている。すなわち、本実施形態の貨幣処理システムでは、本店と各支店の間、あるいは、支店同士の間でデータの送受信が可能になっている。
【0039】
<情報連携のイメージ>
支店Aにおいて、貨幣処理装置1は、窓口係や渉外係等の金融機関の行員等により利用される。例えば、窓口係は、始業時に貨幣処理装置1から補充用貨幣を出金してオートキャッシャーに補充し、終業後はオートキャッシャーから回収した回収貨幣を貨幣処理装置1に入金する。また、窓口係は業務中も必要に応じて貨幣処理装置1に対して入出金処理を行う。窓口係以外の行員は、例えばATMコーナーに設置されたATMや両替機、その他金融機関に設置された機器について、貨幣処理装置1から貨幣を出金して補充したり、回収した貨幣を貨幣処理装置1に入金したりする。また、渉外係は、客に渡すお金を貨幣処理装置1から出金したり、客から預かったお金を貨幣処理装置1に入金したりする。
【0040】
このように、支店Aの行員等は、日常的に貨幣処理装置1を操作する。支店Bや本店等においても同様であり、支店Bの行員等は、日常的に貨幣処理装置2を操作し、本店の行員等は、日常的に貨幣処理装置3を操作する。そこで本実施形態では、貨幣処理装置1,2,3について、他の店舗に伝達する情報を登録できる機能と、当該店舗に伝達された情報を閲覧できる機能とを設ける。
【0041】
すなわち、支店Aの貨幣処理装置1は、支店Bや本店に送信する情報を登録することができる。登録された情報は、支店Bの貨幣処理装置2や本店の貨幣処理装置3に送信される。この場合は、貨幣処理装置2,3が、貨幣処理装置1とは異なる拠点に設置された外部装置に相当する。また、支店Aの貨幣処理装置1は、支店Bや本店から送信された情報を受信し、この情報に含まれた内容を、例えば操作表示部140に出力することができる。あるいは、プリンタ130から出力できるようにしてもよい。プリンタ130や操作表示部140は、出力部の一例である。支店Bの貨幣処理装置2や本店の貨幣処理装置3も、同様の機能を備えている。これにより、貨幣処理システムによって、店舗間において情報を伝達することができる。したがって、店舗間における情報連携を、コストアップを招くことなく、容易に実現することができる。
【0042】
<貨幣処理装置の機能構成>
図2は支店Aの貨幣処理装置1および本店の貨幣処理装置3の機能構成の概略を示すブロック図である。図2では本実施形態に関わる構成要素を主に示しており、その他の構成要素は適宜省略している。
【0043】
図2に示すように、貨幣処理装置1には、各構成要素の制御を行う制御部150が設けられている。制御部150は、紙幣処理機100、硬貨処理機110および有価媒体処理機120の各構成要素に指令信号を送ることにより、その動作を制御する。また、制御部150には、プリンタ130、操作表示部140、記憶部160、入力部170、および、通信インターフェース部180がそれぞれ接続されている。なお、操作表示部140はここではタッチパネル等によって構成されているが、貨幣処理装置1の操作を行うための操作部と、画面等を有する表示部とが分離して構成されていてもよい。入力部170は操作者を特定する操作者情報を受けるものであり、ここではIDカードから操作者IDを読み取るためのカードリーダである。なお、入力部170はカードリーダ以外に、操作者の指紋や顔画像を取得して個人認証を行う手段であってもよいし、例えばログインIDを手入力する構成の場合には、操作部が入力部170に相当する。記憶部160は、貨幣処理装置1における処理履歴や、貨幣処理装置1に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を記憶する。ここでは、記憶部160は、後述する情報連携データベース160および操作者データベース162を格納している。また、制御部150は通信インターフェース部180を介して、店内のネットワーク12とデータの送受信を行う。
【0044】
制御部150の機能の一部または全部は、ハードウェアまたはソフトウェアによって実現される。例えば、貨幣処理装置1内に設けられた制御基板上に構成された回路や、記録されたプログラムを実行するマイクロコンピュータ等によって、制御部150は実現可能である。また、制御部150は、貨幣処理装置1内の他の制御部と別個に構成されてもよいし、一体に構成されてもかまわない。
【0045】
また、貨幣処理装置3は、貨幣処理装置1と同様の構成を備えている。すなわち、貨幣処理装置3には、各構成要素の制御を行う制御部380が設けられている。制御部380は、バラ紙幣処理部310、束紙幣処理部320、バラ硬貨処理部330、包装硬貨処理部340、損貨処理装置350、損券処理装置360および現金保管装置370の各構成要素に指令信号を送ることにより、その動作を制御する。また、制御部380には、操作表示部301、プリンタ302、入力部303、通信インターフェース部304、および、記憶部390がそれぞれ接続されている。なお、操作表示部301はここではタッチパネル等によって構成されているが、貨幣処理装置3の操作を行うための操作部と、画面等を有する表示部とが分離して構成されていてもよい。