特許第6887680号(P6887680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 鋳物屋の特許一覧

<>
  • 特許6887680-圧力鍋蓋、圧力鍋 図000002
  • 特許6887680-圧力鍋蓋、圧力鍋 図000003
  • 特許6887680-圧力鍋蓋、圧力鍋 図000004
  • 特許6887680-圧力鍋蓋、圧力鍋 図000005
  • 特許6887680-圧力鍋蓋、圧力鍋 図000006
  • 特許6887680-圧力鍋蓋、圧力鍋 図000007
  • 特許6887680-圧力鍋蓋、圧力鍋 図000008
  • 特許6887680-圧力鍋蓋、圧力鍋 図000009
  • 特許6887680-圧力鍋蓋、圧力鍋 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887680
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】圧力鍋蓋、圧力鍋
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/08 20060101AFI20210603BHJP
   A47J 27/09 20060101ALI20210603BHJP
   F16K 17/12 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   A47J27/08 G
   A47J27/09
   F16K17/12
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-91957(P2018-91957)
(22)【出願日】2018年5月11日
(65)【公開番号】特開2019-195551(P2019-195551A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2020年11月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508236387
【氏名又は名称】株式会社 鋳物屋
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】金子 常夫
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−023250(JP,A)
【文献】 実開昭57−105005(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00−27/13;
27/20−29/06;
33/00−36/42
F16K 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルと、錘とを有し、内圧が第1気圧以上の時に前記ノズルと前記錘の間から蒸気を排出する調圧装置と、
前記ノズルが取り付けられた蓋本体と、
前記蓋本体と相対的に移動しないように固定され、前記錘の上部を空けた状態で、前記錘の側部の少なくとも一部を囲む蒸気受け部とを備えた圧力鍋蓋であって、
前記圧力鍋蓋は、前記錘の上部の少なくとも一部が露出した状態で使用され、
前記ノズルと前記錘の間から排出された蒸気が、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間から外部に排出されるように、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間には、蒸気誘導領域が形成される、圧力鍋蓋。
【請求項2】
前記蓋本体における前記蒸気受け部が取り付けられる土台部の上面には、周縁部よりも下方に凹んだ凹部が設けられ、
前記蒸気受け部は、ネジ止めにより、前記土台部に取り付けられ、前記土台部における前記ネジ止めされる領域の下側には、下方に突出した突起が設けられる、請求項1に記載の圧力鍋蓋。
【請求項3】
ノズルと、錘とを有し、内圧が第1気圧以上の時に前記ノズルと前記錘の間から蒸気を排出する調圧装置と、
