特許第6887645号(P6887645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887645
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】射的ゲーム機
(51)【国際特許分類】
   F41B 11/71 20130101AFI20210603BHJP
   F41A 17/08 20060101ALI20210603BHJP
   A63F 9/02 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   F41B11/71
   F41A17/08
   A63F9/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-224305(P2017-224305)
(22)【出願日】2017年11月22日
(65)【公開番号】特開2019-95121(P2019-95121A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】504410837
【氏名又は名称】ナツメアタリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆司
(72)【発明者】
【氏名】内 剛
【審査官】 金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−329395(JP,A)
【文献】 特開昭50−066999(JP,A)
【文献】 特開平06−198072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41B 11/71
A63F 9/02
F41A 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊戯者による射撃操作に応じて模擬弾(1)を発射する模擬銃(2)と、
模擬銃(2)を使った射撃の標的となる的(3)と、
的(3)に設けられて、当該的(3)を特定するためのID情報を含む光信号を投光する光ID送信機能を備えた投光手段(17)と、
模擬銃(2)に設けられて、受光した光からID情報を抽出して、当該ID情報を取得する受光手段(53)と、
模擬銃(2)に設けられて、受光手段(53)により取得された的のID情報と、記憶部(58)に格納されているID情報とを比較し、両者が一致したときに、模擬銃(2)を遊戯者による射撃操作に応じた模擬弾(1)の発射が可能な状態とする発射制御手段(59)と、
を備えており、
投光手段(17)が、フルカラーLEDを投光素子(21)として備えており、
模擬銃(2)に、フルカラーLEDを投光素子として含み、的(3)側の投光手段(17)からの発光態様と同色の光を発光し得る、目視確認用の発光手段(61)が設けられていることを特徴とする射的ゲーム機。
【請求項2】
二台以上の的(3)と、二台以上の模擬銃(2)とを含み、
各的(3)の投光手段(17)から送信されるID情報、及び発光態様が互いに異なるものとされており、
各模擬銃(2)の発光手段(61)による発光態様が互いに異なるものとされている、請求項1記載の射的ゲーム機。
【請求項3】
投光手段(17)の記憶部(23)と、発射制御手段(59)の記憶部(58)のそれぞれには、複数個のID情報が格納されており、
的(3)に、投光手段(17)から投光されるID情報を切り替え操作するための第1のID選択スイッチ(25)が設けられており、
模擬銃(2)に、発射制御手段(59)による模擬弾(1)の発射許可を決定するためのID情報を切り替え操作するための第2のID選択スイッチ(60)が設けられており、
発射制御手段(59)は、投光手段(17)から投光されて受光手段(53)により取得された的(3)のID情報と、第2のID選択スイッチ(60)の操作により選択されたID情報とを比較し、両者が一致したときに、模擬銃(2)を模擬弾(1)の発射が可能な状態とする、請求項1または2記載の射的ゲーム機。
【請求項4】
受光手段(53)を構成する受光素子(56)の受光領域が変更可能に構成されている、請求項1乃至3のいずれかに記載の射的ゲーム機。
【請求項5】
受光素子(56)の銃口方向の前方側には受光筒(55)が設けられており、
受光筒(55)の前端と受光素子(56)との距離を変更することで、受光素子(56)の受光領域を変更することができるように構成されている、請求項記載の射的ゲーム機。
【請求項6】
受光素子(56)の銃口方向の前方側には、内径寸法の異なる複数種の受光筒(55)から選択される一つの受光筒(55)が装着可能に構成されており、
