【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様では、
双子葉植物、あるいはコムギ、イ
ネおよびトウモロコシから選択され
る単子葉植物について、植物の生長、植物の生産性、種子の発芽または土壌品質を向上させる方法であって、植物に、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種を含む処理剤を適用するステップを含む方法が提供される。
【0011】
本発明の別の態様では、双子葉植物または単子葉植物について、植物の生長、植物の生産性、種子の発芽率または土壌品質を向上させる方法であって、植物に、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種を含む処理剤を適用するステップを含む方法が提供される。
【0012】
一実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所(National Measurement Institute)に寄託)またはバークホルデリア属のQ208株に対する16S rRNAの
配列同一性が少なくとも96%である。別の実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS3またはバークホルデリア属のQ208株に対する16S rRNAの
配列同一性が少なくとも97%、98%または99%である。さらなる実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS3またはバークホルデリア属のQ208株に対する16S rRNAの
配列同一性が100%である。細菌SOS3は、バークホルデリア属のQ208株に対する16S rRNAの
配列同一性が100%である。細菌SOS3の16S rRNA配列は、配列番号3に示されている。配列番号3に示した配列は、バークホルデリア属のQ208株の16S rRNA配列でもある。
【0013】
別の実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属の種、少なくとも1種の植物有益環境(PBE)バークホルデリア属の種、またはバークホルデリア属のPBEクレードに属する少なくとも1つの種である(
図1を参照)。少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、非病原性、特に、非病原性バークホルデリア属の種でもよい。少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌である。
【0014】
少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、(i)大気中窒素に対する固定能、および/または(ii)植物の根におけるバイオフィルム形成能を有してもよい(またはこれに適合されていてもよい)。少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、リン源、特に、リン脂質、リンタンパク質、リン酸エステル、糖リン酸およびフィチン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の可溶化のための能力を有してもよい(またはこれに適合されていてもよい)。少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、(i)シデロホアの分泌能、および/または(ii)エチレン産生に対する誘導能を有してもよい(またはこれに適合されていてもよい)。
【0015】
少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS1(2016年6月2日に受託番号V16/0139080として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)、細菌SOS2(2016年6月2日に受託番号V16/013909として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)、バークホルデリア属のQ208株、Burkholderia oxyphila、Burkholderia sacchari、Burkholderia ferrariae、Burkholderia silvatlantica、Burkholderia heleia、Burkholderia nodosa、Burkholderia bannensis、Burkholderia tropica、Burkholderia unamae、Burkholderia kururiensis、Burkholderia diazotrophica、Burkholderia tuberum、Burkholderia acidipaludis、Burkholderia caribensis、Burkholderia hospita、Burkholderia terrae、Burkholderia phymatum、Burkholderia sabiae、Burkholderia sartisoli、Burkholderia phenazinium、Burkholderia sediminicola、Burkholderia phytofirmans、Burkholderia ginsengisoli、Burkholderia fungorum、Burkholderia megapolitana、Burkholderia bryophila、Burkholderia terricola、Burkholderia graminis、Burkholderia phenoliruptrix、Burkholderia xenovorans、Burkholderia mimosarum、Burkholderia endofungorum、Burkholderia rhizoxinica、Burkholderia soli、Burkholderia caryophliiおよびBurkholderia caledonicaからなる群から選択される少なくとも1種の細菌でもよい。
