(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では添付図面を参照しながら本発明に係る搬送方法及び搬送装置の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る土砂の搬送装置の概略構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る土砂の搬送装置の概略構成を説明するための概念図である。
図1では土砂を灰色に塗りつぶして示している。
図1に示されるように、本実施形態に係る搬送装置1は、例えば工事現場において、土砂を搬送するために用いられる。
【0020】
一般に工事現場等においては、建築構造物を造るときに地面を掘削することがあり、掘削により生じた土砂を搬送する必要が生じうる。また、建築構造物を造った後には、掘削箇所の埋め戻しを土砂によって行うことがあり、埋め戻しに必要な土砂を搬送する必要が生じうる。搬送装置1は、工事現場において、このような掘削により生じた土砂又は埋め戻しに必要な土砂等を搬送するためのものである。
【0021】
搬送装置1は、内部において土砂が搬送される搬送管10と、搬送管10の内部の土砂を搬送する搬送手段20とを備える。搬送管10は、土砂を吸入する吸入管11と、吸入管11に接続され、吸入管11により吸入された土砂を内部において搬送する搬送用ホース12と、搬送用ホース12に設けられた搬送手段20の管13とを含む。一例として、搬送管10の長さは、40m程度である。
【0022】
吸入管11の内部には、搬送手段20によって土砂が吸引される。搬送用ホース12の途中部分に搬送手段20が接続されており、搬送用ホース12は、搬送手段20によって吸入管11からの土砂を搬送する。搬送用ホース12は、搬送手段20の管13を境に分断されている。具体的には、搬送用ホース12は、吸入管11と管13を接続する第1のホース12cと、管13から土砂の搬送方向の下流側に延びる第2のホース12dとを含む。本実施形態において、管13は、搬送手段20の後述するエジェクタ22の合流管22cである。
【0023】
土砂は、搬送管10の内部において、吸入管11の先端11aから搬送用ホース12の末端12eに向かって流れる。搬送管10の内部を流れた土砂は、末端12eから排出され、その後、例えば所定の搬送先に搬送される。以下では、土砂が先端11aから末端12eに搬送される方向を「搬送方向」とする。搬送方向における上流側を単に「上流側」、搬送方向における下流側を単に「下流側」とすることがある。
【0024】
搬送用ホース12は、例えば、ポリ塩化ビニル製であり、フレキシブルホースであってもよい。一例として、フレキシブルホースの内面は平滑面とされており、フレキシブルホースの外面には、補強のために、凹凸状の隆起部が形成される。この隆起部は、例えば螺旋状とされている。搬送用ホース12がフレキシブルホースである場合、搬送用ホース12を容易に曲げることが可能となり且つ耐圧性にも優れた搬送用ホース12とすることが可能である。搬送用ホース12は透明であってもよく、搬送用ホース12が透明である場合、搬送用ホース12の内部の土砂の様子が視認可能となる。
【0025】
なお、搬送用ホース12としては、フレキシブルホース以外のものを用いることも可能であり、搬送用ホース12は透明でなくてもよい。搬送用ホース12は、例えば鋼管であってもよい。搬送用ホース12が鋼管である場合、当該鋼管の内面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、2.5μm以上且つ3.5μm以下である。
【0026】
搬送手段20は、圧縮空気を供給するコンプレッサ21と、コンプレッサ21からの圧縮空気を搬送用ホース12の内部に送り込むエジェクタ22と、コンプレッサ21及びエジェクタ22を接続するホース23とを備える。コンプレッサ21は、例えばトラックに積載されている。コンプレッサ21は、ホース23を介して圧縮空気をエジェクタ22の内部に送り込む。エジェクタ22は、コンプレッサ21から送り込まれた圧縮空気を加速させると共に、土砂の搬送方向への空気流を生じさせる。
【0027】
図2に示されるように、エジェクタ22は、コンプレッサ21からの圧縮空気が導入される導入管22aと、導入管22aから二本に分岐した分岐管22bと、分岐管22bの導入管22aとの反対側で合流する合流管22cとを含んでいる。導入管22aの内部には、コンプレッサ21からの圧縮空気が送り込まれる。導入管22aの内部に送り込まれた圧縮空気は、分岐管22bへ向かって矢印Bで示す方向に流れる。分岐管22bの内部には、導入管22aから分岐した圧縮空気が送り込まれる。各分岐管22bの内部に送り込まれた圧縮空気は、それぞれ合流管22cへ向かって矢印Cで示す方向に流れる。合流管22cの内部には、分岐管22bからの圧縮空気が送り込まれる。合流管22cの内部に送り込まれた圧縮空気は、合流して矢印Dで示す方向に流れ、合流管22cから第2のホース12dに排出される。
【0028】
エジェクタ22の内部において前述したように圧縮空気が流れることにより、圧縮空気の流れが加速する。これにより、搬送管10におけるエジェクタ22よりも上流側の部分に負圧が生じる。この負圧によって、吸入管11の先端11aから吸入管11及び搬送用ホース12の内部に土砂が吸入される。よって、吸入管11及び搬送用ホース12の内部において矢印Aで示す搬送方向に土砂が搬送される。
【0029】
搬送装置1は、搬送管10の内部に配置される撥水コート層30(低摩擦素材)を備えている。撥水コート層30は、例えば、搬送管10の内部における搬送方向の略全域にわたって設けられている。すなわち、撥水コート層30は、吸入管11の内部及び搬送用ホース12の内部に設けられる。
【0030】
撥水コート層30は、搬送管10の内面10aを覆っている。撥水コート層30は、例えば、潤滑性材料を含むコーティングワックスによって形成されている。撥水コート層30は、例えば内面10aよりも高い撥水性を備えた層である。撥水コート層30は、高い撥水性を有していることにより、撥水コート層30の表面30aにおいて水分を弾いて土砂を滑り易くしており、内面10aに対する土砂の摩擦を低減する低摩擦素材として機能する。
【0031】
撥水コート層30は、搬送管10の内部に配置される前に粒状とされている。撥水コート層30は、例えばロウ材5(
図3参照)から形成される。ロウ材5は、例えば常温(5〜35℃程度)で固体であり加熱すると液体となるペレット状の有機物である。ロウ材5は、油分を含んでおり、撥水性を有している。ロウ材5としては、例えばパラフィンワックスが用いられる。パラフィンワックスは、石油由来の天然ワックスである。
【0032】
ロウ材5としてパラフィンワックスを用いた場合、パラフィンワックスは広く一般的であるため、入手しやすいという利点がある。また、パラフィンワックスの融点は50〜70℃程度であるため、加工しやすく、且つ夏季に用いても融解しない。従って、ロウ材5がパラフィンワックスである場合、加工性及び取扱性が高いロウ材5とすることができる。
【0033】
なお、撥水コート層30は、ロウ材5以外の撥水性を有する粒状材から構成されていてもよい。ロウ材5は、パラフィンワックス以外の天然ワックス、合成ワックス、又は加工・変成ワックスであってもよい。天然ワックスには、動物由来のワックス、植物由来のワックス、石油由来のワックス、又は鉱物由来のワックスが含まれる。動物由来のワックスは、例えば、蜜蝋、鯨蝋、又はセラック蝋である。植物由来のワックスは、例えば、カルナバ蝋、木蝋、米糠蝋(ライスワックス)、又はキャンデリラワックスである。
