特許第6887248号(P6887248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887248
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】温度計
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/04 20060101AFI20210603BHJP
   G01N 11/00 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   G01K1/04
   G01N11/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-250185(P2016-250185)
(22)【出願日】2016年12月23日
(65)【公開番号】特開2018-105658(P2018-105658A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】豊興工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 宗一郎
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−181936(JP,U)
【文献】 特開2004−317367(JP,A)
【文献】 特開平09−126933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
G01N 11/00
G01D 7/00−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油の温度を測定する温度計において、温度目盛りの形成された温度表示部と、作動油の種類と作動油の温度に基づく動粘度の推定値とを表示する動粘度表示部と、測定した作動油の温度に応じて変位する温度指示部とを備え、動粘度表示部は複数の行と列とから成る表で、行と列の一方に作動油の種類を表示すると共に、他方に動粘度の推定値を表示し、表示する動粘度の推定値を対応する温度目盛りに対向して配置したことを特徴とする温度計。
【請求項2】
前記温度表示部は円形状で、前記温度指示部は測定した作動油の温度に応じて回動する指針で、この指針を前記温度表示部に回動可能に設け、前記動粘度表示部は前記温度目盛りの外周側に設けたことを特徴とする請求項1に記載の温度計。
【請求項3】
前記温度計は棒状温度計で管部を有し、前記温度指示部は管部に封入され測定した作動油の温度に応じて液面を上昇または下降する感温液とすることを特徴とする請求項1に記載の温度計。
【請求項4】
前記動粘度表示部は前記温度計に着脱自在としたことを特徴とする請求項2および請求項3のいずれかに記載の温度計。
【請求項5】
前記温度表示部は円形状で、前記温度指示部は測定した作動油の温度に応じて回動する指針で、この指針を前記温度表示部に回動可能に設け、前記動粘度表示部は前記温度目盛りの内周側に設けたことを特徴とする請求項1に記載の温度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動油の温度を測定するのに好適な温度計に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の温度計は、温度目盛りが形成された目盛板を設ける表示器を有している。表示器には、被測定部位の温度に応じて回動する指針が回動可能に設けられており、指針の回動量を目盛板から読み取ることで被測定部位の温度を測定する。そして、被測定部位として作動油の温度を測定する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−15059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる従来の温度計では、測定した作動油の温度に対応する動粘度の推定値を確認したいときには、JIS K2283:2000(原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法)に基づいて、測定した作動油の温度に対応する作動油の動粘度の推定値を参照して確認するため、作動油の動粘度の推定値の確認作業が煩雑であるという問題点があった。
【0005】
本発明の課題は、測定した作動油の温度と温度に対応する作動油の動粘度の推定値を同時に確認することが可能で、作動油の動粘度の推定値の確認作業を容易にできる温度計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
作動油の温度を測定する温度計において、温度目盛りの形成された温度表示部と、作動油の種類と作動油の温度に基づく動粘度の推定値とを表示する動粘度表示部と、測定した作動油の温度に応じて変位する温度指示部とを備え、動粘度表示部は複数の行と列とから成る表で、行と列の一方に作動油の種類を表示すると共に、他方に動粘度の推定値を表示し、表示する動粘度の推定値を対応する温度目盛りに対向して配置したことを特徴とする温度計がそれである。
