(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
帯状部の側端面に切り込みを形成すると、帯状部の強度が低下したり、横からの力に弱くなる。このため、帯状部が意図せずに切断されてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、帯状部の意図しない切断を抑制でき、かつ容易に切断できる樹脂製部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る樹脂製部材は、表面に複数の歯が並んで配置された帯状部を有し、前記帯状部は、前記歯が形成される第1表面の側端に、前記歯に隣接するとともに、前記第1表面の面外方向へ立ち上がる側壁部を有し、前記側壁部の前記第1表面側に位置する側壁表面、前記側壁部の前記歯に隣接する側壁内面、または、前記帯状部の前記第1表面と反対側の第2表面
の、前記側壁部の前記側壁内面に対して反対側に設けられる側壁外面から離れた位置に、複数の穴部が
前記帯状部の長さ方向の異なる位置に形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る樹脂製部材の他の態様は、表面に複数の歯が並んで配置された帯状部を有し、前記帯状部は、前記歯が形成される第1表面の側端に、前記歯に隣接するとともに、前記第1表面の面外方向へ立ち上がる側壁部を有し、前記側壁部の前記歯に隣接する側壁内面の反対側に設けられる側壁外面に、複数の穴部が
前記帯状部の長さ方向の異なる位置に形成され、
前記帯状部は、前記第1表面の反対側に第2表面を有し、前記穴部は
、前記側壁外面
の前記第1表面および前記第2表面の両方から離れた位置に形成されていることを特徴とする前記穴部は、前記帯状部の前記第1表面と反対側の第2表面から離れて前記側壁外面に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した樹脂製部材の一態様は、側壁部を備えるために強度が高く、横からの力に対して強くなり、帯状部の意図しない切断を抑制できる。さらに、樹脂製部材は、側壁部の第1表面側に位置する側壁表面、側壁部の歯に隣接する側壁内面、または第2表面に穴部が形成されているため、折り曲げることで穴部から帯状部に亀裂を生じさせて、切れるきっかけができ、帯状部を容易に切断できる。
【0010】
上記のように構成した樹脂製部材の他の態様は、側壁部を備えるために強度が高く、横からの力に対して強くなり、帯状部の意図しない切断を抑制できる。さらに、樹脂製部材は、側壁外面の第2表面から離れた位置に穴部が形成されているため、側壁部の強度の低下を抑制でき、帯状部の意図しない切断を抑制できる。また、樹脂製部材は、折り曲げることで穴部から帯状部に亀裂を生じさせて、切れるきっかけができ、帯状部を容易に切断できる。
【0011】
前記側壁部は、前記第1表面側の側壁表面と、前記歯に隣接する側壁内面と、前記側壁内面の反対側に設けられる側壁外面と、を有し、前記穴部は、前記側壁表面に形成されるとともに、前記側壁内面および前記側壁外面から離れてもよい。穴部が側壁内面および側壁外面から離れているため、穴部が形成されることによる側壁部の強度低下を抑えることができる。また、側壁表面は、帯状部を折り曲げることで引張応力が作用しやすいため、穴部から亀裂を生じさせやすい。
【0012】
前記側壁部は、前記第1表面側の側壁表面と、前記歯に隣接する側壁内面と、前記側壁内面の反対側に設けられる側壁外面と、を有し、前記穴部は、前記側壁表面に形成されるとともに、前記側壁内
面に達してもよい。これにより、側壁表面は、帯状部を折り曲げることで引張応力が作用しやすいため、穴部から亀裂を生じさせやすい。
【0013】
前記穴部は、前記帯状部の長さ方向において、隣接する歯先同士の間に配置されてもよい。これにより、穴部で生じる亀裂が、隣接する歯先の間に位置する歯底に進展しやすい。このため、樹脂製部材は、切断がさらに容易となる。
【0014】
