【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの課題は、請求項1の特徴および請求項20の特徴により解決される。
【0011】
本発明は、車両または牽引車両および少なくとも1つの被牽引車両から成る連結車両の電装品であって、当該電装品は、ブレーキ電子制御装置により電気的に制御可能でありかつ圧力媒体により操作される常用ブレーキ装置と、当該常用ブレーキ装置を運転者に依存せずに制動作用設定にしたがって自動的に開ループ制御または閉ループ制御する運転支援システムまたはオートパイロット装置とを含み、ブレーキ電子制御装置には、少なくとも1つのブレーキスリップ制御部が組み込まれており、ブレーキ電子制御装置には、第1の電気エネルギ源から電気エネルギが供給され、少なくとも1つの、ブレーキ電子制御装置に対して付加的な電子制御装置が設けられており、当該付加的な電子制御装置は、ブレーキ電子制御装置の第1の電気エネルギ源から独立した第2の電気エネルギ源から電気エネルギの供給を受けて、電磁弁装置を開ループ制御し、当該電磁弁装置を介して制動圧力を車輪ブレーキアクチュエータへ入力可能であり、少なくとも第1の電気エネルギ源および/またはブレーキ電子制御装置のエラーまたは故障が検出された場合、付加的な電子制御装置が、運転支援システムまたはオートパイロット装置により、制動作用設定にしたがって、車輪ブレーキアクチュエータに制動圧力を入力することで、走行している車両または走行している連結車両での冗長起動される制動が行われるように駆動される、電装品から出発する。
【0012】
この場合、付加的な電子制御装置は、ブレーキ電子制御装置に対して「付加的な」電子制御装置である。なぜなら、当該付加的な電子制御装置はブレーキ電子制御装置に対して特別かつ付加的に設けられているからである。他方で、当該付加的な電子制御装置は、常用ブレーキ弁装置においては1つしか設けられていないので、付加的な制御装置とはいえない。
【0013】
オートパイロット装置とは、以下では、運転者の関与なしに、特に運転モード条件に依存して、少なくとも車両のブレーキ装置を開ループ制御または閉ループ制御する装置であると理解されたい。同じことが、運転支援システム、例えば、前方走行車両に対する車間距離または相対速度を一定に保つ車間距離制御部(ACC、アダプティブクルーズコントロール)、安全性設定、例えば前方走行車両に対する所定の最小車間距離、所定の最小制動作用および所定の最小走行安定性を保証するための制動介入を少なくとも運転者に依存せずに自動的に行う緊急ブレーキ支援装置(AEBS)または走行動特性制御部(ESP)にも当てはまる。
【0014】
運転支援システムまたはオートパイロット装置による制動作用設定とは、任意の目標パラメータの設定、例えば制動圧力設定、または制動力設定もしくは制動トルク設定であると理解されたい。
【0015】
付加的な電子制御装置が、運転支援システムまたはオートパイロット装置の制動作用設定に対し、例えば空気圧式車輪ブレーキシリンダへの通気によって起動される車両減速または車両制動は、常用ブレーキ電気回路またはブレーキ電子制御装置にちょうど故障またはエラーが発生しているため、これらによってはもはや起動不能であるという意味での冗長制動である。
【0016】
第1のエネルギ源および/またはブレーキ電子制御装置に故障またはエラーが発生した場合、ABS制御アルゴリズムの他、一般に、ブレーキスリップ制御を通常時に行っているABSセンサも故障するので、この場合、冗長起動される制動は、実際にはこうしたブレーキスリップ制御なしで行われなければならない。しかし、本発明はここで、こうした冗長起動される制動においても小さなコストで冗長手段として小さな制動距離を提供しうる手段を見出した。
【0017】
本発明によれば、第一に、第2の電気エネルギ源から電気エネルギの供給を受け、冗長起動される制動中に過度のブレーキスリップを検出可能なセンサ装置が設けられており、当該センサ装置は、エラーまたは故障よって動作不能となってしまう通常のABSセンサ装置とは異なる。当該センサ装置は、一般に現行の車両に既存であるために付加的に設けなくてよいセンサを含み、種々のバリエーションを有することができる。
【0018】
センサ装置は、好ましくは、詳細については後述するそのセンサデータを付加的な電子制御装置へ入力可能とするために、付加的な電子制御装置およびブレーキ電子制御装置が接続されたデータバスに接続される。
【0019】
第1のバリエーションによれば、センサ装置は、車両または連結車両の長手方向加速度または長手方向減速度を表す第1の値を付加的な電子制御装置へ入力する少なくとも1つの第1のセンサ、および制動圧力を表す第2の値を付加的な電子制御装置へ入力する少なくとも1つの第2のセンサを含み、ここで、付加的な電子制御装置は、冗長起動される制動中、第1の値と第2の値との間の関連性、比または関係につき、第1の値と第2の値との間の予測関連性もしくは設定関連性、予測比もしくは設定比または予測関係もしくは設定関係からの、許容偏差もしくは設定偏差を上回る偏差が発生した場合に、過度のブレーキスリップを検出するように構成される。この場合、例えば、第1のセンサは例えば長手方向加速度センサを含むことができ、第2のセンサは圧力センサを含むことができる。
