特許第6887442号(P6887442)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

<>
  • 特許6887442-鼻カニューレの燃焼の検出 図000002
  • 特許6887442-鼻カニューレの燃焼の検出 図000003
  • 特許6887442-鼻カニューレの燃焼の検出 図000004
  • 特許6887442-鼻カニューレの燃焼の検出 図000005
  • 特許6887442-鼻カニューレの燃焼の検出 図000006
  • 特許6887442-鼻カニューレの燃焼の検出 図000007
  • 特許6887442-鼻カニューレの燃焼の検出 図000008
  • 特許6887442-鼻カニューレの燃焼の検出 図000009
  • 特許6887442-鼻カニューレの燃焼の検出 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887442
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】鼻カニューレの燃焼の検出
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
   A61M16/06 C
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-555564(P2018-555564)
(86)(22)【出願日】2017年4月28日
(65)【公表番号】特表2019-514503(P2019-514503A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】EP2017060142
(87)【国際公開番号】WO2017191037
(87)【国際公開日】20171109
【審査請求日】2020年3月9日
(31)【優先権主張番号】16182199.6
(32)【優先日】2016年8月1日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】62/331,130
(32)【優先日】2016年5月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ホルデル ハリー ネイザン
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第202012009706(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻カニューレにおいて使用する組立体であり、
酸素ガスを伝送するように構成されるフレキシブルチューブ、及び
前記酸素ガスの伝送中に、前記鼻カニューレの燃焼により生じる光の周波数スペクトルを少なくとも含む周波数スペクトル範囲を持つ光を伝えるように構成される光ファイバ
を有する組立体において、前記光ファイバは、破損していない限り、光が前記光ファイバ内に入るのを防ぐために、光を通さない材料で覆われる又は被覆されることを特徴とする、組立体。
【請求項2】
前記光ファイバは、側端部を含み、前記側端部は、破損していない限り、光が前記光ファイバ内に入るのを防ぐために、光を通さない材料で覆われる又は被覆される、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記光ファイバは、側端部を含み、前記側端部は、破損していない限り、光が前記光ファイバ内に入るのを防ぐために、前記端部上にキャップ部材を持つ、請求項1又は2に記載の組立体。
【請求項4】
前記光ファイバは、前記フレキシブルチューブと並んで縦方向に延在している、請求項1乃至3の何れか一項に記載の組立体。
【請求項5】
前記光ファイバは、それらの間での相対運動を防ぐ方法で前記フレキシブルチューブに固定される、請求項1乃至4の何れか一項に記載の組立体。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の組立体を有する鼻カニューレ、
前記光ファイバに動作可能なように結合され、前記光ファイバを介して伝えられる前記光を検出するように構成される検出器、及び
前記検出器からの信号に応じて、前記鼻カニューレを介する前記呼吸ガスの伝送を中断するように作動するために構成されるバルブ
を有するシステム。
【請求項7】
前記検出器に動作可能なように結合される、並びに
前記酸素ガスの伝送中に、前記検出された光の解析に基づいて前記鼻カニューレの燃焼の発生を検出する、及び
前記検出された燃焼の発生に基づいて、前記鼻カニューレを介する前記呼吸ガスの伝送を中断するための前記信号を前記バルブに送る、
ように構成される制御器をさらに有する請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記検出器とは異なる波長範囲の感度を持つ追加の検出器をさらに有する請求項7に記載のシステムにおいて、
前記制御器は、前記鼻カニューレの燃焼と、標準的な光源又は普通の周囲光のスペクトルとを区別するために、前記検出器及び前記追加の検出器から得られる値の比を決定するようにさらに構成される、システム。
【請求項9】
前記酸素ガスの伝送が中断されたことをユーザに警告するように構成される警報器をさらに有する、請求項6乃至8の何れか一項に記載のシステム。
【請求項10】
酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレの燃焼を検出する方法において、
酸素ガスを伝送するように構成されるフレキシブルチューブを有する鼻カニューレを設けるステップ、
信号に応じて、前記鼻カニューレを介する前記酸素ガスの伝送を中断するようにバルブを作動させるステップ、
前記鼻カニューレに結合される、及び前記酸素ガスの伝送中に、前記鼻カニューレの燃焼により生じる光の周波数スペクトルを少なくとも含む周波数スペクトル範囲を持つ光を伝えるように構成される光ファイバを設けるステップであり、前記光ファイバは、破損していない限り、光が前記光ファイバ内に入るのを防ぐために、光を通さない材料で覆われる又は被覆されている、前記光ファイバを設けるステップ、並びに
前記光ファイバに動作可能なように結合される検出器を用いて、前記光ファイバを介して伝えられた光を検出するステップ、
を有し、前記信号は前記検出器からの信号である、方法。
【請求項11】
前記検出器に動作可能なように結合される制御器を用いて、前記酸素ガスの伝送中に、検出された光の解析に基づいて前記鼻カニューレの燃焼の発生を検出するステップ、及び
前記検出された発生に基づいて、前記鼻カニューレを介する前記酸素ガスの伝送を中断するための信号を前記バルブに送るステップ
をさらに有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記光ファイバは、破損していない限り、光が前記光ファイバ内に入るのを防ぐために、光を通さない材料で覆われる、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
