特許第6887275号(P6887275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887275
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】座金及び柱脚部固定構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/24 20060101AFI20210603BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   E04B1/24 R
   E04B1/58 511H
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-55930(P2017-55930)
(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公開番号】特開2018-159206(P2018-159206A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】嘉納 雅昭
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−256886(JP,A)
【文献】 実開昭57−004503(JP,U)
【文献】 特開昭60−258344(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0209314(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視における外縁に4つの直線部を有する平板部と、
前記平板部の前記外縁に沿って前記平板部の一方の面に突出して設けられた脚部と、を備え、
前記平板部は、
前記平板部の平面視の中央部に貫通して設けられた挿通孔を備え、前記挿通孔以外に前記平板部を貫通する孔が形成されておらず、
記脚部は、
先端に切り欠き備える、座金。
【請求項2】
平面視における外縁に4つの直線部を有する平板部と、
前記平板部の前記外縁に沿って前記平板部の一方の面に突出して設けられた脚部と、
前記平板部に貫通して設けられた貫通孔及び前記脚部の先端に設けられた切り欠き部のうち少なくとも一方と、を備え、
前記平板部は、
前記平板部の平面視の中央部に貫通して設けられた挿通孔を備え、
前記脚部は、
前記平板部の外形に沿って均一の厚さに設けられている、座金。
【請求項3】
前記貫通孔は、
前記平板部に2箇所設けられ、
一方の前記貫通孔は、
他方の前記貫通孔よりも直径が大きい、請求項に記載の座金。
【請求項4】
前記平板部は、
平面視において略矩形であり、
前記貫通孔は、
略矩形の前記平板部の四隅の何れかに設けられている、請求項2又は3に記載の座金。
【請求項5】
前記平板部は、
平面視において略矩形であり、各辺が同じ長さに構成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の座金。
【請求項6】
前記脚部は、
前記平板部の外形に沿って均一の厚さに設けられている、請求項1〜5の何れか1項に記載の座金。
【請求項7】
前記平板部は、
肉厚が均一に形成されている、請求項1〜の何れか1項に記載の座金。
【請求項8】
基礎天端に固定されたアンカーボルトと、
該アンカーボルトが貫通するアンカーホールが形成されたベースプレートと、
該ベースプレートに下端が固定された柱脚と、
前記アンカーホールを貫通した状態の前記アンカーボルトに螺合して、前記ベースプレートを前記基礎天端側に押し付けて締結するナットと、
前記ナットと前記ベースプレートとの間に挟まれる請求項1及び請求項1を引用する請求項5〜7の何れか1項に記載の座金と、を備え
前記切り欠きは、前記平板部と前記脚部とにより形成された凹形状部を経て前記アンカーホール連通する、柱脚部固定構造。
【請求項9】
前記凹形状部は、
前記アンカーボルトの軸方向から見たときに、前記アンカーホールの内径及び前記ナットの最外径よりも大きい、請求項に記載の柱脚部固定構造。
【請求項10】
前記ベースプレートは、
前記柱脚が伸びる方向から見て略矩形に形成され、
前記アンカーホールは、
前記ベースプレートの少なくとも四隅に配置され、
前記直線部のうち隣合った2つの前記直線部は、
