【実施例】
【0095】
下記の実施例は例示であり、本発明の範囲を制限するとは決して解釈されるべきではない。
【0096】
(実施例1)
化合物I活性
化合物Iは、5−HT
lF受容体の活性化を増大させるために有用である。5−HT
lFの活性化の増大は、哺乳動物におけるセロトニンの神経伝達低下に関連している様々な障害、例えば、片頭痛性頭痛を治療するのに有用である。5−HT
lF受容体の活性化と片頭痛との関係を証明している米国特許第5,708,008号を参照されたい。化合物Iは、当分野で公知の方法を使用して調製することができる。化合物Iの調製は、米国特許第7,423,050号および米国特許出願公開第20080300407号に記載されている。片頭痛の治療における化合物Iの使用を証明するために、化合物Iが5−HT
lF受容体サブタイプに結合する能力を決定した。化合物Iが5−HT
lF受容体サブタイプに結合する能力を、本質的にはN. Adhamら、Proceedings of the National 15 Academy of Sciences(USA)、90巻:408〜412頁、1993年に記載されている通りに測定した。
【0097】
膜調製物:
集密度100%まで成長させたトランスフェクトLtk細胞(ヒト5−HT
lF受容体配列をトランスフェクションされている)から、膜を調製した。細胞をリン酸緩衝食塩水で2回洗浄し、培養皿から氷冷リン酸緩衝食塩水5mLに削り落とし、200×g、4℃で5分間遠心した。ペレットを氷冷トリス緩衝液2.5mL(20mMのトリスHCl、23℃でpH7.4、5mMのEDTA)に再懸濁させ、Wheaton組織粉砕機で均質化した。続いて、溶解産物を200×g、4℃で5分間遠心して、大きな断片をペレット化して、これを廃棄した。上澄みを集め、40,000×g、4℃で20分間遠心した。生じたペレットを氷冷トリス洗浄緩衝液で1回洗浄し、50mMのトリスHClおよび0.5mMのEDTA、23℃でpH7.4を含有する最終緩衝液に再懸濁させた。膜調製物を氷上に保持し、2時間以内に放射リガンド結合アッセイのために利用した。タンパク質濃度をBradford Anal. Biochem.、72巻:248〜254頁、1976年の方法によって決定した。
【0098】
放射性リガンド結合:
Herrick−DavisおよびTiteler(J. Neurochem.、50巻:1624〜1631頁、1988年)により報告された5−HT
lDアッセイ条件の多少の変更形態を使用して、但し、マスキングリガンドを省略して、[
3H]5−HT結合を行った。放射性リガンド結合研究を37℃で、全体積250μLの緩衝液(50mMのトリス、10mMのMgCl
2、0.2mMのEDTA、10μMのパルギリン、0.1%のアスコルビン酸塩、37℃でpH7.4)中、96ウェルのマイクロタイタープレート内で達成した。0.5nMから100nMの範囲の12種の異なる濃度の[
3H]5−HTを使用して、飽和研究を行った。4.5〜5.5nMの[
3H]5−HTを使用して、置換研究を行った。6〜12の濃度の化合物を使用して、競合実験における薬物の結合プロファイルを完成した。平衡結合条件を決定した当初調査に基づき、インキュベーション時間は、飽和研究および置換研究の両方で30分であった。10μMの5−HTの存在下で、非特異的結合を定義した。膜ホモジネート50μL(10〜20μg)を加えることにより、結合を開始させた。48R Brandel Cell Harvester(Gaithersburg、MD)を使用して、予め浸漬させておいた(0.5%ポリエチレンイミン)フィルターで急速に濾過することにより、反応を終了させた。続いて、フィルターを氷冷緩衝液(50mMのトリスHCl、4℃でpH=7.4)で5秒間洗浄し、乾燥させ、Readi−Safe2.5mL(Beckman、Fullerton、CA)を含有するバイアルに入れ、Beckman LS 5000TA液体シンチレーションカウンターを使用して放射能を測定した。[
3H]5−HTのカウントの効率は、平均で45〜50%であった。計算機援用非線形回帰分析(Accufit and Accucomp、Lunden Software、Chagrin Falls、OH)によって、結合データを解析した。Cheng−Prusoff式(Biochem. Pharmacol.、22巻:3099〜3108頁(1973年))を使用して、IC
50値をK
i値に変換した。
【0099】
5−HT
1F受容体に対する選択性
化合物Iは、詳細には他の5−HT受容体サブタイプ、特に5−HT
1サブクラスの他の受容体、例えば、限定ではないが、5−HT
1A、5−HT
1B、5−HT
1Dおよび5−HT
1E受容体サブタイプと比較して、5−HT
1F受容体に対して比較的選択的である。上記の放射リガンド受容体結合アッセイを少し変更して、5−HT
1F受容体サブタイプをトランスフェクションされた細胞の代わりに、所望の受容体サブタイプをトランスフェクションされた細胞を使用することによって、これらの他の受容体サブタイプに対する親和性を容易に決定することができる。そのようなアッセイによって、化合物Iの結合親和性を決定すると、5−HT
1F受容体に対して選択的であること、即ち、5−HT
1F受容体に対する化合物Iの親和性は総じて、他の受容体サブタイプに対するよりも、特に5−HT
1Bおよび5−HT
1D受容体サブタイプに対するよりも高いことが判明した。
【0100】
cAMP形成の測定
R.L. Weinshankら、W093/14201によって報告された通り、5−HT
IF受容体をトランスフェクションされたNIH3T3細胞においてフォルスコリン刺激cAMP産生を阻害するセロトニンおよびセロトニン作動性薬物の能力によって測定されるように、5−HT
lF受容体は、G−タンパク質に機能的に結合する。標準的な技術を使用して、アデニル酸シクラーゼ活性を決定した。最大効果はセロトニンによって達成された。試験化合物の阻害を最大効果で割り、阻害パーセントを決定することによって、E
maxを決定する。N.Adhamら、前出;R.L. Weinshank,ら、Proceedings of the National Academy of Sciences(USA)、89巻:3630〜3634頁、1992年;およびそれらに挙げられている参照文献。
【0101】
ヒト5−HT
lF受容体をトランスフェクションされたNIH3T3細胞(1ポイント競合研究からの推定B
max=488fmol/mgタンパク質)をDMEM、5mMのテオフィリン、10mMのHEPES(4−[2−ヒドロキシエチル]−1−ピペラジンエタンスルホン酸)および10μMのパルギリン中、37℃、5%CO
