(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0018】
本発明の一実施の形態に係る画像検査装置10(
図1参照)は、供給されたワーク12を画像検査し、欠陥の有無に基づいて、良品、不良品又は良品とも不良品とも判別し難く再検査が必要な再検査品のいずれかに分類して払い出すことができる。欠陥は、例えば傷である。ただし、欠陥は傷に限定されるものではなく、例えば汚れや欠けであってもよい。
ワーク12は、例えば、プレス加工された金属製の部品であり、外形が中心軸に関して実質的に軸対称となる形状となっている。ワーク12は、表面側の中央部に突出した突出部124を有し、突出部124の頂部の中央には、中心軸を中心とする孔H124が形成されている。ただし、ワーク12はこのような部品に限定されるものではない。他のワークの例として、エンジンブロックやミッションケース等の自動車部品又は航空機部品が挙げられる。
以下、同
図1に示すように、画像検査装置10の前後方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向として説明する場合がある。
【0019】
画像検査装置10は、
図1及び
図2に示すように、供給部20、第1の搬送ロボット30、ワーク保持部40、第1の撮像部50、第2の撮像部60、制御部(不図示)、第2の搬送ロボット80及び払出部90を備えている。
この画像検査装置10においては、
図3に示すように、供給部20に供給されたワーク12は、第1の搬送ロボット30(
図3において不図示)によってワーク保持部40に搬送され(矢印T1参照)、ワーク保持部40によって検査位置に搬送され(矢印T2a及び矢印T2b参照)、第1の撮像部50及び第2の撮像部60によって両面が撮像される。撮像後、ワーク12は、欠陥の有無が判別され、第2の搬送ロボット80(
図3において不図示)によって、欠陥の種類に応じて払出部90の所定の場所に払い出される(矢印T3a、T3b、T4、T5参照)。
【0020】
供給部20は、
図2に示すように、正面から見て画像検査装置10の右手側に配置され、検査対象となるワーク12が投入される。
供給部20は、並んで2列配置されX方向に延びる投入用グラビティコンベヤ202a、202bを有している。各投入用グラビティコンベヤ202a、202bは、前方側(画像検査装置10の前面側)から後方側に向かって高さが低くなるように搬送面が傾斜している。
従って、前方側から各投入用グラビティコンベヤ202a、202bに投入されたワーク12は、自重により搬送され、後方側の端部にある供給場所A(予め決められた場所の一例)に供給される。
【0021】
各投入用グラビティコンベヤ202a、202bの供給場所Aには、ワーク12の有無を検出する有無センサ(不図示)及び押上機構が設けられている。この押上機構は、上下方向に延びる丸棒状の押上部材204(
図2参照)を有し、押上部材204の先端には、ワーク12に形成された孔H124に嵌る突起が形成されている。
押上部材204がローラの間から上方に進出し、先端の突起がワーク12の孔H124に嵌ることによって、ワーク12が搬送面から持ち上げられるとともに、X方向及びY方向の予め許容された誤差範囲内に位置決めされる。
【0022】
第1の搬送ロボット(第1の搬送部の一例)30は、
図4に示すように、直交ロボットであり、
図3の矢印T1で示すように、投入用グラビティコンベヤ202a又は投入用グラビティコンベヤ202bの供給場所A(
図2参照)にて持ち上げられたワーク12をワーク保持部40に搬送できる。
【0023】
第1の搬送ロボット30は、
図4に示すように、直動機構310、スライダ320、及びハンド330を有している。
直動機構310は、供給部20及びワーク保持部40よりも高い位置にてY方向に移動するスライダ(不図示)を有している。
スライダ320は、直動機構310のスライダ(不図示)に固定されたZ方向に延びるガイド322に案内され、Z方向に移動可能に設けられている。
【0024】
ハンド330は、エアシリンダ332及び把持爪334を有している。
エアシリンダ332は、X方向に延びる軸AX31回りに回転できるように、スライダ320に設けられている。
把持爪334は、エアシリンダ332によって進退し、進退する方向と交差する方向に開閉できる。
従って、把持爪334は、Y方向及びZ方向に移動することに加え、軸AX31回りに回転して進退し、先端に形成された各切り欠き336にてワーク12の外縁部を把持できる。