【0007】
この場合、前記温度表示部は円形状で、前記温度指示部は測定した作動油の温度に応じて回動する指針で、この指針を前記温度表示部に回動可能に設け、前記動粘度表示部は前記温度目盛りの外周側に設けてもよい。また、温度計は棒状温度計で管部を有し、前記温度指示部は管部に封入され測定した作動油の温度に応じて液面を上昇または下降する感温液としてもよい。また、前記動粘度表示部は前記温度計に着脱自在としてもよい。また、前記温度表示部は円形状で、前記温度指示部は測定した作動油の温度に応じて回動する指針で、この指針を前記温度表示部に回動可能に設け、前記動粘度表示部は前記温度目盛りの内周側に設けてもよい。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、温度目盛りの形成された温度表示部と、作動油の種類と作動油の温度に基づく動粘度の推定値とを表示する動粘度表示部と、測定した作動油の温度に応じて変位する温度指示部とを備え、動粘度表示部は複数の行と列とから成る表で、行と列の一方に作動油の種類を表示すると共に、他方に動粘度の推定値を表示し、表示する動粘度の推定値を対応する温度目盛りに対向して配置した。このため、温度指示部は測定した作動油の温度を指示すると共に、その作動油の温度に対応する動粘度の推定値も指示するから、測定した作動油の温度と温度に対応した作動油の動粘度の推定値を同時に確認することが可能で、作動油の動粘度の推定値の確認作業を容易にできる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加え、温度表示部は円形状で、温度指示部は測定した作動油の温度に応じて回動する指針で、この指針を温度表示部に回動可能に設け、動粘度表示部は前記温度目盛りの外周側に設けた。このため、既存の温度計の温度目盛りの外周側に動粘度表示部を取付けることが可能で、格別に温度計を用意する必要がなく、安価に製作することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加え、温度計は棒状温度計で管部を有し、温度指示部は管部に封入され測定した作動油の温度に応じて液面を上昇または下降する感温液とした。このため、既存の棒状温度計に動粘度表示部を取付けることが可能で、格別に温度計を用意する必要がなく、安価に製作することができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2および請求項3に記載の発明の効果に加え、動粘度表示部は温度計に着脱自在とした。このため、必要に応じて動粘度表示部を温度計から取外し可能で、温度計を被取付部材に取付ける際にスペースの制約を受け難くできる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加え、温度表示部は円形状で、温度指示部は測定した作動油の温度に応じて回動する指針で、この指針を温度表示部に回動可能に設け、動粘度表示部は温度目盛りの内周側に設けた。このため、温度目盛りの内周側に動粘度表示部を設けるから、温度表示部は温度表示部の外径以上の大きさにはなることはなく、温度計を大型化することなくできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態を示した温度計の正面図である。
図2】他の実施形態を示した温度計の正面図である。
図3図2の矢視Aから見た図である。
図4】さらに他の実施形態を示した温度計の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1において、1は作動油の温度を測定する温度計で、略円形状の温度表示部2を有している。温度表示部2には、0℃から100℃までの間で、0、20、40、60、80、100の数字を円周上に表示した温度目盛り3を形成している。4は測定した作動油の温度に応じて回動する温度指示部としての指針で、根元部4Aを温度表示部2の中心に回動可能に設けている。そして、指針4は、回動により先端部4Bが位置する温度目盛り3を読み取ることで作動油の温度を測定する。5はドーム状の透明なカバー部で、温度目盛り3と指針4を覆うように温度表示部2に設けている。6は周方向の一部を切り欠いた円板状の動粘度表示部で、温度表示部2の外周に固定して取付け、作動油の種類と作動油の温度に基づく動粘度の推定値とを表示している。なお、動粘度の推定値とは、JIS K2283:2000(原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法)に規定の「動粘度および混合比の推定方法」に基づいて、2点の温度における動粘度の実測値から、任意温度における動粘度を推定した値である。
【0015】
動粘度表示部6には3行11列の表を表示し、行を作動油の種類で区分けすると共に、列を温度表示部2の温度目盛り3に対応して0℃から100℃の間で10℃毎に区分けしている。動粘度表示部6の表は、内周側から外周側に向けて順次、第1行9、第2行10、第3行11であり、第1行9には粘度グレードがISO VG22の作動油を表示し、第2行10には粘度グレードがISO VG32の作動油を表示し、第3行11には粘度グレードがISO VG46の作動油を表示している。なお、粘度グレードとは、JIS K2001:1993(工業用潤滑油−ISO粘度分類)で規定の石油系又は非石油系の工業用潤滑油及び関連製品の40℃における動粘度に基づく粘度分類である。