【0020】
したがって、当該第1のバリエーションでは、車輪ブレーキアクチュエータに入力される制動圧力とここから生じる車両長手方向加速度との間に存在する相関が、許容不能な車輪ブレーキロックの識別に利用される。ここでの物理的背景は、車輪がロックしていなければ制動圧力と車両長手方向加速度とのパラメータはほぼ比例の挙動を呈するが、車輪のブレーキロックが発生すると、制動圧力は上昇するものの車両長手方向減速度は一定にとどまるかまたは幾らか低下するため、もはや比例の挙動を呈さないことにある。2つのパラメータ間の相関または比例係数は、少なくとも車両または連結車両の重量によって形成される。
【0021】
第2のバリエーションによれば、センサ装置は、車両または連結車両の実際ヨーレートを表す第3の値を付加的な電子制御装置に入力する少なくとも1つの第3のセンサ、および車両または連結車両の目標ヨーレートを表す第4の値を付加的な電子制御装置に入力する少なくとも1つの第4のセンサを含み、ここで、付加的な電子制御装置は、冗長起動される制動中、第3の値と第4の値との間の差が予め定められた閾値を上回った場合に、過度のブレーキスリップを検出するように構成される。この場合、例えば、第3のセンサは例えばヨーレートセンサを含むことができ、第4のセンサはステアリングホイール角度センサまたは操舵角度センサを含むことができる。
【0022】
したがって、当該第2のバリエーションでは、例えばヨーレートセンサにより測定された実際ヨーレートによる、例えばステアリングホイール角度または操舵角度に依存する目標ヨーレートの大幅な超過が、冗長起動される制動中に場合により生じるカーブ走行の際の過度のブレーキロックの発生の指標となる。なぜなら、こうした過度のブレーキロックは、側方操縦力の低下をもたらし、ヨーレートの増大を生じさせるからである。
【0023】
第3のバリエーションによれば、センサ装置は、車両または連結車両のギヤのギヤ出力軸の実際回転数を表す第5の値を付加的な電子制御装置に入力する少なくとも1つの第5のセンサ、および車両または連結車両の駆動されていない少なくとも1つの車輪の車輪回転数を表す第6の値を付加的な電子制御装置に入力する少なくとも1つの第6のセンサを含み、ここで、付加的な電子制御装置は、冗長起動される制動中、第5の値と第6の値との間の関連性、比または関係につき、第5の値と第6の値との間の予測関連性もしくは設定関連性、予測比もしくは設定比または予測関係もしくは設定関係からの、許容偏差を上回る偏差が発生した場合に、過度のブレーキスリップを検出するように構成される。
【0024】
したがって、当該第3のバリエーションは、通常時、すなわちブレーキロックが全く存在しないかまたはきわめて小さい場合の、車両または連結車両の牽引車両の駆動および制動されている車輪を駆動しているギヤ出力軸の回転数と、車両または連結車両の駆動されておらずただし制動されている少なくとも1つの車輪の車輪回転数との間の固定の関係を利用している。しかし、例えば過度のブレーキロックが駆動されている軸に発生すると、ギヤ出力軸の回転数は低下するのに対して、駆動されていない軸の車輪回転数は、例えば局所的に高くなっているその位置での摩擦値に基づいて低下しない。結果として、2つのパラメータの通常の関係または通常の関連性の著しい変化が、リアアクスルでのブレーキロック発生の指標となる。駆動されているリアアクスルのブレーキロックは、この場合に車両がオーバーステアの傾向を示すので、駆動されていないフロントアクスルのブレーキロックに比べて、より不都合である。
【0025】
第4のバリエーションによれば、センサ装置は、車両または連結車両の制動ピッチングを表す第7の値を付加的な電子制御装置に入力する少なくとも1つの第7のセンサ、および車両または連結車両の長手方向加速度または長手方向減速度を表す第8の値を付加的な電子制御装置に入力する第8のセンサを含み、ここで、付加的な電子制御装置は、冗長起動される制動中、第7の値と第8の値との間の関連性、比または関係につき、第7の値と第8の値との間の予測関連性もしくは設定関連性、予測比もしくは設定比または予測関係もしくは設定関係からの、許容偏差を上回る偏差が発生した場合に、過度のブレーキスリップを検出するように構成される。この場合、第7のセンサは、例えば車両または連結車両の偏向を直接もしくは間接に検出するセンサ、特には、垂直方向において不動なことから基準としての環境に対する車両のピッチング運動を識別可能なレーダーセンサまたはカメラセンサを含むことができる。第8のセンサは、例えば長手方向加速度センサを含むことができる。