アラームを用いて前記酸素ガスの伝送が中断されたことをユーザに警告するステップをさらに有する、請求項10乃至12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記光ファイバは、それらの間での相対運動を防ぐ方法で前記鼻カニューレに固定して取り付けられる、請求項10乃至13の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレの燃焼を検出する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭において患者に補助的な酸素ガスを供給する分野において、鼻カニューレの危険性は、発火すること並びに起こり得る患者への損傷及び/又は患者の周囲への損害を引き起こすことが分かっている。火事の危険に対し警告するために患者の訓練及び警告ラベルが使用されたとしても、患者はしばしば、酸素療法を受けている間、喫煙を止めることを拒む。加えて、多くの患者は、彼らが自分の家を自由に歩き回ることを可能にするために、15から30メートル(50から100フィート)のコネクタカニューレを自分の酸素濃縮器に接続し、患者は、コネクタカニューレが火事の危険、例えば電気ヒーター、暖炉又は患者の家にある他の熱源に触れていることに必ずしも気付いてるわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、鼻カニューレと直列に挿入されるバルブ(例えばBPR Medical Lid.(http://www.bprmedical.com/))という解決法が存在している。発火したカニューレからの火がこのバルブに届くとき、バルブは酸素ガスの流れを止める。このバルブは、カニューレが燃え続けるという危険性を減らすのに役に立つが、火がバルブに届く時間まで、既に損害は生じている。さらに、このバルブは、患者が喫煙し、たばこがカニューレの鼻腔領域と接触することを可能にするカニューレの火災にとって最も一般的な理由を考慮していない。燃焼しているカニューレは、酸素の流れを止める前に、カニューレの鼻腔の端部から最大4フィート又はそれ以上であるバルブまでずっと燃えている。バルブも酸素源とバルブとの間のどこかで電気ヒーターがコネクタカニューレを発火させることを防がず、この場所は患者から15メートル(50フィート)又はそれ以上離れている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、鼻カニューレに使用するための組立体が示される。この組立体は、例えばユーザに酸素ガスを伝送するように構成されるフレキシブルチューブを有し、さらに、例えばこのフレキシブルチューブに結合され、例えばユーザへの酸素ガスの伝送中に、このフレキシブルチューブの燃焼により生じる光の周波数スペクトルを少なくとも含む周波数スペクトル範囲を持つ光を伝えるように構成される光ファイバを有する。光ファイバは、破損(breach)していない限り、光が光ファイバ内に入るのを防ぐために、実質的に光を通さない(オパークな)材料で覆われる又は被覆される。そのような組立体の実施例において、光ファイバは、側端部を含み、この側端部は、破損していない限り、光が光ファイバに入るのを防ぐために、実質的に光を通さない材料で覆われる又は被覆される。そのような組立体のさらにもう1つの実施例において、光ファイバは、側端部を含み、これら側端部は、破損していない限り、光が光ファイバ内に入るのを防ぐために、その上にキャップ部材を持つ。そのような組立体のさらにもう1つの実施例において、光ファイバは、フレキシブルチューブと並んで縦方向に延在し、それらの間での相対運動を防ぐ方法で前記フレキシブルチューブに固定される。
【0005】
本発明の実施例によれば、例えばユーザに酸素ガスを伝送するように構成されるフレキシブルチューブ、鼻カニューレに結合され、例えばユーザへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレの燃焼により生じる光の周波数スペクトルを少なくとも含む周波数スペクトル範囲を持つ光を伝えるように構成される光ファイバを持つ、本発明の第1の態様に示されるような組立体を有する鼻カニューレと、前記光ファイバに動作可能なように結合され、前記光ファイバを介して伝えられる光を検出するように構成される検出器と、バルブとを含むシステムが示される。バルブは、前記検出器からの信号に応じて、鼻カニューレを介する例えばユーザへの酸素ガスの伝送を中断するように稼働するために構成される。
【0006】
本発明による光ファイバは、破損していない限り、光が光ファイバ内に入るのを防ぐために、実質的に光を通さない材料で覆われる又は被覆される。すなわち、光ファイバは、光ファイバを取り囲む通常の周囲光から光ファイバを遮蔽するために実施的に光を通さない材料で覆われる又は被覆される。光ファイバを被覆している実質的に光を通さない材料は、通常の状態で光が光ファイバに入るのを許さないように構成される。鼻カニューレ及び/又は光ファイバに沿ったどこかでの鼻カニューレの燃焼中、この鼻カニューレの燃焼による光は直ちに光ファイバに入る。鼻カニューレの燃焼による光は次いで、光ファイバを介して伝えられ、直ちに検出器により検出される。これは、酸素の流れが止められることを可能にし、さらなる損害又は損傷が起こる前に鼻カニューレの燃焼を消すことを可能にする。それ故に、鼻カニューレの如何なる燃焼も検出するシステムの感度が向上する。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、例えばユーザへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレの燃焼を検出する方法が示される。この方法は、例えばユーザに酸素ガスを伝送するように構成されるフレキシブルチューブを持つ鼻カニューレを設けるステップ、前記鼻カニューレに結合され、例えばユーザへの酸素ガスの伝送中に、前記鼻カニューレの燃焼により生じる光の周波数スペクトルを少なくとも含む周波数スペクトル範囲を持つ光を伝えるように構成される光ファイバを設けるステップ、前記光ファイバに動作可能なように結合される検出器を用いて、前記光ファイバを介して伝えられる光を検出するステップ、及び前記検出器からの信号に応じて、前記鼻カニューレを介する例えばユーザへの酸素ガスの伝送を中断するようにバルブを稼働させるステップ、を有する。
【0008】
本特許出願の1つ以上の実施例のさらにもう1つの態様は、例えばユーザに酸素ガスを伝送する手段であり、例えばユーザに酸素ガスを伝送するように構成されるフレキシブルチューブを有する前記酸素ガスを伝送する手段、例えばユーザへの酸素ガスの伝送中に、前記酸素ガスを伝送する手段の燃焼により生じる光の周波数スペクトルを少なくとも含む周波数スペクトル範囲を持つ光を伝える手段であり、前記酸素ガスを伝送する手段に結合される前記光を伝える手段、前記光を伝える手段を介して伝えられる光を検出する手段であり、前記光を伝える手段に動作可能なように結合される前記光を検出する手段、及び前記光を検出する手段からの信号に応じて、前記酸素ガスを伝送する手段を介する酸素ガスの伝送を中断する手段を有するシステムを提供することである。
