【実施例】
【0064】
以下、本発明の実施例及び試験例をより具体的に詳説する。しかしながら、これにより本発明の技術的範囲が制限されるものではない。なお、組成物内のGAG置換基及びケモカイン受容体活性調節材の含量は後述の方法により測定した。またGAGの分子量は重量平均分子量である。
【0065】
(1)GAG誘導体及び組成物の調製
(実施例1)アミノエチル5β−コラノアミドの合成
5β-コラン酸(1g、アルドリッチ社製)にメタノール(5ml)、濃塩酸(0.18ml)を加え、60℃で6時間撹拌後、反応液を室温まで冷却して析出した固体をろ取した。得られた化合物にエチレンジアミン(5ml、和光純薬工業社製)を加え、130℃で5時間撹拌し、LCMSで目的物を確認後、室温に戻し得られた固体をろ取し、蒸留水で洗浄した後乾燥して、化合物1を得た(895mg)。
ESI-MS; Calcd for C267H3746N2O [M
+H]
+, 404; found 404
【0066】
(実施例2)5β-コラン酸導入HAの合成
HA(平均分子量約21万、Lifecore Biomedical社製、500mg)にホルムアミド(40ml)を加えて40℃で2時間加熱撹拌することにより溶解させ、WSC(和光純薬工業株式会社製、205mg)、N−ヒドロキシスクシンイミド(渡辺化学工業株式会社製、123mg)を加え撹拌した。そこに化合物1(96mg)のDMF溶液(10ml)を加え、さらにDMF(30ml)を加えて室温で24時間撹拌した。反応液を透析膜(スペクトラ/ポア RC バイオテックメンブレン MWCO 8−10kDa、フナコシ社より購入)に入れ、メタノール:蒸留水(3:1)、メタノール:蒸留水(1:1)、蒸留水の順で三日間透析を行った。透析液を回収し陽イオン交換樹脂(DOWEX
TM 50Wx8 50−100,2g,ワコーケミカル社製)を加えて30分間撹拌した。反応液をろ過し、凍結乾燥して化合物2(590mg)を得た。なお、5β−コラン酸の導入率は4.7mol%であった。
【0067】
(実施例3)5β-コラン酸導入CSの合成
CS(平均分子量約4万、生化学工業社製、500mg)を用い実施例2の方法に準じて反応を行い、化合物3(490mg)を得た。なお、5β−コラン酸の導入率は10.0mol%であった。動物投与用薬液については、凍結乾燥品をPBSで10mg/mlになるように溶解し、0.22μmフィルターでろ過することにより調製した。
【0068】
(実施例4)Ki19003含有HA誘導体の調製
Ki19003(国際公開02/059081A2に準じて合成、35mg)をエタノール(2ml)に溶解し、実施例2で合成した化合物2(40mg)のPBS(8ml,pH7.4)溶液を加えて溶解後、混合撹拌し、蒸留水で7時間透析(スペクトラ/ポア RC バイオテックメンブレン MWCO 3.5−5kDa、スペクトラム・ラボラトリーズ社製)した。透析液を回収後0.45μmフィルターでろ過し、凍結乾燥することにより組成物4(35mg)を得た。Ki19003含有率は14.0重量%であった。得られた組成物4をPBSで3mg/mlになるように溶解し、0.22μmフィルターでろ過することにより調製し、動物投与用試料とした。
【0069】
(実施例5)Ki19003含有CS誘導体の調製
実施例3で合成した化合物3(35mg)のPBS(8ml,pH7.4)溶液を用いて、実施例4の方法に準じて反応を行い、組成物5(33mg)を得た。Ki19003含有率は22.0wt%であった。得られた組成物5をPBSで3mg/mlになるように溶解し、0.22μmフィルターでろ過することにより調製し、動物投与用試料とした。
【0070】
(実施例6)GW766994含有HA誘導体の調製
GW766994(国際公開03/082292A1に準じて合成、30mg)をエタノール(2ml)に溶解し、実施例2で合成した化合物2(40mg)のPBS(8ml,pH7.4)溶液を加えて分散し、得られた分散液を蒸留水で7時間透析(スペクトラ/ポア RCバイオテックメンブレン, MWCO 3.5−5kDa)した。透析液を回収後0.45μmフィルターでろ過し、凍結乾燥することにより組成物6(35mg)を得た。GW766994含有率は23.5重量%であった。得られた組成物6をPBSで3mg/mlになるように溶解し、0.22μmフィルターでろ過することにより調製し、動物投与用試料とした。
【0071】
(実施例7)GW766994含有CS誘導体の調製(1)
実施例3で合成した化合物3(35mg)のPBS(8ml,pH7.4)溶液を用いて、実施例6の方法に準じて反応を行い、組成物7(31mg)を得た。GW766994含有率は27.7重量%であった。得られた組成物7をPBSで3mg/mlになるように溶解し、0.22μmフィルターでろ過することにより調製し、動物投与用試料とした。
【0072】
(実施例8)GW766994含有CS誘導体の調製(2)
GW766994(12mg)をエタノール(2ml)に溶解し、実施例3で合成した化合物3(60mg)のPBS(8ml,pH7.4)溶液を加えて、混合撹拌した。混合液を蒸留水で7時間透析(Slide−A−Lyzer, MWCO 3.5kDa、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を行った。透析液を回収し0.22μmフィルターろ過し、凍結乾燥することにより組成物8(40mg)を得た。GW766994含有率は9.4重量%であった。得られた組成物8をPBSで10mg/mlになるように溶解することにより調製し、動物投与用試料とした。
【0073】
(実施例9)2−アミノエチルエステル化されたKi19003の合成
Ki19003(190mg)を塩化メチレン(2ml)に溶解し、ジメチルアミノピリジン(和光純薬工業株式会社製、13mg)、WSC(和光純薬工業社製、206mg)、N−Boc−エタノールアミン(和光純薬工業社製、174mg)を加え、窒素雰囲気下室温で3時間撹拌した。LCMSにて反応終了を確認後、反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水、ろ過、濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製し、白色固体(81mg)を得た。これに4M HCl/AcOEt(10ml、国産化学工業社製)を加え、室温で1時間撹拌した。LCMSで目的物を確認後、反応液を濃縮して化合物9(71mg)を得た。
ESI-MS; Calcd for C27H37Cl3N4O3 [M
+H]
+, 573; found 573
【0074】
(実施例10)Ki19003導入CSの合成
CS(平均分子量約4万、生化学工業社製、270mg)に蒸留水(4ml)を加えて30分間撹拌し、溶解させた。化合物9(64mg)のエタノール溶液(4ml)を加え、さらにDMT−MM(和光純薬工業社製、47mg)を加えて室温で一晩撹拌した。反応液に食塩(270mg)を加え、エタノール(40ml)の中に滴下した。析出した白色固体をろ取し、90%エタノール水で3回洗浄し、真空ポンプで終夜乾燥して化合物10(281mg、導入率18.0重量%)を得た。得られた化合物10をPBSで3mg/mlになるように溶解し、再度0.22μmフィルターでろ過することにより組成物10を得た。これを動物投与用試料とした。
【0075】
(実施例11)Ki19003導入CSの合成2