【0016】
バークホルデリア属のQ208株(Burkholderia australis、Burkholderia australis Q208、またはバークホルデリア属sp.Q208としても公知)は、Paungfoo−Lonhienne et al.(参考文献10)に記載されている。Paungfoo−Lonhienne et al.は、サトウキビの変種であるQ208
Aの根からバークホルデリア属Q208株を単離し、バークホルデリア属のQ208株の分離株が、サトウキビ小植物体の生長を促進することを例証した。Paungfoo−Lonhienne et al.は、バークホルデリア属のQ208株以外の細菌の株についての検討は行っておらず、サトウキビ以外の植物における生長増強機構や、サトウキビまたは他の植物における種子発芽の向上についても検討していない。
【0017】
少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS1、細菌SOS2、細菌SOS3およびバークホルデリア属Q208株からなる群から選択される少なくとも1種の細菌でもよい。一実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS1、細菌SOS2および細菌SOS3からなる群から選択される少なくとも1種の細菌である。別の実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、バークホルデリア属のQ208株である。さらなる実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、バークホルデリア属のQ208株ではない。少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、バークホルデリア属に属する微生物から単離されたもの、またはこれに由来するものでもよい。
【0018】
少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、任意の適した供給源から単離されたものでもよい。少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、単子葉植物、特に、コムギ、
イネまたはトウモロコシから選択される単子葉植物から単離されたもの、またはこれに近接するものでもよい。少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、双子葉植物、特に、トマト、キュウリ、マメ類、エンドウマメ、ブロッコリー、キャベツ、大豆、カリフラワー、レタス、ダイコン、イチゴまたはジャガイモを含む(またはこれから選択される)双子葉植物から単離されたもの、またはこれに近接するものでもよい。少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、植物の根圏、特に、上述の単子葉植物または双子葉植物の根圏から単離されたものでもよい。一実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、ナス目、特に、ナス科(トマト等)の植物の根圏から単離される。一実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、トマトの根圏から単離される。
【0019】
少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種または複数種でもよい。
【0020】
処理剤は、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種との相乗作用をもたらす1種または複数種の追加的な微生物をさらに含んでもよい。1種または複数種の追加的な微生物は、リンを可溶化するものでもよい。例示的な、リンを可溶化する微生物には、Bacillus cereus、Aerobacter、Azotobacter、Aspergilus awamori、Penecillium sp.、Rhizoctonia、Rhizopus、Torula thermophila、SehwannioおよびMyces occidentalisのうちの1種または複数種が含まれる。このような微生物は、追加的なリンを植物に与えるための補助となる。
【0021】
処理剤は、処理組成物でもよい。処理剤(または処理組成物)は、任意の適した形態で存在してもよい。例示的な実施形態では、処理剤(または処理組成物)は、液体、ゲルまたは固体、特に、散布可能な液体、顆粒またはペレットの形態で存在してもよい。
【0022】
処理剤は、少なくとも1種の植物栄養素をさらに含んでもよい。少なくとも1種の植物栄養素は、リン源を含んでもよい。処理剤(または処理組成物)は、リン源を含んでもよい。リン源は、リン脂質、リンタンパク質、リン酸エステル、糖リン酸およびフィチン酸塩からなる群のうちの少なくとも1種でもよい。少なくとも1種の植物栄養素は、有機植物栄養素、特に、堆肥またはコンポストを含んでもよい。
【0023】
一実施形態では、処理剤(または処理組成物)は、微生物接種材料(例えば、後述するもの)である。別の実施形態では、処理剤(または処理組成物)は、肥料組成物(例えば、後述するもの)である。さらに別の実施形態では、処理剤(または処理組成物)は、無土壌生長培地(例えば、後述するもの)である。さらなる実施形態では、処理剤(または処理組成物)は、植物種子への適用に適したコーティング(例えば、後述するもの)である。
【0024】
双子葉植物は、任意の適当な双子葉植物であればよい。一実施形態では、双子葉植物は、トマト、キュウリ、マメ類、エンドウマメ、ブロッコリー、キャベツ、大豆、カリフラワー、レタス、ダイコン、イチゴおよびジャガイモからなる群のうちの少なくとも1種から選択される。
【0025】
