【文献】
青木恭太,新島健司,吉岡努,運動調節機能客観評価によるL−ドパのパーキンソン病薬効評価法,電子情報通信学会技術研究報告,2019年10月 4日,Vol.119, No.224,pp.45-50
【文献】
青木恭太,新島健司,吉岡努,認知症におけるミニメンタルステート検査と運動調節機能検査の関係,電子情報通信学会技術報告,2018年10月13日,Vol.118, No.257,pp.13-18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る運動障害に対する薬効評価
システムは、神経変性病に対する薬効の確認を短時間で簡便・安全・客観的かつ数量的に行うことができることを最大の特徴とする。
以下、本発明に係る運動障害に対する薬効評価
システムの実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
なお、以下の説明で示される運動障害に対する薬効評価
システムの全体構成及び各部の構成は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0018】
図1から
図7に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る運動障害に対する薬効評価
システムの実施例のシステムブロック図である。
図2は、本発明に係る運動障害に対する薬効評価
システムの実施の手順を示す模式図である。
図3は、本発明に係る運動障害に対する薬効評価
システムによるセンサからの測定データを説明する図である。
図4は、本発明に係る運動障害に対する薬効評価
システムの実施時、センサからの測定データを時間に沿って示した図である。
図5は、本発明に係る運動障害に対する薬効評価
システムのデータの周波数成分を示すヒストグラム図である。
図6は、本発明に係る運動障害に対する薬効評価
システムによる測定データの周波数分析結果を示すグラフである。
図7は、本発明に係る運動障害に対する薬効評価
システムによって投薬前投薬後の測定データを演算処理し周波数分析を行った結果を示すグラフである。
【0019】
評価装置1は、運動障害に対する薬効評価を実施するためのシステムである。このシステムで、被験者の運動を測定、解析することで、被験者に対する薬効を評価するものである。
評価装置1は、主に、センサ100、表示部110、制御演算部130、記憶部140からなる。
【0020】
センサ100は、被験者の手の運動を測定するものであり、手指の動きを回転角度として計測するものである。被験者が、両手又は片手を出し、手を自然に広げた状態で、掌を返すように反転する動作を繰り返す。回転の速さは、ガイドとして表示する画像に沿う速度とする。ガイドの回転の速さは、1周期1秒程度とする。センサによる測定によって、手指の動きの周波数成分として、例えば、25Hz程度までの周波数成分の測定を行うのであれば、25Hzの倍である50Hz以上の周期でのサンプリングが必要である。
また、被験者への負担を軽減するために、センサは、被験者の手にマーカー等を付ける必要の無いタイプであると好適である。
具体的な例としては、性能及び価格の点から、LEAP MOTION(リープ モーション インコーポレーテッド社 登録商標)等の赤外線センサが挙げられる。手から数十センチ離した位置に、LEAP MOTIONを置くことで、被験者の手に特別な処理を行うこと無く、手指の動きを三次元で詳細に計測することができる。センサ100としては、例えば、手の動きの3軸の並進と3軸の回転データを抽出できるが、本発明では、手の回内回外運動を評価する際に手の平の方向ベクトルの腕を軸とした周りの回転のみの1次元情報を利用する。計測データは、片方の手ごとに生成される。
【0021】
表示部110は、被験者に手の動きの基準となる例示映像を示したり、計測結果や評価値を表示したりする部分である。表示部110は、被験者が手の繰り返し運動をしながら、無理なく視ることが出来る位置にあると好適である。そのような位置にあることで、手の繰り返し運動に集中出来るからである。大きさは、被験者が、目を凝らすことなく確認できる大きさが好適である。また、手の繰り返し運動の手の映像を表示するため、表示部110上の手の大きさが実際の手の大きさに近いほうがより違和感が少なく好適である。
