(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0023】
(1)箱詰め装置の構成および動作
図1は、本発明の一実施形態に係るエアシリンダ制御装置81を用いる箱詰め装置10の概略図である。箱詰め装置10は、例えば、食品工場のラインに設置され、食品工場のラインで生産された物品Aを箱詰めして梱包するための装置である。箱詰め装置10は、梱包対象物である物品Aが次々と送られてくる場所に置かれたダンボール箱Cの中に、ダンボール箱Cの開口Opから、複数の物品Aを投入して箱詰めする。物品Aは、例えば、ポテトチップス等の食品が包材によって包装された袋である。
【0024】
箱詰め装置10は、主として、製箱ユニット1と、箱詰めユニット2と、閉箱ユニット3とを備える。
図1は、箱詰め装置10の概略正面図である。
【0025】
以下の説明では、方向および位置を説明するために、上、下、左、右、前(正面)、後(背面)等の用語が用いられる。これらの用語は、特に断りの無い場合、図面中に矢印で示された上、下、左、右、前、後を意味する。
【0026】
(1−1)製箱ユニット
製箱ユニット1は、折りたたまれた状態のダンボール箱CであるダンボールシートSを開き、ダンボール箱Cの底蓋Bを閉じてテープTで止め、一方の側のみが開口するダンボール箱Cを製造する。
図2は、ダンボール箱Cを、閉じられた底蓋Bの側から見た図である。底蓋Bと対向する上蓋側のフラップC2は、外側に開かれた状態にある。ダンボール箱Cの開かれた上蓋側は、ダンボール箱Cの開口Opに相当する。
【0027】
製箱ユニット1によって製造されたダンボール箱Cは、コンベア(図示せず)によって箱詰めユニット2まで搬送される。製箱ユニット1は、製造したダンボール箱Cを箱詰めユニット2に次々に送る。
【0028】
(1−2)箱詰めユニット
箱詰めユニット2は、ダンボール箱Cの中に複数の物品Aを投入して箱詰めする。
図3A〜3Fは、箱詰めユニット2の動作について説明するための図である。
図3A〜3Fにおいて、箱詰めユニット2によって、ダンボール箱Cの中には、3個の物品Aが下側から順番に投入される。
図3Aは、ダンボール箱Cの中に1個目の物品Aが投入される直前の状態を表す。
図3Bは、ダンボール箱Cの中に1個目の物品Aが投入された直後の状態を表す。
図3Cは、ダンボール箱Cの中に2個目の物品Aが投入される直前の状態を表す。
図3Dは、ダンボール箱Cの中に2個目の物品Aが投入された直後の状態を表す。
図3Eは、ダンボール箱Cの中に3個目の物品Aが投入される直前の状態を表す。
図3Fは、ダンボール箱Cの中に3個目の物品Aが投入された直後の状態を表す。
【0029】
箱詰めユニット2には、開口Opが横を向いた状態のダンボール箱Cが、製箱ユニット1のコンベアによって供給される。具体的には、箱詰めユニット2には、箱詰め装置10の正面側に底蓋Bが形成され、かつ、箱詰め装置10の背面側に開口Opが形成されたダンボール箱Cが供給される。
【0030】
箱詰め装置10で使用されるダンボール箱Cは、
図2に示されるように、4つの側面部C11〜C14を有する環状の側面部C1と、4つの側面部C11〜C14から前後にそれぞれ延びている8つの平板状のフラップC2とを有する。
【0031】
箱詰めユニット2に供給される時点で、箱詰め装置10の正面側のフラップC2は、製箱ユニット1によって閉じられてテープTで止められており、底蓋Bが形成されている。一方、箱詰めユニット2に供給される時点で、箱詰め装置10の背面側のフラップC2(フラップC21〜C24)は、外側に開いている。すなわち、箱詰めユニット2に供給されるダンボール箱Cは、開口Opを後方に向けている。ダンボール箱Cは、箱詰めユニット2に、
図2に示されるように側面部C14を下側に向けた状態で供給される。
【0032】
箱詰めユニット2は、主として、落下機構20と、支持移動機構30と、投入機構50と、シャッタ機構60と、こぼれ防止機構70と、物品搬送機構80と、箱搬送機構90とを有する。
【0033】
落下機構20は、製箱ユニット1から次々と供給されるダンボール箱Cを落下させる。落下機構20によって、ダンボール箱Cは、側面部C14を下に向け、かつ、開口Opを後方に向けた状態で落下する。
【0034】
支持移動機構30は、物品Aがダンボール箱Cの中に箱詰めされる場所において、落下機構20によって落下させられたダンボール箱Cを支持する。また、支持移動機構30は、物品Aが箱詰めされたダンボール箱Cを、物品Aが箱詰めされた場所から、箱搬送機構90のコンベアベルト上に移動させる。
【0035】
投入機構50は、支持移動機構30によって支持されているダンボール箱Cに、ダンボール箱Cの開口Opから、物品搬送機構80により搬送されてくる物品Aを投入する。投入機構50は、押し出し板を用いて物品Aを前方に押し出すことで、ダンボール箱Cの中に物品Aを投入する。
【0036】
シャッタ機構60は、ダンボール箱Cに物品Aが投入される際に、シャッタ61を用いて、既にダンボール箱C内に投入されている物品Aが、物品Aの投入の妨げとなることを抑制する。シャッタ機構60の構成および動作の詳細については後述する。
【0037】
こぼれ防止機構70は、開口Opが横に向いた状態のダンボール箱Cから、既にダンボール箱C内に投入された物品Aがこぼれることを防止する。
【0038】
物品搬送機構80は、ダンボール箱Cに梱包される前の物品Aを搬送する。物品搬送機構80は、投入機構50の押し出し板の前方に物品Aが搬送されるように、所定のタイミングでコンベアベルトによって物品Aを搬送する。
【0039】
箱搬送機構90は、支持移動機構30によって移動させられたダンボール箱Cであって、開口Opが上方を向いた状態のダンボール箱Cを、コンベアベルトによって水平方向に搬送して、閉箱ユニット3に供給する。