植物に処理剤を適用するステップは、植物の種子または実生に薬剤を適用するステップを含んでもよい。処理剤は、任意の適した仕方で植物に適用してもよい。一実施形態では、処理剤は、種子または実生の根に散布または被覆してもよい。別の実施形態では、処理剤は、植物(特に、種子または実生)に近接する土壌に投与してもよい。さらなる実施形態では、処理剤は、植物(特に、種子または実生)が植えられる生長培地(土壌等)に適用することができる。
【0026】
一実施形態において、種子または実生を処理するステップは、リン源、特に、リン脂質、リンタンパク質、リン酸エステル、糖リン酸およびフィチン酸塩からなる群のうちの少なくとも1種による同時処理を含む。
【0027】
本方法は、特に、無土壌生長培地において、処理された種子または実生を育成するステップをさらに含んでもよい。このステップにおいて、処理された種子または実生を、小植物体まで育成してもよい。このステップにおいて、処理された種子または実生は、初期期間育成してもよい。初期期間は、1週間〜6週間である。初期期間は、2週間〜6週間でもよい。一実施形態では、無土壌生長培地の少なくとも一部は、処理剤(または処理組成物)を含む。
【0028】
本方法は、小植物体を圃場または温室条件に移すステップをさらに含んでもよい。一実施形態では、移された小植物体は、肥料または堆肥を含む土壌で栽培される。本方法は、土壌または堆肥を追加量の処理剤(または処理組成物)で処理するステップをさらに含んでもよい。
【0029】
別の態様では、植物生長を促進する方法であって、
双子葉植物、あるいはコムギ、イ
ネおよびトウモロコシから選択され
る単子葉植物の種子または実生を、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種を含む有効量の処理組成物(または処理剤)で処理するステップと、
無土壌生長培地において処理された種子または実生を初期期間育成して、小植物体まで育成するステップと、
小植物体を圃場または温室条件に移すステップと
を含む方法が提供される。
【0030】
本発明の本態様の要件は、上述の通りとすることができる。本方法の一実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、バークホルデリア属のQ208株ではない。一実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)に対する16S rRNAの
配列同一性が少なくとも96%である。
【0031】
別の態様では、植物生長を促進する方法であって、
双子葉植物または単子葉植物の種子または実生を、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種を含む有効量の処理組成物(または処理剤)で処理するステップと、
無土壌生長培地において処理された種子または実生を初期期間育成して、小植物体まで育成するステップと、
小植物体を圃場または温室条件に移すステップと
を含む方法が提供される。
【0032】
本発明の本態様の要件は、上述の通りとすることができる。
【0033】
一実施形態では、無土壌生長培地の少なくとも一部は、処理組成物を含む。
【0034】
別の態様では、植物の生長、植物の生産性、種子の発芽率または土壌品質を向上させるための微生物接種材料であって、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種を含む接種材料が提供される。本発明の本態様の要件は、上述の通りとすることができる。本方法の一実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、バークホルデリア属のQ208株ではない。一実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)に対する16S rRNAの
配列同一性が少なくとも96%である。
【0035】
しかし、好ましい実施形態では、本発明は、植物の生長、植物の生産性、種子の発芽または土壌品質を向上させるための微生物接種材料であって、細菌SOS1(2016年6月2日に受託番号V16/013908として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)、細菌SOS2(2016年6月2日に受託番号V16/013909として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)、バークホルデリア属のQ208株、Burkholderia oxyphila、Burkholderia sacchari、Burkholderia ferrariae、Burkholderia silvatlantica、Burkholderia heleia、Burkholderia nodosa、Burkholderia bannensis、Burkholderia tropica、Burkholderia unamae、Burkholderia kururiensis、Burkholderia diazotrophica、Burkholderia tuberum、Burkholderia acidipaludis、Burkholderia caribensis、Burkholderia hospita、Burkholderia terrae、Burkholderia phymatum、Burkholderia sabiae、Burkholderia sartisoli、Burkholderia phenazinium、Burkholderia sediminicola、Burkholderia phytofirmans、Burkholderia ginsengisoli、Burkholderia fungorum、Burkholderia megapolitana、Burkholderia bryophila、Burkholderia terricola、Burkholderia graminis、Burkholderia phenoliruptrix、Burkholderia xenovorans、Burkholderia mimosarum、Burkholderia endofungorum、Burkholderia rhizoxinica、Burkholderia soli、Burkholderia caryophliiおよびBurkholderia caledonicaからなる群から選択される少なくとも1種の細菌を含む接種材料を提供する。
