(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技者が遊技可能なスロットマシン(遊技機)の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、スロットマシンの各基板における具体的な処理(役構成や遊技状態の遷移)および本実施形態で特徴的な処理を説明し、これらを実現するためのフローチャートを詳述する。
【0015】
(スロットマシン100の機械的構成)
図1および
図2の外観図に示すように、スロットマシン100は、略矩形状の箱体である筐体102と、筐体102の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面上扉104と、前面上扉104の下方に位置し、前面上扉104同様、筐体102の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面下扉106と、前面下扉106の下部に位置し、メダル排出口108aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部108とを備えている。
【0016】
前面下扉106の上部には操作部設置台122が形成され、操作部設置台122には、メダル投入部124、ベットスイッチ126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130、演出スイッチ132等が配設されている。
【0017】
操作部設置台122の右側に位置するメダル投入部124は、メダル投入口124aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付け、前面下扉106の背面に設けられたメダルセレクタ(図示せず)にメダルを送る。メダルセレクタには、メダルの投入が可能な投入期間外に投入されたメダルや規格外のメダルをメダル排出口108aに導くブロッカー(図示せず)と、投入期間内に投入された規格内のメダルの通過を検出する投入メダル検出部124bとが設けられている。ここで、メダル排出口108aに導かれたメダルは受け皿部108に排出される。遊技者により、1遊技を開始するために必要なメダルの投入枚数である規定投入数(例えば3枚)を超えてメダルが投入されると、その規定投入数を超えた分のメダルが、所定枚数(例えば50枚)を上限としてスロットマシン100の内部に電気的に貯留(以下、単にクレジットという)される。上記1遊技については後程詳述する。
【0018】
ベットスイッチ126は、クレジットされているメダルのうち規定投入数のメダルを投入(ベット)する、押圧式のボタンスイッチである。規定投入数以上のメダルがクレジットされている状態で、ベットスイッチ126を押圧すると、1遊技が開始可能となるとともに、クレジットされているメダルが規定投入数分だけ減枚される。
【0019】
操作部設置台122の左側に位置するスタートスイッチ128は、傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による1遊技の開始操作を検出する。また、スタートスイッチ128は、押圧操作を検出可能なボタンスイッチによって構成することも可能である。
【0020】
前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓136が設けられ、筐体102内の図柄表示窓136に対応した位置には、リールユニット134が設けられている。リールユニット134には、
図3(a)のリールの図柄配列に示すように、21に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列された3つの回転リール(左リール134a、中リール134b、右リール134c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられ、遊技者は、図柄表示窓136を通じて、左リール134a、中リール134b、右リール134cを左側から順に視認することができる。リールユニット134は、スタートスイッチ128の操作を契機として、左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転を開始する。
【0021】
操作部設置台122の中央に位置するストップスイッチ130は、回転リール134a、134b、134cそれぞれに対応して設けられた、遊技者の押圧操作を検出可能なボタンスイッチであり、回転リール134a、134b、134cそれぞれを停止させようとする遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ130に係る3つのボタンスイッチを特にストップスイッチとよび、その位置に応じて左から順にストップスイッチ130a、ストップスイッチ130b、ストップスイッチ130cとする。
【0022】
演出スイッチ132は、押圧式のボタンスイッチと、その周囲に回転自在に配されたジョグダイヤルスイッチとから構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。かかる演出スイッチ132は、主として演出中に用いられ、遊技者の操作によって演出態様を異ならせることができる。
【0023】
このように、ストップスイッチ130a、ストップスイッチ130b、ストップスイッチ130cを通じた停止操作により、左リール134a、中リール134b、右リール134cが停止する。ここでは、その停止態様を遊技者が把握できるように、
図3(b)のように、有効ラインが設けられている。有効ラインは1本であり、具体的に、図柄表示窓136に臨む9つの図柄(3リール×上中下の3段)のうち、左リール134aの中段、中リール134bの中段、右リール134cの中段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインを当選役の入賞を判定するための有効ラインAとして設定している。また、無効ラインは、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせのみでは当選役を把握しにくい場合に、当選役の把握を容易にする他の図柄組み合わせを表示する、当選役の入賞判定には用いられない有効ラインA以外のラインであり、本実施形態では、
図3(b)に示す4つの無効ラインB1、B2、C1、C2を想定している。
【0024】
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な映像を表示する液晶表示部(画像表示部)138が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ142が設けられる。
【0025】
また、
図2に示すように、前面上扉104の裏面における液晶表示部138の左右位置や前面下扉106の裏面における内面左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ140が設けられている。さらに、筐体102内におけるリールユニット134の下方には、メダル排出口108aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)264が設けられている。メダル払出装置264は、メダルを貯留するメダル貯留部264aと、メダル貯留部264aに貯留されたメダルをメダル排出口108aから排出するための払出制御部264bと、メダル排出口108aから排出されるメダルを検出する払出メダル検出部264cとを備えている。
【0026】
また、
図1や
図2では図示していないが、各回転リール134a、134b、134cの内側には、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれに施された図柄のうち、図柄表示窓136に対応する(有効ラインAや無効ラインB1、B2、C1、C2の対象となり得る)各回転リール134a、134b、134cの上段、中段、下段の図柄を背面から個々に独立して照射するリールバックライト144(
図4参照)が設けられている。また、図柄表示窓136の裏面上部にも左リール134a、中リール134b、右リール134c全ての正面を直接照射するリール上方ライト146が設けられている。
【0027】
また、
図1に示すように、操作部設置台122において、図柄表示窓136とストップスイッチ130との間に設けられた段部122aの略水平面には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が設けられている。また、図柄表示窓136と操作部設置台122との間には、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158が設けられている。これらメインクレジット表示部152およびサブクレジット表示部156にはクレジット枚数が表示され、メイン払出表示部154およびサブ払出表示部158にはメダルの払出枚数が表示される。なお、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158には、演出に伴う様々な数値を表示することもできる。
【0028】
また、
図2に示すように、前面上扉104の上部略中央には、主制御基板200が配され、主制御基板200には、前面上扉104を開放した状態で視認可能な比率表示部160が設けられている。かかる比率表示部160には、後述する様々な遊技情報(例えば、有利区間比率、連続役物比率、役物比率)がその識別子とともに表示される。
【0029】
また、筐体102内の任意の位置には、電源スイッチ148が設けられている。電源スイッチ148は、ロッカースイッチ等、押圧操作を検出可能なスイッチで構成され、当該スロットマシン100を管理する管理者側が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
【0030】
なお、本実施形態において、上記1遊技は、メダル投入部124を通じたメダルの投入、ベットスイッチ126の操作を通じたクレジットされているメダルの投入、または、リプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づくメダルの自動投入のいずれかが行われてから、遊技者によるスタートスイッチ128の操作に応じて、複数の回転リール134(134a、134b、134c)が回転制御されるとともに当選種別抽選が実行され、当選種別抽選の抽選結果および遊技者による複数のストップスイッチ130a、130b、130cの操作に応じて、操作されたストップスイッチ130a、130b、130cに対応する回転リール134a、134b、134cがそれぞれ停止制御され、メダルの払い出しを受け得る当選役に入賞した場合、そのメダルの払い出しが実行されるまでの遊技をいう。また、メダルの払い出しを受け得る当選種別に非当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合、回転リール134a、134b、134cが全て停止したことをもって1遊技が終了する。ただし、1遊技の開始を、上記のメダルの投入、または、リプレイ役の当選の代わりに、遊技者によるスタートスイッチ128の操作と読み替えてもよい。また、かかる1遊技が繰り返される数を遊技数とする。
【0031】
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図4に示すように、スロットマシン100は、主として、制御基板によって制御されている。ここでは、制御基板の一例として、制御基板の機能を分担した、主制御基板200と、副制御基板202とを挙げて説明する。例えば、遊技の進行に関わるプログラムのうち、遊技に供する当選役の抽選やその入賞といったような、特に重要な処理を主制御基板200で実行し、それ以外の例えば演出に関する処理を副制御基板202で実行している。また、
図4に示したように、主制御基板200と副制御基板202との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板202への一方向のみに制限される。ただし、このような制限がなければ、電気的に双方向通信も技術的に可能である。
【0032】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む各種半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。ただし、メインRAM200cには不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてメインRAM200cの初期化処理を実行しない限り、データが消去されることなく保持される。
【0033】
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態移行手段312、累積手段314、比率導出手段316、比率表示手段318、コマンド決定手段320、コマンド送信手段322等の機能部を有する。
【0034】
初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段302は、遊技に使用するためのメダルをベットする。ここで、ベットは、ベットスイッチ126の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部124を通じてメダルを投入する場合と、リプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づいてメダルを自動投入する場合のいずれも含む。当選種別抽選手段304は、メダルのベットおよびスタートスイッチ128の操作に基づき、小役、リプレイ役、および、ボーナス役を含む複数種類の当選役から選択された1からなるまたは複数重複してなる複数種類の当選種別、ならびに、不当選のうちいずれかを当選種別抽選により決定する。
【0035】
リール制御手段306は、スタートスイッチ128の操作に応じて、複数の回転リール134a、134b、134cを回転制御し、回転している回転リール134a、134b、134cにそれぞれ対応した複数のストップスイッチ130a、130b、130cの操作に応じ、操作されたストップスイッチ130a、130b、130cに対応する回転リール134a、134b、134cをそれぞれ停止制御する。
【0036】
判定手段308は、当選種別抽選で決定した当選種別を構成するいずれか1の当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否か判定する。ここで、当選種別抽選で決定した当選種別を構成するいずれか1の当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段310は、当選種別抽選で決定した当選種別を構成するいずれか1の当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたこと(入賞したこと)に基づいて、当該当選役に対応する数だけメダルを払い出す。状態移行手段312は、ボーナス役等、所定の当選種別の当選や所定の当選役の入賞に基づいて遊技状態を遷移させる(設定する)。
【0037】
累積手段314は、遊技の進行に応じて、総遊技数、滞在遊技数、総払出数、連続役物払出数、役物払出数を累積する。比率導出手段316は、累積手段314が累積した総遊技数、滞在遊技数、総払出数、連続役物払出数、役物払出数に基づいて有利区間比率、連続役物比率、役物比率を導出する。比率表示手段318は、比率導出手段316が導出した有利区間比率、連続役物比率、役物比率を比率表示部160に表示する。かかる総遊技数、滞在遊技数、総払出数、連続役物払出数、役物払出数、有利区間比率、連続役物比率、役物比率については後程詳述する。
【0038】
コマンド決定手段320は、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態移行手段312等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定する。コマンド送信手段322は、コマンド決定手段320が決定したコマンドを副制御基板202に順次送信する。
【0039】
主制御基板200では、投入メダル検出部124b、ベットスイッチ126、スタートスイッチ128およびストップスイッチ130から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308が上述した種々の処理を実行する。また、主制御基板200には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が接続されており、払出制御手段310が両表示部152、154に対してメダルのクレジット枚数や払出枚数の表示を制御する。