【0022】
尚、図示していないが、音声によって、被験者に対して検査のガイダンスを行ったり、開始、終了を通知したり、測定値、評価値の通知を行ったりすることが出来るスピーカを備える態様も考え得る。表示部110によって通知等を行うことが出来るが、音声でも伝えることで、より通知の効果が高くなるし、視力の弱い人には、表示部110による通知よりも有効である。
また、測定自体についても、音声でも説明したほうが、被験者にとってわかりやすいことが多い。例えば、「表示と同じ様に手を動かしてください」「表示が消えても手を動かし続けてください」等を音声で示されたほうが、被験者はスムーズに作業を進めることができる。
【0023】
制御演算部130は、評価装置1全体の制御、データの演算等を行う部分である。
制御としては、評価装置1の起動、測定のガイダンスの表示の指示、表示部110への例示画像の表示の指示、スピーカへの発音の指示、センサ100の動作指示、取得データの記憶部140への格納、表示部110への測定値、評価値の表示の指示等を行う。
取得した測定データ230は、測定期間ごとに記憶部140へ格納される。
演算としては、計測データ230をフーリエ変換し、時間データから周波数データに変換する。さらに、周波数ごとに、手を回転される周期に該当する刺激運動周波数250(基本周波数とも言う)と、刺激運動周波数250よりも低いLOW周波数240のグループと刺激運動周波数250よりも高いHIGH周波数260のグループとの3つに分ける。LOW周波数240のグループのPOWER成分から1つ以上の成分の和(1つ又は2つ以上の成分を加算した値)であるLOW周波数成分270を生成する。HIGH周波数260のグループのPOWER成分から1つ以上の成分の和(1つ又は2つ以上の成分を加算した値)としてHIGH周波数成分290を生成する。ここでいう「和」とは、1つの成分のみから成り、他の成分を加算しない場合をも含む。また、加算は、該当する成分をすべて加算した値としてもいいし、検査上有効と思われる成分のみを加算した値でも良い。そして、HIGH周波数成分290とLOW周波数成分270との合計と刺激運動周波数成分280との比率によって、測定結果を評価する。
【0024】
制御演算部130の各動作、処理を説明する。測定のガイダンスの表示の指示としては、表示部110に、「運動評価の測定を行います。両手を前に出して、画面の手と同じように、手を回転させてください。10秒後に映像は消えますが、映像が消えた後も15秒間、手を回転させてください」等の説明を表示する。被験者の測定への移行をスムーズにすることができる。表示部110への例示画像の表示の指示によって、記憶部140内の映像データ210を動画として、表示部110に表示を行う。映像データ210は動画データでもいいし、静止画データの集合でもよい。手を回内回外する様子を被験者に教示するものである。センサ100に対しては、測定開始、中止の指示を行う。計測中、センサ100からデータを受信し、記憶部140に計測データ230として、記憶する。
測定開始10秒後、表示部110の表示を停止する。センサ100のデータは、この時点で、1グループのデータとし、記憶部140に記憶する。その後、5秒ごとに、センサ100のデータを1グループとし、記憶部140に記憶する。
映像を消してから15秒後に、「お疲れ様でした。測定終了です。」等、表示部110に表示し、音声も出力する。
測定完了後、計測データ230から、HIGH周波数成分290とLOW周波数成分270と刺激運動周波数成分280に従って評価値を算出する。
【0025】
記憶部140は、プログラム及びデータを記憶する部分である。不揮発性メモリと揮発性メモリから成る。不揮発性メモリには、プログラムや、例示データ200、映像データ210、理想データ220など、値が確定したデータが記憶されている。プログラムは、評価装置1の制御の手順を記述した部分である。評価装置1製造時に組み込まれていてもいいし、適宜、アプリケーションとして、後からインストールされても良い。
例示データ200、映像データ210は、被験者に運動をさせるためのガイドとなるデータである。そのため、例示データ200、映像データ210は、常に評価装置1内に記憶されている必要がある。計測データ230、LOW周波数成分270、基本周波数成分280、HIGH周波数成分290は、測定の都度、発生、計算されるデータであるので、揮発性メモリに記憶される。評価装置1の電源を切ると無くなるので、必要な場合は外部記憶装置等に記憶させる。