前記ベースプレートの四辺のうち、前記アンカーホールが配置されている部分を挟む2つの辺と略平行に配置される、請求項8又は9に記載の柱脚部固定構造。
【請求項11】
基礎天端に固定されたアンカーボルトと、
該アンカーボルトが貫通するアンカーホールが形成されたベースプレートと、
該ベースプレートに下端が固定された柱脚と、
前記アンカーホールを貫通した状態の前記アンカーボルトに螺合して、前記ベースプレートを前記基礎天端側に押し付けて締結するナットと、
前記ナットと前記ベースプレートとの間に挟まれる請求項2及び請求項2を引用する請求項3〜7の何れか1項に記載の座金と、を備え、
前記座金は、複数の座金を含み、
前記複数の座金のうち1つの前記座金は、
他の前記座金よりも前記貫通孔が大きい、柱脚部固定構造。
【請求項12】
前記複数の座金のうち1つの前記座金は、
前記貫通孔が2箇所設けられ、
一方の前記貫通孔は、
他方の前記貫通孔よりも直径が大きい、請求項11に記載の柱脚部固定構造。
【請求項13】
前記座金は、
前記脚部が前記ベースプレートに溶接されている、請求項12の何れか1項に記載の柱脚部固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の柱脚部固定に用いる座金及び座金を使用した柱脚部固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の柱脚部固定構造は、基礎に固定されたアンカーボルトに、アンカーボルトが貫通するアンカーホールが形成されたベースプレートを固定することにより構成される。そして、ベースプレートに脚柱が接続されている。このとき、アンカーホールを貫通するアンカーボルトにナットを螺合し、座金をナットで締め付けることによって、ベースプレートを基礎に固定している。
【0003】
特許文献1においては、アンカーホールの内径をアンカーボルトの外径よりも大きくし遊び代を大きくして、アンカーホールへのアンカーボルトの挿入を容易にして作業性を向上させると共に、アンカーホールとアンカーボルトとの間隙にグラウト材を注入して、ベースプレートとアンカーボルトとを強固に固定しようとする発明が開示されている。なお、アンカーボルトの外径をdとすると、アンカーホールの内径の建築基準法上の許容値は、d+5mmまでの範囲内である。また、特許文献1に開示されている発明においては、アンカーボルトにナットを締め付けてベースプレートを基礎に固定して、柱脚の位置を決定してから、アンカーホールとアンカーボルトとの間隙にグラウト材を注入している。ナットとベースプレートとの間には座金が挟みこまれており、座金は、アンカーボルトホールとアンカーボルトとの間隙にグラウト材を注入する経路として注入孔が開けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭58−53365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された発明は、座金のグラウト材注入口からグラウト材を注入し、ベースプレートのアンカーホールとアンカーボルトとの間の隙間をグラウト材で充填している。特許文献1においてベースプレートの下は基礎面になっており、空間が無いため、座金の注入孔からグラウト材を注入すればアンカーホールとアンカーボルトとの隙間はグラウト材によりほぼ確実に充填することができる。しかし、柱脚部固定構造によっては、ベースプレートを基礎天端に「まんじゅう」と呼ばれるモルタルを配置し、その上にベースプレートを置き、基礎天端からベースプレートまで所定の距離を空けてベースプレートを設置する。この構造においては、グラウト材は、アンカーホールとアンカーボルトとの間だけではなく、まんじゅうを除いたベースプレートの下の空間にも注入する必要がある。この構造にグラウト材を注入する際には、座金の注入孔からグラウト材を注入し、他のアンカーボルトに取り付けられた座金の空気孔からグラウト材が流出を確認する。このグラウト材の流出により、各アンカーボルトとアンカーホールとの隙間にグラウト材が注入されたことが確認できる。しかし、一部の座金の空気孔からグラウト材が流出しなかった場合、アンカーボルトとアンカーホールとの隙間にグラウト材が注入されたか否かを確認することができない。この場合は、座金とベースプレートとを溶接により固定し、必要な強度を確保する必要がある。
【0006】