【0009】
ドイツ国実用新案登録出願番号DE202012009706U1は、鼻カニューレを有するシステムを開示し、鼻カニューレは、酸素ガスを伝送するように構成されるフレキシブルチューブ、及び前記フレキシブルチューブと結合され、酸素ガスの伝送中に、フレキシブルチューブの燃焼により生じる光の周波数スペクトルを少なくとも含む周波数スペクトル範囲を持つ光を伝えるように構成される光ファイバを有する。前記システムはさらに、前記光ファイバに動作可能なように結合され、前記光ファイバを介して伝えられる光を検出するように構成される検出器、及び検出器からの信号に応じて、鼻カニューレを介する酸素ガスの伝送を中断するように構成されるバルブを有する。
【0010】
構成物の関連する要素の動作方法及び機能、並びに製造部品と製造の経済性との組み合わせと同じく、本開示のこれら及び他の目的、特徴並びに特性は、付随する図面を参照して、以下の説明及び添付の請求項を考慮するとより明白となり、これらの全てが本明細書を形成している。様々な図面において、同様の参照番号は対応する部品を示している。しかしながら、これら図面は単に例証及び説明を目的とするものであり、本発明の境界を規定するものとは意図されないことは明白に理解されるべきである。明細書及び請求項に用いられるように、文脈上明白に他の意味で述べている場合を除き、複数あることを述べなくとも、それらが複数あることも含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本特許出願の実施例に従う、ユーザへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレの燃焼を検出するシステム。
図1A】本特許出願の実施例に従う、鼻カニューレに結合されるフレキシブルチューブ、鼻プロング及び光ファイバと一緒に鼻カニューレを示す。
図2】本特許出願の実施例に従う、光ファイバが鼻カニューレに結合されている構成を示す。
図3】本特許出願の実施例に従う、光ファイバが鼻カニューレに結合されている構成を示す。
図4】本特許出願の実施例に従う、光ファイバが鼻カニューレに結合されている構成を示す。
図5】本特許出願の実施例に従う、ユーザへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレの燃焼中の光スペクトルの測定をグラフ表示する。
図6】本特許出願の実施例に従う、ユーザへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレの燃焼中の光スペクトルの測定をグラフ表示する。
図7】本特許出願の実施例に従う、ユーザへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレの燃焼中の色三角の測定をグラフ表示する。
図8】本特許出願の実施例に従う、ユーザへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレの燃焼を検出する方法を例示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
明細書において、特に文脈上はっきりと述べていない限り、複数あると述べていなくても、それらが複数あることを含む。明細書において、2つ以上の部品又は構成要素が"結合される"と述べることは、連動している限り、これらの部品が直接的に又は間接的、すなわち1つ以上の中間部品若しくは構成要素を介しての何れかにより接合される又は共に動作することを意味している。明細書において、"直接結合される"は、2つの要素が互いに直に接していることを意味している。明細書において、"固定して結合される"又は"固定される"は、2つの構成要素が互いに対し一定の方向を維持している間、1つとして移動するように結合されることを意味している。
【0013】
明細書において、"ユニタリ(unitary)"という言葉は、構成要素が単一ピース又は単一ユニットとして作られることを意味している。すなわち、別々に作られ、その後ユニットとして連結される部分を含んでいる構成要素は、"ユニタリ"な構成要素又は本体ではない。明細書において、2つ以上の部品又は構成要素が互いに"係合する"と述べることは、これらの部品が互いに向けて直接的に又は1つ以上の中間部品若しくは構成要素を介して間接的にの何れかにより力を及ぼしていることを意味している。明細書において、"数字"は、1若しくは1以上の整数(すなわち複数)を意味する。
【0014】
明細書において、例であり限定ではない方向の表現は、頂部、底部、左側、右側、上方、下方、前方、後方及びそれらの派生語は、図面に示される要素の方位に関連し、特に明瞭に言わない限り、請求項を制限しない。
【0015】
図1は、ユーザUへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレ12の燃焼を検出するシステム10の例示的な実施例を概略的に例示する。ある実施例において、システム10は、ユーザUに酸素ガスを伝送するように構成されるフレキシブルチューブ14、及び鼻カニューレ12に結合され、それを通じて光を伝えるように構成される光ファイバ16を持つ鼻カニューレ12と、光ファイバ16に動作可能なように結合され、光ファイバ16を介して伝えられる光を検出するように構成される検出器18と、バルブ20とを有する。光ファイバ16を介して伝えられる光は、ユーザUへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレ12の燃焼により生じる光の周波数スペクトルを少なくとも含む周波数スペクトル範囲を持つ。バルブ20は、検出器18からの信号に応じて、鼻カニューレ12を介するユーザUへの酸素ガスの伝送を中断するために稼働するように構成される。ある実施例において、フレキシブルチューブ14及び光ファイバ16は共に、鼻カニューレ12に用いるための組立体22と呼ばれてもよい。
【0016】
