特許第6887319号(P6887319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6887319電力供給システム、電動工具システム、及び電動工具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887319
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】電力供給システム、電動工具システム、及び電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20210603BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B25F5/00 C
   B25F5/00 H
   H02J1/00 308C
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-113754(P2017-113754)
(22)【出願日】2017年6月8日
(65)【公開番号】特開2018-202585(P2018-202585A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加納 隼人
(72)【発明者】
【氏名】山田 旭宏
(72)【発明者】
【氏名】金子 博貴
【審査官】 城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−196072(JP,A)
【文献】 特開2010−158126(JP,A)
【文献】 特開2017−041983(JP,A)
【文献】 特開2003−295308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の手に着用される着用部と、
前記着用部に保持され、前記着用部を着用した作業者が電動工具の把持部を把持することで前記把持部に設けられる工具側装着部に装着される位置に配置され、前記電動工具に電力を供給する電源端子と前記電動工具からの応答信号が入力される信号端子とが露出して配置される平面状の端子配置面を有し、前記工具側装着部に装着された装着状態で前記電源端子及び前記信号端子が前記電動工具に電気的に接続される接続部材と、
前記信号端子に前記応答信号が入力される場合には前記電源端子と電源部との間を通電状態とし、前記応答信号が入力されない場合には前記電源端子と前記電源部との間を非通電状態とする制御回路と、
を備え
前記接続部材は、前記工具側装着部から取り外された離間状態から前記接続部材が前記工具側装着部に装着された装着状態となる、又は前記装着状態から前記離間状態となる中間状態においては、前記電源端子と前記電源端子とが接触し、かつ前記信号端子と前記信号端子が電気的に切断された状態となる電力供給システム。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記信号端子に前記応答信号の入力がある場合には通電許可信号を出力し、前記信号端子に前記応答信号の入力がない場合には通電禁止信号を出力する工具認識回路と、
前記工具認識回路からの出力信号が入力され、前記出力信号が前記通電許可信号である場合には前記電源端子と前記電源部との間を通電状態とし、前記出力信号が前記通電禁止信号である場合には前記電源端子と前記電源部との間を非通電状態とする通電許可回路と、を有する、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記電源端子は、前記通電許可回路を介して前記電源部の正極側に接続される正極端子と、前記電源部の負極側に接続される負極端子とを有し、
前記正極端子及び前記負極端子は、前記端子配置面に配置される
請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記信号端子は、前記工具認識回路に接続される第1端子及び第2端子とを有し、
前記第1端子及び前記第2端子は、前記端子配置面に配置される
請求項2又は請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記作業者が着用するジャケットを更に備え、
前記着用部は、前記ジャケットの袖に連結される
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記電源部を着脱可能なアダプタを更に備え、
前記制御回路は、前記アダプタに前記電源部が装着された場合において、前記通電状態と前記非通電状態とを切り替える
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項7】
作業者が把持する把持部を有し、前記把持部に工具側装着部が設けられた電動工具と、
前記電動工具に電力を供給する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電力供給システムと、
を備える電動工具システム。
【請求項8】
前記電動工具は、
前記電動工具を制御する工具コントローラと、
前記工具コントローラに接続される工具側電源端子と、
前記応答信号を出力する応答用回路と、
前記応答用回路に接続される工具側信号端子と、を有する
請求項7に記載の電動工具システム。
【請求項9】
前記工具側装着部は、前記電源端子と前記工具側電源端子との電気的接続、及び前記信号端子と前記応答用回路との電気的接続を切り替える切替部を有し、
前記切替部は、
前記接続部材が前記工具側装着部から取り外された離間状態においては、前記電源端子と前記工具側電源端子との間が電気的に切断され、かつ前記信号端子と前記応答用回路とが電気的に切断された状態とし、
前記接続部材が前記工具側装着部に装着された装着状態においては、前記電源端子と前記工具側電源端子とが電気的に接続され、かつ前記信号端子と前記応答用回路とが電気的に接続された状態とし、
前記離間状態から前記装着状態となる、又は前記装着状態から前記離間状態となる中間状態においては、前記電源端子と前記工具側電源端子とが接触し、かつ前記信号端子と前記応答用回路が電気的に切断された状態とする、
請求項7に記載の電動工具システム。
【請求項10】
前記切替部は、
前記工具側電源端子と前記工具側信号端子とが露出して配置される平面状の工具側端子配置面を有する工具側接続部材と、
