(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887345
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】射出成形システムの監視装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/40 20060101AFI20210603BHJP
B22D 17/32 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
B29C45/40
B22D17/32 J
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-162647(P2017-162647)
(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公開番号】特開2019-38200(P2019-38200A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138473
【氏名又は名称】株式会社ユーシン精機
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 文武
(72)【発明者】
【氏名】白崎 篤司
(72)【発明者】
【氏名】小谷 高代
【審査官】
坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−069466(JP,A)
【文献】
特開2002−370260(JP,A)
【文献】
特開2007−283679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/32
B29C 45/03,45/40,45/46,45/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機に隣接して成形品取出機が配置されるか、または射出成形機の上に成形品取出機が取り付けられた射出成形システムの監視装置であって、
前記成形品取出機に装着された1以上の振動検知センサと、
前記1以上の振動検知センサの出力を参照して、前記射出成形機の異常状態を判定する状態判定部と、
前記状態判定部の判定結果を表示する表示装置と、
前記状態判定部の判定結果を自動的にまたは要求に応じて表示する表示指令を前記表示装置に出力する判定結果表示指令部を備えていることを特徴とする射出成形システムの監視装置。
【請求項2】
前記表示装置は、通信機能を有しており、且つ前記射出成形機及び成形品取出機の設置場所とは別の場所で前記判定結果表示指令部からの前記表示指令を受信して前記判定結果を表示する機能を有していることを特徴とする請求項1に記載の射出成形システムの監視装置。
【請求項3】
前記成形品取出機は通信部を備えており、
前記状態判定部及び前記判定結果表示指令部は前記通信部により接続される遠隔判定装置内に実現されており、
前記表示装置は前記状態判定部と通信ネットワークを介して接続されている請求項2に記載の射出成形システムの監視装置。
【請求項4】
前記状態判定部は、前記成形品取出機の動作シーケンスに応じて、判定基準を変えるように構成されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の射出成形システムの監視装置。
【請求項5】
前記遠隔判定装置は、前記状態判定部が判定した判定結果を、前記動作シーケンスの動作タイミングと一緒に判定結果記録部に記憶する機能を有している請求項3に記載の射出成形システムの監視装置。
【請求項6】
前記1以上の振動検知センサは、前記成形品取出機の動作制御または異常検知の目的のために前記成形品取出機に設置されているものである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の射出成形システムの監視装置。
【請求項7】
射出成形機に隣接して成形品取出機が配置されるか、または射出成形機の上に成形品取出機が取り付けられた射出成形システムの監視装置であって、
前記射出成形機に装着された1以上の振動検知センサと、
前記1以上の振動検知センサの出力を参照して、前記成形品取出機の異常状態を判定する状態判定部と、
前記状態判定部の判定結果を表示する表示装置と、
前記状態判定部の判定結果を自動的にまたは要求に応じて表示する表示指令を前記表示装置に出力する判定結果表示指令部を備えていることを特徴とする射出成形システムの監視装置。