【0040】
(1−3)閉箱ユニット
閉箱ユニット3は、箱詰めユニット2の箱搬送機構90から供給され、開口Opが上方を向いたダンボール箱CのフラップC2(フラップC21〜C24)を閉じ、テープで止めて、上蓋を形成する。閉箱ユニット3によって上蓋が形成されたダンボール箱Cは、箱詰め装置10から搬出される。
【0041】
(2)シャッタ機構の構成
シャッタ機構60は、主として、シャッタ61と、シャッタ駆動部62とを有する。
【0042】
(2−1)シャッタ
シャッタ61は、開口Opが横(後側)を向いた状態のダンボール箱Cに開口Opから挿入される部材である。シャッタ61は、水平面と平行な主表面を有する板状の部材である。シャッタ61は、シャッタ駆動部62によって前後方向に駆動される。シャッタ61は、物品搬送機構80のコンベアベルト81の下方に配置される。
【0043】
シャッタ61は、
図3A〜3Dに示されるように、投入機構50によりダンボール箱Cに物品Aが2回投入されるまでは、ダンボール箱Cの開口Opより後方側で待機している。そして、
図3Eに示されるように、投入機構50によりダンボール箱Cに3個目の物品Aが投入される前に、シャッタ61は、シャッタ駆動部62により前方に移動させられ、ダンボール箱Cの開口Opから、ダンボール箱Cの底蓋B付近まで挿入される。シャッタ61は、物品Aが投入される場所で支持移動機構30によって支持されているダンボール箱Cの中に、ダンボール箱Cの中に既に投入されている物品Aの上方を覆うように、開口Opから挿入される。その後、支持移動機構30は、シャッタ61がダンボール箱Cの中に挿入された状態で、ダンボール箱Cを少し上方に移動させる。そのため、開口Opを横に向けた状態のダンボール箱Cの底面(側面部C14)と、シャッタ61との間に物品Aが挟まれた状態になる。これにより、
図3Eに示されるように、ダンボール箱C内の物品A同士の間の隙間、および、ダンボール箱Cの側面部C11、C13、C14と物品Aとの間の隙間が小さくなる。
【0044】
また、投入機構50は、
図3Fに示されるように、ダンボール箱Cに3個目の物品Aを投入する際には、シャッタ61が開口Opからダンボール箱C内に挿入されたままの状態で、ダンボール箱Cの中に物品Aを投入する。そのため、投入機構50は、ダンボール箱Cに3個目の物品Aを投入する際には、シャッタ61の水平面上に物品Aを投入する。3個目の物品Aの投入後、シャッタ61は、シャッタ駆動部62によって後方に移動させられて、ダンボール箱Cから引き抜かれる。これにより、3個目の物品Aが、ダンボール箱Cの中に投入される。このように、ダンボール箱C内に挿入されたシャッタ61上に物品Aを投入し、その後にシャッタ61をダンボール箱Cから引き抜くことで、ダンボール箱Cの中に既に投入されている2個の物品Aによって、3個目の物品Aの投入が阻害されることが抑制される。従って、シャッタ機構60は、シャッタ61を用いることで、ダンボール箱Cの中に複数の物品Aをスムーズに投入することができる。
【0045】
(2−2)シャッタ駆動部
シャッタ駆動部62は、ダンボール箱Cの中に開口Opからシャッタ61を挿入し、または、ダンボール箱Cの中からシャッタ61を引き抜くために、シャッタ61を前後方向に駆動するための装置である。シャッタ駆動部62の駆動源としては、エアシリンダが用いられる。
【0046】
図4は、シャッタ駆動部62の概略構成図である。シャッタ駆動部62は、主として、エアシリンダ71と、エアシリンダ制御装置81とを有する。
【0047】
(2−2−1)エアシリンダ
エアシリンダ71は、マグネット式のロッドレスシリンダである。エアシリンダ71は、主として、シリンダチューブ72と、ピストン73と、スライダ74と、空気供給部75と、空気制御回路76とを有する。
【0048】
シリンダチューブ72は、エアシリンダ71の本体であり、前後方向に延びる筒状の部材である。シリンダチューブ72の両端部には、一対のシリンダプレート72a,72bが取り付けられている。シリンダプレート72aは、シリンダチューブ72の後側の端部に取り付けられ、シリンダプレート72bは、シリンダチューブ72の前側の端部に取り付けられる。
【0049】
ピストン73は、シリンダチューブ72の内部空間に配置される。ピストン73は、シリンダチューブ72の内壁面と摺動しながら前後方向に移動可能なように配置されている。ピストン73は、シリンダチューブ72の内部空間を、第1室R1と第2室R2とに区画する。
図4に示されるように、第1室R1は、ピストン73の下死点側(後側)の空間である。第2室R2は、ピストン73の上死点側(前側)の空間である。ピストン73は、磁石で成形されている部材であるか、または、磁石が取り付けられている部材である。
【0050】
スライダ74は、シリンダチューブ72の外表面と摺動しながら、シリンダチューブ72の長手方向(前後方向)に沿って移動可能なように支持されている部材である。スライダ74の移動可能な範囲は、一対のシリンダプレート72a,72bによって規制されている。スライダ74には、磁石が取り付けられている。スライダ74の磁石には、ピストン73の磁石に吸着しようとする力が作用している。そのため、シリンダチューブ72の内部においてピストン73が前後方向に移動すると、シリンダチューブ72の外部にあるスライダ74も、ピストン73の動きに連動して前後方向に移動する。スライダ74には、シャッタ61が取り付けられている。
【0051】
空気供給部75は、圧縮空気を吐出することができるエアコンプレッサである。空気供給部75から吐出される圧縮空気によって、後述するように、ピストン73は、シリンダチューブ72の長手方向(前後方向)に沿って移動することができる。すなわち、空気供給部75は、ピストン73に吸着しているスライダ74に連結されているシャッタ61を前後方向に移動させるための駆動源として機能する。