ある実施例において、鼻カニューレ12は一般に、ユーザの耳の周りに又は弾力性のあるヘッドバンドによりユーザUに取り付けられる。ある実施例において、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14は、ユーザUに酸素ガスを伝送するように構成される。ある実施例において、図1及び1Aを参照すると、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の(1つ以上のノズルに分裂した)一方の端部502は、ユーザUの鼻孔に置かれる。ある実施例において、図1及び1Aを参照すると、鼻カニューレの端部502は、1つ以上の鼻プロング504を含んでもよい。ある実施例において、光ファイバ16は、鼻カニューレ12の鼻プロング504に結合されてよい。ある実施例において、以下の議論から明らかであるように、鼻カニューレ12の鼻プロング504に結合される光ファイバ16は、破損していない限り、光が光ファイバ内に入るのを防ぐために、実質的に光を通さない材料で被覆されてよい。ある実施例において、鼻カニューレ12の鼻プロング504に結合される光ファイバ16の側端部は、破損していない限り、光が光ファイバ16内に入るのを防ぐために、その端部上にキャップ部材又は光ファイバコネクタを持つ。もう1つの実施例において、鼻カニューレ12の鼻プロング504に結合される光ファイバ16の側端部は、破損していない限り、光が光ファイバ16内に入るのを防ぐために、光ファイバ上を被覆する実質的に光を通さない材料を持つ。
【0017】
ある実施例において、フレキシブルチューブ14及び光ファイバ16が、ユーザU又は医師に別々に(それら自身により)与えられてもよい。ある実施例において、ユーザU又は医師は、フレキシブルチューブ14及び/又は光ファイバ16と接続するための鼻プロングを選択することができる。例えば、ある実施例において、本特許出願は、鼻カニューレ12に使用するためであり、フレキシブルチューブ14及び光ファイバ16を持つ組立体22を含む。ある実施例において、組立体22は、自分の鼻プロング504を使用したいユーザに別々に売られる特製のチューブ組立体として供給されてよい。
【0018】
ある実施例において、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の他方の端部506は、酸素ガス源/供給器24に接続される。ある実施例において、酸素ガス源/供給器24は、周囲空気のレベルよりもかなり高い酸素濃度でユーザUに酸素療法(すなわち、補助的な酸素ガス)を施すのに使用されるポータブルな酸素濃縮器又はポータブルな酸素発生器でよい。
【0019】
ある実施例において、システム10は、ユーザUに酸素ガスを伝送するための、鼻カニューレ12に接続するように構成及び配されるカニューレバーブ(cannula barb)34を含む。ある実施例において、カニューレバーブ34は、ユーザUに酸素ガスを伝送又は送出する鼻カニューレ12に接続されるように構成及び配されるコネクタ部を含む。ある実施例において、カニューレバーブ34は、酸素濃縮器に接続されるように構成及び配される濃縮器部を含む。ある実施例において、酸素がその中を流れることを可能にするための通路がカニューレバーブ34に設けられる。
【0020】
ある実施例において、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14は、プラスチック材料から作られる。ある実施例において、鼻カニューレ12の材料は、鼻カニューレ12の燃焼中、光の固有のスペクトルを生じるように選択される。ある実施例において、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14は一般に、柔軟な構成である軽量なチューブでよい。ある実施例において、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14は、4ミリメートルの内径ID及び5.5ミリメートルの外径を持つ。
【0021】
ある実施例において、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の内径IDは、3.2から4.8ミリメートルの範囲を持つ。ある実施例において、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の内径IDは、3.6から4.4ミリメートルの範囲を持つ。ある実施例において、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の内径IDは、3.8から4.6ミリメートルの範囲を持つ。
【0022】
ある実施例において、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の外径ODは、4から6ミリメートルの範囲を持つ。ある実施例において、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の外径ODは、4.5から5.5ミリメートルの範囲を持つ。ある実施例において、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の外径ODは、4.75から5.25ミリメートルの範囲を持つ。
【0023】
ある実施例において、図1Aを参照すると、鼻カニューレ12は、患者カニューレ12bと、患者カニューレ12bを酸素ガス源/供給器24に接続するように構成されるコネクタカニューレ12cとを含む。
【0024】
ある実施例において、光ファイバ16bは、患者カニューレ12bに結合される。ある実施例において、光ファイバ16bは、患者カニューレ12bと並んで縦方向に延在し、それらの間での相対運動を防ぐ方法で患者カニューレ12bに固定される。
【0025】
ある実施例において、コネクタカニューレ12cは、ユーザUが自分の家を自由に歩き回ることを可能にするように構成及び配される。ある実施例において、コネクタカニューレ12cは一般的に50から100フィートの長さである。ある実施例において、コネクタカニューレ12cは、両端に標準的なコネクタ500c及び500dを含む。ある実施例において、コネクタカニューレ12cのコネクタ500dは、酸素ガス源/供給器24に直接又はもう1つのコネクタを介して間接的にの何れか一方により接続するように構成及び配される。ある実施例において、コネクタカニューレ12cのコネクタ500bは、患者カニューレ12bのコネクタ500aに直接又はもう1つのコネクタ500cを介して間接的にの何れか一方により接続するように構成及び配される。
【0026】
ある実施例において、光ファイバ16cは、コネクタカニューレ12cに接続するために結合される。ある実施例において、光ファイバ16cは、コネクタカニューレ12cと並んで縦方向に延在し、それらの間での相対運動を防ぐ方法でコネクタカニューレ12cに固定される。
【0027】
ある実施例において、患者カニューレ12bは一般に、6又は7フィートの長さである。ある実施例において、患者カニューレ12b及びコネクタカニューレ12cの長さは変わってもよい。
【0028】
ある実施例において、システム10は、光ファイバ16b及び16cを含む。ある実施例において、コネクタ500cがコネクタカニューレ12c及び患者カニューレ12bを空気接続(pneumatically connect)するだけでなく、コネクタカニューレ12c及び患者カニューレ12bに関連付けられる光ファイバ16c及び16bを光学的に接続するように、コネクタ500cが構成及び配されてよい。
【0029】
