(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エステル化合物が、プロピレングリコールと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸とのモノエステルの群から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂用改質剤。
アルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキル基の炭素数6〜22のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩、及びアルキル基の炭素数6〜22のスルホン脂肪族エステルアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一種である有機スルホン酸塩を更に含み、前記有機スルホン酸塩の含有量に対する前記エステル化合物及び前記非イオン界面活性剤の各含有量の合計の質量比は、(エステル化合物+非イオン界面活性剤)/有機スルホン酸塩=99/1〜50/50である請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂用改質剤。
前記有機スルホン酸塩が、アルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の群から選ばれる少なくとも一種である請求項7に記載のポリオレフィン系樹脂用改質剤。
請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂用改質剤を0.45〜5.0質量%の割合で含有する樹脂層により少なくとも一方の表層が構成される積層フィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1〜3に開示される従来の改質剤には、ポリオレフィン系樹脂に防曇効果が発現するまでに時間を要し、これらを改善するために添加量を高くするとヒートシール性に悪影響を与えてしまうという問題がある。特許文献4に開示される改質剤は、ポリオレフィン樹脂に相応の防曇性を付与できるという報告がされているが、依然ヒートシール性に悪影響を与えてしまうという問題が残っている。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、ポリオレフィン系樹脂本来のヒートシール性に悪影響を与えることなく、ポリオレフィン系樹脂に優れた防曇性を付与することができるポリオレフィン系樹脂用改質剤、ポリオレフィン系樹脂組成物、改質ポリオレフィン系樹脂フィルム、及び積層フィルムを提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、特定のエステル化合物及び特定の非イオン性界面活性剤を含有して成るポリオレフィン系樹脂用改質剤が正しく好適であることを見出した。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、エステル化合物及び非イオン界面活性剤を含有し、前記非イオン界面活性剤の含有量に対する前記エステル化合物の含有量の質量比が、(エステル化合物)/(非イオン界面活性剤)=10/90〜30/70であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂用改質剤が提供される。
【0012】
前記エステル化合物は、炭素数2〜4の2価アルコールと炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルの群から選ばれる少なくとも一種である。
前記非イオン界面活性剤は、3〜6価アルコールと炭素数
12〜18の脂肪族モノカルボン酸との部分エステ
ルである。
【0013】
前記エステル化合物は、プロピレングリコールと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸とのモノエステルの群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
前記非イオン界面活性剤は、下記化3で示される多価アルコール又はソルビタンと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルの群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0014】
【化3】
(化3において、n=1〜4の整数。)
前記エステル化合物は、プロピレングリコールとオレイン酸とのモノエステルであることが好ましい。
【0015】
前記エステル化合物は、プロピレングリコールと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸とのモノエステルの群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、前記非イオン界面活性剤は、前記化3で示される多価アルコールとオレイン酸との部分エステルであることが好ましい。
【0016】
前記エステル化合物は、プロピレングリコールとオレイン酸とのモノエステルであることが好ましく、前記非イオン界面活性剤は、前記化3で示される多価アルコールとオレイン酸との部分エステルであることが好ましい。
【0017】
ポリオレフィン系樹脂用改質剤は、アルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキル基の炭素数6〜22のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩、及びアルキル基の炭素数6〜22のスルホン脂肪族エステルアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一種である有機スルホン酸塩を更に含むことが好ましく、前記有機スルホン酸塩の含有量に対する前記エステル化合物及び前記非イオン界面活性剤の各含有量の合計の質量比は、(エステル化合物+非イオン界面活性剤)/有機スルホン酸塩=99/1〜50/50であることが好ましい。