前記ノズルが取り付けられた蓋本体と、
前記錘の上部を空けた状態で、前記錘の側部の少なくとも一部を囲む蒸気受け部と、
前記蓋本体が着脱可能な状態で取り付けられる鍋本体とを備えた圧力鍋であって、
前記圧力鍋は、前記錘の上部の少なくとも一部が露出した状態で使用され、
前記ノズルと前記錘の間から排出された蒸気が、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間から外部に排出されるように、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間には、蒸気誘導領域が形成され、
前記蒸気受け部は、外側側面部と、内側側面部と、外側の周縁部に前記外側側面部が接続され、内側の周縁部に前記内側側面部が接続される上面部と、前記外側側面部の内周面と前記内側側面部の外周面と接続するリブとを有し、
前記上面部の下面、前記外側側面部の下端、前記内側側面部の下端の少なくとも一つには、下方に突出し、前記蓋本体と接触する突出部が設けられる、圧力鍋。
【請求項4】
ノズルと、錘とを有し、内圧が第1気圧以上の時に前記ノズルと前記錘の間から蒸気を排出する調圧装置と、
前記ノズルが取り付けられた蓋本体と、
前記錘の上部を空けた状態で、前記錘の側部の少なくとも一部を囲む蒸気受け部とを備えた圧力鍋蓋であって、
前記圧力鍋蓋は、前記錘の上部の少なくとも一部が露出した状態で使用され、
前記ノズルと前記錘の間から排出された蒸気が、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間から外部に排出されるように、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間には、蒸気誘導領域が形成され、
前記蒸気受け部は、外側側面部と、内側側面部と、外側の周縁部に前記外側側面部が接続され、内側の周縁部に前記内側側面部が接続される上面部と、前記外側側面部の内周面と前記内側側面部の外周面と接続するリブとを有し、
前記上面部の下面、前記外側側面部の下端、前記内側側面部の下端の少なくとも一つには、下方に突出し、前記蓋本体と接触する突出部が設けられる、圧力鍋蓋。
【請求項5】
ノズルと、錘とを有し、内圧が第1気圧以上の時に前記ノズルと前記錘の間から蒸気を排出する調圧装置と、
前記ノズルが取り付けられた蓋本体と、
前記錘の上部を空けた状態で、前記錘の側部の少なくとも一部を囲む蒸気受け部とを備えた圧力鍋蓋であって、
前記圧力鍋蓋は、前記錘の上部の少なくとも一部が露出した状態で使用され、
前記ノズルと前記錘の間から排出された蒸気が、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間から外部に排出されるように、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間には、蒸気誘導領域が形成され、
前記蓋本体に取り付けられ、前記内圧が前記第1気圧よりも大きい第2気圧以上の時に蒸気を排出する安全装置を更に備え、
前記蒸気受け部は、前記安全装置の上部を覆う、圧力鍋蓋。
【請求項6】
前記蒸気受け部は、外側側面部と、内側側面部と、外側の周縁部に前記外側側面部が接続され、内側の周縁部に前記内側側面部が接続される上面部と、前記外側側面部の内周面と前記内側側面部の外周面と接続するリブとを有し、
前記外側側面部と前記内側側面部と前記上面部と前記リブで囲まれた領域に、前記安全装置の上部が覆われる、請求項5に記載の圧力鍋蓋。
【請求項7】
ノズルと、錘とを有し、内圧が第1気圧以上の時に前記ノズルと前記錘の間から蒸気を排出する調圧装置と、
前記ノズルが取り付けられた蓋本体と、
前記蓋本体と相対的に移動しないように固定され、前記錘の上部を空けた状態で、前記錘の側部の少なくとも一部を囲む蒸気受け部と、
前記蓋本体が着脱可能な状態で取り付けられる鍋本体とを備えた圧力鍋であって、
前記圧力鍋は、前記錘の上部の少なくとも一部が露出した状態で使用され、