前記把持部の内部と前記工具側接続部材との間に連結され、前記離間状態においては前記工具側接続部材を基準位置で支持し、前記装着状態においては前記工具側接続部材を前記基準位置よりも前記把持部の内側の接続位置で支持する弾性部材と、
前記工具側信号端子と前記応答用回路との間を接続状態と切断状態とで切り替えるスイッチ部と、
前記前記工具側接続部材が前記基準位置に配置された状態では前記スイッチ部を切断状態とし、前記工具側接続部材が前記接続位置に配置された状態では前記スイッチ部を接続状態とし、前記工具側接続部材が前記基準位置と前記接続位置との間を移動する間に前記工具側接続部材に連動して前記スイッチ部を前記切断状態と前記接続状態とで切り替えるリンク部と
を有する請求項9に記載の電動工具システム。
【請求項11】
前記工具側装着部は、前記装着状態において前記信号端子に接触する位置に前記工具側信号端子が配置され、
前記切替部は、
前記工具側電源端子が露出して配置される平面状の工具側端子配置面を有する工具側接続部材と、
前記把持部の内部と前記工具側接続部材との間に連結され、前記離間状態においては前記工具側接続部材を基準位置で支持し、前記装着状態においては前記工具側接続部材を前記基準位置よりも前記把持部の内側であって前記工具側電源端子が前記電源端子と接触し、かつ前記工具側信号端子が前記信号端子と接触する接続位置で支持し、前記中間状態においては前記基準位置と前記接続位置の間であって前記工具側電源端子が前記電源端子と接触し、かつ前記工具側信号端子が前記信号端子と離間する中間位置で前記工具側接続部材を支持する弾性部材と、
を有する請求項9に記載の電動工具システム。
【請求項12】
作業者が把持する把持部と、
前記把持部に配置され、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電力供給システムの前記接続部材を装着可能な工具側装着部と、
を備える電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システム、電動工具システム、及び電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具に電力を供給する電力供給システムとして、特許文献1に開示されているように、作業者の手に着用する着用部材に端子が設けられた構成が提案されている。この電力供給システムでは、着用部材を着用した作業者が電動工具の把持部を把持する場合に、端子が電動工具に電気的に接続される構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−196072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、2つの端子が着用部材から露出した状態で並んで配置されている。このため、2つの端子間に導電性部材が接触した場合、端子間で電気的短絡が生じる可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、上記に鑑みてなされたものであり、複数の端子間の電気的短絡を抑制可能な電力供給システム、電動工具システム、及び電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、作業者の手に着用される着用部と、前記着用部に保持され、前記着用部を着用した作業者が電動工具の把持部を把持することで前記把持部に設けられる工具側装着部に装着される位置に配置され、前記電動工具に電力を供給する電源端子と前記電動工具からの応答信号が入力される信号端子とが露出して配置される平面状の端子配置面を有し、前記工具側装着部に装着された装着状態で前記電源端子及び前記信号端子が前記電動工具に電気的に接続される接続部材と、前記信号端子に前記応答信号が入力される場合には前記電源端子と電源部との間を通電状態とし、前記応答信号が入力されない場合には前記電源端子と前記電源部との間を非通電状態とする制御回路と、を備える電力供給システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、電気的短絡を抑制可能な電力供給システム、電動工具システム、及び電動工具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る電動工具システムの一例を示す図である。
図2図2は、着用部及び接続部材の一例を示す図である。
図3図3は、図2におけるA−A断面に沿った構成を示す図である。
図4図4は、電力供給システムの電気的構成を示す回路図である。
図5図5は、電動工具の一例を示す図である。
図6図6は、図5におけるB−B断面に沿った構成を示す図である。
図7図7は、電動工具の電気的構成を示すブロック図である。
図8図8は、本実施形態に係るアダプタ及び電源部の一例を示す斜視図である。
図9図9は、本実施形態に係るアダプタ及び電源部の一例を示す斜視図である。
図10図10は、接続部材を工具側装着部に着脱する様子を示す斜視図である。
図11図11は、接続部材の着脱状態を模式的に示す図である。
図12図12は、接続部材の着脱状態を模式的に示す図である。
図13図13は、第2実施形態に係る電動工具システムの一例を示す図であり、接続部材の着脱状態を模式的に示す図である。
図14図14は、接続部材の着脱状態を模式的に示す図である。
図15図15は、変形例に係る着用部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る電動工具システムSYSの一例を示す図である。電動工具システムSYSは、電動工具50と、電力供給システム100とを備える。電動工具50は、作業者が作業を実施する際に用いられる。本実施形態において、電動工具50として、電動ドリルを例に挙げて説明するが、これに限定されず、他の電動工具においても同様の説明が可能である。他の電動工具50としては、例えばチェーンソー、刈払機、釘打ち機、ハンマ、ヘッジトリマ(生垣バリカン)、グラインダー、丸鋸、その他の電動工具、及び園芸工具等が例示される。
【0011】
電動工具50は、作業者が把持する把持部51を有する。把持部51には、本実施形態に係る電力供給システム100を接続するための工具側装着部52が設けられる。工具側装着部52は、作業者が所定の位置を把持する場合に、作業者の手のひらのうち人差し指及び中指の付け根部分に対応する位置に設けられている。
【0012】
電力供給システム100は、電動工具50に電力を供給する。電力供給システム100は、着用部10と、接続部材20と、アダプタ30と、制御回路40とを備える。