【0018】
前記有機スルホン酸塩は、アルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂用改質剤は、脂肪酸ビスアミドを含まなくてもよい。
【0019】
本発明の別の態様では、前記ポリオレフィン系樹脂用改質剤及びポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂組成物であって、前記ポリオレフィン系樹脂用改質剤を0.45〜5.0質量%の割合で含有するポリオレフィン系樹脂組成物が提供される。
【0020】
本発明の別の態様では、前記ポリオレフィン系樹脂組成物を用いて成形して成る改質ポリオレフィン系樹脂フィルムが提供される。
本発明の別の態様では、前記ポリオレフィン系樹脂用改質剤を0.45〜5.0質量%の割合で含有する改質ポリオレフィン系樹脂フィルムが提供される。
【0021】
本発明の別の態様では、前記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる樹脂層により少なくとも一方の表層が構成される積層フィルムが提供される。
本発明の別の態様では、前記ポリオレフィン系樹脂用改質剤を0.45〜5.0質量%の割合で含有する樹脂層により少なくとも一方の表層が構成される積層フィルムが提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂に優れたヒートシール性及び防曇性を付与できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
先ず、本発明に係るポリオレフィン系樹脂用改質剤(以下、改質剤という)を具体化した第1実施形態について説明する。
【0024】
本実施形態の改質剤に供するエステル化合物としては、炭素数2〜4の2価アルコールと炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルの群から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0025】
前記炭素数2〜4の2価アルコールと炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルにおいて、炭素数2〜4の2価アルコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられる。また、炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、例えばカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ドコサン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノレイン酸等が挙げられる。
【0026】
炭素数2〜4の2価アルコールと炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルの中で、本発明の効果をより向上させる観点からプロピレングリコールと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸の部分エステルが好ましく、プロピレングリコールとオレイン酸の部分エステルがより好ましい。また、前記炭素数2〜4の2価アルコールと炭素数8〜22の脂肪酸モノカルボン酸との部分エステルは、これら全ての部分エステルの含有量のうちモノエステルの含有量が40質量%以上のものが好ましい。
【0027】
本実施形態の改質剤に供する非イオン界面活性剤としては、3〜6価アルコールと炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステル、下記の化4で示されるエステル化合物、及び下記の化5で示されるエーテル化合物から選ばれる少なくとも一種である。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0028】
本発明において非イオン界面活性剤は、3〜6価アルコールと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルが適用され、その他は参考例とする。
【0029】
【化4】
(化4において、R
1:炭素数5〜21の炭化水素基、R
2:分子中に炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する炭素数2〜200(炭素数2〜4を除く(以下同じ))の(ポリ)オキシアルキレングリコールからすべての水酸基を除いた残基。)
【0030】
【化5】
(化5において、R
3:炭素数6〜22の炭化水素基、R
4:分子中に炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する炭素数2〜200の(ポリ)オキシアルキレングリコールからすべての水酸基を除いた残基。)
前記3〜6価アルコールと炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルにおいて、3〜6価のアルコールの具体例としては、例えば(1)グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース等の多価アルコール、(2)ソルビタン、ソルバイド等の、ソルビトールの脱水によって得られる環状エーテル多価アルコール、(3)ジグリセリン、エチレングリコールジグリセリルエーテル等の(ポリ)エーテルテトラオール、(4)トリグリセリン、トリメチロールプロパンジグリセリルエーテル等の(ポリ)エーテルペンタオール、(5)テトラグリセリン、ジペンタエリスリトール等の(ポリ)エーテルヘキサオール等が挙げられる。また、炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、例えばカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ドコサン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノレイン酸等が挙げられる。
【0031】