なお、
図4に示した状態に基づいて具体的に説明すると、4つの把持爪334全体が、同
図4に示した状態からY方向及びZ方向に移動したり、正面側から見て回転軸AX32を中心として右回りに回転したり、Y方向に開いて把持したワーク12を解放したりできる。
【0025】
ワーク保持部40は、
図3に示すように、正面から見て、供給部20と払出部90の間に配置されている。
ワーク保持部40は、第1の搬送ロボット30からワーク12が受け渡され、矢印T2a及び矢印T2bで示すように、受け渡されたワーク12を画像検査するための予め決められた検査位置へと移動させることができる。
【0026】
ワーク保持部40は、
図5に示すように、回転台410、第1の保持器420a及び第2の保持器420bを有している。
回転台410は、エアモータ412によって駆動され、Z方向に延びる回転軸AX41の回りに回転できる。回転台410の回転方向及び回転量は、同
図5に示す状態から左回り(
図3に示す矢印T2a参照)又は右回り(同
図3に示す矢印T2b参照)に半回転である。
【0027】
第1の保持器420aは、回転台410に設けられ、ワーク12を保持しつつ、ワーク12をワーク12の中心軸(予め決められた軸の一例)の回りに回転させ、ワーク12の姿勢を変更できる。
【0028】
第1の保持器420aは、サーボモータ422a、回転固定軸424a、開閉部材426a及びエアシリンダ428aを有している。
サーボモータ422aは、回転台410に固定部材430aを介して固定されている。
【0029】
回転固定軸424aは、斜め上方に延びる丸棒状の部材であり、ワーク12が挿入される。この回転固定軸424aは、第1の保持器420aが第1の搬送ロボット30からワーク12を受け取る受け取り位置にある状態(
図5に示す状態)において、正面視して右側が先端側となり、平面視して回転固定軸424aが延びる方向に供給場所Aがあるように配置されている(
図2参照)。回転固定軸424aの基端部は、サーボモータ422aのシャフトにカップリングを介して設けられ、サーボモータ422aの回転とともに中心軸AX42回りに回転する。回転固定軸424aの先端部には、ワーク12の突出部124の裏面側に対応した形状の支持部材(不図示)が設けられ、ワーク12に形成された突出部124を支持できる。
【0030】
開閉部材426aは、回転軸AX43を中心として回転することで開閉し、先端部にてワーク12の突出部124を押さえることができる。開閉部材426aの先端部には、突出部124の表面側に対応した形状の押さえ部材432aが設けられている。押さえ部材432aは、ワーク12を押さえた際に回転固定軸424aの中心軸AX42回りに回転できるよう、軸受(不図示)を介して開閉部材426aに設けられている。従って、開閉部材426aが閉じて回転固定軸424aに挿入されたワーク12を押さえると、ワーク12が脱落することなく保持される一方、回転固定軸424aの回転に伴って回転するワーク12の回転は許容される
【0031】
エアシリンダ428aは、開閉部材426aの基端部を進退させることで、開閉部材426aを回転軸AX43回りに回転させることができる。すなわち、エアシリンダ428aは、開閉部材426aを開閉できる。
【0032】
第2の保持器420bは、第1の保持器420aに対して回転軸AX41を中心とした回転対称となるように回転台410に設けられ、ワーク12を保持しつつ、ワーク12をワーク12の中心軸(予め決められた軸の一例)の回りに回転させ、ワーク12の姿勢を変更できる。
第2の保持器420bは、サーボモータ422b、回転固定軸424b、開閉部材426b及びエアシリンダ428bを有し、第1の保持器420aと同様に構成されている。
第2の保持器420bは、第1の保持器420aと回転軸AX41を挟んで反対の側に配置されているので、第1の保持器420aが第1の搬送ロボット30からワーク12を受け取る受け取り位置にあるときには、第2の保持器420bがワーク12を画像検査するための検査位置にある。従って、回転台410が半回転する度に、一方の保持器が、ワーク12を受け取る受け取り位置へ移動するとともに、他方の保持器が、ワーク12を撮像する検査位置へ回転移動する。
【0033】
第1の撮像部50は、ワーク保持部40及び第2の搬送ロボット80と干渉しない退避位置からワーク12を撮像する撮像位置まで移動し、ワーク12の表面側(一方の側)を撮像できる。