【0034】
石油由来のワックスは、例えば、マイクロクリスタリンワックスである。鉱物由来のワックスは、例えば、モンタンワックス又はオゾケライトである。合成ワックスは、例えば、フィッシャートロプシュワックス、油脂系合成ワックス(エステル、ケトン類若しくはアミド等)又は水素化ワックスである。加工・変成ワックスは、例えば、酸化ワックス、配合ワックス又は変性モンタンワックスである。
【0035】
撥水コート層30は、例えば搬送管10の内面10aの略全体を覆うように形成されている。内面10aの略全体が撥水コート層30で覆われることによって、内面10aの略全体における撥水性が高められる。搬送管10の内部において、土砂は、内面10aにおける撥水性が高められた部分、すなわち撥水コート層30の表面30aに接触しながら搬送される。これにより、内面10aの略全体に対して土砂を滑り易くすることができる。なお、撥水コート層30は、内面10aの略全体を覆っていなくてもよく、内面10aの一部を覆っていてもよい。
【0036】
次に、
図3を参照しながら、第1実施形態に係る土砂の搬送方法について説明する。
図3に示されるように、この搬送方法では、土砂を搬送する前に、搬送管10の内部に撥水コート層30を配置する工程を実行する(低摩擦素材を配置する工程)。撥水コート層30を配置する工程では、ロウ材5を搬送管10の内部に流し込むことによって撥水コート層30を搬送管10の内面10aに形成する。
【0037】
具体的には、コンプレッサ21及びエジェクタ22の作動によって、搬送管10の内部にロウ材5を搬送方向に搬送する。このとき、吸入管11の先端11aから吸入管11の内部へロウ材5を吸入することにより、ロウ材5を搬送方向に流し込む。このようにロウ材5を流し込むことにより、内面10aにロウ材5が接触する。内面10aに接触したロウ材5の少なくとも一部が内面10aに付着し、例えば、ロウ材5の一部が欠けた状態となる。ロウ材5そのものが内面10aに付着する場合もある。
【0038】
ロウ材5は、搬送管10の内面10aの何箇所かに接触しつつ搬送されうる。よって、搬送管10の内部においてロウ材5が搬送されると、最初は内面10aに点状にロウ材5が付着する。そして、搬送管10の内部にロウ材5を流し続けると、内面10aの色々な箇所にロウ材5が接触する。その結果、内面10aの略全体を覆うようにロウ材5が付着していき、内面10aが付着したロウ材5によってコーティングされていく。
【0039】
一定量のロウ材5を搬送管10の内部に流し込む回数は、特に限定されないが、例えば3回程度である。また、搬送管10の内部にロウ材5を流し込む前に、予めロウ材5を温めてもよい。例えば、融点が65℃程度のロウ材5を用いる場合には、ロウ材5を50℃程度に温めてからロウ材5を流し込んでもよい。ロウ材5は温められると軟化するので、予め温められたロウ材5を搬送管10の内部に流し込むと、ロウ材5が内面10aに付着し易くなる。よって、ロウ材5が予め温められることにより、ロウ材5を付着し易くすることができるので、ロウ材5による内面10aのコーティングを効率よく行うことができる。
【0040】
ロウ材5によるコーティングを行って撥水コート層30を形成した後に土砂を搬送する(搬送する工程)。このとき、コンプレッサ21及びエジェクタ22によって前述した負圧を生じさせることにより吸入管11から土砂を吸入し、搬送方向に土砂を搬送する。土砂は、撥水コート層30の表面30aに接触しながら搬送されるので、内面10aに対して滑りやすくなっている。以上のように土砂を搬送して一連の工程が完了する。
【0041】
以上、第1実施形態に係る搬送方法及び搬送装置1によれば、搬送管10の内面10aをロウ材5でコーティングすることによって、内面10aにおける土砂が接触する部分を撥水コート層30とすることができ、当該部分の撥水性を高めることができる。よって、撥水コート層30の表面30aに土砂が接触しながら搬送されることにより、内面10aに対して土砂を滑り易くすることができる。よって、内面10aに土砂を停滞し難くすることができるので、搬送管10の内面10aへの土砂の付着を抑制することができる。内面10aへの土砂の付着が抑制されることにより、内面10aに土砂を堆積し難くすることができるので、搬送管10の内部の閉塞を抑制することができる。その結果、閉塞された部分の除去を不要とすることができるので、土砂の搬送作業の中断を発生しないようにすることができる。従って、土砂を搬送する搬送作業の効率を向上させることができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る土砂の搬送装置について
図4〜
図6を参照しながら説明する。以降の説明においては、第1実施形態と重複する説明を適宜省略する。
図4及び
図5に示されるように、第2実施形態に係る土砂の搬送装置は、短冊状とされた低摩擦素材40が搬送管10の内部に配置されている。低摩擦素材40は、例えば、搬送用ホース12の第2のホース12dの内部に配置されている。低摩擦素材40は、複数のしなやかなシート40sを有しており、搬送用ホース12の長手方向に短冊状に延びるように配置される。
【0043】
各シート40sの一方側の端部40aは、搬送用ホース12の長手方向から見て環状をなすように紐等により連結されている。端部40aは、搬送用ホース12の内部に固定されている。各シート40sの他方側の端部40bは、互いに連結されておらず、他の部材と固定されない自由端とされている。各シート40sは、固定された端部40aを起点として搬送用ホース12の長手方向に短冊状に延びた状態になる。
【0044】
短冊状とは、シート状の部材が長く薄く延びた形状をいい、矩形状であってもよいし、楕円形状等、矩形以外の形状であってもよい。低摩擦素材40が短冊状に延びた状態とは、例えば、低摩擦素材40の各シート40sが搬送用ホース12の長手方向に長く薄く延びると共に、搬送用ホース12の長手方向と交差する方向に揺れ動くことが可能である状態を含む。
【0045】
図6に示されるように、土砂が搬送されていない状態において、低摩擦素材40は、上流側に寄せ集められた状態となっている。この場合、土砂が搬送されるときに、低摩擦素材40は短冊状に延びた状態となる。低摩擦素材40は、搬送用ホース12の長手方向に短冊状に延びた状態において、搬送用ホース12の内面12aに沿っている。低摩擦素材40は搬送用ホース12の長手方向に延びる複数のスリット40cを有し、スリット40cとシート40sとが搬送用ホース12の周方向に沿って交互に配置される。土砂が搬送されるとき、低摩擦素材40の短冊状とされた部分(各シート40s)は、搬送用ホース12の内部の流れによって、搬送用ホース12の長手方向に延びると共に揺れ動いて変形する。
【0046】
低摩擦素材40は搬送用ホース12の長手方向と交差する方向に変形し、搬送用ホース12の内面12aに衝突したり波打ったりする。例えば、低摩擦素材40は、内面12aに対して接近及び離間するように揺れる。なお、低摩擦素材40の配置の仕方又は揺れ方によっては、低摩擦素材40が内面12aに衝突しないことも有りうる。低摩擦素材40の短冊状とされた部分が前述のような変形をして低摩擦素材40に土砂が接触することにより、内面12aに対する土砂の流れが促進される。
【0047】
