(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887572
(24)【登録日】2021年5月20日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】振動押洗機能付きのドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 19/00 20060101AFI20210603BHJP
D06F 23/02 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
D06F19/00
D06F23/02
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-541663(P2020-541663)
(86)(22)【出願日】2019年1月8日
(65)【公表番号】特表2021-506534(P2021-506534A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(86)【国際出願番号】CN2019070745
(87)【国際公開番号】WO2019179220
(87)【国際公開日】20190926
【審査請求日】2020年6月15日
(31)【優先権主張番号】201810247407.2
(32)【優先日】2018年3月23日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514229638
【氏名又は名称】韓亜蘭
【氏名又は名称原語表記】HAN,Yalan
(73)【特許権者】
【識別番号】520214178
【氏名又は名称】韓超
【氏名又は名称原語表記】HAN,CHAO
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】韓超
(72)【発明者】
【氏名】韓亜蘭
【審査官】
永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2008−0045939(KR,A)
【文献】
中国特許出願公開第104975457(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第104631062(CN,A)
【文献】
特開2013−144091(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第107217441(CN,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2004−0050681(KR,A)
【文献】
中国実用新案第205839398(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 19/00
D06F 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動押洗機能付きのドラム式洗濯機であって、外箱と、水槽周壁と、ドラムと、扉と、振動押洗装置と、旋回機構と、押洗装置位置センサと、メインモータと、ドラム駆動装置と、給水弁と、排水弁と、制御部とを備え、前記振動押洗装置が扉の内側に設けられ、且つ前記旋回機構を介して前記扉と連結され、
前記旋回機構により、振動押洗装置が扉に対して上下方向に90度旋回され、
前記振動押洗装置が起立した時、振動押洗装置の軸線と扉とが平行になり、
前記振動押洗装置が下げられた時、振動押洗装置の軸線と扉とが90度の直角を成し、振動押洗装置がドラム内の下方に延びる、ことを特徴とする振動押洗機能付きのドラム式洗濯機。
【請求項2】
前記旋回機構は、モータとウォームとウォームホイールとを備え、ウォームホイールはウォームと噛み合い、モータはウォームと連結され、振動押洗装置はウォームホイールと連結され、モータの駆動によって、ウォームが回転し、振動押洗装置が旋回する、ことを特徴とする請求項1に記載の振動押洗機能付きのドラム式洗濯機。
【請求項3】
前記振動押洗装置の内部空間に、機械振動子が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の振動押洗機能付きのドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機の製造分野に属し、具体的には、振動押洗機能付きのドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のドラム式洗濯機は、主にドラムの周壁に設けられたリブ構造を介して洗濯物を一定の高さまで持ち上げた後に落下させ、洗濯物に対するはたき落とし又は摩擦の方式で洗浄を実現している。この方式は、時間がかかり、洗浄効果も良くないという欠点がある。このため、ドラム式洗濯機の新しい構造の開発は、洗濯機技術の分野に広く行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来の問題点を解決し、簡単かつ合理的な振動押洗機能付きのドラム式洗濯機の構造を提供することであり、前記振動押洗機能付きのドラム式洗濯機の構造は、押洗機能と振動機能とを統合した洗浄方式を採用している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の目的を達成するために、以下の技術的な手段を採用している。
