(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記糸を製作する原糸は可塑性樹脂であり、前記医療用糸の製作に使用される超音波の周波数は2〜4kHzであり、超音波発生部と陰刻パターンが形成された金型ベースとの間に原糸を挿入し、圧搾することで製作される、請求項1に記載の医療用糸。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有し得るので、具現例(あるいは実施例)を本文に詳細に説明することとする。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0021】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0022】
また、各図面における構成要素は、理解の便宜性などを考慮し、大きさや厚さを誇張して大きく(又は厚く)或いは小さく(又は薄く)表現したり、単純化して表現しているが、これによって本発明の保護範囲が制限的に解釈されてはならない。
【0023】
また、各図面において表現された構成要素の形状や形態は、本発明の実施例を説明するためのものであり、これに限定されてはならない。
【0024】
本明細書において使用された用語は、単に特定の具現例(又は実施例)を説明するために使用されただけであり、本発明を限定する意図のものではない。単数の表現は、文脈上明白に違うことを意味しない限り、複数の表現をも含む。本願において、〜含む〜又は〜からなる〜などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためのものであり、1つ或いはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除するものではないと理解されなければならない。
【0025】
違うように定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含め、ここで使用される全ての用語は、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者にとって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本願において明白に定義しない限り、理想的又は過剰に形式的な意味に解釈されるものではない。
【0026】
さらに、本発明は、第1の実施例乃至第3の実施例に区分して具体的に説明する。
【0027】
以下、
図1乃至
図2を参照しながら、本発明の第1の実施例に係る超音波により製作された医療用3次元糸について具体的に説明する。
【0028】
本発明の第1の実施例に係る超音波により製作された医療用3次元糸は、本体部100と、本体部の両側面から延びて形成される第1の突起セット210及び第2の突起セット220と、により構成され得る。
【0029】
医療用3次元糸を製作するための原糸は可塑性樹脂であり、超音波を用いて製作するのに通常使用されるPDO(Polydioxane)材質の場合、106℃の温度が融点で、当該温度に到逹すれば変形が起こったり、引張力と維持力の損失が生じ得る。
【0030】
製作時に使用される超音波は2〜4kHz以下の周波数であって、原糸の融点よりも低温の熱を生じさせ、好ましくは、2.5kHzの周波数を使用して変形可能な程度の熱のみを生じさせることができる。
【0031】
互いに隣接した位置に配置された超音波発生部と金型ベースとの間において、金型ベースの陰刻パターンと対応する位置に原糸を挿入し、超音波発生部を介して原糸を加圧しながら原糸に超音波を与え、超音波により陰刻パターンの形状通りに生成された3次元糸を射出することができる。
【0032】
3次元糸は、両側に対向する複数の突起(あご)を有するように形成され得る。
【0033】
超音波発生部は、3次元糸製造装置において上端に形成され、地面に固定された金型ベースと離隔して位置し得る。
【0034】
このとき、超音波発生部と金型ベースとは、平板状に構成され、中心軸を共有するように配置され得る。即ち、同じ中心軸を有し、一方向に並んで配置され得る。
【0035】
原糸が挿入されると、超音波発生部は、金型ベースに触れ合うことのできる距離だけ下に降りながら超音波を発生させ、挿入された原糸を加圧しながら超音波を与えることができる。
【0036】
