(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入射ウィンドウは、前記チャンバ内のレンズ集光領域に前記CWレーザビームを集光するように構成されたレンズをさらに備える、請求項1に記載のシールド高輝度照明装置。
前記チャンバ内のレンズ集光領域に前記CWレーザビームを集光するように構成された、前記レーザ光源と前記入射ウィンドウとの間の前記進路内に配されたレンズをさらに備える、請求項3に記載のシールド高輝度照明装置。
前記プラズマ持続領域から前記出射ウィンドウに高輝度光を反射するように構成された一体型反射性チャンバ内面をさらに備える、請求項1に記載のシールド高輝度照明装置。
【背景技術】
【0003】
高輝度アークランプは、高輝度ビームを放射する装置である。このランプは、通常、チャンバ内のガスを励起するために使用されるアノード及びカソードを備えたガス含有チャンバ、例えば、ガラスバルブを含む。放電は、アノードとカソードとの間で発生させられ、励起された(例えば、イオン化された)ガスに電力を提供し、光源の動作中、イオン化ガスによって放射された光を維持する。
【0004】
図1は、低ワット数で放物型の従来技術のキセノンランプ100の見取図及び断面を示している。このランプは、通常、金属及びセラミックから構成される。充填ガスであるキセノンは、不燃性且つ非毒性である。ランプサブアセンブリは、アセンブリを厳しい寸法公差に制限する固定具に高温ろう付けによって構成されてもよい。
図2は、ろう付け後におけるこれらのランプサブアセンブリ及び固定具の一部を示している。
【0005】
従来のランプ100には、3つの主要サブアセンブリ、すなわち、カソード、アノード、及びリフレクタが設けられる。カソードアセンブリ3aは、ランプカソード3b、カソード3bをウィンドウフランジ3cに保持する複数の支柱、ウィンドウ3d、及びゲッタ3eを包含する。ランプカソード3bは、例えば、トリエーテッドタングステンからなる小型のペンシル形状部品である。動作中、カソード3bは、ランプアークギャップを横切って移動し、アノード3gに衝突する電子を放出する。電子は、カソード3bから熱電子的に放出されるので、カソードチップは、機能するために、高温且つ低電子放出を維持しなければならない。
【0006】
カソード支柱3cは、カソード3bを定位置に強固に保持し、カソード3bに電流を流す。ランプウィンドウ3dは、研削及び研磨された単結晶サファイヤ(AlO2)であってもよい。サファイヤにより、広い動作温度範囲に亘って気密封止が維持されるように、ウィンドウ3dの熱膨張をフランジ3cのフランジ熱膨張に一致させる。サファイヤの熱伝導性は、ランプのフランジ3cに熱を搬送し、ウィンドウ3dのひび割れを回避するために、均一に熱を分散させる。ゲッタ3eは、カソード3b周辺を覆うように巻き付けられ、支柱上に搭載される。ゲッタ3eは、動作中、ランプ内に生じる汚染ガスを吸収し、汚染物質がカソード3bを汚染して、不要物質をリフレクタ3k及びウィンドウ3d上に搬送するのを防ぐことにより、ランプの寿命を延ばす。
【0007】
アノードアセンブリ3fは、アノード3g、ベース3h、及びチューブ3iからなる。アノード3gは、通常、純タングステンから構成され、カソード3bよりかなり鈍い形状を有する。この形状は、主として、アークがその正極電気接続点にて広がるようにする放電物理学の結果である。アークは、典型的に幾分円錐形状を有し、円錐の先端がカソード3bに接触し、円錐の底面がアノード3g上に据えられるようにする。アノード3gは、カソード3bより大きく、より多くの熱を伝達する。ランプ内に伝達される廃熱の約80%は、アノード3gを通じて外に出されるよう伝達され、20%は、カソード3bを通じて伝達される。アノードは、通常、ランプヒートシンクまで熱抵抗のより低い経路を有するように構成されるため、ランプベース3hが比較的大型となる。ベース3hは、ランプアノード3gからの熱負荷を伝達するために、鉄又は他の熱伝導性材料で構成される。
【0008】
