特許第6887668号(P6887668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887668
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】衝撃式粉体流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20060101AFI20210603BHJP
   G01F 3/36 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   G01F1/00 H
   G01F1/00 M
   G01F3/36
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-89186(P2017-89186)
(22)【出願日】2017年4月28日
(65)【公開番号】特開2018-189379(P2018-189379A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175652
【氏名又は名称】三協パイオテク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 金之助
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−264770(JP,A)
【文献】 特開2003−294519(JP,A)
【文献】 特開昭62−106323(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0093958(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00− 1/30
G01F 1/34− 1/54
G01F 3/00− 9/02
G01G 11/00−11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃式粉体流量計の下部又は上部にフレキシブルジョイント16を介して計重槽19を設け、重槽19の排出口に配置された開閉式ゲート18或いは排出供給機12の排出動作を停止して、所定時間内の計重槽19の重量変化を計測し、所定時間を使用して実流量Sを算出し、受信器17に内蔵のソフトを使用し、表示流量Stを実流量Sと自動的に合致せしめることを特徴とする衝撃式粉体流量計。
【請求項2】
衝撃式粉体流量計の下部又は上部にフレキシブルジョイント16を介して計重槽19を設け、重槽19の排出口に配置された開閉式ゲート18或いは排出供給機12の排出動作を停止して、所定時間内における計重槽19の時間的増加傾向を微分することにより、実流量Sを算出し、同時に受信器17の指示流量Stを、受信器17に内蔵のソフトにより、自動的に実流量Sと合致せしめることを特徴とする衝撃式粉体流量計。
【請求項3】
請求項1に記載の衝撃式粉体流量計において、この衝撃式粉体流量計をIoTシステムに接続し、キャリブレーション操作を遠隔地より実施できることを特徴とする衝撃式粉体流量計。
【請求項4】
請求項2に記載の衝撃式粉体流量計において、この衝撃式粉体流量計をIoTシステムに接続し、キャリブレーション操作を遠隔地より実施できることを特徴とする衝撃式粉体流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃式粉体流量計に関し、特にこの衝撃式粉体流量計のプロセス中のキャリブレーション操作に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の衝撃式粉体流量計は、図1に示すように、所定の落下高さHに配置されている、粉体の貯槽3の下部に設置された粉体供給機1から排出される粉体2が整流装置14内を自然落下し、同流量計の発信器に斜設された検出板4に衝突して発生する衝撃荷重5の水平分力6が同粉体2の流量に比例するという原理を利用している。従って、同流量計の受信器17が実際の粉体2の流量を表示するためには、上記の比例係数(流量係数)を下記に示すキャリブレーション操作により求める。さらに、受信器17に手動によりその係数を手動により調整導入する必要がある。
【0003】