原糸は、原糸挿入部を介して挿入され、金型ベースの陰刻パターンが位置した領域に対応して位置するように挿入されて固定され、原糸の幅は、陰刻パターンの幅よりも広くても良い。
【0037】
固定されている金型ベースの陰刻パターンの上に原糸が位置すると、上述した超音波発生器が動作し、3次元糸が生成されることができる。
【0038】
医療用3次元糸の本体部100は、両端に余分部120を含み、第1の突起セット210と第2の突起セット220とを連結する中心部110により構成され、各突起は中心部向きに形成されている。
【0039】
図1乃至
図2に示された糸は、本発明の第1の実施例に係る医療用3次元糸に示された形状を有しているが、これは、製作時に使用される金型ベースなどの枠に応じて異なっていても良い。
【0040】
以下、
図3を参照しながら、本発明の実施例に係る医療用3次元糸について説明する。
【0041】
医療用3次元糸において、本体部100の長さ方向を横方向、幅方向を縦方向と定義すると、突起の横断面又は縦断面は長方形であり得る。
【0042】
図3は、医療用3次元糸の縦断面であって、中央に本体部100が形成され、延びて形成された突起部が形成されており、図面に示す例は、第1の突起セット210が位置した部分にの縦断面図である。
【0043】
第1の突起セット210及び第2の突起セット220の頂部、即ち、先端部は、
図3に示すように所定の厚さを有するように形成され、糸の端部が溶けても、引張力が弱くなったり、無くなることなく、持続的な効果を出すことができる。
【0044】
図4は、本発明の第1の実施例に係る医療用3次元糸の規格を説明するための斜視図である。
【0045】
図面に示すように、本体部100の厚さaは、医療用3次元糸の中心軸となり、0.2mm乃至0.6mmにて形成され、用途に応じて厚さが調整されて形成され得る。
【0046】
本体部100の両側面から拡張して形成される突起部は、本体部100から突出した幅cが0.05mm乃至0.5mmであって、突出した突起が両側に対応して拡張され、用途に応じて対称をなしたり、ずれた形態で対をなすように形成され得る。
【0047】
一方、本体部100から拡張した突起は、所定の厚さを有するように形成され、最も厚い部分の厚さが0.2mm乃至0.6mmであり、本体部の厚さに対応して形成され得る。
【0048】
各突起において本体部100の中心部110に向かう先端部、即ち、本体部100が延びた方向への長さbは1.0mm乃至1.4mmであり、用途に応じて長さは異なるように形成され得る。
【0049】
具体的に、本発明の3次元糸と従来技術の3次元糸とを比較すると、以下の通りである。本発明の3次元糸は、超音波によって非常に精密な製作が可能であるため、従来技術により製作された3次元糸に比べてより小さく精密なパターンに製造されることができる。
【0050】
以下、
図5を参照しながら、本発明の第1の実施例に係る医療用3次元糸について追加説明する。
【0051】
図5は、本発明の第1の実施例に係る医療用3次元糸の第1の突起セット210であり、図面に示すように、突起部は所定の厚さを有するように形成され得る。
【0052】
図面に示された医療用3次元糸の場合、第1の実施例に係る糸であって、本体部100の厚さ、即ち、円形の本体部100の直径と同じ厚さを有する突起が形成され、当該突起は、本体部100から延び始まる部分と頂部との厚さが同一に形成され得る。
【0053】
側面から見て突起部の一側面は長方形状に形成され、左右対称に形成され得る。
【0054】
突起が本体部100から延びて生成され、本発明の第1の実施例に係る突起は、図面に示すように三角形状に形成され、突起の最長辺と本体部100とがなす内角は鋭角に形成され、突起の最短辺と本体部100とがなす内角は鈍角に形成されて、突起が中心部110に向かうようにすることができる。
【0055】
本発明の第1の実施例に係る医療用3次元糸において、第1の突起セット210と第2の突起セット220とは、形成される長さが異なっていても良い。
【0056】
以下、
図6乃至
図9dを参照しながら、本発明の他の実施例について詳しく説明する。
【0057】
図6は、本発明の追加の実施例に係る医療用3次元糸に関する斜視図である。
【0058】
第1の実施例と同様に、本体部100から拡張して形成された第1の突起セット210及び第2の突起セット220により構成され、第1の突起セット210の複数の突起のうち、本体部100の一端と隣接した第1−1の突起部211の突起が、第1−1の突起部211の突起を除いた残りに該当する第1−2の突起部212と第2の突起セット220の突起よりも大きい幅を有するように形成され得る。