低摩擦素材40は、例えば、フッ素樹脂から構成されている。フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンが用いられる。フッ素樹脂は、例えば硬質ポリエチレン、ポリプロピレン又は塩化ビニルと比較して、土砂に対する摩擦係数が低く、土砂が付き難いという性質を有する。硬質ポリエチレンの摩擦係数が0.008〜0.18、ポリプロピレンの摩擦係数が0.3、塩化ビニルの摩擦係数が0.45であるのに対し、ポリテトラフルオロエチレンの摩擦係数は0.004〜0.1である。従って、低摩擦素材40がポリテトラフルオロエチレンから構成される場合、低摩擦素材40そのものも土砂を付着し難くすることが可能である。
【0048】
次に、第2実施形態に係る土砂の搬送方法について説明する。第2実施形態に係る土砂の搬送方法では、土砂を搬送する工程の前に低摩擦素材40を配置する(低摩擦素材を配置する工程)。例えば、低摩擦素材40の端部40aを搬送用ホース12の内部に固定し、低摩擦素材40を上流側に寄せ集めて配置する。低摩擦素材40を配置した後には、第1実施形態と同様に搬送管10の内部の土砂を搬送し(搬送する工程)、一連の工程が完了する。
【0049】
以上、第2実施形態によれば、搬送管10の内部において土砂を搬送するとき、低摩擦素材40の短冊状とされた部分は、搬送管10の長手方向と交差する方向に波打った変形をする。この変形で低摩擦素材40が土砂に接触することにより、搬送管10の内面への土砂の付着を抑制することができる。
【0050】
第2実施形態によれば、土砂が付き難いフッ素樹脂から低摩擦素材40が構成されていることにより、低摩擦素材40に土砂を付着し難くすることができる。よって、フッ素樹脂から構成された低摩擦素材40を搬送用ホース12の内部に配置することにより、低摩擦素材40に対する土砂の付着を抑制することができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る土砂の搬送装置について
図7を参照しながら説明する。
図7に示されるように、第3実施形態に係る土砂の搬送装置では、筒状の低摩擦素材41が搬送管10の内部に配置される。低摩擦素材41は、しなやかなチューブであって、搬送用ホース12の内面12aに沿って筒状に延びるように配置される。
【0052】
低摩擦素材41の一方側の端部41aは搬送用ホース12の内部に固定される。低摩擦素材41の他方側の端部41bは、他の部材と固定されない自由端とされている。低摩擦素材41は、固定された端部41aを起点として搬送用ホース12の内面12aに沿って筒状に延びた状態となる。低摩擦素材41は、前述した低摩擦素材40と同様、土砂が搬送されていないときには、上流側に寄せ集められた状態となっていてもよい。そして、土砂が搬送されるときに、低摩擦素材41が筒状に延びた状態となってもよい。
【0053】
低摩擦素材41は、筒状に延びた状態において、内面12aの少なくとも一部を覆う。内面12aの低摩擦素材41に覆われている部分は、土砂との摩擦が低減される部分となっており、当該部分において土砂が滑り易くなる。低摩擦素材41の材料は、例えば、低摩擦素材40と同様であってもよい。一例として、低摩擦素材41がフッ素樹脂から構成される場合には、低摩擦素材41そのものに対して土砂を付着し難くすることができる。
【0054】
第3実施形態に係る土砂の搬送方法では、土砂を搬送する工程の前に、搬送管10の内部に低摩擦素材41を配置する(低摩擦素材を配置する工程)。具体的には、低摩擦素材41の端部41aを搬送用ホース12の内部に固定して、低摩擦素材41を上流側に寄せ集めておいてもよい。搬送用ホース12の内部に低摩擦素材41を配置した後には土砂を搬送する(搬送する工程)。このとき、低摩擦素材41が搬送用ホース12の内面12aに沿って筒状に延びた状態で土砂を搬送し、その後、一連の工程を完了する。
【0055】
以上、第3実施形態によれば、筒状の低摩擦素材41が搬送管10の内面10aに沿って延びるので、搬送管10の内面10aを低摩擦素材41が覆った状態となる。低摩擦素材41が搬送管10の内面10aを覆った状態で搬送管10の内部に土砂を搬送するので、搬送管10の内面10aに対して土砂を滑り易くすることができる。従って、搬送管10の内面10aに土砂を停滞し難くすることができるので、搬送管10の内面10aへの土砂の付着を抑制することができる。
【0056】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る土砂の搬送装置について、
図8を参照しながら説明する。
図8に示されるように、第4実施形態に係る土砂の搬送装置では、低摩擦素材として凹凸コート層43が搬送管10の内部に配置される。凹凸コート層43は、搬送管10の内部の略全域にわたって設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。
【0057】
凹凸コート層43の表面43aには、例えば、周期的に連続して並ぶ凹部6及び凸部7が形成されている。凹部6に対する凸部7の高さHは、例えば、10nm以上且つ10000nm(10μm)以下である。凹部6及び凸部7が形成されることにより、凹凸コート層43の撥水性が高められている。例えば、凹部6及び凸部7が形成されている表面43aに液体を落とすと、表面43aの凸部7にピンポイントで接触するように液滴が形成され、表面43aと液滴との間に空隙層が形成される。表面43aと液滴との間に空隙層が形成されると共に、凹部6及び凸部7によって表面43aに対する液滴の接触面積を小さくすることができるので、少なくとも搬送管10の内面10aよりも高い撥水性を発揮する。
【0058】
凹凸コート層43の表面43aには、水分の吸着によって水の膜が形成されうる。例えば、土砂が表面43aに接触するときに、土砂に含まれる水分が凹凸コート層43の凹部6に入り込むことにより、複数の凸部7の間に水の膜が形成される。当該水の膜は、表面43aから土砂を浮かび上がらせるので、表面43aに土砂が付着し難くなる。
【0059】
凹凸コート層43は、例えば、ポリウレア樹脂から構成されており、LINE−X(登録商標)によって形成されてもよい。一例として、ポリウレア樹脂を含む塗料が搬送管10の内面10aにスプレーによって吹き付けられ、吹き付けられた塗料が硬化することによって凹凸コート層43が形成される。ポリウレア樹脂を含む塗料が内面10aに吹き付け塗装されることによって、凹凸コート層43は容易に形成される。
【0060】
第4実施形態に係る土砂の搬送方法では、土砂を搬送する工程の前に凹凸コート層43を搬送管10の内部に配置する(低摩擦素材を配置する工程)。例えば、ポリウレア樹脂を含む塗料を搬送管10の内面10aにスプレーで吹き付けて当該塗料を硬化させることにより、凹凸コート層43を形成する。内面10aに凹凸コート層43を形成した後には、前述した各実施形態と同様に土砂を搬送する(搬送する工程)。土砂は凹凸コート層43の表面43aに接触しながら搬送される。以上の工程を経て一連の工程が完了する。
【0061】
以上、第4実施形態によれば、撥水効果を生じさせる凹凸コート層43を搬送管10の内面10aに形成することにより、搬送管10の内部において土砂を搬送するときには、内面10aに対して土砂を滑り易くすることができる。従って、内面10aに土砂を停滞し難くすることができるため、内面10aへの土砂の付着を抑制することができる。
【0062】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る土砂の搬送装置について
図9を参照しながら説明する。