チューブ3iは、ランプ100から排気させ、それにキセノンガスを充填するためのポートである。充填後、チューブ3iは、例えば、油圧ツールで挟持され、又は冷間圧接で封止され、ランプ100が同時に封止されて充填処理ステーションから遮断されるようにする。リフレクタアセンブリ3jは、リフレクタ3kと2つのスリーブ3lからなる。リフレクタ3kは、リフレクタに鏡面を与えるために、高温材料で光沢付けられたほぼ純粋なアルミナ多結晶体であってもよい。そして、リフレクタ3kがそのスリーブ3lに封止され、反射コーティングが光沢の付いた内面に付与される。
【0009】
動作中、アノード及びカソードは、アノード及びカソードの間に配置されたイオン化ガスに送られた放電によって、非常に高温となる。例えば、点火されたキセノンプラズマは、15,000℃以上で燃焼してもよく、タングステンアノード/カソードは、3600℃以上で融解してもよい。アノード及び/又はカソードは、摩耗して粒子を放出してもよい。このような粒子は、ランプの動作を阻害し、アノード及び/又はカソードの劣化を生じ得る。
【0010】
1つの従来技術の封止ランプは、バブルランプとして知られており、ガラスランプ上に2つのアームが設けられたものである。このランプは、曲面を備えたガラスバブルを有し、これがイオン性媒体を保持する。外部レーザは、ランプ内に2つの電極間に集光するビームを投射する。イオン性媒体は、例えば、紫外線点火源、容量性点火源、誘導型点火源、フラッシュランプ、又はパルス化ランプを使用して、点火される。点火後、レーザがプラズマを生成し、プラズマの熱/エネルギーレベルを持続する。残念なことに、湾曲したランプ面は、レーザビームを歪める。このビームの歪みによって、明瞭に画定されていない集光領域が生じる。この歪みは、ランプのレーザと曲面との間に光学系を挿入することにより、部分的に補正され得るが、このような光学系は、ランプのコスト及び複雑さを増すものの、依然として精密に集光されたビームが得られるわけではない。
【0011】
他のランプは、高エネルギーパルスレーザの使用によるプラズマの点火に依存している。プラズマが一旦点火されると、プラズマを持続させるために、より低エネルギーの連続波(CW)レーザが使用される。しかしながら、高エネルギーパルスレーザと、より低エネルギーのCWレーザとの双方を使用することにより、ランプのコスト、大きさ、複雑さを増す。従って、上述の欠点のうちの1つ以上に対処する必要性がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の定義は、本明細書に開示の実施形態の特徴に適用される用語を解釈するのに有用であり、本開示内の要素を規定することのみを意図している。特許請求の範囲内に使用された用語への限定は意図されておらず、従って、これを導き出してはならない。添付の特許請求の範囲内に使用された用語は、適用可能な分野における慣例的意味によってのみ限定されなければならない。
【0017】
以降、添付の図面に例示された、本発明の実施形態について詳細に説明を行う。可能な限り、図中及び説明において、同一又は同様の部品について言及する際、同一の参照符号を使用する。
【0018】
上述の通り、過去のシールドプラズマランプは、プラズマチャンバに入る電極か、高エネルギーパルスレーザのいずれかによる点火に依存してきた。対照的に、以下に説明する実施形態は、特定の条件の下、単一CWレーザの使用により、複数の構成物のキセノンランプにおけるプラズマ点火を対象としている。通常、点火のためのこれらの条件には、ベースラインとして、約200ワット以上で開始するレーザパワーと、チャンバ内のレーザ光に対する最小焦点サイズと、例えば、350psi以上で開始する最小ランプ充填圧力が含まれる。
【0019】
通常、このような実施形態は、各々、入射ウィンドウが平坦であるか、又は集光レンズを組み込んだチャンバ内にレーザ光を入射させる入射ウィンドウを含む。後述の実施形態において自動点火を可能にする高充填圧力は、従来の石英バブルランプにおいては実現可能でない旨に留意することが重要である。
【0020】