特許文献1に開示された座金は、略卵形に形成されているため、現場においてグラウト材注入に不具合が生じた場合に溶接を施す際に十分な溶接長さが確保できないという課題があった。特に、矩形のベースプレートの四隅に座金を配置する場合、矩形の角部に略卵形の座金を配置すると、座金を大きくしたとしても最大で円弧がベースプレートの稜線に接する程度までに限定される。また、略卵形の座金の場合、構造物のX方向及びY方向における溶接部の長さも、明確に規定できないという課題があった。
【0007】
また、特許文献1に係る座金は、平面視において卵形に近い形状になっており、アンカーボルトを通す孔は、卵形の座金の直径の大きい側の円弧の中心に配置されている。このような座金においては、座金の剛性が高く、例えば柱脚に短期的な力がかかった際にベースプレートを固定している座金、座金とベースプレートの溶接部、ナット、及びアンカーボルトにそのまま力がかかり、変形等によりナットが緩んでしまったり、座金とベースプレートの溶接部が破損してしまう、という課題があった。また、ナット締結部に繰り返し荷重がかかった際にナットが緩んでしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、以上のような問題を解決するものであって、ナット締結後のアンカーホールとアンカーボルトとの間隙へのグラウト材注入を容易かつコストを抑えて実現しつつ、ナット締結部の緩みを抑制し、さらに現場においてグラウト材注入した際に注入不良が発生した場合であっても、溶接により必要な強度を確保することができる座金、及び柱脚部固定構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る座金は、平面視における外縁に4つの直線部を有する平板部と、前記平板部の前記外縁に沿って前記平板部の一方の面に突出して設けられた脚部と、を備え、前記平板部は、前記平板部の平面視の中央部に貫通して設けられた挿通孔を備え、前記挿通孔以外に前記平板部を貫通する孔が形成されておらず記脚部は、先端に切り欠き備える。
【0010】
本発明に係る柱脚部固定構造は、基礎天端に固定されたアンカーボルトと、該アンカーボルトが貫通するアンカーホールが形成されたベースプレートと、該ベースプレートに下端が固定された柱脚と、前記アンカーホールを貫通した状態の前記アンカーボルトに螺合して、前記ベースプレートを前記基礎天端側に押し付けて締結するナットと、前記ナットと前記ベースプレートとの間に挟まれる上記座金と、を備え、前記切り欠きは、前記平板部と前記脚部とにより形成された凹形状部を経て前記アンカーホール連通する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る座金及び柱脚部固定構造によれば、ナットとベースプレートとの間に挟まれる座金に設けられた注入孔を使用してグラウト材を注入することができる。また、現場においてグラウト材注入不良が発生した際には、溶接により必要な強度を確保できる。さらに、座金は、ナットを締結した際に弾性力によりナットの緩み止めの効果が得られ、さらに柱脚に短期的な力がかかった際には力を吸収し、座金とベースプレートとの溶接部、座金、ナット、及びアンカーボルトの変形や破損等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る柱脚部固定構造を説明する側面図である。
図2図1の柱脚部固定構造を柱脚が伸びる方向から見た平面図である。
図3図2のA−A部の断面図である。
図4】グラウト材が十分に充填されていない場合の図2のA−A部の断面図である。
図5】実施の形態1に係る座金の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。各図において、同一の符号を付した機器等については、同一の又はこれに相当する機器を表すものであって、これは明細書の全文において共通している。また、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であって、本発明は明細書内の記載のみに限定されるものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。さらに、添字で区別等している複数の同種の機器等について、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字を省略して記載する場合がある。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0014】