【0052】
空気制御回路76は、空気供給部75から吐出された圧縮空気を、シリンダチューブ72内の第1室R1および第2室R2の一方に選択的に供給するための機構である。空気制御回路76は、電磁弁77を有する。空気制御回路76は、電磁弁77の制御により、空気供給部75から吐出された圧縮空気を第1室R1および第2室R2のいずれか一方に導くことができる。電磁弁77は、シングルソレノイドバルブである。電磁弁77は、オン状態とオフ状態とを切り替えることができる。
【0053】
図5Aは、電磁弁77がオン状態の時の空気の流れを説明するための図である。
図5Bは、電磁弁77がオフ状態の時の空気の流れを説明するための図である。
図5Aおよび
図5Bでは、空気の流れが矢印で示されている。電磁弁77は、主として、弁筐体77aと、ソレノイド77bと、内部弁77cとを有する。弁筐体77aは、給気ポート77a1、第1排気ポート77a2、第2排気ポート77a3、第1出力ポート77a4および第2出力ポート77a5を有する。ソレノイド77bは、弁筐体77aの外部に設置され、電源(図示せず)に接続されている。内部弁77cは、弁筐体77aの内部に設置されている。電磁弁77がオン状態のとき、ソレノイド77bには電流が流れている。電磁弁77がオフ状態のとき、ソレノイド77bには電流が流れていない。電磁弁77のオン状態とオフ状態とを切り替えることで、
図5Aおよび
図5Bに示されるように、内部弁77cの位置を切り替えることができる。
【0054】
空気制御回路76は、空気供給路P0と、第1流路P1と、第2流路P2とを有する。空気供給路P0は、空気供給部75の圧縮空気の吐出口と、電磁弁77の給気ポート77a1とを接続する。第1流路P1は、電磁弁77の第1出力ポート77a4と、シリンダチューブ72内の第1室R1とを接続する。第2流路P2は、電磁弁77の第2出力ポート77a5と、シリンダチューブ72内の第2室R2とを接続する。
【0055】
図5Aに示されるように、電磁弁77がオン状態のとき、弁筐体77aの内部において、給気ポート77a1と第1出力ポート77a4とが連通し、かつ、第2排気ポート77a3と第2出力ポート77a5とが連通する。そのため、電磁弁77がオン状態のとき、空気供給部75から吐出された圧縮空気は、空気供給路P0を通過した後、電磁弁77において給気ポート77a1および第1出力ポート77a4を順に通過して、第1流路P1に流入する。その後、圧縮空気は、第1流路P1を通過して、シリンダチューブ72内の第1室R1に供給される。これにより、第1室R1の圧力が上昇し、第2室R2の圧力よりも高くなるので、ピストン73は、圧力差によって第2室R2側(上死点側)に移動する。このとき、第2室R2内の空気は、第2流路P2に流入し、第2流路P2を通過した後、電磁弁77において第2出力ポート77a5および第2排気ポート77a3を順に通過して排出される。
【0056】
図5Bに示されるように、電磁弁77がオフ状態のとき、弁筐体77aの内部において、給気ポート77a1と第2出力ポート77a5とが連通し、かつ、第1排気ポート77a2と第1出力ポート77a4とが連通する。そのため、電磁弁77がオフ状態のとき、空気供給部75から吐出された圧縮空気は、空気供給路P0を通過した後、電磁弁77において給気ポート77a1および第2出力ポート77a5を順に通過して、第2流路P2に流入する。その後、圧縮空気は、第2流路P2を通過して、シリンダチューブ72内の第2室R2に供給される。これにより、第2室R2の圧力が上昇し、第1室R1の圧力よりも高くなるので、ピストン73は、圧力差によって第1室R1側(下死点側)に移動する。このとき、第1室R1内の空気は、第1流路P1に流入し、第1流路P1を通過した後、電磁弁77において第1出力ポート77a4および第1排気ポート77a2を順に通過して排出される。
【0057】
(2−2−2)エアシリンダ制御装置
エアシリンダ制御装置81は、エアシリンダ71の動作を制御するための装置である。具体的には、エアシリンダ制御装置81は、電磁弁77を制御して、ピストン73の位置および速度を調整するためのシステムである。
【0058】
図6は、エアシリンダ制御装置81のブロック図である。エアシリンダ制御装置81は、主として、制御ユニット81aと、第1センサ84aと、第2センサ84bと、タイマ85とを有する。エアシリンダ制御装置81は、エアシリンダ71の空気制御回路76の電磁弁77に接続されている。
【0059】
制御ユニット81aは、CPU、ROM、RAMおよびHDD等を有するコンピュータである。制御ユニット81aは、ROMおよびHDD等に記憶されている各種プログラムを呼び出して実行し、電磁弁77、第1センサ84a、第2センサ84bおよびタイマ85を制御する。制御ユニット81aは、主として、検知部82と、制御部83とを有する。検知部82および制御部83は、制御ユニット81aに記憶され実行されるプログラムである。
【0060】
検知部82は、ピストン73の動作を検知する。具体的には、検知部82は、所定の方向に所定の距離だけピストン73が移動したときの所要時間を計測する。例えば、検知部82は、ピストン73が所定の方向に移動し始めた時点から、移動し始めたピストン73が停止する時点までの時間を計測する。以下において、ピストン73が下死点から上死点まで移動するために要する時間を、ピストン73の動作時間と呼ぶ。ピストン73の動作時間は、ピストン73の1ストロークに要する時間である。
【0061】
検知部82は、第1センサ84a、第2センサ84bおよびタイマ85を用いて、スライダ74の動きを検知して、ピストン73の動作時間を計測する。
