(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887590
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】骨盤ベルトサポーター
(51)【国際特許分類】
A41D 13/05 20060101AFI20210603BHJP
A41C 1/00 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
A41D13/05 150
A41D13/05 106
A41D13/05 125
A41C1/00 G
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-239705(P2015-239705)
(22)【出願日】2015年11月19日
(65)【公開番号】特開2017-95842(P2017-95842A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】515340992
【氏名又は名称】森田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】森田 幸一
【審査官】
▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3106255(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3146121(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00−13/12
A41D20/00
A41C 1/00− 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体後面に、厚みのある当てを取り付けたベルト通しを備え、ベルト通しに、仙腸関節の動きを制限して仙腸関節の損傷による痛みを軽減及び予防するために装着する骨盤ベルトを差し込んで、厚みのある当ての上側が、ズボン、スカート等の着衣にするベルトの下縁に当たるようにすることにより、ベルト通しに差し込んだ骨盤ベルトが上にずれないようにすることを特徴とする、骨盤ベルトサポーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、
伸縮する布を、下腹部、臀部を取り巻き、その周径に合わせて伸縮するように覆うようにして股下部は覆わない本体と、本体後面に、厚みのある当てを取り付けたベルト通しと、を備え、ベルト通しに、仙腸関節の動きを制限して仙腸関節の損傷による痛みを軽減及び予防するために装着する骨盤ベルトを差し込んで、ベルト通しに取り付けた厚みのある当ての上側が、ズボン、スカート等の着衣にするベルトの下縁に当たるようにすることにより、ベルト通しに差し込んだ骨盤ベルトが上にずれないようにする、ものでることを特徴とする、骨盤ベルトサポーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に市販さる骨盤ベルトは
、仙腸関節の動きを制限
して仙腸関節の損傷による痛み
を軽減
及び予防
するために、上部は腸骨の上前腸骨棘から上後腸骨棘・仙骨上部、下部は大腿骨の大転子・仙骨下部を取り巻き、左右両端に取り付けた面ファスナーを合わせ
て装着
する。大腿骨大転子は股関節から外側へ大きく張り出しているために、骨盤両側の上前腸骨棘から上後腸骨棘・仙骨上部にかけてを取り巻くよりも両大腿骨大転子・仙骨下部を取り巻いた方が周径は長い。そのために骨盤ベルトは上部は狭く下部が広い形で巻かれ、下から上への力がかかると容易に上にずれてしまう。脚の屈伸開閉運動や体の前屈動作で骨盤ベルトは大腿で上へと押される。骨盤前方は大きく突出した上前腸骨棘が、骨盤ベルトが上へ押されてずれることを制限するけれども、骨盤後方の上後腸骨棘の突出は小さく、骨盤ベルトは後部が上へとずれ、全体が上にずれてしまう。
この問題を解決することを目的とした骨盤ベルト付き下着や骨盤サポート機能付き下着は、骨盤ベルト部分や骨盤サポート機能部分に下から上への力がかかることによるずれを十分に防止できない。また骨盤支持機能を備えるために一般の下着よりも高価とな
り、下着は日々取り換え消耗すれば新たに入手せねばなら
ぬために、必要数を揃えることは利用者にとって費用負担が大きくなる。さらに使用に伴う消耗により、骨盤ベルトや骨盤サポート機能が損傷すると下着として使うには不便で、下着本体が損傷すれば骨盤ベルトや骨盤サポート機能に問題がなくとも使用することはできなくなり、資源の有効活用性の面で
も問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−113434号公報
【特許文献2】特開2013−185268号公報
【特許文献3】実用新案登録第3195298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
骨盤ベルトは単独で使用する場合上にずれる、排泄時の処置に煩わされるという問題がある。
特許文献1の骨盤ベルト付き下着はパンツに骨盤ベルトを固定しているために、骨盤ベルトに骨盤支持機能を得るほど十分な引き締める力があれば、骨盤ベルトに上へ押し上げる力がかかると、骨盤ベルトはパンツの生地を引っ張り上げて上にずれてしまう。また骨盤ベルトを取り付けるので、普通の下着より原材料は増え、製造の手間もかかるために製造費用は普通の下着よりも高くなることになり、利用者が日々の取り換えや使用に伴う消耗のために必要枚数を揃えるための費用負担が大きくなる。さらに骨盤ベルト部分が損傷すると下着として使用するには不便であり、下着本体が損傷すると骨盤ベルトの機能が正常であっても使用できないので資源の有効活用性に問題がある。