受光筒(55)を取り替えることで、受光素子(56)の受光領域を変更することができるように構成されている、請求項記載の射的ゲーム機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擬似銃から模擬弾を発射することができる射的ゲーム機に関して、安全性の向上を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
擬似銃から模擬弾が標的に向って発射される射的ゲーム機において、標的から大きく外れた方向に模擬弾が発射されることを防ぐための安全装置を設けることは、例えば特許文献1、2に開示されており公知である。
【0003】
特許文献1の射的ゲーム機は、的を内部に有する筐体と模擬銃(模擬銃本体)とを備える。安全装置は、筐体と模擬銃とのいずれか一方に設けられた発光手段と、他方に設けられて発光手段からの光を受光する受光手段と、受光手段が発光手段からの光を受光したときに模擬弾の発射を許可する判断手段とからなる。模擬銃の銃口が的又はその近傍に向けられて、発光手段からの光が受光手段により受光されると、判断手段が模擬弾の発射を可能な状態とし、銃口が筐体の外側へ向けられて、受光手段が発光手段からの光を受光しないときには、模擬弾の発射が不可能な状態とする。
【0004】
特許文献2の射的ゲーム機では、模擬銃の銃身に設けられた一つの投光手段(発光素子)から、主光道と従光道の二つの方向に光を照射し、光が的とその付近の領域に設けられた二つの受光手段(受光素子)により、両方向に照射された光が受光されたときにのみ、模擬弾が発射可能な状態となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−329395号公報
【特許文献2】実開平2−14591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、模擬銃側と的側とのそれぞれに一対の発光・受光手段を設け、受光手段による受光状態のみに基づいて、模擬弾の発射の可否が判断される構成では、不用意に室内照明光や太陽光などの外来光が受光手段に受光されたときに、誤作動が生じるおそれが残る。また、複数台の的が並べられていると、例えば隣の的の発光手段から発光された光が、模擬銃側の受光手段に受光されて、模擬銃により隣の的への模擬弾の発射が可能となるおそれもある。特許文献2の構成では、二つの方向に照射された光に基づいて発射の可否を判断するため誤作動は効果的に少なくできるものの、受光手段を二つの方向に設置することが必要であるため、射的ゲーム機の全体構造が大掛かりとなることが避けられない。二つの受光手段の設置箇所を精密に定めることが必要であり、射的ゲーム機の設置場所が限られる点にも不利がある。
【0007】
本発明は、以上のような従来の射的ゲーム機の抱える問題を解決するためになされたものであり、ゲーム機が大型化することや複雑化することを防ぎながら、模擬弾の誤発射をより確実に防ぐことができる射的ゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る射的ゲーム機は、遊戯者による射撃操作に応じて模擬弾1を発射する模擬銃2と、模擬銃2を使った射撃の標的となる的3と、的3に設けられて、当該的3を特定するためのID情報を含む光信号を投光する光ID送信機能を備えた投光手段17と、模擬銃2に設けられて、受光した光からID情報を抽出して、当該ID情報を取得する受光手段53と、模擬銃2に設けられて、受光手段53により取得された的のID情報と、記憶部58に格納されているID情報とを比較し、両者が一致したときに、模擬銃2を遊戯者による射撃操作に応じた模擬弾1の発射が可能な状態とする発射制御手段59とを備える。
【0009】
投光手段17は、フルカラーLEDを投光素子21として備えており、模擬銃2に、フルカラーLEDを投光素子として含み、的3側の投光手段17からの発光態様と同色の光を発光し得る、目視確認用の発光手段61が設けられている。
【0010】
二台以上の的3と、二台以上の模擬銃2とを含むものとする。この場合には、各的3の投光手段17から送信されるID情報、及び発光態様が互いに異なるものとされており、各模擬銃2の発光手段61による発光態様が互いに異なるものとされていることが望ましい。
【0011】
投光手段17の記憶部23と、発射制御手段59の記憶部58のそれぞれには、複数個のID情報が格納されており、的3に、投光手段17から投光されるID情報を切り替え操作するための第1のID選択スイッチ25が設けられており、模擬銃2に、発射制御手段59による模擬弾1の発射許可を決定するためのID情報を切り替え操作するための第2のID選択スイッチ60が設けられており、発射制御手段59は、投光手段17から投光されて受光手段53により取得された的3のID情報と、第2のID選択スイッチ60の操作により選択されたID情報とを比較し、両者が一致したときに、模擬銃2を模擬弾1の発射が可能な状態とする形態を採ることができる。