前記の化4で示されるエステル化合物の具体例としては、例えば(1)炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの1種を付加したもの、(2)炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの2種以上を付加したもの、(3)炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸と、炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールとのモノエステル、(4)炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール等の炭素数2〜4のジオール化合物とのモノエステル等が挙げられる。かかるエステル化合物において、原料となる炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、3〜6価アルコールと炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルについての説明の中で挙げた炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸の具体例と同じものを挙げることができる。他の原料となる炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの具体例としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらのアルキレンオキサイドの2種以上を用いる場合、炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸に対するアルキレンオキサイドの付加形態としては、ランダム付加、ブロック付加、ランダム・ブロック付加が挙げられる。炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数は、アルキレンオキサイドの炭素数の合計が2〜200の範囲となるようにする。更に、他の原料となる炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)オキシアルキレングリコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック重合体等が挙げられる。炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸1モルに対する(ポリ)オキシアルキレングリコールの使用量は(ポリ)オキシアルキレングリコールの炭素数の合計が2〜200の範囲となるようにする。以上説明した化4で示されるエステル化合物の中でも、R
1が炭素数7〜17の炭化水素であり、且つR
2が分子中に炭素数2又は3のオキシアルキレン基で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する炭素数2〜200の(ポリ)オキシアルキレングリコールからすべての水酸基を除いた残基であるものが好ましい。
【0032】
前記の化5で示されるエーテル化合物の具体例としては、例えば(1)炭素数6〜22の1価の脂肪族アルコールに、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの1種を付加したもの、(2)炭素数6〜22の1価の脂肪族アルコールに、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの2種以上を付加したもの等が挙げられる。かかるエーテル化合物において、原料となる炭素数6〜22の1価の脂肪族アルコールの具体例としては、例えばカプロンアルコール、ヘプチルアルコール、カプリルアルコール、ペラルゴンアルコール、カプリンアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミトレイルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エルシルアルコール、リシノレイルアルコール、炭素数6〜22の2級アルコール等が挙げられる。他の原料となる炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの具体例としては、化4のエステル化合物についての説明の中で挙げた炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの具体例と同じものを挙げることができる。
【0033】
以上、非イオン性界面活性剤について説明したが、これらの中で、本発明の効果をより向上させる観点からグリセリン、グリセリン縮合物、又はソルビタンと炭素数8〜18の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルが好ましく、下記化6で示される多価アルコール又はソルビタンと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルがより好ましく、グリセリン及びグリセリン縮合物とオレイン酸の部分エステルがさらに好ましい。
【0034】
【化6】
(化6において、n=1〜4の整数。)
前記3〜6価のアルコールと炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルは、以上説明した多価アルコールと脂肪族カルボン酸との適宜の組み合わせから得られるものであるが、いずれの場合においても、得られる部分エステルは分子中に少なくとも1個の遊離の水酸基を有するものである。モノエステルの含有量としては、これら全ての部分エステルの含有量のうち30質量%以上が好ましい。
【0035】