前記樹脂製部材は、前記帯状部の一端に配置され、前記帯状部の他端が貫通する通路が形成されたバックル部を有し、前記通路は、前記帯状部が挿入される入口と、前記入口の反対側に設けられる出口と、前記通路の内面に設けられて前記歯と噛み合うことが可能な抜止爪と、前記出口が形成される出口端面と、前記出口端面よりも前記入口に近い内側に配置されて突出する角部と、を有し、前記角部は、前記通路に挿入された前記帯状部の前記第2表面と接触可能であってもよい。これにより、角部を支点として帯状部を折り曲げて、帯状部に亀裂を生じさせやすい。また、角部の位置で帯状部が切断されると、帯状部の切断部は、バックル部の出口端面よりも内側に配置され、外部へ突出しない。これにより、帯状部の切断部が、他の部材や人体と接触しにくくなるため、樹脂製部材が他の部材に干渉し難くなり、かつ安全性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
本発明の実施形態に係る樹脂製部材は、
図2に示すように、例えばワイヤやケーブル等の部材50を結束するために使用される結束バンド10である。結束バンド10は、樹脂により一体的に形成され、可撓性を備えている。結束バンド10の構成材料は、特に限定されないが、例えばナイロン、PEEK、生分解性樹脂等の樹脂を適用できる。なお、樹脂にはエラストマーやゴムも含まれるものとする。結束バンド10は、一体的に形成されない場合もあり得る。結束バンド10は、
図1〜4に示すように、帯状部20と、帯状部20の端部に設けられるバックル部40とを備えている。帯状部20は、部材50を束ねて締め付ける部位である。バックル部40は、帯状部20によって部材50を締め付けた状態を維持するための部位である。帯状部20およびバックル部40は、一体的に形成されている。
【0018】
帯状部20は、長さ方向Xへ長尺であるとともに、厚さ方向Yに第1表面21および第2表面22を備える帯状の部位である。帯状部20は、セレーション23と、側壁部30と備えている。セレーション23は、複数の歯25が長さ方向Xに並んで列となっている部位であり、一方の表面である第1表面21に形成されている。各々の歯25は、同一形状で形成されている。歯25は、
図3、4に示すように、突出する複数の歯先26と、隣接する歯先26の間に設けられる歯底27とを備えている。
【0019】
側壁部30は、帯状部20の幅方向Z(長さ方向Xおよび厚さ方向Yと直交する方向)の両側端に、セレーション23を挟んで、セレーション23と一体的に形成される。側壁部30は、セレーション23と同様に第1表面21に形成され、セレーション23から、第1表面21の面外方向へ向かって立ち上がっている。なお、本実施形態では、側壁部30はセレーション23を挟んで両側に形成されるが、一方側のみに形成されてもよい。また、本実施形態では、両側の側壁部30は略対称形状であるが、非対称形状(例えば、幅方向Zの長さが異なる形状)であってもよい。
【0020】
各々の側壁部30は、側壁表面31と、側壁内面32と、側壁外面33とを備えている。側壁表面31は、平滑であり、第1表面21側に配置されている。側壁内面32は、セレーション23から立ち上がる平滑な面であり、セレーション23と一体的に形成されている。側壁外面33は、平滑であり、側壁内面32と反対側を向いて配置されている。側壁内面32および側壁外面33は、略平行であるが、平行でなくてもよい。側壁部30は、幅方向Zにおいて、所定の幅Wで形成される。側壁部30の幅Wは、均一であるが、均一でなくてもよい。なお、側壁表面31、側壁内面32および側壁外面33は、平滑でなくてもよい。側壁表面31および側壁内面32の間の稜線、側壁表面31および側壁外面33の間の稜線、並びに第2表面22および側壁外面33の間の稜線は、角により形成されてもよいが、曲面(例えば、R面取りされた形状)や平面(例えば、C面取りされた形状)で形成されてもよい。これにより、使用者の安全性が向上するとともに、例えば結束バンド10が生分解樹脂により形成される場合に、材料が少なくなるために分解されやすくなる。
【0021】
側壁表面31は、歯先26が並ぶ第1基準面S1(