【0036】
少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS1、細菌SOS2および細菌SOS3およびバークホルデリア属のQ208株からなる群から選択される少なくとも1種の細菌でもよい。一実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS1、細菌SOS2および細菌SOS3からなる群から選択される少なくとも1種の細菌である。別の実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、バークホルデリア属のQ208株である。さらなる実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、バークホルデリア属のQ208株ではない。接種材料は、バークホルデリア属のQ208株をさらに含んでもよい。
【0037】
微生物接種材料は、コムギ、
イネおよびトウモロコシから選択される単子葉植物、および/または双子葉植物について、植物の生長、植物の生産性、種子の発芽率または土壌品質を向上させるように使用する(または適合されている)ものでもよい。双子葉植物は、上述通りのものでもよい。
【0038】
さらなる態様では、本発明は、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種を含む肥料組成物を提供する。本発明の本態様の要件は、上述の通りとすることができる。
【0039】
一実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、バークホルデリア属のQ208株、細菌SOS1、細菌SOS2および細菌SOS3からなる群から選択される少なくとも1種の細菌である。さらなる実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS1、細菌SOS2および細菌SOS3からなる群から選択される少なくとも1種の細菌である。少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、バークホルデリア属のQ208株でもよい。さらなる実施形態では、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、バークホルデリア属のQ208株ではない。
【0040】
肥料組成物は、少なくとも1種の植物栄養素をさらに含んでもよい。少なくとも1種の植物栄養素は、リン源(上述通り)でもよい。少なくとも1種の植物栄養素は、堆肥またはコンポストでもよい。
【0041】
肥料組成物は、任意の適した形態で存在することができる。例示的な実施形態では、肥料組成物は、液体または固体、特に、散布可能な液体、顆粒またはペレットの形態で存在してもよい。肥料組成物は、堆肥またはコンポストを含んでもよく、ペレットの形態で存在してもよい。
【0042】
肥料組成物は、コムギ、
イネおよびトウモロコシから選択される単子葉植物、および/または双子葉植物について、植物の生長、植物の生産性、種子の発芽率または土壌品質の向上のために使用する(またはこれに適合されている)ものでもよい。双子葉植物は、上述通りのものでもよい。
【0043】
別の態様では、本発明は、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種を含む、実生を育成するための無土壌生長培地に関する。本発明の本態様の要件は、上述の通りとすることができる。
【0044】
無土壌生長培地は、少なくとも1種の植物栄養素をさらに含んでもよい。少なくとも1種の植物栄養素は、リン源を含んでもよい。リン源は、リン脂質、リンタンパク質、リン酸エステル、糖リン酸およびフィチン酸塩からなる群のうちの1種または複数でもよい。
【0045】
無土壌生長培地は、固体、液体またはゲルの形態で存在することができる。
【0046】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種を含むコーティングで被覆された被覆植物種子が提供される。
【0047】
植物種子は、単子葉植物、特に、コムギ、
イネおよびトウモロコシを含む(またはこれから選択される)単子葉植物のものでもよい。植物種子は、双子葉植物のものでもよい。双子葉植物は、上述通りのものでもよい。
【0048】
コーティングは、植物種子から生じる植物の生長や植物の生産性、もしくは種子の発芽を向上させるためのもの(またはこれに適合されているもの)でもよい。あるいは、植物種子が植えられることになる土壌の土壌品質を改善するためのもの(またはこれに適合されているもの)でもよい。
【0049】
コーティングは、任意の適した形で適用することができる。一実施形態では、コーティングは、少なくとも1種の細菌を含む処理剤(細菌懸濁液等)を種子に散布することにより適用される。別の実施形態では、コーティングは、少なくとも1種の細菌を含む処理剤(細菌懸濁液等)中に種子を浸漬することにより適用される。
【0050】
さらなる実施形態では、コーティングは、ゲル化剤を含む。ゲル化剤は、多糖(アルギン酸塩等)またはガム状の化合物(カルボキシメチルセルロース(CMC)等)を含んでもよい。
【0051】
さらなる態様では、本発明は、植物の生長または土壌の品質を向上させる方法であって、植物に、上述の通り微生物接種材料または肥料組成物を適用するステップを含む方法を提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、コムギ、
イネ、トウモロコシから選択される単子葉植物および/またはトマト、キュウリ、マメ類、エンドウマメ、ブロッコリー、キャベツ、大豆、カリフラワー、レタス、ダイコン、イチゴ、ジャガイモのうちの1種もしくは複数を含む双子葉植物について、植物の生長もしくは種子の発芽もしくは植物の生産性の向上または土壌品質の向上における使用のための微生物接種材料であって、バークホルデリア属に属する微生物から単離されたか、これに由来する、細菌SOS1、細菌SOS2、細菌SOS3またはバークホルデリア属のQ208株を含む接種材料を提供する。本発明のさらなる態様では、コムギ、