2で20分間インキュベーションした。次いで、6種の異なる最終濃度の薬物を加え、続いて直ちに、フォルスコリン(10μM)を加えることによって、薬物用量効果曲線を導いた。続いて、細胞を37℃、5%CO
2でさらに10分間インキュベーションした。培地を吸引し、100mMのHClを加えることによって、反応を止めた。競合拮抗作用を証明するために、固定用量のメチオテピン(0.32μM)を使用して、5−HTでの用量応答曲線を平行して測定した。プレートを4℃で15分間貯蔵し、次いで、500×gで5分間遠心して、細胞破片をペレット化し、上澄みをアリコットして、ラジオイムノアッセイ(cAMPラジオイムノアッセイキット Advanced Magnetics、Cambridge、MA)によってcAMP形成を評定するまで、−20℃で貯蔵した。データ処理ソフトウェアを備えたPackard COBRA Auto Gammaカウンターを使用して、放射能を定量化した。化合物Iを試験すると、これは、上記のcAMPアッセイにおいて5−HT
lF受容体のアゴニストであることが判明した。
【0102】
硬膜血漿タンパク質管外遊出アッセイ
下記の試験を行って、
硬膜血漿タンパク質管外遊出を阻害する化合物Iの能力を決定したが、この試験はまた、片頭痛の神経機序に関する機能性アッセイでもある。
【0103】
Harlan Sprague−Dawleyラット(225〜325g)またはCharles River Laboratoriesからのモルモット(225〜325g)にペントパルビタールナトリウムで腹腔内で(それぞれ65mg/kgまたは45mg/kg)に麻酔をかけ、ラットでは−3.5mmまたはモルモットでは−4.0mmに切歯バーセットを備えた定位枠(David Kopf Instruments)に置いた。正中矢状頭蓋切開の後に、ドリルで頭蓋の両側に2対の穴を開けた(ラットでは6mm後方、2.0および4.0mm側方;モルモットでは4mm後方および3.2および5.2mm側方、全ての座標はブレグマを基準にした)。末端を除いて絶縁された対のステンレス鋼製刺激電極(Rhodes Medical Systems,Inc.)を穴から、両方の脳半球の中に下ろし、硬膜から9mm(ラット)または10.5mm(モルモット)の深さに置いた。
【0104】
大腿静脈を露出させ、1用量の化合物Iを静脈内注射した(1mL/kg)。約7分後に、50mg/kg用量のエバンスブルー蛍光染料も静脈内注射した。血液中でエバンスブルーはタンパク質と複合して、
硬膜血漿タンパク質管外遊出のためのマーカーとして機能した。化合物Iを注射して正確に10分後に、Model 273ポテンシオスタット/ガルバノスタット(EG&G Princeton Applied Research)を用いて、左三叉神経節を1.0mAの電流強さ(5Hz、4m秒持続)で3分間刺激した。
【0105】
刺激して15分後に、動物を屠殺し、食塩水20mLで瀉血した。頭蓋の頂部を除去して、硬膜の採取を容易にした。膜試料を両方の脳半球から切除し、水ですすぎ、顕微鏡スライド上で平坦に広げた。乾燥させたら、組織を70%グリセロール/水溶液と共にカバーガラスで封入した。
【0106】
格子モノクロメーター(monchromator)および分光光度計を備え付けた蛍光顕微鏡(Zeiss)を使用して、各試料中のエバンスブルー染料の量を定量した。約535nmの励起波長を利用し、600nmでの発光強度を決定した。その顕微鏡には電動式ステージを取り付け、また、パーソナルコンピューターに接続させた。このことにより、各硬膜試料上の25カ所(500μm間隔)での蛍光測定に伴うステージのコンピューター制御移動を容易にした。測定の平均および標準偏差をコンピューターによって決定した。
【0107】
三叉神経節の電気刺激によって誘発される管外遊出は、同側性効果であった(即ち、三叉神経節が刺激された側の硬膜のみで生じた)。このことによって、硬膜の他方の(刺激されていない)半分を対照として使用することができる。刺激されていない側の硬膜と比較しての刺激された側の硬膜における管外遊出量の比を算出した。食塩水対照によって、ラットで約2.0およびモルモットで約1.8の比が得られた。これに対して、刺激された側の硬膜において管外遊出を効果的に阻止する化合物は、約1.0の比を有するであろう。用量応答曲線を作り、管外遊出を50%阻害する用量(ID
50)を概算した。化合物Iを上記の手順によってアッセイすると、これは、
硬膜血漿タンパク質管外遊出を著しく阻害することが判明した。
【0108】
ウサギ伏在静脈収縮
化合物Iをウサギ伏在静脈収縮アッセイで試験して、血管収縮を媒介するその能力について測定した。
【0109】
致死量のペントバルビタールナトリウム(325mg)を耳静脈に注射することによって、雄のNew Zealand Whiteウサギ(3〜6ポンド)(Hazleton、Kalamazoo、MI)を屠殺した。組織を結合組織から切除し、ポリエチレン管(PE50、外径=0.97mm)をその場でカニューレ挿入し、変性クレブス液(上記)を含有するペトリ皿に置いた。2個のL字型に曲げられた30ゲージステンレス鋼製皮下針の先端をポリエチレン管に滑り込ませた。血管を、カニューレから針の上へと静かに押した。次いで、針を分離して、下方にあるものは糸で固定ガラス棒に付着されていて、上方にあるものは糸でトランスデューサーに結ばれているようにした。
【0110】
組織を、118.2mMolのNaCl、4.6mMolのKCl、1.6mMolのCaCl
2・H
2O、1.2mMolのKH
2PO
4、1.2mMolのMgSO
4、10.0mMolのデキストロースおよび24.8mMolのNaHCO
3の組成の変性クレブス液10mLを含有する臓器浴に入れた。組織浴溶液を37℃に維持し、95%O
2および5%CO
2で通気した。1gmの当初最適静止力を伏在静脈に施与した。Statham UC−3トランスデューサーおよびマイクロスケールアクセサリーアタッチメントを備えたBeckman Dynographで、等尺性収縮を力のグラム変化として記録した。薬物に曝露する1から2時間前に、組織を平衡させることができた。蓄積アゴニスト濃度応答曲線は組織で作成し、2つより多いアゴニスト濃度応答曲線を作成するためには、組織を使用しなかった。結果を平均EC
50として表し、最大応答を各組織に初めに投与された67mMのKClに対する最大組織収縮応答のパーセンテージとして表した。
【0111】
この血管収縮アッセイによって、伏在静脈収縮(EC
50)および%最大KCl応答(%
