(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態では、表示部に指針が触れた指針位置から離間した位置にマーカを配置し、表示部に触れた状態で指針が移動されたとき、マーカを指針位置から一定の距離を保ちながら描画の開始位置に移動させるように構成する。このような構成では、指針位置と描画の開始位置とが離間しているため、描画の開始位置が指針に遮られない。
【0012】
「指針位置から離間した位置にマーカを配置する」とは、一定の時間内に最終的にマーカを離間した位置に配置することを意味し、(1)マーカを指針位置の側から離間した位置の側の所定方向に連続的に移動させて配置すること、(2)マーカを一度に離間した位置に配置することを含む。さらに、「指針位置から離間した位置」は、指針位置からの方向線上の位置により定められ、方向線上の位置は、(3)画像(後述する特徴部)に基づいて定められたものと、(4)ユーザにより任意に定められたものとを含む。
【0013】
指針位置から離間した位置にマーカを配置する構成として、上記(1)及び(3)を組み合わせたものを、第1の実施形態として説明する。さらに、上記(1)及び(4)を組み合わせたものを、第2の実施形態として説明する。さらに、上記(2)及び(4)を組み合わせたものを第3の実施形態として説明する。
これら第1、第2、第3の各実施形態を第1、第2、第3のモードとし、
図1におけるモード判断部33が外部からのモード指示mを受けて、
図1における第1マーカ設定部31を第1のモード〜第3のモードのうちのいずれに切り替えるものとする。これらの実施形態(モード)の内、一つだけ実施する場合は、モード判断部33は不要である。
【0014】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の医用画像表示装置について各図を参照して説明する。
図1は医用画像表示装置のブロック図である。
図1に示すように、医用画像表示装置は、表示部1と、表示部1に指針(手指、タッチペン)が触れた指針位置p1を検出する指針検出手段2と、検出された指針位置p1を受けて、指針が静止している期間に指針位置から離間した位置にマーカを配置させるマーカ生成部30と、記憶部(図示しない)から医用画像gを受けて、表示部1に医用画像gを表示させる画像表示処理部40と、モード判断部33と、を有する。
医用画像gにおける各位置は画像座標で定められる。さらに、表示部1における各位置は画面座標で定められる。画像座標で定められた位置を「画像上の位置」といい、画面座標で定められた位置を「画面上の位置」という場合がある。
【0015】
マーカ生成部30は、第1マーカ設定部31及び第2マーカ設定部32を有する。
さらに、画像表示処理部40は、特徴部検出部41、判断部42、画像縮尺部43、及び、計測部44を有する。
【0016】
(第1マーカ設定部31)
図2は、指針位置p1に配置されたマーカを示す図である。
図2では、マーカMKを白抜きの矢印で示し、指針を省略する。
第1マーカ設定部31は、実行モードが第1のモード(前述する(1)マーカを指針位置の側から離間した位置の側の所定方向に連続的に移動させて配置すること、(3)画像(後述する特徴部)に基づいて定められたものとを組み合わせたモード)であることを受けて、また、倍率bを受けて、指針が指針位置p1に静止している期間内に、倍率bに応じた単位時間当たりの移動変化量でマーカを指針位置p1(
図2参照)から所定方向に連続的に移動させる。それにより、どのような倍率bであっても、ユーザはマーカの移動を容易に視認することが可能となる。所定方向は、マーカが表示部1の画面に沿って進むべき方向であって、内部メモリ(図示しない)に予め記憶される。さらに、所定方向は、操作部(図示しない)の操作を受けて、変更可能、あるいは選択可能な構成にしてもよい。
選択可能な構成の一例としては、指針位置p1の周囲上の各位置に、各位置から指針位置p1とは反対の方向(放射方向)を示す矢印を選択可能に表示させた構成がある。
操作者は、表示されている医用画像gを見ながら計測したい箇所(特徴部)の付近に指針を設定する。例えば、所定方向が45度の場合、操作者は表示されている医用画像を見ながら、計測したい箇所(特徴部)の45度下の近傍に指針を設定する。
【0017】
(特徴部検出部41)