【0026】
当該第4のバリエーションは、過度のブレーキロックが発生すると、制動力が小さくなるため、ブレーキロックが小さい場合または発生しない場合に比べて車両のピッチング効果がより目立たなくなるという思想を基礎としている。
【0027】
第5のバリエーションによれば、センサ装置は、車両または連結車両の実際横方向運動を表す第9の値を付加的な電子制御装置に入力する少なくとも1つの第9のセンサ、および車両または連結車両の目標横方向運動を表す第10の値を付加的な電子制御装置に入力する少なくとも1つの第10のセンサを含み、ここで、付加的な電子制御装置は、冗長起動される制動中、第9の値と第10の値との間の差が予め定められた閾値を上回った場合に、過度のブレーキスリップを検出するように構成される。この場合、第9のセンサはカメラセンサおよび/またはレーダーセンサを含むことができ、第10のセンサは速度センサおよびステアリングホイール角度センサまたは操舵角度センサを含むことができる。ここでのカメラセンサおよび/またはレーダーセンサにより、この場合、基準としての環境に対する車両または車両列の横方向運動が検出可能となる。
【0028】
当該第5のバリエーションは、過度のブレーキロックが発生すると、制動されている車輪の側方操縦力が相対的に低下し、したがってより大きな横方向運動が発生するため、冗長起動される制動中に場合により生じるカーブ走行では、例えば所定のサイドスリップ角度および/またはヨー角度によって表される車両横方向運動が閾値を上回るという思想を基礎としている。これに対して、目標横方向運動は、例えばステアリングホイール角度センサおよび/または操舵角度センサにより検出される。
【0029】
第6のバリエーションによれば、センサ装置は、車両または連結車両の制動されている少なくとも1つの車輪の車輪回転数を表す第11の値を付加的な電子制御装置(FBM‐ECU)に入力する少なくとも1つの第11のセンサ、および車両または連結車両の長手方向加速度または長手方向減速度を表す第12の値を付加的な電子制御装置(FBM‐ECU)に入力する少なくとも1つの第12のセンサを含み、ここで、付加的な電子制御装置(FBM‐ECU)は、第11の値および第12の値に基づき、特に冗長起動される制動中に第12の値によって支持されるかまたは妥当性検査される車両基準速度を形成し、第11の値と車両基準速度との間の関連性、比または関係に許容偏差を上回る偏差が発生した場合に、過度のブレーキスリップを検出するように構成される。
【0030】
したがって、上述したバリエーションのうち1つもしくは複数の、第1の電気エネルギ源またはブレーキ電子制御装置の故障またはエラーに関係しないセンサ装置を用いることにより、冗長起動される制動中の過度のブレーキスリップが、同様に第1の電気エネルギ源またはブレーキ電子制御装置の故障またはエラーに関係しない付加的な電子制御装置により検出される。
【0031】
本発明によれば、付加的な電子制御装置はさらに、冗長起動される制動中に過度のブレーキスリップを検出した場合、電磁弁装置を駆動することにより、運転支援システムまたはオートパイロット装置の制動作用設定より小さい制動作用に相当する制動圧力を車輪ブレーキアクチュエータに入力するように構成される。したがって特に、冗長起動される制動中に過度のブレーキスリップが発生した場合には、制動作用設定、特には運転支援システムまたはオートパイロット装置の制動圧力設定に相当する制動圧力よりも小さい制動圧力が車輪ブレーキアクチュエータへ入力される。
【0032】
当該措置により、過度のブレーキロックは、この場合もはや動作不能となる従来型のABSでと同様に排除され、冗長起動される制動中に場合により発生するカーブ走行の際に、側方操縦力が高められる。
【0033】
第2の電気エネルギ源が第1の電気エネルギ源から独立していることにより、とりわけ、常用ブレーキ装置の高い故障安全性が得られる。
【0034】
各従属請求項には、本発明の発展形態を成す特徴が含まれている。
【0035】
特に好ましくは、制動作用設定に対する制動作用の低減は、付加的な電子制御装置を用いて電磁弁装置を駆動することによる制動圧力の増減の交番変化を含む。言い換えれば、従来型のABSと同様に、例えば制動圧力の周期的な増減による制動圧力の変調が行われ、時間平均において制動作用設定に比べて小さい制動圧力が得られる。
【0036】