前記ノズルと前記錘の間から排出された蒸気が、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間から外部に排出されるように、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間には、蒸気誘導領域が形成される、圧力鍋。
【請求項8】
前記蓋本体における前記蒸気受け部が取り付けられる土台部の上面には、周縁部よりも下方に凹んだ凹部が設けられ、
前記蒸気受け部は、ネジ止めにより、前記土台部に取り付けられ、前記土台部における前記ネジ止めされる領域の下側には、下方に突出した突起が設けられる、請求項7に記載の圧力鍋。
【請求項9】
ノズルと、錘とを有し、内圧が第1気圧以上の時に前記ノズルと前記錘の間から蒸気を排出する調圧装置と、
前記ノズルが取り付けられた蓋本体と、
前記錘の上部を空けた状態で、前記錘の側部の少なくとも一部を囲む蒸気受け部と、
前記蓋本体が着脱可能な状態で取り付けられる鍋本体とを備えた圧力鍋であって、
前記圧力鍋は、前記錘の上部の少なくとも一部が露出した状態で使用され、
前記ノズルと前記錘の間から排出された蒸気が、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間から外部に排出されるように、前記蒸気受け部と前記蓋本体の間には、蒸気誘導領域が形成され、
前記蓋本体に取り付けられ、前記内圧が前記第1気圧よりも大きい第2気圧以上の時に蒸気を排出する安全装置を更に備え、
前記蒸気受け部は、前記安全装置の上部を覆う、圧力鍋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力鍋などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、内圧を所定の気圧未満に保つ調圧装置を備えた圧力鍋が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−056142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、調圧装置によって排出された蒸気が、使用者に触れてしまうおそれがある。
【0005】
したがって本発明の目的は、構造を複雑にすることなく、排出された蒸気が使用者に触れにくい圧力鍋蓋などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る圧力鍋蓋は、ノズルと、錘とを有し、内圧が第1気圧以上の時にノズルと錘の間から蒸気を排出する調圧装置と、ノズルが取り付けられた蓋本体と、錘の上部を空けた状態で、錘の側部の少なくとも一部を囲む蒸気受け部とを備え、圧力鍋蓋は、錘の上部の少なくとも一部が露出した状態で使用され、ノズルと錘の間から排出された蒸気が、蒸気受け部と蓋本体の間から外部に排出されるように、蒸気受け部と蓋本体の間には、蒸気誘導領域が形成される。
【0007】
蒸気は、蒸気受け部と蓋本体の間から排出されるため、錘と蒸気受け部の間からは殆ど排出されない。
このため、つまみなどを介して錘を操作する使用者に蒸気が当たりにくく出来る。
また、蒸気誘導領域を通過する際に、蒸気の発生音の音質を変えることが出来る。
蒸気受け部と蓋本体の隙間の形状などを変えることにより、蒸気の発生音の音質を調整することも出来る。
このため、蒸気受け部を設けない形態に比べて、音量を下げたり、音質を変えたりした状態で、蒸気を排出することが可能になる。
【0008】
また、蒸気受け部は、錘の上部を覆わないので、錘が外部から見える状態が維持され、錘の上部が蒸気受け部などによって覆われる形態に比べて、錘35の状態が視認しやすくなる。
【0009】
好ましくは、蓋本体における蒸気受け部が取り付けられる土台部の上面には、周縁部よりも下方に凹んだ凹部が設けられる。
【0010】
ノズルと錘の間から排出された蒸気は、蓋本体の土台部と蒸気受け部の間で冷却されて一部が液化し、凹部に貯まる。空気や液化しなかった蒸気は、外側側面部と土台部の間から排出される。
【0011】
圧力鍋の内部から排出された蒸気の一部を液化して凹部に貯めておくことが出来るので、外部に排出される蒸気の量を少なく出来る。このため、高温の蒸気が使用者に触れる可能性を低く出来る。