CS(平均分子量約15万、生化学工業社製、150mg)を実施例10に記載の方法に準じて反応を行った。反応液に食塩(150mg)を加え、エタノール(40ml)の中に滴下した。析出した白色固体をろ取し、90%エタノール水で3回洗浄し、真空ポンプで終夜乾燥して白色固体を得た。得られた固体を蒸留水に溶解し、0.22μmフィルターでろ過し、凍結乾燥することにより化合物11(91mg、導入率5.3重量%)を得た。得られた化合物11をPBSで10mg/mlになるように溶解することにより組成物11を得た。これを動物投与用試料とした。
【0076】
(実施例12)2―アミノエチルメタクリレート塩酸塩の合成
N−Boc−エタノールアミン(15.5g、東京化成工業社製)とジイソプロピルエチルアミン(25.2mL、東京化成工業社製)の塩化メチレン(180mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、−78℃下でメタクリロイルクロリド(10.5mL、東京化成工業社製)を3分間かけて滴下し1時間撹拌した。その後、室温下で14時間撹拌した。反応液を水洗し、塩化メチレンで抽出後、硫酸ナトリウムで乾燥した。固体をろ過で除去後、濃縮して得た油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製した。得られた黄色固体をジエチルエーテルとヘキサンで洗浄してN−Boc化されたエステル体(12.3g)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ6.71 (1H, br-s), 5.75 (1H, s), 5.33-5.33 (1H, m), 4.96 )1H, br-s), 3.40-3.43 (2H, m), 3.32-3.35 (2H, m), 1.96-1.96 (3H, m), 1.44 (9H, s)
この固体に4M HCl/Dioxane(120mL、国産化学工業社製)を加えて室温下、3時間撹拌した。反応液を濃縮し、析出した固体をヘキサンで洗浄した。室温下で減圧乾燥し、化合物12(8.83g)を白色固体として得た。
1H-NMR (D
2O) δ5.73 (1H, s), 5.47 (1H, s), 3.15 (2H, t, J=6.0 Hz), 2.54 (2H, t, J=6.0 Hz), 1.90 (3H, s)
【0077】
(実施例13)メタクリル基導入CSの合成
CS(平均分子量約4万、生化学工業社製、4.03g)を脱イオン水(120mL)に溶解させ、室温下、化合物12(0.23g)、DMT−MM(0.36g)を順次加えて、18時間撹拌した。
反応液に重曹(3.0g)を加えて30分間撹拌した後、酢酸でpH7.0に中和した。30分間撹拌した後、食塩(12.0g)を加えて30分間撹拌した。90%エタノール(240mL)を加えて30分間撹拌した後、上澄み液を廃棄した。再度90%エタノール(240mL)を加えて30分間撹拌後、上澄み液を廃棄した。この操作をさらに2回実施後、固体を蒸留水で終夜透析(セルロースチューブ 36/32,MWCO 10kDa、エーディア社製)した。凍結乾燥して化合物13(4.34g)を白色固体として得た。導入率は9.5mol%であった。
【0078】
(実施例14)SB328437含有CS誘導体の調製1
化合物13(50.0mg)とSB328437(2.0mg、Journal of Biological Chemistry,2000,275(47),36626-31.に従って合成)にチオール‐PEG‐チオール(分子量3400、Laysan Bio社製)のsaline溶液(0.2mg/mL)を65μL加えた後、salineを135μL加えた。1分間撹拌後、48時間静置してゲル状化合物を得た。ゲル状化合物をsaline(3mL)の中に加えた後、24時間静置した。先端部で2本を連結させた滅菌シリンジにゲル状化合物のみを移し、プランジャーをシリンジバレルに挿入した。シリンジ内部の空気を除いた後、プランジャーを交互に30回押したゲル状化合物を一方のシリンジに移し、組成物14を得た。これを動物投与用試料とした。
【0079】
(実施例15)SB328437含有CS誘導体の調製2
実施例14における、チオール‐PEG‐チオールのsaline溶液(0.2mg/mL)の添加量を100μL、その後のsaline添加量を100μLとして反応を行い、同様に合成して組成物15を得た。これを動物投与用試料とした。
【0080】
(実施例16)SB328437含有CS誘導体の調製3
実施例14における、チオール‐PEG‐チオールのsaline溶液(0.2mg/mL)の添加量を200μLとして反応を行い、同様に合成して組成物16を得た。これを動物投与用試料とした。
【0081】
(実施例17)アミノエチルオレイン酸アミドの合成
オレイン酸(500mg、東京化成工業社製)をジメチルホルムアミド(8ml、和光純薬工業社製)に溶解し、トリエチルアミン(和光純薬工業社製、0.49ml)、WSC(和光純薬工業社製、408mg)、HOBT(国産化学社製、406mg)、N−Boc−ジエチルアミン(和光純薬工業社製、312mg)を加え、窒素雰囲気下室温で3時間撹拌した。LCMSにて反応終了を確認後、反応液に酢酸エチルを加え、有機層を飽和重層水、飽和塩化アンモニウム水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水、ろ過、濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、白色固体(360mg)を得た。これをメタノール(2ml、和光純薬工業社製)と4M HCl/AcOEt(10ml、国産化学工業社製)を加え、室温で一晩撹拌した。LCMSで目的物を確認後、反応液を濃縮して化合物17(250mg)を得た。
ESI-MS; Calcd for C
20H
40N
2O [M+H]+, 325; found 325
【0082】
(実施例18)オレイン酸導入CSの合成
CS(平均分子量約4万、生化学工業社製、500mg)に蒸留水(20ml)を加えて30分間撹拌し、溶解させた。化合物17(36mg)のエタノール溶液(20ml)を加え、さらにDMT−MM(トクヤマ社製、55mg)を加えて室温で一晩撹拌した。反応液に1規定水酸化ナトリウム水溶液(2.5mL)を加えて30分間撹拌し、反応液の全量を透析膜(Slide−A−Lyzer G2、MWCO10K、30mL、フナコシ社より購入)に入れ、エタノール:蒸留水(1:1)、蒸留水の順で二日間透析を行った。透析液を回収し陽イオン交換樹脂(DOWEX
TM 50Wx8 50−100,2g,ワコーケミカル社製)を加えて30分間撹拌した。反応液をろ過し、凍結乾燥して化合物18(277mg)を得た。なお、5β−オレイン酸の導入率は10.3mol%であった。
【0083】
(実施例19)GW766994含有オレイン酸導入CSの合成
GW766994(15mg)をエタノール(2ml)に溶解し、実施例18で合成した化合物18(90mg)のPBS(9ml,pH7.4)溶液を加えて混合し、得られた液を蒸留水で7時間、透析(Slide−A−Lyzer G2、MWCO3.5K、15mL、フナコシ社より購入)した。透析液を回収後0.22μmフィルターでろ過し、凍結乾燥することにより組成物19(75mg)を得た。GW766994含有率は8.62重量%であった。得られた組成物19をPBSで10mg/mlになるように溶解し、0.22μmフィルターでろ過することにより調製し、動物投与用試料とした。
【0084】
(実施例20)アミノエチルリトコール酸アミドの合成