図9では土砂を灰色に塗りつぶして示している。第5実施形態に係る土砂の搬送装置は、搬送管10の内面10aに対する土砂の接触を低減する接触低減材を備え、当該接触低減材は砂質材料50である。第5実施形態に係る搬送装置は、砂質材料50と、砂質材料50を搬送管10に供給する供給配管51と、供給配管51に配設されたエジェクタ52とを備える。
【0063】
砂質材料50は、付着性が高い成分を含んでおらず、例えば、砂質材料50の細粒分含有率(Fc)は0%程度である。細粒分含有率(Fc)は、砂質材料に含まれる細粒分(粒径75μm未満の粒子)が占める割合を質量百分率で示した値である。砂質材料50の平均粒径は、例えば、75μm以上且つ2mm以下である。砂質材料50は、エジェクタ52から供給配管51及びエジェクタ22を介して搬送用ホース12の内部に供給される。砂質材料50は、例えば、エジェクタ22及び第2のホース12dの内部において土砂と共に搬送される。土砂と共に砂質材料50が搬送されるときには、土砂の周りに砂質材料50が散在した状態となる。砂質材料50は、土砂の周りに散在することにより、土砂が搬送用ホース12の内面12aに接触するのを抑制する機能を発揮する。
【0064】
砂質材料50は、搬送用ホース12の末端12eにおいて土砂と共に排出される。砂質材料50及び土砂は、末端12eから排出された後、例えば、振動ふるい機54に投入される。振動ふるい機54は、網等のふるい面を有し、ふるい面上の原料等をふるい分ける装置である。振動ふるい機54は、投入された砂質材料50及び土砂をふるい分けて、砂質材料50を土砂から分離する。振動ふるい機54によって分離された砂質材料50は、再度土砂と共に搬送される砂質材料50として再利用することができる。振動ふるい機54は、搬送装置とは別体の装置であってもよいし、搬送装置と一体にされていてもよい。
【0065】
供給配管51は、エジェクタ22の上流側に接続されている。供給配管51は、例えば鋼管製であり、エジェクタ22に連通されている。供給配管51の内部には、不図示のコンプレッサ及びエジェクタ52の作動によって負圧が生じ、この負圧によって砂質材料50が矢印Eで示す方向に圧送される。圧送された砂質材料50はエジェクタ22の内部に送り込まれ、エジェクタ22の内部に送り込まれた砂質材料50は、前述した搬送手段20によって土砂と共に搬送される。エジェクタ52は、前述したエジェクタ22と同様の構成及び機能を有していてもよい。
【0066】
第5実施形態に係る土砂の搬送方法では、砂質材料50を土砂と共に搬送する(搬送する工程)。具体的には、供給配管51の内部に負圧を生じさせることにより、エジェクタ52から供給配管51の内部へ砂質材料50を吸入し、砂質材料50をエジェクタ22の内部に供給する。そして、コンプレッサ21及びエジェクタ22の作動によって生じた負圧により、吸入管11の先端11aから土砂を吸入すると共に、搬送管10の内部において土砂を搬送する。エジェクタ22の内部に送り込まれた砂質材料50は、例えば、第2のホース12dの内部において土砂と共に搬送される。よって、第2のホース12dでは、砂質材料50が土砂の周囲に散在した状態で土砂と共に搬送される。以上の工程を経て土砂の搬送が完了する。
【0067】
なお、砂質材料50のエジェクタ22への供給を開始するタイミングは、土砂を搬送する前であってもよく、土砂の搬送開始と同タイミングであってもよく、土砂を搬送しているときであってもよい。搬送用ホース12の末端12eから排出された砂質材料50及び土砂を振動ふるい機54に投入し、砂質材料50を土砂から分離してもよい。このように砂質材料50を土砂から分離することにより、分離した砂質材料50を再利用してもよい。
【0068】
以上、第5実施形態によれば、搬送管10の内部において土砂の周りに砂質材料50が散在した状態で土砂が搬送される。このように砂質材料50が散在した状態で土砂を搬送することにより、搬送管10の内面10aに土砂を接触し難くすることができる。よって、搬送管10の内面10aへの土砂の付着を抑制することができる。
【0069】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係る土砂の搬送装置について
図10を参照しながら説明する。
図10に示されるように、第6実施形態に係る土砂の搬送装置では、土砂の接触を低減する接触低減材として団粒化材56が用いられる。第6実施形態においては、団粒化材56が混合された土砂を搬送する。
【0070】
団粒化材56は、土砂と混合されることにより土砂を団粒化させる材料である。団粒化とは、土砂の微細粒子を結合させて塊状にすることである。団粒化材56は、例えば、ゼオライト又は酸化マグネシウムを含む土壌改質材によって構成される。団粒化材56は、例えば、グラニュレータ57で土砂と混合されることによって土砂を団粒化する。
【0071】
グラニュレータ57は、原料の混合により原料から造粒物を形成する造粒機である。グラニュレータ57は、投入された団粒化材56と土砂とを混合することにより、投入前の土砂よりも大きな塊状とされた搬送対象物58を形成する。グラニュレータ57は、搬送装置とは別体の装置であってもよいし、搬送装置と一体にされていてもよい。搬送対象物58は、搬送管10の内部において搬送される。搬送対象物58では、団粒化により土砂の付着性の高い成分が内部に閉じ込められた状態となっており、付着性の高い成分が外部に露出し難くなっている。
【0072】
第6実施形態に係る土砂の搬送方法では、搬送する工程の前に、団粒化材56を土砂に混合する。具体的には、グラニュレータ57に団粒化材56及び土砂を投入し、団粒化材56と土砂とを混合する。これにより、土砂を団粒化させて搬送対象物58を形成する。グラニュレータ57に投入する土砂と団粒化材56の配合、及び、団粒化材56を構成する成分は、土砂の種類又は成分等によって適宜調整可能である。そして、搬送対象物58を、前述した各実施形態と同様に、搬送管10の内部において搬送する(搬送する工程)。
【0073】
以上、第6実施形態によれば、付着性の高い成分が内部に閉じ込められた状態の土砂を含む搬送対象物58を搬送することにより、搬送管10の内面10aに、土砂の付着性の高い成分を接触し難くすることができる。よって、内面10aへの土砂の付着を抑制することができる。更に、団粒化により土砂を含む搬送対象物58の体積が大きくなっているため、団粒化される前の体積が小さい場合よりも内面10aに土砂を付着し難くすることができる。
【0074】
更に、団粒化により搬送対象物58の体積が大きくなっているため、団粒化される前の体積が小さい場合と比較して、搬送時に搬送対象物58が受ける力を大きくすることができる。これにより、搬送対象物58が内面10aに接触しても、接触した搬送対象物58を内面10aから剥がれ易くすることができる。
【0075】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態に係る土砂の搬送装置について
図11を参照しながら説明する。
図11では土砂を灰色に塗りつぶして示すと共に、土砂の凍結固化された表面を太い実線で示している。第7実施形態に係る土砂の搬送装置は、土砂を凍結固化する凍結固化手段59を備えており、凍結固化手段59によって凍結固化された土砂を搬送する。
【0076】
凍結固化手段59は、液体窒素を噴射する噴射ノズル60と、噴射ノズル60から噴射された液体窒素と土砂とを内部において撹拌する回転ドラム61とを備える。噴射ノズル60は、例えば、霧状とした液体窒素を回転ドラム61の内部に噴射する。回転ドラム61の内部には、予め土砂が投入されている。回転ドラム61は、例えば、円筒状を呈しており、軸線回りに回転することにより噴射ノズル60から噴射された液体窒素と土砂とを撹拌する。凍結固化手段59は、搬送装置とは別体の装置であってもよいし、搬送装置と一体にされていてもよい。
【0077】
液体窒素と土砂とが撹拌され、土砂に液体窒素が供給されることにより、土砂の少なくとも表面が瞬間的に凍結固化する。以下、凍結固化手段59によって凍結固化された土砂を「凍結土砂」とする。凍結土砂は、その表面が凍結固化していることにより、表面の付着性が低くなっている。このように土砂は凍結土砂とされた状態で搬送管10の内部に搬送される。凍結土砂は、搬送用ホース12の末端12eから排出された後、凍結固化された部分が解凍することにより、凍結固化される前と同様の状態の土砂に戻る。
【0078】
第7実施形態に係る土砂の搬送方法では、土砂を搬送する前に、土砂の少なくとも表面を凍結固化して凍結土砂を形成する(凍結固化する工程)。具体的には、まず回転ドラム61の内部に土砂を入れて、噴射ノズル60から土砂に液体窒素を噴射すると共に、回転ドラム61を回転させることにより、土砂に液体窒素を供給する。回転ドラム61の内部に噴射する液体窒素の量は、土砂の種類又は成分等によって適宜調整される。そして、凍結土砂を、前述した各実施形態と同様に、搬送管10の内部において搬送する(搬送する工程)。
【0079】
凍結土砂は、搬送管10の内部において搬送された後に搬送用ホース12の末端12eから排出される。その後、前述したように、凍結土砂の凍結固化された部分が解凍することにより、凍結固化される前と同様の状態の土砂を得る。よって、搬送前後で土砂の水分比が大きく変化しないようになっており、搬送前よりも搬送後の方が土砂の水分比が大きくなることによる土砂の泥濘化が抑制される。
【0080】
以上、第7実施形態によれば、少なくとも表面が凍結固化されることによって表面の付着性が低下した土砂を搬送管10の内部において搬送することにより、搬送管10の内面10aに土砂を付着し難くすることができる。また、第7実施形態によれば、液体窒素を土砂に供給することにより、土砂を瞬間的に凍結固化することができるため、土砂の搬送作業の効率を向上することができる。更に、土砂の搬送後には、土砂の凍結固化された部分が解凍するため、土砂の泥濘化を抑制することができる。よって、搬送管10から出た後の土砂の処理を容易に行うことができる。
【0081】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態に係る土砂の搬送装置について
図12を参照しながら説明する。
図12では土砂を灰色に塗りつぶして示すと共に、土砂の表面に付与された水分を黒い点で示している。第8実施形態に係る土砂の搬送装置は、水を供給する水供給部63(供給手段)を備えている。水供給部63は、搬送管10の内面10aへの土砂の滞留を抑制する流体として、水を搬送管10の内部に供給する。
【0082】
水供給部63は、例えば、搬送用ホース12の第2のホース12dに複数配置されている。水供給部63は、水を貯留するタンク64と、タンク64から水を汲み上げるポンプ65と、ポンプ65により汲み上げられた水を第2のホース12dの内部に噴射する噴射ノズル66と、ポンプ65及び噴射ノズル66を接続する配管67とを備える。ポンプ65によってタンク64から汲み上げられた水は、配管67を通って噴射ノズル66に送り込まれる。
【0083】
噴射ノズル66は、例えば、エジェクタ22の下流側に位置している。噴射ノズル66は、搬送用ホース12の内面12a及び外面12bを貫通するように設けられている。噴射ノズル66は、搬送用ホース12の内部を湿らす程度にミスト状に水を噴霧する。これにより、噴射ノズル66は、例えば土砂が泥濘化しない程度に土砂の表面に適度な水分を付与する。噴射ノズル66により噴霧される水の噴霧量は、例えば、100mL/min以上且つ6000mL/min以下であるが、適宜変更可能である。
【0084】
噴射ノズル66が土砂の表面に適度な水分を付与することにより、土砂が搬送用ホース12の内面12aに接触しても土砂と内面12aとの間に水の層が介在するので、当該水の層により、内面12aに対して土砂が滑り易くなる。従って、搬送用ホース12の内面12aへの土砂の滞留が抑制される。
【0085】
第8実施形態に係る土砂の搬送方法は、水を噴射する工程を備え、水を噴射する工程において噴射された水を土砂と共に搬送する。具体的には、ポンプ65によってタンク64から汲み上げた水を配管67を介して噴射ノズル66に送り、噴射ノズル66から搬送用ホース12の内部に水を噴霧する(水を噴射する工程)。そして、前述した各実施形態と同様に、搬送管10の内部において土砂を搬送し(搬送する工程)、一連の工程が完了する。なお、水供給部63によって水を噴射し始めるタイミングは、土砂を搬送する前であってもよく、土砂の搬送開始と同時であってもよく、土砂を搬送しているときであってもよい。
【0086】
以上、第8実施形態によれば、搬送用ホース12の内面12aへの土砂の滞留を抑制する水を土砂と共に搬送する。これにより、搬送用ホース12の内部において土砂を搬送するときに、当該水によって、内面12aに土砂を滞留し難くすることができる。よって、内面12aに対する土砂の流動性を高めることができるので、搬送用ホース12の内面12aへの土砂の付着を抑制することができる。
【0087】
第8実施形態によれば、搬送用ホース12の外部から搬送用ホース12の内部に噴射した水を、土砂と共に搬送する水として用いている。水供給部63により適度な水分を土砂の表面に付与することができるので、土砂の表面を搬送用ホース12の内面12aに対して滑り易くすることができる。よって、内面12aに対する土砂の流動性を高めることができるので、内面12aへの土砂の付着を抑制することができる。更に、泥濘化しない程度の適度な水分を土砂の表面に付与することにより、搬送管10から出た後の土砂の処理を容易に行うことができる。
【0088】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態に係る土砂の搬送装置について、
図13を参照しながら説明する。
図13に示されるように、第9実施形態に係る土砂の搬送装置は、水を供給する供給手段としてバイブレータ68,69を備える。土砂は、バイブレータ68,69から振動を受けることにより、保有している水分を水として外部へ滲出する。バイブレータ68,69の振動の周波数は、土砂の成分等に基づき、適宜設定される。
【0089】
バイブレータ68は、搬送管10の内部に吸入される前の土砂を収容する容器70の外側に設けられている。バイブレータ68は、容器70の外側底面70aに配置され、外側底面70aから容器70の内部の土砂に振動を加える。バイブレータ68は、搬送管10の内部に吸入される前の土砂から水を滲出させる。
【0090】
バイブレータ69は、例えば、第2のホース12dの外側に設けられている。一例として、バイブレータ69は、搬送用ホース12におけるエジェクタ22の下流側に配置されている。バイブレータ69は、搬送用ホース12の外面12bから搬送用ホース12の内部の土砂に振動を加える。
【0091】
土砂から水を滲出させることにより、土砂の表面に適度な水分が付与される。表面に適度な水分が付与された状態の土砂が搬送されることにより、搬送管10の内面10aに土砂が接触しても、土砂と内面10aとの間に水の層が介在する。このように振動を受けて土砂から滲出した水は、内面10aへの土砂の滞留を抑制する。
【0092】
第9実施形態に係る土砂の搬送方法は、水を滲出させる工程を備え、水を滲出させる工程で滲出させた水を土砂と共に搬送する。具体的には、バイブレータ68により搬送管10の内部に吸入される前の土砂に振動を加えると共に、バイブレータ69により搬送用ホース12の内部の土砂に振動を加える。これにより、搬送管10の内部に吸入される前の土砂から水を滲出させると共に、搬送管10の内部の土砂から水を滲出させる。そして、前述した各実施形態と同様に、搬送管10の内部において土砂を搬送し(搬送する工程)、一連の工程が完了する。なお、バイブレータ68,69は、連続的に土砂を振動させてもよいし、間欠的に土砂を振動させてもよい。このように、バイブレータ68,69が動作するタイミングは適宜変更可能である。
【0093】
以上、第9実施形態によれば、振動により適度な水分を土砂の表面に付与することができるので、土砂を搬送管10の内面10aに対して滑り易くすることができる。よって、内面10aに対する土砂の流動性を高めることができるので、内面10aへの土砂の付着を抑制することができる。
【0094】
第9実施形態によれば、土砂に振動を作用させることにより、土砂から滲出した水を内面10aへの滞留抑制用の流体として用いることができる。土砂に振動を作用させることにより、泥濘化しない程度の適度な水分を土砂の表面に付与することができるので、搬送管10から出た後の土砂の処理を容易に行うことができる。また、第9実施形態では、土砂から水を滲出させるので、搬送管10の外部から搬送管10の内部への水の供給が不要である。
【0095】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態に係る土砂の搬送装置について説明する。第10実施形態に係る土砂の搬送装置は、例えば
図13のバイブレータ69が設けられる位置に水供給手段としてコイルを備えている。この搬送装置は、例えば、土砂が所定値よりも高い含水比を有するスラリー状の浚渫土である場合に用いられる。この搬送装置が適用される土砂の含水比は、例えば、塑性限界以上の値であり、望ましくは、自然含水比+2%以上且つ液性限界の2倍以下の値である。上記のコイルは、例えば第2のホース12dに巻き付けられる導線により形成され、この導線に電流が流れることにより電磁波(電磁エネルギー)を発生させる。土砂は、前述した振動を受ける場合と同様、電磁波を受けることにより、保有している水分を水として外部へ滲出する。
【0096】
コイルは、容器70に導線を巻き付けることにより形成されてもよい。当該コイルは、電流が流れることにより、容器70の内部に収容された土砂に電磁波を作用させる。電磁波を作用させるとは、電磁波によって電気的及び磁気的な影響を及ぼすことであり、電磁波の発生によって放出される電磁エネルギーを作用させることを含む。当該コイルは、容器70の内部に収容された土砂に電磁波を作用させることにより、容器70の内部に収容された土砂から水を滲出させる。以上のように、コイルの配置位置は適宜変更することが可能である。電磁波を受けることにより土砂から滲出した水は、前述した第9実施形態と同様、搬送管10の内面10aへの土砂の滞留を抑制する。
【0097】
第10実施形態に係る土砂の搬送方法では、コイルにより土砂から水を滲出させる。具体例として、コイルにより、搬送管10の内部に吸入される前の土砂、及び搬送用ホース12の内部の土砂に電磁波を作用させる(水を滲出させる工程)。そして、前述した各実施形態と同様に、搬送管10の内部において土砂を搬送し(搬送する工程)、一連の工程が完了する。
【0098】
以上、第10実施形態においても、第9実施形態と同様、搬送管10の内面10aに対する土砂の流動性を高めることができるので、内面10aへの土砂の付着を抑制することができる。また、第10実施形態によれば、土砂に電磁波を作用させることにより、土砂から水を滲出させることができる。従って、第9実施形態と同様の効果が得られる。
【0099】
(第11実施形態)
次に、第11実施形態に係る土砂の搬送装置について
図14を参照しながら説明する。
図14では土砂を灰色に塗りつぶして示している。第11実施形態に係る土砂の搬送装置は、空気を供給する空気供給部72(供給手段)を備えている。空気供給部72は、土砂と共に搬送され搬送管10の内面10aへの土砂の滞留を抑制する流体として、例えば、圧縮空気を供給する。
【0100】
空気供給部72は、例えば、搬送用ホース12の第2のホース12dの複数箇所に配置されている。空気供給部72は、空気を供給するコンプレッサ73と、コンプレッサ73からの空気を第2のホース12dの内部へ流し込む流入ノズル74と、コンプレッサ73及び流入ノズル74を接続する配管75とを備える。コンプレッサ73からの空気は、配管75の内部を通って流入ノズル74に送り込まれる。
【0101】
流入ノズル74は、例えば、搬送用ホース12の内面12a及び外面12bを貫通するように搬送用ホース12に設けられている。流入ノズル74は、コンプレッサ73から配管75を介して送り込まれた空気を内面12aに沿うように矢印Eで示す方向へ流し込む。流入ノズル74からの空気の流入量は、例えば、200NL/min以上且つ1200NL/min以下であるが、適宜調整可能である。なお、NL/minとは、温度0℃、大気圧1013hPa、相対湿度0%、という基準状態で測定した1分当たりの流入量の単位を示している。
【0102】
流入ノズル74から搬送用ホース12の内面12aに沿うように空気が供給されると、この空気によって、内面12aに沿って流れる流体の流速が速くなる。ところで、
図15(a)に示されるように、圧縮空気が搬送用ホース12の内部に供給されていない場合には、搬送用ホース12の径方向の中央と比較して、搬送用ホース12の内面12a側を流れる流体の流速は遅くなる。よって、搬送用ホース12の径方向の中央と比較して内面12a側では土砂が流れ難くなるので、内面12aに土砂が付着し易い。
【0103】
これに対し、空気が搬送用ホース12の内面12aに沿うように供給される場合には、この空気によって内面12a側を流れる流体の流速を速めることができる。よって、
図15(b)に示されるように、搬送用ホース12の内部における流体の流速を、搬送用ホース12の内部の位置にかかわらず一定にすることができる。また、空気の流入量を調整することにより、
図15(c)に示されるように、内面12a側を流れる空気の流速を、搬送用ホース12の径方向の中央の流速より速くすることもできる。このように搬送用ホース12の内面12a側を流れる流体の流速を速くすることができるので、内面12aに対する土砂の流動性が高められる。よって、内面12aに沿うように供給された空気は内面12aへの土砂の滞留を抑制する。
【0104】
第11実施形態に係る土砂の搬送方法では、搬送用ホース12の内面12aに沿うように供給される空気を土砂と共に搬送する。具体的には、コンプレッサ73から空気を流入ノズル74に送り込み、流入ノズル74から内面12aに沿うように空気を供給する(空気を供給する工程)。このとき、空気の流入量を調整し、内面12a側の流速が速くなるように空気を供給してもよい。そして、前述した各実施形態と同様に、搬送管10の内部において土砂を搬送し(搬送する工程)一連の工程を完了する。なお、空気供給部72は、連続的に空気を供給してもよいし、間欠的に空気を供給してもよい。このように、空気供給部72が動作するタイミングは適宜変更可能である。
【0105】
以上、第11実施形態によれば、搬送用ホース12の内面12aに沿うように供給された空気と共に土砂を搬送するため、内面12aに沿うように供給された空気によって、内面12a側の土砂及び空気の流速を速くすることができる。よって、内面12aに対する土砂の流動性を高めることができるため、内面12aへの土砂の付着を抑制することができる。