maxKCl)としての最大収縮の2つの重要なパラメーターを測定する。伏在静脈収縮(EC
50)は、特定の化合物が媒介し得る最大応答の50%まで組織を収縮させるのに必要な用量の尺度である。伏在静脈が示し得る最大応答は、高濃度(67mM)のKClを投与した後に測定する。%最大KCl収縮は、特定の化合物が媒介し得る最大応答を、KClで刺激されると組織が生じ得る最大応答で割った比である。本出願の目的では、100μMまでの化合物濃度で、67mMのKCl陽性対照がもたらす収縮に対して5%以下の最大収縮をその化合物がもたらした場合に、その化合物は、重大な血管収縮活性を有さないと見なし得る。
【0112】
化合物Iを上記伏在静脈アッセイで試験すると、これは、著しい血管収縮性を有さないことが判明した。このことは、片頭痛治療のために神経血管収縮モデルを標的としている片頭痛を治療するための先行技術化合物であって、その化合物が強い血管収縮活性に基づき選択されている化合物、例えば、このアッセイにおいて0.66mMのEC
50および64.20の%
maxKClを有するスマトリプタン(公知の片頭痛治療)などとはかなり対照的である。
【0113】
特異性指数
血管収縮活性に対する5−HT
1F媒介
硬膜血漿タンパク質管外遊出における化合物I特異性は、特異性指数で表すことができ、これは、
硬膜血漿タンパク質管外遊出を阻害する有効性に対する血管収縮の比である:
【0114】
【化15】
補正血管収縮は、それぞれ個々の化合物でのKClに対する最大収縮を考慮しており、%
maxKClで割った血管収縮EC
50値と定義される。
【0115】
例えば、スマトリプタンは、1.03×10
−8Mの補正血管収縮EC
50(0.66mMのEC
50÷64.20%
maxKCl)および2.6×10〜8mMol/Kgの管外遊出阻害ID
50を有し、0.40の特異性指数を示す。
【0116】
したがって、任意の所定の化合物の特異性指数を決定する手順は次の通りである:
1.上記の放射リガンド結合方法を使用して、5−HT
1F受容体に対する化合物の親和性を測定し;
2.5−HT
1F受容体に対する親和性が確立されたら、上記cAMPアッセイにおけるその応答によって、その化合物が5−HT
1F受容体のアゴニスト、部分アゴニストまたはアンタゴニストであるかどうかを決定し;
3.その化合物が少なくとも約50%のE
maxを示すアゴニストまたは部分アゴニストであることが判明した場合には、上記のアッセイを使用して、
硬膜血漿タンパク質管外遊出の阻害および伏在静脈収縮における化合物の有効性を測定し;
4.上記の通りに、特異性指数を算出する。
【0117】
1よりも高い特異性指数を示す化合物は、本発明の方法および使用に有用であり、特異性指数に関してより高い値が好ましい。より高い特性指数ほど、血管収縮よりも
硬膜血漿タンパク質管外遊出を阻害する有効性に関して、より大きな特異性を示す。
【0118】
(実施例2)
片頭痛の急性治療における経口化合物Iの二重盲検無作為化プラセボ対照群用量範囲探索研究
化合物Iのある範囲の経口用量の有効性(2時間目の頭痛応答)を評価するための研究を行う。副次目的は、頭痛応答、無痛患者の割合、頭痛再発、悪心、羞明、音恐怖症、嘔吐、日常生活支障性、レスキュー薬の使用および患者の全体的な印象を包含する片頭痛の特徴に対する化合物Iのある範囲の用量レベルの時間経過および効果を調査することである。研究によって、有害事象、身体診察、バイタルサイン、検査評価およびECGに関して化合物Iのある範囲の用量の安全性および忍容性を調査する。研究プロトコルは下記に概説する:
これは、片頭痛を有する対象における前向き、無作為化、二重盲検、プラセボ対照用量範囲探索研究である。患者に、家庭において単一の片頭痛発作を研究薬で治療することを依頼する。各対象の研究参加は、適格性を確認するための5日以内の電話接触を含むスクリーニング来院と、経口化合物Iの4種の用量レベルのうちの1つまたはプラセボの単一用量で1回の片頭痛発作を治療することを対象に依頼してある8週間までの治療期間と、発作の治療から14日以内のフォローアップ来院とからなる。
【0119】
スクリーニングの後に、新たな片頭痛発作の第1の治療として使用する経口化合物I(50、100、200または400mg)または対応するプラセボを服用するように、対象を無作為に割り付ける。対象に、全てのスクリーニング評価が完了して、電話によってその適格性が確認されるまでは、発作を治療しないように指導する。適格性が確認されたら、対象の次の片頭痛発作をその発症から4時間以内に治療することを対象に依頼するが、但し、頭痛の重症度はその時点で少なくとも中程度で、改善しないことを条件とする。対象は、日誌式カードを使用して、続く48時間にわたってその応答を記録する。対象に、研究薬を摂取した後少なくとも2時間までは、レスキュー薬を使用しないことを依頼する。発作が治療されたら、対象はクリニックに、治療から14日以内で可能な限り早いフォローアップ来院をスケジュールするために連絡する。患者を、事前定義された無作為化リストに従って、化合物Iの4種の用量レベルまたは対応するプラセボのいずれかに1:1:1:1:1の比で患者を割り振る。少なくとも340人の患者が1回の発作を研究薬で治療する。
【0120】
組入/除外の基準:
組入:次の基準を全て満たしている場合にのみ、対象は研究に組み入れられる:
IHS診断基準1.1および1.2.1(2004年)を満たす前兆ありまたは前兆無しの片頭痛患者;少なくとも1年の片頭痛歴;50歳前の片頭痛発症;1カ月当たり1〜8回の片頭痛発作履歴;18歳から65歳の男性または女性患者;妊娠分娩の可能性のある女性患者は、高度に有効な形態の避妊法(例えば、経口避妊薬、IUD、禁欲、精管切除パートナーの組合せ)を使用していなければならない;書面によるインフォームドコンセントを示すことができ、その意思があること;研究薬で治療された発作の詳細を記録するための片頭痛日誌式カードを完成させることができ、その意思があること。
【0121】
除外:次の基準のいずれかを満たす場合には、対象を研究から除外する:いずれかのトリプタンに対して命にかかわるか、または忍容できない有害反応の履歴;スクリーニング来院の前30日以内および研究に参加している間の処方箋片頭痛予防薬の使用;妊娠中または授乳中の女性;高度に有効な避妊法を使用していない妊娠分娩の可能性のある女性;冠状動脈疾患、虚血性もしくは出血性卒中、てんかんまたは患者を高い発作リスクの状態に置く何らかの他の状態の履歴または証拠;高血圧症の履歴(管理下または非管理下);起立性低血圧症の履歴;スクリーニング時に2回繰り返される測定において着席時BP>160mmHg収縮期または>90mmHg拡張期;血行力学的に活性な心臓血管薬を現在使用中;何らかの薬物、処方薬もしくは違法薬またはアルコールの乱用の先行する3年以内の履歴または現在の証拠;重大な腎臓または肝臓障害;この臨床試験に既に参加;先行する30日以内の実験薬またはデバイスの何らかの臨床試験への参加;調査者の判断において、患者を研究に適していないとする何らかの医学的状態または検査試験;既知のB型もしくはC型肝炎またはHIV感染;スポンサーの従業員である対象;調査者の親族または調査者に直接報告するスタッフ;化合物I、他の5−HT