一発展形態によれば、付加的な電子制御装置は、第1の識別モードとして、当該第1の識別モード中に過度のブレーキスリップが最初に発生した際の制動圧力を表す第1の値を、識別された第1の臨界制動圧力値として記憶し、次いで、電磁弁装置を周期的に駆動することにより、制動圧力を、識別された第1の臨界制動圧力値までのみ上昇させ、その後再び低下させるように構成される。したがって、付加的な電子制御装置は、制動圧力の上昇において、過度のブレーキロックが最初に発生した際の「コーナー」制動圧力を「認識」する。また、当該制動圧力を表す第1の値は、運転支援システムまたはオートパイロット装置の制動作用設定に相当する制動圧力より小さい。この場合、当該制動圧力を表す第1の値は、その時点で道路面に存在する摩擦値の尺度ともなる。記憶された制動圧力を表す第1の値を用いて、これを制動圧力の新たな設定として調整することにより、制動圧力適応化の速度を増大することができる。
【0037】
当該措置の一発展形態によれば、付加的な電子制御装置は、第1の識別モードの時間的後方で少なくとも1つの第2の識別モードを行い、当該第2の識別モード中に過度のブレーキスリップが最初に発生した際の制動圧力を表す第2の値を、識別された第2の臨界制動圧力値として記憶し、次いで、電磁弁装置を周期的に駆動することにより、制動圧力を、識別された第2の臨界制動圧力値までのみ上昇させ、その後再び低下させるように構成可能である。これは特に、冗長起動される制動中、道路の摩擦値が幾らかの時間後に変化し、当該摩擦値の変化が制動圧力を表す第2の値によって表される場合に有利である。
【0038】
好ましくは、付加的な電子制御装置は、冗長起動される制動中、第1の値と第2の値との間の関連性、比または関係につき、第1の値と第2の値との間の予測関連性もしくは設定関連性、予測比もしくは設定比または予測関係もしくは設定関係からの、許容偏差もしくは設定偏差を上回る偏差が発生したことによって過度のブレーキスリップを検出した場合、周期的な交番変化を生じさせるべく電磁弁装置を駆動することにより、制動圧力を、まず、車両減速度がそれ以上増大せず最大値を取るまで、運転支援システムの制動作用設定にしたがって最大へと上昇させ、その後、車両減速度が再び低下するまで、再び低下させるように構成可能である。この場合、車両減速度がもはや増大せず最大値を取った際の制動圧力は、長手方向減速度が「飽和」する圧力限界または安定性限界である。
【0039】
さらに、付加的な電子制御装置は、冗長起動される制動中、エラーまたは故障の発生前に既に付加的な電子制御装置に伝送されてメモリに記憶されたデータにさらに基づいて、過度のブレーキスリップを検出するように構成可能である。こうした伝送は、例えば、付加的な電子制御装置ならびにセンサおよび/または電子制御装置が接続されたデータバスを用いて行うことができる。
【0040】
この場合、データは、車両または連結車両の重量、車両または連結車両の軸荷重および/または軸荷重分布、車両または連結車両が走行した道路の摩擦値のうち少なくとも1つのデータを含むことができる。この場合特に、付加的な電子制御装置は、冗長起動される制動中、制動圧力が軸荷重に依存して軸ごとに適応化されるように構成可能である。
【0041】
好ましくは、付加的な電子制御装置はまた、連結車両の牽引車両に連結された被牽引車両内の固有のブレーキスリップ制御部の存在を識別し、この場合に、冗長起動される制動中、被牽引車両のブレーキスリップ制御部も同様に連結車両のブレーキスリップ制御を伴う制動に協力させるように構成可能である。組み込まれた被牽引車両のブレーキスリップ制御部を含めたブレーキ制御装置には、この場合、好ましくは、第2の電気エネルギ源から電気エネルギが供給される。この場合、冗長起動される制動中、例えば全制動力の少なくとも一部を被牽引車両のブレーキシステムが担当可能である。こうした措置により、制動距離が有利にさらに低減される。
【0042】
一発展形態によれば、付加的な電子制御装置は、冗長起動される制動中、付加的に、リターダの作動、および/または車両または連結車両の牽引車両の駆動モータの駆動出力の低減を行うように構成可能である。こうした措置も、有利には、制動距離のさらなる低減をもたらす。
【0043】
別の措置によれば、ブレーキ電子制御装置が自己監視により、自身に関連するエラーまたは自身に関連する故障の発生および/または第1の電気エネルギ源のエラーまたは故障の発生を識別して付加的な電子制御装置に報告するように、または付加的な電子制御装置が、第1の電気エネルギ源および/またはブレーキ電子制御装置のエラーまたは故障の発生を識別するように、またはブレーキ電子制御装置および付加的な電子制御装置とは異なる別の電子装置が、第1の電気エネルギ源および/またはブレーキ電子制御装置のエラーまたは故障の発生を識別して付加的な電子制御装置に報告するように、構成可能である。この場合、付加的な電子制御装置は、当該報告に基づいて冗長制動を起動する。
【0044】