【0040】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部258が接続されている。このリール駆動制御部258は、スタートスイッチ128の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される各回転リール134a、134b、134cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ262を駆動するとともに、ストップスイッチ130の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路260の検出信号に基づいて、ステッピングモータ262の駆動を停止する。
【0041】
また、主制御基板200には、メダル払出装置264が接続されている。主制御基板200には払出メダル検出部264cの検出信号が入力されるようになっており、払出制御手段310は、その検出信号に応じてメダルの払出枚数を計数しながら払出制御部264bからのメダルの排出を制御する。
【0042】
また、主制御基板200には、乱数発生器200dが設けられる。乱数発生器200dは、計数値を順次インクリメントし、所定の総数(例えば65536)内でループさせ(0〜65535)、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を得る。主制御基板200の乱数発生器200dによって生成される乱数(以下、当選種別抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選種別抽選手段304が当選種別を決定するために用いられる。
【0043】
(副制御基板202)
副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生器202dが設けられており、乱数発生器202dによって生成される乱数(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
【0044】
また、副制御基板202は、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化決定手段330、コマンド受信手段332、演出制御手段334等の機能部を有する。
【0045】
初期化決定手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段334は、演出スイッチ132から検出信号を受信するとともに、当選種別コマンドに基づいて液晶表示部138、スピーカ140、演出用ランプ142の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段334は、液晶表示部138に表示される画像データや、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等の電飾機器を通じた演出のための電飾データを決定するとともに、スピーカ140から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段334は、決定した遊技の演出を実行する。かかる各機能部については、後程詳述する。
【0046】
演出は、上述したリール演出のような主制御基板200によって実行される演出と、副制御基板202によって実行される演出がある。副制御基板202によって実行される演出は、遊技の進行に伴い、液晶表示部138、スピーカ140、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等を通じて提供される視覚的および聴覚的な表現手段であり、当該遊技にストーリー性を与えたり、当選種別抽選の結果をよりダイナミックな画像で示唆したりすることができる。このような演出では、例えば、AT演出状態の当選を示唆する演出を複数遊技に亘って行い、遊技者の期待感を高めることができる。また、たとえ、いずれの当選種別にも当選していなかったとしても、恰も当選しているかのような演出を通じて遊技者に高配当の期待感を持たせ、遊技者を飽きさせないようにすることが可能となる。また、演出には、上述したように、ART遊技状態(AT演出状態)において、
図7に示す当選種別抽選テーブルの当選領域2〜13の当選種別「移行リプレイ」や、当選領域14〜25の当選種別「選択ベル」に当選した場合に、遊技利益が大きい(RT遊技状態が昇格する、または、期待獲得枚数が最大となる)正解操作態様を報知する補助演出も含まれる。
【0047】
(主制御基板200で用いられるテーブル)
スロットマシン100においては、主制御基板200や副制御基板202において複数の遊技状態が設けられており、遊技の進行に応じて遊技状態が遷移する。そして、主制御基板200では、状態移行手段312により管理される遊技状態に対応する複数の当選種別抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選種別抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の設定値(遊技利益を得る容易性を段階的に示したもの)と現在の遊技状態(後述するボーナス役の成立有無に基づく遊技状態等)に応じて、対応する当選種別抽選テーブルをメインROM200bから抽出し、抽出した当選種別抽選テーブルに基づき、スタートスイッチ128の操作信号に応じて取得された当選種別抽選乱数が当選種別抽選テーブル内のいずれの当選種別または不当選に対応するか判定する。
【0048】
ここで、当選種別抽選テーブルで抽出される当選種別を構成する当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役がある。このような当選役に対応する図柄組み合わせが、有効ラインA上に揃った状態を表示または入賞といい、当選役を含む当選種別に当選し、その当選役に対応する図柄組み合わせが表示されるまでの状態を内部当選状態とする。当選役のうちのリプレイ役は、そのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技者によるメダルの新たなるベットを行わずして再度1遊技を実行できる役であり、小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、状態移行手段312により管理される遊技状態をボーナス遊技状態に遷移させることができる当選役である。
【0049】
また、本実施形態においては、当選役として、
図5に示すように、当選役「通常リプレイ」、「移行リプレイ1」、「移行リプレイ2」、「移行リプレイ3」、「移行リプレイ4」、「移行リプレイ5」、「移行リプレイ6」、「移行リプレイ7」(以下、かかる8つのリプレイを単に当選役「リプレイ」と略す場合がある)、「維持ベル1」、「維持ベル2」、「維持ベル3」、「維持ベル4」、「維持ベル5」、「維持ベル6」、「維持ベル7」、「維持ベル8」、「維持ベル9」、「維持ベル10」、「維持ベル11」、「維持ベル12」、「維持ベル13」、「維持ベル14」、「維持ベル15」、「維持ベル16」、「維持ベル17」、「維持ベル18」、「維持ベル19」、「維持ベル20」、「維持ベル21」、「維持ベル22」、「維持ベル23」、「維持ベル24」、「増加ベル1」、「増加ベル2」(以下、当選役「維持ベル1」〜「維持ベル24」、「増加ベル1」、「増加ベル2」の26個のベルを単に当選役「ベル」と略し、当選役「増加ベル1」、「増加ベル2」を除く当選役「維持ベル1」〜「維持ベル24」の24個のベルを単に当選役「維持ベル」と略す場合がある)、「チェリー」、「RBB1」、「RBB2」、「RBB3」、「CBB」(以下、当選役「RBB1」、「RBB2」、「RBB3」、「CBB」の4つを単に当選役「BB」と略す場合がある)が設けられている。
図5では、回転リール134a、134b、134cそれぞれに、各当選役を構成する1または複数の図柄が対応付けられている。このうち、当選役「リプレイ」が上記リプレイ役に相当し、当選役「ベル」、「チェリー」が上記小役に相当し、当選役「BB」が上記ボーナス役に相当する。
【0050】
(リプレイ役)
当選種別抽選の結果、当選役「リプレイ」のいずれかが含まれる当選種別に当選し、入賞条件となる操作態様(ここでは操作順)で操作した場合には、その当選役に対応する図柄組み合わせのうち、各回転リール134a、134b、134cそれぞれに記される図柄が有効ラインA上に表示可能となり、その当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、上記したように、遊技者によるベットを行わずして再度1遊技を実行できる。
【0051】
ここで、本実施形態においては、遊技者によってストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、当該図柄が有効ラインA上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ラインA上にはないが、各回転リール134a、134b、134cの回転方向と反対の方向の図柄4コマ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、リール制御手段306によって、離れている図柄数が滑りコマ数となり、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。また、当選役に対応する図柄が各回転リール134a、134b、134c中に複数あり、いずれも各回転リール134a、134b、134cの引込範囲内に存在している場合には、予め定められた優先順位に従っていずれの図柄を有効ラインA上に引き込むか決定され、当該優先された図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。なお、ストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選した当選役以外の当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、その図柄を有効ラインA上に停止させないようにする、所謂蹴飛ばし処理も並行して実行される。また、後述するように、当選種別を構成する当選役に操作態様(操作順や操作タイミング)が入賞条件として設定されている場合、リール制御手段306は、遊技者の操作態様にも応じて当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示可能に停止制御する。
【0052】
そして、各回転リール134a、134b、134cにおいては、当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配列されている(
図3および
図5参照)。具体的に、当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄同士は、各回転リール134a、134b、134c内で最大図柄4コマ分しか離隔していないので、停止制御によって必ず有効ラインA上に表示することができる。このように、当選役「通常リプレイ」が含まれる当選種別に当選し、入賞条件となる操作態様で操作した場合には、これら当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせが、必ず、有効ラインA上に表示されることとなる。
【0053】
なお、詳しくは後述するが、当選役「通常リプレイ」が含まれる当選種別に当選した場合の停止制御は、その当選態様(例えば、当選役「通常リプレイ」が単独で当選したか、他の当選役(例えば、当選役「移行リプレイ1」)と重複当選したか)によって異なるように設定されている。したがって、その当選態様および遊技者の操作態様に応じて、重複当選した当選役「リプレイ」のいずれかの当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることとなる。
【0054】
(小役)
また、当選種別抽選の結果、当選役「ベル」のいずれかが含まれる当選種別に当選した場合には、その当選役に対応する図柄組み合わせのうち、各回転リール134a、134b、134cそれぞれに記される図柄が有効ラインA上に表示可能となり、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示された場合には、各当選役に対応した枚数のメダルが遊技者に払い出される。
【0055】
また、当選役「維持ベル1」〜「維持ベル24」が含まれる当選種別に当選し、特定の条件(当選役「維持ベル1」〜「維持ベル24」に対応付けられた操作順での操作)を満たした場合には、当選役「維持ベル1」〜「維持ベル24」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させられるとは限らない。
【0056】
また、詳しくは後述するが、本実施形態においては、当選役「増加ベル1」、「増加ベル2」が単独で当選することがなく、必ず他の当選役(例えば、当選役「維持ベル1」〜当選役「維持ベル24」から選択される1または複数の当選役)と重複当選するので、その重複当選の当選態様によって停止制御が異なるように設定されている。したがって、当選役「増加ベル1」、「増加ベル2」に対応する図柄組み合わせが、必ず有効ラインA上に表示可能なように配列されている(
図3および
図5参照)ものの、当選役「増加ベル1」、「増加ベル2」が含まれる当選種別に当選しても、その操作態様によっては、取りこぼすことがあり、遊技者は、当選役「増加ベル1」、「増加ベル2」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させられるとは限らない。
【0057】
また、当選種別抽選の結果、当選役「チェリー」が含まれる当選種別「チェリー」に当選した場合には、当選役「チェリー」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示可能となる。ここで「ANY」は、対応する有効ラインA上にいずれの図柄が停止してもよいことを示す。ただし、当選役「チェリー」が含まれる当選種別「チェリー」に当選したとしても、所謂取りこぼしが生じることがあり、遊技者は、当選役「チェリー」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させられるとは限らない。
【0058】
(ボーナス役)
また、当選種別抽選の結果、当選役「BB」のいずれかが含まれる当選種別に当選した場合には、その当選役「BB」に対応する図柄組み合わせのうち、各回転リール134a、134b、134cそれぞれに記される図柄が有効ラインA上に表示可能となる。例えば、当選役「RBB1」が含まれる当選種別に当選した場合には、
図5に示した当選役「RBB1」に対応する複数の図柄組み合わせのうち、各回転リール134a、134b、134cそれぞれに記される「BAR」図柄が、有効ラインA上に表示可能となる。そして、当選役「RBB1」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、ボーナス遊技フラグがオンすることで、遊技状態がボーナス遊技状態に設定され、次の1遊技(以下、単に次遊技という)以降、メダルが所定枚数払い出されるまで、ボーナス遊技状態にて遊技を実行することが可能となる。なお、各回転リール134a、134b、134cにおいては、それぞれ「BAR」図柄が、上記の停止制御によっても、有効ラインA上に表示されない場合があるように配列されている(
図3および
図5参照)。そのため、当選役「RBB1」が含まれる当選種別に当選したとしても、遊技者は、当選役「RBB1」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させられるとは限らない。
【0059】
なお、上述したいずれかの当選種別に当選すると、それぞれの当選種別に対応する内部当選フラグが成立(オン)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、回転リール134a、134b、134cそれぞれの停止制御がなされることとなる。このとき、小役が含まれる当選種別に当選したものの、これら当選役に対応する図柄組み合わせを、その1遊技内で有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、当該1遊技の終了後に内部当選フラグがOFFされる。つまり、小役の当選の権利は小役が含まれる当選種別に当選した1遊技内のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。これに対して、当選役「BB」が含まれる当選種別に当選した場合には、BB内部当選フラグが成立(オン)するとともに、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるまで、BB内部当選フラグが遊技を跨いで持ち越される。なお、リプレイ役である当選役「リプレイ」が含まれる当選種別に対応する内部当選フラグが成立した場合には、その当選役に対応する図柄組み合わせが必ず有効ラインA上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがOFFされる。
【0060】
(遊技状態の遷移)
ここで、
図6を用い、上記ボーナス遊技状態を含む遊技状態の遷移について説明する。ここでは、RT1遊技状態、RT2遊技状態、RT3遊技状態、RT4遊技状態(ART遊技状態)、内部中遊技状態、ボーナス遊技状態といった複数の遊技状態が準備されている。RT1遊技状態、RT2遊技状態、RT3遊技状態、RT4遊技状態は、それぞれリプレイ役の当選確率が設定された(RT1遊技状態=1/7.3、RT2遊技状態=1/7.3、RT3遊技状態=1/1.4、RT4遊技状態=1/1.4)、所謂、RT遊技状態であり、後述するように、主として所定の当選役が有効ラインA上に表示されることでRT遊技状態が遷移する。ここでは、RT4遊技状態のリプレイ役の当選確率が比較的高く設定されており、遊技者はRT4遊技状態に移行することで、遊技を有利に進行することができる。また、RT4遊技状態では、補助演出を行う、所謂、ATを並行して実行すること(AT演出状態)を想定しており、本実施形態においては、RT4遊技状態と並行してATを実行している状態をART遊技状態という。
【0061】
状態移行手段312は、当選役「リプレイ」や当選役「BB」等、所定の当選種別の当選や入賞に基づいて、かかる複数の遊技状態を遷移させる。また、状態移行手段312は、当選種別抽選により決定された当選種別に基づいて、演出状態を非AT演出状態からAT演出状態へ移行するか否かを演出状態抽選により決定する。かかる演出状態抽選によりAT演出状態への移行が決定されると、それに伴い、遊技状態がRT4遊技状態に遷移して、AT演出状態とRT4遊技状態が並行して進行するART遊技状態が実行される。なお、演出状態について、詳しくは後述する。
【0062】
具体的に、AT演出状態への移行が決定されると、遊技状態がRT1遊技状態であれば、補助演出を行い、後述するRT2遊技状態への移行を示す図柄組み合わせ(当選役「維持ベル」の取りこぼし)が有効ラインA上に表示されることで、
図6の(1)に示すように、遊技状態をRT2遊技状態に移行し、遊技状態がRT2遊技状態であれば、補助演出を行い、後述するRT3遊技状態への移行を示す当選役(当選役「移行リプレイ4」)に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることで、
図6の(2)に示すように、遊技状態をRT3遊技状態に移行し、遊技状態がRT3遊技状態であれば、補助演出を行い、後述するRT4遊技状態への移行を示す当選役(当選役「移行リプレイ5」または「移行リプレイ6」)に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることで、
図6の(3)に示すように、遊技状態をRT4遊技状態に移行する。こうして遊技状態がRT4遊技状態に遷移し、ART遊技状態が実行される。
【0063】
そして、AT演出状態の終了条件が成立すると、ART遊技のうち、AT演出状態が終了し、補助演出が行われないことで、
図6の(4)に示すように、RT2遊技状態への移行を示す図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることで遊技状態がRT2遊技状態に移行されるか、もしくは、
図6の(5)に示すように、RT1遊技状態への移行を示す当選役(当選役「維持ベル」)に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることで遊技状態がRT1遊技状態に移行される。
【0064】
また、RT1遊技状態、RT2遊技状態、RT3遊技状態、RT4遊技状態のいずれかの遊技状態での当選種別抽選において、当選役「BB」のいずれかに当選し、BB内部当選フラグが成立すると、
図6の(6)に示すように、状態移行手段312は、遊技状態を、ボーナス遊技状態の準備状態に相当する内部中遊技状態に移行する。このとき、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、そのままBB内部当選フラグが次遊技に持ち越され(内部中遊技状態が維持され)、次回以降の遊技においても当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることが可能となる。内部中遊技状態では、その前段(直前)の遊技状態より当選種別「通常リプレイ」の当選確率が高く(例えば、1/3.0)設定され、また、後述するように、当選役「増加ベル1」や当選役「増加ベル2」の入賞確率が高くなるので、メダルの消費を抑えつつ、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させるように狙うことができる。そして、遊技者が、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させると、
図6の(7)に示すように、状態移行手段312は、遊技状態を、内部中遊技状態からボーナス遊技状態に移行する。また、ボーナス遊技状態において、所定枚数(例えば、当選役「RBB1」に基づくボーナス遊技状態=351枚、当選役「RBB2」および当選役「RBB3」に基づくボーナス遊技状態=297枚、当選役「CBB」に基づくボーナス遊技状態=81枚)を超えるメダルが払い出されると、
図6の(8)に示すように、状態移行手段312は、遊技状態を、ボーナス遊技状態からRT1遊技状態に移行する。ただし、
図6の(9)に示すように、当選役「BB」が成立した遊技で、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させた場合、内部中遊技状態を経由せず、直接、ボーナス遊技状態に遷移する。
【0065】
(当選種別抽選テーブル)
図7は、当選種別抽選乱数を判定する場合に用いられる当選種別抽選テーブルを示す図である。当選種別抽選テーブルでは、複数の当選領域が区画されており、各遊技状態によって抽選の対象となる当選種別が異なったり、不当選の有無が異なったりする。
図7では、各遊技状態(RT1遊技状態、RT2遊技状態、RT3遊技状態、RT4遊技状態、内部中遊技状態、ボーナス遊技状態)毎に割り当てられた当選領域(当選種別)を「○」で表している。したがって、「○」が記載されていない当選領域は、その遊技状態に割り当てられていないことを示す。区画化された各当選領域にはそれぞれ当選範囲を示す所定の当選範囲値(置数)と当選種別が対応付けられており、遊技状態毎に割り当てられた全ての当選領域の当選範囲値を合計すると当選種別抽選乱数の総数(65536)となる。したがって、当選種別それぞれが決定される確率は、当選領域に対応付けられた当選範囲値を当選種別抽選乱数の総数で除算した値となる。当選種別抽選手段304は、その時点の遊技状態に基づいて、当該当選種別抽選テーブルにおける複数の当選領域から、順次、当選範囲値を取得し、その当選範囲値を当選種別抽選乱数から減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選種別を抽選結果としている。当該抽選の手順は、他の抽選においても適用できる。
【0066】
図7の当選種別抽選テーブルによれば、当選領域1には、当選種別「通常リプレイ」が対応付けられており、当該当選種別「通常リプレイ」の当選に応じて当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる。
【0067】
また、当選種別抽選テーブルによれば、複数の当選役が重複した当選種別に当選することがある。例えば、当選領域2には、当選役「通常リプレイ」、「移行リプレイ4」が重複した当選種別「移行リプレイ1」が対応付けられている。このように、複数の当選役が重複して当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に優先的に表示させるかについての入賞条件、例えば、ストップスイッチ130a、130b、130cが操作される順番が設定されている。
【0068】
以下の説明において、回転リール134a、回転リール134b、回転リール134cの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130a、130b、130cの操作を「打順1」とする。また、回転リール134a、回転リール134c、回転リール134bの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130a、130b、130cの操作を「打順2」とする。また、回転リール134b、回転リール134a、回転リール134cの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130a、130b、130cの操作を「打順3」とする。また、回転リール134b、回転リール134c、回転リール134aの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130a、130b、130cの操作を「打順4」とする。また、回転リール134c、回転リール134a、回転リール134bの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130a、130b、130cの操作を「打順5」とする。また、回転リール134c、回転リール134b、回転リール134aの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130a、130b、130cの操作を「打順6」とする。
【0069】
例えば、RT2遊技状態において、当選領域2に対応する当選種別「移行リプレイ1」が当選種別抽選により決定され、打順1による操作が行われた場合、RT3遊技状態への移行を示す当選役「移行リプレイ4」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。また、打順2〜打順6による操作が行われた場合、当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。
【0070】
このように、複数の当選役が重複した当選種別には、遊技者によるストップスイッチ130a、130b、130cの操作順に応じ、有効ラインA上に表示可能な図柄組み合わせの種類に基づいて、または、当選役が小役であった場合、その小役に対応するメダルの払出枚数に基づいて、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に優先的に表示するかが
図7に示すように設定されており、リール制御手段306は、遊技者によるストップスイッチ130a、130b、130cの操作順と操作タイミングに応じて停止制御する図柄を決定する。例えば、回転リール134a、134b、134cの回転中に、遊技者によって、ストップスイッチ130a、130b、130cのいずれかが操作されると、操作されたストップスイッチ130a、130b、130cに対応する回転リール134a、134b、134cにおける、その操作タイミングで引込範囲内に存在している図柄のうち、まだ、入賞の可能性が残っている全ての当選役に対応する図柄組み合わせの当該回転リール134a、134b、134cの図柄が停止制御の対象となり、さらに、操作されたストップスイッチ130a、130b、130cの操作順に応じて設定された優先度に基づき、リール制御手段306は、いずれか1の図柄を有効ラインA上に停止制御する。本実施形態では、有効ラインA上に表示可能な図柄組み合わせの種類に基づいて優先度を設定する場合、有効ラインA上に表示可能となる当選役の図柄組み合わせの種類が多いほど優先度が高くなるように優先度が設定され、当選役(小役)に対応するメダルの払出枚数に基づいて優先度を設定する場合、有効ラインA上に表示されている図柄組み合わせに対応する小役の払出枚数が多いほど優先度が高くなるように優先度が設定される。
【0071】
なお、上記した通り、当選種別「移行リプレイ1」に当選した場合には、その図柄配列上、いずれのタイミングでストップスイッチ130a、130b、130cを押圧操作したとしても、重複するいずれかの当選役に対応する図柄組み合わせが、必ず、有効ラインA上に表示されることとなる。したがって、遊技者が、回転リール134a、134b、134cのいずれを最初に停止するようにストップスイッチ130a、130b、130cを操作したとしてもリプレイ役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示することは可能であるが、その停止順により表示される図柄の組み合わせが異なることとなる。
【0072】
このようなリプレイ役が重複した当選種別に当選した場合、補助演出を通じて重複当選した複数の当選役のいずれかに対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる。例えば、状態移行手段312が、RT2遊技状態において、AT演出状態への移行を決定した後に、所定の当選種別(例えば、当選種別「移行リプレイ1」)に当選すると、補助演出を通じ、遊技者に、遊技状態の移行を示す所定の操作態様(例えば、打順1)による操作を行わせ、所定の当選役(例えば、当選役「移行リプレイ4」)に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させ、そのことをもって、遊技状態をRT3遊技状態に遷移させる。
【0073】
また、当選領域14に対応する当選種別「選択ベル左1」が当選種別抽選により決定され、打順1による操作が行われた場合、払出枚数が多い当選役「増加ベル1」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。なお、上述したように、当選役「増加ベル1」に対応する図柄組み合わせは、停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配列されている(
図3および
図5参照)。また、打順2〜打順6による操作が行われた場合、重複する当選役「維持ベル」のいずれかに対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。ただし、当選役「維持ベル」に当選したとしても、遊技者は、当選役「維持ベル」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させられるとは限らない。このように、当選領域14の当選種別「選択ベル左1」に当選した場合、遊技者が、正解操作態様となる打順1によって操作すると、払出枚数9枚の当選役「増加ベル1」に対応する図柄組み合わせを必ず有効ラインA上に表示でき(期待獲得枚数=9枚)、打順2〜6によって操作すると、当選役「増加ベル1」の入賞を回避しつつ、払出枚数3枚の当選役「維持ベル」に対応する図柄組み合わせを約1/2の確率で有効ラインA上に表示でき、また、残りの約1/2の確率でいずれの当選役も入賞させないようにする(取りこぼし)ことができる。
【0074】
ここでは、当選種別抽選テーブルの当選領域14〜25全てにおいて、当選役「増加ベル1」、「増加ベル2」のいずれかと、当選役「維持ベル1」〜「維持ベル24」のいずれか複数の当選役が重複当選するようになっており(以下、当選領域14〜25における当選種別「選択ベル左1」、「選択ベル左2」、「選択ベル左3」、「選択ベル左4」、「選択ベル中1」、「選択ベル中2」、「選択ベル中3」、「選択ベル中4」、「選択ベル右1」、「選択ベル右2」、「選択ベル右3」、「選択ベル右4」を合わせて当選種別「選択ベル」と略す場合がある)、期待獲得枚数が当選役「維持ベル1」〜当選役「維持ベル24」より多い当選役「増加ベル1」または当選役「増加ベル2」を入賞させるための停止操作が当選領域によって異なるように設定されている。なお、当選領域14〜25の当選確率(置数の数)は等しくなるように設定されている。遊技者は、通常、いずれの当選種別に当選しているのかを知ることができないため、上記のような当選領域14〜25を設けることにより、選択当選役としての当選役「増加ベル1」または当選役「増加ベル2」を入賞させることが極めて難しくなっている。ただし、このようなストップスイッチ130a、130b、130cの操作順に応じて遊技者の遊技利益が異なる当選種別に当選した場合においても、遊技者は、補助演出を通じて当選役「増加ベル1」または当選役「増加ベル2」を入賞し得る正解操作態様を把握することで、当選役「増加ベル1」または「増加ベル2」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させ、補助演出が実行されない非AT演出状態より多くのメダルを獲得することが可能となる。
【0075】
このように、補助演出を実行することで、遊技の進行に応じてメダルが増え易いAT演出状態(本実施形態ではRT4遊技状態と並行して実行されるART遊技状態)と、補助演出を行わないことで、遊技の進行に応じてメダルが減り易い非AT演出状態(主として、RT1遊技状態、RT2遊技状態、RT3遊技状態)とを実現することができる。具体的に、補助演出が行われない非AT演出状態では、当選種別「選択ベル」が当選した遊技において、遊技者が無作為な操作態様でストップスイッチ130を操作すると、規定投入数「3」に対して期待獲得枚数は約2.75枚(9枚×1/6+約3/2枚×5/6)となり、遊技の進行に応じてメダルが減り易くなる。一方で、補助演出が実行されるAT演出状態では、当選種別「選択ベル」が当選した遊技において、当選役「増加ベル1」または当選役「増加ベル2」を入賞させることができるので、規定投入数「3」に対して期待獲得枚数は9枚となり、当選種別「選択ベル」の当選確率を調整することで、遊技の進行に応じてメダルが増え易くなる遊技を実現することができる。
【0076】
(演出状態の遷移)
図8は、主制御基板200における演出状態の遷移を説明するための説明図である。以下、主制御基板200において状態移行手段312により遷移される(設定される)演出状態(非AT演出状態、AT演出状態)について詳述する。
【0077】
(非AT演出状態)
非AT演出状態は、通常演出状態とチャンス演出状態(チャンスゾーン)とが設けられている。非AT演出状態が実行される際、補助演出の実行頻度がAT演出状態より極めて低く、ほぼ補助演出が行われない、または、補助演出が全く行われないので、獲得できるメダルの枚数が制限される。通常演出状態は、副制御基板202で管理される複数の演出状態のうち、初期状態に相当する遊技状態である。
【0078】
状態移行手段312は、通常演出状態における所定の契機で遊技状態をチャンス演出状態に遷移させ(1)、チャンス演出状態のまま所定の条件が満たされると、例えば、所定の遊技数が消化されると、通常演出状態に戻す(2)。また、状態移行手段312は、通常演出状態およびチャンス演出状態において、演出状態をAT演出状態に遷移させることができる(3)。ただし、チャンス演出状態の方が通常演出状態よりAT演出状態に移行し易いように設定されている。例えば、通常演出状態およびチャンス演出状態のいずれの遊技状態においても、当選種別抽選により決定された当選種別に基づいてAT演出状態へ移行するか否かが抽選(演出状態抽選)により決定される場合に、当選種別毎に対応付けられたAT演出状態へ移行する確率が通常演出状態よりチャンス演出状態の方が高くなっている。したがって、遊技者は、通常演出状態より、チャンス演出状態に滞在することを望むこととなる。また、AT演出状態に移行することなく非AT演出状態で所定の遊技数が消化されると(所謂、天井到達)、状態移行手段312は、遊技状態をAT演出状態へ遷移させる。
【0079】
(AT演出状態)
AT演出状態では、補助演出によって正解操作態様が報知されることで、メダルの消費を抑えつつ、多くのメダルを獲得することが可能となる。したがって、遊技者は、AT演出状態において、非AT演出状態と比べ、遊技を有利に進行することができる。
【0080】
また、AT演出状態では、2つのAT演出状態(通常AT演出状態、チャンスAT演出状態)が設けられている。通常AT演出状態は、所定の継続遊技数(例えば、50遊技)を1セットとしてセット数管理により遊技が進行する。状態移行手段312は、演出状態が通常AT演出状態に設定されると、ストック(保持)されているセット数を1減算するとともに、継続遊技数を50遊技に設定する。そして、継続遊技数の遊技が終了すると、状態移行手段312は、セット数が0であるか(セット数がストックされているか)判定し、セット数が0でない場合には、ストックされているセット数を1減算して、通常AT演出状態を継続させる(4)。一方、ストックされているセット数が0である場合には、状態移行手段312は、通常AT演出状態を終了し、演出状態を通常演出状態へ遷移させる(5)。また、状態移行手段312は、通常AT演出状態において、演出状態をチャンスAT演出状態に遷移させることができる(6)。
【0081】
チャンスAT演出状態は、所定の遊技数が経過するまで継続し、その間に、通常AT演出状態のセット数を上乗せする。そして、所定の遊技数が終了すると、状態移行手段312は、演出状態を通常AT演出状態に遷移させる(7)。
【0082】
なお、遊技状態および演出状態のいずれにおいても、所定の当選役の入賞または取りこぼしを移行条件とする場合、移行条件を満たすまでの準備状態を経由して(例えば、非AT演出状態から通常AT演出状態(3)、通常AT演出状態からチャンス演出状態(5))、移行先の遊技状態や演出状態に移行する場合がある。
【0083】
(遊技情報の表示)
ところで、上述したようなボーナス遊技状態やAT演出状態への移行頻度が偏ると射倖性が過度に高まってしまう懸念がある。そこで、メダルの獲得性能が高い遊技状態が偏っているか否かを統括的かつ画一的に判定すべく、有利区間比率、連続役物比率、役物比率といった判断基準を設ける。有利区間比率は、有利区間に滞在している遊技数である滞在遊技数を、当該スロットマシン100を遊技場(ホール)に設置してからの遊技数の総数である総遊技数で除算し、%で示した値を言い、連続役物比率は、所定の基準集計期間における、レギュラーボーナス遊技等、第1種特別役物の作動によって払出制御手段310が払い出したメダルの枚数である連続役物払出数を、払出制御手段310が払い出したメダルの総数である総払出数で除算し、%で示した値を言い、役物比率は、所定の基準集計期間における、ボーナス遊技等、役物の作動に基づいて払出制御手段310が払い出したメダルの枚数である役物払出数を、払出制御手段310が払い出したメダルの総数である総払出数で除算し、%で示した値を言う。なお、有利区間比率は、総遊技数のみを用い、連続役物比率、役物比率のように6000遊技といった有限の遊技数は用いない。
【0084】
ここで、有利区間は、指示機能に係る性能を有する区間、すなわち、補助演出(指示機能)を実行する区間を含んだ、遊技者にとって有利な区間をいう。なお、上述した通常AT演出状態およびチャンスAT演出状態は、最大払出枚数を獲得できる補助演出が少なくとも1回実行される点で有利区間であり、そのような有利区間中に実行されるボーナス遊技状態や内部中遊技状態も有利区間となる。したがって、有利区間比率は、AT演出状態および非AT演出状態における全ての遊技数に対する、AT演出状態およびチャンス演出状態、ならびに、そのような有利区間中の内部中遊技状態およびボーナス遊技状態で遊技した滞在遊技数の比率を表すこととなる。
【0085】
また、役物は、入賞を容易にするための装置であり、レギュラーボーナス(RB)、チャレンジボーナス(CB)、シングルボーナス(SB)等が該当する。また、かかる役物のうち、レギュラーボーナス(RB)が第1種特別役物に対応する。なお、レギュラービッグボーナス(RBB)は、第1種特別役物であるレギュラーボーナス(RB)の入賞形態を示す図柄組み合わせの表示によらずにレギュラーボーナス(RB)が連続で作動するものであり、チャレンジビッグボーナス(CBB)は、第2種特別役物(役物のうちの一つ)であるチャレンジボーナス(CB)の入賞形態を示す図柄組み合わせの表示によらずにチャレンジボーナス(CB)が連続で作動するものである。したがって、連続役物比率は、所定の基準集計期間において払い出された総払出数に対する第1種特別役物の作動によって払い出された連続役物払出数の比率を表すこととなり、役物比率は、所定の基準集計期間において払い出された総払出数に対する役物の作動によって払い出された役物払出数の比率を表すこととなる。
【0086】
なお、基準集計期間は、払出制御手段310が払い出したメダルの枚数を累積する対象期間である。本実施形態では、例えば、有限の値である6000遊技や、当該スロットマシン100を遊技場(ホール)に設置してから全ての期間(以下、「総累計」という)の2通りを挙げる。ここで、6000遊技としては、現在の遊技を起点とした直近の6000遊技を対象としているが、後述するように、その計算は所定の遊技数(例えば400遊技)毎に行われる。したがって、連続役物比率としては、6000遊技の連続役物比率と総累計の連続役物比率とを導出し、役物比率としては、6000遊技の役物比率と総累計の役物比率とを導出する。ただし、基準集計期間として、任意の遊技数を設定できることは言うまでもない。
【0087】
このような、有利区間比率、連続役物比率、役物比率を求めるべく、累積手段314は、総遊技数、滞在遊技数、総払出数、連続役物払出数、役物払出数を累積する。このとき、総遊技数、滞在遊技数、総払出数、連続役物払出数、役物払出数それぞれには、カウンタが対応付けられている。具体的に、累積手段314は、1遊技が開始されると、総遊技数を示す総遊技数カウンタを1だけインクリメントする。そして、現在の遊技がAT演出状態における遊技であるか否か判定し、AT演出状態における遊技であれば、滞在遊技数を示す滞在遊技数カウンタを1だけインクリメントする。なお、滞在遊技数カウンタの更新は、演出状態が非AT演出状態である場合においてAT演出状態に当選した遊技(有利区間への移行処理が行われた遊技)の次遊技から開始される。ただし、レギュラービッグボーナス(RBB)またはチャレンジビッグボーナス(CBB)の当選に基づいてAT演出状態に当選した場合には当該ボーナスが入賞した遊技(有利区間への移行処理が行われた遊技)の次遊技から開始される。
【0088】
また、累積手段314は、その遊技でメダルが払い出されると、総払出数を示す総払出数カウンタを、その払出枚数分だけインクリメントする。そして、当該メダルの払い出しが役物に基づいていれば、役物払出数を示す役物払出数カウンタを、その払出枚数分だけインクリメントし、さらに、当該メダルの払い出しが第1種特別役物に基づいていれば、役物払出数カウンタに加え、連続役物払出数を示す連続役物払出数カウンタを、その払出枚数分だけインクリメントする。なお、かかるカウンタによる計数は、規定数や設定値に拘わらず常に実行される。このようにして、総遊技数、滞在遊技数、総払出数、連続役物払出数、役物払出数がそれぞれ累積される。
【0089】
なお、総累計については、かかるカウンタのみで計数できるが、連続役物比率および役物比率に関しては、総累計のみならず、基準集計期間、ここでは、6000遊技といった限られた期間も対象にしなければならない。そこで、6000遊技を、例えば、400遊技毎に均等に区分けし、400遊技ずつ計数する複数(例えば15個)のカウンタを設け、リングバッファとして利用する。なお、ここでは、6000遊技を400遊技毎に区分けして計数する例を挙げているが、6000の因数(約数)であれば、区分けする遊技数を任意に設定可能なのは言うまでもない。
【0090】
具体的に、累積手段314は、その遊技でメダルが払い出されると、総払出数カウンタ、連続役物払出数カウンタ、役物払出数カウンタを更新する処理を400遊技まで行い、400遊技に到達すると、過去に計数した14個のカウンタと合算して、総払出数、連続役物払出数、役物払出数を導出する。そして、14個のカウンタのうち最も古い遊技で計数したカウンタを初期化し、その初期化したカウンタによって、新たに400遊技分、総払出数カウンタ、連続役物払出数カウンタ、役物払出数カウンタを更新する。こうして、400遊技毎に、新たな400遊技分の遊技情報と、過去の5600遊技分の遊技情報とを参照することができるので、直近の6000遊技の総払出数、連続役物払出数、役物払出数を導出することが可能となる。なお、かかるカウンタによる計数は、規定数や設定値に拘わらず常に実行される。このようにして、総遊技数、滞在遊技数、総払出数、連続役物払出数、役物払出数がそれぞれ累積される。
【0091】
続いて、比率導出手段316は、累積手段314が累積した、総遊技数、滞在遊技数、総払出数、連続役物払出数、役物払出数に基づいて有利区間比率、連続役物比率、役物比率を導出する。具体的に、比率導出手段316は、滞在遊技数を総遊技数で除算し、%換算して有利区間比率を導出し、総累計の連続役物払出数を総累計の総払出数で除算し、%換算して総累計の連続役物比率を導出し、総累計の役物払出数を総累計の総払出数で除算し、%換算して総累計の役物比率を導出する。また、比率導出手段316は、400遊技毎に、6000遊技の連続役物払出数を6000遊技の総払出数で除算し、%換算して6000遊技の連続役物比率を導出し、6000遊技の役物払出数を6000遊技の総払出数で除算し、%換算して6000遊技の役物比率を導出する。
【0092】
次に、比率表示手段318は、所定の表示指令に基づいて、比率導出手段316が導出した有利区間比率、6000遊技の連続役物比率、6000遊技の役物比率、総累計の連続役物比率、総累計の役物比率を比率表示部160に表示する。
【0093】
図9は、主制御基板200の外観を示した説明図である。ここでは、特に発光素子について詳述する。
図9(a)に示すように、主制御基板200の端側には複数のコネクタ162が設けられる。主制御基板200は、かかるコネクタ162を通じて、メインクレジット表示部152、メイン払出表示部154、図示しないメインLEDが設けられた中継基板170と電気的に接続され、メインクレジット表示部152、メイン払出表示部154、メインLEDの点灯状態を制御する。メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154は、それぞれ、十進のアラビア数字を表すことができる7つのセグメントと、その右下に位置するドットセグメント(DP)とからなる7セグメントを2つ並置して構成される。したがって、主制御基板200では、メインクレジット表示部152とメイン払出表示部154とを合わせて4つの7セグメントの点灯状態を制御することとなる。また、メインLEDは、メダルの投入が可能であることを示す投入可能LED、メダルが少なくとも1枚ベットされている状態を示す1BETLED、メダルが少なくとも2枚ベットされている状態を示す2BETLED、メダルが少なくとも3枚ベットされている状態を示す3BETLED、スタートスイッチ128の操作が可能であることを示すスタートLED、リプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づいてメダルが自動投入されたことを示すリプレイLEDの合計6つのLEDで構成される。したがって、主制御基板200では、コネクタ162を通じ、4つの7セグメント(メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154)に加え、6つのLED(メインLED)の点灯状態を制御することとなる。
【0094】
また、主制御基板200の中央近傍には比率表示部160が設けられる。比率表示部160は、7セグメントを4つ並置して構成される。そして、主制御基板200をスロットマシン100に組み込む際には、
図9(b)のように、主制御基板200を基板ケース164に収容し、基板ケース164の前面部位164aに主制御基板200の背面からビス166で固定する。基板ケース164の前面部位164aにおける、比率表示部160に対応する位置には、比率表示部160を視認可能な透過窓164bが設けられている。したがって、管理者は、
図2に示したように、前面上扉104を開放した状態で、当該透過窓164bを通じ、比率表示部160の表示内容を視認することができる。なお、かかる透過窓164bの代わりに、基板ケース164全体を透過または半透過な材質で形成してもよい。
【0095】
ここでは、比率表示部160を構成する4つの7セグメントのみで、有利区間比率、6000遊技の連続役物比率、6000遊技の役物比率、総累計の連続役物比率、総累計の役物比率といった5つの遊技情報を表示するため、各比率に識別子を対応付け、比率表示部160には、その識別子と各比率とを順次表示することとする。なお、各比率は、0〜99の範囲で示される。したがって、4つの7セグメントのうち、左側に位置する2つの7セグメントで識別子を示し、右側に位置する2つの7セグメントで比率を示す。
【0096】
図10は、比率表示部160の表示態様を説明するための説明図である。電源スイッチ148がONすると、
図10(a)のように、比率表示手段318は、有利区間比率に対応する識別子である「7U」と、その比率である、例えば「70」%とを一度に表示する。なお、比率表示手段318は、比率表示部160の2つめの7セグメントのドットセグメントを点灯することで識別子と比率とを区切っている。
【0097】
この状態で、所定時間(例えば5.0sec)が経過すると、
図10(b)ように、比率表示手段318は、6000遊技の連続役物比率に対応する識別子である「6Y」と、その比率である「60」%とを一度に表示する。そして、所定時間が経過する度に、
図10(c)のような、6000遊技の役物比率に対応する識別子である「7Y」と、その比率である「70」%との組み合わせ、
図10(d)のような、総累計の連続役物比率に対応する識別子である「6A」と、その比率である「60」%との組み合わせ、
図10(e)のような、総累計の役物比率に対応する識別子である「7A」と、その比率である「70」%との組み合わせが順次表示される。また、
図10(e)のように、総累計の役物比率に対応する識別子である「7A」と、その比率である「70」%との組み合わせが表示されている状態で、さらに所定時間が経過すると、
図10(a)に示した、有利区間比率に対応する識別子である「7U」と、その比率である「70」%とが再度表示され、以後、所定時間が経過する度に、有利区間比率、6000遊技の連続役物比率、6000遊技の役物比率、総累計の連続役物比率、総累計の役物比率の順で表示が切り換わる。
【0098】
なお、ここでは、4つの7セグメントで識別子と比率を同時に示す例を挙げて説明したが、2つの7セグメントのみを用い、識別子と比率とを切り換えて表示することもできる。この場合、比率表示手段318は、比率表示部160において、所定時間が経過する度に、例えば、「7U」→「70」→「6Y」→「60」→「7Y」→「70」→「6A」→「60」→「7A」→「70」といった順に表示を切り替える。
【0099】
管理者は、このような比率表示部160を通じて、有利区間比率、6000遊技の連続役物比率、6000遊技の役物比率、総累計の連続役物比率、総累計の役物比率といった遊技情報を視認することができる。そして、遊技情報が適切な範囲に収まっているか否かを判定し、スロットマシン100が適正に動作しているかを判断することが可能となる。
【0100】
かかる適切な範囲は、例えば、有利区間比率<70%、6000遊技の連続役物比率<60%、6000遊技の役物比率<70%、総累計の連続役物比率<60%、総累計の役物比率<70%と設定している。かかる適切な範囲を逸脱している場合、比率表示手段318は、その対象となる比率に関し、比率表示部160の各セグメントを例えば0.6sec周期で点滅させるとしてもよい。かかる点滅表示により、管理者は、適切な範囲を逸脱している識別子およびその比率を迅速に把握することが可能となる。
【0101】
(主制御基板200の回路構成)
図9、
図10を用いて説明したように、比率表示部160は主制御基板200に直接組み込まれる。これは、比率表示部160の表示自体の不正を防止するためである。しかし、主制御基板(制御基板)200は、外形を変更できない等、制限が多く、また、既に多くの電気素子が配されており、比率表示部160やそのドライバ回路といった電気素子を追加できる領域が限定される。そこで、本実施形態では、主制御基板200における電気素子(部品点数)の追加による実装面積の増加を抑えつつ、役物比率等の遊技比率を適切に表示する。
【0102】
図11は、主制御基板200の基準となる回路構成を説明するための回路図である。ここでは、特に、メインCPU200aが複数の制御信号(コモン信号やデータ信号)を通じて集合発光体L1〜L5の点灯状態を制御する例を挙げる。そのため、主制御基板200には、メインCPU200a、ラッチ回路Q1、Q2、ドライバ回路P1、P2が配され、中継基板170には、集合発光体L1〜L5が配されている。なお、ここでは、集合発光体の複数の組み合わせを発光体ユニットと称し、特に、遊技の進行状態を表示するための集合発光体L1〜L5を進行発光体ユニットと言う。
【0103】
ラッチ回路Q1、Q2は、TTLシリーズの「74273」等で構成され、D端子(D1〜D8)に入力されたメインCPU200aの制御信号を、クロック端子(CK)の立ち上げまたは立ち下げタイミングでラッチし、Q端子(Q1〜Q8)に出力する。ドライバ回路P1、P2は、IN端子(I1〜I8)に応じて、OUT端子(O1〜O8)に駆動電流(反転出力)を供給する。なお、ラッチ回路Q1、Q2やドライバ回路P1、P2で接続されていない端子は未使用(予約)端子である。進行発光体ユニットのうち、集合発光体L1〜L4は、7セグメントであり、集合発光体L5はメインLED(6つのLED)であり、いずれも複数のLEDのアノード端子またはカソード端子が共通化されたコモン端子(C)を有しており、コモン端子(C)とセグメント端子(a〜g、dp)に電位差が生じると(電流が流れると)その対応するセグメントが発光する。
【0104】
図11の例においては、ラッチ回路Q1とドライバ回路P1とが、集合発光体L1〜L5のうちの発光させる集合発光体を特定するコモン信号(シンク信号)を時分割に切り換えて出力するコモン出力回路として機能する。そして、ラッチ回路Q2とドライバ回路P2とが、コモン信号によって特定された集合発光体L1〜L5に発光させるデータを示すデータ信号(ソース信号)を出力するデータ出力回路として機能する。こうして、5つのデータが、コモン信号に応じ、集合発光体L1〜L5それぞれに時分割に切り換えて表示される(ダイナミック点灯方式)。すなわち、任意のタイミングで集合発光体L1のみのコモン信号を有効にし(LOW電位とし)、その間に、ラッチ回路Q2とドライバ回路P2から集合発光体L1に表示すべきデータ信号を出力する。そうすると、集合発光体L1〜L5全てにデータ信号が供給されるものの、コモン信号は集合発光体L1にしか供給されていないので、集合発光体L1のみがデータ信号に対応するデータを表示する。次に、コモン信号を、集合発光体L1から集合発光体L2に切り換え、同様に、集合発光体L2に表示すべきデータ信号を出力する。このように、コモン信号を集合発光体L1〜L5に対して所定周期(例えば、1.49msec)で順次切り換え、その間に、対応するデータ信号を出力することで、集合発光体L1〜L5にデータが恰も同時に表示されているように見せる。なお、その発光時間は集合発光体L1〜L5間で等しいので、その輝度も均等になる。こうして、5つのコモン信号と8つのデータ信号といった少ない制御信号で、5つの集合発光体L1〜L5の点灯状態を制御することが可能となる。
【0105】
図12は、主制御基板200に比率表示部160を配した場合の回路構成を説明するための回路図である。ここでは、メインCPU200aが複数の制御信号(コモン信号やデータ信号)を通じて、集合発光体L1〜L5に加え、比率表示部160である集合発光体L6〜L9の点灯状態を制御する例を挙げる。そのため、主制御基板200には、メインCPU200a、ラッチ回路Q1〜Q3、ドライバ回路P1〜P3、集合発光体L6〜L9が配され、中継基板170には、集合発光体L1〜L5が配されている。ここで、遊技比率を表示するための集合発光体L6〜L9からなる発光体ユニットを比率発光体ユニットと言う。なお、集合発光体L1〜L5の点灯制御については、
図11を用いて説明したので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0106】
図11と比較して新たに追加されたラッチ回路Q3は、ラッチ回路Q1、Q2同様、TTLシリーズの74273等で構成され、D端子(D1〜D8)に入力されたメインCPU200aの制御信号を、クロック端子(CK)の立ち上げまたは立ち下げタイミングでラッチし、Q端子(Q1〜Q8)に出力する。また、ドライバ回路P3は、ドライバ回路P1、P2同様、IN端子(I1〜I8)に応じて、OUT端子(O1〜O8)に駆動電流を供給する。集合発光体L6〜L9は、集合発光体L1〜L4同様、7セグメントであり、コモン端子(C)とセグメント端子(a〜g、dp)に電位差が生じると(電流が流れると)その対応するセグメントが発光する。ここでは、ラッチ回路Q1とドライバ回路P1とが、コモン信号を時分割に切り換えて出力するコモン出力回路として機能し、ラッチ回路Q2、Q3とドライバ回路P2、P3とが、データ信号を出力するデータ出力回路として機能する。
【0107】
図12の例においては、比率表示部160である集合発光体L6〜L9のコモン信号を集合発光体L1〜L4のコモン信号と共有させている。具体的に、ドライバ回路P1のOUT端子(O1)と集合発光体L1のコモン端子(C)との結線を分岐して、集合発光体L6のコモン端子(C)を並列接続する。また、ドライバ回路P1のOUT端子(O2)と集合発光体L2のコモン端子(C)との結線を分岐して、集合発光体L7のコモン端子(C)を並列接続する。また、ドライバ回路P1のOUT端子(O3)と集合発光体L3のコモン端子(C)との結線を分岐して、集合発光体L8のコモン端子(C)を並列接続する。また、ドライバ回路P1のOUT端子(O4)と集合発光体L4のコモン端子(C)との結線を分岐して、集合発光体L9のコモン端子(C)を並列接続する。したがって、集合発光体L1〜L4同様、ラッチ回路Q1とドライバ回路P1とが、集合発光体L6〜L9のコモン信号を担うこととなる。そして、追加された、ラッチ回路Q3とドライバ回路P3とが、集合発光体L6〜L9のデータ信号を担う。
【0108】
そして、集合発光体L6〜L9に対応する4つのデータを、集合発光体L6〜L9それぞれに時分割で表示する。すなわち、集合発光体L1のコモン信号が有効になるタイミングで、集合発光体L6のコモン信号も有効となり(LOW電位とし)、その間に、ラッチ回路Q3とドライバ回路P3から集合発光体L6に表示すべきデータ信号を出力する。そうすると、集合発光体L6〜L9全てにデータ信号が供給されるものの、コモン信号は集合発光体L6にしか供給されていないので、集合発光体L6のみがデータ信号に対応するデータを表示する。次に、集合発光体L2のコモン信号が有効になるタイミングで、集合発光体L7のコモン信号も有効となり、この間に、集合発光体L7に表示すべきデータ信号を出力する。このように、コモン信号を、集合発光体L6〜L9を所定周期(例えば、1.49msec)で順次切り換え、その間に、対応するデータ信号を出力することで、集合発光体L1〜L5同様、集合発光体L6〜L9にデータが恰も同時に表示されているように見せる。なお、その発光時間は集合発光体L6〜L9間で等しいので、その輝度も均等になる。
【0109】
ただし、集合発光体L1〜L5と集合発光体L6〜L9とでコモン信号を共有しているので、集合発光体の数の違いによって以下の現象が生じる。すなわち、コモン信号は、集合発光体L1〜L5を基準にしているので、所定周期(例えば、1.49msec)で切り換わり、5つ切り換わると最初に戻る。しかし、集合発光体L6〜L9は4つしかないので、集合発光体L5のコモン信号が有効となっている間は、集合発光体L6〜L9のいずれも発光しない。
【0110】
上述したように、ここでは、集合発光体L1〜L5と集合発光体L6〜L9とでコモン信号を共有している。以下、その理由を述べる。例えば、ここでは、5つのコモン信号を共有している。しかし、共有せずに、単に9つのコモン信号を順次切り替えるようにすることも考えられる。しかし、単純にコモン信号を増加させると、1つの集合発光体の相対的な発光時間が全体の1/5から1/9に減り、輝度が低くなってしまう。したがって、コモン信号をこれ以上増やすことはできない。ここでは、コモン信号を共有し、1つの集合発光体の相対的な発光時間を全体の1/5で維持しているので、輝度が低くなることがない。
【0111】
また、現行のソフトウェアは、コモン信号が5つであることを前提にコモン信号を時分割に切り換える処理を遂行している。ここで、コモン信号を9つに増やすと、コモン信号の切り換えに関するソフトウェアの設計変更を余儀なくされる。ここでは、コモン信号を共有しているので、コモン信号の切り換えに関するソフトウェアの設計変更が必要ない。
【0112】
こうして、5つのコモン信号と16のデータ信号といった少ない制御信号で、既存の5つの集合発光体L1〜L5に加え、比率表示部160である集合発光体L6〜L9の点灯状態を制御することが可能となる。
【0113】
また、ドライバ回路P1と集合発光体L1〜L5との結線からコモン信号を分岐させるといった簡易な設計変更で、比率表示部160の表示を実現できる。かかる構成では、集合発光体L6〜L9の追加に対し、ラッチ回路Q1やドライバ回路P1の未使用端子を割り当てなくてよいので、ラッチ回路Q1やドライバ回路P1の端子に余裕がない場合に有効である。
【0114】
なお、ドライバ回路P1のOUT端子を単純に分岐することで、集合発光体L1〜L4、L6〜L9に十分な駆動電流を供給できない場合、駆動電流が大きいドライバ回路P1に変更するか、以下に示す回路構成にすることで対応できる。
【0115】
図13は、主制御基板200に比率表示部160を配した場合の他の回路構成を説明するための回路図である。ここでも、メインCPU200aが複数の制御信号(コモン信号やデータ信号)を通じて、集合発光体L1〜L5に加え、比率表示部160である集合発光体L6〜L9の点灯状態を制御する例を挙げる。そのため、主制御基板200には、メインCPU200a、ラッチ回路Q1〜Q3、ドライバ回路P1〜P4、集合発光体L6〜L9が配され、中継基板170には、集合発光体L1〜L5が配されている。ここでは、ラッチ回路Q1とドライバ回路P1、P4とが、コモン信号を時分割に切り換えて出力するコモン出力回路として機能し、ラッチ回路Q2、Q3とドライバ回路P2、P3とが、データ信号を出力するデータ出力回路として機能する。なお、集合発光体L1〜L5の点灯制御については、
図11を用いて説明したので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0116】
図12と比較して新たに追加されたドライバ回路P4は、ドライバ回路P1〜P3同様、IN端子(I1〜I8)に応じて、OUT端子(O1〜O8)に駆動電流を供給する。なお、ここでは、ドライバ回路P4は既設であるとし、8つのIN端子およびOUT端子の組合せのうち、少なくとも1組(ここではIN端子(I1)とOUT端子(O1)の組み合わせ)が未使用(予約)端子であったとする。
【0117】
図13の例においては、
図12同様、比率表示部160である集合発光体L6〜L9のコモン信号を集合発光体L1〜L4と共有する。ただし、その接続態様が
図12と異なる。具体的に、ラッチ回路Q1のQ端子(Q1)とドライバ回路P1のIN端子(I1)との結線を分岐して、ドライバ回路P1のIN端子(I6)を並列接続する。そして、ドライバ回路P1のOUT端子(O6)と集合発光体L6のコモン端子(C)とを接続する。また、ラッチ回路Q1のQ端子(Q2)とドライバ回路P1のIN端子(I2)との結線を分岐して、ドライバ回路P1のIN端子(I7)を並列接続する。そして、ドライバ回路P1のOUT端子(O7)と集合発光体L7のコモン端子(C)とを接続する。また、ラッチ回路Q1のQ端子(Q3)とドライバ回路P1のIN端子(I3)との結線を分岐して、ドライバ回路P1のIN端子(I8)を並列接続する。そして、ドライバ回路P1のOUT端子(O8)と集合発光体L8のコモン端子(C)とを接続する。また、ラッチ回路Q1のQ端子(Q4)とドライバ回路P1のIN端子(I4)との結線を分岐して、ドライバ回路P4のIN端子(I1)を並列接続する。そして、ドライバ回路P4のOUT端子(O1)と集合発光体L9のコモン端子(C)とを接続する。したがって、ラッチ回路Q1とドライバ回路P1、P4とが、集合発光体L6〜L9のコモン信号を担うこととなる。そして、
図12同様、ラッチ回路Q3とドライバ回路P3とが、集合発光体L6〜L9のデータ信号を担う。
【0118】
そして、集合発光体L6〜L9に対応する4つのデータを、集合発光体L6〜L9それぞれに時分割で表示する。すなわち、集合発光体L1のコモン信号が有効になるタイミングで、集合発光体L6のコモン信号も有効となり(LOW電位とし)、その間に、ラッチ回路Q3とドライバ回路P3から集合発光体L6に表示すべきデータ信号を出力する。そうすると、集合発光体L6〜L9全てにデータ信号が供給されるものの、コモン信号は集合発光体L6にしか供給されていないので、集合発光体L6のみがデータ信号に対応するデータを表示する。次に、集合発光体L2のコモン信号が有効になるタイミングで、集合発光体L7のコモン信号も有効となり、この間に、集合発光体L7に表示すべきデータ信号を出力する。このように、コモン信号を、集合発光体L6〜L9を所定周期(例えば、1.49msec)で順次切り換え、その間に、対応するデータ信号を出力することで、集合発光体L1〜L5同様、集合発光体L6〜L9にデータが恰も同時に表示されているように見せる。
【0119】
こうして、輝度を低くしたり、コモン信号の切り換えに関するソフトウェアを設計変更することなく、5つのコモン信号と16のデータ信号といった少ない制御信号で、既存の5つの集合発光体L1〜L5に加え、比率表示部160である集合発光体L6〜L9の点灯状態を制御することが可能となる。
【0120】
また、
図12と比較して、集合発光体L1〜L9それぞれにドライバ回路P1、P4のOUT端子が独立して1つずつ割り当てられるので、集合発光体L1〜L9において発光しているセグメント数に拘わらず、十分な駆動電流を供給することが可能となる。
【0121】
また、ラッチ回路Q1とドライバ回路P1との結線からコモン信号を分岐させるといった簡易な設計変更で、比率表示部160の表示を実現できる。かかる構成では、集合発光体L6〜L9の追加に対し、ドライバ回路P1、P4の未使用端子を割り当てているものの、ラッチ回路Q1の未使用端子を割り当てなくてよいので、ラッチ回路Q1の端子に余裕がない場合に有効である。
【0122】
図14は、主制御基板200に比率表示部160を配した場合のさらに他の回路構成を説明するための回路図である。ここでも、メインCPU200aが複数の制御信号(コモン信号やデータ信号)を通じて、集合発光体L1〜L5に加え、比率表示部160である集合発光体L6〜L9の点灯状態を制御する例を挙げる。そのため、主制御基板200には、メインCPU200a、ラッチ回路Q1〜Q4、ドライバ回路P1〜P4、集合発光体L6〜L9が配され、中継基板170には、集合発光体L1〜L5が配されている。ここでは、ラッチ回路Q1、Q4とドライバ回路P1、P4とが、コモン信号を時分割に切り換えて出力するコモン出力回路として機能し、ラッチ回路Q2、Q3とドライバ回路P2、P3とが、データ信号を出力するデータ出力回路として機能する。なお、集合発光体L1〜L5の点灯制御については、
図11を用いて説明したので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0123】
図13と比較して新たに追加されたラッチ回路Q4は、ラッチ回路Q1〜Q3同様、TTLシリーズの74273等で構成され、D端子(D1〜D8)に入力されたメインCPU200aの制御信号を、クロック端子(CK)の立ち上げまたは立ち下げタイミングでラッチし、Q端子(Q1〜Q8)に出力する。なお、ここでは、ラッチ回路Q4が既設であり、8つのD端子およびQ端子の組合せのうち、少なくとも1組(ここではD端子(D1)とQ端子(Q1)の組み合わせ)が未使用(予約)端子であったとする。
【0124】
図14の例においては、比率表示部160である集合発光体L6〜L9のコモン信号を集合発光体L1〜L4と独立して設けている。具体的に、ラッチ回路Q1のQ端子(Q6)およびドライバ回路P1のIN端子(I6)によるコモン信号が集合発光体L6のコモン端子(C)に接続される。また、ラッチ回路Q1のQ端子(Q7)およびドライバ回路P1のIN端子(I7)によるコモン信号が集合発光体L7のコモン端子(C)に接続される。また、ラッチ回路Q1のQ端子(Q8)およびドライバ回路P1のIN端子(I8)によるコモン信号が集合発光体L8のコモン端子(C)に接続される。また、ラッチ回路Q4のQ端子(Q1)およびドライバ回路P4のIN端子(I1)によるコモン信号が集合発光体L9のコモン端子(C)に接続される。したがって、ラッチ回路Q1、Q4とドライバ回路P1、P4とが、集合発光体L6〜L9のコモン信号を担うこととなる。そして、
図13同様、ラッチ回路Q3とドライバ回路P3とが、集合発光体L6〜L9のデータ信号を担う。
【0125】
そして、4つのデータを、集合発光体L6〜L9それぞれに時分割で表示する。ただし、
図14の例では、集合発光体L6〜L9のコモン信号の切り換えは、集合発光体L1〜L5のコモン信号の切り換えに同期する必要がない。したがって、任意のタイミングで集合発光体L6のみのコモン信号を有効にし(LOW電位とし)、その間に、ラッチ回路Q3とドライバ回路P3から集合発光体L6に表示すべきデータ信号を出力する。そうすると、集合発光体L6〜L9全てにデータ信号が供給されるものの、コモン信号は集合発光体L6にしか供給されていないので、集合発光体L6のみがデータ信号に対応するデータを表示する。次に、コモン信号を、集合発光体L6から集合発光体L7に切り換え、同様に、集合発光体L7に表示すべきデータ信号を出力する。このように、コモン信号を集合発光体L6〜L9に対して所定周期(例えば、1.49msec)で順次切り換え、その間に、対応するデータ信号を出力することで、集合発光体L6〜L9にデータが恰も同時に表示されているように見せる。
【0126】
ここでは、集合発光体L6〜L9のコモン信号と集合発光体L1〜L5に対してコモン信号が独立して制御されるので、集合発光体L1〜L5の切換タイミングによる制限を受けることがない。したがって、例えば、コモン信号を、所定周期(例えば、1.49msec)で切り換えたとしても、4つ切り換えて最初に戻る時間は、集合発光体L1〜L5の4/5となる。したがって、集合発光体L6〜L9の駆動電流(発光時間)は集合発光体L1〜L5の5/4倍になるので、その分輝度も高くなる。
【0127】
こうして、輝度を低くすることなく、9つのコモン信号と16のデータ信号といった少ない制御信号で、既存の5つの集合発光体L1〜L5に加え、比率表示部160である集合発光体L6〜L9の点灯状態を制御することが可能となる。
【0128】
また、集合発光体L1〜L9それぞれにドライバ回路P1、P4のOUT端子が独立して1つずつ割り当てられるので、集合発光体L1〜L9において発光しているセグメント数に拘わらず、十分な駆動電流を供給することが可能となる。
【0129】
なお、ここでは、追加する集合発光体L6〜L9として7セグメントを挙げて説明したが、コモン端子さえ有していれば、集合発光体のLEDの数は7に限らず、7以外の数のLEDで構成されていれば足りる。また、ここでは、コモン端子(C)とセグメント端子(a〜g、dp)に電位差が生じる例として、コモン端子(C)をLOW電位にした場合に発光する例(カソードコモン方式)を挙げて説明しているが、かかる場合に限らず、複数のLEDのアノード端子またはカソード端子が共通化されていれば、コモン端子(C)をHI電位にした場合に発光する(アノードコモン方式)としてもよい。
【0130】
以下、主制御基板200における具体的処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0131】
(主制御基板200のメイン処理)
図15は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、初期化後の1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。また、ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。また、詳細な説明は省略するが、各処理が遂行される際、各処理において用いられるスイッチ(ベットスイッチ126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130a、130b、130c)は、処理の開始時に有効化され、処理の終了時に無効化される。
【0132】
(ステップS100)
電源スイッチ148を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段300は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段300は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持している。したがって、不意の電断が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、回転リール134a、134b、134cの回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各回転リール134a、134b、134cが回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メインRAM200cの初期化(RAMクリア)は行われない。
【0133】
(ステップS200)
続いて、遊技者によるベットスイッチ126の操作、または、メダル投入部124へのメダルの投入を通じ、ベット手段302がメダルをベットする。また、コマンド決定手段320は、その操作がなされたことを示す投入コマンドを生成し、コマンド送信手段322は、生成された投入コマンドを副制御基板202に送信する。
【0134】
(ステップS300)
次に、当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ128に対する遊技開始操作を有効化し、スタートスイッチ128の操作待ち状態に移行する。ここで、当選種別抽選手段304は、遊技者によるスタートスイッチ128の操作に応じて、主制御基板200の乱数発生器200dによって更新された当選種別抽選乱数から、スタートスイッチ128が操作された時点における1の当選種別抽選乱数を取得する。そして、当選種別抽選手段304は、
図7に示した当選種別抽選テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の当選種別抽選テーブルを決定するとともに、取得した当選種別抽選乱数が、決定した当選種別抽選テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選種別または不当選を抽選結果として決定する。また、コマンド決定手段320は、スタートスイッチ128の操作に応じて抽選結果が決定された後、当選種別抽選の抽選結果(当選種別または不当選)や遊技状態に関する情報等を含む当選種別コマンドを生成し、コマンド送信手段322は、生成された当選種別コマンドを副制御基板202に送信する。
【0135】
(ステップS400)
スタートスイッチ128が操作されると、リール制御手段306は、ステッピングモータ262を駆動して回転リール134a、134b、134cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における回転リール134a、134b、134cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における回転リール134a、134b、134cの回転を開始し、回転リール134a、回転リール134b、回転リール134cの全てが定速回転となったところで、ステップS500に処理を移す。
【0136】
(ステップS500)
続いて、リール制御手段306は、ストップスイッチ130a、130b、130cを有効化し、遊技者によるストップスイッチ130a、130b、130cの操作を受け付けると、その操作に対応する回転リール134a、134b、134cのいずれか)を停止制御する。また、コマンド決定手段320は、ストップスイッチ130a、130b、130cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップスイッチ130a、130b、130cの情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、コマンド送信手段322は、生成された停止コマンドを順次、副制御基板202に送信する。
【0137】
(ステップS600)
次に、判定手段308は、
図3(b)に示した有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するかを判定し、その図柄組み合わせに応じて遊技状態の変更やリプレイに際して要求される種々の処理を実行する。また、コマンド決定手段320は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせや、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、コマンド送信手段322は、生成された入賞コマンドを副制御基板202に送信する。
【0138】
(ステップS700)
続いて、払出制御手段310は、ステップS600における判定結果に基づき、例えば、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行し、有効ラインA上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。また、状態移行手段312は、ボーナス遊技状態においてメダルの所定枚数の払い出しが実行されると、遊技状態をボーナス遊技状態からボーナス遊技状態に移行する前の遊技状態に戻し、その遊技状態に対応する当選種別抽選テーブルを設定する。このように、払出制御手段310は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに対応して種々の処理を遂行し、当該1遊技を終了する。また、累積手段314は、総遊技数、滞在遊技数、総払出数、連続役物払出数、役物払出数を累積し、比率導出手段316は、総遊技数、滞在遊技数、総払出数、連続役物払出数、役物払出数に基づいて有利区間比率、連続役物比率、役物比率を導出する。また、コマンド決定手段320は、メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、コマンド送信手段322は、生成された払出コマンドを副制御基板202に送信する。かかる払出処理S700については、後程詳述する。
【0139】
ステップS200からステップS700までの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS700までを繰り返すこととなる。
【0140】
また、比率表示手段318は、割込処理として、所定の表示指令を受信すると、
図10を用いて説明したように、比率導出手段316が導出した有利区間比率、6000遊技の連続役物比率、6000遊技の役物比率、総累計の連続役物比率、総累計の役物比率を比率表示部160に表示する。
【0141】
(払出処理S700)
図16は、上記ステップS700の払出処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理、特に、有利区間比率、連続役物比率、役物比率の導出処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0142】
(ステップS701)
まず、累積手段314は、総遊技数を示す総遊技数カウンタを1だけインクリメントする。そして、現在の遊技がAT演出状態における遊技であるか否か判定し、AT演出状態における遊技であれば、滞在遊技数を示す滞在遊技数カウンタを1だけインクリメントする。また、累積手段314は、その遊技でメダルが払い出されると、総払出数を示す総払出数カウンタを、その払出枚数分だけインクリメントする。そして、当該メダルの払い出しが役物に基づいていれば、役物払出数を示す役物払出数カウンタを、その払出枚数分だけインクリメントし、さらに、当該メダルの払い出しが第1種特別役物に基づいていれば、連続役物払出数を示す連続役物払出数カウンタを、その払出枚数分だけインクリメントする。こうして、総遊技数、滞在遊技数、総払出数、連続役物払出数、役物払出数が累積される。
【0143】
(ステップS702)
続いて、比率導出手段316は、累積手段314が累積した、総遊技数、滞在遊技数に基づき、滞在遊技数を総遊技数で除算し、%換算して有利区間比率を導出する。
【0144】
(ステップS703)
次に、比率導出手段316は、前回、連続役物比率、役物比率を導出したときから、400遊技が経過したか否か判定する。その結果、400遊技が経過していれば、ステップS704に処理を移し、400遊技が経過していなければ、当該払出処理S700を終了する。
【0145】
(ステップS704)