【0013】
図2は、着用部10及び接続部材20の一例を示す図である。図1及び図2に示すように、着用部10は、作業者の手に装着される。着用部10は、例えば作業者の指を露出させつつ、手のひら及び手の甲を覆うように設けられる。着用部10は、例えばジャケット11の袖部12の先端が延び出された状態となっているが、これに限定されない。例えば、着用部10は、ジャケット11(袖部12)に対して着脱可能であってもよい。また、着用部10は、例えば手袋やリストバンド等、ジャケット11とは分離して設けられる構成であってもよい。本実施形態において、ジャケット11は、作業者が少なくとも上半身に着用する構成であるが、これに限定されない。例えばジャケット11は、ズボンが一体となった構成であってもよい。着用部10及びジャケット11は、例えば生地で形成されるが、これに限定されない。
【0014】
接続部材20は、着用部10に保持される。接続部材20は、着用部10のうち作業者の手のひら側に配置される。接続部材20は、着用部10を着用した作業者が電動工具50の把持部51を把持することで、把持部51に設けられる工具側装着部52に装着される位置に配置される。例えば、接続部材20は、着用部10のうち、作業者が着用部10を装着した場合に人差し指と中指の付け根の部分に対応する位置に配置される。接続部材20が当該位置に配置される場合、作業者が着用部10を着用した状態で作業を行う際に、作業の妨げになることを抑制できる。なお、接続部材20は、作業者が把持部51を離すことで工具側装着部52から取り外される。
【0015】
図3は、図2におけるA−A断面に沿った構成を示す図である。図3に示すように、接続部材20は、例えば四角錐台状に形成される。接続部材20は、端子配置面20a及び保持面20bを有する。端子配置面20aは、例えば矩形の平面状であり、電源端子21と信号端子22とが露出して配置される。本実施形態において、電源端子21と信号端子22とは、同一の平面である端子配置面20aに露出して配置される。保持面20bは、例えば矩形の平面状であり、着用部10に保持される。
【0016】
電源端子21は、電動工具50に電力を供給する。電源端子21は、正極端子21a及び負極端子21bを有する(図4等参照)。信号端子22は、電動工具50からの応答信号が入力される。信号端子22は、第1端子22a及び第2端子22bを有する(図4等参照)。電源端子21(正極端子21a及び負極端子21b)及び信号端子22(第1端子22a及び第2端子22b)の配置及び形状は、これに限定されない。電源端子21及び信号端子22は、それぞれ配線23を介して制御回路40に接続される。配線23は、例えば着用部10のうち作業者の手の甲側から袖部12に引き回されている。
【0017】
図4は、電力供給システム100の電気的構成を示す回路図である。図4に示すように、電源端子21及び信号端子22は、制御回路40に電気的に接続されている。制御回路40は、工具認識回路41と、通電許可回路42とを有する。工具認識回路41は、信号端子22の第1端子22a及び第2端子22bにそれぞれ接続される。工具認識回路41は、信号端子22に電動工具50からの応答信号の入力があるか否かを検出する。工具認識回路41は、検出結果に応じて、通電許可回路42に対して通電許可信号S1及び通電禁止信号S2を出力する。
【0018】
通電許可回路42は、後述する電源部80の正極側と、電源端子21の正極端子21aとにそれぞれ接続される。なお、電源端子21の負極端子21bは、後述する電源部80の負極側に接続される。通電許可回路42は、工具認識回路41から出力される通電許可信号S1又は通電禁止信号S2が入力される。通電許可回路42は、通電許可信号S1が入力された場合、電源部80と正極端子21aとの間を通電状態とする。通電許可回路42は、通電禁止信号S2が入力された場合、電源部80と正極端子21aとの間を非通電状態とする。通電許可回路42は、例えば電源部80の正極側と正極端子21aとの間を通電状態と非通電状態とで切り替えるトランジスタ等のスイッチング素子を有してもよい。
【0019】
図5は、電動工具50の一例を示す図である。図6は、図5におけるB−B断面に沿った構成を示す図である。図5及び図6に示すように、電動工具50は、把持部51の一部に工具側装着部52が設けられる。工具側装着部52は、接続部材20の形状(四角錐台状)に対応した形状の凹部を有する。工具側装着部52は、着用部10を着用した作業者が把持部51を把持する場合に、接続部材20が嵌め込まれて装着される。
【0020】
開口部53には、工具側接続部材60が配置されている。工具側接続部材60は、例えば角柱状に形成され、工具側端子配置面60a及び支持面を有する。接続部材20が工具側装着部52に装着された状態において、工具側端子配置面60aは、接続部材20の端子配置面20aに面同士で接触する。
【0021】
工具側端子配置面60aには、工具側電源端子61と、工具側信号端子62とが露出して配置される。工具側電源端子61は、工具側正極端子61a及び工具側負極端子61bを有する(図7等参照)。工具側正極端子61aは、電源端子21の正極端子21aに対応する形状を有する。工具側正極端子61aは、接続部材20が工具側装着部52に装着された状態において、正極端子21aに接触する位置に配置される。工具側負極端子61bは、電源端子21の負極端子21bに対応する形状を有する。工具側負極端子61bは、接続部材20が工具側装着部52に装着された状態において、負極端子21bに接触する位置に配置される。
【0022】
工具側信号端子62は、工具側第1端子62a及び工具側第2端子62bを有する(図7等参照)。工具側第1端子62aは、信号端子22の第1端子22aに対応する形状を有する。工具側第1端子62aは、接続部材20が工具側装着部52に装着された状態において、第1端子22aに接触する位置に配置される。工具側第2端子62bは、信号端子22の第2端子22bに対応する形状を有する。工具側第2端子62bは、接続部材20が工具側装着部52に装着された状態において、第2端子22bに接触する位置に配置される。
【0023】