リトコール酸(500mg、東京化成工業社製)をジメチルホルムアミド(8ml、和光純薬工業社製)に溶解し、WSC(和光純薬工業社製、305mg)、HOBT(国産化学社製、304mg)、N−Boc−ジエチルアミン(和光純薬工業社製、254mg)を加え、窒素雰囲気下室温で3時間撹拌した。LCMSにて反応終了を確認後、反応液に酢酸エチルを加え、有機層を飽和重層水、飽和塩化アンモニウム水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水、ろ過、濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、白色固体(310mg)を得た。これをTHF(2ml、和光純薬工業社製)と4M HCl/AcOEt(10ml、国産化学工業社製)を加え、45度で1時間撹拌した。LCMSで目的物を確認後、反応液を濃縮して化合物20(305mg)を得た。
ESI-MS; Calcd for C
26H
46N
2O
2[M+H]+, 419; found 419
【0085】
(実施例21)リトコール酸導入CSの合成
CS(平均分子量約4万、生化学工業社製、400mg)に蒸留水(18ml)を加えて30分間撹拌し、溶解させた。化合物20(36mg)のエタノール溶液(18ml)を加え、さらにDMT−MM(トクヤマ社製、55mg)を加えて室温で一晩撹拌した。反応液に1規定水酸化ナトリウム水溶液(2.0mL)を加えて30分間撹拌し、反応液の全量を透析膜(Slide−A−Lyzer G2、MWCO10K、30mL、フナコシ社より購入)に入れ、エタノール:蒸留水(1:1)、蒸留水の順で二日間透析を行った。透析液を回収し陽イオン交換樹脂(DOWEX
TM 50Wx8 50−100,2g,ワコーケミカル社製)を加えて30分間撹拌した。反応液をろ過し、凍結乾燥して化合物21(250mg)を得た。なお、5β−リトコール酸の導入率は10.0mol%であった。
【0086】
(実施例22)GW766994含有リトコール酸導入CSの合成
GW766994(11mg)をエタノール(2ml)に溶解し、実施例21で合成した化合物21(66mg)のPBS(6ml,pH7.4)溶液を加えて混合し、得られた液を蒸留水で7時間、透析(Slide−A−Lyzer G2、MWCO3.5K、15mL、フナコシ社より購入)した。透析液を回収後0.22μmフィルターでろ過し、凍結乾燥することにより組成物22(75mg)を得た。GW766994含有率は10.3重量%であった。得られた組成物22をPBSで10mg/mlになるように溶解し、0.22μmフィルターでろ過することにより調製し、動物投与用試料とした。
【0087】
(GAG置換基及びケモカイン受容体活性調節材の含量率の測定方法)
(A)5β‐コラン酸導入率測定法
実施例1及び2における5β-コラン酸導入率は以下のとおり測定した。
重水−重メタノール(1:1)混合溶媒中で
1H−NMRを測定して、下記式から算出した。
5β‐コラン酸導入率(mol%)=
(5β−コラン酸の21位メチル基由来の積分値)/(GAGのN−アセチル基由来の積分値)
【0088】
(B)メタクリル基導入率測定法
実施例13におけるメタクリル基導入率は以下のとおり測定した。
重水中で
1H−NMRを測定して下式から算出した。
メタクリル基導入率(mol%)=
(メタクリル基由来の積分値)/(GAGのN−アセチル基由来の積分値)
【0089】
(C)ケモカイン受容体活性調節材の含量測定法
・実施例4及び5におけるKi19003含有率測定法
分光光度計(島津製作所、UV SPECTROPHOTOMETER、測定波長220nm)を用いて検量線を作成後、測定した。薬物の含有率は下式によって算出した。
含有率(wt%)=
(組成物内のKi19003重量)/(組成物の重量)×100
【0090】
・実施例6、7及び8におけるGW766994含有率測定法
HPLCを用いて以下の条件で検量線を作成後、測定した。
Column:ODS−3,4.6x150mm,5um(GL Science社製)
Flow:0.8ml/min
Detect:225nm
Eluent:アセトニトリル:20mM酢酸アンモニウム水溶液=5:5(isocratic)
【0091】
薬物の含有率は下式によって算出した。
含有率(wt%)=
(組成物内のGW766994重量)/(組成物の重量)×100
【0092】
・実施例10及び11におけるKi19003含有率の算出方法
秤量した化合物10及び11を2M水酸化ナトリウム水溶液中37℃で2時間加温することにより加水分解したのち、遊離したKi19003を以下のHPLCの条件で検量線を作成後、測定した。
Column:ODS−3,4.6x150mm,5um(GL Science社製)
Flow:0.8ml/min
Detect:225nm
Eluent:アセトニトリル:50mMギ酸水溶液=3:7(isocratic)
含有率については下式によって算出した。
含有率(wt%)=
(化合物から遊離したKi19003重量)/(化合物の重量)×100
【0093】
(2)評価方法
(試験例1)組成物10を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、組成物10あるいはKi19003の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0094】
<試験物質>
Ki19003をDMSOに溶解して、Ki19003(0.6mg/mL)の溶液を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物10(0.54mg/mLのKi19003を含む)
2)Ki19003(0.6mg/mL)
3)DMSO
(組成物10は、実施例10で調製した動物投与用試料を用いた)
【0095】
<方法>
(1)レーザー誘発CNVモデル作製および試験物質投与
動物モデルにはBN/CrlCrljラット(雄性、日本チャールス・リバー株式会社)を用いた。麻酔用混合液(生理食塩液:ソムノペンチル=9:1)の腹腔内投与(約2mL/body)による全身麻酔下、ミドリンP点眼液の点眼によって両眼を散瞳させた。視神経乳頭周囲の網膜にレーザーを照射し、CNVを誘発させた。レーザー照射にはスコピゾル眼科溶液、ファンダス5.4mmレーザーレンズ、レーザー光凝固装置および細隙灯照射システムを用いた。レーザー照射直後、5μL/eyeの試験物質を両眼の硝子体内に単回投与した。投与直後、抗菌薬(ベガモックス点眼液0.5%)を一滴点眼した。
【0096】
(2)フラットマウントの作製
モデル作製後10日にCO
2により安楽死させた。眼球を摘出し、10%中性緩衝ホルマリン液に浸漬した(室温、約60分間)。眼杯を作製し、PBSで洗浄、メタノールで脱水を行った後、1% bovine serum albuminと0.5% Triton X-100含有PBSに眼杯を浸した(室温、約60分間)。網膜を取り除いた後、眼杯に0.5% fluorescein griffonia simplicifolia lectin I, FITC-conjugateを60μL添加して放置した(冷蔵、一晩)。これによって、CNVの血管内皮細胞をFITC-lectinで蛍光染色した。眼杯に放射状の切り込みを8箇所入れ、フラットマウントを作製した。フラットマウントを0.1% Triton X-100含有PBSで2回洗浄した後、約120μLのProlong Gold Antifade Reagentを用いてスライドガラスに封入した。
【0097】
(3)CNV画像撮影および面積測定