特許文献2の骨盤周りサポート帯布付きショーツは、特許文献1と同様に骨盤サポート帯に十分な骨盤支持機能を得るほどに引き締める力があれば、ショーツの生地を引っ張り上げて骨盤サポート帯がずれるという問題が生じ、利用者の費用負担や資源の有効活用性の問題についても特許文献1と同様である。
特許文献3の骨盤サポート衣類は前後の縦縁でガードル本体に縫着されて、上辺・下辺は縫着されずフリーとなっているために、上辺・下辺を縫着するよりもかえって骨盤サポート用のベルトは十分な骨盤支持機能を得る引き締める力があれば上へずれてしまう。また利用者の費用負担や資源の有効活用性の問題についても特許文献1・2と同様である。
本発明は、以上の骨盤ベルト及び骨盤ベルト付き下着や骨盤サポート機能付き下着使用における不都合を解消するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明を骨盤に装着し、その上に巻いた骨盤ベルト(11)にあわせて左右のベルト通し上部(1)とベルト通し下部(2)を、面ファスナー(5)と面ファスナー(6)とを合わせて連結させ
て構成されるベルト通しに、骨盤ベルト(11)を差し込み、厚みのある当て(3)の上側が、ズボン、スカーと等の着衣にするベルトの下縁に当たるように、左右の厚みのある当てを連結する布地(4)を、面ファスナー(7)と、面ファスナー(8)及び面ファスナー(9)とを合わせて
、ベルト通しの上から本発明本体にかけて取り付ける、そしてズボン、スカート等の着衣にするベルトを締める。
_本発明は、以上の構成よりなる骨盤ベルトサポーターである。
【発明の効果】
【0006】
(イ)
一般に市販される、仙腸関節の動きを制限して仙腸関節の損傷による痛みを軽減及び予防するためにする骨盤ベルトを、ずれることなく装着し続けることができる。
(ロ)_本発明の使用により、骨盤ベルトを一本所持すれば骨盤ベルト付き下着や骨盤サポート機能付き下着を複数所持する必要がなくなり、利用者にかかる費用の負担は減り、資源の有効活用性も高まる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】 本体に骨盤ベルトを取り付け、厚みのある当てを取り付けた本発明の斜視図である。
【
図4】 ベルト通しを示した本発明の斜視図である。(右側はベルト通しを連結している。)
【
図5】 左側ベルト止に面ファスナーの連結を外した骨盤ベルトを差し込んだ、ベルト止を示した本発明の斜視図である。(左側の厚みのある当てを連結する布地(4)を本体裏側に折り返している。)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
伸縮する布を、下腹部、臀部を取り巻き、その周径に合わせて伸縮するように覆うようにして本発明の本体とする。本体後面の左側と右側の、上の方と下の方に布地を取り付け、左右それぞれ上の布地をベルト通しの上部(1)、下の布地をベルト通しの下部(2)とする。ベルト通しの上部(1)に面ファスナー(5)を、ベルト通しの下部(2)に面ファスナー(6)を、面ファスナー(5)と面ファスナー(6)を合わせるとベルト通しの上部(1)がベルト通しの下部(2)の上に重なるようにして取り付ける。ベルト通しの下部(2)に、本体の上端を超えて折り返すのに十分な長さの、厚みのある当てを連結する布地(4)を取り付ける。厚みのある当てを連結する布地(4)に、ベルト通しの下部(2)と向かい合う面の裏面には、中に布
等を詰めることで厚みを持たせた厚みのある当て(3)を取り付け、ベルト通しの下部(2)と向かい合う面には、裏面に厚みのある当て(3)を取り付けた所から、ベルト通しの下部(2)に取り付けられているのと反対側の末端まで面ファスナー(7)を取り付ける。ベルト通しの上部(1)の面ファスナー(5)を取り付けたのと反対の面から本発明の本体の上端まで、面ファスナー(7)と合わせる面ファスナー(8)を取り付ける。面ファスナー(7)の本体の上端を超えて折り返した部分と合わせる面ファスナー(9)を本体の裏面に取り付ける。本体の前面左右に本体より幅の狭い布地を、
上下を縫い付け左右は本体から離れるように取り付けてベルト止(10)とする。
骨盤ベルト(11)を本発明の上から適切な位置に巻くと、骨盤ベルト(11)がベルト通しの上部(1)とベルト通しの下部(2)との間に巻かれるように、本発明を肌着の上から装着して、骨盤ベルト(11)を適切な位置に巻く。ベルト通しの上部(1)が骨盤ベルトの上縁に接するようにして、ベルト通しの上部(1)とベルト通しの下部(2)を骨盤ベルト(11)の幅に合わせ、面ファスナー(5)と面ファスナー(6)を合わせて連結する。そしてズボンやスカート等の着衣にするベルトを締めると、厚みのある当て(3)の上側が、着衣にするベルトの下縁に当たるように、面ファスナー(8)に面ファスナー(7)を合わせて
、厚みのある当て(3)を
ベルト通しの上部(1)とベルト通しの下部(2)が連結することにより構成されるベルト通しから本体にかけて取り付ける。厚みのある当て(3)を強く本体に固定するために、骨盤ベルトの面ファスナーの連結を一旦外し、厚みのある当てを連結する布地(4)の本体の上端を超えた部分を、本体裏面に折り返して、面ファスナー(7)を面ファスナー(9)に合わせ、本体裏面に取り付けて、再度骨盤ベルトの面ファスナーを合わせ、骨盤ベルトを装着する。この状態でズボン、スカート等の着衣にするベルトを締めると、厚みのある当て(3)が着衣にしたベルトに押さえられ、骨盤ベルト(11)上にずれない
。
【符号の説明】
【0009】
1 ベルト通しの上部
2 ベルト通しの下部
3 厚みのある当て
4 厚みのある当てを連結する布地
5、6、7、8、9 面ファスナー
10 ベルト止
11 骨盤ベルト