1F受容体アゴニストまたは化合物医薬品の添加剤のいずれかに対して過敏症を有することが分かっている患者;先行するColucid研究において研究薬で治療を受けた患者(そのプロトコルにおいてスクリーニングはされたが、治療は受けていない患者は除外しない)。
【0122】
評価基準に包含されるのは:
有効性/薬力学:頭痛重症度(4ポイントスケール:なし、軽症、中程度、重症);48時間以内の頭痛再発;悪心の有無;音恐怖症、羞明、嘔吐;日常生活支障性(4ポイントスケール:なし、軽症、中程度、重症);2から48時間以内のレスキュー薬の必要(ありまたはなし);患者の全体的な印象(7ポイントスケール);頭痛の軽減までの時間および無痛になるまでの時間。
【0123】
安全性:身体診察;有害事象(自発的な報告);バイタルサイン;12リード心電図;臨床検査パラメーター;統計解析
有効性:
この多施設、無作為化、二重盲検、並行群、プラセボ対照の臨床研究を、片頭痛の急性治療における経口化合物Iの有効性および安全性を評価するようにデザインする。投与後2時間で頭痛軽減を示した対象の割合が、主要有効性パラメーターである。主要有効性解析では、トレンドに関してCochran−Armitage試験を使用する応答率における陽性線形トレンドの別の仮説に対して、投与後2時間で頭痛軽減を示した対象の割合は、5つの研究アームにおいて同じであるという帰無仮説を試験する。有意水準5%で片側検定を使用して、研究薬で発作を治療する全ての対象と定義された変形ITT(intent−to−treat)集団において主要解析を行う。2時間目に頭痛重症度を記録しなかったか、その時点前にレスキュー薬を使用した患者は、解析セットから除外する。
【0124】
5つの治療群全てからのデータを包含するロジスティック回帰モデルを使用して、追加的な有効性解析では、各実薬用量群をプラセボ群と比較する。追加的な解析はまた、対象のペル(per)プロトコルセットに基づく。中間解析は計画されていない。
【0125】
サンプルサイズは、プラセボアームでの応答率40%および最高実薬用量アームで応答率65%を想定して推定された。治療群は等間隔であり、応答オッズ比は、対の隣接用量群の間では等しいと想定して、Nam(1987年)のアプローチを使用して必要なサンプルサイズを推定した。1:1:1:1:1無作為化に基づき、有意水準5%の片側検定に基づくと、患者330人の全サンプルサイズ(1群当たり66人)が、検出力90%のためには必要である。
【0126】
安全性:
有害事象をまとめ、事象率を治療群によって表す。検査データを治療群によって、ベースライン状態からの変化の見地からまとめる。
【0127】
(実施例3)
静脈内投与による化合物Iでの片頭痛の急性治療
化合物Iは、血管収縮薬活性を欠いた新規で高度に選択的かつ強力な5−HT
1F受容体のアゴニストである。前臨床および初期臨床的実験によって、非血管性で、主に神経性の機序に媒介される化合物Iの急性抗片頭痛有効性が予測されている。多施設、プラセボ対照、二重盲検、群逐次的、適応型治療割り付けの概念証明および用量設定型の研究において、130人の患者を、片頭痛発作の間に院内治療した。患者を、静脈内用量レベルの化合物Iまたはプラセボに小さなコホートで割り振った。出発用量は2.5mgであった。先行するコホートで観察された安全性および有効性に従って、次の用量を増量して、または減量して調節した。主要アウトカム項目は、投与後2時間目でのベースラインの中程度または重症の頭痛から、軽症から無痛の頭痛への改善と定義される頭痛応答であった。全体的な用量応答関係を調査するように研究をデザインしたが、これは、個々の用量とプラセボとを区別するようにも、また、他の片頭痛症状に関する効果差を検出するようにも強化されなかった。
【0128】
42人の患者がプラセボを服用し、88人が2.5から45mgの用量の化合物Iを服用した。患者は、治療後に4時間院内で観察されて、日誌式カードを使用して、症状および有害事象を24時間まで記録した。20mg用量が事前定義された有効性停止規定を満たしたら、研究を終了した。プラセボ群での45%と比較して10、20、30および45mgの化合物I用量群で治療された患者の54〜75%が、2時間頭痛応答を示した(応答率と用量レベルとの線形連関ではp=0.0126)。2時間目の患者の全体的な印象およびレスキュー薬の必要の欠如もまた、統計的に有意な用量との線形相関を示した。
【0129】
化合物Iは、一般によく忍容された。有害事象は、化合物Iでの患者の65%によって、プラセボでの43%によって報告され、一般に軽症であった。浮動性めまい、錯感覚および重感(通常は四肢)が、化合物Iではより一般的であった。20mg以上の静脈内用量では、化合物Iは、片頭痛の急性治療において有効であると判明した。理論に拘束されることは望んでいないが、化合物Iの非血管性の神経性作用機序は、特に血管収縮薬活性を有する薬剤に対して禁忌を有する患者において片頭痛を治療する別の手段を提供し得る。
【0130】
方法
本研究は、ドイツの11カ所、フィンランドの4カ所、オランダの3カ所で行われた多国籍の多施設臨床試験であった。ヘルシンキ宣言および国際的に認められているグッドクリニカルプラクティスの基準に従って、研究を行った。開始前に、関連規制当局および独立倫理委員会による承認を受けた。対象全員が、書面によるインフォームドコンセントを提出した。臨床試験政府識別子はNCT00384774である。
【0131】
研究デザイン