入力部303は操作者を特定する操作者情報を受けるものであり、ここではIDカードから操作者IDを読み取るためのカードリーダである。なお、入力部303はカードリーダ以外に、操作者の指紋や顔画像を取得して個人認証を行う手段であってもよいし、例えばログインIDを手入力する構成の場合には、操作部が入力部303に相当する。記憶部390は、貨幣処理装置3における処理履歴や、貨幣処理装置3に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を記憶する。ここでは、記憶部390は、情報連携データベース391および操作者データベース392を格納している。また、制御部380は通信インターフェース部304を介して、店内のネットワーク35とデータの送受信を行う。
【0046】
制御部380の機能の一部または全部は、ハードウェアまたはソフトウェアによって実現される。例えば、貨幣処理装置3内に設けられた制御基板上に構成された回路や、記録されたプログラムを実行するマイクロコンピュータ等によって、制御部380は実現可能である。また、制御部380は、貨幣処理装置3内の他の制御部と別個に構成されてもよいし、一体に構成されてもかまわない。
【0047】
以下では、主として貨幣処理装置1を例にとって説明を行う。ただし、貨幣処理装置2,3も、貨幣処理装置1と同様の機能を有しており、同様の動作を行うものとする。
【0048】
本開示では、制御部150は、貨幣処理装置1の外部から例えば操作表示部140を介して入力された伝達情報データを、情報連携データベース161に登録する情報登録処理を行う。この伝達情報データは、例えば、伝達する情報内容(メッセージ)と、伝達すべき対象拠点を特定する対象拠点条件と、伝達すべき対象者を特定する対象者条件を含む。ここでの情報内容は、例えば、業務予定や事象発生等の情報、補足説明などを記すメモ、窓口係等に対する指示や注意などを含む。
【0049】
そして、制御部150は、ある店舗例えば本店について、情報連携データベース161に登録された伝達情報データの中から、送信する伝達情報データを特定し、特定した伝達情報データを、通信インターフェース部180を介して、当該店舗に送信する。
【0050】
また、制御部150は、支店A宛てに送信された伝達情報データを受信し、これを記憶部160に保存する。そして、保存した伝達情報データの中から、当該貨幣処理装置1を操作した操作者が対象者条件を満たす伝達情報データを特定し、この伝達情報データに含まれた情報内容を、当該操作者に対する出力情報として決定する。そして、制御部150は、決定した出力情報を貨幣処理装置1の外部に出力する。例えば制御部150は、決定した出力情報を操作表示部140に表示する。
【0051】
情報連携データベース161に登録される伝達情報データは、例えば次のようなデータ項目を含む。
1)番号
2)登録者
3)登録日時
4)情報内容
4−1)本文
4−2)添付データ
5)閲覧対象店舗
6)閲覧対象者
7)重要度
8)表示期間
9)表示タイミング
10)表示態様
11)表示消去タイミング
12)登録消去タイミング
13)回答要否
14)ショートカット設定
1)の「番号」は、各伝達情報データを一意に特定するためのものであり、例えば登録順に通し番号が自動的に付与される。2)の「登録者」は、伝達情報データを登録した操作者を特定するためのものであり、例えば情報登録処理の開始時に入力部170の一例であるカードリーダによって読み取ったログインIDが格納される。3)の「登録日時」は、伝達情報データを登録した日時を示すものであり、貨幣処理装置1によって自動的に取得される。
【0052】
4)の「情報内容」は、伝達する情報内容(メッセージ)であり、登録者が入力する。「本文」は登録者が個別に入力してもよいし、あるいは、予め定型フォーマットを準備しておいて登録者が適宜選択修正するようにしてもよい。「添付データ」は本文に添付する画像データ等であり、例えば、損券の画像データ等である。
【0053】
5)の「閲覧対象店舗」は、情報内容を伝達すべき対象拠点を特定する対象拠点条件の一例であり、原則として登録者が設定する。設定の態様としては例えば、全店舗を設定する、特定の店舗(1店舗または複数)を設定する、店舗のグループ(例えば近隣の店舗)を設定する、条件(例えば、役席が常駐しない少人数店舗)を設定する、などがある。なお、店舗の他に、管理センター等の店舗以外の拠点を、情報内容を伝達すべき対象拠点として設定できるようにしてもよい。
【0054】
6)の「閲覧対象者」は、情報内容を伝達すべき対象者を特定する対象者条件を示すものであり、原則として登録者が設定する。設定の態様としては例えば、全員を設定する、特定の個人(1人または複数)を設定する(ログインIDや氏名で特定する)、担当職務を設定する(例えば、窓口係)、職制レベルを設定する(例えば、チーフ以上)、などがある。すなわち、対象者条件として、対象者の属性を特定してもよい。属性としては、ログインID、氏名、担当職務、職制レベルの他にも、所属グループ、性別、年齢、勤続年数などがある。また、例えば「入金処理」を実行する者、「束紙幣の出金処理」を実行する者等のように、貨幣処理装置において実行する処理を、対象者条件として特定してもよい。ここでの処理は、例えば、入金処理、出金処理などである。また、この処理の条件として、入金または出金を行う金額の範囲が付加されていてもよい。例えば、「10万円以上の出金処理」を実行する者、というように、対象者条件を設定してもよい。あるいは、予め設定された情報連携担当者を、閲覧対象者として設定してもよい。また、情報連携に関係する処理を実行する者を、閲覧対象者として設定してもよい。例えば、本日、所定処理を実施予定の者を、閲覧対象者として設定してもよい。