特に好ましくは、常用ブレーキ装置として、電気空気圧式常用ブレーキ装置、特に電子ブレーキシステムもしくは電子制動圧力制御ブレーキシステムが設けられており、当該電気空気圧式常用ブレーキ装置は、電気空気圧式常用ブレーキ弁装置、ブレーキ電子制御装置、電気空気圧式変調器および空気圧式車輪ブレーキアクチュエータを含み、ブレーキ電子制御装置は、空気圧式車輪ブレーキアクチュエータ用の空気圧制動圧力もしくは空気圧ブレーキ制御圧力が車輪ごと、軸ごとまたはサイドごとに形成されるよう、電気空気圧式変調器を電気的に開ループ制御し、ここで、電気空気圧式常用ブレーキ弁装置は、常用ブレーキ操作機構と、少なくとも1つの常用ブレーキ電気回路内の、当該常用ブレーキ操作機構の操作に依存した操作信号の調整のために常用ブレーキ操作機構によって操作可能な少なくとも1つの電気制動値発生器を含む、少なくとも1つの電気チャネルと、操作信号を受信し、これに依存して制動要求信号をブレーキ電子制御装置に入力する付加的な電子制御装置と、少なくとも1つの常用ブレーキ空気圧回路内の少なくとも1つの空気圧チャネルと、を有し、当該空気圧チャネルにおいては、常用ブレーキ操作機構の操作により、運転者の制動要求に基づいて、常用ブレーキ弁装置の少なくとも1つの制御ピストンに対して第1の操作力が負荷され、当該制御ピストンにより、流入座および流出座を有する少なくとも1つの複座弁が直接もしくは間接に開ループ制御され、これにより空気圧式車輪ブレーキアクチュエータ用の空気圧制動圧力もしくは空気圧ブレーキ制御圧力が形成され、ここで、電気空気圧式常用ブレーキ弁装置の付加的な電子制御装置を含む、運転者の制動要求に依存しない第2の操作力を形成する手段が設けられており、当該手段は、運転者の所望に依存しない制動要求が発生した場合に、第1の操作力に対する同方向または反対方向で、少なくとも1つの制御ピストンに作用する。
【0045】
したがって、本発明の好ましい実施形態として、電気空気圧式常用ブレーキ装置に通常存在する空気圧式常用ブレーキ弁装置もしくは電気空気圧式常用ブレーキ弁装置またはそこにいずれにせよ存在するフットブレーキモジュールを、一方ではブレーキペダル位置を測定しうるように、他方では常用ブレーキ弁装置の少なくとも1つの空気圧チャネルによって調整される制動圧力をブレーキペダル操作に依存せずに変化させうるように修正することが提案される。
【0046】
この場合、こうした「能動の」空気圧式常用ブレーキ弁装置もしくは電気空気圧式常用ブレーキ弁装置またはこうした「能動の」フットブレーキモジュールは、類義語として本出願人による独国特許出願第102014112014.0号明細書に開示されており、この出願の関連する開示内容は、本願に完全に組み込まれるものとする。
【0047】
当該「能動の」フットブレーキモジュールの空気圧部は、空気圧式常用ブレーキ装置の常用ブレーキ弁と同様に機能し、ブレーキペダル操作に応答して、空気圧制動圧力もしくは空気圧ブレーキ制御圧力を形成し、電気空気圧式常用ブレーキ装置の少なくとも1つの常用ブレーキ空気圧回路に1回または複数回入力する。少なくとも、電気空気圧式常用ブレーキ装置が電子閉ループ制御ブレーキシステムまたは制動圧力電子閉ループ制御ブレーキシステム(EBS)である場合、能動のフットブレーキモジュールは、電気制動値発生器の形態の、運転者の制動要求を検出するセンサ装置を有する。当該センサ装置は、「能動の」フットブレーキモジュールの電気チャネルの構成要素または電気空気圧式常用ブレーキ装置の常用ブレーキ電気回路の電気チャネルの構成要素であり、エラーのない動作において、常用ブレーキペダルを介して入力された運転者の常用ブレーキ制動要求を「能動の」フットブレーキモジュールまたは電気空気圧式常用ブレーキ装置の常用ブレーキ電気回路に伝送する。
【0048】
これにより、常用ブレーキ弁装置の電気チャネルまたは電気空気圧式常用ブレーキ装置の常用ブレーキ電気回路にエラーが発生した場合にも運転者の制動要求を実現できるよう、電子閉ループ制御ブレーキシステム(EBS)では、少なくとも1つの常用ブレーキ空気圧回路に入力された制動圧力またはブレーキ制御圧力がバックアップとして用いられる。
【0049】
「能動の」フットブレーキモジュールは、さらに、電気チャネルと、少なくとも1つの常用ブレーキ空気圧回路において制動圧力またはブレーキ制御圧力を変化させうる、特には増大させうるかまたは運転者の関与なしに形成しうる圧力電子開ループ制御装置または圧力電子閉ループ制御装置と、を有する。これにより、運転支援システムまたはオートパイロット装置の制動要求を実現することができる。
【0050】
ここで、オートパイロット装置または運転支援システムによって形成された制動要求の実行を全体としての故障安全性を確保しつつ行うために、電気空気圧式常用ブレーキ装置のブレーキ電子制御装置は第1の電気エネルギ源から給電を受け、これに対して、「能動の」フットブレーキモジュールの付加的な電子制御装置は第2の電気エネルギ源から給電を受ける。
【0051】
オートパイロット装置の制動要求信号は、特には、例えば共通のデータバスを介して、電気空気圧式常用ブレーキ装置のブレーキ電子制御装置にだけでなく、「能動の」フットブレーキモジュールの付加的な電子制御装置にも入力され、または「能動の」フットブレーキモジュールの付加的な電子制御装置により、当該2つの装置が接続されたデータバス上で「読み出される」。