研究は、群逐次的適応型治療割り付けを伴う、前向き、無作為化、二重盲検、プラセボ対照デザインを使用した(Olesen Jら、N Engl J Med 2004年:350号:1104〜10頁; Hall DBら、Contemporary Clinical Trials 2005年;26巻:349〜63頁)。患者を、化合物Iの用量レベルに小さなコホートで割り振ったが、第1の20のコホートは、患者6人(4人は化合物Iを服用し、2人はプラセボを服用する)からなり、次のコホートは5人の患者(4人は化合物Iを服用し、1人はプラセボを服用する)からなった。第1のコホートを、2.5mg用量レベルに割り振った。次のコホートで使用された用量は、先行するコホートの頭痛応答(中程度または重症の頭痛が2時間目に軽症または無痛に軽減)に応じた:4人の実薬治療された患者のうちの2人以下が応答した場合には、用量を増やし、4人の実薬治療された患者のうちの3人以上が応答した場合には、用量を減らした。用量調節規則は、経口トリプタンと類似か、またはより良好な有効性を有する化合物Iの用量を特定するように選択された。任意のコホートにおいて有効治療された患者のうちの2人以上が重症だが重篤ではない有害事象を経験した場合には、この用量の漸増または低減シーケンスは変更されて、その場合には、用量は、応答率に関係なく次のコホートでは低減されるであろう。薬物関連の重症な有害事象の発生は、安全性が再検討されるまで、無作為化の自動的な中断をもたらすであろう。最も低い許容用量の化合物Iは、1mgで、最も高い用量は60mgであった。20分にわたって静脈内投与される化合物Iまたはその薬学的に許容される塩の60mgを超える用量は、十分には忍容されなかった。
【0132】
少なくとも5ブロックの患者がこの用量で治療され、少なくとも4ブロックで、判断規則が用量低減を要求したという基準を満たした場合に、有効用量の選択について、用量増減調節プロセスを終了した。別法では、5つの連続するブロックの患者がトップ用量で治療され、その際に、漸増規則が各回で用量増大を要求した場合に、有効用量の選択を伴わずに、用量選択プロセスを終了させることができた。
【0133】
患者のスクリーニングおよび選別
患者を始めに、片頭痛発作時以外の外来患者来院で適格性についてスクリーニングし、新たな中程度または重症の片頭痛発作を研究薬で治療するために、発症の4時間以内に帰院するように求めた。帰院時点で、研究に対する適格性を再確認し、患者を無作為化した。患者が18歳から65歳であり、50歳前の片頭痛発症でIHS診断基準1.1および1.2.1(2004年)を満たす前兆ありまたは前兆無しの片頭痛の少なくとも1年の履歴を有する場合に、患者は研究に適格性があった(Headache Classification Subcommittee of the International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders(第2版). Cephalalgia 2004年:24巻;補足1:1〜160頁)。患者は、1カ月に1から8回の片頭痛発作を経験していなければならず、片頭痛予防薬を使用していてはいけなかった。患者は良好な全身健康状態であり、血管疾患または高血圧症の証拠を有さなかった。以前にトリプタン不耐性を示した患者は除外された。妊娠中または授乳中の女性は除外され、同様に、高度に信頼可能な形態の避妊法を使用していない妊娠分娩の可能性のある女性も除外された。
【0134】
研究手順
患者が帰院した時点で、研究薬物の希釈についての指示をオンライン上の無作為化系から、研究者とは別の薬剤師または他の職員が得て、注入用の研究薬物を調製した。研究者および薬剤師の両方ともが、実薬またはプラセボについて知っていることはなく、薬剤師のみが希釈について知っていた。全ての患者が60ml静脈内注入を20分にわたって受けた。研究薬物の投与前後の有効性および安全性データを直ちに、電子的データ収集システムに入力し、頭痛応答を、後続のコホートのための用量割り振りを行うために使用することができるようにした。
【0135】
ベースライン評定を完了した後に、化合物Iまたはプラセボを20分にわたって静脈内注入し、患者を安全性および有効性について少なくとも4時間監視した。データを同時に、オンライン上の電子的データ収集システムに入力した。患者は4時間後に退院して、日誌式カードを使用して、24時間まで片頭痛症状および有害事象を記録し続けた。
【0136】
症状評価
いくつかの異なる症状を評価した。頭痛の重症度を、0=なし、1=軽症、2=中程度、=重症の4ポイントスケールで測定した。随伴症状(悪心、嘔吐、羞明、音恐怖症)を、ありまたはなしで記録した。日常生活支障性を、0=日常生活支障性なし、1=軽症の日常生活支障性、2=中程度の日常生活支障性、3=重症の日常生活支障性の4ポイントスケールで記録した。患者の全体的な印象についてのデータを、1=非常に良い、2=かなり良い、3=少し良い、4=変化なし、5=少し悪い、6=かなり悪い、7=非常に悪いの7ポイントスケールで収集した。
【0137】
主要有効性評価項目は、ベースラインでの中程度または重症の頭痛から研究薬物の注入の開始後2時間目での軽症の頭痛または頭痛なしへの頭痛重症度の低減と定義された頭痛応答であった(HIS Clinical Trials Subcommittee. Guidelines for Controlled Trials in Migraine: second edition、Cephalalgia 2000年:20巻:765〜786頁)。副次有効性評価項目は:研究薬物注入の開始後10分、20分、40分、60分、90分、180分および240分目での頭痛応答率;研究薬物の開始後10分、20分、40分、60分、90分、120分、180分および240分目での頭痛消失率(ベースラインでの中程度または重症の頭痛から頭痛なしへの軽減);ベースラインでの中程度または重症の頭痛が研究薬物の開始後2時間目に軽症の頭痛または頭痛なしになり、研究薬物の開始から24時間以内に再発しなかった(中程度から重症にならなかった)と定義される持続応答率;ベースラインでの中程度または重症の頭痛が研究薬物の開始後2時間目に頭痛なしになり、研究薬物の開始から24時間以内に再発しなかった(軽症、中程度から重症にならなかった)と定義される持続無痛率;研究の全過程を通しての悪心、嘔吐、羞明および音恐怖症の存在および臨床的日常生活支障性の程度;研究薬物の開始後2および24時間の間にレスキュー薬を使用した患者の割合および研究薬物の開始後2時間での患者の全体的な印象であった。
【0138】
統計的方法
有効な用量レベルで治療された患者少なくとも20人およびプラセボで治療された患者少なくとも10人を伴う、最大で160人の患者からなる標的サンプルサイズを、さらなる評価のための用量範囲を選択するのに適した先行データを得るために選択した。群逐次的適応型治療割り付けデザインを使用して用量を割り振る場合、1種または複数の用量レベルをプラセボと比べるための仮説検定の統計的特性は、公知ではなかった。したがって、研究が「ポジティブ」または「ネガティブ」であると言明するために公式統計的検定を使用せず、研究を統計的有意性に関して強化しなかった。さらに、サンプルサイズを統計的検討について強化しなかった。
