(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体が流れる母管から分岐する分岐配管の配置形状を示す配管形状テンプレート情報と、前記分岐配管の内部を流れる前記流体の性状を示す情報を含む性状情報とに基づき、前記分岐配管の径を決定する配管径決定部と、
前記分岐配管を構成する要素であり、少なくとも前記分岐配管の径をパラメータとして有する配管要素を示す情報と、前記性状情報とが互いに関連付けられた情報である配管情報を取得する配管情報取得部と、
前記配管径決定部が決定する前記分岐配管の径と、前記性状情報とに基づき、前記配管情報取得部が取得する前記配管情報に示される複数の前記配管要素の中から、前記配管径決定部が決定した配管径と前記流体の性状とに応じた前記配管要素を選択する配管要素選択部と、
前記配管要素選択部が選択する前記配管要素を、前記配管形状テンプレート情報が示す前記分岐配管の配置形状に沿って配置することにより、前記配管要素の接続順序を示す配管配置情報を生成する配管配置情報生成部と、
前記配管形状テンプレート情報が示す前記分岐配管の配置形状のうち少なくとも一部の拡大倍率が変更された拡縮後の配置形状を生成する拡縮部と、
前記配管配置情報生成部が生成する前記配管配置情報を出力する出力部と
を備え、
前記配管形状テンプレート情報は、前記分岐配管を収容する空間の寸法を少なくとも示す分岐配管収容空間情報を更に有し、
前記拡縮部は、前記分岐配管収容空間情報が示す前記空間の寸法と、規定情報記憶部に記憶される前記空間の寸法と前記分岐配管との距離を少なくとも示す規定情報とに基づいて、拡縮後の配置形状を生成する
配管設計装置。
前記拡縮部は、前記配管形状テンプレート情報が示す前記分岐配管の配置形状のうち少なくとも一部の拡大倍率が変更された2つの配管が平行に配置されている場合は、前記2つの配管のうち長い方の配管に合わせて短い方の配管の長さを延長する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配管設計装置。
前記配管配置情報生成部が生成する前記配管配置情報は、前記分岐配管収容空間情報が示す前記空間の寸法のうち少なくとも一部の拡大倍率が変更された拡縮後分岐配管収容空間情報を更に有し、
前記拡縮部は、前記配管配置情報生成部が生成する前記配管配置情報と、前記配管形状テンプレート情報が有する前記分岐配管収容空間情報と、前記規定情報とに基づいて、前記拡縮後分岐配管収容空間情報を生成し、
前記出力部は、前記拡縮部が生成する前記拡縮後分岐配管収容空間情報を有する前記配管配置情報を出力する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配管設計装置。
前記出力部は、前記配管配置情報を閲覧するビューワーが独自形式のファイルと、前記ビューワー以外の他のビューワーと共通に閲覧可能な共通形式のファイルとにより前記配管配置情報を閲覧可能な場合、前記共通形式のファイルにより前記配管配置情報を出力する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の配管設計装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図を参照しながら、実施形態に係る自動配管設計システム1の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る自動配管設計システム1の構成の一例を示す図である。
【0020】
[自動配管設計システム1の構成]
自動配管設計システム1は、配管設計装置10と、配管形状テンプレート情報記憶部20と、配管情報記憶部40と、規定情報記憶部60とを備える。
【0021】
自動配管設計システム1は、ユーザ70からの要求に基づき、分岐配管BPの配置形状を提供するシステムである。ここで、本実施形態において、分岐配管BPとは、流体が流れる母管MPから分岐する配管である。
図2は、実施形態における母管MP及び分岐配管BPの一例を示す図である。母管MP及び分岐配管BPを、x軸、y軸及びz軸の三次元直交座標系によって示す。
同図に示すように、配管Pは、母管MPと、分岐配管BPとを備える。母管MPには、x軸方向に所定の流体が流れる。母管MPに流れる流体は、分岐点P1及び分岐点P2において、分岐配管BPに流れ込む。分岐点P1及び分岐点P2において分岐配管BPに流れ込んだ流体は、分岐配管BPを通り終点P5に流れ込む。
【0022】
ここで、流体とは、液体、気体及び粉体である。母管MPに流れる流体は、水や液体窒素等の液体、ガスや蒸気等の気体、セメントやポリエチレン等の粉体であってもよい。本実施形態において流体とは、天然ガス、都市ガス、メタンガス、LPGガス、水素ガス等のガスであるとして説明する。