図3を参照)よりも外方側(第1表面21から厚さ方向Yへ離れる方向側)に配置されている。このため、側壁部30は、帯状部20の強度を効果的に高めることができる。なお、側壁表面31は、第1基準面S1よりも外方側に位置しなくてもよい。応力が集中しやすく強度が低くなりやすい歯底27における意図しない破損を抑制するために、側壁表面31は、少なくとも、歯底27が並ぶ第2基準面S2(
図3を参照)よりも外方側に配置されることが好ましく、より好ましくは、第1基準面S1に一致する位置から外方側に配置されることが好ましく、さらに好ましくは、第1基準面S1よりも外方側に配置される。
【0022】
各々の側壁表面31には、複数の穴部36が長さ方向Xへ並んで形成されている。穴部36は、帯状部20を切断する際に、帯状部20を折り曲げることで、帯状部20に亀裂を生じさせやすくする部位である。穴部36は、平滑な側壁表面31から、側壁表面31と略垂直に所定の深さで形成される。穴部36の形状は、特に限定されないが、例えば面外方向から見て円形、楕円形、正方形、長方形、多角形状等である。穴部36は、側壁内面32および側壁外面33から離れている。すなわち、幅方向Zへの穴部36の大きさは、幅W未満である。このため、穴部36が設けられることによる側壁部30の強度の低下を抑制できる。なお、穴部36は、側壁内面32および/または側壁外面33と連通してもよい。穴部36は、帯状部20の長さ方向Xにおいて、歯底27と一致する位置、または歯底27に近接する位置に配置されることが好ましい。各々の歯25は、第1表面21と略垂直な垂直面28と、第1表面21と傾斜する傾斜面29とを備えている。垂直面28を挟む歯先26および歯底27の位置は、帯状部20の長さ方向Xにおいて、略一致する。このため、穴部36は、帯状部20の長さ方向Xにおいて、垂直面28に一致または垂直面28に近接する位置に配置されることが好ましい。例えば、穴部36は、帯状部20の長さ方向Xにおいて、隣接する歯先26の中間位置Mよりも、垂直面28に近い側に配置されることが好ましい。各々の側壁表面31には、1つの歯底27に対応して1つの穴部36が設けられるが、1つの歯底27に対応して2つ以上の穴部36が設けられてもよく、複数の歯底27に対して1つの穴部36が設けられてもよい。また、各々の側壁表面31には、穴部36が1列で並んでいるが、複数列で並んでもよい。歯底27は、本実施形態では、垂直面28と傾斜面29の境界に位置し、長さ方向Xへ狭い範囲に形成されるが、長さ方向Xへ所定の範囲を備えて広く(例えば、平面状に)形成されてもよい。
【0023】
穴部36が歯底27に近いことで、穴部36から生じる亀裂は、歯底27へ進展しやすくなる。穴部36の深さは、特に限定されない。穴部36の底は、第1基準面S1よりも外方側に位置してもよく、第1基準面S1と第2表面22の間に位置してもよく、第2基準面S2よりも第2表面22に近い側に位置してもよい。また、穴部36は、第2表面22まで貫通してもよい。穴部36が深い場合、帯状部20の切断が容易となる。穴部36が浅い場合、帯状部20の強度が向上する。
【0024】
バックル部40は、
図1〜3に示すように、帯状部20の長さ方向Xの一端側(基端側)に配置され、帯状部20の他端側(先端側)が挿入される通路41が形成されている。通路41は、帯状部20が挿入される入口42と、入口42の反対側に設けられる出口43と、通路41の内面に設けられる抜止爪44とを備えている。バックル部40の入口42は、帯状部20の第1表面21側に形成され、バックル部40の出口43は、帯状部20の第2表面22側に形成される。抜止爪44は、帯状部20の歯25と噛み合う歯型部45が形成されている。抜止爪44は、通路41の内部で弾性的に変形して傾くことができる。
【0025】
次に、本実施形態に結束バンド10の作用を説明する。ここでは、結束バンド10により複数の部材50を束ねる場合を例として説明する。
【0026】
初めに、
図2〜3に示すように、帯状部20を部材50に巻き付ける。このとき、帯状部20のセレーション23および側壁部30が設けられる第1表面21は、部材50に接触する内側に配置される。次に、結束バンド10の先端部を、バックル部40の通路41の入口42から出口43へ貫通させる。帯状部20が通路41を貫通すると、