【0012】
受光手段53を構成する受光素子56の受光領域は、変更可能に構成されていることが望ましい。
【0013】
具体的には、受光素子56の銃口方向の前方側には受光筒55が設けられており、受光筒55の前端と受光素子56との距離を変更することで、受光素子56の受光領域を変更することができるように構成することができる。
【0014】
また、受光素子56の銃口方向の前方側には、内径寸法の異なる複数種の受光筒55から選択される一つの受光筒55が装着可能に構成されており、受光筒55を取り替えることで、受光素子56の受光領域を変更することができるように構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、受光手段53により取得された的3のID情報と、記憶部58に格納されているID情報とを比較し、両者が一致したときに、模擬銃2を遊戯者による射撃操作に応じた模擬弾1の発射が可能な状態となるようにした。このように、本発明においてはID情報に基づいて模擬弾1の発射の可否を判断するようにしたので、単に受光素子への受光の有無のみに基づいて発射の可否を判断する形態に比べて、照明光や太陽光などの外乱光の影響を排除して、模擬弾1の誤発射の発生をより確実に防ぐことができる。また、複数台の的3が並列的に配置されるとともに、各的3に対応する模擬銃2を使った射撃動作を認める形態であっても、各的3のID情報を異なるものに設定しておくことで、隣り合う不適な的3に向けて模擬銃2から模擬弾1が発射されるような誤発射が生じることを確実に防ぐことができる。投光手段から複数方向に向けて光を発射するとともに、複数方向に受光手段を設ける形態のように、射的ゲーム機の全体構成が大型化したり、複雑化したりすることがなく、よりコンパクトな射的ゲーム機を実現できる利点もある。
【0016】
模擬銃2に、的3側の投光手段17からの発光態様と同色の光を発光し得る、目視確認用の発光手段61を設けたので、遊戯者は手にしている模擬銃2の発光手段61の発光色と、的3の投光手段17の発光色とを比較するだけで、狙うべき的3を簡単に識別することができる。当該技術は、特に複数台の的3が並列的に配置されている形態を採る場合に好適であって、上述のように目視確認用の発光手段61を設けることにより、隣り合う不適な的3に向けて模擬弾1を発射する誤発射の発生をより確実に防止できる。
【0017】
二台以上の的3と、二台以上の模擬銃2とを含む形態を採る場合には、各的3の投光手段17から送信されるID情報が互いに異なるものとする。これにより、隣り合う不適な的3に向けて模擬銃2から模擬弾1が発射されるような誤発射が生じることを確実に防ぐことができる。また、上記のような二台以上の的3と、二台以上の模擬銃2とを含む形態を採る場合において、各的3の投光手段17からの発光態様と、各模擬銃2の発光手段61による発光態様が互いに異なるものとされていると、遊戯者は手にしている模擬銃2の発光手段61の発光色と、的3の投光手段17の発光色とを比較するだけで、狙うべき的3を簡単に識別することができるので、隣り合う不適な的3に向けて模擬弾1を発射する誤発射の発生を効果的に防止できる。
【0018】
より具体的には、投光手段17の記憶部23と、発射制御手段59の記憶部58のそれぞれに、複数個のID情報が格納されており、的3に、投光手段17から投光されるID情報を切り替え操作するための第1のID選択スイッチ25が設けられており、模擬銃2に、発射制御手段59による模擬弾1の発射許可を決定するためのID情報を切り替え操作するための第2のID選択スイッチ60が設けられており、発射制御手段59は、投光手段17から投光されて受光手段53により取得された的3のID情報と、第2のID選択スイッチ60の操作により選択されたID情報とを比較し、両者が一致したときに、模擬銃2を模擬弾1の発射が可能な状態とする形態を採ることができる。以上のような形態を採ることにより、二台以上の的3と、二台以上の模擬銃2とを含む形態を採る場合において、隣り合う不適な的3に向けて模擬銃2から模擬弾1が発射されるような誤発射が生じることを確実に防ぐことができる。
【0019】
受光手段53を構成する受光素子56の受光領域が変更可能に構成されていると、例えば照明光や太陽光などの外乱光の入射状況等を勘案しながら受光領域を調整することが可能となり、模擬銃2の銃口が的3を向いた適正姿勢となったときにのみ、投光手段17から投光されたID情報を確認し得る、最適な検出領域をより確実に設定することができる。複数台の的3が並列的に設置されている場合も同様であり、模擬銃2の銃口52を、当該模擬銃2が対応する適正な的3に向けられたときにのみ、当該的3に設けられた投光手段17から投光されたID情報を識別することが可能となる検出領域をより確実に設定することができる。以上のような受光領域の変更は、受光筒55の前端と受光素子56との距離を変更すること、或いは内径寸法の異なる受光筒55を変更することで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施例に係る射的ゲーム機の制御構成を示すブロック図である。