【0059】
例えば、
図6に示すように、3次元糸の全体において、一端に隣接した突起が残りの突起よりも大きく形成され、3次元糸を保管する容器に保管する際に、より容易に保管可能な形態に形成される。
【0060】
保管容器の挿入口の幅に対応して形成され、入口に全体が入るのではなく第1−1の突起部211が露出していて、3次元糸の出入が容易であり、第1−1の突起部211は実際の施術時に挿入される部分ではないので溶けたり、形成されるとしても問題なく使用できるように形成され得る。
【0061】
また、第1−1の突起部211の突起の厚さは、第1−2の突起部212の突起の厚さよりも小さく形成されても良く、第1−2の突起部212の他端、即ち、第2の突起部220と連結される端には突起のない本体部が形成されて、第1の実施例の3次元糸における中心部110のような役割をするように形成され得る。
【0062】
第1−2の突起部212と最も遠く離隔した第1−1の突起部211の他端には、突起のない本体部が形成されない形態で構成され得る。
【0063】
図7は、本発明の追加の実施例に係る医療用3次元糸に関する斜視図である。
【0064】
一方向に形成された第1の突起部により構成された第1の突起セット210と、第1の突起部とは逆方向に形成され、第1の突起セット210と離隔した第2の突起部により構成された第2の突起セット220と、から形成され得る。
【0065】
医療用3次元糸の一端は第1の突起セット210により構成され、他端は第2の突起セット220及び突起のない本体部100により構成され、突起のない本体部が最も最後に配置され得る。
【0066】
第1の突起セット210を構成する第1の突起のうち第2の突起部と最も離隔した位置に配置される突起の方向は、残りの第1の突起の方向とは逆方向に形成され、第2の突起セット220を構成する第2の突起のうち第1の突起と最も離隔した位置に配置される突起の方向は、残りの第2の突起の方向とは逆方向に形成され得る。
【0067】
即ち、第1の突起セット210において、第1−1の突起部211は、中心部110に向かう第1−2の突起部212とは逆方向に突起が形成され、第2−1の突起部221は、中心部110に向かう第2−2の突起部222とは逆方向に突起が形成され得る。
【0068】
但し、
図7に示すように、それぞれの突起セットと最も離隔した位置に形成され、一対以上の突起が各突起セットにおいて残りの突起と逆方向に形成され得る。
【0069】
また、第1の突起セット210の一端に突起のない本体部100が追加形成され得る(未図示)。
【0070】
図8は、本発明の追加の実施例に係る医療用3次元糸に関する斜視図である。
【0071】
本発明の追加の実施例に係る医療用3次元糸は、第1の実施例における医療用3次元糸と同じ構成を有し、第1の突起セット210及び第2の突起セット220のそれぞれは、最も長い斜辺が互いに対向する方向に形成され得る。
【0072】
即ち、第1の実施例の医療用3次元糸は、第1の突起セット210及び第2の突起セット220の突起が中心部110に向かうように形成され、対向しないように形成されるが、追加の実施例に係る医療用3次元糸は、それぞれの突起が中心部110の逆方向に向かうように形成され、突起の最長辺が互いに対向する形態に構成されて形成され得る。
【0073】
また、中心部110が第1の実施例における医療用3次元糸よりも短い長さに形成され、両端に余分部120を含まないこともあり得る。
【0074】
図9a乃至
図9dは、本発明の追加の実施例に係る医療用3次元糸に関する斜視図である。
【0075】
本発明の追加の実施例に係る医療用3次元糸は、本体部100と突起部の縦断面が半円形に形成され得る。
【0076】
即ち、
図9に示すように、本体部100が拡張して両側面に突起を形成し、突起が形成されていない他の側面のうち、一側面は扁平な形態に形成され、扁平な形態の一側面に対応する他側面は盛り上がって屈曲した形態に形成され得る。
【0077】
複数の突起は互いに異なる幅を有するように構成され、突起部の幅方向縦断面が半円形に形成され、本体部に隣接した部分の厚さが最も厚く形成され、本体部から離隔するほど薄い厚さを有するように形成され得る。
【0078】
突起の最も長い斜辺部分は屈曲した形状に構成され、突起の頂部が突起の形成方向に曲げられた形状を有するように形成され得る。