【0052】
第1の電気エネルギ源または電気空気圧式常用ブレーキ装置の常用ブレーキ電気回路に故障またはエラーが発生すると、「能動の」フットブレーキモジュール(FBM)は、例えば電気空気圧式常用ブレーキ装置からデータバスへのメッセージの欠落により、または電気空気圧式常用ブレーキ装置のブレーキ電子制御装置の明示的なエラー報告により、当該故障またはエラーを識別する。また、電気空気圧式常用ブレーキ装置またはそのブレーキ電子制御装置を別の制御装置によって監視し、こうした場合にエラーまたは故障を「能動の」フットブレーキモジュールに報告することもできる。当該別の制御装置は、オートパイロット装置または運転支援システムの一部であってもよい。
【0053】
この場合、「能動の」フットブレーキモジュールは、電気空気圧式常用ブレーキ装置の代わりに、オートパイロット装置または運転支援システムの制動設定を実現することができる。
【0054】
また、こうしたフットブレーキモジュールまたはこうした常用ブレーキ弁装置が、最小圧力と圧縮空気リザーバ内のリザーバ圧力に相当する最大圧力との間で可変の圧力を調整可能であるので、エラー発生時の制動作用が故障によって通常時の制動作用より小さくならないことも保証される。なぜなら、通常時であっても、最大でリザーバ圧力に相当する制動圧力しか要求されえないからである。
【0055】
上述したように、好ましくは、第1の操作力による以外で、運転者の所望に依存しない制動要求が発生した場合、常用ブレーキ弁装置の少なくとも1つの制御ピストンに対し、付加的にまたは第1の操作力に代えて、第2の操作力が負荷され、当該第2の操作力は、第1の操作力に対して同時にかつ同方向もしくは反対方向で、少なくとも1つの制御ピストンに作用し、運転者の制動要求に依存せずに、常用ブレーキ弁装置の付加的な電子制御装置によって調整された電気信号に基づいて形成される。
【0056】
言い換えれば、常用ブレーキ弁装置の制御ピストンに対し、運転者の制動要求に依存する第1の操作力が作用し、かつ/または運転者の所望に依存しない制動要求が発生した場合には、常用ブレーキ弁装置の付加的な電子制御装置が調整した電気信号に基づいて形成された第2の操作力が並行して作用する。したがって、2つの操作力(第1の操作力および第2の操作力)は、共同で、または各個別にかつそれぞれ他方の操作力がない状態で、制御ピストンひいては常用ブレーキ弁の複座弁を操作することができる。この場合、2つの操作力は、同方向すなわち共通の方向で制御ピストンに作用してもよいし、反対方向すなわち相互に反対向きの方向で制御ピストンに作用してもよい。
【0057】
運転者の制動要求に依存して形成される第1の操作力は、つねに同方向で、すなわちブレーキ操作機構の操作方向による、複座弁の流出座を開放して少なくとも1つの常用ブレーキ回路への通気を行う方向で、少なくとも1つの制御ピストンに作用するので、「同方向」または「反対方向」なる概念は、第1の操作力の作用方向に対して明瞭に定義されている。ここで、運転者の制動要求が欠落しているために第1の操作力が存在しない場合、少なくとも1つの制御ピストンに対する当該第1の操作力の作用方向は単に、このときの同時の第2の操作力の作用方向に対する基準を指示できるようにするために考察されることは明らかである。
【0058】
こうして、少なくとも1つの常用ブレーキ空気圧回路が、運転者による操作に加え、電気的もしくは電子的な、ひいては運転者の関与なしでの制動要求の発生時に自動操作可能であることにより、電気空気圧式常用ブレーキ装置の新たな制御手段が得られる。この場合、常用ブレーキ弁装置の付加的な電子制御装置による、電気空気圧式常用ブレーキ装置の少なくとも1つの常用ブレーキ空気圧回路の開ループ制御または閉ループ制御は、制動要求を形成可能な任意の車両システムまたは任意の「オートパイロット」の任意の電気制御信号によって、特には運転支援システムまたはオートパイロット装置により、行うことができる。
【0059】
これにより得られる利点は、基本的に、電気空気圧式常用ブレーキ弁装置またはフットブレーキモジュールの固有の空気圧チャネルにおいて、常用ブレーキ空気圧回路用の制動圧力またはブレーキ制御圧力が運転者の制動要求に依存せずに自動形成可能となることにある。
【0060】
このように、特には、常用ブレーキ弁装置すなわち中央位置において既に、常用ブレーキ弁装置に接続されている全ての常用ブレーキ空気圧回路に対して、運転者の関与または作用なしに、特に電気空気圧式常用ブレーキ装置のブレーキ電子制御装置のエラーまたは故障が特にその第1の電気エネルギ源、そのブレーキ電子制御装置またはその電気空気圧式変調器において検出された場合に、相応の制動圧力を形成することができる。これにより、常用ブレーキ電気回路の故障またはエラー時にも、この場合に常用ブレーキ弁装置の付加的な電子制御装置によって開ループ制御される別の常用ブレーキ電気回路が利用可能である。