また、液化した水が蓋本体の上面に流れるのを抑制することも出来る。
【0012】
さらに好ましくは、蒸気受け部は、ネジ止めにより、土台部に取り付けられ、土台部におけるネジ止めされる領域の下側には、下方に突出した突起が設けられる。
【0013】
蒸気受け部に相当する部分などが蓋本体と一体的に構成される形態に比べて、掃除などのメンテナンスが容易に行える。
【0014】
また、好ましくは、蒸気受け部は、外側側面部と、内側側面部と、外側の周縁部に外側側面部が接続され、内側の周縁部に内側側面部が接続される上面部と、外側側面部の内周面と内側側面部の外周面と接続するリブとを有し、上面部の下面、外側側面部の下端、内側側面部の下端の少なくとも一つには、下方に突出し、蓋本体と接触する突出部が設けられる。
【0015】
また、好ましくは、蓋本体に取り付けられ、内圧が第1気圧よりも大きい第2気圧以上の時に蒸気を排出する安全装置を更に備え、蒸気受け部は、安全装置の上部を覆う。
【0016】
調圧装置が正常に動作せずに、安全装置を介して圧力鍋の内部の蒸気が排出される場合に、圧力鍋の内圧によって安全装置の上部の螺着が外れても、当該上部の部材が飛び散るのを防止する。
【0017】
さらに好ましくは、蒸気受け部は、外側側面部と、内側側面部と、外側の周縁部に外側側面部が接続され、内側の周縁部に内側側面部が接続される上面部と、外側側面部の内周面と内側側面部の外周面と接続するリブとを有し、外側側面部と内側側面部と上面部とリブで囲まれた領域に、安全装置の上部が覆われる。
【0018】
本発明に係る圧力鍋蓋は、ノズルと、錘とを有し、内圧が第1気圧以上の時にノズルと錘の間から蒸気を排出する調圧装置と、ノズルが取り付けられた蓋本体と、錘の上部を空けた状態で、錘の側部の少なくとも一部を囲む蒸気受け部と、蓋本体が着脱可能な状態で取り付けられる鍋本体とを備え、圧力鍋は、錘の上部の少なくとも一部が露出した状態で使用され、ノズルと錘の間から排出された蒸気が、蒸気受け部と蓋本体の間から外部に排出されるように、蒸気受け部と蓋本体の間には、蒸気誘導領域が形成される。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、構造を複雑にすることなく、排出された蒸気が使用者に触れにくい圧力鍋蓋などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態における圧力鍋蓋であって、鍋本体に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2】圧力鍋蓋における蒸気受け部が設けられた領域を側面から見た斜視図である。
図3】錘を取り外した状態の圧力鍋蓋を上方から見た斜視図である。
図4】蒸気受け部を下方から見た斜視図である。
図5】蓋本体に蒸気受け部などが取り付けられる前の状態を示す、図3のA−A断面構成図である。
図6】蓋本体に蒸気受け部などが取り付けられた後の状態を示す、図3のA−A断面構成図である。
図7図6の状態から錘が持ち上がった状態を示す断面構成図である。
図8】蓋本体に蒸気受け部などが取り付けられる前の状態を示す、図3のB−B断面構成図である。
図9】蓋本体に蒸気受け部などが取り付けられた後の状態を示す、図3のB−B断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。第1実施形態における圧力鍋蓋1は、蓋本体10、調圧装置30、安全装置50、蒸気受け部(蒸気誘導部)70、ネジ80を備え、着脱可能な状態で鍋本体90に取り付けられる(図1図9参照)。
【0022】
なお、図3の斜視図は、ノズル33の上部、及び蒸気受け部70の内側側面部73をわかりやすくするため、錘35を外した状態を示す。
一方、図5図9の断面構成図は、錘35及びつまみ37を含む。
【0023】
なお、図5図9の断面構成図は、本実施形態における特徴的部分を分かりやすくするため模式的に形状を示しており、蓋本体10と蒸気受け部70と調圧装置30における錘本体35aは断面を示し、調圧装置30のノズルフィルター31とノズル33と接続部材35bとつまみ37と安全装置50とネジ80は側面を示す。