イネ、トウモロコシのうちの1種もしくは複数を含む単子葉植物および/またはトマト、キュウリ、マメ類、エンドウマメ、ブロッコリー、キャベツ、大豆、カリフラワー、レタス、ダイコン、イチゴ、ジャガイモのうちの1種もしくは複数を含む双子葉植物について、植物の生長もしくは種子の発芽率もしくは植物の生産性の向上または土壌品質の向上における使用のための微生物接種材料であって、細菌SOS1、細菌SOS2、細菌SOS3の微生物、またはバークホルデリア属に属し、
(i)大気中窒素に対する固定能、および
(ii)植物の根におけるバイオフィルム形成能
を有する微生物を含む微生物接種材料が提供される。
【0053】
好ましくは、微生物は、リン脂質および/またはリンタンパク質および/またはリン酸エステルおよび/または糖リン酸および/またはフィチン酸塩に対する可溶化能を有するものである。
【0054】
好ましくは、微生物は、
(iii)シデロホアの分泌能、および/または
(iv)エチレン産生に対する誘導能
を有するものである。
【0055】
一部の実施形態では、微生物は、バークホルデリア属のQ208株でもよい。
【0056】
一部のさらなる実施形態では、接種材料は、次の細菌種の1種または数種に由来する株、またはいずれかを含む混合物を含んでもよい:細菌SOS1(2016年6月2日に受託番号V16/0139080として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)、細菌SOS2(2016年6月2日に受託番号V16/013909として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)、バークホルデリア属のQ208株、Burkholderia oxyphila、Burkholderia sacchari、Burkholderia ferrariae、Burkholderia silvatlantica、Burkholderia heleia、Burkholderia nodosa、Burkholderia bannensis、Burkholderia tropica、Burkholderia unamae、Burkholderia kururiensis、Burkholderia diazotrophica、Burkholderia tuberum、Burkholderia acidipaludis、Burkholderia caribensis、Burkholderia hospita、Burkholderia terrae、Burkholderia phymatum、Burkholderia sabiae、Burkholderia sartisoli、Burkholderia phenazinium、Burkholderia sediminicola、Burkholderia phytofirmans、Burkholderia ginsengisoli、Burkholderia fungorum、Burkholderia megapolitana、Burkholderia bryophila、Burkholderia terricola、Burkholderia graminis、Burkholderia phenoliruptrix、Burkholderia xenovorans、およびBurkholderia caledonica。一実施形態では、当該混合物は、この細菌種との相乗効果をもたらす1種または複数種の追加的な微生物をさらに含んでもよい。1種または複数種の追加的な微生物は、リンを可溶化することができるものである。例示的な、リンを可溶化する微生物には、Bacillus cereus、Aerobacter、Azotobacter、Aspergilus awamori、Penecillium sp.、Rhizoctonia、Rhizopus、Torula thermophila、SehwannioおよびMyces occidentalisのうちの1種または複数種が含まれる。このような微生物は、追加的なリンを植物に与えるための補助となる。
【0057】
本発明のさらなる態様では、バークホルデリア属に属する微生物から単離されたまたはこれに由来する、バークホルデリア・オーストラリスQ208株、細菌SOS1、細菌SOS2および細菌SOS3のうちの1種または複数種を含む微生物接種材料を含む肥料組成物が提供される。
【0058】
本発明の別の態様では、細菌SOS1、細菌SOS2、細菌SOS3の微生物、またはバークホルデリア属に属し、
(i)大気中窒素に対する固定能、および
(ii)植物の根におけるバイオフィルム形成能
を有する微生物を含む肥料組成物が提供される。
【0059】
好ましくは、微生物は、リン脂質および/またはリンタンパク質および/またはリン酸エステルおよび/または糖リン酸および/またはフィチン酸塩に対する可溶化能を有している。
【0060】
好ましくは、微生物は、
(iii)シデロホアの分泌能、および/または
(iv)エチレン産生に対する誘導能
を有している。
【0061】
一部の実施形態では、肥料組成物は、リン脂質、リンタンパク質、リン酸エステル、糖リン酸およびフィチン酸塩のうちの1種または複数種をさらに含んでもよい。
【0062】
一部のさらなる実施形態では、肥料は、堆肥またはコンポストを含む有機肥料をさらに含んでもよい。
【0063】
一部の実施形態では、微生物は、Burkholderia australis Q208、細菌SOS1、細菌SOS2および細菌SOS3のうちの1種または複数種を含んでもよい。
【0064】