【0055】
7)の「重要度」は、情報内容の重要度を示すデータであり、原則として登録者が設定する。例えば、通常/重要/最重要などと予め段階を定めておけばよい。8)の「表示期間」は、原則として登録者が設定する。
【0056】
9)の「表示タイミング」は、例えば、初回ログイン時/ログイン時は毎回/所定処理が実行されるまで毎回、などと設定すればよい。また、時間帯と組み合わせて、例えば、15時以降の初回ログイン時、のように設定してもよい。10)の「表示態様」は、例えば、ポップアップ表示、アイコン表示(情報有りアイコンをまず表示し、アイコンが押下されると情報表示)、などと設定すればよい。11)の「表示消去タイミング」は、例えば、「確認」ボタンの押下/他のいずれかの操作ボタンの押下/情報の表示後に一定時間が経過、などと設定すればよい。
【0057】
12)の「登録消去タイミング」は、例えば、対象者全員が閲覧終了/指定時刻/登録者による消去処理、などと設定すればよい。13)の「回答要否」は、例えば、回答不要/了解のみ入力/OKまたはNGを入力/、などと設定すればよい。14)の「ショートカット設定」は、情報内容の表示画面に所定処理へのショートカットボタンを表示する設定を可能にするものである。
【0058】
なお、データ項目7)〜13)はオプションとしてもよい。情報連携データベース161には、ここで挙げたデータ項目の一部を登録するようにしてもよいし、ここで挙げたデータ項目以外のデータ項目を登録するようにしてもかまわない。
【0059】
また、操作者データベース162には、操作者ごとに、例えば次のようなデータ項目を有する操作者データが格納される。データ項目5),6)は情報登録の権限に関する権限情報である。
1)ログインID
2)氏名
3)担当職務(窓口係、渉外係、等)
4)職制レベル(パート、社員、チーフ、役席、等)
5)情報登録の権限 あり/なし
6)5)で「あり」の場合、登録可能な情報内容の種類(全て、トラブル関係のみ、損券関係のみ、など))
<貨幣処理>
例えば支店Aの貨幣処理装置1において、入金処理や出金処理等の貨幣処理を行う場合、例えばカードリーダにIDカードを読み取らせてログインし、操作表示部140に表示される内容に従って操作すると、貨幣処理が実行される。このとき、貨幣処理に関する情報が操作表示部140に表示され、必要に応じて処理結果がレシートとしてプリンタ130から出力される。支店Bの貨幣処理装置2や本店の貨幣処理装置3においても、同様に貨幣処理が実行される。
【0060】
<情報登録処理>
ここでは、支店Aの貨幣処理装置1において情報登録処理を行うものとする。図3は情報登録処理の操作手順を示すフローチャートであり、図4(a),(b)は情報登録処理の際に操作表示部140に表示される画面例である。
【0061】
処理の開始時には、操作表示部140には、例えば貨幣の在高を表示する待機画面が表示されている(S101)。操作者は、入力部170を介して自分の操作者情報を入力し、ログインを行う(S102)。例えば、自分のIDカードをカードリーダに読み込ませる。制御部150は、操作表示部140にメニュー画面を表示させる(S103)。
【0062】
このとき、制御部150は、ログインした操作者が、操作者データベース162において「情報登録の権限あり」と設定されている場合は、図4(a)のようなメニュー画面を操作表示部140に表示する。図4(a)のメニュー画面では、「情報連携登録」アイコンA1が表示されており、このアイコンA1を押下すると、図4(b)のような、伝達情報データを入力する情報登録画面に遷移する。一方、ログインした操作者が、操作者データベース162において「情報登録の権限なし」と設定されている場合は、メニュー画面には「情報連携登録」アイコンA1は表示されず、情報登録処理を行うことはできない。すなわち、制御部150は、貨幣処理装置1の操作者が、情報登録の権限を有するときは、情報登録画面を表示する一方、有しないときは、情報登録画面を表示しない。
【0063】
いま、ログインした操作者は操作者データベース162において「情報登録の権限あり」と設定されており、図4(a)のようなメニュー画面が操作表示部140に表示されたものとする。操作者は、メニュー画面においてメニューを選択する(S104)。ここで、「情報連携登録」アイコンA1を押下すると(S105でYES)、図4(b)のような情報登録画面に遷移する。一方、他のアイコンを押下すると(S105でNO)、それぞれの処理に移行する(S109)。
【0064】