図4に示されるように、第1センサ84aおよび第2センサ84bは、一対のシリンダプレート72a,72bの近傍に取り付けられる。第1センサ84aは、ピストン73の下死点の側のシリンダプレート72aに取り付けられる。第2センサ84bは、ピストン73の上死点の側のシリンダプレート72bに取り付けられる。第1センサ84aおよび第2センサ84bは、フォトインタラプタまたは近接センサ等の非接触センサである。例えば、第1センサ84aとしてフォトインタラプタが用いられ、第2センサ84bとして近接センサが用いられる。第1センサ84aおよび第2センサ84bは、スライダ74の動きを検知するために、スライダ74と対向する位置に取り付けられる。検知部82は、第1センサ84aまたは第2センサ84bとスライダ74との間の距離が変化したこと、および、当該距離が所定の値以下になったことを検知することができる。これにより、検知部82は、第1センサ84aによって、ピストン73が下死点に位置していることを検知することができ、第2センサ84bによって、ピストン73が上死点に位置していることを検知することができる。また、検知部82は、ピストン73が下死点から上死点に向かって移動を開始したこと、および、下死点から移動を開始したピストン73が上死点に接近したことを検知することができる。そのため、検知部82は、タイマ85を用いて、ピストン73が下死点から上死点に向かって移動を開始した時刻、および、下死点から移動を開始したピストン73が上死点に到達した時刻を記録して、ピストン73の動作時間を計測することができる。
【0062】
(3)エアシリンダ制御装置の制御部の動作
次に、エアシリンダ制御装置81の制御部83について説明する。制御部83は、検知部82から取得したデータに基づいてエアシリンダ71の電磁弁77を制御して、空気供給部75による圧縮空気の供給先を第1室R1と第2室R2との間で切り替える。具体的には、制御部83は、検知部82によって計測されたピストン73の動作時間に基づいて、電磁弁77のオン状態とオフ状態とを切り替えるタイミングを調整する。
【0063】
以下において、ピストン73が後側の下死点に位置している時は、シャッタ61がダンボール箱Cの中に挿入されていない状態であり、かつ、ピストン73が前側の上死点に位置している時は、シャッタ61がダンボール箱Cの中に挿入されている状態であるとする。また、上述したように、電磁弁77がオン状態であるとき、空気供給部75から吐出された圧縮空気は、シリンダチューブ72内の第1室R1に供給されるので、ピストン73は前側の上死点に向かって移動する(
図5Aを参照)。同様に、電磁弁77がオフ状態であるとき、空気供給部75から吐出された圧縮空気は、シリンダチューブ72内の第2室R2に供給されるので、ピストン73は後側の下死点に向かって移動する(
図5Bを参照)。
【0064】
すなわち、制御部83は、電磁弁77がオフ状態でありピストン73が下死点に位置している時に、電磁弁77をオフ状態からオン状態に切り替えてピストン73を下死点から上死点に移動させることで、シャッタ61をダンボール箱Cの中に挿入することができる。また、制御部83は、電磁弁77がオン状態でありピストン73が上死点に位置している時に、電磁弁77をオン状態からオフ状態に切り替えてピストン73を上死点から下死点に移動させることで、シャッタ61をダンボール箱Cの中から抜き出すことができる。
【0065】
図7は、ピストン73が下死点から上死点まで移動する工程である、ピストン73の1ストロークにおける、電磁弁77の状態の変化の一例を示すグラフである。
図7において、横軸は、時間を表し、縦軸は、電磁弁77の状態を表す。
図7において、ピストン73の1ストロークの開始から終了までの時間帯は、時刻t1から時刻t4までの期間である。
図7において、ピストン73の1ストロークの所要時間である動作時間(時刻t1〜t4)の初期設定値は、220msであるとする。ピストン73の動作時間の初期設定値は、ピストン73の移動可能距離、および、シリンダチューブ72の長さ等によって決定されてもよい。
図7では、制御部83は、時刻t1,t2,t3において、電磁弁77のオン状態とオフ状態とを切り替えている。
【0066】
ピストン73の1ストロークの開始時刻t1より前の時間帯では、電磁弁77はオフ状態であり、ピストン73は下死点に位置している。そのため、時刻t1より前の時間帯では、シャッタ61は、ダンボール箱Cの中に挿入されておらず、ダンボール箱Cの外に位置している。
【0067】
最初に、制御部83は、ピストン73の1ストロークの開始時刻t1において、電磁弁77をオフ状態からオン状態に切り替える。これにより、時刻t1において、ピストン73は下死点から上死点に向かって移動を開始するので、シャッタ61は、ダンボール箱Cの中に挿入され始める。検知部82は、時刻t1を検知することができる。
【0068】
次に、制御部83は、時刻t2において、電磁弁77をオン状態からオフ状態に切り替える。これにより、時刻t2において、ピストン73には、上死点側から下死点側に向かう力(後方へ向かう力)が作用し始める。この力は、時刻t2の時点で下死点側から上死点側に向かって移動しているピストン73にブレーキをかけるように作用する。そのため、時刻t2の経過後、ピストン73は減速される。
【0069】
次に、制御部83は、時刻t3において、電磁弁77をオフ状態から再びオン状態に切り替える。時刻t2〜t3の期間の長さは、所定の値に固定されている。そのため、制御部83は、時刻t2において電磁弁77をオフ状態に切り替えた時刻から所定時間が経過した時刻t3において、電磁弁77をオン状態に切り替える制御を行う。