そのために、通常は、図1に示すように、発信器の検出板4を経由した粉体2を所定時間、例えば1〜5分程度の計測時間T、ダンパー18(図1では、開閉式ゲートである)を操作してサンプリングし、容器7に収納し、収納した粉体2の重量Wを計重し、同粉体2の実流量(W/T=S)を計算により求め、水平分力6に対する実流量Sを求める。一方、同時に受信器17に表示された同粉体2の指示流量Stが同一となるよう受信器17のスパンを手動により調整する。必要に応じ、上記実流量チェックを数度繰り返して、その平均値を求め、スパンの調整を行っている。通常は、この操作を粉体2の流量の最大、常用、最小などの流量域において行っている。以上により手動による実流量チェックは、完了したことになる。この場合は、容器7に粉体2を収納するために、粉体2を係外に取り出す必要が生じる。その結果、作業工数が発生する。また、通常、粉体2は、整流装置14、流路15及びチェックゲート21内を流下し、同係外とは隔離されているが、上記のサンプリングを行うためには、同粉体2をチェックゲート21より係外に取り出す必要が生じる。その場合、粉体2がカーボンブラックのような微粉の場合、特に多量に発塵し、その発塵により環境を汚染すると同時に粉塵爆発の可能性という問題が生じる。また、同流量計が例えば、300t/h程度の大型である場合は、1分間のサンプリングによる粉体2の重量は、最大5トンになり、容器7はダンプトラック数台になる。数分間のサンプリングを行う場合は、更に同トラックを増加する必要が発生する。その結果、諸経費は高額となり、作業工数が増大する。受信器17は導線18により衝撃式粉体流量計と接続されている。
【0004】
これを改善のために、図2の方式が実用化されている。即ち、粉体供給機1と整流装置14の間に、ロードセル計11にて支持されたチェックビン10と排出供給機12及び移送装置13を設け、キャリブレーション操作を自動化している。即ち、排出供給機12の排出作動を停止し、貯槽3及び粉体供給機1を経由して排出された粉体2がチェックビン10に所定量貯蔵されるのをロードセル計11にて受信器17が確認し、粉体供給機1の作動を停止する。キャリブレーション操作の開始と同時に排出供給機12が排出作動を開始する。計測時間T経過後排出供給機12の作動を停止し、排出した粉体2の実流量Sをロードセル計11を介して受信器17が算出する。同時に受信器17が表示した指示流量Stと実流量Sを受信器17が比較し、両値が同一となるよう受信器17のスパンを自動調整することにより流量係数を自動調整する。この場合、実用上チェックビン10は数分間排出した粉体2以上を貯留する容量が必要があり、その為の設置スペースが必要となる。その結果、装置費用増及び収納する建屋の大型化による設備投資費用増の問題を発生させる。同時に、上記1工程に要する作業工数は中断するなど、各種の問題が発生する。また、このキャリブレーション操作を、プロセス稼働中において、流量係数の精度確認と向上のために利用することが可能であるが、プロセスの稼働の中断時間が数分間に及ぶ点と、サンプリングした粉体2が多量過ぎてプロセス中に排出することが工程上問題となり、適用できないこともしばしば発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3750125号明細書
【特許文献2】特開2016−200468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、先行技術における欠点を除去し、プロセスに本流量計を据付け後、運転に着手するスタート時点において流量係数を確認設定及び稼働中に流量係数の確認・修正設定とその結果の精度の向上を行うためにキャリブレーション操作を自動調整できる衝撃式粉体流量計を提供することである。
【0007】
更に、本発明は、従来とおりの手順を完全に自動化して、設置スペースや設備費も少なく、サンプリングの諸経費や作業工数を増大することなく、更に粉体をプロセスラインより外部に取り出す必要がなく、その結果、発生する粉塵による環境汚染無く、表示流量と実流量を自動的に合致させて、流量の測定精度を向上させることができる衝撃式粉体流量計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明は、衝撃式粉体流量計において、衝撃式粉体流量計の下部又は上部にフレキシブルジョイントを介して計重槽を設け、該重槽の排出口に配置された開閉式ゲート或いは排出供給機の排出供給機の排出動作を停止して、所定時間内の計重槽の重量変化を計測し、所定時間を使用して実流量を算出し、受信器に内蔵のソフトを使用し、表示流量を実流量と自動的に合致せしめることを特徴とする。
【0009】
更に、本発明は、衝撃式粉体流量計において、衝撃式粉体流量計において、衝撃式粉体流量計の下部又は上部にフレキシブルジョイントを介して計重槽を設け、該重槽の排出口に配置された開閉式ゲート或いは排出供給機の排出供給機の排出動作を停止して、所定時間内における計重槽19の時間的増加傾向を微分することにより、実流量Sを算出し、同時に受信器17の指示流量Stを、受信器17に内蔵のソフトにより、自動的に実流量Sと合致せしめることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記二つの衝撃式粉体流量計において、衝撃式粉体流量計をIoTシステムに接続し、キャリブレーション操作を遠隔地より実施できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、衝撃式粉体流量計において、プロセスの運転に着手するスタート時点及びプロセスが稼働中に流量係数の確認・設定或いは精度確認と向上のためにキャリブレーション操作を自動調整できる。