図2】第1実施例に係る射的ゲーム機の全体構成を示す外観斜視図である。
図3】射的ゲーム機を構成する的の正面図である。
図4】的の内部構成を示す縦断側面図である。
図5】(a)は的に設けられる投光装置を示す外観斜視図、(b)は投光装置の要部の縦断側面図である。
図6】射的ゲーム機を構成する模擬銃の概略構成図である。
図7】模擬銃本体に対するアタッチメントユニット等の装着方法を示す図である。
図8】受光筒の変更方法を説明するための図である。
図9】モニターに表示された射撃結果を示す図である。
図10】本発明の第2実施例に係る射的ゲーム機を示す、要部の概略構成図である。
図11】第2実施例の要部の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施例)
図1乃至図9に、本発明の第1実施例に係る射的ゲーム機を示す。図2に示すように射的ゲーム機は、遊戯者の射撃操作に応じてBB弾(模擬弾)1(図4図6参照)を発射する電動ガンである模擬銃2と、該模擬銃2を使った射撃の標的となる的3とで構成される。的3の正面には、数メートルの所定距離を置いてゲーム結果を表示する表示台4が設置され、遊戯者は、この表示台4の後方などの近傍位置から、模擬銃2を構えて、前方に配された的3に向ってBB弾1を発射して射的ゲームを行う。本実施例に係る射的ゲーム機では、2台の的3・3が並列的に配置されるとともに、各的3・3に対応して一台ずつ表示台4・4が配置されており、各的3に対応する模擬銃2を使って、2名の遊戯者が射的ゲームを実行できる。
【0022】
図2図3に示すように、的3は、的本体6と、的本体6を支持する脚7とを備える。図4に示すように、的本体6は、表示台4と対峙する正面側にBB弾1を受け入れる開口部8を備える筐体9と、筐体9の背面側に設けられた標的板10と、標的板10の正面側に設けられ、正面方向から飛翔してきたBB弾1の進行方向を下方に偏向させる偏向板11と、筐体9の下方に設けられ、偏向板11により偏向されたBB弾1が収容される弾収容部12などで構成される。偏向板11は、筐体9の上側から下側に向うに従い正面側から背面側に向う傾斜姿勢に配置された透明板であり、正面側(前方側)から飛んできたBB弾1を下方に向って偏向させて弾収容部12内にBB弾1を収容する。
【0023】
図4において符号13は、偏向板11により下方に向けられたBB弾1を弾収容部12に導く捕集板を示しており、該捕集板13は、背面側に向って下るような傾斜姿勢で配置される。弾収容部12の最下方にはトレイ14が設けられ、トレイ14を外方に引き出すことで、弾収容部12内に収容されたBB弾1を回収できる。偏向板11の素材としてはポリカーボネートなどを使用でき、遊戯者は、偏向板11を介して、標的板10に描かれた標的15を視認できる(図3参照)。なお、偏向板11の背面側(後方側)には、標的板10に代えて、標的15を表示可能な液晶モニターやタブレット型のコンピュータなどを配置してもよい。
【0024】
的3には、BB弾1の着弾点を検出するための着弾位置検出装置が設けられる。着弾位置検出装置は、偏向板11を囲むように筐体の複数個所に配された音響センサを含み、この音響センサにより検出された偏向板11にBB弾1が衝突した際に発生する衝撃音に基づいて、偏向板11におけるBB弾1の着弾点や着弾速度などを検出できる。かかる着弾位置検出装置の具体的な検出方法は、特開2016−90170号公報、特開2014−25677号公報に開示されているものであり、公知技術であるため、本出願では割愛する。
【0025】
図2乃至図4において、符号17は、的3に設けられて、当該的3を特定するためのID情報を含む光信号を投光する光ID送信機能を備えた投光装置(投光手段)を示す。投光装置17は、的本体6の開口部8の上方と下方の上下二箇所に設けられ、的3の正面である前方に向って(表示台4側に向って)光を投光する。図5に示すように、各投光装置17は、前方に透光板18を有する四角ボックス状のハウジング19と、ハウジング19の前方に前後方向にスライド移動可能に装着された導光体20とで構成される。ハウジング19の内部には、フルカラーLEDからなり、透光板18を介してID情報を含む光信号を前方に向って投光する投光素子21と、投光素子21を制御する投光制御部22と(図1参照)が設けられる。投光制御部22の記憶部23には、No.1〜No.4の計4個のID情報が格納され、ハウジング19の側面には、ID情報を切り替え、選択するための第1のID選択スイッチ25が設けられる。第1のID選択スイッチ25の操作により、一つのIDが選択されると、投光制御部22は、投光素子21から当該ID情報を含む光信号を投光させる。ここでは、No.1〜No.4の各ID情報に対応して、赤、青、緑、黄の一種の色が割り当てられており、一つのID情報が選択されると、投光素子21は、それに対応する色を発光する。第1のID選択スイッチ25を構成する操作ボタン25a〜25dには、各色に対応した着色が施されており、例えば赤色の操作ボタン25aが押圧操作されると、投光素子21から赤色の光が投光される。