【0079】
即ち、本体部から延びて生成された突起の頂部が向かう方向へ少し曲げられた形態に形成されて、引張力が高くなることができる。
【0080】
また、肌内に挿入された際に突起の頂部が溶けたり損傷しても、頂部から本体部の方向へ行くほど厚さが厚くなる構造により、引張力の損失を低減することができる。
【0081】
本発明の追加の実施例に係る医療用3次元糸は、突起部と本体部との厚さが異なるように形成され得る。従来の場合、幅と長さが異なるサイズを有するように形成される程度に製作されていたが、本発明の追加の実施例に係る医療用3次元糸は、幅、長さ及び厚さが異なるサイズを有するように形成され得る。追加の実施例に係る医療用3次元糸は、第1の実施例における医療用3次元糸と同じ構造を有し、本体部100から拡張した突起は本体部100に近接するほど厚さが厚い形状に形成され得る。
【0082】
以下、本発明の実施例に係る医療用3次元糸の実際の大きさについて説明する。本発明の各実施例に係る医療用3次元糸は、1cm単位当たりの突起が6個乃至10個に形成され得る。
【0083】
本発明の実施例に係る医療用3次元糸は、1cm当たりに8個の突起が形成されており、これは、従来の医療用3次元糸に比べて1cm当たりにより多い数の突起を形成しているもので、より多くの突起により3次元糸の引張力が高くなることができる。
【0084】
図10乃至
図14は、本発明の実施例に係る医療用3次元糸を用途に応じて形状を変えた3次元糸に関する例示図である。
【0085】
図面に示すように、超音波を用いた医療用3次元糸の製作において、上述した実施例は説明のための形状に過ぎず、様々な形態への製作が可能であるため、上述した実施例に限定されるものではない。
【0086】
以下では、本発明の第2の実施例に係る、超音波により製作された医療用3次元糸について具体的に説明する。
【0087】
図16は、本発明の一実施例に係るトレンチ状の医療用糸を示すものであり、
図16の300は、本発明の一実施例に係る医療用糸10の側面を示すものであり、
図16の400は、本発明の一実施例に係る医療用糸10の平面を示すものであり、
図16の500は、本発明の一実施例に係る医療用糸10の正面を示すものである。
【0088】
図16を参照すると、本発明の一実施例に係るトレンチ状の医療用糸10は、長手方向に下面の真ん中が窪んで形成されたトレンチTを備えるボディ部320と、ボディ部320の両側に突出して形成された複数の突起部125と、を含む。
【0089】
従って、本発明の医療用糸10は、肌の内層に挿入される場合、ボディ部320のトレンチTにより肌組織と接触する面積が広いため、初期施術された肌位置から離脱したり、他の所に移動することが防止され、肌組織への固定力が高くなるという効果がある。
【0090】
以下では、
図19及び
図20に示された従来の医療用糸に比べて、肌組織から離脱することを効果的に防止するトレンチ構造と複数の突起状で構成された本発明の医療用糸について詳しく説明することとする。
【0091】
図18は、本発明の一実施例に係るトレンチ状の医療用糸のボディ部と突起部を説明するための拡大図である。
【0092】
本発明の医療用糸10は、ポリ乳酸(Polylactic acid)、ポリジオキサノン(Polydioxanone)、乳酸(Lactic acid)、グリコール酸(Glycolic acid)のコポリマー(Co−polymer)などのような生分解性ポリマー(高分子材料)材質からなっても良い。
【0093】
好ましくは、長手方向と垂直な方向に切断したボディ部320の横断面はコ字状に形成され得るが、これに限定されるものではない。一例として、ボディ部320の横断面は、C字状に形成され得る。
【0094】
図18を参照すると、複数の突起部125は、ボディ部320の上面Sに対して所定角度傾斜するように形成され得る。このとき、それぞれの突起部125は、先端が尖った楔状に形成され得る。例えば、
図18に示すように、複数の突起部125が上面Sに対して鈍角a2で傾斜するように形成された場合、各突起部125は、先端が尖った楔状がボディ部320の前方に偏るように形成され、前方に位置した楔部分が肌に対する固定力を維持するため、肌を前方に引張る役割をする。同様に、複数の突起部125が上面Sに対して鋭角a1で傾斜するように形成された場合、各突起部125は、先端が尖った楔状がボディ部320の後方(
図18の右側)に偏るように形成され(未図示)、後方に位置した楔部分が肌への固定力を維持するため、肌を後方に引張る役割をすることができる。