【請求項8】
前記表示装置は、通信機能を有しており、且つ前記射出成形機及び成形品取出機の設置場所とは別の場所で前記判定結果表示指令部からの前記表示指令を受信して前記判定結果を表示する機能を有していることを特徴とする請求項7に記載の射出成形システムの監視装置。
【請求項9】
前記射出成形機は通信部を備えており、
前記状態判定部及び前記判定結果表示指令部は前記通信部により接続される遠隔判定装置内に実現されており、
前記表示装置は前記判定装置と通信ネットワークを介して接続されている請求項8に記載の射出成形システムの監視装置。
【請求項10】
前記状態判定部は、前記射出成形機の動作シーケンスに応じて、判定基準を変えるように構成されている請求項7乃至9のいずれか1項に記載の射出成形システムの監視装置。
【請求項11】
前記遠隔判定装置は、前記状態判定部が判定した判定結果を、前記動作シーケンスの動作タイミングと一緒に判定結果記録部に記憶する機能を有している請求項9に記載の射出成形システムの監視装置。
【請求項12】
前記1以上の振動検知センサは、前記射出成形機の動作制御または異常検知の目的のために前記射出成形機に設置されているものである請求項9に記載の射出成形システムの監視装置。
【請求項13】
射出成形機に隣接して成形品取出機が配置されるか、または射出成形機の上に成形品取出機が取り付けられた射出成形システムの監視装置であって、
前記成形品取出機に装着された1以上の成形品取出機側振動検知センサと、
前記射出成形機に装着された1以上の射出成形機側振動検知センサと、
前記1以上の成形品取出機側振動検知センサと前記1以上の射出成形機側振動検知センサの出力を参照して、前記射出成形機及び成形品取出機の異常状態を判定する状態判定部と、
前記状態判定部の判定結果を表示する表示装置と、
前記状態判定部の判定結果を自動的にまたは要求に応じて表示する表示指令を前記表示装置に出力する判定結果表示指令部を備えていることを特徴とする射出成形システムの監視装置。
【請求項14】
前記状態判定部は、前記1以上の成形品取出機側振動検知センサの出力と1以上の射出成形機側振動検知センサの出力の対比により、前記1以上の成形品取出機側振動検知センサ及び前記1以上の射出成形機側振動検知センサの異常を検知する機能を有している請求項13に記載の射出成形システムの監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に隣接して成形品取出機が配置されるか、または射出成形機の上に成形品取出機が取り付けられた射出成形システムの監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平5−228972号公報(特許文献1)には、従来の射出成形品の品質監視装置が開示されている。この従来技術では、金型の外部に取付けた加速度センサ1の信号を増幅器2で増幅し、解析装置3へ送る。1回の射出成形動作において金型上に発生する型開閉時のショックや、樹脂流入時の振動、および異常な振動が現われていないかなどを信号波形より解析し、この解析データと良品が成形される際のデータとを比較することにより、異常時には警報を発生する。
【0003】
また特開平5−69466号公報(特許文献2)には、振動の度合いに応じた適切な対処処理を自動的に行うことができ、以って、良/不良品の判定をより適正に行うことが可能で、且つ、安全性の高い射出成形機の制御方法が開示されている。具体的には、射出成形機もしくは射出成形機の近傍に振動検知センサを設けて、該振動検知センサからの検出情報によってマシンコントローラが振動の大きさを判定し、自動成形運転中に振動が所定レベルを超えた場合には、前記マシンコントローラは表示装置上にアラームメッセージを表示させたり、自動成形運転を中止させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−228972号公報
【特許文献2】特開平5−69466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のように、振動検知センサ(加速度センサ)を射出成形機に装着して、振動検知センサの出力に基づいて射出成形機の異常発生を検出する技術では、射出成形機で異常が発生したことは、射出成形機側でしか判らない。射出成形機側で発生する異常といっても、射出成形機を停止させるまでもない程度の軽微異常や、異常発生の予兆に相当する異常の発生もある。しかしながら製造現場で成形品に何らかの成形不良が発生すると、現場ではその原因が射出成形機側にあるのか成形品取出機側に有るのかを短い時間で判定することが難しい。成形品取出機側に設けた振動検知センサで成形不良の発生原因を検知する場合にも同様のことが言える。