本実施形態の改質剤は、以上説明したエステル化合物及び非イオン界面活性剤を含有するものである。前記エステル化合物及び非イオン界面活性剤の好ましい組み合わせとしては、エステル化合物がプロピレングリコールと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸とのモノエステルの群から選ばれる少なくとも一種であり、非イオン界面活性剤が前記化6で示される多価アルコールとオレイン酸との部分エステルである。より好ましい組み合わせとしては、エステル化合物がプロピレングリコールとオレイン酸とのモノエステルであり、非イオン界面活性剤が前記化6で示される多価アルコールとオレイン酸との部分エステルである。
【0036】
本実施形態の改質剤は、前記非イオン界面活性剤の含有量に対する前記エステル化合物の含有量の質量比が、(エステル化合物)/(非イオン界面活性剤)=10/90〜30/70である。前記のエステル化合物と非イオン界面活性剤の質量比をかかる数値範囲内に規定することにより、本発明の効果を向上させることができ、さらには帯電防止性を向上させることができる。
【0037】
本実施形態の改質剤には、エステル化合物、非イオン界面活性剤の他に、後述する有機スルホン酸塩を加えることが好ましい。本実施形態の改質剤中に、かかる有機スルホン酸塩が含まれる場合、改質剤中の有機スルホン酸塩の含有量は、防曇性及び帯電防止性向上の観点から50質量%以下が好ましい。また、かかる有機スルホン酸塩の含有量に対する前記エステル化合物及び前記非イオン界面活性剤の各含有量の合計の質量比は、(エステル化合物+非イオン界面活性剤)/有機スルホン酸塩=99/1〜50/50であることが好ましい。かかる構成より、本発明の効果をより向上させ、さらにフィルムの経時保管による表面のべたつきを軽減することができる。
【0038】
本実施形態の改質剤に配合される有機スルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキル基の炭素数6〜22のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩、及びアルキル基の炭素数6〜22のスルホン脂肪族エステルアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0039】
前記のアルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の具体例としては、例えばヘキシルスルホン酸リチウム、ヘキシルスルホン酸ナトリウム、ヘキシルスルホン酸カリウム、オクチルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸カリウム、ノニルスルホン酸リチウム、ノニルスルホン酸ナトリウム、ノニルスルホン酸カリウム、デシルスルホン酸リチウム、デシルスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸カリウム、ウンデシルスルホン酸リチウム、ウンデシルスルホン酸ナトリウム、ウンデシルスルホン酸カリウム、ドデシルスルホン酸リチウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウム、トリデシルスルホン酸リチウム、トリデシルスルホン酸ナトリウム、トリデシルスルホン酸カリウム、テトラデシルスルホン酸リチウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸カリウム、ペンタデシルスルホン酸リチウム、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルスルホン酸カリウム、ヘキサデシルスルホン酸リチウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルスルホン酸カリウム、ヘプタデシルスルホン酸リチウム、ヘプタデシルスルホン酸ナトリウム、ヘプタデシルスルホン酸カリウム、オクタデシルスルホン酸リチウム、オクタデシルスルホン酸ナトリウム、オクタデシルスルホン酸カリウム、ベヘニルスルホン酸リチウム、ベヘニルスルホン酸ナトリウム、ベヘニルスルホン酸カリウム等が挙げられる。
【0040】
前記のアルキル基の炭素数6〜22のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩の具体例としては、例えばヘキシルベンゼンスルホン酸リチウム、ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルベンゼンスルホン酸カリウム、オクチルベンゼンスルホン酸リチウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸カリウム、ノニルベンゼンスルホン酸リチウム、ノニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノニルベンゼンスルホン酸カリウム、デシルベンゼンスルホン酸リチウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、トリデシルベンゼンスルホン酸リチウム、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリデシルベンゼンスルホン酸カリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸リチウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ペンタデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ペンタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸リチウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ベヘニルベンゼンスルホン酸リチウム、ベヘニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベヘニルベンゼンスルホン酸カリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸リチウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
【0041】
前記のアルキル基の炭素数6〜22のスルホン脂肪族エステルアルカリ金属塩の具体例としては、例えばジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム、ジドデシルスルホコハク酸エステルリチウム、ジエイコシルスルホコハク酸エステルリチウム、ドデシルスルホ酢酸エステルナトリウム、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(オキシエチレン単位の繰り返し数1〜10)スルホ酢酸エステルカリウム等が挙げられる。
【0042】
以上、有機スルホン酸塩について説明したが、これらの中でも上述した効果をより向上させる観点からアルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩が好ましく、ヘキシルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、ノニルスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸ナトリウム、ウンデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、トリデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、ヘプタデシルスルホン酸ナトリウム、オクタデシルスルホン酸ナトリウム、ベヘニルスルホン酸ナトリウム等がより好ましい。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物(以下、樹脂組成物という)を具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂に以上説明した第1実施形態の改質剤を含有して成るものである。本実施形態の樹脂組成物は、樹脂組成物中において第1実施形態の改質剤を0.45〜5.0質量%の割合で含有する。ポリオレフィン系樹脂及び第1実施形態の改質剤の含有割合の合計を100質量部(100質量%)とすると、ポリオレフィン系樹脂を99.55〜95.0質量%(質量%)及び第1実施形態の改質剤を0.45〜5.0質量%(質量%)の割合で含有するものが好ましい。かかる範囲に規定することにより、特に防曇性、帯電防止性をより向上させることができる。また、樹脂組成物をフィルムに成型した際の製膜安定性を向上させることができる。
【0044】
本実施形態の樹脂組成物に供するポリオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン等の、炭素数2〜8のα−オレフィンの中から選ばれる一種を用いて得られる、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィン単独重合体、(2)前記のような炭素数2〜8のα−オレフィンの中から選ばれる二種以上を用いて得られる、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体等のα−オレフィン共重合体、(3)エチレンと酢酸ビニルとから得られる共重合体、(4)エチレンと酢酸ビニルから得られる共重合体をけん化して得られるエチレン・ビニルアルコール共重合体、(5)エチレンと、アクリル酸、アクリル酸メチル、及びアクリル酸エチルの中から選ばれる一種又は二種以上を用いて得られるエチレン・アクリル酸共重合体、(6)エチレンと、メタクリル酸、及びメタクリル酸メチルの中から選ばれる一種又は二種以上を用いて得られるエチレン・メタクリル酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも前記(2)のα−オレフィン共重合体であって、エチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。また、かかる炭素数4〜8のα−オレフィンから構成された単位を1〜50質量%含有するものがより好ましい。かかるα−オレフィン共重合体は、いずれも公知の高活性チーグラー触媒、メタロセン触媒等の均一系触媒を用い、気相法、溶液重合法等によって得られるものがさらに好ましい。また、密度が0.86〜0.94g/cm
3、MFRが0.01〜30g/10分であるものが特に好ましい。以上例示したオレフィン系樹脂は、単独で使用してもよく、二つ以上のオレフィン系樹脂を混合して用いてもよい。
【0045】
本実施形態の樹脂組成物には、合目的的に他の剤を含有させることもできる。かかる他の剤としては、例えば熱安定剤、酸化防止剤、中和剤、滑剤、耐候剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。樹脂組成物中におけるこれらの他の剤の含有量は可及的に少量とするのが好ましい。これらの中でもアンチブロッキング剤を含有させる場合には、アンチブロッキング剤として、例えばシリカ、珪藻土、アルミナ、酸化鉄、フェライト等の酸化物系無機粒子、ゼオライト、タルク、ウォラストナイト、マイカ、クレー等の珪酸塩系無機粒子、架橋シリコーン粒子、架橋ポリアミド粒子、架橋ポリトリアジン粒子、架橋ポリアクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子等の有機架橋粒子等を用いるのが好ましい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。他の剤としてアンチブロッキング剤が用いられる場合、前記ポリオレフィン系樹脂及びアンチブロッキング剤の含有割合の合計を100質量部(100質量%)とすると、ポリオレフィン系樹脂を99.9〜70.0質量部(質量%)に対しアンチブロッキング剤を0.1〜30.0質量部(質量%)の割合で含有するものが好ましい。かかる範囲に規定することにより、本発明の効果を阻害することなく、他の剤の作用効果を発揮することができる。
【0046】