工具側装着部52は、底部を有する。工具側装着部52の底部には、開口部53が設けられる。開口部53は、工具側接続部材60を移動させるための空間部51Kに連通されている。空間部51Kは、把持部51の内部に設けられる。上記した工具側接続部材60は、空間部51Kに挿入され、工具側端子配置面60aが開口部53から突出した状態で配置される。また、工具側接続部材60の支持面60bは、バネ等の弾性部材64により、把持部51の空間部51Kを構成する内壁部51cに支持されている。そのため、工具側接続部材60は、外部から力が加えられない状態においては基準位置P1で保持される。また、工具側接続部材60は、外部から工具側装着部52の内側へ向けた力が加えることにより、弾性部材64が弾性変形し、空間部51K側に移動可能となっている。また、工具側接続部材60は、工具側装着部52に対して空間部51Kの内側へ力を加えた状態から、当該力を解除することにより、弾性部材64の弾性力により基準位置P1に戻るようになっている。
【0024】
図7は、電動工具50の電気的構成を示すブロック図である。図7に示すように、電動工具50は、スイッチ部54と、応答用回路55と、工具コントローラ56と、モータ57とを有する。スイッチ部54は、一方の端子が工具側信号端子62の工具側第1端子62aに接続され、他方の端子が応答用回路55に接続される。また、図6及び図7に示すようにスイッチ部54は、リンク部63により工具側接続部材60に連結されている。本実施形態において、リンク部63としては、例えばバネ等の弾性部材が用いられる。
【0025】
工具側接続部材60が空間部51K側に押される場合、弾性部材64が収縮して工具側接続部材60が空間部51K側の接続位置P2に移動する。この工具側接続部材60の移動により、リンク部63が空間部51Kの内側に押されて収縮し、スイッチ部54を閉じる方向に弾性力が作用する。この弾性力により、スイッチ部54が閉じられ、応答用回路55と工具側信号端子62の工具側第1端子62aとが電気的に接続される。応答用回路55は、スイッチ部54が閉じられた状態において、電動工具50の応答信号を工具側信号端子62に入力する。また、工具側接続部材60を空間部51K側に押す力が解消される場合、弾性部材64が復元して工具側接続部材60が基準位置P1に戻る。この工具側接続部材60の移動により、リンク部63が空間部51Kの外側に押されて伸長し、スイッチ部54を開く方向に弾性力が作用する。この弾性力により、スイッチ部54が開かれ、応答用回路55と工具側信号端子62の工具側第1端子62aとの電気的な接続が切断される。応答用回路55は、スイッチ部54が開かれた状態において、電動工具50の応答信号を工具側信号端子62に入力されなくなる。
【0026】
このように、工具側装着部52においては、工具側接続部材60と、弾性部材64と、スイッチ部54と、リンク部63とにより、切替部70が構成されている。切替部70は、電源端子21と工具側電源端子61との電気的接続、及び信号端子22と応答用回路55との電気的接続を切り替える。
【0027】
工具コントローラ56は、工具側電源端子61を介して電動工具50に電源が供給される場合に、電動工具50の各動作を制御する。例えば、工具コントローラ56は、作業者の操作に応じてモータ57の回転のタイミングや回転速度等を制御する。モータ57は、例えば電動工具50の動力源であり、本実施形態においては、ドリルを回転させる際に用いられる。
【0028】
図8及び図9は、本実施形態に係るアダプタ30及び電源部80の一例を示す斜視図である。図8は、アダプタ30に電源部80が装着された状態を示す。図9は、アダプタ30から電源部80が外された状態を示す。
【0029】
アダプタ30は、ジャケット11に着脱可能に装着される。アダプタ30は、電源部80を着脱可能に装着する。アダプタ30は、ジャケット11に固定される固定部31と、電源部80が装着されるバッテリ装着部32と、ケーブルの端子が接続される接続部33とを有する。
【0030】
固定部31は、ジャケット11の少なくとも一部に掛けられることによってジャケット11に固定される。固定部31がジャケット11に固定されることにより、アダプタ30がジャケット11に装着される。また、固定部31とジャケット11との固定が解除されることにより、アダプタ30がジャケット11から外される。
【0031】
なお、固定部31をジャケット11以外の部位に設けてもよい。この場合、アダプタ30をジャケット11以外の部位に固定することができる。例えば、固定部31は、作業者が装着するベルト、ズボン等に設けてもよい。これにより、アダプタ30を作業者の腰部、脚部等に装着することができる。また、固定部31が設けられない構成とし、アダプタ30及び電源部80を例えばジャケット11やズボン等の収容部(ポケット等)に収容する構成としてもよい。
【0032】
バッテリ装着部32は、電源部80と連結される。電源部80は、電源端子21から電動工具50や後述の制御回路40等に供給する電力の供給源である。電源部80は、例えば充電式バッテリである。電源部80は、バッテリ装着部32に装着される。バッテリ装着部32は、電源部80をガイドするガイド部32Gを有する。電源部80は、ガイド部32Gにガイドされながらバッテリ装着部32をスライドすることによりバッテリ装着部32に装着される。アダプタ30に電源部80が装着されることにより、アダプタ30と電源部80とは通電可能状態となる。
【0033】
接続部33は、例えばアダプタ30の一部に設けられた凹状の接続ポートを有する(図9参照)。なお、接続部33の位置は、図9に示す位置に限定されず、他の位置に設けられてもよい。接続部33は、ケーブル34の一方の端子34aを装着可能である。ケーブル34の端子34aを接続部33に装着することにより、ケーブル34の端子34aと接続部33とが電気的に接続される。端子34aは、接続部33に対して着脱可能である。また、ケーブル34の他方の端子34bは、後述の制御回路40を介して電源端子21に接続される。なお、接続部33は、例えば凹状ではなく、アダプタ30から突出した状態で設けられてもよい。また、アダプタ30とケーブル34とが一体で設けられてもよい。この場合、ケーブル34には端子34aが設けられず、アダプタ30からケーブル34が直接延び出した状態である。また、ケーブル34の先端には、制御回路40に接続される端子34bが設けられる。また、アダプタ30からケーブルが一体で延び出され、ケーブルの先端に接続部33のポートが設けられてもよい。また、端子34bは、例えば制御回路40に直接接続されてもよいし、他の端子等を経由して制御回路40に接続されてもよい。また、制御回路40とケーブル40とが一体で設けられた構成であってもよい。この場合、ケーブル34には端子34bが設けられず、制御回路40から直接ケーブル34が延び出した状態である。