【0026】
例示データ200、映像データ210、理想データ220、測定データ230について説明する。例示データは、手指を回内回外させる際の手指の角度を示す値であり、回内回外を1周期とし、1秒間で1周期することを示すものである。波形としては、連続したサイン波形となる。例示データとしては、測定期間すべてのテータを持ち、適宜使用する。
映像データ210は、例示データに対応した実際の手指の位置を示す映像の集合体である。例示データの1秒、1周期分に対して、手指を1回回内回外する映像群が対応する。映像群は、静止画の集合でもいいし、1周期の動画データでも良い。
理想データは、例示データに沿って、まったく同じ動きを手指が行った場合のデータであり、波形としては、
図3(a)に示すように、例示データ200と全く同じサイン波形となる。
測定データ230は、実際に被験者が例示データに従って、手指を動かし、その動作をセンサ100で測定したものである。例示データと同じサイン波形に近い形となっているが、まったく同じ動作はできないので、
図3(b)に示す様に揺らぎがあり、スムーズで無い波形となる。
【0027】
図2、
図4に沿って、測定手順について説明する。測定は、被験者に薬を投与する前と投与した後の2回行われる。測定の間隔は、数十分から数時間であり、例えば、30分程度である。
各測定は、4つのphaseに分かれている。phase1は映像有期間であり、被験者は、表示部110の映像データ210に倣って、被験者の右手RH、被験者の左手LHを回内回外させる(
図2上部)。phase2,3,4は映像無期間であり、表示部110の映像は消え、被験者は、映像有期間に表示部110に表示されていた映像を思い出しながら、映像に倣って手指を回内回外させる(
図2下部)。phase1は、10秒間、phase2,3,4は、各5秒間計測作業を行う。
本発明では、phase3の計測データを使用する。
他のphaseの特徴も含めて
図4に沿って説明する。
図4は、phase1から4の例示データと測定データのグラフを示す。横軸は時間である。縦軸は、手指の回転の角度値である。
【0028】
phase1では、表示部110に例示データ200に対応する映像データ210を表示する。例示データ200は、1秒で1周期となるデータである。被験者は、映像データ210に沿って、手指を動かすが、最初の数秒は、うまく追従できない場合が多い。
図4の領域Aが、うまく追従できていない部分である。そのため、phase1の計測データを用いる際は、初めの数回、例えば、3回分の計測を除いて、計測データとする。
【0029】
次に、phase2、3、4については、例示データに対応する映像データが消えているので、被験者は、表示された映像ではなく、記憶に基づいた映像に沿って、手指を動かすことになる。phase2は、惰性的に、ほぼphase1と同様の動きがなされる(
図4領域B)。よって、phase2のデータの信頼性は低い。
phase4では、被験者は、測定がもうすぐ終了することから、無意識に手指を動かすことへの集中力が低くなることが多い。そのため、phase4の終わり付近での手指の動きは悪くなる(
図4領域D)。よって、phase4のデータの信頼性は低い。
phase3では、被験者が、映像を思い出しながら、手を動かすので、視覚、運動認識、短期運動記憶、運動生成等、脳機能の多くを用いるので、測定データとして、信頼性が高い。
このように、例示データが無い期間を、複数の期間に分けた場合、最初の期間と最後の期間を除く、期間で計測を行うべきである。本実施例では、phase3が、計測すべき期間となる。
投薬前の測定のphase3の測定データから、第1の評価値を算出し、投薬後の計測のphase3の測定データから、第2の評価値を算出する。
第1の評価値よりも第2の評価値のほうが低い場合は、薬効があったと判断する。
【0030】
評価値の算出方法について説明する。
測定データをFFT(fast fourier transform)によって、周波数成分に変換する。本実施例では、手指を1Hz周期で回転させているので、基本周波数である刺激運動周波数250は、1Hzである。