図7において、時刻t2〜t3の期間の長さは、60msであるとする。時刻t2〜t3において、ピストン73は、減速しながら、下死点から上死点に向かって移動している。時刻t3において、ピストン73は、上死点の近傍に位置している。時刻t3において電磁弁77がオン状態に切り替わると、ピストン73には、下死点から上死点に向かう力が再び作用し始める。その結果、ピストン73は、時刻t4において、上死点に到達する。時刻t4では、シャッタ61は、ダンボール箱Cの中に完全に挿入されている。時刻t4は、時刻t1の経過後にピストン73が上死点に初めて到達したことを検知部82が検知した時刻である。時刻t3〜t4の期間の長さは、例えば、10msである。
【0070】
ここで、
図7に示されるピストン73の動作に関して、時刻t2において電磁弁77がオフ状態に切り替わらず、時刻t1以降において電磁弁77が常にオン状態になっている場合を考える。この場合、ピストン73は、時刻t1〜t4における1ストロークにおいて、下死点から上死点に向かって減速することなく移動する。その結果、ピストン73が時刻t4で上死点に到達した時に、高速で移動するピストン73が、シリンダチューブ72の内部の端面に衝突し、エアシリンダ71の破損の原因となるおそれがある。
【0071】
一方、本実施形態のエアシリンダ制御装置81では、制御部83は、ピストン73の1ストロークの途中の期間t2〜t3において、電磁弁77を一時的にオフ状態にしてピストン73を減速する。これにより、ピストン73が上死点に到達する時刻t4におけるピストン73の速度が低減されるので、ピストン73が1ストロークの終点に到達した時にシリンダチューブ72の内部の端面に衝突することによる衝撃が抑制される。以下、この衝撃を、ストロークエンド衝撃と呼ぶ。ストロークエンド衝撃をできるだけ抑制するためには、電磁弁77が再びオン状態に切り替わる時刻t3において、ピストン73の位置が上死点に近いほど好ましく、かつ、ピストン73の速度が低いほど好ましい。
【0072】
エアシリンダ制御装置81では、制御部83は、時刻t2を調整することで、ストロークエンド衝撃を抑制することができる。時刻t2は、ピストン73の1ストロークの開始時刻t1と終了時刻t4との間の時点であって、時刻t1が経過した後に、空気供給部75による圧縮空気の供給先が最初に切り替わる時点である。以下、時刻t2を、必要に応じて、初回切替時点t2と呼ぶ。
【0073】
図7において、初回切替時点t2が、所定の時刻に固定されている場合を考える。この場合、エアシリンダ71の初回使用時において、初回切替時点t2は、ストロークエンド衝撃を十分に抑制できる時刻に予め設定されているとする。しかし、エアシリンダ71の長期間の使用によりピストン73の速度が徐々に速くなると、時刻t2〜t3の期間においてピストン73が十分に減速されなかったり、時刻t3の前にピストン73がシリンダチューブ72の内部の端面に衝突したりするおそれがある。また、エアシリンダ71の長期間の使用によりピストン73の速度が徐々に遅くなると、時刻t2〜t3の期間においてピストン73が過度に減速され、その結果、時刻t3〜t4の期間が長くなり、時刻t4におけるピストン73の速度が大きくなるおそれがある。従って、エアシリンダ71の経年劣化等によってピストン73の速度が変化すると、ストロークエンド衝撃が大きくなるおそれがある。
【0074】
しかし、本実施形態のエアシリンダ制御装置81では、以下に説明するように、制御部83は、ピストン73の速度が変化してもストロークエンド衝撃が十分に抑制されるように、初回切替時点t2を自動的に調整することができる。
【0075】
制御部83は、検知部82によって検知されたピストン73の動作に基づいて、初回切替時点t2を調整して最適化する。具体的には、制御部83は、ピストン73の動作時間の実測値の移動平均値を算出し、算出した移動平均値に基づいて初回切替時点t2を調整する。移動平均値は、ピストン73の動作時間の実測値のデータから、直近のn個のデータを抽出して、それらをすべて加えてnで除した値である。ここで、nは、自然数である。次に、nが3である場合における、制御部83の動作について説明する。
図8は、制御部83が、初回切替時点t2を最適化する処理のフローチャートである。
図8には、ステップS1〜S5が示されている。
【0076】
最初に、制御部83は、シャッタ61をダンボール箱Cの中に挿入するためにピストン73を下死点から上死点に向かって移動させる。すなわち、制御部83は、ピストン73の1ストロークを終了させる(ステップS1)。
【0077】
次に、制御部83は、ピストン73の1ストロークが終了する度に、検知部82によって計測されたピストン73の動作時間を取得する(ステップS2)。これにより、制御部83は、ピストン73の動作時間の実測値の履歴を記録することができる。
【0078】
次に、制御部83は、ピストン73の動作時間の実測値を取得する度に、ピストン73の動作時間の実測値の移動平均値を算出する(ステップS3)。例えば、制御部83は、直近の3回分の動作時間の実測値の平均値を、移動平均値として算出する。なお、移動平均値を算出するために用いられる動作時間の実測値のデータ数(前段落のnの値)は、任意である。また、ピストン73の動作時間の実測値のデータ数が、移動平均値を算出するために必要なデータ数(前段落のnの値)よりも少ない場合、制御部83は、初回切替時点t2を最適化しない。
【0079】