【0061】
こうして、フットブレーキモジュールの電子制御装置によって駆動される、好適には付加的に設けられた電気式アクチュエータ、電気液圧式アクチュエータまたは電気空気圧式アクチュエータを用いて第2の操作力を形成可能な開ループ制御もしくは閉ループ制御のアルゴリズムを電子制御装置に補完することにより、従来技術の電気空気圧式常用ブレーキ弁装置を僅かに変更するのみで、その機能が、運転者の関与なしに自動で行われるブレーキ制御の意味において有利に拡張されることの前提が得られる。
【0062】
この場合、こうした常用ブレーキ弁装置が設けられた常用ブレーキ装置は、自動(外部)操作があった場合、例えば制動力分配もしくは被牽引車両ブレーキの制御に関して運転者の制動要求があった場合と同様に応働する。ここで、常用ブレーキ弁装置は、特に車両縦列走行における車両の上述した(部分)自動運転に適する。なぜなら、常用ブレーキ電気回路にエラーが発生した場合にも、少なくとも1つの常用ブレーキ空気圧回路を介して自動制御される制動が可能となるからである。
【0063】
また、車両ブレーキにおける法規制によって要求されるエラートレランスが満足される。第2の操作力を形成するアクチュエータまで延在する電気部を有する少なくとも部分的に電気的な付加的な常用ブレーキ回路がさらに形成されるので、少なくとも1つの空気圧式常用ブレーキ回路とは異なって構成されたブレーキ回路が得られ、この場合双方のブレーキ回路が同一のもしくは同種のエラーによって共に動作不能となるおそれが低減される。こうして、付加的な(部分)常用ブレーキ電気回路により、利用可能な最大制動出力の調整が可能となる。なぜなら、少なくとも1つの常用ブレーキ空気圧回路が、圧縮空気リザーバからの完全なリザーバ圧力を利用可能であるからである。とりわけ、車両での電気配線または空気圧配管の変更を行う必要なく、常用ブレーキ弁装置の交換によって既存の電気空気圧式常用ブレーキ装置に簡単に本発明を設けることができる。
【0064】
また、運転者が、第2の操作力によって行われる制動要求を、常用ブレーキ弁装置のブレーキ操作機構の操作によっていつでも重ね制御できることも重要である。なぜならこの場合、第2の操作力と同時に、運転者の制動要求に基づく、状況に応じて第2の操作力よりも大きくかつこれに対して反対方向の第1の操作力が少なくとも1つの制御ピストンに適用されるからである。
【0065】
なぜなら、多くのケースにおいて、例えば運転者がそれぞれ前方走行車両および後方走行車両に対してそれぞれ小さな車間距離で上述した縦列走行を行っているとき、急にフルブレーキを導入しようとし、このために衝突事故の危険が発生するような場合、制御ピストンに対する第1の操作力によって表される運転者の制動要求が相応の大きさで反対方向に作用する第2の操作力の形成によって重ね制御されることが望ましいかまたは必須でありうるからである。
【0066】
特に好ましくは、こうした第2の操作力は、電気空気圧式常用ブレーキ装置のブレーキ電気回路のエラーまたは故障が検出され、かつ制動要求が発生した場合にも形成される。こうしたエラーまたは故障は、特には、ブレーキ電子制御装置、少なくとも1つの電気空気圧式アクスル変調器または電気空気圧式常用ブレーキ弁の電気チャネルに関連しうる。また、常用ブレーキ電気回路の第1の電気エネルギ源の故障も考えられる。
【0067】
常用ブレーキ弁装置に複数の空気圧チャネルが存在するケースでは、第2の操作力を、2つ以上の制御ピストンに負荷することができ、または1つの制御ピストンのみに負荷して当該制御ピストンから別の操作ピストンへ伝達させることもできることを理解されたい。
【0068】
好ましくは、第2の操作力を形成する手段は、少なくとも1つの電気式アクチュエータ、電気液圧式アクチュエータもしくは電気空気圧式アクチュエータを含む。ここでは、第2の操作力が、常用ブレーキ弁装置の少なくとも1つの制御ピストンに直接もしくは間接に作用する電気空気圧式アクチュエータ、電気液圧式アクチュエータもしくは電気機械式アクチュエータ、例えば電磁弁、電気モータ等を用いて形成される実施形態が考えられる。
【0069】
特に、第2の操作力を形成する手段は、付加的な電子制御装置によって開ループ制御されて、第2の操作力を形成するために、第2の操作力が依存している少なくとも1つの空気圧制御圧力を調整する、少なくとも1つの電気空気圧式電磁弁装置を含むことができる。したがって、常用ブレーキ弁装置の付加的な電子制御装置の信号に応答して、少なくとも1つの制御ピストンに直接もしくは間接に作用する制御圧力が調整される。この場合、当該制御圧力は、少なくとも1つの制御ピストンに第2の操作力を形成する。したがって、特に好ましくは、第2の操作力は、常用ブレーキ弁装置における既存の条件を最良に利用しつつ、電気空気圧によって形成される。