【0026】
導光体20は、投光素子21からの投光領域を変更することを目的として装着されるものであり、後方側に開口してハウジング19の前面に外嵌状に装着される四角筒状のガイド筒26と、ガイド筒26の前方側に設けられて、該ガイド筒26よりも小形の四角筒状に形成に形成されたフード筒27とで構成される。フード筒27の内面には、反射防止処理が施されている。例えば、ハウジング19に対して導光体20を前側にスライド移動させると、つまり、ハウジング19から離れる方向に導光体20を移動させると、導光体20の前端部(フード筒27の前端部)と投光素子21との間隔距離を大きくできるので、投光領域を狭くできる。逆に、ハウジング19に対して導光体20を後方にスライド移動させると、つまり、ハウジング19に近づく方向に導光体20を移動させると、導光体20の前端部(フード筒27の前端部)と投光素子21との間隔距離を小さくできるので、投光領域を大きくできる。
【0027】
図2に示すように、表示台4は、的3から数メートルの所定距離を置いて設置され、その上面には、コード29を介して受信した着弾位置検出装置による検出結果(図9参照)などを表示するためのモニター30が埋設される。表示台4の側面には不使用時の模擬銃2を収納するためのホルダー31が設けられ、表示台4の正面にはコインセレクター32のコイン投入口が設けられる。表示台4の内部には、コインセレクター32へのコインの投入を受けて、射的ゲーム機の全体を制御する制御装置33が設けられる(図1参照)。
【0028】
図6および図7に示すように、模擬銃2は、自動拳銃を模した模擬銃本体37と、模擬銃本体37の銃身42の下方に装着されたアタッチメントユニット38とで構成される。アタッチメントユニット38を着脱可能に装着するために、模擬銃本体37とアタッチメントユニット38の間には、マウント構造39が設けられる。図7に示すように、マウント構造39は、模擬銃本体37の銃身の左右側面に形成したマウント溝40と、アタッチメントユニット38側に設けられてマウント溝40に係合するガイドレール41とで構成され、マウント溝40にガイドレール41を位置合わせしたうえで、銃身42の前方側から後方側に向ってアタッチメントユニット38をスライド移動させることで、アタッチメントユニット38を模擬銃本体37に装着できる。図7において、符号43は模擬銃本体37側の電極を、符号44はアタッチメントユニット38側の電極を示しており、マウント構造39を介して銃身42にアタッチメントユニット38を装着したとき、両電極43・44間の通電状態が確立される。
【0029】
図6および図7に示すように、模擬銃本体37は、グリップ46と、グリップ46に対して着脱自在に装着される弾倉47と、グリップ46の前側に設けられたトリガー48と、トリガー48が引かれた際にオン操作されるトリガースイッチ49と、グリップ46の上部に設けられた銃身42と、モーター50やシリンダー51などを含む作動機構とで構成される。弾倉47からチャンバー内に装填されたBB弾1は、モーター50の駆動力を受けてシリンダー51内を往復移動するピストンにより作り出された圧縮空気により、銃身42内を通って銃口52から前方側に向って発射される。
【0030】
模擬銃本体37に装着されるアタッチメントユニット38は、所謂ウエポンライトと称されるハンドガン用のライトを模した外形形状を有する前後横長の四角ブロック状のケースを基体とするものであり、その内部に模擬銃2の全体に電力を供給するバッテリー54と、ケースの前方側に装着された受光筒55を介して光を受光する受光素子56と、受光素子56により受光された光からID情報を取得するID情報抽出部57(図1参照)と、ID情報抽出部57により抽出されたID情報と、記憶部58に格納されているID情報とを比較し、両者が一致したときに、模擬銃2を遊戯者による射撃操作に応じたBB弾1の発射が可能な状態とする発射制御部(発射制御手段)59(図1参照)とを備える。受光素子56とID情報抽出部57とは、受光装置(受光手段)53を構成する。