図3は、無電極レーザ駆動シールドビームランプ300の一例としての第1実施形態を示す。ランプ300は、例えば、キセノン、アルゴン、又はクリプトンガス等のイオン性媒体を含むように構成された密閉チャンバ320を含む。チャンバ320は、通常、例えば、290〜1150psiの範囲内の圧力レベルまで加圧される。一方、キセノン石英「バブル」ランプは、典型的に、250〜300psiである。高圧であるほど、プラズマスポットが小さくなり、光子変換に対するレーザエネルギーの効率を向上させ得る。高圧でのスポットサイズが小さいほど、例えば、ランプの焦点と繊維開口との間に1:1の反射が使用される時の繊維開口等、小さな開口への結合に有利であり得る。チャンバ320は、高輝度出射光329を放射するための出射ウィンドウ328を有する。出射ウィンドウ328は、例えば、石英ガラス又はサファイヤ等、好適な透明材料で形成されてもよく、特定波長を反射させる反射材料でコーティングされてもよい。反射コーティングは、ランプ300からレーザビーム波長が出ることを遮断してもよく、又は可視光等、特定範囲の波長を通過させるか、ランプ300からUVエネルギーが出ることを防いでもよい。出射ウィンドウ328は、意図する波長の光線の透過率を増加させるために、反射防止コーティングも有してよい。これは、例えば、ランプ300によって放射される出射光329から望ましくない波長をフィルタリングするための部分反射又は分光反射であってもよい。入射レーザ光365の波長をチャンバ320内に反射して戻す出射ウィンドウ328のコーティングにより、チャンバ320内にプラズマを維持するために必要とされるエネルギー量を低下させ得る。
【0021】
チャンバ320は、例えば、石英ガラス等、金属、サファイヤ、又はガラスで形成された本体を有してもよい。チャンバ320は、高輝度光を出射ウィンドウ328に向かって反射するように構成された一体型反射性チャンバ内面324を有する。内面324は、他の可能な形状の中でも、例えば、放物形状又は楕円形状等、出射ウィンドウ328に向かって反射される高輝度光の量を最大化するのに適切な形状に応じて形成されてもよい。通常、内面324は、焦点322を有し、この場合、高輝度光は、適切な量の高輝度光を反射するように内面324に対して配置される。
【0022】
ランプ300によって出力された高輝度出射光329は、チャンバ320内で点火及びエネルギー供給されたイオン性媒体で形成されたプラズマにより、放射される。イオン性媒体は、チャンバ320内で、以下にさらに説明する通り、いくつかの手段のうちの1つにより、チャンバ320内で点火される。プラズマは、ランプ300の内部及びチャンバ320の外部に配置されたレーザ光源360により生成された入射レーザ光365によって生成されたエネルギーにより、チャンバ320内のプラズマ生成及び/又は持続領域326にて、連続的に生成及び持続される。第1実施形態において、プラズマ持続領域326は、固定位置にて、内面324の焦点322とともに配置される。代替の実施形態において、レーザ光源360は、ランプ300の外部であってもよい。
【0023】
チャンバ320は、内面324の壁部内に配された略平坦な入射ウィンドウ330を有する。略平坦な入射ウィンドウ330は、特に、1つ以上の曲面を有するチャンバウィンドウを通じた光伝送と比較すると、歪み又は損失を最小にして、入射レーザ光365をチャンバ320内に伝達する。入射ウィンドウ330は、例えば、石英ガラス又はサファイヤ等、好適な透明材料で形成されてもよい。
【0024】
レンズ370は、レーザ光源360と、入射レーザ光365をチャンバ内のレンズ集光領域372に集束させるように構成された入射ウィンドウ330との間の進路内に配される。例えば、レンズ370は、レーザ光源360によって放射されたコリメートされたレーザ光362を、チャンバ320内のレンズ集光領域372に向かわせるように構成されてもよい。
【0025】
或いは、レーザ光源360は、集束された光を提供し、例えば、入射レーザ光365をレンズ集光領域372に集光するためにレーザ光源360内に光学系を使用することにより、レーザ光源360と入射ウィンドウ330との間にレンズ370を設けることなく、入射ウィンドウ330を通じてチャンバ320内に直接、集束された入射レーザ光365を伝送してもよい。第1実施形態において、レンズ集光領域372は、チャンバ320の内面324の焦点322とともに配置される。
【0026】