【0095】
また、ボディ部320の一端部が複数の突起部125のうち最外殻に位置した突起部125から延びるように形成され得る。具体的に、ボディ部320の長手方向の一端部が下側に傾斜するように形成され、最外殻に位置した突起部125から延びるように形成され得る。即ち、
図18のように、ボディ部320の最端部は、最外殻の突起部の形状がそのまま延びた形状に形成されることによって、ボディ部320の最端部は特定の傾斜を有する形状に形成され得る。ボディ部320の一端部も複数の突起部125と同じ方向に傾斜し、医療用糸10が一方向へ引張る力を補完することができる。
【0096】
複数の突起部125は、ボディ部320のトレンチTを挟んで互いに対応する位置に配置されるよう、ボディ部320の両側にそれぞれ備えられ得る。例えば、突起部125は、ボディ部320のトレンチTの両側の壁面の下部へ突出して形成され、対向する位置に形成された各突起部125が互いに対応する位置に形成される。
【0097】
ここで、トレンチTの底地点は、複数の突起部125の形成開始地点よりも低くても良い。これにより、トレンチTの底地点と複数の突起部125の形成開始地点とが同一な場合よりも、トレンチTの底地点の深さがより深くなる効果をもたらすので、これは、ボディ部320が肌に突き立たれる深さがより深くなり、糸の固定力を向上させることができる。さらに、トレンチT部分には、フィラーが引き込まれることのできる空間が形成されることもあり得る。
【0098】
また、複数の突起部125は、ボディ部320の長手方向に沿って連続的に離隔形成され得る。例えば、それぞれの突起部125は、ボディ部320の長手方向に沿って所定の間隔600をおいて離隔するように形成される。このとき、突起部125の間に形成される離隔間隔600を介してそれぞれの突起部125が肌に独立して突き立たれ、肌に対する医療用糸10の固定力が高くなることができる。
【0099】
本発明の一実施例に係る医療用糸10は、超音波加工により製作され得る。かかる超音波加工は、従来の金型又はカットでは加工することのできない精密な加工が可能であり、本発明のトレンチ状の医療用糸10のように立体的な加工が可能であるという長所がある。例えば、
図19及び
図20に示された医療用糸の場合、原糸を押圧して圧縮した後、金型にプレスすることで生産するか、原糸をカットして突起を生成するため、本発明のような精巧な3次元トレンチ構造を製作することはできない。
【0100】
前記超音波加工は、超音波振動をエネルギー源にし、振動する工具と工作物との間に研削粒子を供給して工作物を精密に整える既存の知られている加工技術であり、詳しい説明は省略することとする。一方、本発明の立体形状の糸を製作するためには、既存の超音波加工をそのまま用いるのではなく、特定の立体的な陰刻又は陽刻パターンを有する金型に原糸を入れ、超音波を走査してプレスする工程が行われることができる。
【0101】
一方、
図15を参照しながら、本発明の引掛り部材310の役割について詳しく説明することとする。
図15は、従来の医療用糸が通されたニードルを示す図である。
【0102】
一般的に、医療用糸をリフティング施術に使用するには、医療用糸を注射器ニードルの針管に通す過程が必要である。
【0103】
図15を参照すると、従来の場合、医療用糸11、12を注射器ニードルに挿入し、挿入された医療用糸11、12を注射器ニードルの外側に垂らした後、注射器ニードルにリング部材を介して固定する。即ち、医療用糸11、12を注射器ニードルの針管にいちいち通した後、リング部材を介して医療用糸11、12をニードルに固定する作業までさらに行わなければならないため、作業時間が多く所要されるという問題がある。
【0104】
再び
図16を参照すると、本発明の医療用糸10は、ボディ部320の一端に備えられ、ボディ部320の平面に対してボディ部320の幅よりも広い幅を有するように形成された引掛り部材310を含む。このとき、引掛り部材310は薄板状に形成され得るが、これに限定されるものではない。
【0105】
即ち、本発明の医療用糸10をニードルの針管に挿入する場合、ボディ部320の一端に形成された引掛り部材310がニードルの先端部に引っ掛る役割をするため、別途のリング部材を介して医療用糸10をニードルに固定する作業を省略することができる。これにより、医療用糸を注射器ニードルの針管に通す過程に所要される時間を短縮することができる。