【0034】
次に、上記のように構成された電動工具システムSYSの使用態様の一例を説明する。図10は、接続部材20を工具側装着部52に着脱する様子を示す斜視図である。本実施形態において、作業者が着用部10を装着した場合、接続部材20は、着用部10のうち人差し指と中指の付け根の部分に対応する位置に配置される。一方、工具側装着部52は、作業者が所定の位置を把持する場合に、作業者の手のひらのうち人差し指及び中指の付け根部分に対応する位置に配置される。このため、着用部10を着用した作業者が、電動工具50の把持部51を把持することにより、着用部10に配置される接続部材20が把持部51の工具側装着部52に挿入される。この場合、接続部材20が四角錐台状であり、工具側装着部52が当該四角錐台状に対応する凹部であるため、接続部材20の傾斜面が工具側装着部52の傾斜面に沿って挿入されるため、挿入されつつ位置決めされることになる。
【0035】
図11及び図12は、接続部材20の着脱状態を模式的に示す図である。図11は断面構造を示す図であり、図12は電気的接続を示す図である。なお、以下の説明において、電動工具システムSYSは、アダプタ30に電源部80が装着された状態とする。
【0036】
図11及び図12に示すように、接続部材20と工具側装着部52との着脱状態は、離間状態、装着状態及び中間状態を含む。離間状態は、例えば接続部材20が工具側装着部52から取り外された状態である。装着状態は、例えば接続部材20が工具側装着部52に装着された状態である。より具体的には、接続部材20の端子配置面20aが工具側装着部52の底部に当接した状態である。中間状態は、離間状態から装着状態となる間の状態、又は装着状態から離間状態となる間の状態である。
【0037】
まず、切替部70は、上記の離間状態においては、電源端子21と工具側電源端子61とが電気的に切断され、かつ、信号端子22と応答用回路55とが電気的に切断された第1状態ST1とする。図11に示すように、第1状態ST1において、工具側接続部材60は、弾性部材64により基準位置P1で保持されている。また、スイッチ部54により、工具側第1端子62aと応答用回路55との間が電気的に切断されている。このため、工具側信号端子62に応答信号が入力されない状態である。また、例えば図11及び図12に示すように、電源端子21と工具側電源端子61とが離間し、信号端子22と工具側信号端子62とが離間した状態である。
【0038】
したがって、制御回路40において、工具認識回路41は、応答信号の入力を検出しない。よって、工具認識回路41は、通電許可回路42に対して通電禁止信号S2を出力する。通電許可回路42には、工具認識回路41からの出力信号として、通電禁止信号S2が入力される。このため、通電許可回路42は、電源部80の正極側と電源端子21の正極端子21aとの間を非通電状態とする。
【0039】
また、切替部70は、上記の中間状態においては、電源端子21と工具側電源端子61とが接触し、かつ信号端子22と応答用回路55とが電気的に切断された第2状態ST2とする。図11及び図12に示すように、第2状態ST2において、電源端子21と工具側電源端子61とが接触し、信号端子22と工具側信号端子62とが接触している。しかしながら、スイッチ部54により、工具側第1端子62aと応答用回路55との間が電気的に切断されている。
【0040】
したがって、制御回路40において、工具認識回路41は、応答信号の入力を検出しない。よって、工具認識回路41は、通電許可回路42に対して通電禁止信号S2を出力する。通電許可回路42には、工具認識回路41からの出力信号として、通電禁止信号S2が入力される。このため、通電許可回路42は、電源部80の正極側と電源端子21の正極端子21aとの間を非通電状態とする。よって、第2状態ST2では、電源端子21と工具側電源端子61とが接触しているが、電源部80の正極側と電源端子21の正極端子21aとの間が非通電状態であるため、電源部80の電力は電動工具50側には供給されない。
【0041】
また、切替部70は、上記の装着状態においては、電源端子21と工具側電源端子61とが電気的に接続され、かつ信号端子22と応答用回路55とが電気的に接続された第3状態ST3とする。図11に示すように、第3状態ST3において、工具側接続部材60は、弾性部材64により接続位置P2で保持されている。また、スイッチ部54により、工具側第1端子62aと応答用回路55との間が電気的に接続されている。したがって、応答用回路55から工具側信号端子62に応答用信号が入力される。また、図11及び図12に示すように、電源端子21と工具側電源端子61とが接触し、信号端子22と工具側信号端子62とが接触した状態である。
【0042】
したがって、制御回路40において、工具認識回路41は、応答信号の入力を検出する。よって、工具認識回路41は、通電許可回路42に対して通電許可信号S1を出力する。通電許可回路42には、工具認識回路41からの出力信号として、通電許可信号S1が入力される。このため、通電許可回路42は、電源部80の正極側と電源端子21の正極端子21aとの間を通電状態とする。第3状態ST3では、電源端子21と工具側電源端子61とが電気的に接続され、電源部80の正極側と電源端子21の正極端子21aとの間が通電状態である。このため、電動工具50の工具コントローラ56は、工具側正極端子61a及び正極端子21aを介して電源部80の正極側に電気的に接続される。また、工具コントローラ56は、工具側負極端子61b及び負極端子21bを介して電源部80の負極側に電気的に接続される。これにより、電源部80の電力が工具コントローラ56(電動工具50)に供給された状態となる。
【0043】
したがって、例えば、着用部10を着用した作業者が電動工具50の把持部51を把持していない状態では、接続部材20が工具側装着部52から取り外された離間状態であるため、電動工具システムSYSは上記の第1状態ST1となる。この状態から、作業者が把持部51を把持しようとする場合、中間状態となる。中間状態では、例えば作業者が把持部51に手を掛けることにより、接続部材20が工具側装着部52に嵌まり、端子配置面20aが工具側端子配置面60aに接触した状態となる。このとき、電動工具システムSYSは、上記の第2状態ST2となる。
【0044】