また、圧力鍋蓋1を鍋本体90に固定する係合部材やパッキンは省略している。
【0024】
図5図8に示すように、蓋本体10の上面には、後述する蒸気受け部70が取り付けられる土台部12が設けられる。
土台部12は、上面が下面よりも小さい略円錐台形状を有し、上面には周縁部よりも下方に凹み、上部が下部よりも大きい略円錐台形状を有する凹部12aが設けられる。
凹部12aには、ノズル33を取り付けるための孔(ノズル孔12b)、安全装置50を取り付けるための孔(バルブ孔12c)、蒸気受け部70をネジ止めするための窪み(ネジ受け12d)が設けられる。
蓋本体10の下面であって、ネジ受け12dが設けられた領域は、ネジ受け12dが下方に貫通しないように突起12eが設けられる。
【0025】
調圧装置30は、圧力鍋の内圧が第1気圧P1(例えば、2気圧)を超えないように圧力調整するために使用され、ノズルフィルター31、ノズル33、錘35(錘本体35a、接続部材35b)、つまみ37を有し、着脱可能な状態で蓋本体10に取り付けられる。
【0026】
ノズル33の下端はねじ切りされていて、蓋本体10に設けられた孔(ノズル孔12b)に螺着される。
ノズル33と蓋本体10の間には、Oリングなどの密閉部材(不図示)が設けられる。
ノズルフィルター31は、ノズル33の下端に螺着され、ノズルフィルター31とノズル33とで、蓋本体10を挟む。
【0027】
錘35(錘本体35aが取り付けられた接続部材35bの下端部)は、ノズル33の上端に載置される。
【0028】
錘本体35aは、略釣鐘形状を有し、上部の中心には、接続部材35bが上下方向に貫通する孔が設けられる。
接続部材35bは、錘本体35aの上方に位置する上部と、錘本体35aの孔を通る棒状の下部を有し、螺合などにより錘本体35aに固定される。
接続部材35bの下部の下端は、ノズル33の上端と接する。
【0029】
圧力鍋の内圧が第1気圧P1以上の場合は、圧力鍋の内部の圧力が錘35(錘本体35aが取り付けられた接続部材35bの下端部)を押し上げ、圧力鍋の内部の蒸気が、ノズルフィルター31を介し、ノズル33と錘35(錘本体35aが取り付けられた接続部材35bの下端部)の間から排出される(図7参照)。
圧力鍋の内圧が第1気圧P1未満の場合は、錘35(錘本体35aが取り付けられた接続部材35bの下端部)がノズル33の先端を閉じるため、ここから圧力鍋の内部の蒸気は排出されない(図6参照)。
錘本体35aの重さを変えることにより、第1気圧P1が調整される。
【0030】
錘35を構成する錘本体35aと接続部材35bは、別体構成であってもよいし、一体的に形成される形態であってもよい。
【0031】
つまみ37は、シリコンゴムなどで構成され、接続部材35bの上部を覆う。
つまみ37を上下方向に動かすことで、錘35(錘本体35aと接続部材35b)が上下方向に移動し、これにより、ノズル33と錘35の距離が変動し、ノズル33と錘35の間から、圧力鍋の内部の蒸気を排出させることが出来る(図7参照)。
本実施形態では、つまみ37が接続部材35bと別体で構成される形態を説明するが、一体的に構成される形態であってもよい。
【0032】
安全装置50は、内圧が第1気圧P1よりも大きい第2気圧P2(例えば、2.4気圧)以上の時に、圧力鍋の内部の蒸気を排出する。
安全装置50は、調圧装置30が正常に動作せずに、内圧が高くなった時に機能する。
安全装置50は、バルブ51、排出部(排出口を含む蓋部)53を有し、着脱可能な状態で蓋本体10に取り付けられる。
【0033】
バルブ51の上端はねじ切りされていて、蓋本体10に設けられた孔(バルブ孔12c)に螺着される。
排出部53は、バルブ51の上端に螺着され、バルブ51と排出部53とで、蓋本体10を挟む。
圧力鍋の内圧が第2気圧P2以上の場合は、圧力鍋の内部の圧力がバルブ51に設けられた弁体(不図示)を開き、圧力鍋の内部の蒸気が、弁体を介し、排出部53に設けられた排出口から排出される。