(柱脚部固定構造100)
図1は、本発明の実施の形態1に係る柱脚部固定構造を説明する側面図である。図2は、図1の柱脚部固定構造を柱脚が伸びる方向から見た平面図である。図1において、柱脚部固定構造100は、基礎天端90に固定されたアンカーボルト10と、アンカーボルト10が貫通するアンカーホール21が形成されたベースプレート20と、ベースプレート20に下端30aが固定された柱脚30と、アンカーホール21に貫通した状態のアンカーボルト10の雄ネジ部14に螺合して、ベースプレート20を挾持するナット40と、を有している。なお、実施の形態1に係る柱脚30は、鉄骨柱でありベースプレート20に溶接により固定されている。また、アンカーボルト10がベースプレート20のアンカーホール21を貫通し、ベースプレート20の上面20bとナット40との間に座金50が配置されている。ベースプレート20は、基礎天端90の上にモルタル91及びグラウト材92を介して設置されている。
【0015】
図3は、図2のA−A部の断面図である。アンカーホール21の内周面とアンカーボルト10の外周11との間の空間と、座金50の下面に形成されている凹形状部と、ベースプレート20の下の空間に、グラウト材92が注入され固化している。柱脚部固定構造100は、基礎天端90の上にモルタル91を盛り、ベースプレート20をモルタル91の上に載置し、基礎天端90からベースプレート20の下面20aを所定の高さに合わせ、柱脚30の水平方向位置を決定してから固定される。柱脚部固定構造100は、アンカーボルト10にナット40を締め付けてベースプレート20を基礎天端90側に押し付け固定する。ナット40は、例えばダブルナットにより緩むのを抑制している。
【0016】
ベースプレート20のアンカーホール21とアンカーボルト10との間隙にグラウト材92が注入されている。そして、ベースプレート20のアンカーホール21の内周面とアンカーボルト10との水平方向の隙間は、グラウト材92により埋められる。このように構成することにより、ベースプレート20に水平方向に力が加わったときに、グラウト材92を介してアンカーボルト10に力を伝えることができる。
【0017】
基礎天端90の上面にはベースプレート20の鉛直方向のレベル(高さ位置)を調整するためのモルタル91が設けられている。このモルタル91は、「まんじゅう」と呼ばれているものである。モルタル91は、ベースプレート20の中央の下方にあり、モルタル91の上面にベースプレート20が載置されている。また、ベースプレート20の下方において、モルタル91の周囲を包み込むように、基礎天端90の上面とベースプレート20の下面20aとの間にグラウト材92が充填されている。ベースプレート下に充填されているグラウト材92は、平面視(図2の上側から見た状態)において、グラウト材92はベースプレート20よりも広い範囲に設けられている。グラウト材92の充填要領は限定するものではなく、例えば、ベースプレート20を包囲する充填用枠(型)を基礎天端90の上面に設置して、かかる充填用枠の内側にグラウト材92を注入することにより形成される。
【0018】
(ベースプレート20)
実施の形態1においては、ベースプレート20は、平面視において略矩形であって、平面状の下面20aと、下面20aに平行な上面20bとを備え、上面20bの中央部に柱脚30が載置され、例えば溶接などの手段により接合されている。なお、ベースプレート20は、図1に示される形態に限定されるものではない。ベースプレート20の中央部に柱脚の下端部の形状に合わせた凸部を備え、そこに柱脚の下端部を接合しても良い。
【0019】
また、実施の形態1において、ベースプレート20は略矩形の四隅にそれぞれアンカーホール21が設けられている。アンカーホール21の設置箇所は4箇所に限定されるものではなく、例えば、さらに図2の各ナット40の間に少なくとも1箇所ずつ配置されていても良い。
【0020】
(座金50)