周波数成分として、1/3Hz、2/3Hz、1、2,3,4,5、6,7,8,9・・・25Hzの成分が挙げられる。
周波数成分グラフの例を
図5に示す。基本周波数である刺激運動周波数250が1Hzである。刺激運動周波数のpower成分が基本周波数成分280である。1/3Hz、2/3HzがLOW周波数となる。LOW周波数の成分の合計が、LOW周波数成分270である。2,3,4,5,6,7,8,9・・・25HzがHIGH周波数となる。HIGH周波数の成分の合計が、HIGH周波数成分290である。この例では、該当する成分をすべて加算した例を示しているが、検査上有効と思われる成分のみを加算しても良い。
【0031】
評価する方法の1つとして、HIGH周波数成分290と基本周波数280との比率を算出する方法がある。
周波数nのpower成分値をpnとし、比率算出値をNSM(Non−Smoothness Measure)とする。
NSM=(p2+p3+p4+・・・+p25)/P1・・・(1)
NSM値が大きければ、基本周波数成分280に対する、HIGH周波数成分290の比率が大きいこととなり、言い換えれば、震えの成分量の比率が大きいことになる。
【0032】
評価する他の方法として、LOW周波数成分270とHIGH周波数成分290との合計と基本周波数280との比率を算出する方法がある。
周波数nのpower成分値をpnとし、修正版比率算出値をNSMM−1(Non−Smoothness Measure Modifid 1)とする。
NSMM−1=(p1/3+p2/3+p2+・・・+p25)/P1・・・(2)
NSMM−1値が大きければ、基本周波数成分280に対する、LOW周波数成分270及びHIGH周波数成分290の比率が大きいこととなり、言い換えれば、震え、揺らぎの成分量の比率が大きいことになる。
NSMM−1を用いることによって、被験者の手指の動きが極端に悪い場合についても測定、比較が可能となる。
【0033】
また、被験者の状態によっては、基本周波数成分280に対する、LOW周波数成分270の比率によって、判断しても良い。
周波数nのpower成分値をpnとし、修正版比率算出値をNSMM−2(Non−Smoothness Measure Modifid 2)とする。
NSMM−2=(p1/3+p2/3)/P1・・・(3)
NSMM−2値が大きければ、基本周波数成分280に対する、LOW周波数成分270の比率が大きいこととなり、言い換えれば、震え、揺らぎの成分量の比率が大きいことになる。
NSMM−2を用いること、すなわちLOW周波数成分270のみによる判断であっても、充分に正確な測定、比較そして評価が可能である。
【0034】
図6は、被験者の運動についての測定、処理結果である。
横軸は、測定期間を複数に分けたphaseを示す。phase1は、被験者が例示データを見ながら手指を動かした期間の測定結果である。phase2,3,4は、被験者が例示データを見ない状態で手指を動かした期間の測定結果である。測定期間を3つに分け、それぞれの期間の測定結果を示している。
縦軸は、power値である。動きの大きさとも言う。棒グラフは、刺激運動周波数の成分であるavePw、LOW周波数成分であるLow、HIGH周波数成分であるHighの3つの値に分かれている。
例示データが存在するphase1では、刺激運動成分である基本周波数成分280よりも小さい成分であるLOW周波数成分270は微小であり、刺激映像である例示データに対応して運動が維持されている。また、刺激運動成分よりも高い運動成分もさほど大きくなく、刺激映像に対応した運動であることが確認できる。
刺激映像が消失した直後5秒間のphase2においては、phase1とほぼ同様の運動が維持されている。
刺激映像消失後5秒から10秒までの5秒間のphase3では、刺激運動成分よりも遅い成分であるLOW周波数成分270の増加から被験者の運動速度が低下しているのがわかる。
phase3に続くphase4では、phase3における運動速度低下がより顕著になる。
【0035】
被験者が重症の場合においては、刺激映像が示されているphase1においても刺激映像成分と同様の運動速度を実現することが困難である。そのために、刺激映像成分よりも遅い運動成分であるLOW周波数成分270の強度が大きくなる。また、極めて重症の場合には、刺激運動成分よりも低いLOW周波数成分270も小さくなる。