【0006】
また成形不良が発生しないまでも、射出成形機または成形品取出機で故障につながる問題が発生していることがある。さらにメンテナンスのための点検作業や部品交換作業などを行った後に、それらの作業が正しく行われずに、近い将来において問題が生じる可能性があることもある。しかしながらこれらの状況は、成形品取出機または射出成形機の製造時に状態検知または異常検知用の振動検知センサ等の状態検知センサを装着してあれば、当然にして判定することができる。しかしながら現実に生産現場で使用されている射出成形機または成形品取出機の大部分には、専用の状態検知センサを実装してないのが実情である。
【0007】
本発明の目的は、射出成形システムにおいて発生する各種の問題の発生原因を迅速且つ/または正確に判定したり、予知することができる射出成形システムの監視装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、既存の射出成形機または成形品取出機の状況を監視することができる射出成形システムの監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、射出成形機に隣接して成形品取出機が配置されるか、または射出成形機の上に成形品取出機が取り付けられた射出成形システムの監視装置を対象とする。本発明では、成形品取出機に装着された1以上の振動検知センサと、1以上の振動検知センサの出力を参照して、射出成形機の異常状態を判定する状態判定部と、
状態判定部の判定結果を表示する表示装置と、状態判定部の判定結果を自動的にまたは要求に応じて表示する表示指令を表示装置に出力する判定結果表示指令部を備えている。なお本願明細書において「異常状態」とは、実際に異常が発生している状態だけでなく、ある程度時間が経過すると異常が発生する可能性がある状態も含むものである。本発明によれば、特に射出成形機側に振動検知センサや異常判定装置が配置されていない場合でも、成形品取出機側の1以上の振動検知センサの出力を参照することにより射出成形機の異常状態を判定し、判定結果を表示装置に表示するので、射出成形機側の状態を監視することができる。
【0010】
特に、成形品取出機が停止状態にあるときの1以上の振動検知センサの出力には、射出成形機側またはその他の周辺装置で発生する振動の検知結果が含まれている。そのため成形品に成形不良が発生した場合は勿論のこと、成形品不良の原因となり得る不具合が成形品取出機で発生している場合でも、成形品取出機に設けた1以上の振動検知センサの出力を参照すると、不具合の発生原因が射出成形機側にあるのか、成形品取出側にあるのかを判定することが容易になる。
【0011】
表示装置は、通信機能を有しており、且つ射出成形機及び成形品取出機の設置場所とは別の場所で判定結果表示指令部からの表示指令を受信して判定結果を表示する機能を有している。このような表示装置を用いると、製造現場から離れた位置で成形品取出機の状態だけでなく、射出成形機に発生した異常の情報も知ることができる。
【0012】
成形品取出機は通信部を備えており、状態判定部及び判定結果表示指令部は通信部により接続される遠隔判定装置内に実現されていてもよい。この場合、表示装置は状態判定部と通信ネットワークを介して接続されているのが好ましい。このようにすると、いわゆるIoT化による予知保全が可能になる。
【0013】
状態判定部は、成形品取出機の動作シーケンスに応じて、判定基準を変えるように構成されているのが好ましい。このようにすると動作シーケンスの状況に対応した適切な判断基準を用いることができるので、誤った判定をすることがなくなる。
【0014】
遠隔判定装置は、状態判定部が判定した判定結果を、動作シーケンスの動作タイミングと一緒に判定結果記録部に記憶する機能を有しているのが好ましい。このようにすると成形不良が発生した後で、判定結果記録部に記憶されているデータを確認することにより、成形不良の発生原因や、不具合の発生原因を後から再度検証することができる。
【0015】
1以上の振動検知センサは、すでに成形品取出機の動作制御または異常検知の目的のために成形品取出機に設置されているものでもよい。このようにすると特別に1以上の振動検知センサを用いなくても、必要な情報を得ることができる。
【0016】