アタッチメントユニット38の側面には、発射制御部59によるBB弾1の発射許可を決定するためのID情報を選択し、切り替え操作するための第2のID選択スイッチ60と、フルカラーLEDを投光素子として含み、的3側の投光素子21からの発光態様と同色の色を発光し得る発光部(発光手段)61とが設けられる。図1図6において符号62は、模擬銃本体37とアタッチメントユニット38とをオンオフ操作するための電源スイッチを示しており、遊戯者により電源スイッチ62がオン操作されたときに、バッテリー54から発射制御部59等への電力供給がなされる。図1において符号63は、アタッチメントユニット38のバッテリー54からの模擬銃本体37への電力供給のオンオフ操作を担うリレーを示しており、発射制御部59によりBB弾1の発射許可が下されると、リレー63がオンとされてモーター50へ電力が供給される。
【0031】
先の第1のID選択スイッチ25と同様に、第2のID選択スイッチ60を構成する操作ボタン60a〜60dには、各色に対応した着色が施されており、例えば赤色の操作ボタン60aが押圧操作されると、発光部61から赤色の光が投光される。発射制御部59は、投光装置17から投光されて受光素子56により取得された的3のID情報と、第2のID選択スイッチ60の操作により選択されたID情報とを比較し、両ID情報が一致したときに、リレー63をオンとしてモーター50への電力の供給が可能な状態とし、BB弾1が発射可能な状態とする。そして、かかる状態から遊戯者によりトリガー48が引かれると、トリガースイッチ49がオン操作され、モーター50が駆動されてBB弾1が発射される。
【0032】
図8に示すように、受光筒55は、軸心方向に伸びる筒孔64を有して、前後の両方向に開口を有するプラスチック成形品であり、アタッチメントユニット38のケースの下方に設けられた筒受部65に装着されている。受光筒55の筒孔64の内面には、反射防止処理が施されており、前方開口から受け入れた光のうち、内面に当たった光は後方開口から出射されないように構成されている。筒受部65は、ケースの前壁から後方向に向って陥没形成された凹入部であり、後端部は受光素子56に臨んでいる。符号66は、筒受部65の後端部に形成されて、受光筒55の挿入限界を規定する規制突起を示す。規制突起66を使って受光筒55を筒受部65に装着したとき、筒孔64の伸び方向と、銃口52から発射されるBB弾1の発射方向とは完全に一致するようになっている。
【0033】
本実施例では長さ寸法や内径寸法の異なる複数種の受光筒55が用意されており、これら複数種の受光筒55から一つを選択して、これを筒受部65に装着することで、受光素子56による受光領域を変更できる。具体的には、例えば図8(b)の受光筒55(55b)に代えて、該受光筒55(55b)よりも前後の長さ寸法の大きな受光筒(55a)(図8(a))を筒受部65に装着することで(w1<w2)、受光素子56の受光領域をより狭くできる。また、図8(b)の受光筒55(55b)に代えて、図8(c)のような内径寸法の小さな受光筒55(55c)を装着することによっても(d1>d2)、受光素子56の受光領域をより狭くできる。
【0034】
次に、以上のような構成からなる射的ゲーム機を使った遊戯方法について、図1を使って説明する。まず、予め射的ゲーム機の管理者は、第1のID選択スイッチ25と第2のID選択スイッチ60とを操作して、的3側のIDと、当該的3に対応する模擬銃2側のIDとを一致させておく。具体的には、的3の投光装置17の第1のID選択スイッチ25の操作ボタン25aを押圧操作して、No.1に係るIDを選択した場合には、当該的3に対応する表示台4に設置される模擬銃2のアタッチメントユニット38の第2のID選択スイッチ60の操作ボタン60aを押圧操作して、的3と同様のID(No.1のID)を選択しておく。尤も、例えば図2に示すように、左右一対の計2台の的3・3が並列的に配置されている状況においては、左右それぞれの的3・3と模擬銃2・2のIDは異なるものとしておくことが必要であり、例えば、左側の的3と、当該左側の的3に対応する模擬銃2においてNo.1のIDが選択された場合には、右側の的3と、当該右側の的3に対応する模擬銃2においてNo.1以外のID(例えばNo.2のID)が選択される。なお、上述のように、第1のID選択スイッチ25を構成する操作ボタン25a〜25dのそれぞれ、および第2のID選択スイッチ60を構成する操作ボタン60a〜60のそれぞれは、赤、青、緑、黄に着色されているため、管理者は、各ID選択スイッチ25・60の同色のボタンを押圧するだけで、同じIDを確実に選択することができる。
【0035】