もう1つの実施例において、システム10は、コネクタカニューレ12c及び患者カニューレ12bの両方と並んで縦方向に延在し、それらの間での相対運動を防ぐ方法でコネクタカニューレ12c及び患者カニューレ12bの両方に固定されるただ1つの光ファイバ16を含む。
【0030】
ある実施例において、システム10は、鼻プロング504に結合される光ファイバ504aを含む。ある実施例において、鼻プロング504に結合される光ファイバ504aは、患者カニューレ12bに関連付けられる光ファイバ16bに光学的に接続されるように構成される。ある実施例において、鼻プロング504に結合される光ファイバ504aは、コネクタカニューレ12c及び患者カニューレ12bの両方に関連付けられる単一の光ファイバ16に光学的に接続されるように構成される。ある実施例において、光ファイバ504aは、鼻プロング504と並んで縦方向に延在し、それらの間での相対運動を防ぐ方法で鼻プロング504に固定される。
【0031】
光ファイバを光学的に接続すること及び光ファイバ間で光信号を伝えるための接続手順(interfacing procedure)は、光学データ伝達の技術において一般的に知られているので、ここではこれ以上は説明しない。
【0032】
ある実施例において、光ファイバ16は、鼻カニューレ12の患者カニューレ12bの一部に結合される。ある実施例において、光ファイバ16は、鼻カニューレ12のコネクタカニューレ12cの一部に結合される。ある実施例において、光ファイバ16は、鼻カニューレ12の患者カニューレ12b及びコネクタカニューレ12cの両方の一部に結合される。ある実施例において、コネクタカニューレに沿って低コストのプラスチックの光ファイバを押し出し、この光ファイバを患者カニューレの領域内に留まらせることにより、並びに光ファイバ16と検出器18との間に接続を設けることにより、鼻カニューレ12に沿った何れかの場所でのカニューレの火災が検出される。すなわち、ある実施例において、光ファイバ16の使用は、鼻カニューレ12の全長に沿って火災の検出を可能にするように構成される。
【0033】
ある実施例において、光ファイバ16が鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14と同じくらい素早く燃えるように構成されるために、光ファイバ16は、小さな直径及び/又は小さな表面領域を持つ。ある実施例において、光ファイバ16は、プラスチック材料から作られる。もう1つの実施例において、光ファイバ16はガラス材料から作られる。もう1つの実施例において、光ファイバ16は、鼻カニューレ12の燃焼中に簡単に燃える材料から作られる。ある実施例において、光ファイバ16は、鼻カニューレ12の一部として押し出される低コストのプラスチックの光誘導ファイバである。ある実施例において、このガラス材料の光ファイバがプラスチック材料の光ファイバと同じくらい素早く燃えるように構成されるために、ガラス材料から作られる光ファイバ16は、プラスチック材料から作られる光ファイバ16の外径OODよりも小さな外径OODを持つ。
【0034】
ある実施例において、光ファイバ16は、1ミリメートルの外径OODを持つ。ある実施例において、光ファイバ16の外径OODは概ね0.8から1.2ミリメートルの範囲を持つ。ある実施例において、光ファイバ16の外径OODは概ね0.9から1.1ミリメートルの範囲を持つ。ある実施例において、光ファイバ16の外径OODは概ね0.95から1.05ミリメートルの範囲を持つ。
【0035】
ある実施例において、光ファイバ16が鼻カニューレ12のチューブ14と同じ速度で又はそれよりも早く燃えるために、十分に小さい(すなわち小さな直径持つ)及び/又は十分に可燃である(すなわち可燃性材料から作られる)ように構成及び配される。
【0036】
ある実施例において、光ファイバ16は、自分自身が燃えていたとしても、鼻カニューレ12の燃焼(すなわちカニューレの火災)による光を伝えることができるように構成及び配される。ある実施例において、鼻カニューレ12の燃焼(すなわちカニューレの火災)による光は依然として、自分自身も燃えている光ファイバ16から検出可能である。
【0037】
光ファイバ16は、破損していない限り、光が光ファイバ内に入るのを防ぐために、実質的に光を通さない材料で覆われる。すなわち、光ファイバ16は、光ファイバ16の周りにある通常の周囲光から光ファイバ16を遮蔽するために、実質的に光を通さない材料で覆われる。
【0038】
この光ファイバ16上を被覆する実質的に光を通さない材料は、通常では光が光ファイバ16内に入るのを許さないように構成される。鼻カニューレ12及び/又は光ファイバ16に沿った何れかの場所での鼻カニューレ12の燃焼中、鼻カニューレ12の燃焼による光は、光ファイバ16に入る。鼻カニューレ12の燃焼による光は、光ファイバ16を介して伝えられ、直ちに検出器18により検出され、これは酸素の流れが止められることを可能にし、さらなる損害又は損傷が起こる前に鼻カニューレ12の燃焼を消すことを可能にする。
【0039】
ある実施例において、光ファイバ16は、側端部36及び38を含む。ある実施例において、光ファイバ16の側端部36及び38は、破損していない限り、光が光ファイバ16内に入るのを防ぐために、実質的に光を通さない材料で覆われる又は被覆される。ある実施例において、光ファイバ16の側端部36及び38は、破損していない限り、光が光ファイバ16内に入るのを防ぐために、これら端部上にキャップ部材40、42を持つ。ある実施例において、キャップ部材40、42は、周囲光から光ファイバ16を遮蔽するように構成される光ファイバコネクタと呼ばれる。ある実施例において、キャップ部材40、42は、3M社により供給されるファイバコネクタでもよい。
【0040】
ある実施例において、光ファイバ16は、それらの間での相対運動を防ぐための方法で鼻カニューレ12に固定して取り付けられる。ある実施例において、光ファイバ16は、フレキシブルチューブ14と並んで縦方向に延在し、それらの間での相対運動を防ぐ方法でフレキシブルチューブ15に固定される。ある実施例において、図2を参照すると、光ファイバ16は、鼻カニューレ12及び/又は鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14に沿って押し出されるように構成及び配される。
【0041】
ある実施例において、図3及び4を参照すると、光ファイバ16は、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の内壁30又は外壁32の何れか一方に取り付けられるように構成及び配される。ある実施例において、図4に示されるように、光ファイバ16は、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の外壁32に取り付けられるに構成及び配される。ある実施例において、図3に示されるように、光ファイバ16は、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の内壁30に取り付けられるように構成及び配される。ある実施例において、例えば熱溶接処置又は当業者により理解されるような他の如何なる取り付け処置を用いて、鼻カニューレ12のフレキシブルチューブ14の内壁30又は内壁32の何れか一方に取り付けられるように構成及び配される。