図4(b)のような情報登録画面に遷移すると、操作者は情報登録処理を実行する(S106)。操作者は、必須項目として、閲覧対象店舗、閲覧対象者および情報内容を入力する。図4(b)の例では、閲覧対象店舗:関西本部、閲覧対象者:関西エリアメネージャー、情報内容として「不審者情報」が入力されている。また、図4(b)の情報登録画面では、情報内容、閲覧対象店舗および閲覧対象者の他に、表示態様、表示消去タイミング、回答要否、および、表示期間が入力できるようになっている。図4(b)の例では、表示態様:情報通知、回答要否:有り、と入力されている。表示消去タイミングおよび表示期間は未入力である。なお、情報登録画面において、各項目では、選択肢がプルダウン表示されるようになっていてもよい。また、操作者が、例えば、所定操作における画面遷移に関するデータや、貨幣処理装置1が取得した貨幣の画像データ等を、添付可能にしておいてもよい。
【0065】
操作者は、登録したい各情報について、情報登録処理を繰り返し実行する。全ての情報について情報登録処理が終了すると(S107でNO)、処理を終了する(S108でYES)。
【0066】
なお、情報登録画面において、情報内容を入力する際に、定型フォーマットが呼び出せるようになっていてもよい。登録者は、その定型フォーマットを必要に応じて修正すればよい。また、登録者が所定の定型フォーマットを選択した場合には、その定型フォーマットに対応した閲覧対象者が自動的に設定されるようにしてもよい。登録者は、自動的に設定された閲覧対象者を確認し、必要に応じて修正すればよい。また、登録者が所定の定型フォーマットを選択した場合には、その定型フォーマットに対応した重要度、表示タイミング等の条件データが自動的に設定されるようにしてもよい。登録者は、自動的に設定された条件データを確認し、必要に応じて修正すればよい。
【0067】
また、伝達情報データの入力方法としては、操作表示部140を介して行う方法の他に、音声入力、USBメモリ等の記憶媒体を介した入力、通信を介した入力等を用いてもよい。
【0068】
そして、制御部150は、情報連携データベース161に登録された伝達情報データを、閲覧対象店舗の条件に合致する店舗に、通信インターフェース部180を介して送信する。送信を行うタイミングは、例えば、情報登録処理が行われた都度としてもよいし、決められた所定の時刻としてもよいし、30分毎など定期的に送信してもよい。また、制御部150は、他の店舗の貨幣処理装置(ここでは貨幣処理装置2,3)から支店Aに送信された伝達情報データを、通信インターフェース部180を介して受信する。受信した伝達情報データは、例えば、記憶部160に保存される。
【0069】
<情報閲覧処理>
ここでは、支店Aの貨幣処理装置1において情報閲覧処理を行うものとする。閲覧の対象となるのは、他の店舗の貨幣処理装置(ここでは貨幣処理装置2,3)から送信され、記憶部160に保存された伝達情報データである。また、貨幣処理装置1自体において登録された伝達情報データの中で、支店Aが閲覧対象店舗の条件に合致するものも、情報閲覧の対象となる。
【0070】
図5は情報閲覧処理の操作手順を示すフローチャートであり、図6(a),(b)は情報閲覧処理の際に操作表示部140に表示される画面例である。ここでは、制御部140は、出力情報の表示態様として、ポップアップ表示とアイコン表示とを有するものとする。ポップアップ表示は、図6(a)に示すように、特定された出力情報自体を表示する。アイコン表示は、図6(b)に示すように、出力情報の存在を示すアイコン(図6(b)では「伝達情報」アイコンB1)を表示し、このアイコンに係る操作を受けて、特定された出力情報自体を表示する。制御部140は、ポップアップ表示とアイコン表示のいずれかを選択し、出力情報の表示を行う。
【0071】
図5において、処理の開始時には、操作表示部140には例えば貨幣の在高を表示する待機画面が表示されている(S201)。操作者は、貨幣処理装置1に対して入金処理等の処理を行うとき、入力部170を介して自分の操作者情報を入力し、ログインを行う(S202)。例えば、自分のIDカードをカードリーダに読み込ませる。
【0072】
制御部150は、記憶部160を参照して、支店Aが閲覧対象店舗の条件に合致し、かつ、ログインした操作者が対象者条件を満たす伝達情報データが登録されているか否かをチェックする(S203)。ここでは、制御部150は、記憶部160の中に、ログインした操作者が「閲覧対象者」に特定された対象者の属性を有する、伝達情報データがあるときは(S204でYES)、その伝達情報データに含まれた情報内容を、ログインした操作者に対する出力情報として決定し、これを操作表示部140に表示する(S205〜S211)。これにより、登録者が所定の属性を有する操作者に伝達するために登録した情報内容を、伝達すべき操作者に確実に伝達することができる。
【0073】