請求項7以降に記載の発明は、射出成形機に隣接して成形品取出機が配置されるか、または射出成形機の上に成形品取出機が取り付けられた射出成形システムの監視装置を対象とする。射出成形システムの監視装置は、射出成形機に装着された1以上の振動検知センサと、1以上の振動検知センサの出力を参照して、成形品取出機の異常を判定する状態判定部と、
状態判定部の判定結果を表示する表示装置と、状態判定部の判定結果を自動的にまたは要求に応じて表示する表示指令を表示装置に出力する判定結果表示指令部を備えている。このようにすると成形品取出機側に振動検知センサが配置されていなくても、射出成形機側の1以上の振動検知センサの出力を参照することにより、成形品取出機側の状態を監視することができる。またこのような構成によると、請求項1に記載の発明とは逆に、射出成形機が停止状態にあるときの1以上の振動検知センサの出力には成形品取出機側の検知結果が含まれているので、成形品取出機側に発生原因が存在する不具合であることを判定可能である。
【0017】
この場合も、表示装置は、通信機能を有しており、且つ射出成形機及び成形品取出機の設置場所とは別の場所で判定結果表示指令部からの表示指令を受信して判定結果を表示する機能を有している。このような表示装置を用いると、製造現場から離れた位置で射出成形機の状態だけでなく、成形品取出機に発生した異常の情報も知ることができる。
【0018】
射出成形機は通信部を備えており、状態判定部及び判定結果表示指令部は通信部により接続される遠隔判定装置内に実現されていてもよい。この場合、表示装置は状態判定部と通信ネットワークを介して接続されているのが好ましい。このようにすると、いわゆるIoT化による予知保全が可能になる。
【0019】
状態判定部は、射出成形機の動作シーケンスに応じて、判定基準を変えるように構成されているのが好ましい。このようにすると動作シーケンスの状況に対応した適切な判断基準を用いることができるので、誤った判定をすることがなくなる。
【0020】
射出成形機は、状態判定部が判定した判定結果を、動作シーケンスの動作タイミングと一緒に判定結果記録部に記憶する機能を有しているのが好ましい。このようにすると成形品取出動作の不具合等が発生した後で、判定結果記録部に記憶されているデータを確認することにより、不具合の発生原因を後から再度検証することができる。
【0021】
1以上の振動検知センサは、射出成形機の動作制御または異常検知の目的のために射出成形機に設置されているものでもよい。このようにすると特別に1以上の振動検知センサを用いなくとも、必要な情報を得ることができる。
【0022】
射出成形機に隣接して成形品取出機が配置されるか、または射出成形機の上に成形品取出機が取り付けられた射出成形システムの監視装置において、成形品取出機に装着された1以上の成形品取出機側振動検知センサと、射出成形機に装着された1以上の射出成形機側振動検知センサと、1以上の成形品取出機側振動検知センサと1以上の射出成形機側振動検知センサの出力を参照して、射出成形機及び成形品取出機の異常状態を判定する状態判定部と、
状態判定部の判定結果を表示する表示装置と、状態判定部の判定結果を自動的にまたは要求に応じて表示する表示指令を表示装置に出力する判定結果表示指令部を備えていてもよい。このように1以上の成形品取出機側振動検知センサと、射出成形機に装着された1以上の射出成形機側振動検知センサの両方を用いると、成形機状態判定部は、成形品取出機側の1以上の成形品取出機側振動検知センサの出力と射出成形機に設けられた1以上の射出成形機側振動検知センサの出力の両方を参照して、射出成形機側の状態または射出成形機側の状態に問題があるか否かを判定する。
【0023】
この場合、状態判定部は、1以上の成形品取出機側振動検知センサの出力と1以上の射出成形機側振動検知センサの出力の対比により、1以上の成形品取出機側振動検知センサ及び1以上の射出成形機側振動検知センサの異常を検知する機能を有していてもよい。例えば、射出成形機で最も大きな振動が発生するタイミングで、1以上の成形品取出機側振動検知センサ及び1以上の射出成形機側振動検知センサの一方で、この振動を検出した波形が現れていない場合には、この一方の振動検知センサに故障が発生していることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】射出成形機の上に成形品取出機が取り付けられた射出成形システムの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1の射出成形システムの成形品取出機を拡大して示す斜視図である。
【