【0016】
第1行9に表示するVG22の作動油は、40℃における動粘度が22mm/sで、100℃における動粘度が4.3mm/sの実測値であり、これらを第1行第5列のマス目9Eと第1行第11列のマス目9Kに表示している。そして、第1行9に表示するVG22の作動油は、0℃における動粘度の推定値186mm/sを第1行第1列のマス目9Aに表示し、同様に10℃、20℃、30℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃における動粘度の推定値95mm/s、54mm/s、33mm/s、15.5mm/s、11.2mm/s、8.4mm/s、6.6mm/s、5.3mm/s、を、第1行第2列のマス目9B〜第1行第10列のマス目9Jに表示している。
【0017】
第2行10に表示するVG32の作動油は、40℃における動粘度が32mm/sで、100℃における動粘度が5.5mm/sの実測値であり、これらを第2行第5列のマス目10Eと第2行第11列のマス目10Kに表示している。そして、第2行10に表示するVG32の作動油は、0℃、10℃、20℃、30℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃における動粘度の推定値315mm/s、155mm/s、80mm/s、48mm/s、22mm/s、16mm/s、11.2mm/s、8.7mm/s、6.9mm/s、を、第2行第1列のマス目10A〜第2行第10列のマス目10Jに表示している。
【0018】
第3行11に表示するVG46の作動油は、40℃における動粘度が46mm/sで、100℃における動粘度が7mm/sの実測値であり、これらを第3行第5列のマス目11Eと第3行第11列のマス目11Kに表示している。そして、第3行11に表示するVG46の作動油は、0℃、10℃、20℃、30℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃における動粘度の推定値530mm/s、240mm/s、129mm/s、70mm/s、30mm/s、21mm/s、15mm/s、11.4mm/s、9mm/s、を、第3行第1列のマス目11A〜第3行第10列のマス目11Jに表示している。
【0019】
次に、かかる構成の作動を説明する。
図1に示すように、温度計1で作動油の温度を測定すると、指針4が回動して測定した作動油の温度を先端部4Bが指示する。そして、動粘度表示部6の表から指針4の先端部4Bが指示する作動油の温度に対応するマス目を参照して、作動油の動粘度の推定値を確認する。例えば、図1において、測定する作動油が動粘度表示部6の表の第1行9に表示するVG22の作動油である場合、指針4の先端部4Bは30℃を指示しており、これに対応するマス目9Dから動粘度の推定値33mm/sを確認する。
【0020】
かかる作動において、温度目盛り3の形成された温度表示部2と、作動油の種類と作動油の温度に基づく動粘度の推定値を表示する動粘度表示部6と、測定した作動油の温度に応じて回動する指針4とを備え、動粘度表示部6は表示する動粘度の推定値を対応する温度目盛り3に対向して配置した。このため、指針4は測定した作動油の温度を指示すると共に、その作動油の温度に対応する動粘度の推定値も指示するから、測定した作動油の温度と温度に対応した作動油の動粘度の推定値を同時に確認することが可能で、作動油の動粘度の推定値の確認作業を容易にできる。
【0021】
また、動粘度表示部6は略円形状の温度表示部2に形成された温度目盛り3の外周側に設けた。このため、既存の温度計の温度目盛りの外周側に動粘度表示部6を取付けることが可能で、格別に温度計を用意する必要がなく、安価に製作することができる。
【0022】
図2および図3は、本発明の他の実施形態を示し、図面に基づき説明する。
12は作動油の温度を測定する棒状温度計で、軸心に管部12Aを有し、外周面には温度表示部13を有している。温度表示部13には、0℃から100℃までを10℃毎に太線で表示した温度目盛り14を形成しており、最下方に位置する太線14Aは0℃を示し、最上方に位置する太線14Bは100℃を示している。15は管部12Aに封入した温度指示部としての感温液で、測定した作動油の温度に応じて液面を上昇または下降する。そして、感温液15の液面が位置する温度目盛り14を読み取ることで作動油の温度を測定する。
【0023】