ここで、制御部150は、情報内容が重要か否かによって、その表示態様を切り替えるものとする。具体的には例えば、伝達情報データの重要度データが「重要」あるいは「最重要」であるときは(S205でYES)、図6(a)に示すようなポップアップ表示を行う(S206)。そして、表示消去条件が満たされると(S207でYES)、ポップアップ表示を消去する(S208)。例えば、図6(a)の画面で「確認」ボタンが押下されると、ポップアップ表示を消去する。一方、伝達情報データの重要度データが「通常」であるときは(S205でNO)、図6(b)に示すようなアイコン表示を行う(S210)。図6(b)では、メニュー画面に「伝達情報」アイコンB1が表示されている。「伝達情報」アイコンB1が押下されると、処理に割り込みがかかり(S211でYES)、その情報内容がポップアップ表示される。このような処理が、ログインした操作者が対象者条件を満たす伝達情報データについてそれぞれ行われる(S209)。
【0074】
なお、図6(a)のポップアップ表示では、「データクリアを午後4時までに終える」旨のメッセージが示されている。そして、ポップアップ表示の中には、データクリア処理へのショートカットアイコンB2が表示されている。これにより、操作者は、データクリア処理の操作画面に容易に遷ることができる。
【0075】
その後、ログインした操作者は、操作表示部140に表示されたメニュー画面から(S212)、実行しようとする処理のメニューを選択して(S213でYES)、その処理を実行する(S214)。実行しようとする処理が全て終了すると(S215でYES)、処理を終了する。
【0076】
なお、S210において「伝達情報」アイコンB1が表示され、当該アイコンが押下されないまま他の処理が実行される場合、新たな処理画面に「伝達情報」アイコンB1が表示されたままとなる。そして、「伝達情報」アイコンB1が押下されると、処理に割り込みがかかり、登録された情報内容がポップアップ表示される。
【0077】
また、制御部150は、記憶部160の中に、ログインした操作者が「閲覧対象者」に特定された処理を実行する、伝達情報データがあるときは、この伝達情報データに含まれた情報内容を、ログインした操作者に対する出力情報として決定し、これを操作表示部140に表示する、としてもよい。これにより、登録者が所定の処理を実行する操作者に伝達するために登録した情報内容を、伝達すべき操作者に確実に伝達することができる。また、このときの出力情報の表示は、操作者が当該処理を実行する直前に行えばよい。
【0078】
また、情報連携データベース161のデータ項目9)に示したように、「表示タイミング」を「所定処理の実行時」とする条件データを含む伝達情報データが登録されており、ログインした操作者がこの伝達情報データの「閲覧対象者」に該当する場合は、制御部150は、ログインした操作者が当該所定処理を実行するときに、この伝達情報データに含まれた情報内容を操作表示部140に表示すればよい。これにより、貨幣処理装置1において所定処理を実行するタイミングで、情報を操作者に伝達することができる。例えば、出金トラブルに関する情報を、出金処理を実行するタイミングで、操作者に伝達することができる。
【0079】
ところで、上述した情報閲覧処理を行うのは、必ずしも情報閲覧処理を目的として貨幣処理装置にログインする操作者に限らない。むしろ、他の処理(入金処理、出金処理等の貨幣処理)を行うためにログインした際に、自分宛ての情報があった場合に閲覧することが多い。その結果、情報閲覧処理を意識していない操作者に対しても必要な情報を伝えることができる。
【0080】
以上のように本実施形態によると、支店Aに設置された貨幣処理装置1は、情報連携データベース161に登録された伝達情報データを、支店Bに設置された貨幣処理装置2や本店に設置された貨幣処理装置3に送信する。また、貨幣処理装置1は、貨幣処理装置2,3から送信された伝達情報データを受信し、これに含まれた情報内容を出力する。これにより、貨幣処理システムによって、店舗間で情報を伝達することができる。したがって、複数の店舗間における情報連携を、コストアップを招くことなく、容易に実現することができる。
【0081】
<店舗間で伝達する情報の例>
a)上述したデータクリア処理や、自動精査処理等の所定処理の実施時刻を伝達する。例えば、本店から各支店に、データクリア処理や自動精査処理等の実施時刻に関する情報を送信し、閲覧対象者は各店舗の出納係とする。この場合には、図6(a)のように、情報の表示画面に当該処理の実行へ誘導するショートカットボタンを表示させてもよい。また、各店舗において所定処理を実行した後に、その実行結果を本店に返信させるようにしてもよい。例えば、本店の貨幣処理装置3が送信する伝達情報データは、各支店A,Bの貨幣処理装置1,2において行われる所定処理に関する情報内容を含むとともに、当該所定処理の実行指示を含むものとする。そして、この伝達情報データを受信した支店Aの貨幣処理装置1は、制御部150が、情報内容を操作表示部140に表示するとともに、実行指示に従って所定処理を実行する。そしてその実行結果を、通信インターフェース部180を介して本店の貨幣処理装置3に返信する。ここでの所定処理は、例えば、精査処理またはデータクリア処理である。さらに、実施時刻を過ぎても所定処理が実行されておらず、実行結果が返信されない場合は、本店の貨幣処理装置3から各支店A,Bの貨幣処理装置1,2に警告を送信するようにしてもよい。