圧力鍋の内圧が第2気圧P2未満の場合は、弁体が閉じるため、ここから圧力鍋の内部の蒸気は排出されない。
【0034】
安全装置50は1つだけ設けられる形態であってもよいが、2つ以上設けられる形態であってもよい。
本実施形態では、2つの安全装置50が設けられ、一方は第2気圧P2以上の時に、圧力鍋の内部の蒸気を排出させ、他方は第2気圧P2よりも大きい第3気圧P3(例えば、2.6気圧)以上の時に、圧力鍋の内部の蒸気を排出させる例を示す。
【0035】
蒸気受け部70は、調圧装置30から排出された蒸気、及び安全装置50から排出された蒸気が拡散するのを防止するために使用される。
蒸気受け部70は、蓋本体10の上面であって、錘本体35aの側部の少なくとも一部を囲む位置に配置される。
蒸気受け部70は、フェノール樹脂などの耐熱性樹脂若しくは金属で構成され、蓋本体10と別体で構成される。
【0036】
蒸気受け部70は、下面が開口し、外側側面部71、内側側面部73、上面部75、リブ76、突出部79を有する。
【0037】
外側側面部71は、下面が上面よりも大きい中空の略円錐台形状を有する。
内側側面部73は、外側側面部71の内側に設けられ、略円筒形状を有する。
内側側面部73の上下方向の寸法は、外側側面部71よりも短い。
上面部75は、略ドーナツ形状を有し、外側の周縁部の下側に外側側面部71の上端が接続され、内側の周縁部の下側に内側側面部73の上端が接続される。
【0038】
従って、蒸気受け部70は、錘35の上部を空けた状態、錘35の側部(錘本体35aの側部)の少なくとも一部を囲む。
すなわち、圧力鍋蓋1、及び圧力鍋蓋1と鍋本体90を含む圧力鍋は、錘35の上部の少なくとも一部が露出した状態で使用される。
【0039】
リブ76は、外側側面部71の内周面と内側側面部73の外周面と接続し、上面部75の下面に設けられる。
また、後述する突出部79と内側側面部73の外周面と接続する箇所にもリブ76が設けられる。
【0040】
上面部75の下側には、外側側面部71と内側側面部73と上面部75とリブ76で囲まれた領域が複数(本実施形態では4つ)形成される。
リブ76などで囲まれた領域の幾つかには、安全装置50の蓋本体10から上方に露出した領域を上方から覆うカバー部77が形成される。
リブ76などで囲まれた領域のうち、カバー部77が形成される領域とは別の領域には、上面部75の下面から延び、外側側面部71の下端よりも下方に突出し、蓋本体10の凹部12aと接触する突出部79が設けられる。
ただし、突出部79は、外側側面部71から下方に突出する形態であってもよいし、内側側面部73から下方に突出する形態であってもよい。
【0041】
外側側面部71の下端よりも下方に突出する突出部79が蓋本体10の凹部12aに取り付けられることにより、外側側面部71の下端(の少なくとも一部)と、内側側面部(の少なくとも一部)が、蓋本体10と接しない状態で、蒸気受け部は、蓋本体10の上部に取り付けられる。
【0042】
リブ76などで囲まれた領域のうちカバー部77が形成されるものと、突出部79が設けられるものとは、下方からみて円周方向に交互に配置される。
本実施形態では、リブ76などで囲まれた領域として、第1領域70a、第2領域70b、第3領域70c、第4領域70dが設けられ、第1領域70aと第3領域70cにカバー部77が形成され、第2領域70bと第4領域70dに突出部79が設けられる例を示す。
【0043】
蒸気受け部70は、蓋本体10の上面であって土台部12の上に取り付けられる。
内側側面部73の内側に、ノズル33や錘本体35aが配置される。
蒸気受け部70の土台部12への取付は、上方から突出部79に設けられたネジ孔79aを貫通するネジ80をネジ受け12dと螺合させることにより行われる。
【0044】
外側側面部71の下端、及び内側側面部73の下端は、土台部12と接しない。
ノズル33と錘35の間から排出された蒸気が、内側側面部73と蓋本体10(土台部12)の間、蒸気受け部70の下部を通って、外側側面部71と蓋本体10(土台部12)の間から外部に排出されるように、蒸気受け部70と蓋本体10の間には、蒸気誘導領域100が形成される。
【0045】