16は透明材から形成した板状の動粘度表示部で、裏面16Aに棒状温度計12の一部を収納する円弧状の凹み部17を設けると共に、表面16Bに作動油の種類と作動油の温度に基づく動粘度の推定値とを表示している。凹み部17は円弧の曲率を棒状温度計12の外周面の曲率と略同一に設けている。動粘度表示部16は凹み部17へ一部を収納した棒状温度計12を、ゴム等の弾性部材18によって着脱自在に取り付けている。そして、動粘度表示部16の表面16B側より透明材の動粘度表示部16を介して、棒状温度計12の感温液15の液面を可視できる。動粘度表示部16の表面16Bには、棒状温度計12の左側と右側にそれぞれ表を有している。左側の表は11行1列の表で、温度目盛り14に対応して0℃から100℃までの間で、0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100の数字を下方から上方へ向けて順次表示している。右側の表は11行3列で、行を左側の温度に対応して0℃から100℃の間で10℃毎に区分けすると共に、列を作動油の種類で区分けしている。右側の表は、棒状温度計12の近傍側から離間側に向けて順次、第1列20、第2列21、第3列22であり、第1列20には粘度グレードがISO VG22の作動油を表示し、第2列21には粘度グレードがISO VG32の作動油を表示し、第3列22には粘度グレードがISO VG46の作動油を表示している。なお、行は最下行を第1行とし最上行を第11行とする。
【0024】
第1列20に表示するVG22の作動油は、40℃における動粘度が22mm/sで、100℃における動粘度が4.3mm/sの実測値であり、これらを第1列第5行のマス目20Eと第1列第11行のマス目20Kに表示している。そして、第1列20に表示するVG22の作動油は、0℃における動粘度の推定値186mm/sを第1列第1行のマス目20Aに表示し、同様に10℃、20℃、30℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃における動粘度の推定値95mm/s、54mm/s、33mm/s、15.5mm/s、11.2mm/s、8.4mm/s、6.6mm/s、5.3mm/s、を、第1列第2行のマス目20B〜第1列第10行のマス目20Jに表示している。
【0025】
第2列21に表示するVG32の作動油は、40℃における動粘度が32mm/sで、100℃における動粘度が5.5mm/sの実測値であり、これらを第2列第5行のマス目21Eと第2列第11行のマス目21Kに表示している。そして、第2列21に表示するVG32の作動油は、0℃、10℃、20℃、30℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃における動粘度の推定値315mm/s、155mm/s、80mm/s、48mm/s、22mm/s、16mm/s、11.2mm/s、8.7mm/s、6.9mm/s、を、第2列第1行のマス目21A〜第2列第10行のマス目21Jに表示している。
【0026】
第3列22に表示するVG46の作動油は、40℃における動粘度が46mm/sで、100℃における動粘度が7mm/sの実測値であり、これらを第3列第5行のマス目22Eと第3列第11行のマス目22Kに表示している。そして、第3列22に表示するVG46の作動油は、0℃、10℃、20℃、30℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃における動粘度の推定値530mm/s、240mm/s、129mm/s、70mm/s、30mm/s、21mm/s、15mm/s、11.4mm/s、9mm/s、を、第3列第1行のマス目22A〜第3列第10行のマス目22Jに表示している。
【0027】
次に、かかる構成の作動を説明する。
図2に示すように、棒状温度計12で作動油の温度を測定すると、感温液15の液面が上昇または下降して測定した作動油の温度を指示する。そして、動粘度表示部16の表から感温液15の液面が指示する作動油の温度に対応するマス目を参照して、作動油の動粘度の推定値を確認する。例えば、図2において、測定する作動油が動粘度表示部6の右表の第1列20に表示するVG22の作動油である場合、感温液15の液面は60℃を指示しており、これに対応するマス目20Gから動粘度の推定値11.2mm/sを確認する。
【0028】
かかる作動において、一実施形態と略同様に、感温液15の液面は測定した作動油の温度を指示すると共に、その作動油の温度に対応する動粘度の推定値も指示するから、測定した作動油の温度と温度に対応した作動油の動粘度の推定値を同時に確認することが可能で、作動油の動粘度の推定値の確認作業を容易にできる。
【0029】
また、温度計は棒状温度計12で管部12Aを有し、温度指示部は管部12Aに封入され測定した作動油の温度に応じて液面を上昇または下降する感温液15とした。このため、既存の棒状温度計に動粘度表示部16を取付けることが可能で、格別に温度計を用意する必要がなく、安価に製作することができる。また、動粘度表示部16は棒状温度計12に着脱自在とした。このため、必要に応じて動粘度表示部16を棒状温度計12から取外し可能で、棒状温度計12を被取付部材に取付ける際にスペースの制約を受け難くできる。また、動粘度表示部16の裏面16Aには棒状温度計12の一部を収納する円弧状の凹み部17を設け、凹み部17は円弧の曲率を棒状温度計12の外周面の曲率と略同一にした。このため、棒状温度計12を凹み部17に隙間なく収納することができ、動粘度表示部16を棒状温度計12に容易に取り付けることができる。