【0005】
振動押洗機能付きのドラム式洗濯機を提供し、振動押洗機能付きのドラム式洗濯機は、外箱と、水槽周壁と、ドラムと、扉と、振動押洗装置と、押洗装置旋回機構と、機械振動子と、押洗装置位置センサと、ドラムモータと、ドラム駆動装置と、給水弁と、排水弁と、制御部とを備える。また、扉の内側に振動押洗装置が設けられ、前記振動押洗装置が扉覗き窓の凹部に内蔵される、ことを特徴とする。
【0006】
好ましくは、振動押洗装置は、旋回機構を介して扉と連結され、旋回機構により、振動押洗装置が扉に対して上下方向に90度旋回され、
振動押洗装置が起立した時、振動押洗装置の軸線と扉とが平行になり、
振動押洗装置が下げられた時、振動押洗装置の軸線と扉とが90度の直角を成し、振動押洗装置がドラム内の下方に延びる。
【0007】
好ましくは、旋回機構は、モータと、ウォームと、ウォームホイールとを備え、ウォームはウォームホイールと噛み合い、モータはウォームと連結され、ウォームホイールは振動装置と連結され、モータの回転によって、振動押洗装置が旋回する。
【0008】
好ましくは、振動押洗装置は、弾性部材を介してウォームホイールと連結され、振動押洗装置は大きな抵抗力を受けた時に弾性揺動することができる。
【0009】
扉には、振動押洗装置位置センサが設けられ、位置センサのレベル信号は制御部の対応の入力端に入力され、振動押洗装置の旋回状態を正確に検知することを機能する。
【0010】
好ましくは、振動押洗装置の内部空間に、機械振動子が設けられ、機械振動子の電源のオン/オフは、洗濯機の制御部によって制御され、振動押洗装置の機械振動子は、洗濯機に特別設計された振動子、または汎用の工業用振動子である。
【0011】
好ましくは、振動押洗装置は、凸構造を有する複数の振動ヘッドを備える。
【0012】
振動押洗機能付きのドラム式洗濯機の給水、排水、水位制御、衣服重量パラメーター、脱水度などの他の配置は、既存製品のドラム式洗濯機と概ね同じである。
【0013】
振動押洗機能付きのドラム式洗濯機の洗濯過程は、既存製品のドラム式洗濯機と異なる。洗濯物の洗濯は、主にドラム内に延びる振動押洗装置によって行われ、ドラムの回転は、主に、洗濯およびすすぎ過程において洗濯物を翻転させ、最後脱水過程において脱水させるのに機能する。
【0014】
振動押洗装置が直立垂直位置(起立位置)にある時にのみ、ドラムが回転されることができ、ドラムが回転を完全に停止した後にのみ、振動押洗装置が水平位置まで旋回され、ドラム内に延びるようになる。このように、振動押洗装置が水平位置になり、洗濯物を押し洗うこと、又は、振動することによって、洗濯物の洗濯を実現する。
【0015】
振動押洗装置は、水中の洗濯物を一次振動押洗洗濯した後、振動押洗装置が自動的に上方へ旋回し(起立するような状態)、振動押洗装置が所定の位置(起立する状態の位置)に旋回した後、洗濯物が翻転・引っ繰り返されるように、ドラムが数回低速で回転する。
【0016】
ドラムの数回低速回転が停止した後、振動押洗装置は、再び下げられ(水平位置になる)、振動する。このサイクルが繰り返され(プログラムの洗濯に従う)、洗濯物の洗濯プロセスが完了する。
【0017】
洗濯プロセスが完了した後、洗濯機は、数回の排水、給水、ドラムの複数回間歇的な回転を行い、振動押洗装置も複数回の間歇的な旋回および振動を行い、洗濯物のすずき過程が完了する。
【0018】
すずき過程が完了した後、振動押洗装置が上向きの位置(起立する状態)に維持され、ドラムが高速回転して洗濯物を脱水する。
【0019】
脱水過程が完了した後、洗濯機は、プロセス完了ブザーが鳴り、この時、扉を開いて洗濯後の洗濯物を取り出すことができる。
【0020】
本発明の有利な効果は以下である。
【0021】
(1)本発明の振動押洗機能付きのドラム式洗濯機は、ドラム式洗濯機の洗浄度を向上させ、洗濯機の動作時間を短縮し、消費電力を低減し、かつ既存のドラム式洗濯機に比べ、より良好な洗浄度および省エネルギーの効果を奏することができる。
【0022】
(2)従来のドラム式洗濯機は、内槽を回転させて洗濯物を一定の高さまで上昇させた後に落下することによって、洗濯効果を奏する。この場合、ドラムの直径は、洗濯物を必要な高さまで持ち上げるのに十分な大きさに至らなければならない。一方、本発明の振動押洗機能付きのドラム式洗濯機は、特定の構造により、洗濯物を振動押洗することで、洗浄効果を奏しているため、本発明の振動押洗機能付きのドラム式洗濯機は、ドラムの直径をある程度減小させることができ、その結果、ドラム式洗濯機全体の体積を減小し、重量の軽量化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の構造特徴及び実施形態に係る構造を示す図。
【