【0139】
研究の終了時に、頭痛応答率を用量レベルによってまとめた。Mantel−Haenszel検定を使用して、用量応答関係を検定した。研究が有効用量の選択によって終了したので、Fisher正確検定を使用して、選択された用量での頭痛応答率とプラセボとを比較した。全ての解析において、各用量レベル(プラセボを包含)での結果を、その用量が使用された全てのブロック全体で合わせた。
【0140】
何らかの研究薬を受けた患者全てを解析集団に組み入れた。患者を、実際に受けた治療および用量レベルに従って解析したが、これらはいずれの場合にも、患者を無作為化したものであった。欠測値を置き換えなかった。
【0141】
患者集団
全体で372人の患者が、フィンランド、ドイツおよびオランダの18カ所のセンターでスクリーニングされ、130人が治療のためにクリニックに戻った。これら130人の患者が、解析集団を構成した。治療群は、解析集団についての人口統計学的およびベースライン特徴に一般によく適合していた(表1)
【0142】
【表1】
両方の治療群において、患者の大部分は女性であった:女性:男性比は化合物Iで6:1およびプラセボで10:1。両方の治療群において、患者の大部分は白人であった(化合物Iで94.3%、プラセボで100.0%)。患者は19歳から63歳であり、平均年齢は化合物Iで38.4歳およびプラセボ群で40.3歳であった。治療群への患者割り振りのシーケンスを
図1に示す。
【0143】
有効性
主要エンドポイントでの結果に基づき事前定義された停止規則が20mgを有効用量として同定した場合には、用量漸増を130人の患者の後に終了した(
図2および3)。プラセボ(45.2%)と比較してより高い割合の患者が、10mg、20mg、30mgおよび45mgの化合物I用量群において2時間頭痛応答を示した(54.2%から75%)(
図3)。応答率および用量レベルの線形連関は、統計的に有意であった(p=0.0126;トレンドに関するMantel−Haenszel検定)。個別の用量レベルを比較するためには不十分な検出力が原因で、2時間時点では、個別の化合物I用量は、プラセボと統計的に有意には異ならない(Fisher正確検定)。有効性上昇と用量上昇とで同様のトレンドが、投与後2時間目での頭痛消失で観察された(統計的に検定されていないが)。これらの知見に従って、レスキュー薬を使用する患者の割合は、用量とは逆のトレンドを示した。
【0144】
表2は、10分から4時間の時点で頭痛応答に達した各群における患者の割合を示している。20mg以上の用量は、注入の開始後20分で早くもプラセボと分かれ始める。
【0145】
【表2】
表3は、主な副次有効性パラメーターをまとめている。2時間目での患者の全体的印象および24時間までのレスキュー薬の使用は、用量との重大な相関を示した(それぞれp=0.0001およびp=0.006)。
【0146】
【表3】
忍容性および安全性
化合物Iは、重篤な有害事象または重篤ではない有害事象による中止を伴うことなく、一般によく忍容された。最も顕著な有害事象は錯感覚であり、これは通常、軽症か一過性であり、静脈内注入の中止後に迅速に消散した(表4)。重感および疲労もまた、用量と関連しているようであった。化合物Iの注入に関連して、トリプタン様の胸部症状を報告した患者はいなかった。臨床的に重要な変化は、バイタルサインもしくはECGパラメーターまたは血液もしくは臨床的化学パラメーターにおいて見られなかった。
【0147】
【表4】
化合物Iの急性抗片頭痛有効性を試験した。その効果は大部分、主に神経性で非血管性の機序に媒介されるようである。比較的新規な用量増減適応型研究デザインを使用して、迅速かつ信頼性のある幅広い用量範囲にわたる有効性および忍容性に関するスクリーニングでありながら、研究薬物またはプラセボへの患者の曝露を最小化する。化合物Iの明確な用量関連有効性が、片頭痛発作の急性治療において見出された。頭痛軽減の開始は、20分の静脈内注入の開始後20から40分目に明らかであった。化合物Iは、臨床的に妥当な用量で血管収縮薬活性を欠いているので、この研究の結果によって以前に示唆されていた通り(Goldstein DJら、Lancet 2001年;358巻:1230〜4頁;Ho TWら、Lancet 2008年;372巻:2115〜2123頁)、血管収縮は抗片頭痛有効性のための前提条件でなくてもよいことが確認された。本発明の一態様には、特に、トリプタンを忍容できないか、またはその禁忌を有する患者からなる特定の部分集団における片頭痛の治療および予防が包含される。
【0148】
化合物Iはよく忍容された。化合物Iの投与後に、いずれの安全性パラメーター、即ち、心拍数、血圧、12リードECG、血液検査、生化学検査および尿検査においても、臨床的に重大な異常はなかった。副作用が原因で治療を中断した患者はいなかった。また、胸部症状または胸部不快感を報告した患者もいなかった。
【0149】
20mg以上の用量の化合物Iは、さらなる評価の目的とする用量と同定した。この研究からの薬物動態データを使用するPK/PDモデリングは、非−非経口投与経路によって示された場合の評価について、実薬用量範囲の選択を容易にするはずである。
【0150】
この研究は、高いプラセボ応答率を有し、これは、試験が行われた条件が最も大きな原因のようである。治療のために来院することは、患者の期待を高めることがあり、急性抗片頭痛治療の非経口投与を伴う試験は歴史的に多くの場合に、経口で与えられた薬物においてよりも高いプラセボ率を証明している(Diener HCら、Cephalalgia 2008年;28巻:1003〜1011頁)。
【0151】
適応型デザインを使用して、最低有効用量を同定した。これは、並行群デザインと比較して無効な低用量への最小限の患者曝露で達成されるが、この場合、用量群への患者の分配は、事前定義される。さらに、進行中の安全性モニタリングを伴う低い出発用量および徐々の漸増の選択によって、患者へのリスクを最小限にすることが保証された。
【0152】
この研究からのさらなるデータを
図4〜9に示す。
図4Aおよび4Bは、化合物Iのiv投与後2時間目の頭痛軽減に加えて、20分にわたる30mgのivが、プラセボよりもかなり多い数の患者において頭痛を完全に消失させた(「無痛」)ことを示している。棒中の数字は、各用量で治療されたNである。
【0153】
図5は、20および30mgのivが頭痛軽減の速度開始をもたらすことを示す応答の時間経過である。
【0154】
図6Aおよび6Bは、化合物I持続疼痛応答およびレスキュー薬の静脈内投与を示している。