一部のさらなる実施形態では、肥料は、次の細菌種のうちの1種または複数種に由来する株、またはいずれかを含む混合物を含んでもよい:細菌SOS1、細菌SOS2、細菌SOS3、バークホルデリア属のQ208株、Burkholderia oxyphila、Burkholderia sacchari、Burkholderia ferrariae、Burkholderia silvatlantica、Burkholderia heleia、Burkholderia nodosa、Burkholderia bannensis、Burkholderia tropica、Burkholderia unamae、Burkholderia kururiensis、Burkholderia diazotrophica、Burkholderia tuberum、Burkholderia acidipaludis、Burkholderia caribensis、Burkholderia hospita、Burkholderia terrae、Burkholderia phymatum、Burkholderia sabiae、Burkholderia sartisoli、Burkholderia phenazinium、Burkholderia sediminicola、Burkholderia phytofirmans、Burkholderia ginsengisoli、Burkholderia fungorum、Burkholderia megapolitana、Burkholderia bryophila、Burkholderia terricola、Burkholderia graminis、Burkholderia phenoliruptrix、Burkholderia xenovorans、およびBurkholderia caledonica。一実施形態では、当該混合物は、この細菌種との相乗効果をもたらす1種または複数種の追加的な微生物をさらに含む。1種または複数種の追加的な微生物は、リンを可溶化することができるものでもよい。例示的な、リンを可溶化する微生物には、Bacillus cereus、Aerobacter、Azotobacter、Aspergilus awamori、Penecillium sp.、Rhizoctonia、Rhizopus、Torula thermophila、SehwannioおよびMyces occidentalisのうちの1種または複数種が含まれる。このような微生物は、追加的なリンを植物に与えるための補助となる。
【0065】
ある実施形態では、肥料は、コムギ、
イネ、トウモロコシのうちの1種もしくは複数を含む単子葉植物および/またはトマト、キュウリ、マメ類、エンドウマメ、ブロッコリー、キャベツ、大豆、カリフラワー、レタス、ダイコン、イチゴ、ジャガイモのうちの1種もしくは複数種を含む双子葉植物における、植物の生長もしくは植物の生産性の向上、または土壌品質の向上のための使用に適合されている。
【0066】
本発明の別の態様では、バークホルデリア属に属する微生物から単離されたまたはこれに由来する、Burkholderia australis Q208株、細菌SOS1、細菌SOS2および細菌SOS3のうちの1種または複数種を含む、実生を育成するための無土壌生長培地が提供される。
【0067】
さらなる態様では、実生を育成および/または発芽させるための無土壌生長培地であって、細菌SOS1、細菌SOS2、細菌SOS3の微生物、またはバークホルデリア属に属し、
(i)大気中窒素に対する固定能、および
(ii)植物の根におけるバイオフィルム形成能
を有する微生物を含む、無土壌生長培地が提供される。
【0068】
好ましくは、微生物は、リン脂質および/またはリンタンパク質および/またはリン酸エステルおよび/または糖リン酸および/またはフィチン酸塩に対する可溶化能を有するものである。
【0069】
一部の実施形態では、微生物は、
(iii)シデロホアの分泌能、および/または
(iv)エチレン産生に対する誘導能
を有してもよい。
【0070】
一部の実施形態では、無土壌生長培地は、リン脂質、リンタンパク質、リン酸エステル、糖リン酸およびフィチン酸塩のうちの1種または複数種をさらに含んでもよい。
【0071】
一部の実施形態では、生長培地は、次の細菌種のうちの1種または複数種に由来する株、またはいずれかを含む混合物を含んでもよい:細菌SOS1、細菌SOS2、細菌SOS3、バークホルデリア属のQ208株、Burkholderia oxyphila、Burkholderia sacchari、Burkholderia ferrariae、Burkholderia silvatlantica、Burkholderia heleia、Burkholderia nodosa、Burkholderia bannensis、Burkholderia tropica、Burkholderia unamae、Burkholderia kururiensis、Burkholderia diazotrophica、Burkholderia tuberum、Burkholderia acidipaludis、Burkholderia caribensis、Burkholderia hospita、Burkholderia terrae、Burkholderia phymatum、Burkholderia sabiae、Burkholderia sartisoli、Burkholderia phenazinium、Burkholderia sediminicola、Burkholderia phytofirmans、Burkholderia ginsengisoli、Burkholderia fungorum、Burkholderia megapolitana、Burkholderia bryophila、Burkholderia terricola、Burkholderia graminis、Burkholderia phenoliruptrix、Burkholderia xenovorans、およびBurkholderia caledonica。一実施形態では、当該混合物は、この細菌種との相乗効果をもたらす1種または複数種の追加的な微生物をさらに含んでもよい。1種または複数種の追加的な微生物は、リンを可溶化することができる。例示的な、リンを可溶化する微生物は、バチルス・セレウス、アエロバクター属、アゾトバクター属、アスペルギルス・アワモリ、アオカビ属sp.、リゾクトニア属、クモノスカビ属、トルラ・サーモフィラ、シュワンニオマイセス・オクシデンタリスのうちの1種または複数種を含む。このような微生物は、追加的なリンを植物に与えるための補助となる。