【0023】
図1に戻り、配管形状テンプレート情報記憶部20は、配管形状テンプレート情報TIを記憶する。配管形状テンプレート情報TIとは、分岐配管BPの形状を記憶した情報である。配管形状テンプレート情報TIに示される分岐配管BPの形状は、建屋等の空間の形状に基づいて配置される。
ここで、建屋とは、ガバナステーション、バルブステーション,メータステーション,昇圧ステーション,ガス放散ステーション,ピグステーション,熱量調整ステーション等の他、ガス機器設備等を広く含む。本実施形態において、建屋とはガバナステーションである場合の一例について説明する。配管形状テンプレート情報TIは、既往の設計実績により作成される。
なお、この一例において分岐配管が収容される空間は、上述したような建造物を有する設備に限らず、屋内と屋外とを隔てる建造物を有さない設備であってもよい。例えば、分岐配管が収容される空間は、屋外における建造物の基礎の形状により示される空間であってもよい。
配管形状テンプレート情報TIは、流体が流れる母管MPから分岐する分岐配管BPの配置形状を示す形状情報TLIと、配管Pに流れる流体の情報を示す流体情報TFIとを有する。
【0024】
図3は、実施形態における形状情報TLIの一例を示す図である。同図では、
図2においてx軸、y軸及びz軸の三次元直交座標系によって示した母管MP及び分岐配管BPの配管形状を、配管形状テンプレート情報TIとして示す。この一例では、配管形状テンプレート情報TIをx軸及びy軸の二次元直交座標系によって示す。配管形状テンプレート情報TIは、三次元情報であるため、配管形状テンプレート情報TIを三次元情報で表示してもよい。
具体的には、配管形状テンプレート情報TIが有する形状情報TLIとは、分岐配管BPが配置される配置位置の中心線を記載した形状データを含む情報である。つまり、配管形状テンプレート情報TIは、流体が流れる母管MPから分岐する分岐配管BPの配置形状を示す。
【0025】
同図において、母管情報MPIは母管MPの配置位置の情報である。母管MPは、分岐点P1及び分岐点P2において、分岐配管BPに分岐する。母管MPの内部を流れる流体は、分岐点P1及び分岐点P2において分岐配管BPに流れ込む。分岐配管BPを通り終点P5に流れ込む。形状情報TLIは、分岐点P1、分岐点P2及び終点P5の位置情報を含む。
この一例において、分岐配管BPは、分岐配管BP1と、分岐配管BP2と、分岐配管BP3と、分岐配管BP4と、分岐配管BP5と、分岐配管BP6と、分岐配管BPと7とを備える。
分岐配管情報BPI1は分岐配管BP1の情報を、分岐配管情報BPI2は分岐配管BP2の情報を、分岐配管情報BPI3は分岐配管BP3の情報を、分岐配管情報BPI4は分岐配管BP4の情報を、分岐配管情報BPI5は分岐配管BP5の情報を、分岐配管情報BPI6は分岐配管BP6の情報を、分岐配管情報BPI7は分岐配管BP7の情報を、それぞれ示す。形状情報TLIが有する岐配管BPの情報は、分岐配管BPの流量毎に定められる。
この一例において、分岐配管BP1は、分岐点P3及び分岐点P4において、分岐配管BP2に接続される。
【0026】
なお、形状情報TLIは、分岐配管BPが配置される分岐配管収容空間情報を含んでいてもよい。
分岐配管収容空間情報は、ガバナ―ステーション等の建屋や、建屋を持たない屋外の設備等の情報であってもよい。この一例において、分岐配管収容空間情報は、建屋情報BIである場合について説明する。
具体的には、形状情報TLIは、分岐配管収容空間情報として、建屋情報BI1及び建屋情報BI2を有していてもよい。同図において、建屋情報BI1は機器室Aの情報を、建屋情報BI2は機器室Bの情報をそれぞれ示す。建屋情報BI1及び建屋情報BI2を区別しない場合は建屋情報BIと記載する。
【0027】
なお、形状情報TLIには分岐配管BPを支持する支持部材(不図示)及び分岐配管BPを固定する固定部材(不図示)等の部材が配置される部材配置位置情報を記憶していてもよい。
【0028】
図4は、実施形態における流体情報TFIの一例を示す図である。流体情報TFIには、それぞれの分岐配管BPの情報(
図3に示した、分岐配管情報BPI1から分岐配管情報BPI7までの情報)に対し、流量と圧力とが対応付けられて記憶されている。
一例として、“分岐配管情報BPI1 ”に対し、“流量:Q
1”と、“圧力: P
1”とが、対応付けられて記憶されている。この一例において、流量及び圧力は、分岐配管BPに流れる標準ガス流量を基準とした倍数(例えば、1/2から2倍等)により相対的な区分を示した値である。つまり、配管形状テンプレート情報TIは、流体の流量、流体の圧力又は流体の流量及び流体の圧力の区分を示す情報を含む。