上記ステップS703において400遊技が経過していると判定されれば、比率導出手段316は、新たに累積した400遊技分の遊技情報と、過去の5600遊技分の遊技情報とを参照し、直近の6000遊技の連続役物比率を導出する。
【0146】
(ステップS705)
続いて、比率導出手段316は、新たに累積した400遊技分の遊技情報と、過去の5600遊技分の遊技情報とを参照し、直近の6000遊技の役物比率を導出する。
【0147】
(ステップS706)
次に、比率導出手段316は、新たに累積した400遊技分の遊技情報を加えた過去全ての遊技情報を参照し、総累計の連続役物比率を導出する。
【0148】
(ステップS707)
続いて、比率導出手段316は、新たに累積した400遊技分の遊技情報を加えた過去全ての遊技情報を参照し、総累計の役物比率を導出する。
【0149】
(メインCPU200aによるメモリ管理)
ところで、上述したように、主制御基板200においては、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで、初期化手段300、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態移行手段312、コマンド決定手段320、コマンド送信手段322等として機能し、遊技の進行を制御する。これらの機能部を実行するためのプログラムは、メインROM200bおよびメインRAM200cの所定の領域(使用領域)に配される。
【0150】
図17は、メインROM200bおよびメインRAM200cのメモリマップを示す説明図である。ここで、メインROM200bには、0000h〜2FFFh(12kbyte)のメモリ空間が割り当てられ、メインRAM200cには、F000h〜F1FFh(512byte)およびF200h〜F3FFh(512byte)のメモリ空間が割り当てられている。また、メインROM200bおよびメインRAM200cのいずれにおいても使用領域が規定されている。
【0151】
メインROM200bの0000h〜1DF3hのメモリ空間には使用領域が割り当てられている。具体的に、0000h〜11FFh(4.5kbyte)に制限されたメモリ空間に、初期化手段300、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態移行手段312、コマンド決定手段320、コマンド送信手段322を機能させ、遊技の進行を制御する遊技制御処理を実行するためのプログラムの命令コードが格納され、1200h〜1DF3h(3.0kbyte)に制限されたメモリ空間に、遊技制御処理のプログラムに用いられるデータが格納されている。また、1E00h〜1EFFhのメモリ空間にはコメント領域が割り当てられ、2FC0h〜2FFFhのメモリ空間にはプログラム管理領域が割り当てられている。なお、数値の末尾に付された「h」は、その数値が16進数であることを示す。また、プログラムの命令コードはアセンブラ言語で記述されている。ここで、プログラムは、命令コードで構成されたものであり、コンピュータに読み出され、データやワークエリアと協働して所定の処理を実現することができる。
【0152】
また、メインRAM200cのF000h〜F1FFhのメモリ空間には使用領域が割り当てられている。具体的に、F000h〜F13Fhのメモリ空間には、上記遊技制御処理のワークエリアが割り当てられ、タイマ、カウンタ、フラグ等の変数管理に用いられる。F1C0h〜F1FFhのメモリ空間には、上記遊技制御処理のスタック領域が割り当てられている。また、メインCPU200aには内部レジスタが設けられている。
【0153】
また、スロットマシン100では、上述した遊技制御処理の他に、所定の契機で、遊技の進行に影響を及ぼさない処理である、遊技機用試験処理、セキュリティ関連処理、有利区間関連処理等を遂行する場合がある。かかる所定の契機としては、遊技制御処理の割込に応じたタイミング(例えば、1遊技の終了時)や、遊技制御処理と独立した異なる割込に応じたタイミングを採用することができる。また、遊技機用試験処理は、回胴式遊技機用試験機の接続仕様書(第四版)に記載されているスロットマシン100の試験処理である。セキュリティ関連処理は、第三者の不正防止を目的とした異常状態を特定する処理である。有利区間関連処理は、上述した、有利区間比率、連続役物比率、役物比率等の遊技比率を計算したり、出力したりする処理である。
【0154】
このように、メインCPU200aは、遊技制御処理のみならず、遊技機用試験処理、セキュリティ関連処理、有利区間関連処理も遂行する場合がある。しかし、使用領域の記憶容量は予め定められており、例えば、
図17に示したように、制御領域が4.5kbyteに制限され、データ領域が3.0kbyteに制限されている。したがって、遊技制御処理のみならず、遊技機用試験処理、セキュリティ関連処理、有利区間関連処理のプログラムやデータまでも使用領域に配すると、その分、遊技制御処理が制限されてしまう。特に、AT演出状態や、リールユニット134を多彩な態様で回転させる所謂リール演出を、メインCPU200aが管理する場合、遊技制御処理がさらに圧迫されるおそれがある。
【0155】
ここで、遊技制御処理を実行するためのプログラム(使用プログラム)やデータは、必ず使用領域に格納しなければならないが、遊技制御処理以外の遊技の進行に影響を及ぼさない(直接関係のない)処理(遊技機用試験処理、セキュリティ関連処理、有利区間関連処理等)を実行するためのプログラム(別プログラム)やデータは使用領域および別領域のいずれにも格納できる。そこで、本実施形態では、有利区間関連処理を例に挙げ、有利区間関連処理を実行するためのプログラムやデータの少なくとも一部を、使用領域とは異なる(使用領域外の)記憶領域のうちの一部である別領域に記述する。
図17を用いて上述したように、メインROM200bの0000h〜1DF3hのメモリ空間には使用領域が割り当てられ、メインRAM200cのF000h〜F1FFhのメモリ空間には使用領域が割り当てられている。そして、かかる使用領域とは別の領域に別領域を設定する。
【0156】
例えば、
図17に示すように、メインROM200bの1F00h〜2FBFhのメモリ空間には別領域が割り当てられ、有利区間関連処理のうち一部または全部の処理を遂行するプログラムの命令コードおよびプログラムデータが格納されている。また、メインRAM200cのF200h〜F3FFhのメモリ空間には別領域が割り当てられている。具体的に、F210h〜F22Fhのメモリ空間には、上記有利区間関連処理のうち一部または全部の処理のワークエリアが割り当てられ、タイマ、カウンタ、フラグ等の変数管理に用いられる。F230h〜F246hのメモリ空間には、上記有利区間関連処理のうち一部または全部の処理のスタック領域が割り当てられている。なお、別領域に記憶容量の制限はなく、
図17の例では、使用領域、コメント領域、および、プログラム管理領域以外の記憶領域に、自由に割り当てることができる。
【0157】
このように使用領域で遂行される処理(ここでは、遊技制御処理)と、必ずしも使用領域で行わなくてよい処理(ここでは、有利区間関連処理)とが混在している場合には、遊技制御処理を実行するためのプログラム(使用プログラム)やデータを使用領域に格納し、使用領域で行わなくてよい、遊技制御処理以外の遊技の進行に影響を及ぼさない処理(有利区間関連処理)を実行するためのプログラム(別プログラム)やデータを別領域に格納する。このように記憶領域を複数に区分することで、別領域に移動させたプログラムの分だけ使用領域の記憶領域(容量)に余裕が生じる。したがって、その分、使用領域を遊技制御処理(使用プログラム)に割り当てることが可能となる。以下、このような別領域へのプログラムの割り当て例として、上述した集合発光体L1〜L9の表示処理を挙げる。
【0158】
(集合発光体L1〜L9の表示処理)
図18は、集合発光体L1〜L9の表示処理の流れを示したフローチャートであり、
図19は、各信号の推移を示したタイミングチャートである。かかる
図18のフローチャートは、所定周期(例えば、1.49msec)の割込処理として実行される。ここでは、
図12または
図13の回路構成に基づいて、メインCPU200aが複数の制御信号(コモン信号やデータ信号)を通じ、集合発光体L1〜L9の点灯状態を制御する。なお、ここでは、特に
図12を挙げて説明するが、
図13の回路構成にも同様に適用できる。メインCPU200aは、コモン信号を集合発光体L1〜L9に対して所定周期で順次切り換え、その間に、対応するデータ信号を出力している。
【0159】
(ステップS801)
まず、メインCPU200aは、前回のコモン信号が維持されている状態で、メインクレジット表示部152、メイン払出表示部154、メインLEDに対応する集合発光体L1〜L5のデータ信号をクリアする。具体的に、
図12の回路構成に対し、
図19のように、集合発光体L1のコモン信号がまだ有効(ドライバ回路P1のOUT端子(O1)がLOW電位)な間に、ドライバ回路P2の全てのOUT端子(O1〜O8)をLOW電位にする(時点A)。こうすることで、集合発光体L1が一時的に消灯する。これは、ドライバ回路P2の出力の切換遅れにより、次の集合発光体L2に集合発光体L1のデータが残像として表示されてしまい、全体的に、表示が不鮮明になるのを避けるためである。
【0160】
(ステップS802)
次に、メインCPU200aは、前回のコモン信号が維持されている状態で、比率表示部160に対応する集合発光体L6〜L9のデータ信号をクリアする。具体的に、
図12の回路構成に対し、
図19のように、集合発光体L6のコモン信号がまだ有効(ドライバ回路P1のOUT端子(O1)がLOW電位)な間に、ドライバ回路P3の全てのOUT端子(O1〜O8)をLOW電位にする(時点B)。こうすることで、集合発光体L6が一時的に消灯する。これも、ドライバ回路P3の出力の切換遅れにより、次の集合発光体L7に集合発光体L6のデータが残像として表示されてしまい、全体的に、表示が不鮮明になるのを避けるためである。
【0161】
(ステップS803)
続いて、メインCPU200aは、コモン信号を内部的に更新する。例えば、コモン信号の対象を、集合発光体L1および集合発光体L6から、集合発光体L2および集合発光体L7に更新する。
【0162】
(ステップS804)
次に、メインCPU200aは、更新されたコモン信号を出力する。具体的に、
図12の回路構成に対し、
図19のように、ドライバ回路P1のOUT端子(O1)のLOW電位をHI電位に切り換えるとともに、ドライバ回路P1のOUT端子(O2)のHI電位をLOW電位に切り換える(時点C)。こうして、集合発光体L1および集合発光体L6の代わりに、集合発光体L2および集合発光体L7の表示が有効となる。
【0163】
(ステップS805)
続いて、メインCPU200aは、集合発光体L1〜L5のデータ信号を内部的に更新する。例えば、メダルのクレジット枚数や払出枚数等に変化が生じた場合、変化後の値にデータを書き換える。また、集合発光体L1〜L4は7つのセグメントでアラビア数字を示すので、データを7つのセグメントの発光組み合わせに変換しなければならない。
【0164】
(ステップS806)
次に、メインCPU200aは、集合発光体L1〜L5のデータ信号を出力する。具体的に、
図12の回路構成に対し、
図19のように、集合発光体L2のコモン信号が有効(ドライバ回路P1のOUT端子(O2)がLOW電位)な間に、ラッチ回路Q2およびドライバ回路P2を通じて、集合発光体L2にデータに対応するデータ信号を出力する(時点D)。こうして、集合発光体L2に、対応するデータが表示される。
【0165】
(ステップS807)
続いて、メインCPU200aは、コモン信号が特定のコモン信号、すなわち、集合発光体L5を有効とするコモン信号であるか否か判定する。これは、
図12、
図13を用いて説明したように、数が異なる集合発光体の組み合わせ(L1〜L5とL6〜L9)でコモン信号を共有しているので、特定のコモン信号(例えば、ラッチ回路Q1のQ端子(Q5)から出力される信号)のときに、対応する集合発光体が一方にない場合に(比率表示部160にはそれに対応する集合発光体がないので)、不要なデータ信号の出力を避けるためである。したがって、コモン信号が特定のコモン信号でなければ、ステップS808に処理を移し、コモン信号が特定のコモン信号であれば、当該表示処理を終了する。
【0166】
(ステップS808)
ステップS806において、コモン信号が特定のコモン信号ではないと判定されれば、メインCPU200aは、集合発光体L6〜L9のデータ信号を内部的に更新する。例えば、比率導出手段316が導出した有利区間比率、連続役物比率、役物比率等に変化が生じた場合、変化後の値にデータを書き換える。また、比率表示部160を所定の周期(例えば0.6sec)で点滅させる場合、その点灯と消灯でデータが更新される。さらに、集合発光体L6〜L9は7つのセグメントでアラビア数字を示すので、データを7つのセグメントの発光組み合わせに変換しなければならない。
【0167】
(ステップS809)
次に、メインCPU200aは、集合発光体L6〜L9のデータ信号を出力し、当該表示処理を終了する。具体的に、
図12の回路構成に対し、
図19のように、集合発光体L7のコモン信号が有効(ドライバ回路P1のOUT端子(O2)がLOW電位)な間に、ラッチ回路Q3およびドライバ回路P3を通じて、集合発光体L7にデータに対応するデータ信号を出力する(時点E)。こうして、集合発光体L7に、対応するデータが表示される。
【0168】
なお、ステップS807において、コモン信号が特定のコモン信号であると判定されれば、
図19の時点Fのように、集合発光体L6〜L9のデータ信号が更新されない。
【0169】
以上、説明した表示処理のうち、ステップS801、S803、S804、S805、S806は、遊技制御処理に該当するので、その命令コードやデータは使用領域に割り当てられるが、ステップS802、S807、S808、S809は、有利区間関連処理に該当するので、その命令コードやデータを別領域に割り当てることができる。そして、別領域に割り当てられた命令コードは、例えば、使用領域における呼出命令(CALL)で呼び出されて実行される。
【0170】
なお、上記のように記憶領域を、使用領域、別領域、その他の領域とで役割分担した場合においても、スロットマシン100の公正さは担保されなくてはならない。ここでは、スロットマシン100の公正さを担保しつつ、使用領域と別領域とで適切に役割分担するために、以下の(1)〜(6)の条件を規定する。
【0171】
条件(1)、別領域に配置するプログラムについては、スロットマシン100の試験に必要な信号の出力(遊技機用試験処理)、不正防止(セキュリティ関連処理)、および、有利区間比率、連続役物比率、役物比率等の遊技比率の計算や出力(有利区間関連処理)を目的として使用され、遊技の公正を害さない(損なわない)ものであること。条件(2)、使用領域と別領域の制御領域およびデータ領域については、それぞれを明示的に区別された領域に配置すること。条件(3)、別領域に配置するプログラム(別プログラム)は、使用領域のプログラム(使用プログラム)から静的に呼び出された上で実行されること。また、その際のプログラムリストにおいては、呼び出し先アドレスが明らかに記載されていること。条件(4)、別領域に配置するプログラムは機能ごとにモジュール化し、呼び出された際には、使用領域で利用している全レジスタの内容を保護すること。条件(5)、使用領域または別領域から互いの領域にあるRWMへのアクセスは参照のみ可能とし、更新は不可とすること。条件(6)、別領域の制御領域から使用領域の制御領域にあるサブルーチンを呼び出すことは不可とすること。なお、使用領域に割込処理を行うサブルーチンを設けることから、別領域の制御領域を使用する際には、割込禁止にする必要が生じる。なお、遊技制御処理を適切に遂行するために、割込禁止を行ってから割込禁止を解除するまでの時間は、遊技制御処理における割込処理の間隔(例えば1.49msec)以内とならなければならない。したがって、別領域の制御領域を使用するサブルーチンを呼び出す場合、その1回の呼び出しにかかる総時間は、遊技制御処理の割込処理の間隔以内となるように設定することとなる。
【0172】
このような条件に基づいて、例えば、
図18におけるステップS802のタイミングが到来すると、使用領域の命令コードにより別領域の命令コードが静的に呼び出される。そして、呼び出された命令コード(別プログラム)に基づいて、メインCPU200aは、ドライバ回路P3の全てのOUT端子(O1〜O8)をLOW電位にして、比率表示部160に対応する集合発光体L6〜L9のデータ信号をクリアする。このように、ドライバ回路P3の全てのOUT端子(O1〜O8)をLOW電位にする命令コードを使用領域ではなく別領域に配置することで、その分だけ使用領域の記憶領域に余裕が生じ、使用領域を遊技制御処理(使用プログラム)に割り当てることが可能となる。