また、管理者は、ハウジング19に対する導光体20の装着位置を前後方向にスライド移動させて、投光素子21からの投光領域を変更する。同様に、模擬銃2のアタッチメントユニット38の筒受部65に装着される受光筒55を変更することで、受光素子56の受光領域を変更する。これら投光素子21からの投光領域と、受光素子56の受光領域を変更することで、これら投光領域と受光領域とで規定される、最適な検出領域を設定することができる。すなわち、照明光や太陽光などの外乱光の入射状況等を勘案しながら、投光領域と受光領域とを調整することで、模擬銃2の銃口52が的3を向いたときにのみ、投光装置17から投光されたID情報を確認し得る、最適な検出領域を設定することができる。図2のように、複数台の的3が並列的に設置されている場合も同様であり、模擬銃2の銃口52を、当該模擬銃2が対応する的3に向けられたときにのみ、当該対応する的3に設けられた投光装置17から投光されたID情報を識別することが可能であり、他方の的3に銃口52を向けたときには、対応する的3に設けられた投光装置17からの投光されたID情報は識別し得ないように検出領域を設定することが望ましい。
【0036】
なお、上記のような検出領域の設定操作は、店舗内における的3や表示台4の設置時に設定することが望ましい。ID選択スイッチ25・60を使ったIDの選択動作も同様である。
【0037】
上記のような状態から遊戯者が表示台4のコインセレクター32のコイン投入口にコインを投入すると、制御装置33は商用電源68からの電力を受けて、的3の照明を点けるとともに、投光装置17、着弾位置検出装置などをオン状態とする。表示台4のモニター30には、模擬銃2を構えて、的3の標的15を狙う旨のガイド画面が表示される。投光装置17の投光素子21からは、管理者による先の第1のID選択スイッチ25の操作により選択されたID情報を含む光信号が投光される。また、投光装置17の投光素子21からは、管理者による先の第1のID選択スイッチ25の操作により選択されたIDに対応する色が発光される。
【0038】
模擬銃2のアタッチメントユニット38の電源スイッチ62がオン操作されると、発光部61は、管理者による第2のID選択スイッチ60の操作により選択されたIDに対応する色を発光する。先に述べたように、的3と模擬銃2とで同じIDが選択されているため、発光部61からは投光装置17の投光素子21の発光態様と同色の色(例えば、赤色)が発光される。したがって、遊戯者は、アタッチメントユニット38の発光部61の発光色と、的3の投光装置17の発光色とを視認することで、模擬銃2により狙うべき的3を確認することができる。
【0039】
遊戯者が模擬銃2の銃口52を的3に向けて、受光素子56により受光されてID情報抽出部57により抽出されたIDが、第2のID選択スイッチ60の操作により選択されたIDと一致している状態では、発射制御部59は、リレー63をオン状態とする。このようにリレー63がオン状態とされると、遊戯者がトリガー48を引いたときに、モーター50が駆動されてBB弾1が発射される。偏向板11におけるBB弾1の着弾位置は、着弾位置検出装置により検出され、図9に示すように、表示台4のモニター30に表示される。発射されたBB弾1は、偏向板11によって下方に向けられて、弾収容部12に収容される。
【0040】
一方、模擬銃2の銃口52の方向が的3から僅かでも外れた場合には、受光素子56には投光装置17からの投光は入光されず、ID情報抽出部57はID情報を抽出することができず、当然にID情報抽出部57で抽出されたIDと、第2のID選択スイッチ60の操作により選択されたIDとが一致していることを確認できない。この場合には、発射制御部59は、リレー63をオフ状態として、バッテリー54からモーター50への電力供給を遮断するため、遊戯者がトリガー48を引いても銃口52からBB弾1は発射されない。
【0041】
図2のように、複数個の的3が並列的に配置されている形態では、模擬銃2の銃口52が隣り合う誤った的3の方向に向けられる可能性を排除できず、また、この場合に受光素子56に隣り合う的3の投光装置17からの投光が入光される可能性を完全に排除することは難しい。本実施例では、発射制御部59がID情報に基づいてリレー63を介したモーター50への電力供給を制御するようにしたため、隣り合う的3の投光装置17からの投光が受光素子56に入光された場合であっても、ID情報抽出部57により抽出されるIDが、第2のID選択スイッチ60の操作により選択されたIDとは異なる場合には、モーター50に対する電力供給は行われず、遊戯者がトリガー48を引いても、BB弾1は発射されることはなく、誤発射を確実に防止できる。
【0042】
以上のように、本実施例に係る射的ゲーム機では、受光素子56を介してID情報抽出部57により取得された的3のID情報と、第2のID選択スイッチ60により選択されたID情報とを比較し、両IDが一致したときにのみモーター50に電力を供給して、BB弾1の発射が可能な状態となるようにしたので、単に受光素子56への受光の有無のみに基づいて発射の可否を判断する形態に比べて、誤発射をより確実に防ぐことができる。複数台の的3が並列的に配置されている形態を採った場合であっても、各的3の投光装置17からの投光に含まれるID情報に基づいて、各的3を識別することができるので、誤った的3に向ってBB弾1が発射されるような誤発射の発生を確実に防ぐことができる。安全装置の大型化や複雑化を抑えて、低コストに誤発射防止機能を備えた射的ゲーム機を実現できる利点もある。