第1の撮像部50は、
図6〜
図8に示すように、カメラ510、照明器520並びにカメラ510及び照明器520をX方向及びZ方向に移動させる移動機構550を有している。
カメラ510は、例えば3台設けられ、それぞれワーク12の表面の異なる位置を撮像できる。
【0034】
照明器520は、例えば3台設けられ、各カメラ510が撮像する対象部分を照らすことができる。照明器520は、例えば導光板である。
第1の撮像部50は、外乱光を遮るために、遮光板を更に有していても良い。
【0035】
移動機構550は、Z方向に移動する第1のスライダ552及び第1のスライダ552に設けられX方向に移動する第2のスライダ554を有している。カメラ510及び照明器520は、支持部材556を介して第2のスライダ554に固定されている。
【0036】
なお、第1のスライダ552が上昇し、第2のスライダ554が前方側に移動した位置が、第1の撮像部50がワーク保持部40と干渉しない退避位置となる。この退避位置は、画像検査装置10が稼働を開始する際の初期位置でもある。
第1の撮像部50が有する移動機構の具体的な構成は、カメラ510及び照明器520をワーク保持部40と干渉しない退避位置から撮像位置へと移動させることができれば、任意でよい。また、移動機構550に代えて、カメラ510及び照明器520をそれぞれ独立に移動させることができる移動機構としてもよい。
【0037】
第2の撮像部60は、ワーク保持部40及び第2の搬送ロボット80と干渉しない退避位置からワーク12を撮像する撮像位置まで移動し、ワーク12の裏面側(他方の側)を撮像できる。
第2の撮像部60は、カメラ610、照明器620、遮光板630並びにカメラ610、照明器620及び遮光板630をX方向に移動させる移動機構650を有している。
カメラ610は、例えば2台設けられ、それぞれワーク12の裏面の異なる位置を撮像できる。
【0038】
照明器620は、例えば3台設けられ、各カメラ610が撮像する対象部分を照らすことができる。照明器620は、例えば導光板である。
遮光板(遮光部材の一例)630は、例えば、工場の天井に設置された照明からの光等の外乱光を遮る部材である。
【0039】
移動機構650は、X方向に移動するスライダ652を有している。カメラ610、照明器620及び遮光板630は、支持部材656を介してスライダ652に固定されている。
【0040】
なお、スライダ652が後方側に移動した位置が、第2の撮像部60がワーク保持部40と干渉しない退避位置となる。この退避位置は、画像検査装置10が稼働を開始する際の初期位置でもある。
第2の撮像部60が有する移動機構の具体的な構成は、カメラ610、照明器620及び遮光板630をワーク保持部40と干渉しない退避位置から撮像位置へと移動させることができれば、任意でよい。また、移動機構650に代えて、カメラ610、照明器620及び遮光板630をそれぞれ独立に移動させることができる移動機構としてもよい。
【0041】
制御部(不図示)は、PLC(Programmable Logic Controller)及び画像処理装置を有している。
PLCは、供給部20、第1の搬送ロボット30、ワーク保持部40、第1の撮像部50、第2の撮像部60、第2の搬送ロボット80及び払出部90その他の各部を制御できる。
【0042】
画像処理装置(判定部の一例)は、第1の撮像部50及び第2の撮像部60によって撮像された画像に基づいて、欠陥の有無を検出し、ワーク12の良否を判定できる。欠陥の有無は、パターンマッチングにより検出されてもよいし、AIにより検出されてもよい。画像処理装置は、検出した欠陥の有無に基づいて、ワーク12を良品、不良品又は良品とも不良品とも判別し難く再検査が必要な再検査品のいずれかに分類する。
【0043】
第2の搬送ロボット(第2の搬送部の一例)80は、
図9に示すように、直交ロボットであり、
図3の矢印T3a、T3b、T4、T5で示すように、撮像が終了したワーク12をワーク保持部40から取り出して払出部90へと搬送できる。
【0044】
第2の搬送ロボット80は、第1のスライダ810、第2のスライダ820、第3のスライダ(不図示)及びハンド840を有している。
第1のスライダ810は、ワーク保持部40及び払出部90よりも高い位置にてY方向に延びる直動ガイド808に案内され、Y方向に移動可能に設けられている。
【0045】
第2のスライダ820は、第1のスライダ810に設けられZ方向に延びる直動ガイドに案内され、Z方向に移動可能に設けられている。
【0046】
第3のスライダ(不図示)は、第2のスライダ820に設けられX方向に延びる直動ガイドに案内され、X方向に移動可能に設けられている。
【0047】
ハンド840は、エアシリンダ842及び把持爪844を有している。
エアシリンダ842は、X軸方向に延びる軸AX81回りに回転できるように、第3のスライダ(不図示)に設けられている。
把持爪844は、エアシリンダ842によって進退し、進退する方向と交差する方向に開閉できる。
従って、把持爪844は、X方向、Y方向及びZ方向に移動することに加え、軸AX81回りに回転して進退し、先端に形成された各切り欠き846にてワーク12の外縁部を把持できる。
なお、
図9に示した状態に基づいて具体的に説明すると、4つの把持爪844全体が、同
図9に示した状態からX方向、Y方向及びZ方向に移動したり、正面側から見て回転軸AX81を中心として左回りに回転したり、Y方向に開いて把持したワーク12を解放したりできる。
【0048】
払出部90は、
図1及び
図2に示すように、正面から見てワーク保持部40を挟んで供給部20とは反対の側、すなわち、画像検査装置10の左手側に配置され、第2の搬送ロボット80からワーク12が受け渡される。
【0049】
払出部90は、検査結果に応じてワーク12が払い出される第1の払出用グラビティコンベヤ902a、902b、第2の払出用グラビティコンベヤ902c及び第3の払出用グラビティコンベヤ902dを有している。
【0050】
第1の払出用グラビティコンベヤ902a、902bは、X方向に延び、並んで2列配置されている。第1の払出用グラビティコンベヤ902a、902bは、それぞれ後方側から前方側(画像検査装置10の前面側)に向かって高さが低くなるように搬送面が傾斜している。第1の払出用グラビティコンベヤ902a、902bの後方側の端部は、
図3に示すように、それぞれワーク12の検査位置から左方向(第2の搬送ロボット80がワーク12を払い出すために第1のスライダ810が移動するY方向)に離れた位置にある。この後方側の端部は、第1の払出場所B1(
図2参照)となっており、良品と判断されたワーク12が搬送される。
第1の払出場所B1には、搬送面の下方からローラの間を通って上昇し、第2の搬送ロボット80によって搬送されたワーク12が受け渡される昇降ユニット904a、904b(
図1参照)が設けられている。
【0051】
第2の払出用グラビティコンベヤ902cは、X方向に延び、第1の払出用グラビティコンベヤ902a、902bよりも後方側に配置されている。第2の払出用グラビティコンベヤ902cは、前方側から後方側に向かって高さが低くなるように搬送面が傾斜している。第2の払出用グラビティコンベヤ902cの前方側の端部は、第2の払出場所B2(
図2参照)となっており、不良品と判断されたワーク12が搬送される。
第2の払出場所B2には、搬送面の下方からローラの間を通って上昇し、第2の搬送ロボット80によって搬送されたワーク12が受け渡される昇降ユニット904c(
図1参照)が設けられている。
【0052】
第3の払出用グラビティコンベヤ902dは、第2の払出用グラビティコンベヤ902cと並んで配置されている。第3の払出用グラビティコンベヤ902dは、前方側から後方側に向かって高さが低くなるように搬送面が傾斜している。第3の払出用グラビティコンベヤ902dの前方側の端部は、第3の払出場所B3(
図2参照)となっており、良品とも不良品とも判別し難く再検査が必要な再検査品と判断されたワーク12が搬送される。
第3の払出場所B3には、搬送面の下方からローラの間を通って上昇し、第2の搬送ロボット80によって搬送されたワーク12が受け渡される昇降ユニット904d(
図1参照)が設けられている。
【0053】
次に、画像検査装置10の動作について説明する。
画像検査装置10は、以下のステップS1〜S11に従って動作し、ワーク12を画像検査できる。ただし、可能な場合には、各ステップS1〜S11は順番を入れ替えて実施されてもよいし、並行して実施されてもよい。
【0054】
(ステップS1)
複数のワーク12が、
図2に示す投入用グラビティコンベヤ202a、202bの前面側に載せられる。各ワーク12が投入用グラビティコンベヤ202a、202bに載って移動し、供給場所Aに到達する。