【0106】
以下では、本発明の第3の実施例に係る、超音波により製作された医療用3次元糸について具体的に説明する。
【0107】
図面符号310の引掛り部材は、以下、本発明の第3の実施例に係る、超音波により製作された医療用3次元糸の説明において「ヘッド部」と称する。
【0108】
図16は、本発明の第3の実施例に係るヘッド部を備えた医療用糸を示すものであり、
図16の300は、本発明の第3の実施例に係る医療用糸10の側面を示すものであり、
図16の400は、本発明の第3の実施例に係る医療用糸10の平面を示すものであり、
図16の500は、本発明の第3の実施例に係る医療用糸10の正面を示すものである。
【0109】
図17は、本発明の他の実施例に係るヘッド部を備えた医療用糸の平面図を示すものであり、
図21乃至
図23は、本発明の第3の実施例に係るヘッド部の様々な形状を説明するための部分拡大図である。
【0110】
図16及び
図17を参照すると、本発明の医療用糸10は、一方向に延びたボディ部320と、ボディ部320の一端に備えられ、ボディ部320の幅よりも広い幅を有するように形成されたヘッド部310と、ボディ部320の少なくとも1つの面から突出して形成された複数の突起部125と、を含む。
【0111】
図15乃至
図17を参照すると、ヘッド部310の幅は、医療用糸10を挿入して保管するためのニードルの孔の大きさよりも広く形成され得る。これにより、本発明の医療用糸10は、ボディ部320からニードルの内部に挿入された後、ヘッド部310がニードルの外部で折り曲げられるように構成されることによって、医療用糸10がニードルに固定されることができる。
【0112】
即ち、本発明の医療用糸10は、ニードルの孔の大きさよりも広い幅で形成されたヘッド部310がニードルの先端部に引っ掛ったままニードルの下端部側に折り曲げられ、ニードルの外部で固定されることができる。従って、別途のリング部材を介して医療用糸をニードルに固定する作業を省略することができる。また、医療用糸を注射器ニードルの針管に通す過程に所要される時間を短縮することができる。
【0113】
本発明の医療用糸10は、ヘッド部310と、ボディ部320と、複数の突起部125と、を含む。例えば、複数の突起部125は、一方向に延びて形成されたボディ部320の少なくとも1つの面から突出して形成される。かかる複数の突起部125は、人体の肌内に医療用糸10が挿入される施術が完了した後、医療用糸10が肌内で流動することを防止する役割をする。ボディ部320及び突起部125の形状に関する詳細な説明は後述する。
【0114】
図17を参照すると、例えば、ヘッド部310は、頂点が任意の曲率を有する丸い形状に形成された四角形状に形成される。これにより、頂点が直角の四角形状のヘッド部310をニードルの外部で折り曲げる時よりも安全に作業をすることができる。
【0115】
また、ボディ部320は立体形状に形成され、ヘッド部310は薄板状に形成され得る。さらに詳しくは、ヘッド部310の厚さはボディ部320の厚さと異なるように形成され、ヘッド部310はボディ部320の厚さよりも薄い厚さに形成され得る。
【0116】
また、ヘッド部310は、ボディ部320よりも短い長さに形成されても良く、好ましくは、ヘッド部310は5mmに形成され、ボディ部320の長さは22mm乃至40mmに形成され得る。但し、これは一例であるだけであり、他の長さにも形成され得る。
【0117】
例えば、
図21乃至
図23を参照すると、ヘッド部310は、円形、楕円形、四角形、三角形など様々な形態に形成される。具体的に、
図21に示すように、ヘッド部310は円形に形成され得るが、これに限定されるものではなく、楕円形などに形成されても良い。また、
図22に示すように、ヘッド部310は正方形に形成され得るが、これに限定されるものではなく、長方形又は台形に形成されても良い。さらに、
図23に示すように、三角形状に形成され得る。
【0118】