【0106】
(第12実施形態)
次に、第12実施形態に係る搬送装置について
図16を参照しながら説明する。
図16では土砂を濃い灰色に塗りつぶすと共に、後述する土砂と馴染まない液体80を薄い灰色で塗りつぶして示している。第12実施形態に係る搬送装置は、土砂と馴染まない液体80を供給する液体供給部76(供給手段)を備える。液体供給部76は、土砂と共に搬送され搬送管10の内面10aへの土砂の滞留を抑制する流体として、土砂と馴染まない液体80を供給する。
【0107】
土砂と馴染まない液体80とは、例えば、土砂に混合せず土砂と溶け合うことがない液体である。液体80としては、例えばフッ素系液体又は消火液を用いることができる。フッ素系液体は、例えばノベック(登録商標)高機能性液体である。フッ素系液体は、ハイドロフルオロエーテルを含むフッ素系溶剤であってもよい。消火液は、例えば、水成膜泡消火薬剤である。
【0108】
液体供給部76は、液体80を溜めるタンク77と、タンク77から液体80を汲み上げて圧送するポンプ78と、ポンプ78から圧送された液体80が入り込む容器81と、ポンプ78が設けられると共にタンク77から容器81まで延びる配管79とを備える。ポンプ78によってタンク77から汲み上げられた液体80は、配管79の内部で矢印Gで示す方向に流れる。配管79の端部79aは容器81の上方において開口しており、配管79の内部を流れる液体80は端部79aから容器81の内部に放出される。
【0109】
容器81には予め土砂が収容されており、容器81の内部には土砂と液体80とが互いに分離された状態で収容される。容器81の内部に収容された土砂及び液体80は、前述の各実施形態と同様に搬送管10の内部において搬送される。このとき、液体80は、土砂と馴染まない液体であるため、土砂と共に搬送されたとしても、土砂と混合せず土砂と分離されたままである。
【0110】
搬送管10の内部において土砂及び液体80を搬送するときに、液体80は土砂の表面を覆った状態となる。この液体80によって搬送管10の内面10aに対する土砂の流動性が高められる。すなわち、液体供給部76により供給された液体80は、内面10aへの土砂の滞留を抑制する。
【0111】
液体80は、搬送用ホース12の末端12eにおいて土砂と共に排出される。液体80及び土砂は、末端12eから排出された後、ふるい82に投入される。ふるい82は、例えば前述した振動ふるい機54と同様の装置であってもよい。ふるい82は、投入された液体80及び土砂をふるい分けて、液体80を土砂から分離する。ふるい82によって分離された液体80は、搬送管10の内部において搬送される液体80として再利用することができる。振動ふるい機82は、搬送装置とは別体の装置であってもよいし、搬送装置と一体にされていてもよい。
【0112】
第12実施形態に係る土砂の搬送方法では、液体80を土砂と共に搬送する。具体的には、ポンプ78によってタンク77から汲み上げた液体80を配管79の内部で圧送すると共に容器81の内部に放出する。これにより容器81の内部において土砂と液体80とを合わせる。そして、前述した各実施形態と同様に、搬送管10の内部において液体80及び土砂を搬送し(搬送する工程)一連の工程を完了する。
【0113】
以上、第12実施形態によれば、搬送用ホース12の内部において土砂を搬送するときに、土砂の表面が液体80に覆われた状態となるので、搬送用ホース12の内面12aに対する土砂の流動性を高めることができる。よって、内面12aへの土砂の付着を抑制することができる。また、土砂の表面を覆う液体80は土砂と馴染まないものであり、土砂と液体80との混合が抑制されるので、土砂の泥濘化を抑制することができる。よって、搬送用ホース12から出た後の土砂の処理を容易に行うことができる。更に、液体80は土砂と馴染まないため、土砂の搬送後に土砂と液体80とを分離することにより、液体80を再利用することができる。
【0114】
(第13実施形態)
次に、第13実施形態に係る土砂の搬送装置について
図17を参照しながら説明する。
図17に示されるように、第13実施形態に係る搬送装置では、搬送管10の内面10aに複数の螺旋溝83が形成されている。螺旋溝83は、螺旋状の溝であって、
図17においては複数の螺旋溝83のうちの一つを示している。しかしながら、実際には、複数の螺旋溝83が搬送管10の長手方向に沿って形成されている。螺旋溝83は、例えば、搬送管10の内部における搬送方向の略全域にわたって設けられている。
【0115】
図18(a)に示されるように、搬送管10の長手方向から見て、各螺旋溝83は略矩形状を呈しており、複数の螺旋溝83が周方向に連続して並んでいる。各螺旋溝83の間は凸部84とされている。各螺旋溝83の幅W1と凸部84の幅W2とは、例えば略等しくなっている。なお、幅W1と幅W2とは互いに等しくなくてもよいが、幅W1と幅W2とが略等しい場合には、搬送管10の内部における空気の流れを乱れにくくすることができるという効果が得られる。
【0116】
周方向に互いに隣り合う螺旋溝83の配置間隔は、例えば50mm以上且つ2000mm以下である。周方向に互いに隣り合う螺旋溝83の配置間隔とは、一の螺旋溝83の周方向の中点と、当該一の螺旋溝83に隣接する他の螺旋溝83の周方向の中点との距離である。例えば、周方向に互いに隣り合う螺旋溝83の配置間隔は、土砂が砂質土である場合には150mm程度であり、土砂が粘性土である場合には1500mm程度である。砂質土とは、平均粒径が2mm以下の土砂である。粘性土とは、平均粒径が20mm程度に団粒化された土砂である。
図18(b)に示されるように、螺旋溝83のピッチL1は、例えば、10mm以上且つ100mm以下である。ピッチL1とは、螺旋溝83の任意の点P1を基準とし、点P1から螺旋溝83に沿って1周した点P2までの搬送管10の長手方向の距離である。
【0117】
搬送管10の内面10aに複数の螺旋溝83が形成されていることにより、搬送管10の内部を流れる流体は、内面10aに沿って螺旋状に流れる。流体が内面10aに沿って螺旋状に流れることによって、搬送管10の内部において当該流体と共に搬送される土砂には旋回運動が与えられる。これにより、搬送管10の内部において搬送される土砂の直進性を高めることができる。よって、螺旋状に流れる流体により、内面10aへの土砂の滞留が抑制される。
【0118】
第13実施形態に係る土砂の搬送方法では、搬送管10の内面10aに沿って螺旋状に流体を流通させる。具体的には、内面10aに複数の螺旋溝83が形成された搬送管10を準備し、この搬送管10の内部に土砂を搬送する(搬送する工程)。このとき、内面10aに複数の螺旋溝83が形成されていることにより、搬送管10の内部を流れる流体は内面10aに沿って螺旋状に流れる。螺旋状に流れる流体と共に土砂を搬送することにより、旋回運動が与えられながら土砂が搬送される。以上の工程を経て土砂の搬送が完了する。
【0119】
以上、第13実施形態によれば、流体が搬送管10の内面10aに沿って螺旋状に流通することによって、搬送管10の内部において当該流体と共に搬送される土砂には旋回運動が与えられる。これにより、搬送管10の内部において搬送される土砂の直進性を高めることができるため、内面10aへの土砂の付着を抑制することができる。
【0120】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は前述した各実施形態に限定されず、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他に適用したものであってもよい。