【0082】
b)不審者に関する情報を伝達する。例えば、ある支店から本店に、不審者の発生を報告する情報を送信し、閲覧対象者はエリアマネージャとする。この場合には、自店舗で撮影された監視カメラの画像を情報に添付してもよい。また、本店から各支店に、不審者に関する注意を呼びかける情報を送信し、閲覧対象者は全ての行員とする。この場合にも、監視カメラの画像を情報に添付してもよい。
【0083】
c)備忘のために、本日のイベント(現送/現受/回金入出金など)を通知する。例えば、本店から各支店に情報を送信し、閲覧対象者は各店舗の出納係とする。
【0084】
d)後日の人事異動に備えた情報を伝達する。例えば、本店から支店に、異動者のIDが当該店舗(異動先)の貨幣処理装置にいつからログイン可能か、というような情報を伝達する。
【0085】
e)貨幣処理装置の消耗品の送付を要求する。例えば、消耗品の在庫が不足しそうになった支店から本店に情報を送信し、閲覧対象者は本店の備品管理者とする。この場合には、消耗品の送付を承諾した旨を返信させるようにしてもよい。また、貨幣処理装置の状態情報に連動して、消耗品の送付を要求する情報を自動発信させることも可能である。
【0086】
f)自店舗で発生した特殊な処理について情報を伝達する。例えば、ある支店から本店および他の各支店に、自店舗で発生した特殊な処理に関する情報を送信し、閲覧対象者は各店舗の出納係とする。この場合には、送信する情報に、自店舗で実行された特殊な処理での操作における画面遷移に関するデータや、貨幣処理装置が取得した貨幣の画像データ等を添付してもよい。また、各店舗において、その特殊な処理を再現できるようにしてもよい。例えば、本店の貨幣処理装置3が送信する伝達情報データは、貨幣処理装置において行われる所定処理に関する情報内容を含むとともに、貨幣処理装置において当該所定処理を再現させるための再現情報を含むものとする。ここでの再現情報は、例えば、貨幣処理装置の構成要素を動作させるための制御プログラム等である。そして、この伝達情報データを受信した支店Aの貨幣処理装置1は、制御部150が、情報内容を操作表示部140に表示するとともに、再現情報を用いて、所定処理を再現させる。
【0087】
<その他の処理>
(その1)
他の店舗へ配信した情報について、情報展開を停止する機能を設けてもよい。例えば、配信した情報の閲覧が未だなされていない店舗へは、その情報を消去するよう指示を出し、情報閲覧がすでになされた店舗へは、その情報は不要になった旨の情報を追加送信する。例えば、複数店舗へ配信したが1店舗から回答があれば問題が解決する内容の情報の場合には、1店舗から回答があった時点で、他の店舗での情報展開を停止すればよい。このような情報としては、例えば、遺失物の連絡などが考えられる。
【0088】
(その2)
伝達情報の登録者が、登録した伝達情報の閲覧状況を確認できるようにしてもよい。すなわち、制御部150は、連携情報データベース161に登録された伝達情報の閲覧状況のログをとり、記憶部160に保存する。登録者は、貨幣処理装置1にログインしてこのログにアクセスすることにより、閲覧状況を確認することができる。また、制御部150がこのログから、未閲覧店舗や未閲覧者のリストを作成し、操作表示部140に表示したりプリンタ130から出力したりしてもよい。また、制御部150は、連携情報データベース161のデータ項目13)に示したように、「回答要」とされた伝達情報データについて、その回答を集計した結果を、操作表示部140に表示したりプリンタ130から出力したりしてもよい。
【0089】
また、制御部150は、全ての閲覧対象者が閲覧を終了すると、その伝達情報データの登録者にその旨を通知してもよい。この通知方法としては、例えば、登録者が次に貨幣処理装置1にログインしたときに操作表示部140に表示してもよいし、あるいは、登録者が所持する個人用機器(パソコン、タブレット端末、等)に通信してもよい。
【0090】
(その3)
上の実施形態では、ポップアップ表示とアイコン表示の選択を情報内容の重要度に基づいて行うものとしたが、これに限られるものではない。例えば、情報連携データベース161のデータ項目10)に示したように、伝達情報データに「表示態様」が設定されている場合は、その「表示態様」の設定に従って、ポップアップ表示またはアイコン表示を選択すればよい。
【0091】
また、同じ情報内容について、対象者に応じて、表示態様を切り替えてもよい。例えば、伝達情報データの「閲覧対象者」において、情報内容を伝達すべき対象者の属性を設定するとともに、情報内容との関連度に応じた対象者の区分を規定する。そして、制御部150は、貨幣処理装置1の操作者が属する区分に基づいて、ポップアップ表示かアイコン表示かを選択すればよい。具体的には例えば、出金トラブルに関する伝達情報データの「閲覧対象者」において、対象者は全員とし、対象者の区分として「出納係」(関連度高い)「その他」(関連度低い)を規定する。そして、制御部150は、出金トラブルに関する情報を表示する場合に、出金処理をほぼ確実に行う出納係に対してはポップアップ表示とし、その他の人に対してはアイコン表示とすればよい。さらには、その他の人であっても、出金処理を実行するときはポップアップ表示する、と制御することも可能である。