供給場所Aに到達したワーク12は、押上機構が有する丸棒状の押上部材204によって持ち上げられる。
押上部材204によって持ち上げられたワーク12は、搬送面から浮いた状態になる。
【0055】
(ステップS2)
第1の搬送ロボット30(
図4参照)が、搬送面から浮いた状態のワーク12の外周縁を把持し、
図3の矢印T1で示すように、ワーク保持部40に搬送する。
【0056】
(ステップS3)
ワーク12が第1の保持器420a(
図5参照)が有する回転固定軸424aの先端に挿入された後、第1の搬送ロボット30が退避する。開閉部材426aが閉じることにより、ワーク12が第1の保持器420aに保持される。
ワーク12が第1の保持器420aに保持された状態において、中心軸AX42とワーク12の中心軸とが実質的に一致する。
【0057】
(ステップS4)
回転台410が、
図3の矢印T2a又は矢印T2bで示すように、半回転する。
ワーク12を保持した第1の保持器420aが画像検査をするための検査位置に移動するとともに、第2の保持器420bが、第1の搬送ロボット30からワーク12を受け取る受け取り位置へと移動する。
【0058】
(ステップS5)
第1の撮像部50(
図6〜
図8参照)が有する第2のスライダ554が前方側の退避位置から後方側へと移動するとともに第1のスライダ552が下降し、カメラ510及び照明器520が撮像位置へと移動する。
一方で、第2の撮像部60のスライダ652が後方側の退避位置から前方側へと移動し、カメラ610、照明器620及び遮光板630が撮像位置へと移動する。
【0059】
(ステップS6)
第1の保持器420a(
図5参照)のサーボモータ422aが駆動され、回転固定軸424aが中心軸AX42回りに少なくとも360度回転するとともに、
図6に示す各カメラ510、610による撮像が開始される。
すなわち、第1の保持器420aに保持されたワーク12が自身の中心軸の回りに回転し、各カメラ510、610によって、予め決められた撮像箇所が全周にわたって撮像される。
なお、本ステップS6において、ワークは、ワーク自身の中心軸の回りに回転することに限定されるものではない。予め決められた被検査箇所が全て撮像できるのであれば、予め決められた軸の回りにワークが回転してもよいし、更に言えば、予め決められた被検査箇所を全て撮像するためにワークの姿勢が変更されればよい。
したがって、例えばワークがミッションケースの場合は、保持器に保持されたミッションケースが予め設定された軸回りに回転し、カメラによって予め決められた全ての撮像箇所が撮像される。
【0060】
(ステップS7)
画像処理装置(不図示)が、撮像された画像に基づいて、欠陥の有無を検出する。更に、画像処理装置は、欠陥の検出結果に基づいて、ワーク12を良品、不良品又は再検査が必要な再検査品のいずれに該当するかを判定する。
なお、撮像開始(ステップS6)からワーク12の判定(本ステップS7)までに要する時間は、例えば4.5秒である。
【0061】
(ステップS8)
第1の撮像部50及び第2の撮像部60が、それぞれ退避位置へと退避する。
【0062】
(ステップS9)
図5に示す開閉部材426aが開き、ワーク12が開放される。
【0063】
(ステップS10)
第2の搬送ロボット80が、第1の保持器420aの回転固定軸424aからワーク12を抜き取る。
その後、開閉部材426aが閉じ、回転台410が回転軸AX41回りに半回転し、第1の保持器420aが第1の搬送ロボット30からワーク12を受け取る受け取り位置へと移動するとともに、後続のワーク12を保持した第2の保持器420bが、検査位置に移動する。
なお、本ステップにて回転台410が回転し始めるまでの間に、受け取り位置にある第2の保持器420bに後続のワーク12が保持される。第2の保持器420bにワーク12が保持されるまでの動作については、前述の第1の保持器420aにワーク12が保持されるまでの動作と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
このように、第1の保持器420aに保持されたワーク12が画像検査され、回転台410が回転し始めるまでの間に、第1の保持器420aと回転軸AX41を挟んで反対の側に設けられた第2の保持器420bに後続のワーク12が保持されるので、ワーク12が効率よく順に処理される。
【0064】
(ステップS11)
第2の搬送ロボット80が、画像処理装置の判定結果に基づいて、