蛍光顕微鏡を用いて、スライドガラスに封入したフラットマウントのCNV蛍光画像を撮影した。画像解析ソフト(Image pro exp)を用いてCNV面積を測定した。
【0098】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0099】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図1に示した。
組成物10はDMSOおよびKi19003に比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0100】
【表1】
【0101】
(試験例2)組成物11を用いたCNV抑制作用の検証1
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、組成物11あるいはKi19003の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0102】
<試験物質>
Ki19003をDMSOに溶解して、Ki19003(0.53mg/mL)の溶液を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物11(0.53mg/mLのKi19003を含む)
2)Ki19003(0.53mg/mL)
3)DMSO
(組成物11は、実施例11で調製した動物投与用試料を用いた)
【0103】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0104】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0105】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図2に示した。
組成物11はDMSOおよびKi19003に比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0106】
【表2】
【0107】
<結論>
試験例1、試験例2より、Ki19003導入CSがKi19003を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。GAG誘導体を構成するGAGとして、CSが使用できることが示された。
【0108】
(試験例3)組成物11を用いたCNV抑制作用の検証2
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、組成物11あるいはCSとKi19003の配合剤の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0109】
<試験物質>
CS(19mg、実施例11におけるCSと同じもの、生化学工業社製)、Ki19003(1mg)をPBS(2mL)と混合し、振とうすることによりCSとKi19003の配合剤1を調製した。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物11(0.53mg/mLのKi19003を含む)
2)配合剤1((0.5mg/mLのKi19003を含む)
3)DMSO
(組成物11は、実施例11で調製した動物投与用試料を用いた)
【0110】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0111】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0112】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図3に示した。
組成物11はDMSOに比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0113】
【表3】
【0114】
<結論>
Ki19003導入CSが、CSとKi19003の配合剤を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。GAGとケモカイン受容体拮抗剤を単に配合するだけでは、後眼部疾患処置剤として十分でないことが示され、GAG誘導体とケモカイン受容体拮抗剤との共有結合物を用いる有用性が確認された。
【0115】
(試験例4)組成物14、組成物15及び組成物16を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CVNモデルを作製し、組成物14、組成物15、組成物16及びSB328437の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0116】
<試験物質>
SB328437をDMSOに溶解して、SB328437(2mg/mL)の溶液を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物14(1.33mg/mLのSB328437を含む)
2)組成物15(1.67mg/mLのSB328437を含む)
3)組成物16(3.33mg/mLのSB328437を含む)
4)SB328437(2mg/mL)
(組成物14、15、16は、それぞれ実施例14、15、16で調製した動物投与用試料を用いた)
【0117】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0118】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0119】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図4に示した。
組成物14、組成物15及び組成物16は、SB328437に比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0120】
【表4】
【0121】
<結論>
SB328437とCS架橋体を含む組成物が、SB328437を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤して使用できることが示された。GAG誘導体としてGAG架橋体を使用できることが示され、GAGとしてCSが使用できることが示された。また、ケモカイン受容体拮抗剤として、SB328437が使用できることが示された。
【0122】
(試験例5)
SB225002とHA架橋体(Gel−One)とを含む組成物を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、SB225002とGel−One(光架橋HA:生化学工業社製)とを含む組成物及びSB225002の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0123】
<試験物質>
SB225002(Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2009, 17(23), 8102-8112に従って合成)をDMSOに溶解して、SB225002(0.02mg/mL)の溶液を得た。SB225002をDMSOに溶解して、SB225002(0.2mg/mL)の溶液を得た後、SB225002(0.2mg/mL)溶液0.15mLとGel−One(1.5mL)とを混合し、撹拌することにより組成物31を得た。SB225002をDMSOに溶解して、SB225002(2mg/mL)を得た後、2mg/mLのSB225002(0.015mL)とGel−One(1.5mL)を混合し、撹拌することにより組成物32を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物31(0.018mg/mLのSB225002を含む)