図3】本願第1発明の射出成形システムの監視装置の一つの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図4】遠隔判定装置の主要部をコンピュータを利用して実現する場合に用いるソフトウエアのアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図5】(A)及び(B)は、表示装置として、スマートフォン等の携帯通信端末を用いた場合の表示画面の一例を示す図である。
【
図6】射出成形システムに適用される本願第2発明の監視装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図7】(A)及び(B)は、表示装置として、スマートフォン等の携帯通信端末を用いた場合の表示画面の一例を示す図である。
【
図8】射出成形システムに適用される本願第3発明の監視装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図9】(A)及び(B)は、成形品取出機のコントローラを表示装置としてその設定画面にアラーム表示を表示している状態と、表示要求に応じてアラーム内容を画面に表示している状態を示す図である。
【
図10】(A)及び(B)は、通常固定設置される管理用パソコンを表示装置としてその稼働状態表示画面にアラーム表示を表示している状態と、表示要求に応じてアラーム内容を画面に表示している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の射出成形システムの監視装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
[射出成形システムの例]
図1は、本発明の射出成形システムの監視装置を適用する射出成形システムの構成の一例が示されている。この射出成形システムは、射出成形機30の上に成形品取出機10が取り付けられている。射出成形機30は、開閉動作を行う型32の上に成形品取出機10が取り付けられる固定プラテン34を備えている。射出成形機30の近傍には製品ストッカ装置36が配置されており、ストッカ装置36の上面にパレット38が載置されている。
【0027】
成形品取出機10はトラバース型であり、
図2によく示されているように、固定プラテン34に固定された片持ビーム構造の横行フレーム11と、横行フレーム11に沿って進退する走行体12と、走行体12に基部が取り付けられて横行フレーム11とは直角方向に延びる引き抜きフレーム13と、引き抜きフレーム13に沿って移動する走行体14と、走行体14に取り付けられて垂直方向に延びる2本の昇降フレーム15、16と、昇降フレーム15、16に沿ってそれぞれ昇降する成形品吸着用昇降ユニット17及びランナ用昇降ユニット18とを有する。成形品吸着用昇降ユニット17の先端には、X軸方向に延びる軸線周りに回動する反転ユニット19が取り付けられている。反転ユニット19には成形品を吸着して型32から取り出す吸着ユニット(図示していない)が装着される。
【0028】
横行フレーム11は横行方向(X軸方向)に沿って延び、引き抜きフレーム13は引き抜き方向(Y軸方向)に沿って延び、昇降フレーム15、16は昇降方向(Z軸方向)に沿って延びている。各フレームに沿って移動する各走行体12、14及び昇降ユニット17、18は、それぞれ図示しないACサーボモータを駆動源とする。各ACサーボモータの回動は動作シーケンスに従って制御され、フィードバック制御による誤差の修正のために、各ACサーボモータの回動速度、回動位置及びトルク等がエンコーダ及びACサーボモータに供給される電流値に基づいて随時検知されている。
【0029】
一方、射出成形機30には型締め機構と射出機構とをそれぞれ駆動するACサーボモータ(図示していない)が備えられており、成形品取出機10と射出成形機30とは独立した機械ではあるが、恰も一つの機械であるが如くに共働する。すなわち射出成形機30の型32が開くと成形品吸着用昇降ユニット17が型32の間に差し込まれて成形品が取り出され、成形品をストッカ装置36上のパレット38上に搬送して開放する間に型32が閉じられて型締がなされ、その間にストッカ装置36の上でゲートカットが行われて成形品がパレット38上に載置され、ノズル前進・射出及び計量・ノズル後退の間に成形品吸着用昇降ユニット17は所定の位置まで移動する。
【0030】
[第1発明の実施の形態]
図3は、上記のような射出成形システムに適用される本願第1発明の監視装置の実施の形態の構成のブロック図を示している。