図2に示されるように、座金50は、矩形であり、中央にアンカーボルト10を貫通させる挿通孔51を備える。挿通孔51は、座金50の中央部に開口している。挿通孔51の内径は、アンカーボルト10を通した際にアンカーボルト10の雄ネジ部14の外周面に対し隙間を持つ様に構成されている。雄ネジ部14と挿通孔51の内周面との隙間は、小さいと組み付け孔にアンカーボルト10に通しにくくなる。また、雄ネジ部14と挿通孔51の内周面との隙間は、大きいと座金50がアンカーボルト10の中心軸に対しずれやすくなるため、隙間の大きさは適宜設定される。例えば、アンカーボルト10の外径と挿通孔51の内径の差は、1mmに設定されており、アンカーボルト10の中心と座金50の中心とのずれは、大きくても片側0.5mm程度である。
【0021】
図3に示されるように、座金50の上部は、平板部52になっており、平板部52の上面にナット40が接触して締結されている。そして、平板部52の外縁から下方に突出して脚部56が設けられている。また、脚部56は、平板部52の外縁に沿って全周に設けられている。つまり、平板部52と脚部56とにより座金50の一方の面に凹形状部が形成されている。前述の挿通孔51は、平板部52の中央部に貫通して設けられており、凹形状部に連通している。
【0022】
図2に示されるように、平板部52は、挿通孔51以外に貫通孔53が設けられている。貫通孔53は、座金50の上面側と凹形状部とを連通している。座金50aにおいては、貫通孔53は、2箇所開けられており、一方の貫通孔53aは、グラウト材92を注入するために他方の貫通孔53bより大きく開けられている。座金50b、50c、50dにおいては、グラウト材92を注入するための貫通孔53aは不要であるため、貫通孔53bのみが開けられている。ただし、柱脚部固定構造100に設置される座金50a〜50dは、図2に示される形態のみに限定されるものではなく、各部に座金50aと同じものを配置しても良い。
【0023】
(柱脚部固定構造の施工手順)
まず、基礎天端90の上面に「まんじゅう」と呼ばれるモルタル91を置く。その上に柱脚が固定されたベースプレート20を置く。ベースプレート20は、アンカーボルト10をアンカーホール21に通される。実施の形態1においては、アンカーホール21は、矩形のベースプレート20の四隅に配置されており、各アンカーホール21にアンカーボルト10が通される。
【0024】
ベースプレート20の下面20aが基礎天端90から所定の高さになる様に調整される。また、柱脚30が構造物の所定の位置に来るように水平方向の位置も調整される。モルタル91が固化し、ベースプレート20の位置が決まったところで、座金50の挿通孔51にアンカーボルト10が通され、座金50は、脚部56の先端をベースプレート20の上面20bに接触させるように配置される。このように配置されることにより、座金50は、凹形状部が下側に向くようになり、ナット40を締め付けたときに弾性変形し、ナット40の緩み止め効果が得られるようになる。ナット40を締め付ける荷重により、平板部52の厚み、脚部56の厚み、及び平板部52の平面視方向における大きさを調整し、座金50のバネ荷重を変更することができる。
【0025】
座金50は、各アンカーボルト10に通され、配置される。図2に示されるように、座金50の4つの直線部55のうち隣合った2つの直線部55は、ベースプレート20の四辺のうち、アンカーホール21が配置されている部分を挟む2つの辺と略平行に配置される。このように配置することにより、座金50は、ベースプレート20の外縁からはみ出すこと無く配置される。また、座金50をベースプレート20の形状に沿って最大の大きさにすることができる。
【0026】
実施の形態1においては、ベースプレート20上の4箇所に座金50が配置されている。そのうちの少なくとも1箇所の座金50aは、貫通孔53aを備えている。座金50aは、貫通孔53aがベースプレート20の中央部に固定されている柱脚30から最も遠い位置に来るように配置される。このように配置されることにより、後述するグラウト材注入作業が容易になる。ただし、貫通孔53aは、図2に示される位置にのみ限定されるものではなく、グラウト材注入作業に応じ適宜位置を変更できる。また、座金50b〜50dは、貫通孔53bを柱脚30に近い位置に来るように配置されているが、後述するグラウト材注入作業において、グラウト材92が流出するのを確認できるのであれば、適宜位置を変更できる。
【0027】