図6Aは、24時間以内に疼痛が悪化しないか、レスキュー薬を必要としないことを示している。
図6Bは、24時間以内にレスキュー薬を使用した患者を示している。30mgのiv投与は、24時間以内の頭痛再発を低減させ、レスキュー薬の使用を低減させた。これらの結果は、経口経路による優れた持続応答の可能性を示している。
【0155】
図7は、化合物Iの静脈内投与後に日常生活支障性が報告されたパーセントを示している。化合物Iの30mg iv投与は、報告された中程度または重症の日常生活支障性のパーセントを低下させた。
【0156】
図8は、化合物Iのiv投与後の患者の全体的な印象を示している。特に、
図8は、投与後2時間で「非常に良い」または「かなり良い」と感じたと報告した患者のパーセントを示している。棒中の数字は、各用量で治療されたNである。化合物Iの30mg iv投与は、かなりまたは非常に良いと感じた患者の数を増加させた。
【0157】
図9は、化合物Iの静脈内投与での副次エンドポイント(羞明、音恐怖症および悪心)を示している。30mg iv投与は、羞明、音恐怖症および悪心の随伴症状を低減した。
【0158】
(実施例4)
経口で与えられた化合物Iの安全性、忍容性および薬物動態
この研究の目的には、1)固体製剤依存性効果を回避するために液剤を使用して、25〜400mgの範囲にわたる経口化合物Iの安全性、忍容性および薬物動態を評定すること;2)経口液剤と比較した場合の錠剤製剤の相対的生物学的利用能を評定すること;3)50〜400mgの範囲にわたる化合物Iの錠剤製剤の薬物動態を評定すること;4)健康な男性および女性における化合物Iの錠剤製剤の安全性、忍容性および薬物動態を比較することが包含される。
【0159】
ヘルシンキ宣言および国際的に認められているグッドクリニカルプラクティスの標準に従って、研究を行った。開始前に研究は、ドイツ規制当局および独立倫理委員会による承認を受けた。対象全員が、書面によるインフォームドコンセントを提出した。
【0160】
研究デザイン
研究1−30人の健康な男性対象における化合物I25〜400mgの単一経口液剤用量のプラセボ対照、無作為化用量漸増。
【0161】
研究2−パート1は、経口液剤として、および錠剤製剤として与えられる化合物I200mgの二重盲検、無作為化二重ダミー比較;28人の健康な男性対象に経口液剤および錠剤を2日の別々の投与日にクロスオーバー式に与えた。パート2は、二重盲検無作為化用量比較である;14人の男性対象(パート1からの13人および新たな対象1人)および14人の健康な女性に化合物I50mgおよび400mgを錠剤として2日の別々の投与日にクロスオーバー式に与えた。経口投与された400mgを超える化合物Iまたはその薬学的に許容される塩の用量は、十分には忍容されない。
【0162】
安全性評価
経口で与えられた化合物Iの安全性および忍容性を、有害事象、バイタルサイン、12リードデジタル式ECGおよび血液検査、臨床化学検査および腎臓マーカーによって両方の研究において評定した。
【0163】
薬物動態解析
タンデム質量分析検出(LC/MS/MS)方法を用いる認証液体クロマトグラフィーを使用して、血漿試料を化合物Iについて分析した。AUC
t、AUC
∞およびC
maxについての錠剤および液体製剤の相対的生物学的利用能を評定した。線形混合効果モデルを対数変換されたPKパラメーター(AUC
t、AUC
∞およびC
max)にフィットさせた。モデルに包含されたのは、治療、期間ならびに固定因子としてのシーケンスおよび偶然因子としてシーケンス内に収まっている対象である。相対的生物学的利用能分析のために、錠剤製剤が試験であり、液剤製剤が参照であった。90%信頼区間および試験製剤と参照製剤との相対平均in変換AUC
t、AUC
∞およびC
maxの比を算出した。
【0164】
結果:薬物動態
液剤および錠剤製剤の両方で50mg以上の用量が、静脈内経路による有効性で予め関連づけられていた血漿レベルを達成した。50〜400mgの液剤用量を経口投与した後の化合物Iの血漿中濃度時間プロファイルが、30mg i.v.注入と比較されて、
図10に示されている。経口投与された化合物Iの薬物動態は、男性および女性の両方において25から400mgへと用量直線性を示した(
図11Aおよび11B)。液剤に対する錠剤の相対的生物学的利用能は、200mg用量で評定した場合に100%であり、液剤と同じC
maxおよびAUCを達成したが、但し、tmaxにおいて僅かだが遅延を伴った(
図12)。化合物Iの薬物動態パラメーターは、男性および女性において錠剤製剤の経口投与後に類似していた(
図13)。
【0165】
まとめると、錠剤および液剤製剤に関して、化合物I200mgの生物学的利用能において著しい差違は観察されなかった。50から400mg化合物I錠剤製剤の投与後の中央値t
maxは、1.5から2.5時間の範囲であった。AUC
t、AUC
∞およびC
maxでの化合物Iの用量比例が、50、200および400mg化合物I錠剤製剤の投与後に男性および女性対象において観察された。化合物Iへの全身曝露(AUC
t、AUC
∞およびC
max)は、50および400mg化合物I錠剤製剤の投与後に、男性と比較して女性において非常に類似していた。AUC
t、AUC
∞およびC
maxにおいて特記される差違に、臨床的妥当性はなかった。
【0166】
結果:安全性
液剤および錠剤製剤のいずれの用量も、バイタルサイン、ECGまたは安全性検査において臨床的に重要な効果を伴わずによく忍容された。傾眠状態、浮動性めまいおよび錯感覚が両方の製剤で最も一般的な有害事象であったが、大部分の報告が軽症であり、重症者はいなかった。興味深いことに、化合物Iの静脈内投与後の最も一般的な薬物関連有害事象であった錯感覚(parasthesiae)は、経口投与の後には、実質的にさほど一般的ではなかった。有害事象は、両方の性別で類似していたが、但し、400mg投与後では、疲労は、男性よりも(21%)女性において(50%)より一般的であった。研究2からの治療で出現した有害事象のリストを、下記の表5に示す:
【0167】
【表5】
最後に、化合物Iは、経口で生物学的に利用可能であり、50mg以上の用量で、静脈内投与後の急性片頭痛有効性と予め関連づけられていた血漿レベルを達成する。錠剤製剤は、経口液剤と類似の血漿プロファイルを示したが、錠剤の崩壊および溶解と関連して予期されたt
maxの僅かな遅延を伴った。経口経路によって、化合物Iは、男性および女性において類似の薬物動態を伴う用量比例を示す。
【0168】
(実施例5)
血漿中濃度と頭痛応答との関係に基づく化合物Iの治療的有効用量の予測