本実施形態の樹脂組成物は、それ自体は公知の方法で調製できる。これには例えば、(1)予めポリオレフィン系樹脂と、第1実施形態の改質剤を高濃度に含有するマスターバッチを作製しておき、このマスターバッチを更にポリオレフィン系樹脂と混合して所定のポリオレフィン系樹脂組成物とする方法が挙げられる。また、(2)予めポリオレフィン系樹脂と、第1実施形態の改質剤をタンブラーブレンダー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機に投入して混合し、その混合物を単軸押出し機や多軸押出し機等の押出し機により溶融混練しつつ造粒して所定濃度の改質剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物とする方法が挙げられる。また、(3)ポリオレフィン系樹脂を単軸押出し機や多軸押出し機等の押出し機により溶融状態としたところへ、第1実施形態の改質剤をサイドフィード又は液状注入により混合し、溶融混練しつつ造粒して所定濃度の改質剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物とする方法が挙げられる。また、(4)上記(2)及び(3)を組み合わせて行う方法等が挙げられる。上記(1)のマスターバッチの製造は、前記(2)、(3)及び(4)と同様に行うことができる。ポリオレフィン系樹脂と、第1実施形態の改質剤を混合する手段として、例えばタンブラーブレンダー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機による混合、サイドフィード、液状注入等が挙げられる。これらの中でどの方法を採用するかは、ポリオレフィン系樹脂、第1実施形態に供する前記エステル化合物、前記非イオン界面活性剤、前記有機スルホン酸塩の形状によって決めることができる。固体の場合は、例えばタンブラーブレンダー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機による混合又はサイドフィードを採用することができる。また液体の場合は、例えば液状注入又はスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機を採用することができる。固体のものについては、液状のものに溶解又は分散させた後、液体又は液状体として混合することもできる。
【0047】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る改質ポリオレフィン系樹脂フィルム(以下、フィルムという)を具体化した第3実施形態について説明する。本実施形態のフィルムは、第2実施形態の樹脂組成物を用いて成形したものである。本実施形態のフィルムは、フィルム中において第1実施形態の改質剤を0.45〜5.0質量%の割合で含有する。かかる範囲に規定することにより、特に防曇性、帯電防止性をより向上させることができる。また、製膜安定性を向上させることができる。
【0048】
本実施形態のフィルムの成形方法には公知の方法を用いることができ、かかる成形方法としては、例えば空冷インフレーション成形、空冷2段インフレーション成形、水冷インフレーション成形等のインフレーション成形、Tダイとしてストレート・マニホールド型、コート・ハンガー型、これらを組み合わせたもの等を用いたTダイ成形が挙げられる。本実施形態のフィルムは未延伸及び延伸のどちらの成形方法を用いてもよく、かかる延伸方法としては、例えば逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法、チューブラー二軸延伸法等が挙げられる。
【0049】
(第4実施形態)
最後に、本発明に係る積層フィルムを具体化した第4実施形態について説明する。本実施形態の積層フィルムは、2層以上の層構造を有する積層フィルムであって、少なくともどちらか一方の表層を第2実施形態の樹脂組成物を用いて成形したものである。本実施形態の積層フィルムは、第1実施形態のポリオレフィン系樹脂用改質剤を0.45〜5.0質量%の割合で含有する樹脂層が、少なくとも一方の表層を構成することが好ましい。また、本実施形態の積層フィルムは、表層を構成する樹脂層中の前記ポリオレフィン系樹脂及び第1実施形態の改質剤の含有量の合計を100質量部(質量%)とすると、前記ポリオレフィン系樹脂99.55〜95.0質量部(質量%)、及び第1実施形態の改質剤を0.45〜5.0質量部(質量%)の割合で含有してなることが好ましい。かかる範囲に規定することにより、特に防曇性、帯電防止性をより向上させることができる。また、製膜安定性を向上させることができる。
【0050】
第2実施形態の樹脂組成物を用いない他の層を構成するものとしては、例えば熱可塑性樹脂、接着剤、アンカーコート剤、接着性樹脂、アルミニウム等の金属等が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂としては、例えば上述したポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6等のポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂等が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂には、合目的的に添加剤を含有させることもできる。かかる添加剤としては、例えば熱安定剤、酸化防止剤、中和剤、滑剤、耐候剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤等が挙げられる。
【0051】
本実施形態の積層フィルムは、それ自体は公知の方法で製造できる。かかる製造方法としては、例えばドライラミネート法、サンドラミネート法、押出しラミネート法、共押し出し法等が挙げられる。ドライラミネート法、サンドラミネート法、押出しラミネート法により積層フィルムを製造する場合には、公知のポリウレタン系接着剤、有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、接着性樹脂等を使用することができる。共押し出し法による製造では、前記したインフレーション成形及びTダイ成形を用いることができ、また未延伸及び前記した延伸方法による延伸のどちらの成形方法を用いることもできる。
【0052】
本実施形態の改質剤、樹脂組成物、フィルム、及び積層フィルムによれば、以下の様な効果を得ることができる。