所定の位置に座金50が配置されたら、アンカーボルト10にナット40を螺合させて締結する。図1及び図3において、ナット40は2つ重ねて締結されているが、一つのナット40で締結しても良い。ナット40は2つ重ねて締結することにより緩み止めの効果が得られる。
【0028】
ナット40が締結されたら、座金50aの貫通孔53aからグラウト材92を注入する。図3に示されるように、座金50は、脚部56の先端をベースプレート20の上面20bに接触させて配置されているため、貫通孔53aから流入したグラウト材は、座金50の凹形状部を経て、アンカーホール21とアンカーボルト10との隙間を通り、ベースプレート20の下側の空間に流入する。ベースプレート20の周囲は、例えば木枠などの充填用枠により包囲され、ベースプレート20の下側の空間にグラウト材92が充填されるようにする。グラウト材92がベースプレート20の下側の空間、アンカーホール21とアンカーボルト10との隙間、及び座金50の凹形状部の内部に充填されると、各座金50a〜50dの貫通孔53bからグラウト材92が流出する。各座金50a〜50dの貫通孔53bからグラウト材92が流出するのが確認できれば、ベースプレート20の下側の空間、アンカーホール21とアンカーボルト10との隙間、及び座金50の凹形状部の内部の全てにグラウト材92が充填されたのが検知される。なお、各座金50a〜50dの貫通孔53bは、グラウト材92が注入される際の空気抜きのための穴として機能している。
【0029】
グラウト材92の注入作業において、所定量のグラウト材92を注入しても貫通孔53bからグラウト材92が流出しない場合は、グラウト材92が流出しない座金50が配置されたアンカーホール21とアンカーボルト10との隙間にグラウト材92が充填されていない可能性がある。この場合、柱脚部固定構造100が所定の強度を確保できていないため、座金50とベースプレート20とを溶接する。
【0030】
図4は、グラウト材92が十分に充填されていない場合の図2のA−A部の断面図である。図4に示されるようにグラウト材92がアンカーホール21とアンカーボルト10との隙間に十分充填されていない場合は、ベースプレート20に水平方向に力がかかった際にアンカーボルト10で荷重を受けることができない。よって、その分の強度を補うため、座金50とベースプレート20の上面20bとを溶接する。座金50の挿通孔51とアンカーボルト10との隙間は、片側0.5mmと小さく設定されており、ベースプレート20に水平方向に荷重がかかった場合、座金50を介してアンカーボルト10で荷重が受けられる。溶接部94は、座金50の脚部56とベースプレート20の上面20bとにより形成される隅部に設けられる。溶接部94は、座金50の全周にわたって設けられる。
【0031】
図2に示されるように、座金50は、矩形で、ベースプレート20の四隅に配置されており、直線部55をベースプレート20の辺に平行になる様に配置されている。そのため、溶接部94は、図2に示されるx方向及びy方向に沿って設けられる。座金50の大きさは、ベースプレート20の形状に沿って最大の大きさにすることにより溶接部94の長さも可能な限り長くすることができる。従って、溶接部94の強度もx方向及びy方向のそれぞれについて最大にすることができる。
【0032】
また、座金50は矩形であるから、座金50を例えば円形にした場合と比較して、溶接部94の長さを長くすることができる。実施の形態1において、ベースプレート20は矩形になっているため、そのベースプレート20の柱脚30が固定されている位置からなるべく遠くにアンカーボルト10との締結部を設けると、ベースプレート20の4つの角部に座金50が配置される。矩形のベースプレート20の角部において、溶接部94の長さを最大にするには、座金50の外形は、ベースプレート20の角部に沿った形状にする必要がある。
【0033】
なお、実施の形態1において、座金50は、平面視において正方形であるが、正方形のみに限定されるものではない。ベースプレート20の形状に応じ、適宜変更することができる。また、図1図3において、座金50の角部は直角に示されているが、角部は丸みを帯びていても良い。
【0034】
図5は、実施の形態1に係る座金50の斜視図である。図5(a)は、図2に示されている座金50aを示しており、図5(b)は、図2に示されている座金50b〜50cを示している。また、図5(c)、図5(d)は、実施の形態1に係る座金50の変形例を示すものである。図5(c)に示されるように、座金50には、貫通孔53a、53bの代わりに脚部56の先端に切り欠き57を設けても良い。切り欠き57は、座金50の中央部から外側に向かって開けられている。切り欠き57は、脚部56の複数箇所に設けられていても良い。