その後、作業者が把持部51を把持することにより、接続部材20が工具側装着部52に押し込まれる。このため、工具側接続部材60が空間部51Kの内側に押し込まれて接続位置P2に配置される。工具側接続部材60の移動により、リンク部63が収縮し、スイッチ部54が閉じた状態となる。スイッチ部54が閉じることにより、応答用回路55と工具側第1端子62aとが接続される。これにより、電動工具システムSYSは、上記の第3状態ST3となる。作業者は、第3状態ST3において、把持部51のトリガT(図5参照)を引く等の操作を行うことにより、電動工具50を作動させることが可能である。
【0045】
次に、この第3状態ST3から、作業者が把持部51を離して接続部材20を工具側装着部52から取り外そうとする場合、中間状態となる。この中間状態では、作業者が把持部51を把持する力を緩めると、工具側接続部材60を空間部51Kの内側に押し込む力が弱くなる。この力がリンク部63の弾性力よりも小さくなると、弾性部材64が復元する。これにより、接続部材20の端子配置面20aと工具側接続部材60の工具側端子配置面60aとが接触した状態のまま、工具側接続部材60が基準位置P1に戻される。また、スイッチ部54がリンク部63に引っ張られて開いた状態となり、応答用回路55と工具側第1端子62aとの電気的接続が切断される。したがって、電動工具システムSYSは、上記の第2状態ST2となる。この場合、工具認識回路41は、応答信号の入力を検出しなくなるため、通電禁止信号S2を通電許可回路42に出力する。通電許可回路42は、通電禁止信号S2が入力されるため、電源部80の正極側と電源端子21の正極端子21aとの間を非通電状態とする。これにより、電源端子21の正極端子21aと工具側電源端子61の工具側正極端子61aとの間が接触し、かつ負極端子21bと工具側負極端子61bとの間が接触した状態のまま、電源端子21と工具側電源端子61との間に電流が流れない状態となる。
【0046】
この状態から、作業者が把持部51から手を離すことにより、端子配置面20aが工具側端子配置面60aから離れ、接続部材20が工具側装着部52から取り外される。これにより、電動工具システムSYSは、上記の第1状態ST1となる。本実施形態では、電源端子21と工具側電源端子61とを接触させたまま両者の間に電流が流れない状態とし、その後、電源端子21と工具側電源端子61とを離間させる。このため、電源端子21と工具側電源端子61との間にアーク電流等が生じることを抑制できる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る電力供給システム100は、作業者の手に着用される着用部10と、着用部10に保持され、着用部10を着用した作業者が電動工具50の把持部51を把持することで把持部51に設けられる工具側装着部52に装着される位置に配置され、電動工具50に電力を供給する電源端子21と電動工具50からの応答信号が入力される信号端子22とが露出して配置される平面状の端子配置面20aを有し、工具側装着部52に装着された状態で電源端子21及び信号端子22が電動工具50に電気的に接続される接続部材20と、電力の供給源である電源部80を装着可能なアダプタ30と、アダプタ30に電源部80が装着された場合に、信号端子22に応答信号の入力があるか否かを検出し、応答信号が検出される場合には電源端子21と電源部80との間を通電状態とし、応答信号が検出されない場合には電源端子21と電源部80との間を非通電状態とする制御回路40と、を備える。
【0048】
これにより、信号端子22に対して電動工具50の応答信号が入力されない場合、電源端子21と電源部80とが非通電状態となる。このため、電力供給システム100は、平面状の端子配置面20aに電源端子21、信号端子22が露出して配置される構成において、複数の端子間に例えば針金、釘、ネジ、ボルト等の導電性部材が接触した場合であっても、端子間で電気的短絡が生じることを抑制できる。
【0049】
また、作業者が把持部51を工具側装着部52に押し込んだ状態から、把持部51を離して接続部材20を工具側装着部52から取り外す場合には、電源端子21と工具側電源端子61との間が接触した状態を維持したまま、電源端子21と工具側電源端子61との間を電流が流れない状態とすることができる。このため、電源端子21と工具側電源端子61との間に電流が流れた状態で電源端子21と工具側電源端子61とを離間させることを防ぐことができるため、電源端子21と工具側電源端子61との間にアーク電流が生じることを抑制できる。
【0050】
また、本実施形態に係る電力供給システム100において、制御回路40は、信号端子22に応答信号の入力がある場合には通電許可信号S1を出力し、信号端子22に応答信号の入力がない場合には通電禁止信号S2を出力する工具認識回路41と、工具認識回路41からの出力信号が入力され、出力信号が通電許可信号S1である場合には電源端子21と電源部80との間を通電状態とし、出力信号が通電禁止信号S2である場合には電源端子21と電源部80との間を非通電状態とする通電許可回路42と、を有する。この構成によれば、電源端子21と電源部80との間の電気的な接続状態の切り替えを容易かつ効率的に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態に係る電力供給システム100において、電源端子21は、通電許可回路42を介して電源部80の正極側に接続される正極端子21aと、電源部80の負極側に接続される負極端子21bとを有し、正極端子21a及び負極端子21bは、端子配置面20aに配置される。これにより、正極端子21aと負極端子21bとの間で短絡が生じることを抑制できる。
【0052】
また、本実施形態に係る電力供給システム100において、信号端子22は、工具認識回路41に接続される第1端子22a及び第2端子22bを有し、第1端子22a及び第2端子22bは、端子配置面20aに配置される。これにより、第1端子22aと第2端子22bとの間で短絡が生じることを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態に係る電力供給システム100は、アダプタ30を有し、作業者が着用するジャケット11を更に備え、着用部10は、ジャケット11の袖部12に連結される。これにより、作業者がジャケット11を着用することにより、着用部10及びアダプタ30の両方をまとめて着用することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る電動工具システムSYSは、作業者が把持する把持部51を有し、把持部51に工具側装着部52が設けられた電動工具50と、電動工具50に電力を供給する上記の電力供給システム100と、を備える。これにより、電気的短絡が抑制できる電動工具システムSYSが得られる。