【0121】
前述した実施形態では、工事現場において用いられる土砂の搬送方法及び搬送装置について説明したが、搬送方法及び搬送装置は工事現場以外の場所で用いられてもよい。本発明の搬送管は、搬送管10に限られず、例えば
図19に示されるようなミキサ90であってもよい。
図19は、土砂の搬送手段の一例であるミキサ90を示す概略断面図である。ミキサ90は、土砂の混合撹拌を行いながら土砂を搬送する装置である。
【0122】
ミキサ90は筒状を呈しており、ミキサ90の内部に細粒材及び粗粒材を含む土砂を流通可能となっている。ミキサ90は、複数の筒部が軸線方向に連結されることにより構成された筒体91(搬送管)と、筒体91の内面91aから面外方向に突出する複数の突出部92と、を有している。筒体91を構成する筒部は互いに軸線回りに回転可能となっており、一の筒部は軸線方向に隣接する他の筒部の反対方向に回転する。筒体91の内部には土砂が通り、筒体91の内部を通る土砂は各筒部の回転によって撹拌混合される。
【0123】
土砂は、筒体91の内部に導入されると、不図示の回転手段(搬送手段)による各筒部の回転及び各突出部92のへの衝突によって撹拌混合されながら筒体91の内部で搬送される。当該回転手段及び突出部92が土砂の搬送手段に相当する。このように土砂を搬送するミキサ90に対しても、前述した第1〜第13実施形態における低摩擦素材、接触低減材、及び土砂の滞留を抑制する流体の少なくとも何れかを採用することにより、前述した各実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、ミキサ90の筒体91の内面91aへの土砂の付着を抑制することができる。
【0124】
前述した第1実施形態では、撥水コート層30が搬送管10の内部における長手方向の略全域にわたって設けられる例について説明したが、この例に限られない。撥水コート層30は、搬送管10の何れかの部分に設けられていればよく、撥水コート層30の配置場所は適宜変更可能である。撥水コート層30は、例えば、吸入管11、搬送用ホース12及び管13の何れの部分に設けられていてもよい。
【0125】
第2実施形態の低摩擦素材40は、例えば、端部40a以外の他の箇所で連結されていてもよい。各シート40sは、搬送用ホース12の内面12aに沿う方向以外に延びていてもよく、例えば、搬送用ホース12の径方向に延びていてもよい。また、各シート40sの形状や数は特に限定されない。例えば各シート40sは角が丸められた形状であってもよく、シート40sの数は一つでもよい。
【0126】
前述した第2及び第3実施形態では、低摩擦素材40,41が第2のホース12dの内部に配置されている例について説明したが、この例に限られない。例えば、低摩擦素材40,41は、第1のホース12c、管13及び吸入管11の何れの内部に配置されていてもよい。すなわち、低摩擦素材40,41は、搬送管10の内部における何れの位置に配置されていてもよい。
【0127】
前述した第2及び第3実施形態では、低摩擦素材40,41がフッ素樹脂から構成されているとしたが、低摩擦素材40,41の材料はフッ素樹脂でなくてもよい。低摩擦素材40,41は、例えば、硬質ポリエチレン、ポリプロピレン又は塩化ビニルから構成されていてもよい。
【0128】
前述した第4実施形態では、凹凸コート層43が搬送管10の内部における長手方向の略全域にわたって設けられる例について説明したが、凹凸コート層43は搬送管10の何れかの部分に設けられていればよく、凹凸コート層43の配置場所は適宜変更可能である。凹凸コート層43は、例えば、吸入管11、搬送用ホース12及び管13の何れの部分に設けられていてもよい。
【0129】
前述した第5実施形態では、砂質材料50がエジェクタ22の内部に送り込まれ、エジェクタ22の下流側において砂質材料50が土砂と共に搬送される例について説明した。しかしながら、砂質材料50が送り込まれる場所は特に限定されない。砂質材料50は、搬送管10の内部の何れの位置に送り込まれてもよく、例えば、吸入管11、搬送用ホース12及び管13の何れに砂質材料50が送り込まれてもよい。
【0130】
前述した第7実施形態では、土砂を凍結固化するために液体窒素を土砂に供給する例について説明したが、土砂を凍結固化する手段は液体窒素に限られない。例えば、凍結固化する手段は、ドライアイス又は液体酸素であってもよい。
【0131】
前述した第8実施形態では、水供給部63が第2のホース12dに配置されている例について説明したが、水供給部63の場所は上記の例に限られない。例えば、水供給部63は、第1のホース12c、管13及び吸入管11の何れに配置されていてもよい。すなわち、水供給部63は、搬送管10の何れの位置に配置されていてもよい。また、水供給部63の数も特に限定されない。
【0132】
前述した第9実施形態では、水を供給する供給手段がバイブレータ68,69である例について説明したが、バイブレータ68,69の数、種類及び配置場所は適宜変更可能である。例えば、第1のホース12c、管13又は吸入管11にバイブレータが配置されていてもよい。
【0133】
前述した第11実施形態では、空気供給部72が第2のホース12dに配置されている例について説明したが、空気供給部72の数、種類及び配置場所は上記の例に限定されない。例えば、空気供給部72は、第1のホース12c、管13及び吸入管11の何れに配置されていてもよい。
【0134】
前述した第12実施形態では、土砂と液体80とを容器81に収容してから搬送管10において搬送する例について説明したが、液体80の搬送方法、材料及び種類は、上記の例に限定されない。例えば、予め液体80を搬送管10の内部に流しておき、液体80が流れた状態の搬送管10に土砂を搬送してもよい。
【0135】
前述した第13実施形態では、搬送管10の内面10aに螺旋溝83が形成される例について説明したが、螺旋溝83の形状、大きさ、数及び配置態様は適宜変更である。例えば、第1のホース12c、管13及び吸入管11の何れかに螺旋溝83が形成されていてもよい。
【0136】
前述した実施形態では搬送手段がコンプレッサ21及びエジェクタ22を含む例について説明したが、搬送手段の構成は適宜変更可能である。搬送手段は、例えば、真空ポンプであってもよいし、加圧ポンプの加圧手段であってもよいし、バキューム車等の吸引手段であってもよい。
【0137】
前述した実施形態では、吸入管11、搬送用ホース12及び管13を含む搬送管10について説明した。しかしながら、搬送管は、吸入管11、搬送用ホース12及び管13を含むものに限られず、搬送管の構成は適宜変更可能である。例えば、吸入管11のみ、又は搬送用ホース12のみを備えた搬送管であってもよいし、搬送用ホース12から吸入管11が外された搬送管であってもよい。更に、吸入管11、搬送用ホース12及び管13とは形状、大きさ及び材料が異なる別の管路を備えた搬送管であってもよい。
【0138】
更に、本発明に係る搬送方法及び搬送装置は、第1実施形態の撥水コート層30、第2実施形態の短冊状の低摩擦素材40、第3実施形態の筒状の低摩擦素材41、第4実施形態の凹凸コート層43、第5実施形態の砂質材料50、第6実施形態の団粒化材56、第7実施形態の凍結固化手段59、第8実施形態の水供給部63、第9実施形態のバイブレータ68,69、第10実施形態のコイル、第11実施形態の空気供給部72、第12実施形態の土砂と馴染まない液体80、第13実施形態の螺旋溝83、のうち複数を組み合わせたものであってもよい。