入射ウィンドウ330の内面及び/又は外面は、同時に、チャンバ320内への入射レーザ光365の通過を許容しつつ、プラズマによって生成された高輝度出射光329を反射させるように処理が施されてもよい。レーザ光がチャンバに入るチャンバ320の部分を、チャンバ320の近位端と称し、高輝度光がチャンバを出るチャンバ320の部分を、チャンバ320の遠位端と称する。例えば、一実施形態において、入射ウィンドウ330がチャンバ320の近位端に配置され、出射ウィンドウ328がチャンバ320の遠位端に配置される。
【0027】
凸状双曲型リフレクタ380は、任意で、チャンバ320内に配置されてもよい。リフレクタ380は、プラズマ持続領域326においてプラズマに放射された高輝度出射光329の一部又は全部を内面324に向かって反射して戻し、入射レーザ光365の任意の非吸収部分を内面324に向かって反射して戻してもよい。リフレクタ380は、出射ウィンドウ328から高輝度出射光329の所望のパターンを提供するために、内面324の形状に応じた形状を有してもよい。例えば、放物形状内面324は、双曲形状リフレクタ380と対をなしてもよい。リフレクタ380は、チャンバ320の壁部によって支持された支柱(図示せず)によってチャンバ320内に固定されてもよく、或いは、支柱(図示せず)は、出射ウィンドウ328の構造によって支持されてもよい。リフレクタ380は、高輝度出射光329が出射ウィンドウ328を通じて直接出てくることも防ぐ。プラズマ焦点を通ったレーザビームの複数の反射は、リフレクタ380、内面324、及び出射ウィンドウ328上の適切に選択されたコーティングによって、レーザ波長を減衰する十分な機会を提供する。このように、高輝度出射光329におけるレーザエネルギーを最小化することができ、レーザ光をレーザ360に反射して戻すことができる。この後者により、レーザビームがチャンバ320内で干渉する時、不安定さを最小化する。
【0028】
リフレクタ380を、好ましくは、内面324の逆プロファイルにおいて使用することにより、光子が、波長に関わらず、確実に直線的な線放射を通じて出射ウィンドウ328から出ないようにする。代わりに、すべての光子が、波長に関わらず、内面324から跳ね返って出射ウィンドウ328を出る。これにより、確実に、すべての光子が、反射光学系の開口数(NA)に含まれ、このようにして、出射ウィンドウ328を通じて出た後に、最適に収集できるようにする。非吸収IRエネルギーは、内面324に向かって分散され、ここで、このエネルギーは、熱衝撃を最小にするために広い表面にわたって吸収されるか、内面324によって吸収又は反射するために内面324に向かって反射されるか、或いは、通過させるように出射ウィンドウ328に向かって反射されて、反射光学系又は吸収光学系のいずれかでさらに完全に処理されてもよい。
【0029】
レーザ光源360は、パルスレーザでなく、連続波(CW)レーザである。レーザ光源360は、例えば、単一赤外(IR)レーザダイオード等、単一レーザであってもよく、例えば、IRレーザダイオードの積層等、2つ以上のレーザを含んでもよい。レーザ光源360の波長は、利用可能な既成のレーザでキセノンガスを最適且つ経済的に汲みだすことに関して、近赤外域〜中赤外域において選択されることが好ましい。しかしながら、レーザ光源360は、代替として、例えば、10.6μmの遠赤外波長のCO
2レーザを生成してもよい。複数のIR波長が、キセノンガスの吸収帯域との連結改善のために適用されてもよい。当然のことながら、他のレーザ光による解決策も可能であるが、他の因子の中でも、コスト因子、熱放射、サイズ、又はエネルギー要件のために望ましくないこともある。
【0030】
強い吸収線の10nm以内でイオン化ガスを励起することが好ましいと一般的には教示されるが、これは、蛍光プラズマの代わりに、熱プラズマを生成する時には要求されないことに留意しなければならない。従って、フランク−コンドンの原則が必ずしも適用されるものでない。例えば、イオン化ガスは、非常に弱い吸収線(1%ポイントであり、通常、例えば、20%ポイントにて979.9nmの吸収線で980nmの放射にて蛍光プラズマを使用するランプに比べて、20倍弱い)から14nm離れた、1070nmにて、励起されたCWであってもよい。しかしながら、10.6μmのレーザは、この波長付近に既知の吸収線が存在しなくても、キセノンプラズマを点火することができる。特に、キセノン中でレーザプラズマを点火及び持続させるために、CO