【0070】
また、少なくとも1つの電磁弁装置によって調整された制御圧力は、センサ装置により測定されて目標値に対する補償により付加的な電子制御装置において閉ループ制御可能であり、センサ装置、電磁弁装置および付加的な電子制御装置は、共同で、空気圧制御圧力を閉ループ制御する制御圧力レギュレータを形成する。ここで、選択手段としての第2の操作力またはこれに関連する上述したパラメータの閉ループ制御を用いて、制動圧力設定の精度を高めることができる。
【0071】
こうした閉ループ制御機能を実現するために、少なくとも1つの制御ピストンに作用する第2の操作力、当該第2の操作力によって生じる、少なくとも1つの制御ピストンの操作距離および/または当該第2の操作力を形成するパラメータを実際量として測定するセンサ手段と、閉ループ制御の意味で実際量を目標量に対して補償する閉ループ制御手段および調整手段と、を設けることができる。
【0072】
ここで、空気圧制御圧力は、電気空気圧式常用ブレーキ弁装置の、少なくとも1つの制御ピストンによって画定される少なくとも1つの制御チャンバへ入力可能であり、当該制御チャンバは、通気の際に第1の操作力に対して同方向もしくは反対方向の第2の操作力が少なくとも1つの制御ピストンに生じるように配置されている。
【0073】
一発展形態によれば、オートパイロット装置または運転支援システムは、運転者の関与なしに、制動作用設定を直接もしくは間接に付加的な電子制御装置に入力可能であり、制動作用設定は、運転モード条件に依存して形成される。既に上述したように、このために少なくともブレーキ電子制御装置および付加的な電子制御装置をデータバスに接続することができる。
【0074】
ここでの運転モード条件とは、車両または連結車両の運転モードにおいて発生する可能な全ての条件および状況、例えばヨーイング挙動、ローリング挙動および/またはピッチング挙動、制動挙動もしくは加速挙動、例えば前方走行車両に対する車間距離および/または相対速度、ならびに停止状態もしくは駐車状態における挙動であると理解されたい。
【0075】
特に、空気圧制御圧力は、電気空気圧式常用ブレーキ弁装置の、少なくとも1つの制御ピストンによって画定される少なくとも1つの制御チャンバへ入力可能であり、制御チャンバは、通気の際に第1の操作力に対して同方向もしくは反対方向の第2の操作力が少なくとも1つの制御ピストンに生じるように配置される。
【0076】
こうした機能を可能なかぎり簡単に実現するため、さらに、第1の制御チャンバは、当該第1の制御チャンバへの通気によって、第1の操作力に対して同方向の、少なくとも1つの制御ピストンに対する第2の操作力が形成されるように、少なくとも1つの制御ピストンに対して配置可能である。また付加的に、第2の制御チャンバは、当該第2の制御チャンバの通気によって、第1の操作力に対して反対方向の、少なくとも1つの制御ピストンに対する第2の操作力が形成されるように、配置される。
【0077】
この場合、好ましくは、第1の制御チャンバが第1の電磁弁装置または第1の制御圧力レギュレータにより通気可能または排気可能であり、第2の制御チャンバが第1の制御チャンバから独立に第2の電磁弁装置または第2の制御圧力レギュレータにより通気可能または排気可能であるように構成可能である。
【0078】
とりわけ、少なくとも1つの制御ピストンは、1つのピストンロッドに結合された2つのピストンを備えたダブルピストンであってよく、このうち第1のピストンは第1の制御チャンバを、第2のピストンは第2の制御チャンバを画定し、ここで、第1の制御チャンバおよび第2の制御チャンバは、常用ブレーキ弁装置の内壁の、相互に離れた、ピストンロッドが貫通してシールする面に接している。
【0079】
本発明は、上述した電装品を備えた車両にも関する。
【0080】
本発明の有利な発展形態は、特許請求の範囲、明細書および図面から得られる。明細書の導入部において言及した各特徴および複数の特徴の組み合わせの利点は例示に過ぎず、代替的にもしくは累積的に奏功しうるものであって、当該利点が本発明の実施形態によって必ず達成されなければならないわけではない。別の特徴は、図面(特に図示の幾何学形状および複数の構成要素相互の相対寸法、その相対配置および相対作用結合)から得られる。同様に、本発明の種々の実施形態の特徴または種々の請求項の特徴の組み合わせは、特許請求の範囲において選択されている引用関係とは異なっていてよいことも、ここに挙げておく。このことは、別個の図面に示した特徴または明細書に言及した特徴にも当てはまる。当該特徴は種々の請求項の特徴と組み合わせることもできる。同様に、特許請求の範囲に記載した特徴は、本発明の別の実施形態において省略することもできる。
【0081】
以下に本発明の実施例を図示し、以下の説明において詳細に説明する。