流量及び圧力を示す値は、この一例に限定されず、標準ガス流量に依存しない絶対的な値で示してもよい。
【0029】
図1に戻り、配管情報記憶部40は、分岐配管BPを構成する要素であるパーツの情報である配管情報PIを記憶する。具体的には、配管情報PIは、配管の種類、口径、肉厚、材質、製造方法等を含む。
【0030】
規定情報記憶部60は、分岐配管BPの配置に関する規定である規定情報RIを記憶する。一例として、規定情報RIは、形状情報TLIに含まれる建屋情報BIに示される建屋の外壁と、分岐配管情報BPIに示される分岐配管BPとの距離を規定する。
規定情報RIは、設備の配置上,建設上,メンテナンス上必要な離隔距離等を規定として含んでいてもよい。
【0031】
ユーザ70は、自動配管設計システム1により、ガバナステーション等の配管設計を行う者である。ユーザ70は、配管設計装置10に性状情報CIを提供し、配管設計装置10から配管配置情報LIを取得する。
性状情報CIとは、分岐配管BPの内部を流れる流体の性状を示す情報を含む。性状情報CIは、少なくとも母管MPを流れる流体の圧力、温度、流量、流速又は組成のいずれかの情報を含む。
配管配置情報LIとは、配管形状テンプレート情報記憶部20が記憶する配管形状テンプレート情報TIに、配管情報記憶部40が記憶する配管情報PIを配置した情報である。
【0032】
配管設計装置10は、ユーザ70から性状情報CIを取得する。配管設計装置10は、配管形状テンプレート情報記憶部20から配管形状テンプレート情報TIを取得する。配管設計装置10は、配管情報記憶部40から配管情報PIを取得する。配管設計装置10は、規定情報記憶部60から規定情報RIを取得する。
配管設計装置10は、取得した性状情報CI、配管形状テンプレート情報TI、配管情報PI及び規定情報RIに基づいて配管配置情報LIを生成する。配管設計装置10は、生成した配管配置情報LIをユーザ70に提供する。
【0033】
[配管設計装置10の構成]
図5は、実施形態における配管設計装置10の構成の一例を示す図である。
配管設計装置10は、配管径決定部110と、配管情報取得部120と、配管要素選択部130と、配管配置情報生成部140と、出力部150と、拡縮部160とを備える。
【0034】
配管径決定部110は、配管形状テンプレート情報記憶部20から配管形状テンプレート情報TIを取得する。配管形状テンプレート情報TIは、形状情報TLI及び流体情報TFIを有する情報である。
【0035】
この一例において、建屋はガバナステーションとして説明している。この場合において、配管形状テンプレート情報記憶部20は、ガバナステーションの規模に応じて複数の配管形状テンプレート情報TIを有していてもよい。
また、本実施形態において、建屋とは、ガバナステーション、バルブステーション,メータステーション,昇圧ステーション,ガス放散ステーション,ピグステーション,熱量調整ステーション等の他ガス機器設備等を広く含むため、配管形状テンプレート情報記憶部20は、それぞれの建屋について複数の配管形状テンプレート情報TIを有していてもよい。また、配管形状テンプレート情報記憶部20は、建屋を持たない屋外の設備について複数の配管形状テンプレート情報TIを有していてもよい。
【0036】
配管径決定部110は、性状情報取得部30を介して、ユーザ70から性状情報CIを取得する。
配管径決定部110は、配管形状テンプレート情報記憶部20から取得した配管形状テンプレート情報TIと、性状情報取得部30を介して取得した性状情報CIとに基づき、分岐配管BPの径を決定する。また、配管径決定部110は、配管形状テンプレート情報TIに含まれる流体の流量、流体の圧力又は流体の流量及び流体の圧力の区分に基づいて、分岐配管の径を決定する。
【0037】
ここで、性状情報取得部30の一例について、図を参照しながら説明する。
図6は、実施形態における性状情報取得画面300の一例を示す図である。性状情報取得画面300は、性状情報取得部30の一例である。
性状情報取得画面300は、性状情報入力部320、必要口径計算ボタン330及び必要口径表示部360を画面の構成要素として備える。
【0038】
性状情報入力部320は、上流側圧力入力ボックス321と、下流側圧力入力ボックス322と、流量入力ボックス323と、最高流速入力ボックス324とを画面の構成要素として備える。以降、上流側圧力入力ボックス321と、下流側圧力入力ボックス322と、流量入力ボックス323と、最高流速入力ボックス324とを区別しない場合は、性状情報入力ボックス325とする。