図3の矢印T3a、T3b、T4、T5で示すように、ワーク12を第1の払出用グラビティコンベヤ902a、902b、第2の払出用グラビティコンベヤ902c及び第3の払出用グラビティコンベヤ902dのいずれかに搬送する。すなわち、第2の搬送ロボット80は、良品、不良品又は再検査品と判断されたワーク12を、判断結果に応じて、第1の払出場所B1、第2の払出場所B2又は第3の払出場所B3へと搬送する。
【0065】
従って、良品と判断されたワーク12は、昇降ユニット904a又は昇降ユニット904bに受け渡され、第1の払出用グラビティコンベヤ902a又は第1の払出用グラビティコンベヤ902bに載って画像検査装置10の前方側へと移動する。
不良品と判断されたワーク12は、昇降ユニット904cに受け渡され、第2の払出用グラビティコンベヤ902cに載って後方側の予め決められた場所まで移動する。
再検査品と判断されたワーク12は、昇降ユニット904dに受け渡され、第3の払出用グラビティコンベヤ902dに載って後方側の予め決められた場所まで移動する。
【0066】
以降、前述のステップS1〜S11を繰り返すことによって、第1の保持器420a及び第2の保持器420bが受け取り位置と検査位置との間を往復し、順次ワーク12が画像検査され、画像処理装置による判定結果に応じて第1〜第3の払出場所B1〜B3に払い出される。
【0067】
以上説明した画像検査装置10によれば、ワーク12の姿勢を変更するワーク保持部40並びにワーク12の表面側を撮像する第1の撮像部50及びワーク12の裏面側を撮像する第2の撮像部60を備えているので、ワーク12を効率よく画像検査できる。
【0068】
次に、画像検査装置10の事前の調整方法、特に、第1の撮像部50及び第2の撮像部60の調整方法について説明する。
画像検査装置10を前述の動作方法に従って稼働させるにあたっては、事前に調整が必要である。特に、精度良く判別可能な欠陥画像が撮像できるように、カメラ510、610、照明器520、610及び遮光板630を適切な撮像位置に調整することが重要である。
そこで、制御部が、予め高い精度で傷等の欠陥を判別できるワーク12の画像を参照画像として記憶しておき、この参照画像に近い画像が撮像できるように、第1の撮像部50及び第2の撮像部60を移動させる。参照画像と近い画像であるか否かは、パターンマッチングにより判定されてもよいし、AIによって判定されてもよい。
【0069】
このように画像検査装置10においては、第1の撮像部50が有するカメラ510及び照明器520並びに第2の撮像部60が有するカメラ610、照明器620及び遮光板630が移動可能に設けられていることから、各カメラ510、610、各照明器520、620及び遮光板630の撮像位置の調整が容易である。画像検査装置10が設置されている場所から離れた場所から遠隔操作により撮像位置を調整することも可能となる。
更に、画像検査装置10は、第1の撮像部50及び第2の撮像部60が移動可能に設けられていない場合と比較して、装置全体の設置面積が低減される。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
ワークは、例えば矩形状であってもよい。また、ワークが、例えばカメラの視野に収まるような小型の平板である場合には、撮像部がワーク全体を撮像するために、必ずしも第1の保持器又は第2の保持器が保持したワークを回転させる必要はない。ただし、撮像の前に第1の保持器又は第2の保持器がワークを回転させることによって、撮像する際のワークの姿勢を調整することができ、撮像の後にワークを回転させることによって、第2の搬送部に受け渡す際のワークの姿勢を調整することができる。
【0071】
第1の保持器及び第2の保持器は、ワークを回転させることに限定されるものではなく、撮像部がワークの検査対象箇所の全体を撮像するためにワークの姿勢を変更できればよい。
【解決手段】画像検査装置10は、ワーク12を予め決められた検査位置に移動させるとともにワーク12の姿勢を変更するワーク保持部40と、検査位置にあるワーク12の一方の側を撮像する位置まで移動可能に設けられ、ワーク12の一方の側を撮像する第1の撮像部50と、検査位置にあるワーク12の他方の側を撮像する位置まで移動可能に設けられ、ワーク12の他方の側を撮像する第2の撮像部60と、第1の撮像部50及び第2の撮像部60によって撮像された画像に基づいて、ワーク12の良否を判定する判定部と、を備える。