【0035】
図5(d)に示されるように、座金50fは、平板部52に貫通孔53a、53bが設けられておらず、脚部56の先端に切り欠き57のみが設けられている。切り欠き57は、貫通孔53aの代わりにグラウト材92の注入口にしても良い。また、切り欠き57は、貫通孔53bの代わりに空気抜き、グラウト材92の流出確認のために使用しても良い。
【0036】
(実施の形態1の効果)
(1)実施の形態1に係る座金50によれば、平面視における外形に4つの直線部55を有する平板部52と、平板部52の外縁に沿って平板部52の一方の面に突出して設けられた脚部56と、を備える。平板部52は、平板部52の平面視の中央部に貫通して設けられた挿通孔51と、平板部52の挿通孔51以外の部分に貫通して設けられた貫通孔53a、53b及び脚部56の先端設けられた切り欠き57のうち少なくとも一方と、を備える。
このように構成されることにより、ナット40が締結された状態において、座金50に設けられた貫通孔53a又は切り欠き57を使用してグラウト材92をアンカーホール21とアンカーボルト10との間隙に注入することができる。また、ベースプレート20の下部の空間にもグラウト材92を注入することができる。座金50を適用するだけで容易にナット40b締結後にグラウト材92の注入が実現でき、柱脚30の位置を適正な位置に固定したままグラウト材92の注入ができるため、強度を確保しつつ、精度よく柱脚を固定することができる。
【0037】
(2)実施の形態1に係る座金50によれば、平板部52は、平面視において略矩形であり、各辺が同じ長さに構成されている。
このように構成されることにより、座金50は、ナット40を締結した際に弾性変形し、ナット40の緩み止めの効果が得られる。また、座金50は平面視で正方形になっており、ナット40を締結することによって生じる座金50の弾性力も安定して得られる。さらに、柱脚30に短期的な力がかかった際に、座金50の弾性により力を吸収し、ナット40、アンカーボルト10、溶接部94等に衝撃的な力が入るのを抑制することができる。
【0038】
(3)実施の形態1に係る座金50によれば、貫通孔53a、53bは、略矩形の平板部52の四隅の何れかに設けられている。
このように構成されることにより、ナット40に貫通孔53a、53bが塞がれることがなく、グラウト材92の注入及びグラウト材92の注入時の空気抜きが阻害されることがない。また、平板部52において中央部の挿通孔51が設けられていない部分のうち最も広い部分であるため、貫通孔53aを大きく設置することができる。
【0039】
(4)実施の形態1に係る座金50によれば、脚部56は、平板部52の外形に沿って均一の厚さに設けられている。
このように構成されることにより、上記(2)で述べた座金50の弾性変形が均等になり、ナット40を締結した際の弾性力を安定して出すことができる。また、グラウト材92の注入時において、グラウト材92の流入経路となる座金50の凹形状部がアンカーホール21を確実に覆う様に構成できるため、グラウト材92の流入経路が塞がれることがない。
【0040】
(5)実施の形態1に係る座金50によれば、平板部52は、肉厚が均一に形成されている。
このように構成されることにより、上記(2)で述べた座金50の弾性変形が均等になり、ナット40を締結した際の弾性力を安定して出すことができる。
【0041】
(6)実施の形態1に係る座金50によれば、貫通孔53は、平板部52に2箇所設けられ、一方の貫通孔53aは、他方の貫通孔53bよりも直径が大きい。
このように構成されることにより、柱脚部固定構造100の複数箇所に同じ座金50を設置し、どの座金50からでもグラウト材92の注入が可能となる。よって、座金50を全て共通化することができ、製造コストを抑えることができる。
【0042】