図3に示すように、歯型部45が、セレーション23の歯25に噛み合う。これにより、帯状部20は、通路41を戻る方向へ移動することが制限される。なお、抜止爪44は、歯25が入口42から出口43へ移動する際には、歯25によって押されて傾くことができる。このため、帯状部20は、抜止爪44に阻害されずに、入口42から出口43へ向かう方向へ移動できる。これにより、帯状部20は、複数の部材50をきつく締め付け、バックル部40は、帯状部20による締め付けが緩むことを防止する。帯状部20は、側壁部30が設けられているため、強い締め付け力を生じさせることができる。また、穴部36が形成される第1表面21側は、部材50に巻かれて帯状部20の内側に配置されるため、外側に配置される第2表面22と異なり、引張応力が作用しにくい。このため、部材50を結束する帯状部20の穴部36から、意図せずに亀裂が生じることを抑制できる。
【0027】
次に、使用者は、部材50の結束に利用されていない帯状部20の余分な残余部11(
図2を参照)を切断する。残余部11は、帯状部20の、抜止爪44と噛み合った歯25の位置よりも先端側(帯状部20のバックル部40が設けられる側の反対側)に位置している。残余部11を切断する際には、使用者は、
図5(A)に示すように、帯状部20を、セレーション23および穴部36が形成される第1表面21側が外側となるように折り曲げる。これにより、第1表面21側には、強い引張応力が作用する。このため、ノッチ効果(切り欠き効果)により、両側の側壁表面31に形成される穴部36の近傍に応力が集中して、側壁表面31に、穴部36から亀裂が生じる。側壁部30の幅Wは、帯状部20の全体の幅よりも短いため、側壁部30は、穴部36において亀裂を生じさせやすく、かつ亀裂を伸展させやすい。また、穴部36が形成される側壁部30が、帯状部20の幅方向Zの外側に設けられるため、幅方向Zの中央に設けられる場合と比較して、曲げや捩れによって亀裂を生じやすい。また、穴部36が形成される側壁部30が、帯状部20の幅方向Zの両側に設けられるため、曲げや捩れによって、亀裂を両側の側壁部30から生じさせることができる。
【0028】
使用者は、帯状部20の折り曲げた位置を、逆方向へ折り曲げたり、繰り返し折り曲げたり、捩じったりを繰り返すことができる。これにより、帯状部20の亀裂がさらに進展し、またはさらなる亀裂が形成されて、
図5(B)に示すように、残余部11が容易に切断される。穴部36が歯底27の近くに形成されることで、穴部36から生じる亀裂は、歯底27へ進展しやすい。歯底27は、帯状部20において応力が集中しやすく、かつ長さ方向Xと直交する断面積が小さいため、切断しやすい部位である。このため、穴部36から歯底27に亀裂が進展すると、帯状部20は、歯底27の近傍において容易に切断される。
【0029】
以上のように、本実施形態に係る結束バンド10は、表面に複数の歯25が並んで配置された帯状部20を有し、帯状部20は、歯25が形成される第1表面21の側端に、歯25に隣接し、第1表面21の面外方向へ立ち上がる側壁部30を有し、側壁部30の第1表面21側に位置する側壁表面31に、複数の穴部36が形成されている。
【0030】
上記のように構成した結束バンド10は、側壁部30を備えるために強度が高く、横からの力に対して強くなり、帯状部20の意図しない切断を抑制できる。さらに、結束バンド10は、側壁部30の第1表面21に穴部36が形成されているため、折り曲げることで穴部36から帯状部20に亀裂を生じさせて、切れるきっかけができ、帯状部20を容易に切断できる。このため、結束バンド10は、帯状部20をバックル部40の通路41に挿入して結束した後に、穴部36を利用して、余分なバックル部40を容易に切断でき、作業性が高い。
【0031】
また、穴部36は、帯状部20の長さ方向において、隣接する歯先26同士の間に配置される。これにより、穴部36で生じる亀裂が、隣接する歯先26の間に位置する歯底27に進展しやすい。このため、結束バンド10は、切断がさらに容易となる。