【0173】
また、
図18におけるステップS807のタイミングが到来すると、使用領域の命令コードにより別領域の命令コードが静的に呼び出される。そして、呼び出された命令コード(別プログラム)に基づいて、メインCPU200aは、コモン信号が特定のコモン信号、すなわち、集合発光体L5を有効とするコモン信号であるか否か判定する。このような判定にかかる命令コードは、記述量が多くなる。したがって、かかる命令コードを別領域に配置することで、その分だけ使用領域の記憶領域に余裕が生じ、使用領域を遊技制御処理に割り当てることが可能となる。
【0174】
続いて、ステップS807で呼び出された同命令コード(別プログラム)(例えば数十バイト)に基づいて、メインCPU200aは、集合発光体L6〜L9のデータ信号を内部的に更新する。上述したように、かかる更新は、有利区間比率、連続役物比率、役物比率等に変化が生じた場合に変化後の値にデータを書き換えたり、点灯と消灯でデータを切り換えたり、データを7つのセグメントの発光組み合わせに変換するといったように処理負荷が非常に高い。したがって、かかる命令コードを別領域に配置することで、その分だけ使用領域の記憶領域に余裕が生じ、使用領域を遊技制御処理に割り当てることが可能となる。
【0175】
次に、ステップS807で呼び出された同命令コード(別プログラム)に基づいて、メインCPU200aは、集合発光体L6〜L9のデータ信号を出力する。したがって、かかる命令コードを別領域に配置することで、その分だけ使用領域の記憶領域に余裕が生じ、使用領域を遊技制御処理に割り当てることが可能となる。
【0176】
したがって、ステップS802、S807、S808、S809それぞれ単体の処理を行うための命令コードの総容量が、その呼び出しに要する命令コードの総容量(例えば呼出命令(CALL)であれば3バイト)より大きい場合、その差分だけ、使用領域の記憶領域に余裕が生じることになる。なお、
図18の例では、ステップS807、S808、S809は1の呼び出しで遂行可能なので、使用領域で要する容量は呼び出しに関する1の命令コードのみで済む。そうすると、1の呼び出しで実行されるステップS807、S808、S809による複合処理を行うための命令コードの総容量が、その呼び出しに要する1の命令コードの総容量(3バイト)より大きければ、使用領域の記憶領域に余裕が生じるこことなる。一方、単体または複合した処理を行うための命令コードの総容量が、その呼び出しに要する命令コードの総容量(例えば3バイト)より小さい場合、その処理を使用領域で実行した方が、使用領域における占有容量が小さくて済むので、別領域に配置せず、そのまま使用領域に配置してもよい。
【0177】
ここでは、
図12、
図13の回路構成、すなわち、数が異なる発光体ユニット同士(進行発光体ユニットと比率発光体ユニット)同士でコモン信号を共有しているので、特定のコモン信号(例えば、ラッチ回路Q1のQ端子(Q5)から出力される信号)のときに、対応する集合発光体が一方にない場合、その一方のデータ信号を出力しない例を挙げて詳述した。しかし、コモン信号を共有しない
図14の回路構成であれば、進行発光体ユニットと比率発光体ユニットとのコモン信号をそれぞれ独立して更新しなければならないものの、集合発光体の数の違いを考慮する必要がないので、
図18のステップS807のような判定処理は不要になる。以下、
図12、
図13の回路構成に代えて、
図14の回路構成をとった場合の集合発光体L1〜L9の表示処理について詳述する。
【0178】
図20は、集合発光体L1〜L9の表示処理の流れを示したフローチャートであり、
図21は、各信号の推移を示したタイミングチャートである。かかる
図20のフローチャートは、
図18同様、所定周期(例えば、1.49msec)の割込処理として実行される。ここでは、
図14の回路構成に基づいて、メインCPU200aが複数の制御信号(コモン信号やデータ信号)を通じ、集合発光体L1〜L9の点灯状態を制御する。メインCPU200aは、コモン信号を集合発光体L1〜L5、集合発光体L6〜L9それぞれに対して所定周期で順次切り換え、その間に、対応するデータ信号を出力している。
【0179】
(ステップS901)
まず、メインCPU200aは、前回のコモン信号が維持されている状態で、メインクレジット表示部152、メイン払出表示部154、メインLEDに対応する集合発光体L1〜L5のデータ信号をクリアする。具体的に、
図14の回路構成に対し、
図21のように、集合発光体L1のコモン信号がまだ有効(ドライバ回路P1のOUT端子(O1)がLOW電位)な間に、ドライバ回路P2の全てのOUT端子(O1〜O8)をLOW電位にする(時点A)。こうすることで、集合発光体L1が一時的に消灯する。これは、ドライバ回路P2の出力の切換遅れにより、次の集合発光体L2に集合発光体L1のデータが残像として表示されてしまい、全体的に、表示が不鮮明になるのを避けるためである。
【0180】
(ステップS902)
次に、メインCPU200aは、前回のコモン信号が維持されている状態で、比率表示部160に対応する集合発光体L6〜L9のデータ信号をクリアする。具体的に、
図14の回路構成に対し、
図21のように、集合発光体L6のコモン信号がまだ有効(ドライバ回路P1のOUT端子(O1)がLOW電位)な間に、ドライバ回路P3の全てのOUT端子(O1〜O8)をLOW電位にする(時点B)。こうすることで、集合発光体L6が一時的に消灯する。これも、ドライバ回路P3の出力の切換遅れにより、次の集合発光体L7に集合発光体L6のデータが残像として表示されてしまい、全体的に、表示が不鮮明になるのを避けるためである。
【0181】
(ステップS903)
続いて、メインCPU200aは、集合発光体L1〜L5に対するコモン信号を内部的に更新する。例えば、コモン信号の対象を、集合発光体L1から、集合発光体L2に更新する。集合発光体L1〜L5は5つなので、コモン信号の対象が集合発光体L5となると、次は集合発光体L1に更新される。かかるコモン信号の切換は5に到達するとリセットされるカウンタによって実現される。
【0182】
(ステップS904)
続いて、メインCPU200aは、集合発光体L6〜L9に対するコモン信号を内部的に更新する。例えば、コモン信号の対象を、集合発光体L6から、集合発光体L7に更新する。集合発光体L6〜L9は4つなので、コモン信号の対象が集合発光体L9となると、次は集合発光体L6に更新される。かかるコモン信号の切換は4に到達するとリセットされる、集合発光体L1〜L5とは異なるカウンタによって実現される。上述したように、ここでは、集合発光体L1〜L5は5回の割込で最初の集合発光体に戻り、集合発光体L6〜L9は4回の割込で最初の集合発光体に戻るので、集合発光体L6〜L9の駆動電流は集合発光体L1〜L5の5/4倍になり、その分輝度も高くなる。なお、詳しくは後述するが、メインCPU200aは、別プログラムに基づいて、更新されたコモン信号を、メインRAM200cの別領域(ワークエリア)に保持する。
【0183】
(ステップS905)
そして、メインCPU200aは、メインRAM200cの別領域から、ステップS904で更新された集合発光体L6〜L9に対するコモン信号を参照し、ステップS903で更新した集合発光体L1〜L5に対するコモン信号と合成する。これは、集合発光体L1〜L5と集合発光体L6〜L9とは更新処理は個別にできるものの、いずれもラッチ回路Q1とドライバ回路P1とに一度に設定しなければならないからである。
【0184】
(ステップS906)
次に、メインCPU200aは、更新された集合発光体L1〜L5および集合発光体L6〜L9の両方に対するコモン信号を出力する。具体的に、
図14の回路構成に対し、
図21のように、ドライバ回路P1のOUT端子(O1)およびOUT端子(O6)のLOW電位をHI電位に切り換えるとともに、ドライバ回路P1のOUT端子(O2)およびOUT端子(O7)のHI電位をLOW電位に切り換える(時点C)。こうして、集合発光体L1および集合発光体L6の代わりに、集合発光体L2および集合発光体L7の表示が並行して有効となる。
【0185】
(ステップS907)
続いて、メインCPU200aは、集合発光体L1〜L5のデータ信号を内部的に更新する。例えば、メダルのクレジット枚数や払出枚数等に変化が生じた場合、変化後の値にデータを書き換える。また、集合発光体L1〜L4は7つのセグメントでアラビア数字を示すので、データを7つのセグメントの発光組み合わせに変換しなければならない。
【0186】
(ステップS908)
次に、メインCPU200aは、集合発光体L1〜L5のデータ信号を出力する。具体的に、
図14の回路構成に対し、
図21のように、集合発光体L2のコモン信号が有効(ドライバ回路P1のOUT端子(O2)がLOW電位)な間に、ラッチ回路Q2およびドライバ回路P2を通じて、集合発光体L2にデータに対応するデータ信号を出力する(時点D)。こうして、集合発光体L2に、対応するデータが表示される。
【0187】
(ステップS909)
続いて、メインCPU200aは、集合発光体L6〜L9のデータ信号を内部的に更新する。例えば、比率導出手段316が導出した有利区間比率、連続役物比率、役物比率等に変化が生じた場合、変化後の値にデータを書き換える。また、比率表示部160を所定の周期(例えば0.6sec)で点滅させる場合、その点灯と消灯でデータが更新される。さらに、集合発光体L6〜L9は7つのセグメントでアラビア数字を示すので、データを7つのセグメントの発光組み合わせに変換しなければならない。
【0188】
(ステップS910)
次に、メインCPU200aは、集合発光体L6〜L9のデータ信号を出力し、当該表示処理を終了する。具体的に、
図14の回路構成に対し、
図21のように、集合発光体L7のコモン信号が有効(ドライバ回路P1のOUT端子(O2)がLOW電位)な間に、ラッチ回路Q3およびドライバ回路P3を通じて、集合発光体L7にデータに対応するデータ信号を出力する(時点E)。こうして、集合発光体L7に、対応するデータが表示される。
【0189】
以上、説明した表示処理のうち、ステップS901、S903、S905、S906、S907、S908は、遊技制御処理に該当するので、その命令コードやデータは使用領域に割り当てられるが、ステップS902、S904、S909、S910は、有利区間関連処理に該当するので、その命令コードやデータを別領域に割り当てることができる。そして、別領域に割り当てられた命令コードは、例えば、使用領域における呼出命令(CALL)で呼び出されて実行される。
【0190】
ここで、例えば、
図20におけるステップS902のタイミングが到来すると、使用領域の命令コードにより別領域の命令コードが静的に呼び出される。そして、呼び出された命令コード(別プログラム)に基づいて、メインCPU200aは、ドライバ回路P3の全てのOUT端子(O1〜O8)をLOW電位にして、比率表示部160に対応する集合発光体L6〜L9のデータ信号をクリアする。このように、ドライバ回路P3の全てのOUT端子(O1〜O8)をLOW電位にする命令コードを使用領域ではなく別領域に配置することで、その分だけ使用領域の記憶領域に余裕が生じ、使用領域を遊技制御処理(使用プログラム)に割り当てることが可能となる。
【0191】
また、
図20におけるステップS904のタイミングが到来すると、使用領域の命令コードにより別領域の命令コードが静的に呼び出される。そして、呼び出された命令コード(別プログラム)に基づいて、メインCPU200aは、集合発光体L6〜L9に対するコモン信号を内部的に更新し、更新した値を別領域が管理するRWMに保持する。これは、上述した条件(5)使用領域または別領域から互いの領域にあるRWMへのアクセスは参照のみ可能とし、更新は不可とすることに基づいており、別領域において使用領域が管理しているRWMの更新ができないので、ここでは、別領域で管理するRWMに更新した値を保持し、その後、使用領域からその値を参照してもらう。かかる命令コードを別領域に配置することで、その分だけ使用領域の記憶領域に余裕が生じ、使用領域を遊技制御処理に割り当てることが可能となる。
【0192】
また、
図20におけるステップS909のタイミングが到来すると、使用領域の命令コードにより別領域の命令コードが静的に呼び出される。そして、呼び出された命令コード(別プログラム)に基づいて、メインCPU200aは、集合発光体L6〜L9のデータ信号を内部的に更新する。上述したように、かかる更新は、有利区間比率、連続役物比率、役物比率等に変化が生じた場合に変化後の値にデータを書き換えたり、点灯と消灯でデータを切り換えたり、データを7つのセグメントの発光組み合わせに変換するといったように処理負荷が非常に高い。したがって、かかる命令コードを別領域に配置することで、その分だけ使用領域の記憶領域に余裕が生じ、使用領域を遊技制御処理に割り当てることが可能となる。
【0193】
続いて、ステップS909で呼び出された同命令コード(別プログラム)に基づいて、メインCPU200aは、集合発光体L6〜L9のデータ信号を出力する。したがって、かかる命令コードを別領域に配置することで、その分だけ使用領域の記憶領域に余裕が生じ、使用領域を遊技制御処理に割り当てることが可能となる。
【0194】
したがって、ステップS902、S904、S909、S910それぞれ単体の処理を行うための命令コードの総容量が、その呼び出しに要する命令コードの総容量(例えば呼出命令(CALL)であれば3バイト)より大きい場合、その差分だけ、使用領域の記憶領域に余裕が生じることになる。なお、
図20の例では、ステップS909、S910は1の呼び出しで遂行可能なので、使用領域で要する容量は呼び出しに関する1の命令コードのみで済む。また、ここでは、ステップS902とステップS904を連続的に実行していないが、連続して一度に行うこともできる。そうすると、ステップS909、S910同様、1の呼び出しで遂行可能となるので、使用領域で要する容量は呼び出しに関する1の命令コードのみで済むこととなる。1の呼び出しで実行されるステップS909、S910による複合処理を行うための命令コードの総容量が、その呼び出しに要する1の命令コードの総容量(3バイト)より大きければ、使用領域の記憶領域に余裕が生じるこことなる。一方、単体または複合した処理を行うための命令コードの総容量が、その呼び出しに要する命令コードの総容量(例えば3バイト)より小さい場合、その処理を使用領域で実行した方が、使用領域における占有容量が小さくて済むので、別領域に配置せず、そのまま使用領域に配置してもよい。
【0195】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0196】
例えば、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板202とが、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の機能部を副制御基板202に配しても、副制御基板202の機能部を主制御基板200に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。
【0197】
また、上述した実施形態では、比率表示部160で表示する遊技比率として、有利区間比率、連続役物比率、役物比率等を例示したが、かかる場合に限らず、遊技の進行により変動する比率であれば、様々な比率を表示することができる。また、ここでは、スロットマシン100において遊技比率を表示する例を挙げて説明したが、パチンコ機によって、例えば、持ち玉比率(総回転数のうち持ち玉で回した回転数)や出玉率(打ち出した個数に対する払い出しの割合)を表示してもよい。ここで、パチンコ機は、大当たり図柄を含む複数種類の図柄の中からいずれかを決定する図柄決定手段と、図柄が決定されてから所定の変動時間が経過すると、図柄表示部に図柄を表示させる図柄表示手段と、図柄表示部に大当たり図柄が表示されると、複数回のラウンド遊技で構成される大役遊技を実行する大役遊技実行手段と、大役遊技におけるラウンド遊技のうち予め設定された特定ラウンド遊技中に、大入賞口に入球した遊技球が特定領域に進入すると、所定の遊技利益を付与する遊技利益付与手段と、大役遊技中の演出を実行する演出実行手段と、を備えてもよい。
【0198】
また、上述した主制御基板200が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。