目的は、片頭痛の急性治療において少なくともスマトリプタンと同じく有効な化合物Iの経口用量範囲を予測することである。
【0169】
背景として、
神経作用性抗片頭痛薬である化合物Iは、5−HT
1F受容体での選択的アゴニストであり、これは、トリプタンとは異なり、血管収縮薬ではない。適応型用量割り振りデザインを伴うフェーズII試験において、i.v.注入として与えられた化合物Iの有効性は確立された(
図6A)。集団薬物動態−薬力学的(PK−PD)モデリングを使用して、血漿中濃度と頭痛応答との関係を分析した。続くフェーズI試験では、化合物Iの経口液体製剤のPKを研究した。血漿レベルと頭痛応答との関係を化合物Iの経口PKと共に使用して、急性片頭痛軽減をもたらすと期待される経口用量範囲を予測した。
【0170】
方法
フェーズII試験(20分にわたる化合物Iの静脈内注入):
用量:プラセボ(n=42)、2.5mg(n=4)、5mg(n=12)、10mg(n=24)、20mg(n=28)、30mg(n=16)、45mg(n=4)。4時間、PKを測定し、頭痛をスコアリング(4ポイントスケール;頭痛なしから重症の頭痛までで0〜3)。
【0171】
フェーズI試験(化合物の経口液体製剤):
用量:25mg(n=6)、50mg(n=6)、100mg(n=14)、200mg(n=6)、300mg(n=6)および400mg(n=14)。30時間、PKを測定。
【0172】
背景PK−PDモデリング
血漿中濃度対時間プロファイルをコンパートメントモデルによって示す(
図16、上部):薬物は、1つまたは複数の相互に接続された仮説コンパートメントに分布していると仮定されていて、これは、薬物吸収、分布および排泄プロセスを模倣している。
図14は、PK−PDモデルの図解表示である。PK部は、垂直線を伴う長方形で示されており、ヒステリシス(遅延)は、水平線を伴う長方形で示されており、PD部は、楕円で示されている。
【0173】
標的部位は多くの場合に、血漿よりもむしろ臓器または末梢組織にある。したがって、標的部位への分布は、遅延(ヒステリシス)をもたらし得る。一般にこれは、「効果コンパートメントモデル」を使用して説明される。
【0174】
【化16】
[C
e:効果部位での濃度;C
p:血漿中濃度;K
eO:遅延を記載するための速度定数]
結果として生じた標的部位での濃度の連続的記載を、PDモデルを使用して観察された効果と関連させる。生理学的および機構的仮定に基づく多様な複雑性で、多くのPDモデルが開発されている。
【0175】
モデリングステップ
1.血漿中濃度と頭痛応答との関係を記載するために集団PK−PDモデルを開発した。頭痛応答は、カテゴリー応答(スコア0/1/2/3、即ち、なし/軽症/中程度/重症)であり、これを、比例オッズモデルを使用してモデリングした:「プラセボ(発作の自然な時間経過)または薬物(頭痛に対する薬物効果)を投与した後に所定のスコアを有する時間経過確率の推定」。
【0176】
例:
【0177】
【化17】
血漿中濃度と頭痛応答に対する効果との間のヒステリシス(遅延)は、「効果コンパートメントモデル」を使用して記載される。
【0178】
2.経口投与後の血漿中の化合物Iの濃度−時間プロファイルを記載するために、集団PKモデルを開発した。
【0179】
3.経口化合物IでのPKモデルを濃度−効果関係と組み合わせて使用して、化合物Iの最小有効経口用量を次の通り予測した:
用量は、鼻腔内スマトリプタン(20mg)よりも早い頭痛応答開始および/または高い応答率を示すべきである。
【0180】
疼痛軽減(スコア3/2から1/0へ;プラセボ補正)は、30分後に少なくとも12%であるべきである。
【0181】
プラセボ治療された対象での頭痛応答は、試験によって異なるので、プラセボ補正疼痛軽減を使用した。
【0182】
NONMEM(登録商標)version 6.2を使用して、データ解析を行った。
【0183】
結果:
結果として生じたPK−PDモデルは、化合物Iの静脈内用量全ての後に、頭痛スコアを適切に示した(
図15)。
図15は、時間に対してある頭痛スコアを有する累積確率を示している。点は、観察された頭痛応答を表しており;線は、PK−PDモデルによる予測を表しており;陰影部分は、パラメーター推定値の不確実性から得られた予測不確実性を示している。用量は静脈内投与された。
図16は、種々の経口用量投与後の濃度時間プロファイルの例を示している。点は測定された血漿中濃度を表しており;線はPKモデルによる個々の予測を表しており;破線はPKモデルによる集団予測(集団における典型的な対象での予測)を表している。用量は経口投与された。
【0184】
図17は、有効用量を選択するための、時間に対して投与後30分目の疼痛軽減パーセントを示している。線はPK−PDモデルによる疼痛軽減パーセントの中央予測を表しており;陰影部分は、パラメーター推定値の不確実性から得られた予測不確実性を示している。鼻腔内スマトリプタン;プラセボ補正疼痛軽減と比較した場合の標的レベルは、少なくとも12%であるべきである。フェーズIIでのプラセボ応答は18%であったので;疼痛軽減は少なくとも30%である。
【0185】
PKモデルは、化合物Iの様々な用量の経口投与後の濃度時間プロファイルを適切に示した(
図16)。モデルを使用して、化合物Iの経口投与後30分目の片頭痛軽減を予測した(
図17)。刊行されているスマトリプタンデータから得た標的レベルを
図17に示している。所望の治療標的を達成するために必要な予測経口用量範囲は、170mg以上である。
【0186】
したがって、血漿中濃度と応答(頭痛スコア)との関係を適切に示すPK−PDモデルを開発した。この濃度と応答との関係に基づき、経口錠剤製剤を使用する片頭痛における経口用量範囲探索研究では、有効用量範囲50〜400mgが確認された。
【0187】
参照文献の援用
補正証書、特許出願文献を包含する特許文献、科学論文、政府報告、ウェブサイトおよび本明細書で言及されている他の参照文献それぞれの全開示が、あらゆる目的のために、その全体が、参照によって本明細書に援用される。
【0188】
同等物
本発明は、本発明の意図または必須の特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で体現することができる。したがって前記の実施形態は、全ての点において、本明細書に記載されている本発明に対する制限ではなくむしろ例示と見なされるべきである。したがって本発明の範囲は、前記の記載によってではなくむしろ添付の請求項によって示されており、請求項の同等性の意味および範囲内に該当する変化は全て、本発明に包含されることが意図されている。