次に、制御部83は、ピストン73の動作時間の移動平均値を算出した後、必要に応じて、移動平均値に基づいて初回切替時点t2を調整する処理を行う。制御部83は、ピストン73の動作時間の推奨範囲である推奨動作時間を記憶している。推奨動作時間としては、所定の範囲が予め設定されている。例えば、ピストン73の動作時間の初期設定値が220msである場合、推奨動作時間として、190ms〜250msが設定される。制御部83は、ピストン73の動作時間の算出された移動平均値が、推奨動作時間の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS4)。その結果、算出された移動平均値が、推奨動作時間の範囲内にある場合、制御部83は、初回切替時点t2を調整しない。
【0080】
一方、算出された移動平均値が、推奨動作時間の範囲内にない場合、制御部83は、次に算出する移動平均値が推奨動作時間の範囲内に入るように、初回切替時点t2を調整する(ステップS5)。例えば、エアシリンダ71の長期間の使用により、ピストン73の速度が徐々に遅くなりピストン73の動作時間が長くなった結果、算出された移動平均値が、推奨動作時間の上限値よりも大きくなった場合、制御部83は、初回切替時点t2を遅らせる。初回切替時点t2を遅らせることにより、
図7の時刻t1〜t2においてピストン73が加速される時間が長くなるので、ピストン73の動作時間が短くなる。一方、エアシリンダ71の長期間の使用により、ピストン73の速度が徐々に速くなりピストン73の動作時間が短くなった結果、算出された移動平均値が、推奨動作時間の下限値よりも小さくなった場合、制御部83は、初回切替時点t2を早くする。初回切替時点t2を早くすることにより、
図7の時刻t1〜t2においてピストン73が加速される時間が短くなるので、ピストン73の動作時間が長くなる。従って、制御部83は、算出された移動平均値が、推奨動作時間の範囲内にない場合には、初回切替時点t2を調整することで、次に算出される移動平均値が、推奨動作時間の範囲内に納まるようにすることができる。
【0081】
(4)特徴
(4−1)
箱詰め装置10は、ダンボール箱Cの中に複数の物品Aをスムーズに投入できるようにするためのシャッタ機構60を備える。シャッタ機構60は、ダンボール箱Cの中にシャッタ61を挿入し、または、ダンボール箱Cの中からシャッタ61を引き抜くためのシャッタ駆動部62を有する。シャッタ駆動部62は、エアシリンダ71を駆動源として、シャッタ61を前後方向に移動させる。エアシリンダ71の動作は、本実施形態に係るエアシリンダ制御装置81によって制御される。
【0082】
エアシリンダ制御装置81は、ダンボール箱Cの中にシャッタ61を挿入するためにエアシリンダ71のピストン73を下死点から上死点に向かって移動させている間に、エアシリンダ71における圧縮空気の供給先を一時的に切り替えて、所定の期間だけピストン73を減速させる。具体的には、エアシリンダ制御装置81において、検知部82が、ピストン73の1ストロークの所要時間である動作時間を計測して、制御部83が、ピストン73の動作時間の実測値に基づいて、ピストン73の減速を開始する時刻である、
図7に示される初回切替時点t2を調整する。
図7において、時刻t2から時刻t3までの期間の長さは、所定の値に予め設定されている。そのため、制御部83は、初回切替時点t2を調整することで、ピストン73を減速させる期間の長さを制御することができる。
【0083】
エアシリンダ71のピストン73の速度は、スピードコントローラ等によって最適な値に予め調整されている。しかし、ピストン73の速度の調整不足、および、エアシリンダ71の経年劣化等によって、最適な速度でピストン73が動作しない、または、最適な速度でピストン73が動作しなくなる可能性がある。この場合、ピストン73の1ストロークにおいてピストン73が減速を開始する初回切替時点t2が適切に設定されていないと、ピストン73が上死点に到達する時刻(
図7の時刻t4)においてピストン73の速度が十分に低下せず、ストロークエンド衝撃が十分に抑制されないおそれがある。
【0084】
本実施形態に係るエアシリンダ制御装置81は、ピストン73の1ストロークにおいてピストン73が減速を開始する初回切替時点t2を、ピストン73の動作時間の実測値に基づいて自動的に調整して最適化することで、ストロークエンド衝撃を抑制することができる。従って、エアシリンダ制御装置81は、エアシリンダ71のピストン73が受ける衝撃を十分に抑制することができる。そのため、エアシリンダ制御装置81の耐久性の向上が期待できる。
【0085】
(4−2)
本実施形態に係るエアシリンダ制御装置81では、検知部82は、ピストン73の1ストロークの所要時間を計測し、制御部83は、検知部82が計測したデータに基づいて、ピストン73が減速を開始する初回切替時点t2を自動的に調整して最適化する。
【0086】
検知部82は、エアシリンダ71の長手方向におけるピストン73の位置を検出するための第1センサ84aおよび第2センサ84bと、タイマ85とを用いて、ピストン73の1ストロークに要する時間を計測する。第1センサ84aおよび第2センサ84bは、ピストン73と連動して移動するスライダ74までの距離を計測することができる。これにより、検知部82は、第1センサ84a、第2センサ84bおよびタイマ85を用いて、ピストン73の動作時間を正確に計測することができる。そのため、制御部83は、検知部82が計測した値に基づいて、ピストン73が減速を開始する初回切替時点t2を自動的に調整することができるので、ストロークエンド衝撃を抑制することができる。従って、エアシリンダ制御装置81は、エアシリンダ71のピストン73が受ける衝撃を十分に抑制することができる。
【0087】
(4−3)
本実施形態に係るエアシリンダ制御装置81では、制御部83は、ピストン73の動作時間の所定回数の平均値を算出し、算出した平均値に基づいて、ピストン73の1ストロークにおいてピストン73が減速を開始する初回切替時点t2を自動的に調整する。ピストン73の動作時間の所定回数の平均値としては、直近の3回分の動作時間の実測値の平均である移動平均値が用いられる。