性状情報入力部320は、性状情報入力ボックス325に入力された性状情報CIを取得する。性状情報CIは、上流側圧力、下流側圧力、流量、最高流速を含む。
【0039】
上流側圧力は、母管MPから分岐配管BPに分岐する点である分岐点P1及び分岐点P2における圧力である。この一例において、上流側圧力は、1.0MPaである。
下流側圧力は、分岐配管BPの終点P5における圧力である。この一例において、下流側圧力は、0.1MPaである。
流量は、母管MPに流れる流体の流量である。この一例において、流量は、1000m
3N/hである。
最高流速は、母管MPに流れる流体の流量である。この一例において、最高流速は、10m/secである。
【0040】
なお、性状情報入力ボックス325は、あらかじめ記憶された数値の中から、ユーザ70に所定の数値を選択させるように構成することにより、性状情報CIを取得してもよい。
例えば、上流側圧力入力ボックス321は、上流側圧力選択ボタン321aを備える。上流側圧力入力ボックス321は、ユーザ70に上流側圧力選択ボタン321aにより所定の数値を選択するよう構成してもよい。
【0041】
性状情報入力部320は、取得した性状情報CIを配管径決定部110及び配管要素選択部130に提供する。
【0042】
必要口径計算ボタン330は、性状情報入力部320に入力された性状情報CIに基づき、分岐配管BPの必要口径を表示させるためのボタンである。性状情報取得画面300は、必要口径計算ボタン330に対する操作がなされたことを検出すると、必要口径表示部360に対して、分岐配管BPの必要口径を表示させる。
具体的には、配管径決定部110は、必要口径の計算を行う。配管径決定部110は、配管形状テンプレート情報記憶部20から取得した配管形状テンプレート情報TI及び性状情報取得部30から取得した性状情報CIに基づき、分岐配管BPの径を計算し、計算した分岐配管BPの径に基づき、必要口径を選定する。
【0043】
必要口径表示部360は、計算値表示部340及び選定口径表示部350を画面の構成要素として備える。
計算値表示部340は、配管形状テンプレート情報TIに定められた分岐配管BPごとの必要口径を表示する。計算値表示部340は、配管径決定部110により計算された分岐配管BPの必要口径を表示する。同図において、符号341には分岐配管BP1の必要口径を、符号342には分岐配管BP2の必要口径を、符号343には分岐配管BP3の必要口径を、それぞれ示している。
選定口径表示部350は、計算値表示部340に示された必要口径に基づき、選定された配管の口径(選定口径)を表示する。計算値表示部340は、配管径決定部110により選定された選定口径を表示する。同図において、符号351には分岐配管BP1の選定口径を、符号352には分岐配管BP2の選定口径を、符号353には分岐配管BP3の選定口径を、符号354には分岐配管BP4の選定口径を、符号355には分岐配管BP5の選定口径を、それぞれ示している。
【0044】
なお、性状情報取得画面300は、ファイル読み込み部310を備えていてもよい。ここで、ファイルとは、既に性状情報CIが性状情報入力部320に入力され、必要口径の選定がなされた情報が保存されているファイルである。
ファイル読み込み部310は、URL入力ボックス311と、参照ボタン312と、読み込みボタン313とを画面の構成要素として備える。
ファイル読み込み部310は、URL入力ボックス311に入力されたファイルの格納先にあるファイルを取得する。
【0045】
なお、この一例において、ユーザ70が参照するファイルは、ベンダ依存のファイル形式であっても、ベンダ非依存のファイル形式であってもよい。ベンダ非依存のファイル形式である場合、配管設計装置10は、ファイル読み込み部310により、他の装置により生成されたファイルを読み込むことができる。
【0046】
図5に戻り、配管情報取得部120は、配管情報記憶部40から、分岐配管BPを構成する要素であるパーツの情報である配管情報PIを取得する。
配管情報PIは、分岐配管BPを構成する要素であり、少なくとも分岐配管BPの径をパラメータとして有する。また、配管情報PIは配管要素ごとに性状情報CIを示す情報を有する。
配管情報PIとは、分岐配管BPを構成する要素であり、少なくとも分岐配管BPの径をパラメータとして有する配管要素を示す情報と、性状情報CIとが互いに関連付けられた情報である。
【0047】
ここで、配管情報PIについて図を参照しながら説明する。
図7は、実施形態における配管情報PIの一例を示す図である。同図に示す一例において、例えば、配管情報PI1には、配管要素“名前:S001、種類:直管、口径:100、肉厚:6.0、材質:炭素鋼、製造方法:溶接、…”と、性状情報“種類:天然ガス、圧力:1.14、流速:33.6、…”との各情報が互いに対応付けられている。