2)組成物32(0.02mg/mLのSB225002を含む)
3)SB225002(0.02mg/ml)
4)DMSO
【0124】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0125】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0126】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図5に示した。
組成物31および組成物32がDMSOおよびSB225002に比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0127】
【表5】
【0128】
<結論>
SB225002とGel−Oneとを含む組成物が、SB225002を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。GAG誘導体としてGAG架橋体が使用できることが示され、GAGとしてHAが使用できることが示された。また、ケモカイン受容体拮抗剤として、SB225002が使用できることが示された。
【0129】
(試験例6)GW766994とHA架橋体(Gel−One)とを含む組成物を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、GW766994とGel−One(光架橋HA:生化学工業社製)とを含む組成物及びGW766994の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0130】
<試験物質>
GW766994をDMSOに溶解して、GW766994(2mg/mL)の溶液を得た。GW766994をDMSOに溶解して、GW766994(50mg/mL)を得た後、50mg/mLのGW766994(0.0417mL)とGel−One(1.0mL)を混合し、撹拌することにより組成物33を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物33(2mg/mLのGW766994を含む)
2)GW766994(2mg/ml)
3)DMSO
【0131】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0132】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0133】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図6に示した。
組成物33はDMSOおよびGW766994に比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0134】
【表6】
【0135】
<結論>
GW766994とGel−Oneとを含む組成物が、GW766994を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。ケモカイン受容体拮抗剤としてGW766994が使用できることが示された。
【0136】
(試験例7)Ki19003とHA架橋体(Gel−One)とを含む組成物を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、Ki19003とGel−One(光架橋HA:生化学工業社製)とを含む組成物及びKi19003の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0137】
<試験物質>
Ki19003をDMSOに溶解して、Ki19003(0.5mg/mL)の溶液を得た。Ki19003をDMSOに溶解して、Ki19003(25mg/mL)を得た後、25 mg/mLのKi19003(0.0204mL)とGel−One(1.0 mL)を混合し、撹拌することにより組成物34を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物34(0.5mg/mLのKi19003を含む)
2)Ki19003(0.5mg/ml)
3)DMSO
【0138】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0139】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0140】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図7に示した。
組成物34はDMSOに比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0141】
【表7】
【0142】
<結論>
Ki19003とGel−Oneとを含む組成物が、Ki19003を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。また、試験例1、試験例2、試験例3、試験例7より、Ki19003は複数のGAG誘導体(疎水基導入GAGあるいはGAG架橋体)と組合せ可能であった。このことから、GAG誘導体とケモカイン受容体拮抗剤の組合せは1対1対応とは限らないことが示された。
【0143】
(試験例8)AZD3778とHA架橋体(Gel−One)とを含む組成物を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、AZD3778(国際公開03/004487A1に準じて合成)とGel−One(光架橋HA:生化学工業社製)とを含む組成物及びAZD3778の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0144】
<試験物質>
AZD3778をDMSOに溶解して、AZD3778(0.1mg/mL)の溶液を得た。AZD3778をDMSOに溶解して、AZD3778(5mg/mL)を得た後、5mg/mLのAZD3778(0.0204mL)とGel−One(1.0mL)を混合し、撹拌することにより組成物35を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物35(0.1mg/mLのAZD3778を含む)
2)AZD3778(0.1mg/ml)
3)DMSO
【0145】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0146】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0147】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図8に示した。
組成物35はAZD3778に比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0148】
【表8】
【0149】
<結論>
AZD3778とGel−Oneとを含む組成物が、AZD3778を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。また、ケモカイン受容体拮抗剤として、AZD3778が使用できることが示された。
【0150】