本発明の第3の実施例に係る医療用糸のヘッド部は、原糸を超音波加工することで形成することができる。さらに具体的には、薄板状の陰刻が刻まれた金型ベースと超音波発生部との間に原糸を挿入し、超音波加工することによって、原糸の一端部が薄板状に押された形状になるようにすることができる。このように薄板状に押された原糸の一端部は、医療用糸のヘッド部310として、ボディ部320と断面積は実質的に同一であるものの、その断面の幅はニードル内に入らないように長く形成される。即ち、ヘッド部は、原糸の一端部を超音波加工することによって形成されるものであり、その断面(ボディ部の長手方向に対して垂直に切った面)の幅はニードルのカット部を覆うことができる程に長く、その厚さは肌内に挿入された際に組織に異物感を与えないように薄く形成される。原糸の一端部を超音波加工してヘッド部310を形成するので、原糸の材料の変成がなく、ヘッド部310の強度、柔軟性など材料の特性がボディ部320と類似するように維持される。従って、生体組織への吸収度や支持力を適切に維持すると同時に組み立てが便利であり、ニードルのカット部から組織を保護することができる。医療用糸10は、ボディ部320からニードルの内部に挿入された後、ヘッド部310がニードルの外部で折り曲げられるが、このとき、ニードル先端のカット部を覆うように構成することもできる。このような構成により、医療用糸10がニードルに固定されると同時にニードルの組織内への挿入時にカット部から組織を保護する働きもすることになる。
【0119】
一方、以下では、
図16乃至
図20を参照しながら、本発明のヘッド部を備えた医療用糸の様々なボディ部と突起部の形状について説明することとする。
【0120】
図18は、
図16に示されたヘッド部を備えた医療用糸のボディ部と突起部を説明するための拡大図であり、
図19は、従来の金型により製造された医療用糸を示す図であり、
図20は、従来のカットにより製造された医療用糸を示す図である。
【0121】
一般的に医療用糸に突起を形成する方式としては、刃を使用して手作業で突起を形成する方式、刃が備えられた機械を使用して突起を形成する機械的方式、及び医療用糸を圧搾して突起を形成する方式などがある。
【0122】
先ず、
図19に示すように、金型を用いた圧搾方式の場合、医療用糸11の原材料を設定された温度条件で加熱し、加熱された医療用糸11の原材料を圧搾することで表面に刺状突起を形成することができる。かかる圧搾方式は、医療用糸の形状が変化することになるので、ニードルに挿入し難くなる点、それに伴って直径が大きいニードルを使用しなければならない点、薄板状ボディにより肌組織と接触する面積が小さいという点などの問題がある。
【0123】
図20に示すように、カットによる方式の場合、医療用糸12の表面を削って突起を形成するので、突起の大きさ及び厚さが制限的である点、突起の先端が鋭過ぎて周囲の組織及び神経を刺激し得る点、カットによる医療用糸12の損傷により強度が急激に減少する点、比較的薄い突起の生体への吸収が体内で速やかになされ、肌組織に対する固定力を失いやすい点などの問題がある。
【0124】
上述した問題を解決するために、本発明のヘッド部310を備えた医療用糸10は、超音波加工を通じて立体的な構造に形成され得る。
【0125】
図16に示すように、一例として、本発明の医療用糸10は、長手方向に下面の真ん中が窪んで形成されたトレンチTを備えるボディ部320と、トレンチTの両側に突出して形成された複数の突起部125と、を含むように形成される。
図17に示すように、他の例として、本発明の医療用糸10は、一方向に延びたボディ部320と、ボディ部320の長手方向に互いに対応する位置に形成された複数の突起部125と、を含むように形成される。
【0126】
先ず
図17を参照すると、本発明の医療用糸10は、一方向に延びたボディ部320と、ボディ部320の長手方向に互いに対応する位置に形成された複数の突起部125と、ボディ部320の一端に備えられ、ボディ部320の平面に対してボディ部320の幅よりも広い幅を有するように形成されたヘッド部310と、を含む。
【0127】
図16及び
図18を参照すると、本発明の第3の実施例に係る医療用糸10は、長手方向に対して下面の真ん中が上部側に窪んだトレンチTを備えるボディ部320と、ボディ部320の両側下部に突出して形成された複数の突起部125と、ボディ部320の一端に備えられ、ボディ部320の平面に対してボディ部320の幅よりも広い幅を有するように形成されたヘッド部310と、を含む。好ましくは、ボディ部320の横断面はコ字状に形成され得るが、これに限定されるものではない。一例として、ボディ部320の横断面は、C字状に形成されるか、下部面の真ん中が窪んだ形態に形成され得る。
【0128】
例えば、医療用糸10は、ポリ乳酸(Polylactic acid)、ポリジオキサノン(Polydioxanone)、乳酸(Lactic acid)、グリコール酸(Glycolic acid)のコポリマー(Co−polymer)などのような生分解性ポリマー(高分子材料)材質からなる。