【0042】
ある実施例において、光ファイバ16は、鼻カニューレ12と共に又はその周りにループを形成し、酸素濃縮器24に戻り、光源及び光検出器18が酸素濃縮器24上に又はその中に置かれることを可能にする。
【0043】
ある実施例において、検出器18は、光ファイバ16の近位端に位置決められる。ある実施例において、検出器18は、(例えば可視光、赤外線(IR)光及び紫外線(UV)光に敏感である)フォトディテクター、フォトセンサ、周囲光センサ又は他の如何なる光ファイバセンサ検出器である。ある実施例において、検出器18は、Texas Instruments社により供給されるOPT 101モノリシックフォトダイオード及び単一電源トランスインピーダンスアンプである。
【0044】
ある実施例において、検出器18は、フォトダイオード、フォトレジスタ、フォトセル又はフォトトランジスタを含む。ある実施例において、検出器18の特性(例えば電流、電圧又は抵抗)は、検出器に当たる光の量に依存して変化する。ある実施例において、検出器18は、検出される光の量に比例するアナログ信号を出力するように構成される。検出器と光ファイバとの間で光信号を伝送するための接続手順は、光データ伝送の技術において一般に知られている。
【0045】
ある実施例において、検出器18は、酸素ガス源/供給器24内に組み込まれる。ある実施例において、検出器18は、外部の検出装置の一部である。ある実施例において、システム10は、異なる波長に対し敏感であるように各々が構成される1つ以上の検出器18を含む。
【0046】
ある実施例において、検出器18は、制御器40と制御可能なように結合される。ある実施例において、制御器と検出器18との間の伝達は、ワイヤレス又は有線を介して行われる。ある実施例において、制御器40は、ユーザUへの酸素ガスの伝送中に、検出された光の解析に基づいて鼻カニューレ12の燃焼の発生を検出し、検出された燃焼の発生に基づいて、鼻カニューレ12を介するユーザUへの酸素ガスの伝送を中断するために、信号をバルブ20に送るように構成される。ある実施例において、制御器は、検出された光のスペクトル解析を行うように構成される。
【0047】
ある実施例において、制御器40は、システム10に情報処理能力を提供するように構成される。そのようなものとして、制御器40は、デジタル処理器、アナログ処理器、情報を処理するために設計されるデジタル回路、情報を処理するために設計されるアナログ回路、ステートマシン及び/又は情報を電子処理するための他の機構の1つ以上を含む。図1において、制御器40が単一体として示されていたとしても、これは単に説明を目的とするだけである。ある実施例において、制御器40は、複数の処理ユニットを含んでいる。これらの処理ユニットは、同じ装置内に物理的に置かれてもよいし、又は制御器40が協働して作用する複数の装置からなる処理機能を示してもよい。ある実施例において、制御器40は、ソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェア及び/又はファームウェアの何らかの組み合わせ;及び/又は制御器40に処理能力を構成するための他の機構により、1つ以上のコンピュータプログラムモジュールを実行するように構成される。
【0048】
ある実施例において、バルブ20は一般的に、酸素ガスの流線内に位置決められる。ある実施例において、バルブ20は、酸素ガス源/供給器24から鼻カニューレ12を介してユーザUへの酸素ガスの流れを可能にするように通常は開位置にある。ある実施例において、バルブ20は、パルス状の送出を提供するために(制御器40により変更される)所望する頻度で所望する期間だけ開く酸素送出バルブでもよい。その代わりに、制御器40は、パルス状の送出ではなく、連続する送出を提供するためにバルブ20を開いたままでもよい。この代替例において、制御器40は、ユーザUへの体積流量を調節するためにバルブ20を絞ってもよい。もう1つの実施例において、バルブ20は、酸素ガス源/供給器24の酸素送出のバルブと切り離される及び独立してもよい。
【0049】
ある実施例において、バルブ20は、鼻カニューレ12が燃焼した場合、酸素ガス源/供給器24から鼻カニューレ12を介してユーザUへの酸素ガスの流れを中断するために、自動的に閉じる(すなわち、通常の開位置から閉位置に移動する)ように構成される。すなわち、ある実施例において、バルブ20は、例えば鼻カニューレ12の燃焼を検出した際、鼻カニューレ12を介する酸素ガスの流れを止めるように構成されるシャットダウンバルブ(遮断弁)である。ある実施例において、バルブ20は、(例えば鼻カニューレ12の燃焼の検出のような)信号に基づいて自動的に制御されるボール又はバタフライバルブである。
【0050】
ある実施例において、バルブ20は、アクチュエータにより動作されるように構成される、及び作動バルブと呼ばれる。ある実施例において、アクチュエータは、モーター駆動による電気アクチュエータ、ばね復帰の空気圧アクチュエータ又は複動式の空気圧アクチュエータを含んでいる。例えば、アクチュエータは、バルブ20の開閉を制御するように構成される。ある実施例において、アクチュエータは、アクチュエータに送られる/アクチュエータにより受信される信号に基づいて、バルブ20を開閉する。
【0051】
ある実施例において、バルブ20は制御器40により動作される電子バルブでもよい。例えば、バルブ20は、制御器40が鼻カニューレ12の燃焼を検出するとき、制御器40により閉じられるように構成される通常は開いているパイロット形ソレノイドバルブでもよい。しかしながら、これらの例は限定を意図するものではなく、バルブ20は他の形状を持ってよいし、他の実施例において他の形式をとってよいことを分かるべきである。
【0052】
ある実施例において、システム10は、酸素療法の不注意による停止を生じさせることによる誤検出に対する追加の予防策を提供するように構成される。例えば、ある実施例において、検出器18及び/又は制御器40は、酸素ガスの停止による光の減少を検出するように構成される。この光の減少が酸素ガスの停止と同期している場合、これは、検出された光が鼻カニューレ12の燃焼(すなわちカニューレの火災)によるものであるというさらなるフィードバックをシステム10に提供する。すなわち、ある実施例において、バルブ20が酸素ガスを止めるとき、光の減少の検出は、能力の上昇がこの検出される光が鼻カニューレ12の燃焼(すなわち、カニューレの火災)によるものであると保証することを可能にする。
【0053】