2レーザを使用することができる。例えば、米国特許第3,900,803号を参照のこと。
【0031】
レーザ光源360からレンズ370及び入射ウィンドウ330を通じてチャンバ320内のレンズ集光領域372までのレーザ光362、365の進路は、真っ直ぐである。レンズ370は、チャンバ320内のレンズ集光領域372の位置を変えるように調整されてもよい。レンズ集光領域372を内面324の焦点322に確実に合致させ、プラズマ持続領域326が安定し、最適に配置されるように、レンズ集光領域372を調整すべく、例えば、電子又は電子/機械制御システム等の制御システム(図示せず)を使用してもよい。例えば、当該制御システムのコントローラは、重力及び/又は磁界等の力の存在下において、レンズ集光領域372の所望の位置を維持してもよい。当該コントローラには、変更を補うために、集光領域及び/又はプラズマアークを安定的に保つフィードバック機構を組み込んでもよい。1つ、2つ、又は3つの軸で集光範囲の位置を調整するために、当該コントローラを使用してもよい。
【0032】
図4は、無電極高輝度ランプ500の一例としての第2実施形態の断面図を示す。第1実施形態とは対照的に、密閉チャンバ520は、デュアルウィンドウ円筒形ハウジングに包囲される。
【0033】
チャンバ520は、チャンバ520の第1の壁部として機能する、略平坦な入射ウィンドウ530を有する。略平坦な入射ウィンドウ530は、特に、湾曲したチャンバ面を通じた光伝送と比較すると、歪み又は損失を最小にして、レーザ光365をチャンバ520内に伝達する。入射ウィンドウ530は、例えば、石英ガラス又はサファイヤ等、好適な透明材料で形成されてもよい。
【0034】
レンズ370は、第1実施形態と同様に、レーザ光源360と、チャンバ520内のレンズ集光領域372に入射レーザ光365を集光するように構成された入射ウィンドウ530との間の進路内に配される。第1実施形態のように、レンズ集光領域372は、プラズマ持続領域326と、密閉チャンバ520の焦点322とともに配置される。
【0035】
円筒形ハウジングはリフレクタを必要としないため、光学焦点を設けない等、チャンバ520内のプラズマ持続領域326の位置は可変であってもよい。しかしながら、円筒形本体を観察すると、中央から外れて、例えば、ランプの底部よりもランプの上部の近くで、プラズマを作動させることにより、イオン化ガスの内部乱流が生じ、引いては、安定性に影響を与えることもあることが示される。
【0036】
チャンバ520は、高輝度出射光529を放射するための出射ウィンドウ528を有する。出射ウィンドウ528は、例えば、石英ガラス又はサファイヤ等、好適な透明材料で形成されてもよい。
【0037】
レーザ光がチャンバに入るチャンバ520の部分を、チャンバ520の近位端と称し、高輝度光がチャンバを出るチャンバ520の部分を、チャンバ520の遠位端と称する。例えば、第3実施形態において、入射ウィンドウ530は、チャンバ520の近位端に配置され、出射ウィンドウ528は、チャンバ520の遠位端に配置される。
【0038】
任意で、第3実施形態は、密閉チャンバ520の圧力レベルを調整するための要素を含んでもよい。シールドランプ500は、キセノンガスの外部供給源をガス侵入充填/解放弁594に接続する充填ライン592を介して、キセノンガスの外部供給源を密閉チャンバ520に接続するポンプシステム596を含んでもよい。
【0039】
チャンバ520内のキセノンガス/プラズマを点火する方法は、他の因子の中でも、チャンバ520内の圧力量及び/又は温度によって異なってもよい。325psi未満の充填圧力及び/又は200ワット未満の低いレーザ動作パワーにおいて、例えば、背景技術の欄で検討したようなデュアルカソード電気点火システム等、電極で電気点火が行われることが好ましい。しかしながら、電極をチャンバ内に含み、電極の電気接続を設けることは、ランプの設計に複雑さを増してしまう。従って、電極を省略したチャンバ内のガス/プラズマの点火を行うことが、一例としての実施形態の目的である。