【0032】
また、側壁部30は、第1表面21側の側壁表面31と、歯25に隣接する側壁内面32と、側壁内面32の反対側に設けられる側壁外面33と、を有し、穴部36は、側壁表面31に形成されるとともに、側壁内面32および側壁外面33から離れている。これにより、穴部36が側壁内面32および側壁外面33から離れているため、穴部36が形成されることによる側壁部30の強度低下を抑えることができる。また、側壁表面31は、帯状部20を折り曲ることで引張応力が作用しやすいため、穴部36から亀裂を生じさせやすい。
【0033】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、
図6に示す第1変形例のように、側壁部30の幅方向Zの長さを、長く形成してもよい。これにより、穴部36から帯状部20に亀裂を生じさせて切断しやすくしつつ、孔部36が形成されることによって側壁部30の強度が低下することを効果的に抑制できる。
【0034】
また、
図7(A)に示す第2変形例のように、穴部36の形状は、側壁表面31側から見て、長さ方向Xへ長い楕円形であってもよい。長さ方向Xへ長い形状は、楕円形に限定されず、例えば長方形、菱形、三角形、不定形であってもよい。これにより、側壁部30において穴部36が幅方向Zに占める範囲を広げ過ぎることなく、穴部36を大きく形成できる。このため、帯状部20の意図しない切断を抑制しつつ、折り曲げによって穴部36から帯状部20に亀裂を生じさせて切断しやすくすることができる。
【0035】
また、
図7(B)に示す第3変形例のように、穴部36の形状は、側壁表面31側から見て、幅方向Zへ長い楕円形であってもよい。幅方向Zへ長い形状は、楕円形に限定されず、例えば長方形、菱形、三角形、不定形であってもよい。これにより、側壁部30において穴部36が幅方向Zに占める範囲を広げて、穴部36を大きく形成できる。このため、折り曲げによって穴部36から帯状部20に亀裂を生じさせて切断しやすくすることができる。
【0036】
また、
図8に示す第4変形例のように、穴部36の開口縁36Aおよび穴底36Bの形状は、特に限定されない。例えば、開口縁36Aは凸状の曲面で形成され、穴底36Bは凹状の曲面で形成されてもよい。これにより、金型によって結束バンド10を成形する際に、穴部36に対応する形状を備える金型のピン状の部位に沿って、液状の材料が流れやすくなり、材料の流動抵抗が低下する。さらに、金型のピン状の部位の強度が向上する。このため、穴部36を有する結束バンド10の製造が容易となるとともに、金型の耐久性を向上できる。
【0037】
また、
図9に示す第5変形例のように、側壁表面31に形成される穴部36は、側壁内面32から側壁外面33まで達するように溝状に形成されてもよい。これにより、側壁表面31は、帯状部20を折り曲げることで引張応力が作用しやすいため、穴部36から亀裂を生じさせやすい。
【0038】
また、
図10に示す第6変形例のように、穴部36は、帯状部20の第2表面22に形成されてもよい。穴部36は、第1表面21側まで到達していない。第2表面22の穴部36は、側壁表面31の反対側の位置に形成される。すなわち、穴部36は、第2表面22の、幅方向Zの外側に配置される。このため、穴部36は、第2表面22の幅方向Zの中央に設けられる場合と比較して、曲げや捩れによって亀裂が生じやすい。穴部36は、帯状部20の長さ方向Xにおいて、歯底27と一致する位置、または歯底27に近接する位置に配置されることが好ましい。なお、第2表面22の穴部36は、側壁表面31の反対側の位置ではなく、セレーション23の反対側の位置、すなわち幅方向Zの略中央部に形成されてもよい。また、穴部36は、側壁表面31の反対側の位置、およびセレーション23の反対側の位置の両方に設けられてもよい。帯状部20の幅方向に並ぶ穴部36の数は、1つでも2つ以上であってもよい。第2変形例では、側壁表面31に穴部36が形成されないため、側壁部30によって帯状部20の強度を良好に高めることができる。また、穴部36は、側壁表面31および第2表面22の両方に設けられてもよい。穴部36は、