【0055】
また、実施形態に係る電動工具システムSYSにおいて、電動工具50は、電動工具50を制御する工具コントローラ56と、工具コントローラ56に接続される工具側電源端子61と、応答信号を出力する応答用回路55と、応答用回路55に接続される工具側信号端子62と、を有する。これにより、電力供給システム100によって容易に電力を供給可能な構成となる。
【0056】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態を説明する。図13及び図14は、第2実施形態に係る電動工具システムSYS2の一例を示す図である。図13は、接続部材20及び工具側装着部152の断面構造を示す。図14は、電動工具システムSYS2の電気的接続の状態を示す図である。本実施形態では、電動工具150の構成が第1実施形態とは異なるため、当該相違点を中心として説明する。具体的には、上記第1実施形態に対して、工具側信号端子の位置を変更し、スイッチ部54を省略した構成である。
【0057】
図13及び図14に示すように、電動工具システムSYS2は、電動工具150及び電力供給システム100を備える。電動工具150は、把持部51の一部に工具側装着部152が設けられる。工具側装着部152は、底部を有する。工具側装着部152の底部には、開口部153が設けられる。
【0058】
開口部153は、把持部51の空間部51Kに接続されている。開口部153には、工具側接続部材160が配置されている。工具側接続部材160は、例えば角柱状に形成され、工具側端子配置面160a及び支持面を有する。接続部材20が工具側装着部152に装着された状態において、工具側端子配置面160aは、接続部材20の端子配置面20aに面で接触する。工具側端子配置面160aには、工具側電源端子61が配置される。工具側電源端子161は、工具側正極端子161a及び工具側負極端子161bを有する。
【0059】
また、工具側装着部152の底部は、接続部材20が工具側装着部152に装着された状態において、端子配置面20aに当接する。工具側装着部152の底部には、工具側信号端子162が配置される。工具側信号端子162は、工具側第1端子162a及び工具側第2端子162bを有する。
【0060】
また、工具側接続部材160の支持面は、バネ等の弾性部材64により、把持部51の空間部51Kを構成する内壁部51cに支持されている。工具側接続部材160は、外部から力が加えられない状態においては基準位置P1で保持される。また、工具側接続部材160は、外部から工具側装着部152の内側へ向けた力が加えることにより、弾性部材64が弾性変形し、空間部51K側に移動可能となっている。また、工具側接続部材160は、工具側装着部152に対して空間部51Kの内側へ力を加えた状態から、当該力を解除することにより、弾性部材64の弾性力により基準位置P1に戻るようになっている。本実施形態では、工具側接続部材160の移動と一体で工具側電源端子161が移動する。一方、工具側信号端子162の位置は、工具側装着部152の工具側装着部152の底部に固定されたままである。
【0061】
このように、工具側装着部152においては、工具側接続部材160と、弾性部材64ととにより、切替部170が構成されている。切替部170は、電源端子21と工具側電源端子161との電気的接続、及び信号端子22と応答用回路55との電気的接続を切り替える。
【0062】
まず、切替部170は、離間状態においては、電源端子21と工具側電源端子161とが電気的に切断され、かつ、信号端子22と応答用回路55とが電気的に切断された第4状態ST4とする。図13に示すように、第4状態ST4において、工具側接続部材160は、弾性部材64により基準位置P1で保持されている。また、例えば図13及び図14に示すように、電源端子21と工具側電源端子161とが離間し、信号端子22と工具側信号端子162とが離間した状態である。
【0063】
したがって、制御回路40において、工具認識回路41は、応答信号の入力を検出しない。よって、工具認識回路41は、通電許可回路42に対して通電禁止信号S2を出力する。通電許可回路42には、工具認識回路41からの出力信号として、通電禁止信号S2が入力される。このため、通電許可回路42は、電源部80の正極側と電源端子21の正極端子21aとの間を非通電状態とする。
【0064】
また、切替部170は、上記の中間状態においては、電源端子21と工具側電源端子161とが接触し、かつ信号端子22と応答用回路55とが電気的に切断された第5状態ST5とする。図13に示すように、第5状態ST5において、工具側接続部材160は、弾性部材64により中間位置P3で保持されている。中間位置P3は、上記の基準位置P1と、後述する接続位置P2との間の位置である。図13及び図14に示すように、工具側接続部材160が中間位置P3で支持される場合、電源端子21と工具側電源端子161とが接触しているが、信号端子22と工具側信号端子162とが離間した状態となる。
【0065】
したがって、制御回路40において、工具認識回路41は、応答信号の入力を検出しない。よって、工具認識回路41は、通電許可回路42に対して通電禁止信号S2を出力する。通電許可回路42には、工具認識回路41からの出力信号として、通電禁止信号S2が入力される。このため、通電許可回路42は、電源部80の正極側と電源端子21の正極端子21aとの間を非通電状態とする。よって、第5状態ST5では、電源端子21と工具側電源端子161とが接触しているが、電源部80の正極側と電源端子21の正極端子21aとの間が非通電状態であるため、電源部80の電力は電動工具150側には供給されない。
【0066】
また、切替部170は、上記の装着状態においては、電源端子21と工具側電源端子161とが電気的に接続され、かつ信号端子22と応答用回路55とが電気的に接続された第6状態ST6とする。図13に示すように、第6状態ST6において、工具側接続部材160は、弾性部材64により接続位置P2で保持されている。また、図13及び図14に示すように、電源端子21と工具側電源端子161とが接触し、信号端子22と工具側信号端子162とが接触した状態である。このため、応答用回路55から工具側信号端子162に応答用信号が入力される。