【0030】
図4は本発明のさらに他の実施形態を示し、一実施形態と同一個所には同符号を付して説明を省略し、異なる個所についてのみ説明する。
23は周方向の一部を切り欠いた円板状の動粘度表示部で、温度表示部2のカバー部5に貼着し、作動油の種類と作動油の温度に基づく動粘度の推定値とを表示している。
【0031】
動粘度表示部23には2行11列の表を表示し、行を作動油の種類で区分けすると共に、列を温度表示部2の温度目盛り3に対応して0℃から100℃の間で10℃毎に区分けしている。動粘度表示部23の表は、内周側から外周側に向けて順次、第1行24、第2行25であり、第1行24には粘度グレードがISO VG22の作動油を表示し、第2行25には粘度グレードがISO VG32の作動油を表示している。
【0032】
第1行24に表示するVG22の作動油は、40℃における動粘度が22mm/sで、100℃における動粘度が4.3mm/sの実測値であり、これらを第1行第5列のマス目24Eと第1行第11列のマス目24Kに表示している。そして、第1行24に表示するVG22の作動油は、0℃における動粘度の推定値186mm/sを第1行第1列のマス目24Aに表示し、同様に10℃、20℃、30℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃における動粘度の推定値95mm/s、54mm/s、33mm/s、15.5mm/s、11.2mm/s、8.4mm/s、6.6mm/s、5.3mm/s、を、第1行第2列のマス目24B〜第1行第10列のマス目24Jに表示している。
【0033】
第2行25に表示するVG32の作動油は、40℃における動粘度が32mm/sで、100℃における動粘度が5.5mm/sの実測値であり、これらを第2行第5列のマス目25Eと第2行第11列のマス目25Kに表示している。そして、第2行25に表示するVG32の作動油は、0℃、10℃、20℃、30℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃における動粘度の推定値315mm/s、155mm/s、80mm/s、48mm/s、22mm/s、16mm/s、11.2mm/s、8.7mm/s、6.9mm/s、を、第2行第1列のマス目25A〜第2行第10列のマス目25Jに表示している。
【0034】
作動は、図4に示すように、温度計1で作動油の温度を測定すると、指針4が回動して測定した作動油の温度を先端部4Bが指示する。そして、動粘度表示部23の表から指針4の先端部4Bが指示する作動油の温度に対応するマス目を参照して、作動油の動粘度の推定値を確認する。
この作動で、一実施形態と略同様に、指針4は測定した作動油の温度を指示すると共に、その作動油の温度に対応する動粘度の推定値も指示するから、測定した作動油の温度と温度に対応した作動油の動粘度の推定値を同時に確認することが可能で、作動油の動粘度の推定値の確認作業を容易にできる。
【0035】
また、動粘度表示部23は略円形状の温度表示部2に形成された温度目盛り3の内周側に設けた。このため、温度目盛り3の内周側に動粘度表示部23を設けるから、温度表示部2は温度表示部2の外径以上の大きさになることはなく、温度計を大型化することなくできる。
【0036】
なお、前述の各実施形態では、動粘度表示部6を温度表示部2に固定して取付けたが、ボルト等で着脱自在に取り付けてもよい。また、動粘度表示部16をゴム等の弾性部材18によって棒状温度計12に着脱自在に取り付けたが、固定して取付けてもよい。また、動粘度表示部6、16、23の表にはそれぞれ3種類または2種類の作動油の動粘度の推定値を表示したが、4種類以上の作動油の動粘度の推定値を表示してもよい。また、動粘度表示部6、16、23の表には、粘度グレードがISO VG22で、40℃における動粘度が22mm/sで、100℃における動粘度が4.3mm/sの実測値の作動油と、粘度グレードがISO VG32で、40℃における動粘度が32mm/sで、100℃における動粘度が5.5mm/sの実測値の作動油と、粘度グレードがISO VG46で、40℃における動粘度が46mm/sで、100℃における動粘度が7mm/sの実測値の作動油の動粘度の推定値を表示したが、これに限らず、40℃と100℃における動粘度の実測値が異なる作動油を表示してもよい。また、動粘度表示部16は、棒状温度計12の左側に、温度目盛り14に対応して0℃から100℃までの間で、0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100の数字を下方から上方へ向けて順次表示したが、この数字は表示せず、温度目盛り14から感温液15の位置を読み取ってもよい。また、動粘度表示部16は棒状温度計12を収納する凹み部17を設けたが、凹み部17は必要に応じ適宜設けなくともよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
1、12:温度計
2、13:温度表示部
3、14:温度目盛り
4:指針
6、16、23:動粘度表示部
12A:管部
15:感温液
図1
図2
図3
図4