(試験例9)SB328437とHA架橋体(Gel−One)とを含む組成物を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、SB328437とGel−One(光架橋HA:生化学工業社製)とを含む組成物及びSB328437の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0151】
<試験物質>
SB328437をDMSOに溶解して、SB328437(1mg/mL)の溶液を得た。SB328437をDMSOに溶解して、SB328437(50mg/mL)を得た後、50mg/mLのSB328437(0.02mL)とGel−One(1.0mL)を混合し、撹拌することにより組成物36を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物36(1mg/mLのSB328437を含む)
2)SB328437(1mg/ml)
3)DMSO
【0152】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0153】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0154】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図9に示した。
組成物36はSB328437に比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0155】
【表9】
【0156】
<結論>
SB328437とGel−Oneとを含む組成物が、SB328437を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。また、ケモカイン受容体拮抗剤として、SB328437が使用できることが示された。試験例5、試験例6、試験例7、試験例8、試験例9より、GAG架橋体は複数のケモカイン受容体拮抗剤(GW766994、Ki19003、AZD3778、SB328437、SB225002)と組合せ可能であった。このことから、GAG誘導体とケモカイン受容体拮抗剤の組合せは1対1対応とは限らないことが示された。
【0157】
(試験例10)組成物6及び組成物7を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、組成物6、組成物7及びGW766994の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0158】
<試験物質>
GW766994をDMSOに溶解して、GW766994(1.5mg/mL)の溶液を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物6(0.71mg/mLのGW766994を含む)
2)組成物7(0.83mg/mLのGW766994を含む)
3)GW766994(1.5mg/mL)
4)DMSO
(組成物6、7はそれぞれ実施例6、7で調製した動物投与用試料を用いた)
【0159】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0160】
<統計解析>
DMSO群と他群のCNV面積に関して、Dunnett検定により解析した。有意水準は両側5%とした。また、GW766994群と組成物群のCNV面積に関して、Dunnett検定により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0161】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図10に示した。
組成物6、組成物7はGW766994に比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0162】
【表10】
【0163】
<結論>
GW766994と疎水基導入HAとを含む組成物、GW766994と疎水基導入CSとを含む組成物が、GW766994を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。疎水基導入GAGに用いるGAGとして、HAおよびCSが使用できることが示された。
【0164】
(試験例11)組成物4及び組成物5を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、組成物4、組成物5及びKi19003の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0165】
<試験物質>
Ki19003をDMSOに溶解して、Ki19003(0.6mg/mL)の溶液を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物4(0.42mg/mLのKi19003を含む)
2)組成物5(0.66mg/mLのKi19003を含む)
3)Ki19003(0.6mg/mL)
4)DMSO
(組成物4、5は、それぞれ実施例4、5で調製した動物投与用試料を用いた)
【0166】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0167】
<統計解析>
DMSO群と他群のCNV面積に関して、Dunnett検定により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0168】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図11に示した。組成物4、組成物5はDMSOに比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0169】
【表11】
【0170】
<結論>
Ki19003と疎水基導入HAとを含む組成物及びKi19003と疎水基導入CSとを含む組成物が、Ki19003を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。疎水基導入GAGに用いるGAGとして、HAおよびCSが使用できることが示された。
【0171】
(試験例12)組成物8を用いたCNV抑制作用および眼内出血への影響の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、組成物8あるいはヘパリンとGW766994の配合剤の硝子体内投与による血管新生抑制作用および眼内出血への影響を検討した。
【0172】
<試験物質>
GW766994をDMSOに溶解して、GW766994(10mg/mL)の溶液を得た。ヘパリン(10mg、アルドリッチ社製)をPBS(1ml)に溶解し、ヘパリン(10mg/mL)を得たのち、10mg/mLのGW766994(0.1mL)と混合し、ヘパリンとGW766994の配合剤2を調製した。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物8(0.96mg/mLのGW766994を含む)
2)配合剤2(0.91mg/mLのGW766994を含む)
3)PBS
(組成物8は、実施例8で調製した動物投与用試料を用いた)
【0173】
<方法>
(血管新生抑制作用)
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0174】
(眼内出血への影響)
試験物質投与直後および投与後10日に、眼内出血のスコア評価を行い、眼内出血悪化の有無より眼内出血への影響を検討した。