【0043】
模擬銃2のアタッチメントユニット38に、的3の投光装置17と同色に発光し得る、目視確認用の発光部61を設けたので、遊戯者は手にしている模擬銃2の発光部61の光の色と、的3の投光装置17の光の色とを比較するだけで、狙うべき的3を簡単に識別することができる。このことは、図2に示すように、複数台の的3が並列的に配置されている形態を採る場合に特に好適であって、誤った的3に向けてBB弾1を発射する誤発射の発生をより確実に防止できる。
【0044】
(第2実施例)
図10図11に本発明に係る射的ゲーム機の第2実施例を示す。そこでは、アタッチメントユニット38の筒受部65に対して受光筒55が前後方向にスライド移動可能に構成されており、このように受光筒55をスライド移動させることで、受光筒55の前端と受光素子56との距離を変更して、該受光筒55を介した受光素子56の受光領域を変更することができるようになっている。それ以外の点は、先の第1実施例と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図10図11において、符号70は、筒受部65と受光筒55との間に設けられて受光筒55を前後方向にスライド移動可能に構成すると共に、前後方向の所定位置において受光筒55を固定するホルダー構造を示す。ホルダー構造70は、受光筒55の下方に突設されたボス71と、筒受部65の下方に設けられてボス71を前後方向にスライド移動自在に挿入係合するスリット72と、通孔を有し、スリット72の下方に配置される四角形状のプレート73と、プレート73の通孔を介して受光筒55のボス71に設けられた雌ネジ部に捩じ込まれる皿ビス74とで構成される。皿ビス74を緩めることで、プレート73の上面とスリット72の開口周縁との間の係合を解除することができるので、筒受部65内で受光筒55を前後方向にスライド移動させることができる。また、皿ビス74をボス71にねじ込むことで、プレート73の上面をスリット72の開口周縁に押し付けて、受光筒55を固定することができる。符号78は、ホルダー構造70に臨むボディの下面に装着されたキャップを示しており、該キャップ78をボディから取り外すことで、皿ビス74の操作部を露出させて皿ビス74を回転操作することができる。
【0046】
以上のような構成からホルダー構造では、キャップ78を取り外したうえで、皿ビス74を緩めることで、スリット72に沿って受光筒55を任意の位置にスライド移動させることができ、また、その状態から皿ビス74を締めることで、受光筒55を固定することができる。したがって、第1実施例と同様に、受光筒55の前端と受光素子56との距離を変更して、該受光筒55を介した受光素子56の受光領域を変更することができる。
【0047】
上記実施例においては、左右一対の計2台の的3が並列的に配置された形態を示したが、本発明は上記形態に限られず、的3は1台であってもよく、3台以上であってもよい。投光装置17は1個であってもよく、また3個以上設けてあってもよい。ID選択スイッチ25・60で選択されるIDの個数は4個に限られず、それ以上であってもそれ以下であってもよい。同様に、投光制御部22の記憶部23や発射制御部59の記憶部58に格納されているIDの情報は4個に限られず、それ以上であってもそれ以下であってもよい。
【0048】
標的15は光ID送信機能を備えた液晶モニターであってもよく、この場合には液晶モニターは投光装置17を兼ねるように構成することができる。表示台4は廃することができ、遊戯者は管理者から模擬銃2を受け取り、的3の数メートル先から的3の標的15に向って模擬銃2を構えて、BB弾1を発射するようにしてもよい。このように表示台4を廃した場合には、標的板10に代えて、標的15を表示可能な液晶モニターやタブレット型のコンピュータなどを配置することが望ましく、当該液晶モニター等に着弾位置検出装置により検出されたBB弾1の着弾位置が表示されるようにすることが望ましい。
【符号の説明】
【0049】
1 模擬弾(BB弾)
2 模擬銃
3 的
17 投光手段(投光装置)
21 投光素子
23 記憶部
25 第1のID選択スイッチ
53 受光手段(受光装置)
55 受光筒
56 受光素子
58 記憶部
59 発射制御手段(発射制御部)
60 第2のID選択スイッチ
61 発光手段(発光部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11