図10では、第2表面22の幅方向Zの側端から離れて設けられているが、側端に配置されてもよい。なお、穴部36は、第1表面21から離れて形成される。穴部36は、第2表面22の幅方向Zの側端から離れて設けられる場合には、第1表面21まで貫通して形成されてもよい。穴部36は、第1表面21および/または第2表面22に開口するように形成されることで、金型による形成が容易である。
【0039】
また、
図11に示す第7変形例のように、穴部36は、側壁表面31の側壁内面32側に形成されてもよい。すなわち、穴部36は、側壁外面33から離れている。このため、第3変形例の結束バンド10は、帯状部20の意図しない切断を抑制できるとともに、折り曲げることで穴部36から帯状部20に亀裂を生じさせて、帯状部20を容易に切断できる。穴部36は、側壁表面31の側壁内面32側の側端に形成されるため、金型による形成が容易である。なお、側壁表面31の側壁内面32側に形成される穴部36の一部が、側壁内面32に隣接する歯25に形成されてもよい。なお、穴部36は、側壁内面32に、側壁表面31から離れて形成されてもよい。
【0040】
また、
図12に示す第8変形例のように、穴部36は、側壁表面31の側壁外面33側に形成されてもよい。すなわち、穴部36は、側壁内面32から離れている。また、穴部36は、第2表面22から離れており、側壁外面33を第1表面21から第2表面22まで厚さ方向Yへ貫通していない。このため、第4変形例の結束バンド10は、側壁部30を備えるために強度が高く、穴部36が第2表面22から離れているために強度が低下しすぎない。このため、結束バンド10は、帯状部20の意図しない切断を抑制できるとともに、折り曲げることで穴部36から帯状部20に亀裂を生じさせて、帯状部20を容易に切断できる。穴部36は、側壁表面31の側壁外面33側の側端に形成されるため、金型による形成が容易である。なお、穴部36は、側壁外面33に、第1表面21および第2表面22の両方から離れて形成されてもよい。
【0041】
また、
図13に示す第9変形例のように、バックル部40の通路41は、バックル部40の出口43が形成される出口端面46よりも入口42に近い内側に、帯状部20の第2表面22と接して折り曲げの支点となる角部47が形成されてもよい。角部47は、通路41の内部空間に向かって突出している。角部47は、出口43方向に向かって通路41が広がるように、角度θで形成されている。角度θは、帯状部20を折り曲げられる角度であることが好ましく、例えば180度未満、好ましくは135度以下、より好ましくは90度以下、さらに好ましくは45度以下で形成される。角部47は、セレーション23の歯25が歯型部45に噛み合っている際に、長さ方向Xにおいて、穴部36および/または歯底27の近傍に位置することが好ましい。例えば、角部47は、長さ方向Xにおいて、穴部36およびこの穴部36に近接している歯底27の間に位置してもよい。これにより、角部47を支点として帯状部20を折り曲げて、穴部36および歯底27に亀裂を生じさせやすい。また、角部47の位置で帯状部20が切断されると、帯状部20の切断部は、バックル部40の出口端面46よりも内側に配置され、外部へ突出しない。これにより、帯状部20の切断部が、他の部材や人体と接触しにくくなるため、結束バンド10が他の部材に干渉し難くなり、かつ安全性が向上する。
【0042】
また、上述した各実施形態では、帯状部20のセレーション23が設けられる第1表面21が、部材50に接触する内側となるが、セレーション23が設けられない第2表面22が、部材50に接触する内側となってもよい。また、穴部36は、内部空間の一部または全部が、他の部材により埋められてもよい。他の部材は、特に限定されないが、例えば樹脂材料やゴム材料等である。穴部36は、他の部材により埋められても、他の部材との間に境界を有するため、亀裂を良好に生じさせることができる。穴部36および当該穴部36の内部に配置される他の部材は、固着せれていても、固着されていなくてもよい。したがって、内部空間に他の部材が配置された穴部も、本発明における穴部36と定義できる。穴部36は、部分的に他の部材により埋められることで、閉鎖された空洞を有してもよい。