【0092】
(その4)
上述した<伝達情報の他の例>のf)のように、貨幣処理装置1で所定の処理を実行中に、情報登録を行いたい場合がある。このような場合において利便性を高めるために、当該処理の画面に、伝達情報データを入力する情報登録画面へのショートカットボタンを表示してもよい。
【0093】
(その5)
情報連携データベース161に、操作者が対象者条件を満たす伝達情報データが、複数登録されている場合がある。この場合には例えば、制御部150は、重要度が高い情報を優先して表示してもよいし、登録日時が早い順に情報を表示してもよい。あるいは、制御部150は、当該操作者に伝達される情報のリストを操作表示部140に表示し、表示する情報内容を操作者が選択するようにしてもよい。
【0094】
(その6)
操作者データベース162のデータ項目6)に示したように、操作者によって、登録可能な情報内容の種類を限定してもよい。制御部150は、情報登録画面において、限定された種類の情報内容のみが入力可能なよう、制御すればよい。例えば制御部150は、操作者データベース162のデータ項目6)に応じて、情報登録画面において呼び出せる情報内容の定型テンプレートに制限をかければよい。
【0095】
ここで、金融機関の行員として、出納係(チーフ、担当者)、窓口係(社員、パート)、渉外係および役席がいるものとする。例えば、役席はいかなる情報でも登録可能とし、出納係は出納業務に関する情報のみを登録可能とする。窓口係のうち社員は、損券に関する情報のみを登録可能とし、窓口係のパートは情報登録不可とする。また例えば、上述したような損券の入力処理における情報登録は、出納係と窓口係の社員のみが行える、としてもよい。制御部150は、出納係と窓口係が貨幣処理装置1にログインしたときにのみ、損券の入力処理において、情報登録画面へのショートカットボタンを操作表示部302の画面に表示するようにすればよい。
【0096】
また、ある特定の者は、閲覧対象者に指定されていなくても情報を閲覧できるようにしてもよい。例えば、役席と出納係のチーフは、登録された全ての情報を閲覧できるようにする。制御部150は例えば、役席と出納係のチーフが貨幣処理装置1にログインしたとき、ログインした者が対象者条件を満たす情報とその他の情報とを区別した全ての伝達情報のリストを、操作表示部140に表示するようにすればよい。
【0097】
(その7)
図6(a)の例のように、操作者が情報を閲覧したとき、その情報に基づいて実行すべき処理をその閲覧画面から直接実行できるようにしてもよい。例えば、情報連携データベース161のデータ項目14)に示したように、伝達情報データについて「ショートカット設定」がなされているときは、制御部150はこの「ショートカット設定」に従って、情報内容の表示画面に所定処理へのショートカットボタンを表示する。例えば、トラブル発生に関するメッセージを表示する場合に、トラブル対応マニュアルへのショートカットボタンを表示したり、パスワード変更を要請するメッセージを表示する場合に、パスワード変更画面へのショートカットボタンを表示したりすればよい。
【0098】
(その8)
情報閲覧処理において、画面に表示された情報内容を、プリンタ130から出力できるようにしてもよい。
【0099】
<変形例>
上述した実施形態では、他店舗に送信する情報の登録や、他店舗から受信した情報の閲覧は、貨幣処理装置1,2,3で行うものとしたが、これに限られるものではない。例えば、情報登録や情報閲覧は、管理コンピュータ13,23,36によって行うようにしてもよいし、管理コンピュータ13,23,36と通信可能な機器、例えば、タブレット14A,24A,37Aやスマートフォン14B,24B,37Bによって、行うようにしてもよい。あるいは、当該店舗のネットワークに接続された他の装置、例えば、本店におけるオートキャッシャー31の操作端末32によって、行うようにしてもよい。
【0100】
(第2実施形態)
第2実施形態では、上述した貨幣処理システムを利用して、例えば金融機関における人事異動の際の情報連携を行うものとする。すなわち、別の店舗へ異動した行員が、異動元店舗におけるログ情報を閲覧できるようにする。これにより例えば、異動した行員は、異動元店舗からの問合せに対して容易に対応することができる。また、異動先店舗において、異動元店舗での操作を再現することによって、新人等の教育を行うこともできる。
【0101】
ここで、支店Aに勤務していた行員X(グローリー太郎)が、2016年10月1日付で支店Bに異動になったものとする。この場合、従来のシステムでは、行員Xは、2016年9月30日までは、支店Aの貨幣処理装置1にログイン可能であるが支店Bの貨幣処理装置2にはログイン不可である。そして、2016年10月1日以降は、支店Aの貨幣処理装置1にはログイン不可となり、支店Bの貨幣処理装置2にはログイン可能となる。このような構成では、行員Xは、2016年10月1日以降は支店Aにおける過去の取引履歴等を確認することができない。