【0129】
図17及び
図18を参照すると、一例として、複数の突起部125は、所定間隔で互いに対称するように形成され、ボディ部320の長辺の半分の長さを基準に互いに対向する矢印状に形成される。他の例として、複数の突起部125は、ボディ部320の外側面に対して所定角度傾斜するように形成される。このとき、突起部125は、先端が尖った楔状に形成され得る。即ち、所定角度傾斜するように形成された複数の突起部125が肌を一方向へ引張る役割をするので、リフティング効果を向上させることができる。
【0130】
また、ボディ部320の一端部が複数の突起部125のうち最外殻に位置した突起部125から延びるように形成される。具体的に、ボディ部320の一端部が下側に傾斜するように形成され、最外殻に位置した突起部125から延びるように形成される。即ち、
図18のように、ボディ部320の最端部は、最外殻の突起部の形状がそのまま延びた形状に形成されることによって、ボディ部320の最端部は特定の傾斜を有する形状に形成され得る。ボディ部320の一端部も複数の突起部125と同じ方向に傾斜し、医療用糸10が一方向へ引張る力を補完することができる。
【0131】
複数の突起部125は、ボディ部320のトレンチTを挟んで互いに対応する位置に配置されるよう、ボディ部320の両側下部にそれぞれ備えられ得る。例えば、突起部125は、ボディ部320のトレンチTの両側の壁面の下部へ突出して形成され、対向する位置に形成された各突起部125が互いに対応する位置に形成される。ここで、トレンチTの底地点は、複数の突起部125の形成開始地点よりも低くても良い。これにより、トレンチTの底地点と複数の突起部125の形成開始地点とが同一な場合よりも、トレンチTの底地点の深さがより深くなる効果をもたらすので、これは、ボディ部320が肌に突き立たれる深さがより深くなり、糸の固定力を向上させることができる。
【0132】
また、複数の突起部125は、ボディ部320の長手方向に沿って連続的に離隔形成され得る。例えば、それぞれの突起部125は、ボディ部320の長手方向に沿って所定の間隔600をおいて離隔するように形成される。このとき、突起部125の間に形成される離隔間隔600を介してそれぞれの突起部125が肌に独立して突き立たれ、肌に対する医療用糸10の固定力が高くなることができる。
【0133】
従って、本発明の医療用糸10は、肌の内層に挿入される場合、ボディ部320のトレンチTと突起部125により肌組織と接触する面積が広いため、初期施術された肌位置から離脱したり、他の所に移動することが防止され、肌組織への固定力が高くなるという効果がある。
【0134】
本発明のような3次元形状の糸は、超音波加工を通じてのみ製作が可能である。従来技術の場合、原糸を押圧して圧縮した後、金型にプレスすることで生産するか、原糸をカットして突起を生成するため、本発明のような精巧な3次元構造を製作することはできない。前記超音波加工は、超音波振動をエネルギー源にし、振動する工具と工作物との間に研削粒子を供給して工作物を精密に整える既存の知られている加工技術であり、詳しい説明は省略することとする。
【0135】
一方、本発明の立体形状の糸を製作するためには、既存の超音波加工をそのまま用いるのではなく、特定の立体的な陰刻又は陽刻パターンを有する金型に原糸を入れ、超音波を走査してプレスする工程が行われ得る。これにより、従来の金型又はカットでは加工することのできない精密な加工が可能であり、トレンチ状の医療用糸10のような3次元形状を精巧に加工することができるという長所がある。
【0136】
具体的に、本発明の製作方法により製作された3次元糸と従来技術の3次元糸とを比較すると、以下の通りである。本発明の3次元糸は、超音波を通じて非常に精密な製作が可能となるので、従来技術により製作された3次元糸に比べてより小さく且つ精密なパターンに製造されることができる。
【0137】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されることもでき、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されることができる。
【0138】
本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれることと解釈されなければならない。