【0043】
また、結束バンドは、バックル部を備えなくてもよい。例えば、結束バンドは、複数の帯状部を切り出せるように長く形成されており、必要な長さ分を切り出して使用される形態であってもよい。そして、必要な長さで切り出された帯状部に、別構造のバックル部を取り付けることで、帯状部およびバックル部を備えた構造とすることができる。
【0044】
また、
図14、15に示す第10変形例のように、樹脂製部材は、ケーブル等を保護するための保護ケース60を構成する第1部材70および/または第2部材80であってもよい。第1部材70は、ケーブル等を収容する凹部を備えている。第2部材80は、ケーブル等を収容した第1部材70の凹部を覆い、ケーブル等の脱落を防止するとともに、ケーブル等を保護する。
【0045】
第1部材70は、帯状部71と、帯状部71を挟む2つの側壁部72とを備えている。2つの側壁部72に挟まれる帯状部71の第1表面73には、複数の歯先74および歯底75が交互に並んでいる。各々の側壁部72の側壁外面76は、帯状部71に近い基部に、第2部材80が引っ掛かる溝部77が形成されている。そして、各々の側壁部72の側壁表面78には、複数の穴部79が形成される。各々の穴部79は、帯状部71の長さ方向Xにおいて、歯底75と一致する位置、または歯底75に近接する位置に配置されることが好ましい。第1部材70は、帯状部71の第1表面73側の2つの側壁部72に挟まれる範囲に、ケーブル等を収容できる。
【0046】
使用者は、第1部材70を、望ましい長さに切断できる。第1部材70を切断する際には、使用者は、帯状部71を、穴部79が形成される第1表面73側が外側となるように折り曲げる。これにより、第1表面73側には、強い引張応力が作用する。このため、ノッチ効果(切り欠き効果)により、両側の側壁表面78に形成される穴部79の近傍に応力が集中して、側壁表面78に、穴部79から亀裂が生じる。使用者は、帯状部71の折り曲げた位置を、逆方向へ折り曲げたり、繰り返し折り曲げたり、捩じったりを繰り返すことができる。これにより、帯状部71の亀裂がさらに進展し、またはさらなる亀裂が形成されて、第1部材70が切断される。
【0047】
第2部材80は、帯状部81と、帯状部81を挟む2つの側壁部82とを備えている。2つの側壁部82に挟まれる帯状部81の第1表面83には、複数の歯先84および歯底85が交互に並んでいる。各々の側壁部82の側壁内面86は、帯状部81から離れた先端部に、第1部材70の溝部77に引っ掛かる突出部87が形成されている。そして、各々の側壁部82の側壁表面88には、複数の穴部89が形成される。各々の穴部89は、帯状部81の長さ方向Xにおいて、歯底85と一致する位置、または歯底85に近接する位置に配置されることが好ましい。第2部材80は、帯状部81の第1表面83側の2つの側壁部82に挟まれる範囲に、第1部材70の側壁部72およびケーブル等を収容できる。
【0048】
使用者は、第2部材80を、望ましい長さに切断できる。第2部材80を切断する際には、使用者は、帯状部81を、穴部89が形成される第1表面83側が外側となるように折り曲げる。これにより、第1表面83側には、強い引張応力が作用する。このため、ノッチ効果(切り欠き効果)により、両側の側壁表面88に形成される穴部89の近傍に応力が集中して、側壁表面88に、穴部89から亀裂が生じる。使用者は、帯状部81の折り曲げた位置を、逆方向へ折り曲げたり、繰り返し折り曲げたり、捩じったりを繰り返すことができる。これにより、帯状部81の亀裂がさらに進展し、またはさらなる亀裂が形成されて、第2部材80が切断される。
【0049】
第1部材70および第2部材80の両方に、歯底75、85および穴部79、89が形成されているため、使用者は、第1部材70および第2部材80の両方を手で容易に切断できる。なお、第1部材70および第2部材80の一方のみに、歯底および穴部が形成されてもよい。また、上述した実施形態および変形例は、適宜組み合わせて実施できる。