【0036】
被験者が軽症の場合においては、LOW周波数成分270は小さい。また、十分軽症であれば、刺激運動成分である基本周波数成分280の動き大きさも変化が少ない。しかし、動きの滑らかさに欠けると刺激運動成分よりも早い運動成分であるHIGH周波数成分290の大きさが大きくなる。これは、NSMの増加そのものであり、刺激運動のような滑らかな変化に追従できていないことを表現している。
【0037】
本実施例では、phase3の値を使用する。LOW周波数成分270とHIGH周波数成分290の合計が刺激運動周期外加算成分である。
刺激運動周期外加算成分と基本周波数成分の比率を評価値とする。
投薬前の評価値と投薬後の評価値を比較することで、投薬の効果の有無を確認する。
また、被験者の状態によっては、刺激運動周期外加算成分をLOW周波数成分270のみとしてもいいし、HIGH周波数成分290のみとしても良い。
【0038】
左右の手指のいずれの評価値を用いるかについて、投薬前の左右の評価値を比較することで判断することができる。例えば、左側の評価値の方が右側の評価値よりも低い場合、左の手指の評価値を用いると好適である。
評価値が低いということは、被験者の手指の揺れ、ぶれが比較的小さいことを表している。従って、投薬による変化が表れやすいと考えられるからである。逆に、投薬前の評価値が高いと、被験者の手指の揺れが大きいため、投薬による変化量が少なく、判断の精度が下げる可能性があるからである。
【0039】
図7に投薬前の測定結果と投薬後の周波数分析結果のグラフを示す。
図7(a)が投薬前、(b)が投薬後である。図の構成は
図6と同様である。
本実施例では、phase3の値を使用する。LOW周波数成分270とHIGH周波数成分290の合計が刺激運動周期外加算成分である。
刺激運動周期外加算成分と基本周波数成分の比率を評価値とする。投薬前と投薬後の評価値を比較し、投薬後の評価値の方が低くい場合、投薬による効果があったと考え、該当する病気を発症している可能性が高いと判断できる。
薬品としては、例えば、L−dopaを用いる。
全体の判断としては、LOW周波数成分270とHIGH周波数成分290の合計である刺激運動周期外加算成分を用いるが、詳細の検討時には、LOW周波数成分270とHIGH周波数成分290を分けて、解析を行うこともできる。
また、被験者の状態によっては、刺激運動周期外加算成分をLOW周波数成分270のみとしてもいいし、HIGH周波数成分290のみとしても良い。
【0040】
重症の場合においては、投薬により運動が改善されると刺激運動成分である基本周波数成分280と同様の動きが可能となる。そのような場合においては、主に、刺激運動成分よりも遅い運動成分であるLOW周波数成分270の減少として、投薬の効果が観測される。
【0041】
軽症の場合においては、投薬前においても刺激運動成分の動きが可能であれば、投薬の効果として刺激運動成分よりも遅い運動成分であるLOW周波数成分270の減少が観測されることは無い。その場合には、刺激運動成分よりも、より滑らかな動きの実現を反映する速い運動成分であるHIGH周波数成分290の減少が表れる。また、phase3における運動速度低下を反映するように、刺激運動成分よりも遅い運動成分であるLOW周波数成分270の発現が、抑えられる場合もある
【0042】
このように、本発明によれば、運動障害に対する薬効の評価を短時間で客観的に行うことができるので、診察回数、診察時間の短縮となり、被験者及び医師の負担軽減となるものである。
【解決手段】記憶部と、表示部と、センサと、制御演算部と、で構成され、制御演算部は、映像に倣って該被験者が運動を行う映像有期間と、該映像を停止した後、該映像有期間の映像に倣って引き続き被験者が運動を行う映像無期間を持つと共に、映像無期間の計測データから、手指の回内回外を繰り返す刺激運動の周波数成分である刺激運動周波数の成分と、該刺激運動周波数成分以外の周波数から1つ以上の成分の和である刺激運動外成分を抽出し、該刺激運動外成分を該刺激運動周波数成分で割った値を評価値とする測定方法を持ち、被験者に薬を投与する前に、該測定方法によって第1の評価値を算出し、被験者に薬を投与した後に、該測定方法によって第2の評価値を算出し、第1の評価値と第2の評価値の比較によって薬効の評価が行われる手段を採用した。