これと同様に、配管情報PI2、配管情報PI3、配管情報PI4、配管情報PI5、配管情報PI6、配管情報PI7、配管情報PI8、配管情報PI9、配管情報PI10、配管情報PI11、配管情報PI12、配管情報PI13、配管情報PI14、配管情報PI15のそれぞれについて、配管要素と性状情報との各情報が互いに対応づけられている。
【0048】
配管の種類は、同図に示された直管、曲管、レジューサ、異径TEE、同径TEEの他、フランジ等の配管パーツであってもよい。直管の場合は、口径、肉厚、材質、製造方法等の情報が対応付けられている。曲管の場合は、口径、肉厚、材質、製造方法の他、曲率等の情報が対応付けられていてもよい。レジューサの場合は、口径、肉厚、材質、製造方法の他、同心又は偏心を示す形状情報等の情報が対応付けられていてもよい。異径TEEの場合は、口径、肉厚、材質、製造方法の他、中心から端面までの距離や、それぞれの口径についての情報等の情報が対応付けられていてもよい。同径TEEの場合は、口径、肉厚、材質、製造方法の他、中心から端面までの距離等の情報が対応付けられていてもよい。フランジの場合は、口径、肉厚、材質、製造方法の他、耐圧力等の情報が対応付けられていてもよい。
【0049】
図5に戻り、配管情報取得部120は、取得した配管情報PIを配管要素選択部130及び配管配置情報生成部140に提供する。
【0050】
配管要素選択部130は、配管径決定部110から取得した分岐配管径情報DIに示される分岐配管BPの径と、性状情報CIに基づき、配管要素を選択する。配管要素は、配管情報取得部120が取得する配管情報PIに示される複数の配管要素の中から、配管径決定部110が決定した配管径と、性状情報CIに示される流体の性状とに応じて選択される。
配管要素選択部130は、選択した配管要素を、配管要素情報EIとして配管配置情報生成部140に提供する。
【0051】
配管配置情報生成部140は、配管形状テンプレート情報記憶部20から配管形状テンプレート情報TIを取得し、配管情報取得部120から配管情報PIを取得し、配管要素選択部130から配管要素情報EIを取得する。
配管配置情報生成部140は、配管要素選択部130が選択する配管要素情報EIを、配管形状テンプレート情報TIが示す分岐配管BPの配置形状に沿って配置する。
【0052】
ここで、配管要素選択部130が選択する配管要素情報EIを、配管形状テンプレート情報TIが示す分岐配管BPの配置形状に沿って配置した情報である配管配置情報LIについて図を参照しながら説明する。
図8は、実施形態における配管配置情報LIの一例を示す図である。
母管情報MPI、分岐配管情報BPI1及び分岐配管情報BPI2は、形状情報TLIに示される情報である。
図3において、分岐配管BPが分岐配管BP1から分岐配管BP7までの7つの分岐配管BPに分けられ、それぞれについて流体情報が定義される一例を示したが、
図8においては、分岐配管BP1から分岐配管BP7のうち、分岐配管BP1及び分岐配管BP2の例について説明する。
分岐配管BP1は、分岐点P1及び分岐点P2において母管MPから分岐している。また、分岐配管BP2は、分岐点P3及び分岐点P4において分岐配管BP1から分岐している。
【0053】
配管要素選択部130は、分岐配管情報BPI1の形状及び性状情報CIに基づき、配管情報PIのうちから配管要素を選択する。配管要素選択部130は、選択した配管要素を分岐配管情報BPI1が示す形状に沿って配置する。この一例において、配管要素選択部130は、配管情報PIのうちから配管P11、配管P12、配管P13、配管P14、配管P15、配管P16及び配管P17を選択し、分岐配管情報BPI1が示す形状に沿って配置している。配管P11、配管P14及び配管P17は、直管である。配管P12及び配管P16は曲管である。配管P13及び配管P15は、異径TEEである。
【0054】
配管要素選択部130は、分岐配管情報BPI2の形状及び性状情報CIに基づき、配管情報PIのうちから配管要素を選択する。配管要素選択部130は、選択した配管要素を分岐配管情報BPI2が示す形状に沿って配置する。この一例において、配管要素選択部130は、配管情報PIのうちから配管P18、配管P19、配管P20、配管P21、配管P22、配管P23、配管P24及び配管P25を選択し、分岐配管情報BPI2が示す形状に沿って配置している。配管P19、配管P21、配管P22及び配管P24は、直管である。配管P18、配管P20、配管P23及び配管P25は曲管である。
【0055】
同図に示したように、配管配置情報LIは、配管要素の接続順序を示す。
図5に戻り、配管配置情報生成部140は、配管要素情報EIを分岐配管BPの配置形状に沿って配置した情報を、拡縮前配管配置情報BLIとして出力部150及び拡縮部160に提供する。この場合、拡縮前配管配置情報BLIは配管配置情報LIの一例である。
【0056】
出力部150は、配管配置情報生成部140から拡縮前配管配置情報BLIを取得する。出力部150は、配管配置情報生成部が生成する拡縮前配管配置情報BLIを、配管配置情報LIとして記憶部50に出力する。
記憶部50は、ユーザ70により配管設計装置10に接続された汎用メモリであってもよい。配管設計装置10と、記憶部50との通信方式は限定されない。一例として、配管設計装置10は、無線通信により記憶部50に対し、配管配置情報LIを送信する。その場合、出力部150は送信部である。出力部150は、有線接続された通信方式によって記憶部50に配管配置情報LIを出力してもよい。
【0057】
なお、出力部150が出力する配管配置情報LIのファイル形式は、配管設計装置10により閲覧可能なファイル形式(独自形式のファイル)であってもよいし、他の装置と共通で閲覧可能なファイル形式(共通形式)であってもよい。この一例において、出力部150は、共通形式により配管配置情報LIを出力する。つまり、出力部150は、配管配置情報LIを閲覧するビューワーが独自形式のファイルと、ビューワー以外の他のビューワーと共通に閲覧可能な共通形式のファイルとにより閲覧可能な場合、共通形式のファイルにより配管配置情報LIを出力する。
【0058】
なお、配管設計装置10は、拡縮部160を備えていてもよい。
拡縮部160は、配管配置情報生成部140から拡縮前配管配置情報BLIを、配管情報取得部120から配管情報PIを取得する。
拡縮部160は、取得される拡縮前配管配置情報BLIに示される配管要素の情報に基づき、配置形状の拡大倍率を変更した位置に配管要素を配置する。一例として、配管要素と配管要素との距離が所定の長さ(以降、離隔距離と記載する。)より長い場合に、拡縮部160は、配管情報PIのうちから、離隔距離を満足することができる配管要素を選択し、配置形状の拡大倍率を変更する。拡縮部160は、配置形状の拡大倍率を変更した位置に配管要素を配置する。つまり、拡縮部160は、配管形状テンプレート情報TIが示す分岐配管BPの配置形状のうち少なくとも一部の拡大倍率が変更された拡縮後の配置形状を生成する。
【0059】
この一例において、拡縮部160は、直管の長さを変えることにより、配置形状の拡縮を行う。つまり、拡縮部160が配置形状を拡大する場合、曲管やTEEは変更せず、直管の長さを長くすることにより配置形状を拡大する。また、拡縮部160が配置形状を縮小する場合、曲管やTEEは変更せず、直管の長さを短くすることにより配置形状を縮小する。なお、2つの配管が平行に配置されている場合には、拡縮部160は、2つの配管のうち長い方の配管に合わせて短い方の配管の長さを延長する。
つまり、拡縮部160は、配管形状テンプレート情報TIが示す分岐配管BPの配置形状のうち少なくとも一部の拡大倍率が変更された2つの配管が平行に配置されている場合は、2つの配管のうち長い方の配管に合わせて短い方の配管の長さを延長する。
【0060】
拡縮部160は、拡縮後の配管配置情報LIを拡縮後配管配置情報ALIとして、出力部150に出力する。拡縮後配管配置情報ALIは、拡縮部160が拡大倍率を変更した後の拡縮後の配置形状に基づいて生成される。拡縮後配管配置情報ALIは、配管配置情報LIの一例である。
拡縮部160が生成する拡縮後の配置形状が示す分岐配管BPの長さ(つまり、拡縮後配管配置情報ALI)は、配管形状テンプレート情報が示す分岐配管BPの長さと異なる。
【0061】
なお、配管設計装置10は、規定情報RIを記憶した規定情報記憶部60から、規定情報RIを取得する構成としてもよい。規定情報RIとは、離隔距離等の情報である。規定情報RIに示される離隔距離は、分岐配管BPを収容する空間の寸法と分岐配管との距離を少なくとも示す。隔離情報は、設備の配置上,建設上,メンテナンス上必要な間隔を考慮して決められる。
拡縮部160は、建屋情報BIが示す空間の寸法と、規定情報記憶部60に記憶される規定情報RIとに基づいて、拡縮後の配置形状を生成する。
拡縮部160は、生成した拡縮後配管配置情報ALIを出力部150に出力する。
出力部150は、拡縮部160から取得した拡縮後配管配置情報ALIを記憶部50に出力する。
【0062】
次に、図を参照しながら、配管設計装置10の一連の動作の一例について説明する。
図9は、実施形態における配管設計装置10の一連の動作の一例を示す図である。
[配管設計装置10の一連の動作]
(ステップS10)配管設計装置10が備える配管径決定部110は、性状情報取得部30から取得される性状情報CI(流体性状データ)を取得する。
(ステップS20)配管径決定部110は、配管形状テンプレート情報記憶部20から配管形状テンプレート情報TI(ガバナステーション雛形データ)を取得する。配管径決定部110は、取得した性状情報CI及び配管形状テンプレート情報TIに基づき、分岐配管BPの径(配管径)を決定する。配管径決定部110は、決定した分岐配管BPの径の情報を、分岐配管径情報DIとして、配管要素選択部130に提供する。
【0063】
(ステップS30)配管情報取得部120は、配管情報記憶部40から配管情報PIを取得する。配管情報取得部120は、取得した配管情報PIを配管要素選択部130に提供する。配管要素選択部130は、分岐配管径情報DI、性状情報CI及び配管情報PIに基づき、配管要素(配管パーツ)を選択する。配管情報取得部120は、選択した配管要素を、配管要素情報EIとして配管配置情報生成部140に提供する。
【0064】
(ステップS40)配管配置情報生成部140は、配管形状テンプレート情報記憶部20から配管形状テンプレート情報TIを、配管要素選択部130から配管要素情報EIを、配管情報取得部120から配管情報PIを取得する。配管配置情報生成部140は、取得した配管形状テンプレート情報TI、配管要素情報EI及び配管情報PIに基づいて配管要素の配置(パーツ配置)を行う。配管配置情報生成部140は、配管要素を配置した情報を、拡縮前配管配置情報BLIとして出力部150及び拡縮部160に提供する。
(ステップS50)拡縮部160は、配管配置情報生成部140から拡縮前配管配置情報BLIを、規定情報記憶部60から規定情報RIを取得する。拡縮部160は、取得した拡縮前配管配置情報BLI及び規定情報RIに基づき、拡縮を行う。拡縮部160は、拡縮後の配置形状を生成する。拡縮部160は、拡縮後の配置形状を、拡縮後配管配置情報ALIとして出力部150に出力する。
【0065】
(ステップS60)なお、本実施形態において、配管設計装置10は、ステップS60を行ってもよい。この場合、拡縮後配管配置情報ALIは、ガバナステーションの外壁の位置を示す情報(拡縮後分岐配管収容空間情報)を有する。拡縮後分岐配管収容空間情報は、建屋情報BIが示す空間の寸法のうち少なくとも一部の拡大倍率が変更された情報である。
拡縮部160は、分岐配管BPの配置形状に基づき、外壁の位置を決定する。つまり、拡縮部160は、配管配置情報生成部140が生成する拡縮前配管配置情報BLIと、配管形状テンプレート情報TIが有する建屋情報BIと、規定情報RIとに基づいて、拡縮後分岐配管収容空間情報を生成する。
拡縮部160は、ガバナステーションの外壁の位置を示す情報を含む拡縮後配管配置情報ALIを、出力部150に提供する。出力部150は、拡縮部160が生成する拡縮後分岐配管収容空間情報を有する拡縮後配管配置情報ALIを出力する。
【0066】
以上説明したように、本実施形態において、配管設計装置10は、配管形状テンプレート情報TI、性状情報CI及び配管情報PIを取得する。配管設計装置10は、取得した配管形状テンプレート情報TI、性状情報CI及び配管情報PIに基づき、配管配置情報LIを生成し、記憶部50に出力する。
従来、配管配置情報LIを得るためには、配管設計技術者による配管設計を行っていたため、経験のある配管設計技術者を要し、配管設計を行う手間と時間がかかっていた。本実施形態においては、配管設計装置10は、配管形状テンプレート情報TI、性状情報CI及び配管情報PIを取得することにより、配管配置情報LIを出力する。
したがって、ユーザ70は、配管設計装置10を使用することにより、時間と手間がかからず、また、配管設計技術者の経験に拠らず、配管配置情報LIを得ることができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、配管設計装置10は、拡縮部160をさらに備えていてもよい。拡縮部160は、配管配置情報生成部140が出力する拡縮前配管配置情報BLIに対し、拡縮を行う。拡縮部160は、拡縮後配管配置情報ALIを出力部150に提供する。出力部150は、拡縮後配管配置情報ALIを配管配置情報LIとして記憶部50に出力する。
従来、配管設計技術者により、分岐配管BPの隔離距離を確認していた。配管設計技術者は、分岐配管BPの隔離距離が規定された値よりも短い場合には、より長い分岐配管を配置することにより、隔離距離を確保していた。同様に、分岐配管BPの隔離距離が規定された値よりも長い場合には、より短い分岐配管を配置することにより、分岐配管BPの配置形状を縮小していた。つまり、従来、配管設計技術者により、分岐配管BP配置形状の拡縮を行っていた。
本実施形態においては、配管設計装置10は、拡縮部160を備えることにより、配管配置情報LIの拡縮を行うことができる。したがって、配管設計装置10は、配管設計技術者によらず、配管配置情報LIを拡縮することができる。その結果、配管設計装置10は、規定に則った配置形状の設計をすることができる。また、配管設計装置10は、余計なスペースを要しない配置形状の設計をすることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、拡縮とは、分岐配管BPの長さを変えることである。配管設計装置10が備える拡縮部160は、分岐配管BPの、直管の長さを変えることにより、拡縮を行う。
したがって、拡縮部160は、曲管やTEEを変えずに直管の長さを変えることにより、拡縮を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、配管設計装置10が備える拡縮部160は、平行配管の場合には、長い方の配管に合わせて拡縮を行う。したがって、拡縮後の配置形状が、拡縮を行うことにより規定を満たさなくなることがない。
【0070】
また、本実施形態によれば、配管形状テンプレート情報TIは、分岐配管収容空間情報を有する。したがって、配管設計装置10が備える配管配置情報生成部140は、分岐配管収容空間情報に基づき、建屋等の形状に合わせて配管を配置することができる。
したがって、配管設計装置10は、建屋等の形状に合わせた配置形状の設計をすることができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、配管配置情報LIは、拡縮後分岐配管収容空間情報を有する。配管設計装置10が備える拡縮部160は、配管配置情報LIが有する拡縮後分岐配管収容空間情報を生成することにより、建屋等の寸法を決定することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、出力部150は、共通形式のファイルを出力することができる。したがって、ユーザ70は、ビューワーに拘束されることなく、他のビューワーを利用して、配管配置情報LIを閲覧することができる。また、他のビューワーにより作成されたファイルを、本実施形態における配管設計装置10に使用することもできる。
【0073】
また、本実施形態によれば、配管形状テンプレート情報TIは、流量及び圧力の区分を示す情報を有する。したがって、配管設計装置10は、分岐配管BPの流量及び圧力の区分に応じた配管径を選択することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、流体とは、ガスであり、性状とは、圧、温度、流量、流速、組成である。したがって、ガスの圧力、温度、流量、流速又は組成に基づき、配管を自動設計することができる。
【0075】
なお、上述した配管設計装置10が備える機能の全部又は一部は、プログラムとしてコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、このプログラムがコンピュータシステムにより実行されてもよい。コンピュータシステムは、OS、周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置、インターネット等のネットワーク上のサーバ等が備える揮発性メモリ(Random Access Memory:RAM)である。なお、揮発性メモリは、一定時間プログラムを保持する記録媒体の一例である。
【0076】
また、上述したプログラムは、伝送媒体、例えば、インターネット等のネットワーク、電話回線等の通信回線により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0077】
また、上記プログラムは、上述した機能の全部又は一部を実現するプログラムであってもよい。なお、上述した機能の一部を実現するプログラムは、上述した機能をコンピュータシステムに予め記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるプログラム、いわゆる差分プログラムであってもよい。
【0078】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、具体的な構成が上述した実施形態に限られるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変更等も含まれる。