【0040】
第1実施形態及び第2実施形態の下では、チャンバ520内の圧力/温度が十分に高ければ、電極又はパッシブ非電極点火剤のいずれかの存在を伴うことなく、チャンバ内のキセノンガスを熱的に点火するために、CWレーザが使用されてもよい。
【0041】
例えば、250ワット(±15%)で自動点火を行うために、500psiで充填され、0.31NAの集光光学系を通じて1070nmのレーザで作動する平坦入射ウィンドウを備えたキセノンランプについて考察する。450psiの充填圧力にて、同一のセットアップであれば、任意の点火剤を使用しなければ、自己点火のために265ワット(±15%)のレーザパワーを必要とする。300psiの充填圧力にて、同一のセットアップであれば、自己点火のために450ワット(±15%)を必要とする。対照的に、300psiで充填された石英バブルランプでは、露光時間に関わらず、500ワットへの露光時には自己点火しない。典型的な湾曲した容器壁部のレンズ効果により、包囲されたキセノンガスの自動点火を成功させるのに十分に小さなレーザ集光ビームウェストを得ることができなくなる。
【0042】
イオン性媒体の数分の一秒内に自己点火を達成するためには、通常、ビームウェストにて、1×10
10W/cm
2オーダのパワー密度が必要とされる。これは、上述の条件下で達成されてもよい。プラズマを点火するのに必要なパワーは、ガスの充填圧力と励起レーザの波長との影響を受ける。後者は、ビームウェストの直径に影響を及ぼし、波長が長いほど、より多くのパワーを必要とする。前者は、原子間の距離に影響し、イオン化プロセスを開始するのに必要なエネルギーに影響を及ぼす。
【0043】
集光レンズの開口数(NA)も、自己点火に必要とされるパワーに同等に影響を及ぼす。NAが高いほど、典型的にビームウェストの断面が小さくなり、結果として、パワー密度が高くなる。この点火が成功するためには、CWレーザ光源360は、例えば、1〜15平方ミクロンオーダの断面等、チャンバ内のレンズ集光領域372における十分に小さなビームウェストの断面に集光される。この厳しい集光を達成するためには、チャンバ520の入射ウィンドウ530は、好ましくは、平坦面でなければならない。対照的に、入射ウィンドウが、例えば、バブルチャンバの側等、凹状又は凸状の曲面を有すると、CWレーザ光源360からの入射レーザ光365を十分に小さなレンズ集光領域372に集光して、チャンバ520内でプラズマの点火を成功させることは困難又は不可能であることもある。或いは、入射ウィンドウ530は、平坦ウィンドウでなく、レンズ様であり、集光領域372に入射レーザ光365を集光するように構成されてもよい。
【0044】
第3実施形態600の下では、パッシブ非電極点火剤610は、
図5に示される通り、チャンバ520に導入される。本開示において使用される通り、パッシブ非電極点火剤610は、CWレーザ光源360の刺激により、且つ、外部からの誘導電流を伴うことなく、電荷担体のストリームを生成するように励起され得る、チャンバ520の内側に導入される材料である。対照的に、電極は、外部電流を電極に対してアクティブに印加することにより、イオン性媒体を点火するものであるため、アクティブ点火源という用語で示されるであろう。パッシブ非電極点火剤610には、例えば、とりわけ、2%トリエーテッドタングステン又はKr−85等、イオン化点火源が含まれてもよい。パッシブ非電極点火剤610への温度伝導を伴うキセノンガスの自己加熱により、パッシブ非電極点火剤610に、第1及び第2実施形態の非トリウム入り溶液で必要とされるパワーのおおよそ半分で、キセノンランプを自己点火するのに十分な電荷担体を生じさせる。例えば、点火は、中間的な圧力/温度範囲にて生じさせられてもよく、例えば、450psi充填キセノンランプは、トリエーテッドタングステン等、パッシブ非電極点火剤610のランプチャンバ520内への導入を通じて、175ワット(±15%)にて自己点火する。
【0045】
第3実施形態600は、第1実施形態のランプ300(