【0088】
制御部83は、ピストン73の動作時間の実測値に基づいて移動平均値を算出し、算出した移動平均値が所定の推奨動作時間の範囲内にない場合に、ピストン73の1ストロークにおいてピストン73が減速を開始する初回切替時点t2を調整する。これにより、制御部83は、ピストン73の動作時間を計測した後、かつ、ピストン73が下死点から上死点に向かって移動する前に、ピストン73の過去の動作時間の実測値に基づいて初回切替時点t2を自動的に調整して、ストロークエンド衝撃を抑制することができる。従って、エアシリンダ制御装置81は、エアシリンダ71のピストン73が受ける衝撃を十分に抑制することができる。
【0089】
(5)変形例
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0090】
(5−1)変形例A
実施形態のエアシリンダ制御装置81では、制御部83は、ピストン73の動作時間の移動平均値を算出した後、算出した移動平均値に基づいて初回切替時点t2を調整する。
図8に示されるように、制御部83は、算出された移動平均値が推奨動作時間の範囲内にある場合には、初回切替時点t2を調整しない。しかし、制御部83は、算出された移動平均値が推奨動作時間の範囲内にある場合でも、初回切替時点t2を調整してもよい。
【0091】
例えば、制御部83は、算出された移動平均値が推奨動作時間の範囲内にある場合、次に算出する移動平均値が、推奨動作時間の範囲の中心に近付くように、初回切替時点t2を調整してもよい。推奨動作時間の範囲の中心とは、推奨動作時間の上限値と下限値との平均である。例えば、推奨動作時間が190ms〜250msである場合、推奨動作時間の範囲の中心は220msである。この場合、検知部82によって算出された移動平均値が、例えば230msであるとき、制御部83は、次に算出される移動平均値が220msに近付くように、初回切替時点t2を調整する。
【0092】
本変形例では、制御部83は、ピストン73の動作時間の移動平均値に関わらず、初回切替時点t2を常に最適化することで、ストロークエンド衝撃を抑制することができる。
【0093】
(5−2)変形例B
実施形態のエアシリンダ制御装置81では、制御部83は、ピストン73の動作時間の移動平均値を算出した後、算出した移動平均値に基づいて初回切替時点t2を調整する。
図8に示されるように、制御部83は、算出された移動平均値が推奨動作時間の範囲内にない場合、次に算出する移動平均値が推奨動作時間の範囲内に入るように、ピストン73が減速を開始する初回切替時点t2を調整する。
【0094】
しかし、制御部83は、算出された移動平均値が推奨動作時間の範囲内にない場合、初回切替時点t2を調整するだけでなく、推奨動作時間を変更してもよい。例えば、制御部83は、算出された移動平均値が推奨動作時間の範囲内にない場合、算出された移動平均値に基づいて推奨動作時間を変更してもよい。具体的には、制御部83は、算出された移動平均値に、推奨動作時間の範囲の中心が近付くように、推奨動作時間を変更してもよい。例えば、推奨動作時間が190ms〜250msである場合、推奨動作時間の範囲の中心は220msである。この場合、検知部82によって算出された移動平均値が、例えば230msであるとき、制御部83は、推奨動作時間の範囲の中心が230msに近付くように、推奨動作時間を変更してもよい。この場合、制御部83は、例えば、推奨動作時間を192ms〜252msに変更してもよい。
【0095】
なお、ピストン73の動作の安定性を確保するため、制御部83が推奨動作時間を変更する場合、変更の頻度および度合いは小さい方が好ましい。すなわち、制御部83は、算出された移動平均値が推奨動作時間の範囲内にない場合、推奨動作時間の範囲を必ず変更する必要はない。また、制御部83が推奨動作時間を変更する場合でも、算出された移動平均値と推奨動作時間の範囲の中心との差と比較して、その変更量は小さいことが好ましい。また、制御部83は、他の基準に基づいて推奨動作時間を変更してもよく、推奨動作時間の範囲の上限値および下限値を変更してもよい。
【0096】
本変形例では、エアシリンダ71の経年劣化等によってピストン73の動作時間が徐々に長くなった場合でも、推奨動作時間自体が、ピストン73の実際の動作時間に近付く。そのため、制御部83は、ピストン73の実際の状態に応じて推奨動作時間を調整することができるので、適切に調整された推奨動作時間に基づいて、初回切替時点t2を調整して、ストロークエンド衝撃を抑制することができる。また、本変形例では、制御部83は、ピストン73の実際の動作時間に推奨動作時間を近付けるように推奨動作時間を調整することで、初回切替時点t2を調整する際における初回切替時点t2の変更量を抑えることができる。
【0097】
(5−3)変形例C
実施形態のエアシリンダ制御装置81は、ダンボール箱Cの中にシャッタ61を挿入するためにエアシリンダ71のピストン73を下死点から上死点に向かって移動させている間に、エアシリンダ71における圧縮空気の供給先を一時的に切り替えて、所定の時間ピストン73を減速させる。これにより、エアシリンダ制御装置81は、ピストン73が上死点に到達した時のストロークエンド衝撃を低減することができる。
【0098】
しかし、実施形態のエアシリンダ制御装置81は、ダンボール箱Cの中からシャッタ61を抜き出すためにエアシリンダ71のピストン73を上死点から下死点に向かって移動させている間に、エアシリンダ71における圧縮空気の供給先を一時的に切り替えて、所定の時間ピストン73を減速させてもよい。これにより、エアシリンダ制御装置81は、ピストン73が下死点に到達した時のストロークエンド衝撃を低減することができる。