本実施形態の改質剤では、上述したように特定のエステル化合物及び特定の非イオン性界面活性剤を含有して構成した。したがって、ポリオレフィン系樹脂本来のヒートシール性に悪影響を与えることなく、ポリオレフィン系樹脂に持続性を有する優れた防曇性を付与することができる。
【0053】
更に詳しくは、本実施形態の改質剤は、ポリオレフィン系樹脂本来の透明性、製膜安定性、及びヒートシール性に悪影響を与えることなく、ポリオレフィン系樹脂に経時安定性を有する優れた防曇性及び帯電防止性を付与することができる。また、フィルムに成型した際のべたつきを抑制することができる。
【0054】
実施例
以下、本発明の構成及び効果をより具体的に説明するため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例の説明において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0055】
試験区分1(ポリオレフィン系樹脂用改質剤の調製)
(実施例1)
エステル化合物としてプロピレングリコールとオレイン酸の部分エステル(A−1)19.5部、非イオン界面活性剤としてグリセリンとオレイン酸の部分エステル(B−1)78部、有機スルホン酸塩としてアルキル基の炭素数13〜18のアルキルスルホン酸ナトリウム(C−1)2.5部を均一混合して、ポリオレフィン系樹脂用改質剤(K−1)を調製した。
【0056】
(実施例2〜18、比較例1〜6)
実施例1のポリオレフィン系樹脂用改質剤(K−1)と同様にして、実施例2〜18、比較例1〜6のポリオレフィン系樹脂用改質剤(K−2)〜(K−18)及び(k−1)〜(k−6)を調製した。
【0057】
実施例1〜18、比較例1〜6で調製したポリオレフィン樹脂用改質剤(K−1)〜(K−18)及び(k−1)〜(k−6)の内容を表1に示した。表1において、エステル化合物(A)、非イオン界面活性剤(B)、及び有機スルホン酸(C)の種類と改質剤中における配合比率を示した。また、(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比(A/B)、(C)成分の含有量に対する(A)成分と(B)成分の含有量の合計に対する質量比((A+B)/(C))を示した。
【0058】
【表1】
表1において、
A−1:プロピレングリコールとオレイン酸の部分エステル(主成分は、モノエステル(以下、同じ))、
A−2:プロピレングリコールとステアリン酸の部分エステル、
A−3:プロピレングリコールとラウリン酸の部分エステル、
A−4:トリメチレングリコールとオレイン酸の部分エステル、
A−5:1,3−ブチレングリコールとオレイン酸の部分エステル、
B−1:グリセリンとオレイン酸の部分エステル、
B−2:ソルビタンとオレイン酸の部分エステル、
B−3:ジグリセリンとオレイン酸の部分エステル、
B−4:ジグリセリンとステアリン酸の部分エステル、
B−5:グリセリンとステアリン酸の部分エステル、
B−6:ジグリセリンとラウリン酸の部分エステル、
B−7:テトラグリセリンとオレイン酸の部分エステル、
b−1:デカグリセリンとオレイン酸の部分エステル、
b−2:グリセリンとステアリン酸の部分エステル/ラウリルジエタノールアミン=80/20質量部、
b−3:グリセリンとステアリン酸の部分エステル/ステアリルジエタノールアミン=67/33質量部、
C−1:炭素数13〜18のアルキルスルホン酸ナトリウム、
C−2:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
C−3:炭素数10〜18のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、をそれぞれ示す。
【0059】
試験区分2(改質ポリオレフィン系樹脂フィルムの製造)
(実施例19)
オレフィン系樹脂としてエチレン・1−ブテン共重合体(密度0.920g/cm
3、MFR2.1g/10分、エチレン共重合比率95%)(D−1)90部、ポリオレフィン系樹脂用改質剤(K−1)10部を均一混合して、本発明の改質剤の濃度が10%となるマスターバッチを作製した。その後、このマスターバッチ10部及び前記のエチレン・1−ブテン共重合体(D−1)90部をタンブラーブレンダーにて混合した。得られた混合物をTダイ法により30℃に冷却しながら成形して、厚さ40μmの単層フィルムを製造した。
【0060】
(実施例20〜36、比較例7〜12、参考例1)
実施例19と同様にポリオレフィン樹脂用改質剤(K−2)〜(K−18)及び(k−1)〜(k−6)10%濃度のマスターバッチを製造した後、ポリオレフィン樹脂(D−1)〜(D−6)と混合し、Tダイ法により単層フィルムを製造した。表2において、フィルム中における改質剤の種類及び含有量、ポリオレフィン系樹脂の種類及び含有量を示した。
【0061】
実施例19〜36、比較例7〜12、参考例1で製造した単層フィルムの内容を表2に示した。
【0062】
【表2】
表2において、
D−1:エチレン・1−ブテン共重合体(密度0.920g/cm
3、MFR2.1g/10分、エチレン共重合比率95%)、
D−2:エチレン・1−ヘキセン共重合体(密度0.930g/cm
3、MFR1.0g/10分、エチレン共重合比率96%)、
D−3:エチレン・1−オクテン共重合体(密度0.931g/cm
3、MFR2.8g/10分、エチレン共重合比率96%)、
D−4:ポリエチレン(密度0.927g/cm
3、MFR4.0g/10分)
D−5:エチレン・酢酸ビニル共重合体(密度0.930g/cm
3、MFR1.5g/10分、エチレン共重合比率90%)、
D−6:エチレン・プロピレン共重合体(密度0.900g/cm
3、MFR8.0g/10分、エチレン共重合比率3.5%)、
をそれぞれ示す。
【0063】
試験区分3(改質ポリオレフィン系樹脂フィルムの評価)
防曇性の評価
試験区分2で製造したフィルムを20℃で相対湿度65%の条件下に24時間調湿した後、20℃の水を入れたビーカーに被着し、5℃の雰囲気下に0.5時間置いて、水滴の付着程度を観察し、以下の基準で初期防曇性を評価した。更に、40℃で相対湿度50%の条件下に4週間調湿したフィルムについて、同様に防曇性評価をしたものを経時防曇性の評価とした。