【0012】
本発明によると、衝撃式粉体流量計において、従来とおりの工程数で、設置スペースや設備費も少なく、サンプリングの諸経費や作業工数を増大することなしに、表示流量と実流量を自動的に合致させて、流量の測定が実体に合致することと、測定精度を向上させることができる。
【0013】
本発明によると、これら衝撃式粉体流量計において、衝撃式粉体流量計をIoTシステムに接続し、キャリブレーション操作を遠隔地より実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】キャリブレーション操作を手動調整する先行技術の衝撃式粉体流量計を示す概略的に縦断面である。
図2】キャリブレーション操作を自動調整する先行技術の衝撃式粉体流量計を示す概略的に縦断面である。
図3】キャリブレーション操作により流量係数の自動調整を行う本発明の衝撃式粉体流量計を示す概略的に縦断面である。
図4】計重槽を流路の上部に配置した本発明の衝撃式粉体流量計を示す概略的に縦断面である。
図5】複数の回転検出板を装着した本発明の衝撃式粉体流量計を示す概略的に縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態において、図3図5に基づいて、その態様について詳細に説明する。
【0016】
図3の本発明の衝撃式粉体流量計では、流量係数の自動調整を次のように行う。流路15の下部に配置したフレキシブルジョイント16を介して、ロードセル計11にて保持された計重槽19を設置する。その下部には、開閉式ゲート18を設置する。受信器17のスタート信号により、開閉式ゲート18は排出動作を停止し、計重槽19の重量は時々刻々ロードセル計11を介して受信器17に表示される。受信器17には、下記演算ソフトが収納されている。
【0017】
受信器17は、1)所定時間内、例えば10秒間のロードセル計11の重量変化、及び2)所定時間内の積算計9の指示重量変化を確認し、両重量変化が一致するよう、スパンを自動的に調整する。
【0018】
又は、ロードセル計11の指示値の所定時間内における時間的増加傾向を受信器17に内蔵のソフトにより微分することにより、粉体2の実流量Sを確認し、同時に受信器17の指示流量Stを自動的に確認し、両流量値が同一になるよう、受信器17のスパンを自動的に調整する。ここにおいて、自動切換えにより積算計9が指示流量Stの指示計に成り得る。
【0019】
上部所定時間は、粉体2の流量が脈動しない場合は、最短数秒程度とすることができる。粉体2の流量が脈動する場合は、最短数脈動に相当する時間とするが、実用上は排出供給機12の排出特性によりその時間は変動する程度である。
【0020】
また、図4に示すように、計重槽19を流路15の上部に配置することもできる。この場合は、粉体2の実流量は、計重槽19の下部に配置した排出供給機12に依存することになる。
【0021】
本発明は、一枚の検出板を装着している従来型の衝撃式粉体流量計、特開2016−200468号公報に相当する複数の斜設された板より構成された検出板を装着した多板型検出板を装着した衝撃式粉体流量計、及び図5に示す複数の回転検出板20を装着した付着性粉体に適用できる衝撃式粉体流量計など各種の衝撃式粉体流量計に適用できる。
【0022】
本発明の衝撃式粉体流量計は、粉体2の代わりに、スラリーの流量計測にも使用できる。
【0023】
また、本発明の衝撃式粉体流量計をIoTシステムに接続し、この流量計のキャリブレーションの遠隔操作による実施や流量係数の異常を遠隔地より確認する、などに活用し、IoTシステム関連による合理化、設備の改善と異常管理、或いはメンテナンス作業を促進することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1....供給機
2....粉体
3....貯槽
4....検出板
5....衝撃荷重
6....水平分力
7....容器
8....導線
9....積算計
10....チェックビン
11....ロードセル計
12....排出供給機
13....移送装置
14....整流装置
15....流路
16....フレキシブルジョイント
17....受信器
18....ダンパー或いは開閉式ゲート
19....計重槽
20....回転検出板
21....チェックゲート
図1
図2
図3
図4
図5