【0102】
本実施形態では、各店舗の貨幣処理装置1,2,3における取引履歴ログは、当該貨幣処理装置内に保存される。そして、保存された取引履歴ログは、所定のタイミングで、本店の管理コンピュータ36に収集される。取引履歴ログには、例えば、取引番号、店舗ID、装置ID、処理日時、操作者ID、取引内容、画面遷移データ等が含まれる。
【0103】
支店Aから支店Bに異動になった行員Xは、2016年10月1日以降、支店Bの貨幣処理装置2を操作して、支店Aの貨幣処理装置1における過去の取引履歴を閲覧することができる。具体的には例えば、行員Xは、支店Bの貨幣処理装置2にログインし、操作メニューから『他店舗情報の参照』を選択する。そして、本店の管理コンピュータ36に保存される支店Aの貨幣処理装置1の取引履歴ログの中から、対象の取引を指定して、取引履歴ログ情報を取得する。例えば図7(a)のようなデータサーチ画面から、取引日時や取引の種類等を指定して検索を行い、図7(b)のように指定した取引(ここでは「袋金戻し」)の取引履歴ログ情報を取得する。図7(b)の画面で再生ボタンC1にタッチすると、図7(c)のような画面が表示され、指定した取引における処理(画面遷移など)を再現することができる。
【0104】
なお、『他店舗情報の参照』を実行できるのは、所定以上の権限を有する管理者か、異動した者に限定してもよい。また、異動した者については、『他店舗情報の参照』を実行できるのは例えば異動から1年間のみ、というように有効期間を設定してもよい。また、異動前後の支店間で貨幣処理装置の型式が異なる場合には、再現する処理の中に、異動後の支店の貨幣処理装置では実行できない処理が含まれる可能性がある。この場合には、処理を再現する際に、例えば網掛けや吹き出しを付すなどして、異なる態様で表示してもよい。
【0105】
また、各店舗の貨幣処理装置における取引履歴ログは、当該店舗の管理コンピュータに保存するようにしてもよい。この場合は、異動した者は、異動後の店舗における貨幣処理装置から異動前の店舗における管理コンピュータにアクセスして、異動前の店舗の貨幣処理装置における過去の取引履歴を閲覧するようにすればよい。
【0106】
(第3の実施形態)
第3実施形態では、上述した貨幣処理システムを利用して、締め上げタイミングランキングを各店舗に配信するものとする。すなわち、各店舗で実行される締め上げ処理のデータを本店で収集し、本店の管理コンピュータ36が締め上げ処理時刻のランキングをリアルタイムで生成し、各店舗に配信する。
【0107】
本実施形態における処理の流れは次のとおりである。各店舗では、業務終了後、締め上げ処理(データクリア処理)が行われる。締め上げ処理が終了すると、各店舗の管理コンピュータ13,23から締め上げデータが本店に送信される。本店の管理コンピュータ36は、各店舗から送信された締め上げデータを登録するとともに、締め上げタイミング(時刻)ランキングをリアルタイムで生成する。また、今週の平均データ等の統計データが更新される。本店の管理コンピュータ36は、生成したランキングのデータを各店舗に配信する。各店舗の管理コンピュータ13,23または貨幣処理装置1,2は、例えば図8に示すようにランキングデータを表示する。
【0108】
図8の画面例では、自店を含めた全支店の本日締め上げランキングが表示されており、また、週平均、月平均、年間平均のランキングが切り替え表示可能になっている。なお、このランキング表は、リアルタイムで更新されるものとしてもよい。すなわち、締め上げ処理が終了した支店のデータが順次追加されていく。また、ランキング表の店舗名をクリックすると、その店舗の順位変動が閲覧できるようにしてもよい。あるいは、店舗を、その規模(行員の人数、取り扱い貨幣量等)に基づいて、クラス分けしてもよい。
【0109】
なお、例えば毎月初めに前月のランキング上位入賞の店舗が、システム画面上に表示されるようにしてもよい。そして画面に表示されるコメント欄に、入賞した店舗の担当者が、入賞の感想や業務効率化に対する取り組みや工夫などを自由に記入できるようにしてもよい。
【0110】
また、ランキング作成の対象は、締め上げタイミングに限られるものではない。例えば、店頭受付システムの発券枚数データから、来店客数ランキングを作成してもよい。また、ランキング表作成において、フレームや装飾、色のデザインの設定を可能にしてもよい。
【0111】
<他の実施形態>
上述した実施形態では、貨幣処理装置の一例として、オープン出納システムを例にとって説明したが、これに限られるものではない。また、上述した実施形態では、貨幣処理装置は銀行等の金融機関に設置されるものとしたが、これに限られるものではない。
【符号の説明】
【0112】
1,2,3 貨幣処理装置
140 操作表示部
150 制御部
160 記憶部
161 情報連携データベース
180 通信インターフェース部
301 操作表示部
302 プリンタ
304 通信インターフェース部
380 制御部
390 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8