図3)、特に、一体放物型又は楕円型リフレクタを備えた、セラミック又は金属本体のCermaxランプ等、シールドビームキセノンランプの要素を有する反射型チャンバ320を含み、さらに、パッシブ非電極点火剤610を含む。パッシブ非電極点火剤610は、外部からの電圧/電流が印加されないため、アクティブ電極ではない。しかしながら、固体CWレーザ光源360を通じたキセノンガスの自己加熱は、例えば、トリウム入り材料等のパッシブ非電極点火剤610に温度を伝導し、非トリウム入り溶液で必要とされるパワーのおおよそ半分で、キセノンランプを自己点火するのに十分な電荷担体をチャンバ内に生じる。CWレーザ光源360は、急速加熱及び熱的点火を提供するために、トリエーテッドタングステン610の比較的近くで、チャンバ520内の固定位置に集光される。トリエーテッドタングステン610は、単一のパッシブ要素、幾何学構成において、例えば、互いを指す複数のパッシブ要素、又はリングとしてチャンバ520内に構成されてもよく、CWレーザ光源360がパッシブエレメントに近い位置、又はリング中央等、トリエーテッドタングステン610のリング内に集光される。例えば、トリエーテッドタングステンリング610は、リング中央がチャンバ520内のレンズ集光領域372とともに配置されるように、さらに、プラズマ持続領域326及び密閉チャンバ520の焦点322とともに配置されるように位置決めされてもよい。パッシブ非電極点火剤610は、リングとして構成されなくてもよく、例えば、パッシブ非電極点火剤610は、パッシブ非電極点火剤610の少なくとも一部がチャンバ集光領域372に略隣接するように、ロッド、ディスク、又は他の構成として構成されてもよい。例えば、パッシブ非電極点火剤610の少なくとも一部が集光領域372から1〜5mmの範囲内となることが好ましいこともある。集光領域372からのパッシブ非電極点火剤610の適切な距離は、チャンバ320の圧力又はCWレーザ360のパワー等、他のパラメータに依存し得ることに留意しなければならない。
【0046】
点火後にプラズマを持続するために、プラズマの点火に使用されるのと同一のCWレーザ光源360を使用する。トリエーテッドタングステンリング610は、ろう付けされてもよく、又は浮遊していてもよい。
図5及び
図6の概念図において、トリエーテッドタングステン610及び/又は密閉チャンバ520のプラズマ持続領域326並びに焦点322は、必ずしも寸法を示すためのものでないことに留意しなければならない。
【0047】
図6は、無電極高輝度ランプ700の一例としての第4実施形態の断面図を示す。第3実施形態とは対照的に、密閉チャンバ520は、デュアルウィンドウ円筒形ハウジングによって包囲される。第4実施形態700は、第2実施形態のランプ500(
図4)の要素を含み、パッシブ非電極点火剤610も含む円筒形チャンバ520を含む。
【0048】
以上の実施形態において電極がないことで、従来技術に対して複数の利点を提供することができる。例えば、ランプに電極がないことにより、壁部のタングステン堆積をなくし、ランプのウィンドウにより、ランプにおける光出力の劣化又は低下の主要な要因をなくす。ランプに電極がないことで、ランプ本体を通じて電極に対する出口封止を提供する必要性がなく、より安価に製造することができる。出口封止は、寿命の途中で爆発することが知られており、潜在的に寿命の尽きるランプのソースであることが知られている。ランプにトリウム入り電極がなければ、イオン化照射汚染の潜在性を減らすことができる。ランプチャンバ壁部を通じて電極がなければ、ランプ構造をより小さくし、引いては、内部充填圧力を増加させ、且つ、引いては、ランプの変換効率を向上させる。これは、結果として、よりロバスト性のあるランプを生じる。また、電極がないことによって、ランプにおけるセラミック絶縁材料のあらゆる必要性がなくなる。これは、セラミック絶縁材料がランプの動作中にガス放出することもあり、光出力の劣化に貢献することもあるため、有利である。
【0049】
無電極ランプの他の利点には、ランプを電気点火するためのパワー供給の必要性をなくすくことが含まれる。充填圧力が高いほど、より小さなランプの使用を容易にし、コストを低減し、エネルギー−光子変換の効率を向上させ得る。電極をなくすことで、さらに、電極がランプにおけるガス乱流と干渉すること等、電極の望ましくない副作用を解消し、光出力の安定性を向上させる。さらに、電極をなくすことで、高輝度光によって生成されたシャドウのソースをなくす。
【0050】
図7は、レーザ駆動無電極シールドビームランプを作動させる一例としての第1の方法のフローチャートである。フローチャートの任意のプロセス記述又はブロックは、プロセスにおける特定の論理機能を実施するためのモジュール、セグメント、コード部分、又はステップとして理解されなければならず、代替の実現例も本発明の範囲内に含まれ、機能は、本発明の分野で合理的な技術を有する者によって理解される通り、関与する機能に応じて、略同時又は逆の順を含む、図示又は検討の順とは外れて実行されてもよいことに留意しなければならない。
【0051】
図7のフローチャートに関して、
図3及び
図4を参照する。ウィンドウ、例えば、入射ウィンドウ530が設けられる。ブロック710に示すように、ウィンドウは、密閉ランプチャンバ320外部に配されたCWレーザ光源360からチャンバ320内の集光領域372へエネルギーを受けるように構成される。ブロック720に示すように、チャンバ320の圧力レベルは、チャンバ320内でイオン性媒体を点火するのに適切な所定の圧力レベルに設定される。例えば、CWレーザ光源が(250〜500W)の範囲内であれば、(300〜600psi)の圧力レベルが、ちょうどCWレーザエネルギーでイオン性媒体を点火するのに好適であり得る。ブロック730に示すように、レーザ光源360からの入射レーザ光365は、例えば、6〜18ミクロンのレイリー長で、1〜15平方ミクロンの断面ビームウェスト等、所定の容量を有するチャンバ320内の集光領域372に集光される。チャンバ320内のイオン性媒体は、ブロック740に示される通り、プラズマを形成するレーザ光源で点火される。ブロック750に示すように、プラズマは、連続波レーザ光源360により、チャンバ320内で持続される。
【0052】
図8は、レーザ駆動無電極シールドビームランプを作動させる一例としての第2の方法のフローチャートである。
図8のフローチャートに関して、
図5及び
図6を参照する。ブロック810に示すように、ウィンドウは、シールドランプチャンバ320外部に配された連続波レーザ光源360からチャンバ320内の集光領域372へエネルギーを受けるように構成される。ブロック820に示すように、チャンバ320の圧力レベルは、チャンバ320内のイオン性媒体の点火に適切な所定の圧力レベルに設定される。ブロック830に示すように、レーザ光源360からの入射レーザ光365は、例えば、6〜18ミクロンのレイリー長で、1〜15平方ミクロンの断面FWHM(半値全幅)ビームウェスト等、所定の容量を有するチャンバ320内の集光領域372に集光される。
【0053】
ブロック840に示すように、チャンバ320内に全体が配されたパッシブ非電極点火剤610は、集光領域372に隣接して配置される。パッシブ非電極点火剤610は、直接又は間接に加熱されてもよい。パッシブ非電極点火剤610は、トリアにレーザ光を集光し、一旦熱くなると、レーザをランプキャビティの所望の焦点に改めて方向付けることにより、直接加熱される。ブロック850によって示すように、トリアの間接的加熱は、レーザ光源360でイオン化ガスの熱対流を通じて発生する。ブロック860に示すように、チャンバ320内のイオン性媒体は、プラズマを形成するために加熱されたパッシブ非電極点火剤610によって点火される。例えば、CWレーザ光源が125〜200ワットの範囲内であれば、300〜600psiの圧力レベルが、CWレーザ360からのエネルギーで加熱されたパッシブ非電極点火剤610でイオン性媒体を点火するのに好適であってもよい。ブロック870に示すように、チャンバ320内のプラズマは、連続波レーザ光源360からのエネルギーで持続される。
【0054】
まとめると、当分野の技術者は、本発明の範囲又は主旨から逸脱することなく、本発明の構造に種々の修正及び変更がなされ得ることが明らかであろう。以上に鑑み、本発明は、以下の特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内である限り、本発明の修正及び変更も網羅することが意図されるものである。