(7)実施の形態1に係る柱脚部固定構造100によれば、基礎天端90に固定されたアンカーボルト10と、アンカーボルト10が貫通するアンカーホール21が形成されたベースプレート20と、ベースプレート20に下端が固定された柱脚30と、アンカーホール21を貫通した状態のアンカーボルト10に螺合して、ベースプレート20を基礎天端90側に押し付けて締結するナット40と、ナット40とベースプレート20との間に挟まれる座金50と、を備える。座金50は、平面視における外形に4つの直線部55を有する平板部52と、平板部の外縁に沿って平板部の一方の面に突出して設けられた脚部56と、を備える。平板部52は、平板部52の平面視の中央部に貫通して設けられた挿通孔51と、平板部52の挿通孔51以外の部分に貫通して設けられた貫通孔53a、53b及び脚部56の先端に設けられた切り欠きのうち少なくとも一方と、を備える。貫通孔53aから平板部52と脚部56とにより形成された凹形状部を経てアンカーホール21が連通する。
(8)また、凹形状部は、アンカーボルト10の軸方向から見たときに、アンカーホール21の内径及びナット40の最外径よりも大きい。
このように構成されることにより、柱脚部固定構造100は、上記(1)に記載したように、アンカーホール21とアンカーボルト10との間隙及びベースプレート20の下部の空間にもグラウト材92を注入することができる。よって、柱脚部固定構造100は、強度を確保しつつ、精度よく柱脚を固定することができる。
【0043】
(9)実施の形態1に係る柱脚部固定構造100によれば、ベースプレート20は、柱脚30が伸びる方向から見て略矩形に形成される。アンカーホール21は、ベースプレート20の少なくとも四隅に配置される。直線部55のうち隣合った2つの直線部55は、ベースプレート20の四辺のうち、アンカーホール21が配置されている部分を挟む2つの辺と略平行に配置される。
このように構成されることにより、座金50を可能な限り大きくすることができる。また、座金50とベースプレート20とを溶接した際に、溶接部94は、図2に示されるx方向及びy方向に沿って設けられる。これにより、溶接部94の長さは、x方向及びy方向のそれぞれについて最大の長さをとることができる。従って、溶接部94の強度もx方向及びy方向のそれぞれについて最大にすることができる。ひいては、柱脚部固定構造100のグラウト材92が、アンカーホール21とアンカーボルト10との間隙に十分に充填されていない場合であっても、溶接により必要な強度を確保できるという利点がある。
【0044】
(10)実施の形態1に係る柱脚部固定構造100によれば、複数の座金50のうち1つの座金50は、他の座金50よりも貫通孔53aが大きい。
このように構成されることにより、複数箇所に配置される座金50のうち1つの座金50aの貫通孔53aをグラウト材92の注入口として使用することができる。柱脚部固定構造100に対するグラウト材92の注入口を最小限に設けることにより、座金50a以外の座金50b〜50dの強度を高くすることができる。
【0045】
(11)実施の形態1に係る柱脚部固定構造100によれば、複数の座金50のうち1つの座金50は、貫通孔53a、53bが2箇所設けられる。一方の貫通孔53aは、他方の貫通孔53bよりも直径が大きい。
このように構成されることにより、柱脚部固定構造100の複数箇所に同じ座金50を設置し、どの座金50からでもグラウト材92の注入が可能となる。よって、座金50を全て共通化することができ、製造コストを抑えることができる。
【0046】
(12)実施の形態1に係る柱脚部固定構造100によれば、座金50は、脚部56がベースプレート20に溶接されている。
柱脚部固定構造100のグラウト材92が、アンカーホール21とアンカーボルト10との間隙に十分に充填されていない場合であっても、溶接により必要な強度を確保できるという利点がある。また、脚部56は平板部52の直線部55に沿って形成されているため、溶接部94が直線状になり、溶接部94を長くすることができ、溶接強度も高くなり、溶接作業も容易になるという利点がある。
【符号の説明】
【0047】
10 アンカーボルト、11 外周、14 雄ネジ部、20 ベースプレート、20a 下面、20b 上面、21 アンカーホール、30 柱脚、30a 下端、40 ナット、40b ナット、50 座金、50a 座金、50b 座金、50c 座金、50d 座金、50f 座金、51 挿通孔、52 平板部、53 貫通孔、53a 貫通孔、53b 貫通孔、55 直線部、56 脚部、57 切り欠き、90 基礎天端、91 モルタル、92 グラウト材、94 溶接部、100 柱脚部固定構造。
図1
図2
図3
図4
図5