【0064】
防曇性の評価基準
◎:水滴の付着がなく、透明であり、防曇性が著しく優れる。
○:大きな水滴の付着があるが、透明であり、防曇性が優れる。
【0065】
×:多数の小さい水滴の付着があり、不透明であり、防曇性が劣る。
帯電防止性の評価
試験区分2で製造したフィルムを20℃で相対湿度65%の条件下に24時間調湿した後、同条件で表面固有抵抗値(Ω/□)を表面抵抗値測定装置(日置電機社製の商品名:超絶縁計SM−8220)を用いて測定し、初期帯電防止性を以下の基準で評価した。更に、40℃で相対湿度50%の条件下に4週間保管したフィルムについて、同様の帯電防止性評価をしたものを経時帯電防止性の評価とした。
【0066】
帯電防止性の評価基準
◎:表面固有抵抗値が1×10
12Ω/□未満。
○:表面固有抵抗値が1×10
12Ω/□以上且つ1×10
13Ω/□未満。
【0067】
×:表面固有抵抗値が1×10
13Ω/□以上。
ヒートシール性の評価
試験区分2で製造したフィルムを20℃で相対湿度65%の条件下に24時間調湿した後、改質剤添加層同士を116℃、0.2MPa、3秒間の条件でヒートシールした。その後、フィルムを15mm幅に切断し、オートグラフを用いて、100mm/分の速さで引っ張った際のヒートシール強度を測定し、以下の基準により初期ヒートシール性を評価した。更に、40℃で相対湿度50%の条件下に4週間保管したフィルムについて、同様のヒートシール性評価をしたものを経時ヒートシール性の評価とした。
【0068】
ヒートシール性の評価基準
◎:ヒートシール強度が10N/15mm以上。
○:ヒートシール強度が5N/15mm以上且つ10N/15mm未満。
【0069】
×:ヒートシール強度が5N/15mm未満。
フィルム表面のべたつき度合評価
試験区分2で製造したフィルムを20℃で相対湿度65%の条件下に24時間調湿した後、フィルム表面のべたつきの程度を手触り感や目視による官能検査により初期べたつき度合を評価した。更に、40℃で相対湿度50%の条件下に4週間調湿したフィルムについて、同様にべたつき度合評価をしたものを経時べたつき度合の評価とした。
【0070】
フィルム表面のべたつき度合評価基準
◎:べたつきが感じられない。
○:少しべたつきが感じられるが、フィルムの外観に問題はない。
【0071】
×:べたついており、フィルムに油膜が見られる。
透明性の評価
試験区分2で製造したフィルムを20℃で相対湿度65%の条件下に24時間調湿した後、ヘイズメーター(日本電色工業社製の商品名:NDH−5000)を用いてヘイズを測定し、下記の基準で初期透明性を評価した。更に、40℃で相対湿度50%の条件下に4週間調湿したフィルムについて、同様に透明性評価をしたものを経時透明性の評価とした。
【0072】
透明性の評価基準
◎:5%未満(透明性が優れている)。
○:5%以上且つ10%未満(透明性が良好である)。
【0073】
×:10%以上(透明性が劣る)。
製膜安定性の評価
試験区分2でフィルムを製膜する際に、フィルムの製膜安定性を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0074】
製膜安定性の評価基準
○:製膜フィルムに押出変動が見られず、安定した膜厚のフィルムが得られた。
×:製膜フィルムに押出変動がみられ、安定した膜厚のフィルムが得られなかった。
【0075】
防曇性、帯電防止性、ヒートシール性、べたつき度合、透明性、製膜安定性について、実施例19〜36、比較例7〜12、参考例1で製造した単層フィルムの評価結果を表3に示した。
【0076】
【表3】
試験区分4(積層フィルムの製造)
(実施例37)
試験区分2と同様にポリオレフィン系樹脂用改質剤(K−1)10%濃度のマスターバッチを製造した後、このマスターバッチ10部及び前記のエチレン・1−ブテン共重合体(D−1)90部をタンブラーブレンダーにて混合した。得られた混合物を片側の外層(I層)用とし、また前記のエチレン−(1−ブテン)共重合体(D−1)を中間層(II層)及びもう一方の外層(III層)用として用い、Tダイ法により30℃に冷却しながら共押し出しして、厚さ40μmの3層の積層フィルムを製造した。各層の厚さの比は、I層/II層/III層=1/2/1である。
【0077】
(実施例38〜54、比較例13〜18、参考例2)
試験区分2と同様にポリオレフィン樹脂用改質剤(K−2)〜(K−15)及び(k−1)〜(k−6)10%濃度のマスターバッチを製造した後、実施例37と同様にポリオレフィン樹脂(D−1)〜(D−6)と混合し、Tダイ法により3層の積層フィルムを製造した。
【0078】
実施例37〜54、比較例13〜18、参考例2で製造した積層フィルムを表4に示した。表4において、積層フィルムの各層中における改質剤の種類及び含有量、ポリオレフィン系樹脂の種類及び含有量を示した。
【0079】
【表4】
試験区分5(積層フィルムの評価)
試験区分2で製造したフィルムを試験区分3と同様の項目を同様の手法で評価した。但し、透明性の評価基準のみ異なり、下記の基準により評価した。
【0080】
積層フィルムにおける透明性の評価基準
◎:4%未満(透明性が優れている)。
○:4%以上且つ8%未満(透明性が良好である)。
【0081】
×:8%以上(透明性が劣る)。
防曇性、帯電防止性、ヒートシール性、べたつき度合、透明性、製膜安定性について、実施例37〜54、比較例13〜18、参考例2で製造した積層フィルムの評価結果を表5に示した。
【0082】
【表5】
表3及び表5に示された比較例7〜18の改質ポリオレフィン系樹脂フィルムは、防曇性、帯電防止性、ヒートシール性、べたつき度合、透明性のいずれか1つ以上に問題がある。また、参考例1,2については、製膜安定性に問題があり、他の性能評価に用いるためのフィルムが製造できなかった。
【0083】
表3及び表5に示された実施例19〜54の改質ポリオレフィン系樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂本来の透明性や製膜安定性、ヒートシール性に悪影響を与えることなく、持続性を有する優れた防曇性及び帯電防止性をフィルムのべたつきを起こすことなく付与することができる。