【0072】
一部の実施形態では、生長培地は、Burkholderia australis Q208、細菌SOS1、細菌SOS2および細菌SOS3のうちの1種または複数種を含んでもよい。
【0073】
一部の実施形態では、無土壌生長培地は、
イネ、コムギ、トウモロコシのうちの1種もしくは複数を含む単子葉植物および/またはトマト、キュウリ、マメ類、エンドウマメ、ブロッコリー、キャベツ、大豆、カリフラワー、レタス、ダイコン、イチゴ、ジャガイモのうちの1種もしくは複数種を含む双子葉植物の実生の育成に適合されていてもよい。
【0074】
本発明のさらなる態様では、植物生長を促進する方法であって、
種子または実生を、バークホルデリア属に属する微生物から単離されたまたはこれに由来する、細菌SOS1、細菌SOS2、細菌SOS3およびバークホルデリア属のQ208株のうちの1種または複数種を含む有効量の処理組成物で処理するステップと、
無土壌生長培地において処理された種子または実生を初期期間育成して、小植物体まで育成するステップと、
小植物体を圃場または温室条件に移すステップと
を含む方法が提供される。
【0075】
本発明のさらなる態様では、植物生長を促進する方法であって、
種子または実生を、細菌SOS1、細菌SOS2、細菌SOS3の微生物、またはバークホルデリア属に属し、
a.大気中窒素に対する固定能、および
b.植物の根におけるバイオフィルム形成能、
c.処理された種子または実生に対する育成能
を有する微生物を含む有効量の処理組成物で処理するステップを含む方法が提供される。
【0076】
好ましくは、微生物は、リン脂質および/またはリンタンパク質および/またはリン酸エステルおよび/または糖リン酸および/またはフィチン酸塩に対する可溶化能も有する。
【0077】
一部の実施形態では、微生物は、
(i)シデロホアの分泌能、および/または
(ii)エチレン産生に対する誘導能
を有してもよい。
【0078】
一部の実施形態では、処理された種子または実生を育成するステップは、
無土壌生長培地において前記種子または実生を初期期間育成して、小植物体まで育成するステップと、小植物体を圃場または温室条件に移すステップと
を含む。
【0079】
一部の実施形態では、無土壌生長培地の少なくとも一部は、処理組成物を含む。
【0080】
一部の実施形態では、初期期間は、1週間〜6週間、より好ましくは、2週間〜6週間に及ぶ。
【0081】
一部の実施形態では、移された小植物体は、有機肥料または堆肥またはコンポストを含む土壌において栽培される。
【0082】
一部の実施形態では、土壌または堆肥を追加量の処理組成物で処理するステップが含まれる。好ましくは、処理組成物で処理するステップは、リン脂質および/またはリンタンパク質および/またはリン酸エステルおよび/または糖リン酸および/またはフィチン酸塩による同時処理をさらに含む。
【0083】
本方法の一部の実施形態では、処理組成物は、次の細菌種のうちの1種または複数種に由来する株、またはこれらの混合物を含む:細菌SOS1、細菌SOS2、細菌SOS3、バークホルデリア属のQ208株、Burkholderia oxyphila、Burkholderia sacchari、Burkholderia ferrariae、Burkholderia silvatlantica、Burkholderia heleia、Burkholderia nodosa、Burkholderia bannensis、Burkholderia tropica、Burkholderia unamae、Burkholderia kururiensis、Burkholderia diazotrophica、Burkholderia tuberum、Burkholderia acidipaludis、Burkholderia caribensis、Burkholderia hospita、Burkholderia terrae、Burkholderia phymatum、Burkholderia sabiae、Burkholderia sartisoli、Burkholderia phenazinium、Burkholderia sediminicola、Burkholderia phytofirmans、Burkholderia ginsengisoli、Burkholderia fungorum、Burkholderia megapolitana、Burkholderia bryophila、Burkholderia terricola、Burkholderia graminis、Burkholderia phenoliruptrix、Burkholderia xenovorans、およびBurkholderia caledonica。一実施形態では、前記混合物は、この細菌種の株との相乗効果をもたらす1種または複数種の追加的な微生物をさらに含む。1種または複数種の追加的な微生物は、リンを可溶化することができる。例示的な、リンを可溶化する微生物は、Bacillus cereus、Aerobacter、Azotobacter、Aspergilus awamori、Penecillium sp.、Rhizoctonia、Rhizopus、Torula thermophila、SehwannioおよびMyces occidentalisのうちの1種または複数種を含む。このような微生物は、追加的なリンを植物に与えるための補助となる。
【0084】
本方法の一部の実施形態では、処理組成物は、Burkholderia australis Q208、細菌SOS1、細菌SOS2および細菌SOS3のうちの1種または複数種を含んでもよい。
【0085】
一部の実施形態では、本方法は、コムギ、
イネ、コムギ、トウモロコシのうちの1種もしくは複数を含む単子葉植物および/またはトマト、キュウリ、マメ類、エンドウマメ、ブロッコリー、キャベツ、大豆、カリフラワー、レタス、ダイコン、イチゴ、ジャガイモのうちの1種もしくは複数を含む双子葉植物のための、植物生長の促進に適合されていてもよい。