図2】本発明の振動押洗装置の起立時の構造を示す構造概念図。
【
図3】本発明の振動押洗装置の水平に倒した状態を示す構造概念図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面および実施形態を参照しながら、本発明の詳細を説明する。
【0025】
図1〜
図3に示すように、本発明の振動押洗機能付きのドラム式洗濯機は、外箱1と、水槽周壁2と、ドラム3と、扉4と、振動押洗装置5と、旋回機構6と、機械振動子(mechanical vibrator)7と、位置センサ8と、位置センサ9と、メインモータ10と、ドラム駆動装置11と、給水弁12と、排水弁13と、制御部14とを備える。振動押洗装置5が扉4の内側に設けられ、且つ、扉4の覗き窓の凹部に内蔵されている。振動押洗装置は、旋回機構6を介して扉4と連結され、旋回機構6は、振動押洗装置5を扉に対して90度旋回させることができる(
図1、
図2および
図3を参照)。
【0026】
旋回機構6は、モータ6−1、ウォーム6−2、およびウォームホイール6−3から構成され、ウォームホイール6−3とウォーム6−2とが噛み合われ、モータ6−1とウォーム6−2とが接続され、振動押洗装置5とウォームホイール6−3とが接続され、モータ6−1が一方向または逆方向に回転すると、ウォーム6−2およびウォームホイール6−3の伝達作用により、振動押洗装置5が上方向または下方向に旋回される(
図2および
図3を参照)。
【0027】
旋回機構6は、ウォームギア(ウォーム・ウォームホイール)機構以外に、減速ステッピングモータ又は減速サーボモータを使用しても良く、この場合、減速ステッピングモータ又は減速サーボモータの回転軸を振動押洗装置5の回転軸に直結する。
振動押洗装置5は、凸構造を有する複数の振動ヘッド5−1を備え、衣服と接触すると振動や押洗の効果が高まる。
【0028】
振動押洗装置は、弾性部材6−4を介してウォームホイール6−3に連結されているので、振動押洗装置5は、大きな抵抗力を受けた時に弾性揺動することができる(
図2および
図3を参照)。
【0029】
扉には、振動押洗装置の位置センサ8と振動押洗装置の位置センサ9とが設けられ、位置センサのレベル信号が制御14の対応の入力端に入力され、振動押洗装置の旋回状態を正確に検知することを機能する。
【0030】
振動押洗装置5の内部空間には、機械振動子7が設けられ、機械振動子の電源のオン/オフは、洗濯機の制御部14によって制御され、振動押洗装置の機械振動子は、洗濯機のために特別設計された振動子であるが、汎用の工業用振動子であっても良い。
【0031】
振動押洗機能付きのドラム式洗濯機の給水、排水、水位制御、衣服重量パラメーター、脱水度などの他の配置は、既存製品のドラム式洗濯機と概ね同じである。
【0032】
振動押洗機能付きのドラム式洗濯機の洗濯過程は、既存製品のドラム式洗濯機と異なる。洗濯物の洗濯は、主に振動押洗装置によって行われ、ドラムの回転は主に、洗濯およびすすぎ過程において洗濯物を翻転させ、最後脱水過程において脱水させるために機能する。
【0033】
振動押洗装置が直立垂直位置(起立位置)にある時にのみ、ドラムが回転されることができ、ドラムが回転を完全に停止した後にのみ、振動押洗装置が水平位置まで旋回される。このように、振動押洗装置が水平位置になり、洗濯物を押し洗うこと、又は、振動することによって、洗濯物の洗濯を実現する。
【0034】
振動押洗装置は、水中の洗濯物を一次振動押洗洗濯した後、振動押洗装置が自動的に上方へ旋回し(起立するような状態)、振動押洗装置が所定の位置(起立する状態の位置)に旋回した後、洗濯物が翻転・引っ繰り返すために、ドラムが数回低速で回転する。
【0035】
ドラムの数回低速回転が停止した後、振動押洗装置は、再び下げられ(水平位置になる)、振動する。このサイクルが繰り返され(プログラムの洗濯に従う)、洗濯物の洗濯プロセスが完了する。
【0036】
洗濯プロセスが完了した後、洗濯機は、数回の排水、給水、ドラムの複数回間歇的な回転を行い、振動押洗装置も複数回の間歇的な旋回および振動を行い、洗濯物のすずき過程が完了する。
【0037】
すずき過程が完了した後、振動押洗装置が上向きの位置(起立する状態)に維持され、ドラムが高速回転して洗濯物を脱水する。
【0038】
脱水過程が完了した後、洗濯機は、プロセス完了ブザーが鳴り、この時、扉を開いて洗濯後の洗濯物を取り出すことができる。
【0039】
なお、本発明の実施形態は、本明細書及び図面に記載されているが、本発明は、様々な形態で実施することができ、記載した実施形態に限定されるものではない。また、実施例は、本明細書が開示した内容をより理解するための目的で提供されている。上記の様々な技術的特徴をさらに組み合わせることによって、記載していない様々な実施形態を構成することもできる。それらは、本発明の説明の範囲と見なすことができる。さらに、当業者は、上記の説明に従って、改良または変更することができ、その改良および修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれる。