【文献】
墨運堂 樹木の剪定・整枝後の保護剤キニヌール 2L 業務用,2021年 1月 5日,2016年12月24日アーカイブ[2021年1月5日検索],URL,https://web.archive.org/web/20161224213829/https://www.e-unica.jp/SHOP/13213.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には,樹根の隆起方向への伸長抑制方法及びこれに用いる忌避用シート材に関する発明が,特許文献2には,縁石・敷石を用いた根の浮き上がり防止方法に関する発明が,それぞれ開示されている。
これら先行技術は,樹木の植樹時において処置を行うことにより,根の地層表面近くへの伸展を抑制することができる点において有用である。しかるに,これら先行技術は,既に根が地層表面近くまで伸展している場合に適用しても効果が得られない点において,課題を有するものである。
【0006】
現在,都市部を中心とした様々な地域において,既に植えられ成長した樹木における根をどう処理するかが解決すべき緊急の課題となっており,これらの点から,かかる課題を解決する技術の開発が強く望まれている。
【0007】
上記事情を背景として,本発明では,既に植えられ成長した樹木において,伸長した根を適切に処理するとともに,その後の成長において根の地層表面への伸長ないし発根(以下,「伸長等」と略する)を抑止するための技術の開発を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は,樹木医としての長年の経験と英知から,根を適切に処理するとともに,地中への根の伸長等を促進する手法と部材を開発することにより,発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明は,以下の構成からなる。
本発明の第一の構成は,地層表面に伸展した根を,切断面が斜め下方向を向くように切断する根切断工程と,
前記根を切断した後に,前記根の略正面側近傍に位置させて当該根を覆う被覆部材を設置する被覆部材設置工程と,
を備えたことを特徴とする根処置方法である。
【0010】
本発明の第二の構成は,前記根の切断角度が,前記地層表面に対して100から170度であることを特徴とする第一の構成に記載の根処置方法である。
本発明の第三の構成は,前記被覆部材が,一定程度に湾曲した凹状部材であることを特徴とする第一又は第二の構成に記載の根処置方法である。
本発明の第四の構成は,前記被覆部材の,前記根との対向面に,スリット溝が設けられていることを特徴とする第一から第三の構成に記載の根処置方法である。
本発明の第五の構成は,前記被覆部材が,陶磁製素材からなることを特徴とする第一から第四の構成に記載の根処置方法である。
【0011】
本発明の第六の構成は,前記根の下部近辺の土に,活性剤を含んだ水を噴射する水噴射工程をさらに備えたことを特徴とする第一から第五の構成に記載の根処置方法である。
本発明の第七の構成は,前記根の下部近辺の土を掘り起こし,ここに微生物を含有する微生物含有部材を埋設する微生物含有部材埋設工程をさらに備えたことを特徴とする第一から第六の構成に記載の根処置方法である。
本発明の第八の構成は,前記微生物含有部材が,微生物によって分解された植物であることを特徴とする第七の構成に記載の根処置方法である。
本発明の第九の構成は,前記根の切断面に発根促進剤を塗布する塗布工程をさらに備えたことを特徴とする第一から第八の構成に記載の根処置方法である。
本発明の第十の構成は,前記根の切断面に墨及びロウのいずれか又は両方をさらに塗布することを特徴とする第九の構成に記載の根処置方法である。
【0012】
本発明の第十一の構成は,第一から第十の構成に記載の根処置方法に用いられることを特徴とする被覆部材である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により,既に植えられ成長した樹木において,伸展した根を適切に処理するとともに,その後の成長において根の地層表面への伸展を抑止するための技術の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態における被覆部材を示す正面斜視図
【
図2】本発明の一実施の形態における被覆部材を示す背面斜視図
【
図3】本発明の一実施の形態における被覆部材を示す平面斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態における被覆部材を示す左側面斜視図
【
図5】本発明の一実施の形態における被覆部材を左上方から見た斜視図
【
図6】本発明の一実施の形態における被覆部材の使用状態を説明するための斜視図
【
図7】本発明の一実施の形態における根処置方法を施す前の樹木周辺の様子を示す図
【
図8】掘り起こしてむき出しとなった根の状態を示す図
【
図9】掘り起こしてむき出しとなった根を切断した状態を示す図
【
図10】本発明の一実施の形態における根処置方法のうち根切断工程を示す図
【
図11】本発明の一実施の形態における根処置方法のうち水噴射工程を示す図
【
図12】本発明の一実施の形態における根処置方法のうち微生物含有部材埋設工程を示す図
【
図13】微生物含有部材埋設工程における埋設の様子を説明した図
【
図14】本発明の一実施の形態における根処置方法のうち被覆部材設置工程を示す図
【
図15】本発明の一実施の形態における根処置方法のうち被覆部材を保護布で覆う工程を示す図
【
図16】本発明の一実施の形態における被覆部材の他の構成を示す図
【
図17】本発明の一実施の形態における被覆部材のさらなる他の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下,好適な実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し,下記の実施の形態は本発明を具現化した例に過ぎず,本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
<<I.発明の概要>>
本発明の根処置方法は,根切断工程と被覆部材設置工程を必須の工程とする。また,本発明の根処置方法は,任意の工程として,水噴射工程,微生物含有部材埋設工程,塗布工程を含む。
【0017】
[根切断工程]
根切断工程は,地層表面に伸長した根(以下,「伸長根」と略する)を,切断面が斜め下方向を向くように切断する工程である。かかる工程を含むことにより,伸長根を適切に処理するとともに,その後の根の伸長等を,地中方向へ促進し,地層表面への根の伸長等を抑制することができるという効果が得られる。
【0018】
根を切断する際には,必要に応じて,切断する根の周辺の土や敷石などを排除する。そして,土や敷石などを排除した後,根を,切断面が斜め下方向を向くように,チェーンソーやのこぎりなどで切断する。
ここで,「根を,切断面が斜め下方向を向くように」とは,地層表面とは逆の方向であって,その切断面が地中方向に面しているものとして定義される。また,根を切断する際の角度(切断角度)については,樹木や土壌の性質,地中の埋設物(ケーブルや水道管など)や根の伸長状況など,種々の要素を総合的に勘案して適切な角度とすればよい。切断角度θは,好ましくは,地層表面に沿った方向を0度として,100から170度とすればよく,最も好ましくは,130から140度とすればよい(
図10を参照)。
【0019】
[被覆部材設置工程]
被覆部材設置工程は,切断した根の略正面側(上部ないし先端側)近傍に位置させて当該根を覆う被覆部材を設置する工程である。かかる工程を含むことにより,切断後に伸長等した根が,当該被覆部材に当たって地中方向に伸長等することとなり,地層表面への根の伸長根を抑制することができるという効果が得られる。
設置する被覆部材については,伸長根近傍の状況を勘案して,形状や設置する場所(根の上部側か先端側か,両方か)などを適宜選択することができる。
なお,本発明において「根を覆う」とは,被覆部材が根に直接的に接触することを意味するものではなく,本発明の趣旨に鑑み,切断面から新たに伸長する根が被覆部材に覆われる,もしくは接触することにより,地中方向への伸長根が促進される意味合いにおいて,用いられるものである。
【0020】
被覆部材は,一定の剛性ならびに面積を有する部材として定義され,切断後に伸長等する根の伸長方向を地中へと誘導する役割を果たす。被覆部材は,かかる役割を果たす限り,特に限定されるものではなく,種々の素材ないし形状のものとすることができる。
被覆部材としては,例えば,
図1から
図6に示すような,一定程度に湾曲した凹状部材や,
図15,
図16に示すような,切断した根そのものを囲むことが可能な筒状部材などを用いることができる。また,これらの被覆部材を,単独もしくは組み合わせて用いてもよい。
【0021】
被覆部材においては,根との対向面に,スリット溝が設けられていることが好ましい。かかる好ましい構成によれば,根がスリット溝に沿って収斂して伸長等することとなり,地層表面への根の伸長等を抑制ならびにコントロールできるという効果が得られる。
スリット溝としては,
図1に示すような断面略半円状もしくは凹状の溝であって,地中方向に沿って一定程度の長さを有していればよい。
【0022】
被覆部材の素材は,上記のような形状の被覆部材として成形しやすく,一定の剛性を有する素材であれば,特に限定されるものではなく,種々の素材を用いることができる。このような素材としては,例えば,プラスチック素材や陶磁製素材などを用いればよい。
被覆部材は,陶磁製素材からなることが好ましい。かかる好ましい構成によれば,被覆部材が一定の剛性とともに重量や頑健性をも有することとなり,根を覆った際の安定性を向上させることができるという効果が得られる。また,自然素材であるため,樹木の生育を阻害することもない。
【0023】
[水噴射工程,微生物含有部材埋設工程]
本発明において,水噴射工程ならびに微生物含有部材埋設工程は,任意の工程として定義されるものであり,これら両工程をそれぞれ単独でもしくは合わせて用いることもできる。
【0024】
水噴射工程は,伸長根の下部近辺の土に水を噴射し,土を掘りやすくするとともに,根とともに付近の土壌を活性化させ,噴射した方向への根の伸長を促進する効果を有する。この意義において,水噴射工程は,根の伸長方向を想定しつつ,根の下部に水を噴射するものである。
加えて,用いる水については,根の伸長を促進する栄養成分を含んだ活性水とすることが好ましい。本発明において活性水とは,植物ないし根の生長を促進することを目的として,栄養成分などが含まれた水溶液として定義される。このような活性水としては,植物活性水や発根促進剤と称されるリン,窒素,カリウムなどの栄養成分を含む溶液を用いればよく,例えば,メネデール(商品名)を希釈して用いるなどすればよい。
また,水に樹木活性剤を混入しておくことにより,根の少々の傷を回復させることができる。
【0025】
微生物含有部材埋設工程は,伸長根の下部近辺に,微生物を含有する微生物含有部材を埋設し,埋設方向への根の伸展を促進する効果を有する。この意義において,微生物含有部材埋設工程は,根の伸長方向を想定しつつ,根の下部に微生物含有部材を埋設するものである。
微生物含有部材は,微生物を含有することにより,微生物による発酵作用などで部材そのものを軟化するとともに,生じる栄養成分により,根の伸展を促進する役割を果たす。微生物含有部材は,かかる役割を果たす限り,特に限定されるものではなく,種々の部材を用いることができる。
微生物含有部材としては,典型的には,微生物によって分解された植物(腐食した草や葉,木材や竹材など)を用いればよい。また,処置を行う樹木周辺における枯葉などの微生物含有部材を用いることが特に好ましい。
【0026】
[塗布工程]
本発明において,塗布工程は,任意の工程として定義されるものであり,発根促進剤を根の切断面に塗布することにより,切断面における根の伸長を促進する役割を果たす。塗布工程は,かかる役割を果たす限り,特に限定されるものではなく,種々の発根促進剤を塗布することができる。
発根促進剤としては,上記のように,例えば,メネデール(商品名)を希釈して用いるなどすればよい。
また,この場合,根の切断面には,墨及びロウのいずれか又は両方をさらに塗布することが好ましい。かかる好ましい構成によれば,根の腐食を防止できるとともに,発根を促進して樹木を安定させることができるという効果が得られる。墨としては,例えば,墨石液を用いることができ,ロウとしては,例えば,接ぎ木ロウ剤を用いることができる。
なお,ロウ剤は,表皮の巻き込み促進と雨水侵入防止剤で,材質腐朽防止に効果が著しく大きいものとして,その用途が発明者に見出されたものである。
また,墨石液は,太古から使用の墨液が材木質腐朽に効果が高く,殺菌能力効果が高いものとして,その用途が発明者に見出されたものである。
これらロウ剤と墨石液を合わせて用いることにより,塗布面における腐朽防止効果をさらに高めることができるものである。
【0027】
<<II.実施の形態>>
<被覆部材の構成>
まず,本発明の一実施の形態における根処置方法に用いる被覆部材の構成について,
図1から
図6を参照しながら説明する。
【0028】
図1は本発明の一実施の形態における被覆部材を示す正面斜視図,
図2は当該被覆部材を示す背面斜視図,
図3は当該被覆部材を示す平面斜視図,
図4は当該被覆部材を示す左側面斜視図,
図5は当該被覆部材を左上方から見た斜視図,
図6は当該被覆部材の使用状態を説明するための斜視図である。
【0029】
図1から
図5に示す本実施の形態の被覆部材1は,切断した後の根の略正面側近傍に位置させて当該根を覆うために用いられる部材である。
図6に示すように,被覆部材1は,切断した後の根に向かって前傾させた状態で使用される。
図1から
図5に示すように,本実施の形態の被覆部材1は,略矩形状の板体1aを,略中央の縦軸を中心に正面側に一定程度湾曲させて形成した凹状部材からなっている。
かかる構成の被覆部材1を用いれば,後述するように,切断した根の略正面側(上部ないし先端側)近傍に位置させて当該根を覆うように被覆部材1を設置することにより,切断後に伸展した根が,当該被覆部材1に当たって地中方向に伸展することとなり,地層表面への根の伸展を抑制することが可能となる。
被覆部材1の凹部(後述する根3との対向面)には,複数のスリット溝1bが設けられている。ここで,スリット溝1bは,断面略半円状ないし凹状の溝であって,縦軸方向に沿って一定程度の長さを有している。
かかる構成によれば,根がスリット溝1bに沿って収斂して伸長することとなり,地層表面への根の伸展を抑制ならびにコントロールすることが可能となる。
【0030】
被覆部材1は,陶磁製素材からなっている。
かかる構成によれば,上記のような形状の被覆部材として成形しやすくなる。また,一定の剛性とともに重量や頑健性をも有することとなり,根を覆った際の安定性を向上させることが可能となる。また,自然素材であるため,樹木の生育を阻害することもない。
【0031】
<根処置方法>
次に,上記被覆部材1を用いて樹木における根を処置する方法について,
図7から
図14をも参照しながら説明する。
【0032】
図7は本発明の一実施の形態における根処置方法を施す前の樹木周辺の様子を示す図,
図8は掘り起こしてむき出しとなった根の状態を示す図,
図9は掘り起こしてむき出しとなった根を切断した状態を示す図,
図10は本発明の一実施の形態における根処置方法のうち根切断工程を示す図,
図11は当該根処置方法のうち水噴射工程を示す図,
図12は当該根処置方法のうち微生物含有部材埋設工程を示す図,
図13は微生物含有部材埋設工程における埋設の様子を説明した図,
図14は当該根処置方法のうち被覆部材設置工程を示す図,
図15は当該根処置方法のうち被覆部材を保護布で覆う工程を示す図である。
【0033】
図7に,植樹してから約25年経った後の樹木周辺の様子を示す。
図7(a),(b)に示すように,樹木2の周辺において,根3が地表まで出てきている様子が確認できる。
図8(a),(b)に示すように,かかる根3の周辺を掘り起こしてみたところ,根3が複雑に分岐していることが分かった。
【0034】
図9(a),(b)に示すように,掘り起こしてむき出しとなった根3は,チェーンソーやのこぎりなどで切断を行った。なお,むき出しとなった根3については,
図10に示すように,地層表面に対する切断面の角度θを約135度に調整して切断しなおした後(根切断工程),切断面に発根促進剤,墨石液,接ぎ木ロウ剤をこの順番で塗布した(不図示,塗布工程)。これにより,根3の腐食を防止できるとともに,発根を促進して樹木2を安定させることができる。
【0035】
次いで,
図11(a)に示すように,高圧注入機4を用いて,活性剤を含んだ水を,深さ0.8から1.2mの根3の下部に噴射した。その後,さらに,
図11(b)に示すように,1.4mほどの深さまで,水の注入を行った(水圧による土壌改良,水噴射工程)。
かかる水噴射工程を含むことにより,伸長根3の下部近辺の土を掘りやすくすることができるとともに,根3とともに付近の土壌を活性化させ,噴射した方向への根3の伸展を促進することができる。また,深く耕すことができるとともに,根系を切断することなく土壌を改良することができる。さらに,水に樹木活性剤を混入しておくことにより,根3の少々の傷を回復させることもできる。
【0036】
次いで,
図12(a),(b)に示すように,根3の下部に,樹木2の周辺で採取した枯葉や腐植土など(土壌改良剤)5を埋設するとともに,縦方向に,乾燥させた竹(割竹)など(粗大有機物)6の挿入を行った(微生物含有部材埋設工程)。この場合,竹(割竹)6は,木槌などを用いて,打ち込み,なるべく深く(上記水噴射工程で深耕した深さまで)挿入した。なお,この竹(割竹)6は,数年かけて微生物により分解し,また,永年,土中での気孔,水孔として残る。
かかる一連の作業による微生物含有部材埋設工程完了後の様子を示したのが
図13である。
図13に示すように,各埋設物がそれぞれの深さや幅で埋設されるものである。当然のことながらかかる完了後の様子は一例であり,樹木の大きさや周辺状況など種々の条件を踏まえて,適時,各埋設物の種類や深さなどを変更することができるものである。
【0037】
次いで,
図14に示すように,切断した根3の略正面側(上部ないし先端側)近傍に位置させて当該根3を覆うように被覆部材1を設置し,土で埋めた(被覆部材設置工程)。ここで,被覆部材1は,切断した後の根3に向かって前傾させた状態で設置した(
図6を参照)。また,被覆部材1は,上部を2から3cm露出させた状態で埋めた(
図14(c)を参照)。
かかる被覆部材設置工程を含むことにより,切断後に伸展した根3が,当該被覆部材1に当たって地中方向に伸展することとなり,地層表面への根3の伸展を抑制することができる。
【0038】
最後に,
図15に示すように,被覆部材1の上部を安全のために保護布7で覆い,土をかけた。以上で根の処置が完了する。
【0039】
以上説明した根処置方法によれば,既に根3が地層表面近くまで伸展している場合に,伸長根3を適切に処理するとともに,その後の成長において根3の地層表面への伸展を抑止することができる。
【0040】
なお,上記実施の形態においては,被覆部材が,略矩形状の板体1aを,略中央の縦軸を中心に正面側に一定程度湾曲させて形成した凹状部材からなる場合(被覆部材1)を例に挙げて説明したが,本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。被覆部材は,例えば
図16,
図17に示すような構成のものであってもよい。
図16(a)に示す被覆部材8は,略台形状の板体8aを,上端部よりも下端部の径の方が大きい半円筒状に湾曲させて形成した凹状部材からなっている。そして,被覆部材8の凹部(切断した根との対向面)には,複数のスリット溝8bが設けられている。
図16(b)に示す被覆部材9は,切断した根そのものを囲むことが可能な,上端部よりも下端部の径の方が小さい筒状部材からなっている。そして,当該被覆部材9は,上端部分を切断した根に装着したときに,下端部分が略鉛直方向を向くように,途中で屈曲されている(L型パイプ状)。かかる構成の被覆部材9を用いれば,簡単な構成で,切断後に伸展する根の伸展方向を地中へと誘導することが可能となる。
図17に示す被覆部材10は,切断した根そのものを囲むことが可能な,上端部よりも下端部の径の方が大きい筒状部材からなっている。そして,当該被覆部材10も,
図16(b)に示す被覆部材9と同様に,上端部分を切断した根に装着したときに,下端部分が略鉛直方向を向くように,途中で屈曲されている(L型パイプ状)。
【0041】
また,上記実施の形態においては,陶磁製素材からなる被覆部材1を例に挙げて説明したが,本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。被覆部材は,プラスチック素材や鉄素材からなるものであってもよい。