【0086】
一部の実施形態では、本方法は、コムギ、
イネ、トウモロコシのうちの1種もしくは複数を含む単子葉植物および/またはトマト、キュウリ、マメ類、エンドウマメ、ブロッコリー、キャベツ、大豆、カリフラワー、レタス、ダイコン、イチゴ、ジャガイモのうちの1種もしくは複数を含む双子葉植物について、種子の発芽を促進するように適合されていてもよい。
【0087】
本願において請求する特定の実施形態の定義を次に示す。
【0088】
本発明の第1の実施形態によると、
双子葉植物、あるいはコムギ、イ
ネおよびトウモロコシから選択され
る単子葉植物について、植物の生長、植物の生産性、種子の発芽、あるいは土壌品質を向上させる方法であって、前記植物に、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種を含む処理剤を適用するステップを含み、前記少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)に対する16S rRNAの配列同一性が少なくとも97%であり、前記植物の根にバイオフィルムを形成するように構成されている、方法が提供される。
【0089】
本発明の第2の実施形態によると、以下のステップを含む、植物の生長を促進する方法が提供される。
双子葉植物、あるいはコムギ、イ
ネおよびトウモロコシから選択され
る単子葉植物の種子または実生を、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種を含む有効量の処理剤で処理するステップであって、前記少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)に対する16S rRNAの配列同一性が少なくとも97%であり、且つ前記実生または前記種子から発生した実生の根にバイオフィルムを形成するように構成されており、
前記種子または実生を、無土壌生長培地において初期期間育成して、小植物体まで育成するステップと、
前記小植物体を圃場または温室条件に移植するステップ。
【0090】
本発明の第3の実施形態によると、
双子葉植物、あるいはコムギ、イ
ネおよびトウモロコシから選択され
る単子葉植物について、植物の生長、植物の生産性、種子の発芽率または土壌品質を向上させるために使用する微生物接種材料であって、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)、Burkholderia oxyphila、Burkholderia sacchari、Burkholderia ferrariae、Burkholderia heleia、およびBurkholderia bannensisからなる群から選択される少なくとも1種の細菌を含み、前記少なくとも1種の細菌は、前記微生物接種材料によって処理された種子または土壌を用いて発芽または生長させた植物の根に、バイオフィルムを形成するように構成されている、微生物接種材料が提供される。
【0091】
本発明の第4の実施形態によると、
双子葉植物、あるいはコムギ、イ
ネおよびトウモロコシから選択され
る単子葉植物に対して使用する、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種からなる群から選択される少なくとも1種の細菌を含む肥料組成物であって、前記少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)に対する16S rRNAの配列同一性が少なくとも97%であり、且つ前記肥料組成物によって処理された植物の根にバイオフィルムを形成するように構成されている、肥料組成物が提供される。
【0092】
本発明の第5の実施形態によると、
双子葉植物、あるいはコムギ、イ
ネおよびトウモロコシから選択され
る単子葉植物の実生を育成するために使用する無土壌生長培地であって、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種からなる群から選択される少なくとも1種の細菌を含み、前記少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種は、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)に対する16S rRNAの配列同一性が少なくとも97%であり、且つ前記無土壌生長培地で育成させた実生の根にバイオフィルムを形成するように構成されている、無土壌生長培地が提供される。
【0093】
本発明の第6の実施形態によると、
双子葉植物、あるいはコムギ、イ
ネおよびトウモロコシから選択され
る単子葉植物の被覆植物種子であって、少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種からなる群から選択される少なくとも1種の細菌を含むコーティングで被覆されており、前記少なくとも1種の植物有益性のバークホルデリア属様の種が、細菌SOS3(2016年6月2日に受託番号V16/013910として、3207 オーストラリア国、ビクトリア州、ポートメルボルン、バーティー・ストリート 1/153のオーストラリア国立標準研究所に寄託)に対する16S rRNAの配列同一性が少なくとも97%であり、且つ前記被覆植物種子から育成された実生の根にバイオフィルムを形成するように構成されている、被覆植物種子が提供される。
【0094】
本発明の第7の実施形態によると、植物の生長もしくは植物の生産性の向上、または土壌品質の向上のための方法であって、植物に、第3の実施形態に係る微生物接種材料を適用するステップを含む方法が提供される。
【0095】
本明細書に記載されている要件のいずれかを、本発明の範囲内において、任意の組合せで、本明細書に記載されている他の要件のうちいずれか1種または複数種と組み合わせることができる。
【0096】
本発明の様々な実施形態について、次に挙げる図面を参照しつつ説明する。