図3において、成形品取出機101には1以上の成形品取出機側振動検知センサ103と成形品取出機動作シーケンス記録部105と、通信部107が実装されている。成形品取出機側振動検知センサ103としては、すでに成形品取出機101の動作制御または異常検知の目的のために成形品取出機101に設置されている加速度センサを用いている。そのため特別に振動検知センサを用いなくても、必要な情報を得ることができる。また射出成形システムの監視装置は、成形品取出機101の稼働状態を表示する表示装置109を備えている。そして遠隔判定装置113は、通信ネットワーク111及び通信部107を介して成形品取出機101に装着された1以上の成形品取出機側振動検知センサ103から出力データを受け取る状態判定部115と、判定結果を記録する判定結果記録部117と、判定結果表示指令部119を備えている。状態判定部115は、1以上の成形品取出機側振動検知センサ103の出力を参照して、射出成形機の異常状態を判定する。判定結果表示指令部119は、状態判定部115の判定結果を自動的にまたは要求に応じて表示する表示指令を表示装置109に出力する。本実施の形態によれば、特に射出成形機側振動検知センサや射出成形機側に異常判定装置が配置されていない場合でも、1以上の成形品取出機側振動検知センサ103の出力を参照することにより射出成形機の異常を判定し、判定結果を表示装置109に表示するので、射出成形機側の状態を監視することができる。
【0031】
前述の表示装置109は、通信機能を有しており、且つ射出成形機201及び成形品取出機101の設置場所とは別の場所で判定結果表示指令部119からの表示指令を受信して判定結果を表示する機能を有している。このような表示装置109を用いると、製造現場から離れた位置で成形品取出機の状態だけでなく、射出成形機に発生した異常の情報も知ることができる。
【0032】
本実施の形態では、成形品取出機101は通信部107を備えており、状態判定部115及び判定結果表示指令部119は通信部107により接続される遠隔判定装置113内に実現されているので、いわゆるIoT化による予知保全が可能になる。
【0033】
状態判定部115は、成形品取出機101の動作シーケンスに応じて、判定基準を変えるように構成されている。このようにすると動作シーケンスの状況に対応した適切な判断基準を用いることができるので、誤った判定をすることがなくなる。また遠隔判定装置113は、状態判定部115が判定した判定結果を、動作シーケンスの動作タイミングと一緒に判定結果記録部117に記憶する機能を有している。その結果、成形不良が発生した後で、判定結果記録部117に記憶されているデータを確認することにより、成形不良の発生原因や、不具合の発生原因を後から再度検証することができる。
【0034】
図4には遠隔判定装置113の主要部をコンピュータを利用して実現する場合に用いるソフトウエアのアルゴリズムの一例を示している。また
図5(A)及び(B)には、表示装置109として、スマートフォン等の携帯通信端末を用いた場合の表示画面110の一例(稼働状態を数字で表示する例)を示してある。
【0035】
以下
図4及び
図5を用いて、本実施の形態の動作の具体例を説明する。まず状態判定部115は、ステップST1において初回または前回の振動検知センサ103の1サイクル分のデータを基準データとして入力して、図示しない内部メモリに記憶する。そしてステップST2において、成形品取出機101の1サイクルの動作が開始されたかを判定する。この判定は、成形品取出機101から出力される動作信号に基づいて判断する。そしてステップST3で、状態判定部115は、1サイクル分の振動検知センサの出力データを図示しない内部メモリに保存する。ステップST4で成形品取出機101からの動作信号に基づいて1サイクルが終了したことを検出すると、状態判定部115はステップST5で基準データと保存した出力データの比較を行って、予め定めた判定基準に基づいて異常の発生の有無を判定する。判定基準は、動作シーケンスから得た成形品取出機の停止区間及び可動区間の情報と、基準データよりも出力データの増減が何%あるのかの情報と、その増減の期間の長さの情報に基づいて、予め異常状態の種類に応じて複数種類定めてある。この判断基準は、過去の運用実績と試験により定めることができる。ステップST6で、異常発生の可能性を含む異常な状態の発生を判断すると、その内容は判定結果記録部117に記録される。そしてアラームが、
図5(A)及び(B)に示した表示装置109の表示画面110に表示される。
図5(A)及び(B)の例では、符号ALで示すように「○
0△
1」がアラームの有無を示している。「○
0」は成形品取出機には異常状態のアラームがないことを意味し、「△
1」は射出成形機に何らかの異常状態が発見されたことを意味している。「△
0」の表示であれば射出成型機には異常がないことを意味する。次にステップST8で、アラーム内容の表示要求があるか否かの判定が行われる。この判定は状態判定部115で実施され、要求がある場合には、判定結果表示指令部119が判定結果の表示を表示装置109へ指示する。この表示要求は、
図5(A)に示すアラーム表示「○
0△
1」のうち「△
1」をクリックすることにより実行される。表示要求がされたことは、
図5(B)に示すようにアラーム表示を「▲」表示に変更することにより行う。そしてアラームの内容は、
図5(B)に示すように文章で表示される。なおアラームの内容の表示態様は任意であり、この例に限定されるものではない。最後に、ステップST10で運転状態か否かの判定が行われる。
【0036】
なお本例では、ステップST5において、基準データと保存データとの単純な比較を行ったが、基準データとしては、予め定めた回数分の前回の振動検知センサのデータの平均値または移動平均値等を用いても良く、基準データの定め方は判定基準に応じて定めればよい。
【0037】
[第2発明の実施の形態]
図6は、射出成形システムに適用される本願第2発明の監視装置の実施の形態の構成のブロック図を示している。この実施の形態では、射出成形機201側に射出成形機側振動検知センサ203を配置して、この射出成形機側振動検知センサ203の出力に基づいて成形品取出機側で発生する異常状態を検知する。そのために射出成形機201にも、射出成形機動作シーケンス記録部205と通信部207を設けている。そのたの構成は、
図3を用いて説明した第1発明の実施の形態と同様です。この射出成形システムの監視装置は、射出成形機201の稼働状態を表示する表示装置209を備えている。そして遠隔判定装置213は、通信ネットワーク111及び通信部207を介して射出成形機201に装着された1以上の射出成形機側振動検知センサ203から出力データを受け取る状態判定部215と、判定結果を記録する判定結果記録部217と、判定結果表示指令部219を備えている。状態判定部215は、1以上の射出成形機側振動検知センサ203の出力を参照して、成形品取出機101の異常状態を判定する。判定結果表示指令部219は、状態判定部215の判定結果を自動的にまたは要求に応じて表示する表示指令を表示装置209に出力する。本実施の形態によれば、特に成形品取出機側振動検知センサや成形品取出機側に異常判定装置が配置されていない場合でも、1以上の射出成形機側振動検知センサ203の出力を参照することにより成形品取出機101の異常を判定し、判定結果を表示装置209に表示するので、成形品取出機101側の状態を監視することができる。なお本実施の形態の各部の動作は、監視対象が成形品取出機101になった点を除いて、
図3の実施の形態の場合と同様であるので、説明は省略する。なお
図7(A)及び(B)は、表示装置209として、スマートフォン等の携帯通信端末を用いた場合の表示画面210の一例(稼働状態を数字で表示する例)を示してある。
図7(A)では、成形品取出機101側で異常状態を検知しているため、符号ALで示すようにアラーム「○
1△
0」中において「○
1」の表示が出ている。また
図7(B)では、アラームの内容を知るために、表示要求がされてアラーム表示が「●
1」の状態になっている。そしてアラーム内容は成形品取出機側に異常状態があることを表示する内容になっている。
【0038】
[第3発明の実施の形態]
図8は、射出成形システムに適用される本願第3発明の監視装置の実施の形態の構成のブロック図を示している。第3発明は、第1発明と第2発明を合わせた発明であり、この実施の形態では、成形品取出機101側に成形品取出機側振動検知センサ103を配置して、この成形品取出機側振動検知センサ103の出力に基づいて射出成形機201側で発生する異常状態を検知し、射出成形機201側に射出成形機側振動検知センサ203を配置して、この射出成形機側振動検知センサ203の出力に基づいて成形品取出機側で発生する異常状態を検知する。そのたの構成は、
図3及び
図6を用いて説明した第1発明及び第2の発明の実施の形態と同様である。状態判定部315は、成形品取出機側振動検知センサ103の出力と射出成形機側振動検知センサ203の出力の両方を参照することにより、射出成形機201及び成形品取出機101の両方の異常状態を判定する。したがって状態判定部315の内部メモリに記憶する判定基準は、第1の発明及び第2の発明で用いる判定基準の他に、成形品取出機側振動検知センサ103の出力と射出成形機側振動検知センサ203の出力の両方と、成形品取出機101の動作シーケンス及び射出成形機201の動作シーケンスの両方とを対比して判る異常状態の判定のための判定基準も記憶されている。この判定基準も、過去の経験と試験とによって決定することができる。判定情報が多くなるほど、判定精度が上がる。
【0039】
本実施の形態における状態判定部315は、成形品取出機101及び射出成形機201それぞれの動作シーケンスに応じて、判定基準を変えるように構成することができる。すなわち、例えば型32の開閉が行われている間は、成形品取出機側振動検知センサ103は成形品取出機101自体の振動に加えて射出成形機201からの振動が伝わって加算されるので、型32が停止しているときよりも異常が発生したと判定する振幅の閾値を大きく設定することになる。このようにすると動作シーケンスの状況に対応した適切な判断基準を用いることができるので、誤った判定が生じにくくなる。
【0040】
また本実施の形態も判定結果記録部317を有しているので、成形不良等の不具合が発生した後で、判定結果記録部317に記憶されているデータを確認することにより、成形不良等の不具合の発生原因を後から再度検証することができる。なお判定結果記録部317は、成形品取出機101または射出成形機201に設けられていてもよい。この場合には、状態判定部315からの判定結果を通信ネットワーク111及び通信部107または207を介して判定結果を受信して記憶することができる。
【0041】
また状態判定部315は、1以上の成形品取出機側振動検知センサ103の出力と1以上の射出成形機側振動検知センサ203の出力の対比により、1以上の成形品取出機側振動検知センサ103及び1以上の射出成形機側振動検知センサ203の異常を検知する機能を有していてもよい。例えば、射出成形機201で最も大きな振動が発生するタイミングで、1以上の成形品取出機側振動検知センサ103及び1以上の射出成形機側振動検知センサ203の一方で、この振動を検出した波形が現れていない場合には、この一方の振動検知センサに故障が発生していることが判る。
【0042】
(その他)
第1発明乃至第3発明の各実施の形態は、成形品取出機101及び射出成形機201に搭載された個別の制御装置及びセンサと、これらの制御装置と通信ネットワーク111を介して接続されて各機器を管理する集中管理が、遠隔判定装置113,213及び313により実現されている。状態判定部115,215及び315が別の場所にある遠隔判定装置113,213及び313に備えられたことにより、システム管理者が容易且つ高頻度でアクセスしやすく、予知保全がより確実になる。遠隔判定装置113,213及び313は、クラウドコンピュータ及びこれにインストールされたアプリケーションソフトにより構成することができる。
【0043】
上記実施の形態では、表示装置側からの要求に応じて異常の判定結果の内容を表示装置に表示しているが、要求がない場合でも、自動で表示装置に異常の判定内容を表示するようにしてもよいのは勿論である。
【0044】
(表示装置の変形例)
図9(A)及び(B)は、成形品取出機のコントローラ409を表示装置としてその設定画面410にアラーム表示ALを表示している状態と、表示要求に応じてアラーム内容を設定画面410に表示している状態を示している。コントローラ409は、据え付き型、携帯型のいずれもよい。
図10(A)及び(B)は、通常固定設置される管理用パソコン509を表示装置としてその稼働状態表示画面510にアラーム表示ALを表示している状態と、表示要求に応じてアラーム内容を稼働状態表示画面510に表示している状態を示している。このように表示装置の種類及び態様は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の射出成形システムの監視装置によると、射出成形システムにおいて発生する各種の問題の発生原因を迅速且つ/または正確に判定したり、予知することができる。
【符号の説明】
【0046】
101 成形品取出機
103 成形品取出機側振動検知センサ
105 成形品取出機動作シーケンス記録部
107 通信部
109 表示装置
201 射出成形機
203 射出成形機側振動検知センサ
205 射出成形機動作シーケンス記録部
207 通信部
209 表示装置
115,215,315 状態判定部
111 通信ネットワーク
117,217,317 判定結果記録部
113,213,313 遠隔判定装置