【0099】
(5−4)変形例D
実施形態のエアシリンダ制御装置81では、エアシリンダ71のスライダ74の移動可能な範囲は、一対のシリンダプレート72a,72bによって規制されている。しかし、エアシリンダ71のスライダ74の移動可能な範囲は、一対のシリンダプレート72a,72b以外の部材によって規制されてもよい。
【0100】
図9は、本変形例におけるシャッタ駆動部62の概略構成図である。このシャッタ駆動部62は、主として、エアシリンダ71と、エアシリンダ制御装置81とを有する。エアシリンダ71のスライダ74の移動可能な範囲は、上死点側のシリンダプレート72bと、ダンパ63とによって規制されている。
【0101】
ダンパ63は、ピストン73の下死点側(後側)に設置され、ピストン73と連動して前後方向に移動するスライダ74に連結されているシャッタ61の動きを制限するための部材である。ピストン73が上死点から下死点に向かって移動する際に、下死点側のシリンダプレート72aにスライダ74が当たる前に、シャッタ61は、ダンパ63に衝突する。すなわち、ダンパ63は、上死点から移動を開始したピストン73が下死点に到達する前に、ピストン73の移動を制限する機能を有する。ダンパ63の前後方向の位置を調整することで、シャッタ61の移動可能な範囲が制限されるので、スライダ74の移動可能な範囲も制限される。ダンパ63は、シャッタ61が衝突したときの衝撃を低減するため、シャッタ61と当たる部分がゴム等の弾性部材で成形されていることが好ましい。
【0102】
実施形態のエアシリンダ制御装置81では、第1センサ84aは、ピストン73の下死点側(後側)のシリンダプレート72aに取り付けられる。しかし、本変形例では、
図9に示されるように、第1センサ84aは、ダンパ63に取り付けられる。この場合、第1センサ84aは、シャッタ61の後側の端面と対向する位置に取り付けられるフォトインタラプタまたは近接センサである。検知部82は、第1センサ84aとシャッタ61との間の距離が変化したこと、および、当該距離が所定の値以下になったことを検知することができる。これにより、検知部82は、ピストン73が上死点から下死点に向かって移動を開始したこと、および、上死点から移動を開始したピストン73と連動して移動するシャッタ61がダンパ63に接近したことを検知することができる。検知部82は、タイマ85を用いて、ピストン73が上死点から下死点に向かって移動を開始した時刻、および、上死点から移動を開始したピストン73と連動して移動するシャッタ61がダンパ63に衝突した時刻を計測して、ピストン73の動作時間を計測することができる。これにより、本変形例のエアシリンダ制御装置81は、変形例Cに記載のようにピストン73を上死点から下死点に向かって移動させる際におけるストロークエンド衝撃を低減することができる。
【0103】
本変形例においても、実施形態と同様に、ピストン73の1ストロークにおいてピストン73が減速を開始するタイミングを自動的に調整して最適化することで、ストロークエンド衝撃を低減することができる。ここで、ストロークエンド衝撃は、シャッタ61がダンパ63に衝突した時の衝撃を含む。従って、本変形例のエアシリンダ制御装置81は、エアシリンダ71のピストン73が受ける衝撃を十分に抑制することができる。
【0104】
(5−5)変形例E
実施形態のエアシリンダ制御装置81では、制御部83は、ピストン73が減速を開始するタイミングである初回切替時点t2を調整することで、ピストン73がシリンダチューブ72の端部に当たる時の衝撃であるストロークエンド衝撃を低減することができる。
【0105】
しかし、制御部83は、
図7に示される時刻t3を調整することで、ストロークエンド衝撃を低減してもよい。また、制御部83は、
図7に示される時刻t2と時刻t3の両方を調整することで、ストロークエンド衝撃を低減してもよい。
【0106】
図7において、時刻t3は、電磁弁77をオフ状態から再びオン状態に切り替える時刻である。本変形例では、制御部83は、時刻t3、または、時刻t2および時刻t3の両方を調整することで、ピストン73が減速される期間(
図7の期間t2〜t3)の長さを調整することができる。これにより、制御部83は、ピストン73が上死点に到達する時刻t4におけるピストン73の速度を抑えることで、ストロークエンド衝撃を抑制することができる。従って、本変形例のエアシリンダ制御装置81は、エアシリンダ71のピストン73が受ける衝撃を十分に抑制することができる。
【0107】
(5−6)変形例F
実施形態のエアシリンダ制御装置81では、エアシリンダ71は、マグネット式のロッドレスシリンダである。しかし、エアシリンダ71は、他の種類のエアシリンダであってもよい。例えば、エアシリンダ71は、ピストンロッドを有するエアシリンダであってもよい。ピストンロッドは、ピストン73に連結され、シリンダチューブ72の一方の端部を貫通する棒状部材である。シリンダチューブ72の長手方向にピストン73が移動すると、ピストンロッドも連動して移動する。そのため、ピストン73の動作が、ピストンロッドを介して、シリンダチューブ72の外部に伝達される。
【0108】
(5−7)変形例G
実施形態のエアシリンダ制御装置81は、箱詰め装置10のシャッタ機構60を駆動するエアシリンダ71を制御するために用いられる。しかし、エアシリンダ制御装置81は、エアシリンダ71を制御する目的であれば、他の用途に用いられてもよい。エアシリンダ制御装置81は、エアシリンダ71のピストン73の動作を自動的に制御して、ピストン73がシリンダチューブ72の端部に当たる時の衝撃を低減することができる。そのため、エアシリンダ制御装置81は、エアシリンダ71のピストン73を高速に移動させる必要がある機構において特に有用である。