ある実施例において、光ファイバ16が鼻/酸素カニューレ12上に又はその中に位置決められるとき、検出器18及び/又は制御器40は、鼻カニューレ12の燃焼(すなわちカニューレの火災)が一度検出されると、バルブ20を脈動するように構成される。ある実施例において、検出器18及び/又は制御器40は、結果生じる"同期する"光の減衰を検出するようにも構成され、これは、光が鼻カニューレ12の燃焼(カニューレの火災)により生じているという自信をさらに高める。
【0054】
ある実施例において、システム10は、鼻カニューレ12の燃焼と"標準的な"光源のスペクトルを区別するように構成されてもよい。ある実施例において、システム10は、鼻カニューレ12の燃焼と"標準的な"光源のスペクトルを区別するための(各々が異なる波長に敏感である)2つの検出器/光学センサを含む。ある実施例において、システム10の制御器40は、鼻カニューレ12の燃焼と、"標準的な"光源又は普通の周囲光のスペクトルを区別するために、2つの検出器/光学センサから得られる値の比を決定するように構成される。
【0055】
ある実施例において、システム10は、鼻カニューレ12の燃焼と、他の裸火(例えばキャンドル、暖炉等)のスペクトルを区別するように構成されてもよい。ある実施例において、システム10は、鼻カニューレ12の燃焼と、他の裸火(例えばキャンドル、暖炉等)のスペクトルを区別するための(各々が異なる波長に敏感である)3つの検出器/光学センサを使用する。ある実施例において、システム10の制御器40は、鼻カニューレ12の燃焼と、他の裸火(例えばキャンドル、暖炉等)のスペクトルを区別するための3つの検出器/光学センサから得られる値を比較するように構成される。
【0056】
ある実施例において、システム10は、鼻カニューレ12のカニューレの火災/燃焼が検出され、酸素ガスの流れが止められたことをユーザUに警告するように構成される警報器42を含んでもよい。ある実施例において、警報器42は、光ファイバ12の実質的に光を通さない材料において破損が検出されたことをユーザに警告するように構成される。ある実施例において、警報器42は、酸素ガスの流れが止められたことをユーザUに警告するように構成される視覚的な警報器(例えば視覚的インジケータ又は光)でもよい。ある実施例において、警報器42は、酸素ガスの流れが止められたことをユーザUに警告するように構成される音響的な警報器(例えば音を発する)でもよい。ある実施例において、警報器42は、酸素ガスの流れが止められたことをユーザUに警告するように構成される触覚的な警報器(例えば振動を発する)でもよい。ある実施例において、警報器42は、視覚的、触覚的及び音響的な警報器の組み合わせでもよい。
【0057】
ある実施例において、制御器40は、被験者インタフェース(図示せず)に動作可能なように結合されてもよく、これは、1つ以上のディスプレイ及び/又は入力装置を含む。ある実施例において、被験者インタフェースは、タッチ式スクリーンのディスプレイでもよい。ある実施例において、被験者インタフェースは、ポータブルな酸素濃縮器の動作に関係するパラメタに関する情報を表示する及び/又は被験者がこれらパラメタを変更する、例えばポータブルな酸素濃縮器をオン及びオフにする、投与量の設定又は所望の流量を変更する等を可能にする。ある実施例において、制御器40、ポータブルな酸素濃縮器及び/又は被験者インタフェース間の伝達は、ワイヤレス又は有線を介して行われる。ある実施例において、鼻カニューレ12の燃焼が検出され、酸素ガスの流れが止められたことを通知する被験者インタフェース上の視覚的な警報又は表示がユーザUに提供される。
【0058】
ある実施例において、システム10の光ファイバは、ユーザUに及びユーザUからデータを伝達するのにも使用される。ある実施例において、ユーザUに又はユーザUから情報を伝えるために、システム10の光ファイバ16を介して可視光が伝えられてもよい。ある実施例において、酸素源/供給器24の遠隔制御のために又は遠隔警報機能としてデータが光ファイバ16を介して通信されてよい。ある実施例において、これらの要素/機能は、光ファイバ16の火災検知機能に対する追加の機能である。
【0059】
ある実施例において、システム10は、光ファイバ16を介して光のパルスを送るように構成される光学式の時間領域反射率計(Time Domain Reflectometer)を含んでもよい。ある実施例において、この構成は、送信及び光ファイバ16の端部までの距離を決定するのに使用される。ある実施例において、この構成は、カニューレの火災又はカニューレ12の捩れが原因による破損を検出するために、光ファイバ16に沿った高損失な場所を検出するのにも使用される。
【0060】
ある実施例において、システム10は、鼻カニューレ12の光ファイバ16を介して光信号を送り、この光信号から鼻カニューレ12の光ファイバ16を通る光を検出するようにも構成される。ある実施例において、制御器40及び/又は検出器18がこの光信号を検出するように構成される。制御器40及び/又は検出器18が、この光信号は何らかの理由で続いていない(又は破損している)と検出する場合、制御器40及び/又は検出器18は、鼻カニューレ12を介する酸素ガスの流れを止めるために、バルブ20を閉めるように構成される。ある実施例において、制御器40及び/又は検出器18は、鼻カニューレ12において破損が検出されたことをユーザに警告するための警報器42を作動させるように構成もされる。
【0061】
図5及び6は、ユーザUへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレ12の燃焼中の光スペクトルの測定をグラフ表示する。図5及び6のグラフは、その水平なx軸上に波長の値を、及びその垂直なy軸上に分光放射照度又は絶対強度値を示す。分光放射照度値は一般に、Wm−2nm−1で測定され、波長の値は一般にナノメートル(nm)で測定される。図5及び6は、ユーザUへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレ12の燃焼の分光放射照度を示す。
【0062】
図7は、ユーザUへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレ12の燃焼中の色三角(color triangle)をグラフ表示する。図7のグラフは、CIE1931xy色度空間(CIE 1931 x,y chromaticity space)を示し、鼻カニューレ12の燃焼中の色温度の測定値を示す。色温度は一般に、絶対温度のケルビン(K)で測定される。ある実施例において、図7の色度図上に4つの等色温度線が描かれ、各々は、(色三角の左側から順に)7000K、5000K、4000K及び3000Kの絶対温度を夫々持つ。ある実施例において、鼻カニューレ12の燃焼中の色相関温度(CCT)は、図7示されるC点(小さな四角)により示される。このC点は、(0.5,0.42)の色度座標(x,y)において3000Kの等色温度線の右側にある。ある実施例において、鼻カニューレ12の燃焼は、99.5の演色評価数(CRI)において2291Kの色相関度を持つ。