【0067】
したがって、制御回路40において、工具認識回路41は、応答信号の入力を検出する。よって、工具認識回路41は、通電許可回路42に対して通電許可信号S1を出力する。通電許可回路42には、工具認識回路41からの出力信号として、通電許可信号S1が入力される。このため、通電許可回路42は、電源部80の正極側と電源端子21の正極端子21aとの間を通電状態とする。第6状態ST6では、電源端子21と工具側電源端子161とが電気的に接続され、電源部80の正極側と電源端子21の正極端子21aとの間が通電状態である。これにより、電源部80の電力が工具コントローラ56(電動工具150)に供給された状態となる。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る電動工具システムSYS2において、工具側装着部152は、装着状態において信号端子22に接触する位置に工具側信号端子162が配置され、切替部170は、工具側電源端子161が露出して配置される平面状の工具側端子配置面160aを有する工具側接続部材160と、把持部51の内部と工具側接続部材160との間に連結され、離間状態においては工具側接続部材160を基準位置P1で支持し、装着状態においては工具側接続部材160を基準位置P1よりも把持部51の内側であって工具側電源端子161が電源端子21と接触し、かつ工具側信号端子162が信号端子22と接触する接続位置P2で支持し、中間状態においては基準位置P1と接続位置P2の間であって工具側電源端子161が電源端子21と接触し、かつ工具側信号端子162が信号端子22と離間する中間位置P3で工具側接続部材160を支持する弾性部材64と、を有する。これにより、工具側電源端子161と工具側信号端子162の位置が異なる場合であっても、端子間で電気的短絡が生じることを抑制でき、電源端子21と工具側電源端子61との間にアーク電流が生じることを抑制できる。
【0069】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態において、電源端子21及び信号端子22に接続される配線23が、線状に設けられる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。図15は、変形例に係る着用部10を示す図である。図15は、作業者の手の甲側から見た構成を示している。図15に示すように、配線23を帯状に並べて配置させたケーブル23Aを形成し、ケーブル23Aにより電源端子21及び信号端子22と、制御回路40とを接続する構成であってもよい。このように、配線23を帯状に並べることにより、断面積を確保することができるため、ケーブル23Aにおける発熱を抑制できる。
【0070】
また、例えば、上記実施形態では、電動工具50、150において、工具側装着部52、152が予め設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、電動工具50、150の把持部51に対して、工具側装着部52、152に相当する構成を着脱可能な構成としてもよい。
【0071】
また、例えば、上記実施形態では、電力供給システム100が、電源部80を着脱可能なアダプタ30を備える構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、アダプタ30が設けられず、電源部80がジャケット11等に内蔵された構成であってもよい。また、アダプタ30が設けられず、電源部80として、交流電源が用いられる構成であってもよい。この場合、例えばジャケット11等から配線が延び出し、配線の先端に交流電源のコンセントに差し込むプラグ等が設けられた構成とすることができる。また、電源部80は、電動工具50、150に内蔵されてもよい。
【0072】
また、例えば、上記実施形態では、スイッチ部54、リンク部63及び弾性部材64が電動工具50側に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。スイッチ部54、リンク部63及び弾性部材64は、例えば接続部材20等の電力供給システム100側に設けられてもよい。
【0073】
また、例えば、上記実施形態では、スイッチ部54、リンク部63及び弾性部材64が電動工具50側に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。スイッチ部54、リンク部63及び弾性部材64は、例えば接続部材20等、電動工具50、150の外部に設けられてもよい。
【0074】
また、例えば、上記実施形態では、制御回路40がジャケット11側に配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。制御回路40は、例えば接続部材20又は電動工具50、150に設けられてもよい。また、工具認識回路41及び通電許可回路42の少なくとも一方が接続部材20又は電動工具50、150に設けられた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
P1…基準位置、P2…接続位置、P3…中間位置、S1…通電許可信号、T…トリガ、S2…通電禁止信号、ST1…第1状態、ST2…第2状態、ST3…第3状態、ST4…第4状態、ST5…第5状態、ST6…第6状態、SYS,SYS2…電動工具システム、10…着用部、11…ジャケット、12…袖部、20…接続部材、20a…端子配置面、20b…保持面、21…電源端子、21a…正極端子、21b…負極端子、22…信号端子、22a…第1端子、22b…第2端子、23…配線、23A…ケーブル、30…アダプタ、31…固定部、32…バッテリ装着部、32G…ガイド部、33…接続部、40…制御回路、41…工具認識回路、42…通電許可回路、50,150…電動工具、51…把持部、51K…空間部、51c…内壁部、52,152…工具側装着部、53,153…開口部、54…スイッチ部、55…応答用回路、56…工具コントローラ、57…モータ、60,160…工具側接続部材、60a,160a…工具側端子配置面、60b…支持面、61,161…工具側電源端子、61a,161a…工具側正極端子、61b,161b…工具側負極端子、62,162…工具側信号端子、63…リンク部、64…弾性部材、70,170…切替部、80…電源部、100…電力供給システム。
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