つまみ37を動かした時に錘本体35aを動かすことができるように、内側側面部73の内径は、錘本体35aの外径よりも大きい。
すなわち、錘本体35aと蒸気受け部70との間に隙間が設けられる。
【0046】
圧力鍋の内圧が第1気圧P1以上に高くなると、ノズルフィルター31を介してノズル33に流れる蒸気の圧力で錘35(錘本体35aと接続部材35b)が押し上げられ、当該蒸気の一部が、ノズル33と錘35の間から排出される(図7の太い破線矢印参照)。
蒸気が排出されることにより、内圧は下がり、一旦ノズル33の先端は錘35によって閉じられるが、再び内圧が第1気圧P1以上に高くなると、錘35が押し上げられて蒸気の排出が行われる。
従って、加熱中は、ノズル33と錘35の間が開口した状態と閉口した状態が繰り返される。
【0047】
ノズル33と錘35の間から排出された蒸気は、蓋本体10の土台部12と蒸気受け部70の間で冷却されて一部が液化し、凹部12aに貯まる。空気や液化しなかった蒸気は、外側側面部71と土台部12の間から排出される(図7の細い破線矢印参照)。
【0048】
圧力鍋の内部から排出された蒸気の一部を液化して凹部12aに貯めておくことが出来るので、外部に排出される蒸気の量を少なく出来る。このため、高温の蒸気が使用者に触れる可能性を低く出来る。
また、液化した水が蓋本体10の上面に流れるのを抑制することも出来る。
【0049】
また、蒸気受け部70は、錘35の錘本体35aの上部を覆わないので、錘本体35aが外部から見える状態が維持され、錘本体35aの上部が蒸気受け部70などによって覆われる形態に比べて、錘本体35aを含む錘35の状態が視認しやすくなる。
【0050】
液化しなかった蒸気は、外側側面部71と蓋本体10の土台部12の間から排出されるため、錘本体35aと蒸気受け部70の間からは殆ど排出されない。
このため、つまみ37を介して錘35を操作する使用者に蒸気が当たりにくく出来る。
【0051】
また、蒸気受け部70と土台部12の間の蒸気誘導領域100を通過する際に、蒸気の発生音の音質を変えることが出来る。
蒸気受け部70の外側側面部71と蓋本体10の土台部12の隙間の形状などを変えることにより、蒸気の発生音の音質を調整することも出来る。
このため、蒸気受け部70を設けない形態に比べて、音量を下げたり、音質を変えたりした状態で、蒸気を排出することが可能になる。
【0052】
また、蒸気受け部70に設けられたカバー部77が安全装置50の上部を覆うため、調圧装置30が正常に動作せずに、安全装置50を介して圧力鍋の内部の蒸気が排出される場合に、圧力鍋の内圧によって安全装置50の上部の螺着が外れても、当該上部の部材(排出部53)が飛び散るのを防止する。
【0053】
既存の調圧装置30、安全装置50を流用し、調圧装置30及び安全装置50の形状に合わせて、土台部12を形成した蓋本体10と、蒸気受け部70を新規に設けることで、本実施形態に示す圧力鍋蓋1が構成されるので、構造を複雑にすることなく、簡単に本実施形態に示す圧力鍋蓋1を用意することが出来る。
【0054】
また、調圧装置30と、安全装置50と、蒸気受け部70が着脱可能な状態で蓋本体10に取り付けられるため、蒸気受け部70に相当する部分などが蓋本体10と一体的に構成される形態に比べて、掃除などのメンテナンスが容易に行える。
【符号の説明】
【0055】
1 圧力鍋蓋
10 蓋本体
12 土台部
12a 凹部
12b ノズル孔
12c バルブ孔
12d ネジ受け
12e 突起
30 調圧装置
31 ノズルフィルター
33 ノズル
35 錘
35a 錘本体
35b 接続部材
37 つまみ
50 安全装置
51 バルブ
53 排出部
70 蒸気受け部
70a 第1領域
70b 第2領域
70c 第3領域
70d 第4領域
71 外側側面部
73 内側側面部
75 上面部
76 リブ
77 カバー部
79 突出部
79a ネジ孔
80 ネジ
90 鍋本体
90 鍋本体
100 蒸気誘導領域
P1〜P3 第1気圧〜第3気圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9