【0175】
(1)試験物質投与直後の眼内出血スコア評価
スリットランプ等を用いて眼内観察を行い、下記の眼内出血スコア基準を用いて、眼内出血スコアとした。
スコア0:出血が観察範囲内に観察されない。
スコア1:出血が観察範囲内の1/4以下観察された。
スコア2:出血が観察範囲内の1/4以上1/2以下観察された。
スコア3:出血が観察範囲内の1/2以上観察された。
【0176】
(2)投与後10日目の眼内出血スコア評価
眼杯作製直後に、硝子体液・網膜を観察し、下記の硝子体液・網膜の出血スコア基準を用いてスコア化した。硝子体液・網膜の出血スコアの平均値を眼内出血スコアとした。
スコア0:出血が観察範囲内に観察されない。
スコア1:出血が観察範囲内の1/4以下観察された。
スコア2:出血が観察範囲内の1/4以上1/2以下観察された。
スコア3:出血が観察範囲内の1/2以上観察された。
【0177】
(3)眼内出血悪化の有無の算出
試験物質投与直後および投与後10日における眼内出血スコアの差より、悪化あり(差が+の眼)の眼数、および悪化なし(差が−もしくは0)の眼数を算出した。
【0178】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
各群の眼内出血悪化の有無に関して、2×2Fisherの直接確率検定により解析した。有意水準は片側5%とした。
【0179】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を表12及び
図12に示した。組成物8はPBSに比べて有意なCNV抑制作用を示した。
眼内出血への影響の結果を表13に示した。ヘパリンとGW766994との配合剤2は、PBSおよび組成物8に比べて、眼内出血の悪化数が有意に多いことが示された。
【0180】
【表12】
【0181】
【表13】
【0182】
<結論>
GW766994と疎水基導入CSとを含む組成物が、ヘパリンとGW766994との配合剤2を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。GAGとケモカイン受容体拮抗剤を単に配合するだけでは、後眼部疾患処置剤として十分でないことが示され、GAG誘導体とケモカイン受容体拮抗剤とを含む組成物を用いる有用性が確認された。
ヘパリンとGW766994の配合剤2では眼内出血が悪化したことから、硝子体内投与には適さないことが確認された。
【0183】
(試験例13)特許文献1に用いられている可溶化剤(DMSO)を用いたケモカイン受容体拮抗剤溶液と、本発明に係る組成物の硝子体内投与時の組織変性の検証
ラットの硝子体内に試験物質を単回投与し、眼内の状態を観察した。
【0184】
<試験物質>
試験物質として、以下を使用した。
1)Ki19003(0.6mg/mL)
2)SB328437(1mg/mL)
3)GW766994(1.5mg/mL)
4)組成物5(0.66mg/mLのKi19003を含む)
5)組成物7(0.83mg/mLのGW766994を含む)
6)組成物10(0.54mg/mLのKi19003を含む)
7)組成物11(0.53mg/mLのKi19003を含む)
8)組成物36(1mg/mLのSB328437を含む)
(組成物5、7、10、11、36については、それぞれ、実施例5、7、10、11、試験例9で調製した動物投与用試料を用いた)
Ki19003は試験例1と、SB328437は試験例9と、GW766994は試験例10と同様に得た。
【0185】
<方法>
(1)試験物質投与
動物はBN/CrlCrljラット(雄性、日本チャールス・リバー株式会社)を用いた。麻酔用混合液(生理食塩液:ソムノペンチル=9:1)の腹腔内投与(約2mL/body)による全身麻酔下、ミドリンP点眼液の点眼によって両眼を散瞳させた。その後、5μL/eyeの試験物質を両眼の硝子体内に単回投与した。投与直後、抗菌薬(ベガモックス点眼液0.5%)を一滴点眼した。
【0186】
(2)眼内撮影
デジタルマイクロスコープを用いて、ラットの眼内の状態を撮影した。
【0187】
<試験結果>
眼内撮影の結果を
図18A〜18Hに示した。
可溶化剤を用いたケモカイン受容体拮抗剤溶液(Ki19003(
図18A)、SB328437(
図18B)、GW766994(
図18C))では、図中の矢印で示したように、水晶体の組織変性が生じた。一方で、GAG誘導体とケモカイン受容体拮抗剤とを含む組成物である組成物5(
図18D)、組成物7(
図18E)、組成物10(
図18F)、組成物11(
図18G)及び組成物36(
図18H)では、水晶体の組織変性は観察されなかった。
【0188】
<結論>
可溶化剤を用いたケモカイン受容体拮抗剤溶液に比べて、GAG誘導体とケモカイン受容体拮抗剤とを含む組成物は、急激な組織変性の発生が抑制され、優れたケモカイン受容体拮抗作用を有することが示された。
【0189】
(試験例14)RS504393とHA架橋体(Gel−One)とを含む組成物を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、RS504393とGel−One(光架橋HA:生化学工業社製)とを含む組成物及びRS504393の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0190】
<試験物質>
RS504393(10mg、abcam社製)をDMSOに溶解して、RS504393(0.01mg/mL)の溶液を得た。RS504393をDMSOに溶解して、RS504393(1mg/mL)を得た後、1mg/mLのRS504393(0.01mL)とGel−One(1.0mL)を混合し、撹拌することにより組成物37を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物37(0.01mg/mLのRS504393を含む)
2)RS504393(0.01mg/ml)
3)DMSO
【0191】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0192】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0193】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図13に示した。
組成物37はDMSOおよびRS504393に比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0194】
【表14】
【0195】
<結論>
RS504393とGel−Oneとを含む組成物が、RS504393を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。また、ケモカイン受容体拮抗剤として、RS504393が使用できることが示された。
【0196】
(試験例15)PS372424とHA架橋体(Gel−One)とを含む組成物を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、PS372424とGel−One(光架橋HA:生化学工業社製)とを含む組成物及びPS372424の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0197】
<試験物質>