【0063】
ある実施例において、ガラス光ファイバに取り付けられるOcean Optics製のUSB2000+の分光計を持つ測定機器が図5から図7に示されるデータ/測定値を得るのに使用される。図5及び6を参照すると、燃えている鼻カニューレ12の光スペクトルは、概ね連続している(光スペクトルにおける小さなピークは、測定が行われた部屋にある蛍光灯の光によるものである)。ある実施例において、鼻カニューレ12の燃焼は、概ね約2300Kの色温度(赤みがかっている白)を持つ。図5及び6を参照すると、燃えている鼻カニューレ12の多くの光スペクトルは概ね近赤外(IR)範囲(すなわち760nmより上)にあり、青色(すなわち400nm)に向かって激しく減衰する。
【0064】
図8は、ユーザUへの酸素ガスの伝送中に、鼻カニューレ12の燃焼を検出する方法100を例示するフローチャートである。以下に示される方法100の手順は、例示的であると意図される。ある実施例において、方法100は、記載されていない1つ以上の追加の手順を用いて、及び/又は説明した手順の1つ以上を用いずに達成されてもよい。加えて、方法100の手順が図8に例示される及び以下に記載される順番は、いずれにしても限定を意図しない。
【0065】
ある実施例において、方法100は、1つ以上の制御器又は処理装置(例えばデジタル処理器、アナログ処理器、情報を処理するために設計されるデジタル回路、情報を処理するために設計されるアナログ回路、ステートマシン及び/又は情報を電子処理するための他の機構)において実施される。1つ以上の制御器又は処理装置は、電子記憶媒体に電子的に記憶される命令に応じて、方法100の手順の幾つか又は全てを実行する1つ以上の装置を含んでよい。これら1つ以上の処理装置は、方法100の手順の1つ以上を実施するために特に設計されるハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを介して構成される1つ以上の装置を含んでよい。
【0066】
方法100の手順102において、鼻カニューレ12が設けられる。ある実施例において、鼻カニューレ12は、ユーザ(U)に酸素ガスを伝送するように構成されるフレキシブルチューブ14を含む。
【0067】
方法100の手順104において、光ファイバ16が設けられる。ある実施例において、光ファイバ16は鼻カニューレ12に結合される。ある実施例において、光ファイバ16は、それを介して光を伝えるように構成される。ユーザUへの酸素ガスの伝送中に、前記光は、鼻カニューレ12の燃焼により生じる光の周波数スペクトルを少なくとも含む周波数スペクトル範囲を持つ。
【0068】
方法100の手順106において、光ファイバ16を介して伝えられる光が検出される。ある実施例において、光ファイバ16を介して伝えられる光は、光ファイバ16に動作可能なように結合される検出器18を用いて検出される。
【0069】
方法100の手順108において、検出器18からの信号に応じて、バルブ20は鼻カニューレ12を介するユーザUへの酸素ガスの伝送を中断するように作動する。
【0070】
ある実施例において、本特許出願のシステム10は、如何なるガス源/供給器のガス出力部、例えば酸素ガス源/供給器24の酸素出力部に取り付けるように構成される独立型のシステムでもよい。ある実施例において、この独立型のシステムは、光ファイバ16及び鼻カニューレ12の取り付けを可能にするように構成される。ある実施例において、この独立型のシステムは、検出器18と、鼻カニューレ12を介する酸素ガスの流れを止めるように構成されるバルブ20とを含む。
【0071】
従って、本特許出願は、鼻カニューレの火災を検出する、ユーザの顔及び/又は身体の重度の火傷を防ぐのに役立つ、並びにユーザの家にある周囲の物に火災が伝播するのを防ぐように構成されるシステムを提供する。
【0072】
ある実施例において、本特許出願のシステムは、酸素濃縮器、酸素保存装置又はユーザに酸素ガスの流れを供給する如何なる装置と共に使用される。もう1つの実施例において、本特許出願のシステムは、可燃性材料を持つチューブを介してユーザに如何なる可燃性ガス又は如何なる燃焼促進ガスの流れも供給する如何なる装置と共に使用される。
【0073】
本明細書に示される及び記載されるような例示的な鼻カニューレの組立体及び/又はシステムの様々な部分並びに様々な部品の寸法は、単に例示的であること及びいずれにしても限定ではないと意図される。例示的な鼻カニューレの組立体及び/又はシステムの様々な部品は、他の実施例において他の縮尺及び形状が使用されていたとしても、ある実施例に従って縮尺通りに描かれる。例示的な鼻カニューレの組立体及び/又はシステムの様々な部品の寸法は、別段の指示がない限り、ミリメートルで測定される。ある実施例において、本明細書に示される及び記載されるような、例示的な鼻カニューレの組立体及び/又はシステムの様々な部品の寸法は、例示及び記載されるものよりも最大5%大きい又は最大5%小さい。もう1つの実施例において、本明細書に示される及び記載されるような、例示的な鼻カニューレの組立体及び/又はシステムの様々な部品の寸法は、例示及び記載されるものよりも最大10%大きい又は最大10%小さい。さらにもう1つの実施例において、本明細書に示される及び記載されるような、例示的な鼻カニューレの組立体及び/又はシステムの様々な部品の寸法は、例示及び記載されるものよりも最大20%大きい又は最大20%小さい。
【0074】
請求項において、括弧の間に置かれる如何なる参照符号もその請求項を限定するとは考えない。"有する"又は"含む"という言葉は、請求項に挙げられた以外の要素又はステップの存在を排除しない。幾つかの手段を列挙している装置の請求項において、これら手段の幾つかがハードウェアの同一のアイテムにより具現化されてもよい。複数あると述べなくても、これらの要素が複数あることを排除しない。幾つかの手段を列挙している如何なる装置の請求項において、これら手段の幾つかがハードウェアの同一のアイテムにより具現化されてよい。ある要素が互いに異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの要素が組み合わせて使用できないことを示していない。
【0075】
本特許出願は、最も実用的であり、好ましい実施例であると現在考えられるものに基づいて、説明を目的に詳細に説明されたとしても、そのような詳細は単に上記の目的のためであり、本特許出願は、開示される実施例に限定されるのではなく、寧ろ不随する特許請求の範囲内である改良案及び等価な配置にも及んでいると意図されることを理解すべきである。例えば、本特許出願は、可能な限り、如何なる実施例の1つ以上の特徴は、他の如何なる実施例の1つ以上の特徴と組み合わせられ得ることを考えていると理解すべきである。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8