PS372424(10mg、Calbiochem社製)をDMSOに溶解して、PS372424(0.1mg/mL)の溶液を得た。PS372424をDMSOに溶解して、PS372424(1mg/mL)を得た後、1mg/mLのPS372424(0.1mL)とGel−One(1.0mL)を混合し、撹拌することにより組成物38を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)組成物38(0.091mg/mLのPS372424を含む)
2)PS372424(0.1mg/ml)
3)DMSO
【0198】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0199】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0200】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図14に示した。
組成物38はDMSOおよびPS372424に比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0201】
【表15】
【0202】
<結論>
PS372424とGel−Oneとを含む組成物が、PS372424を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。また、ケモカイン受容体作動剤 として、PS372424が使用できることが示された。
【0203】
(試験例16)組成物22(リトコール酸導入CS:実施例22)及び組成物19(オレイン酸導入CS:実施例19)を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、組成物22、組成物19の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0204】
<試験物質>
試験物質として、以下を使用した。
1)PBS
2)組成物22(0.86mg/mLのGW766994を含む)
3)組成物19(1.03mg/mLのGW766994を含む)
(組成物22、19は、それぞれ実施例22、19で調製した動物投与用試料を用いた)
【0205】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0206】
<統計解析>
PBS群と他群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0207】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図15に示した。組成物22、組成物19はPBSに比べて有意なCNV抑制作用を示した。
【0208】
【表16】
【0209】
なお、試験例6及び10に記載のとおり、DMSOに溶解したGW766994
(2mg/mL及び1.5mg/mL)は、DMSOに比べて、どちらの濃度でもCNV抑制作用を有していなかった。
【0210】
<結論>
GW766994と疎水基導入CSとを含む組成物が、GW766994を上回る薬効を示す後眼部疾患処置剤、特にAMD治療剤として使用できることが示された。疎水基導入GAGにおける「疎水基 」について、胆汁酸であるリトコール酸等の基本骨格であるコラン酸等の脂環式化合物に由来する基オレイン酸等の脂肪酸に由来する基が使用できることが示された。
【0211】
(試験例17)米国特許第8,592,482号明細書に用いられている可溶化剤(DMSO)を用いたケモカイン受容体活性調節剤溶液と、本発明に係る組成物の硝子体内投与時の組織変性の検証
ラットの硝子体内に試験物質を単回投与し、眼内の状態を観察した。
【0212】
<試験物質>
試験物質として、以下を使用した。
1)RS504393(0.01mg/mL)
2)PS372424(0.1mg/mL)
3)組成物37(0.01mg/mLのRS504393を含む)
4)組成物38(0.1mg/mLのPS372424を含む)
5)組成物22(0.86mg/mLのGW766994を含む)
6)組成物19(1.03mg/mLのGW766994を含む)
(組成物37、RS504393については試験例14で、組成物38、PS372424については試験例15で、組成物22については実施例22で、組成物19については実施例19で、それぞれ調製した動物投与用試料を用いた)
【0213】
<方法>
試験例13の<方法>と同様に実施した。
【0214】
<試験結果>
眼内撮影の結果を
図19A〜19Fに示した。
可溶化剤を用いたケモカイン受容体活性調節剤溶液(RS504393(
図19A)、PS372424(
図19B))では、図中の矢印で示したように、水晶体の組織変性が生じた。一方で、GAG誘導体とケモカイン受容体活性調節剤とを含む組成物である組成物37(
図19C)、組成物38(
図19D)、組成物22(
図19E)及び組成物19(
図19F)では、水晶体の組織変性は観察されなかった。
【0215】
<結論>
可溶化剤を用いたケモカイン受容体活性調節剤溶液に比べて、GAG誘導体とケモカイン受容体活性調節剤とを含む組成物は、急激な組織変性の発生が抑制され、優れたケモカイン受容体活性調節作用を有することが示された。
【0216】
(試験例18)CSを用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、CSの硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0217】
<試験物質>
CS(平均分子量約14万、生化学工業社製)をPBSに溶解して、CS(20mg/mL)を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)CS(20mg/mL)
2)PBS
【0218】
<方法>
試験例1の<方法>と同様に実施した。
【0219】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0220】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図16に示した。
CSはPBSに比べて有意なCNV抑制作用を示さなかった。
【0221】
【表17】
【0222】
CS単独では加齢黄斑変性治療薬として有意に薬効を示さなかった。
【0223】
(試験例19)化合物3を用いたCNV抑制作用の検証
ラットのレーザー誘発CNVモデルを作製し、化合物3の硝子体内投与による血管新生抑制作用を検討した。
【0224】
<試験物質>
CS(平均分子量約4万、生化学工業社製)をPBSに溶解して、CS(10mg/mL)を得た。試験物質として、以下を使用した。
1)化合物3
2)CS(10mg/mL)
【0225】
<方法>
試験例1の<方法>におけるフラットマウントの作製を、モデル作製後10日の代わりにモデル作製後4日としたこと以外は、試験例1と同様に実施した。
【0226】
<統計解析>
各群のCNV面積に関して、対応のない2群の検定(t検定)により解析した。有意水準は両側5%とした。
【0227】
<試験結果>
CNV面積測定の結果を下表及び
図17に示した。
化合物3はCSに比べて有意なCNV抑制作用を示さなかった。
【0228】
【表18】
【0229】
<結論>
コラン酸導入CSのみでは、CSのみと同様に加齢黄斑変性治療薬として有意に薬効を示さなかった。
【0230】
日本国特許出願2015−110784号(出願日:2015年5月29日)の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。