特徴部検出部41は、指針位置p1に対応する医用画像g上の位置を中心とした所定の大きさを有する関心領域(ROI)に含まれる画素の画素値を基に特徴部を抽出する。特徴部の抽出には、画素値の平均値μや標準偏差σなど、画素値に関する統計値を算出することによって行われる特徴解析(例えば、特開2010-119831号に記載された技術)が用いられる。この特徴解析によれば、その偏差値が所定範囲内にある画素値を有する画素を抽出することで、病変部などの特徴部が抽出される。「所定の大きさ」は、指針(例えば、指腹部)の大きさの数倍に相当し、予め定められ、内部メモリ(図示しない)に予め記憶される。さらに、所定の大きさは、操作者の操作を受けて、変更/選択可能に構成される。
【0018】
(画像縮尺部43、判断部42)
画像縮尺部43は、記憶部から受けた医用画像gを所定の倍率bで拡大/縮小させ、拡大/縮小させた医用画像gを表示部1に出力する。倍率bは、操作部(図示しない)による操作を受けて、医用画像表示装置の内部メモリ(図示しない)に記憶される。
【0019】
判断部42は、後述する特徴部検出部41から受けた特徴部の情報に基づいて、指針位置p1及び所定方向(後述するマーカの移動方向)を参照して、所定方向の直線(マーカの移動軌跡)と特徴部との交点(以下、「画像上の特徴部の位置」という)を求める。
判断部42は、画面上のマーカの位置と画像上の特徴部の位置との両方の位置が一致したかどうかを判断し、判断結果を第1マーカ設定部31に出力する。第1マーカ設定部31は、両方の位置が一致しないことを示す信号を受けた場合は、マーカを所定方向に移動させ、両方の位置が一致したことを示す停止指示aを受けた場合は、マーカの移動を停止させる。
図1に、マーカを停止させた位置(画面上の特徴部の位置)p2を示す。なお、以下の説明において、画像上の位置及び大きさと、画面上の位置及び大きさとは、画像縮尺部43により倍率bに応じて関係づけられるものとして説明する。
【0020】
図3は、指針位置p1から離間した位置p2に移動されたマーカを示す。
図3では、マーカMKの移動軌跡を破線で示し、特徴部Cgの外形を形作っている線(輪郭)を破線で示す。
さらに、第1マーカ設定部31は、静止している期間において、判断部42からの停止指示a(前述する)を受けたとき、マーカの移動を停止させるとともに、静止している期間の終了とする。マーカの移動を停止させた位置(画面上の特徴部の位置)p2が「離間した位置」となる。
以上の構成によれば、マーカが指針位置p1から離間した位置p2に配置されるため、指針でマーカが見づらいことがなく、描画の開始位置を精度よく指定でき、描画精度が向上する。
【0021】
(第2マーカ設定部32、計測部44)
離間した位置p2が計測対象の一例である。計測対象としては、位置の他に、長さ及び面積が含まれる。
次に、画面上の長さ及び面積を計測する手段の一例について説明する。
第2マーカ設定部32は、指針検出手段2が指針が表示部1に触れ、静止したことを検出したときから、次に指針が表示部1に触れた状態で移動したことによる指針の移動を検出したとき、指針の移動に応じて、指針から所定方向に一定の距離を保った状態でマーカが移動させる。
さらに、第2マーカ設定部32は、希望した位置でマーカを静止させて、操作部(図示しない)の操作による第1の指定を受けて、静止した位置について、マーカの画面上の第1の位置p21(
図1及び
図4参照)を取得し、次の希望した位置にマーカを移動させて静止させて、第2の指定を受けて、静止した位置について、マーカの画面上の第2の位置p22(
図1及び
図4参照)を取得する。なお、第1の位置p21は、離間した位置p2であってもよい。なお、
図1では、第1マーカ設定部31と第2マーカ設定部32とは機能的に理解し易いように別ブロックで記載したが、一緒にすることもできる。
【0022】
計測部44は、第1の位置p21と第2の位置p22とを結ぶ直線の画面上の長さ(描画長という)Lを求める。また、計測部44は、画像領域の形状(例えば、ひし形、円、楕円など)の種類が選択されたことを受けて、例えば、第1の位置p21と第2の位置p22とを結ぶ描画長Lを有する直線を対角線、直径及び長軸とするひし形(正方形を含む)、円及び楕円の画像領域の画面上の面積(描画面積という)Xを求める。
【0023】
表示部1の医用画像を表示する画像表示エリアの面積Sに対する描画面積Xの割合(X/S)が小さいとき、描画面積Xを有する画像領域とその周囲との境界線の太さに対して描画面積Xが小さいため、境界線により画像領域がつぶれて、正確な描画ができず、計測精度が低下する要因となる。
【0024】
次に、正確な描画であるかどうかを判断する構成の一例を示す。
計測部44は、割合(X/S)を求め、求めた割合が許容値α(例えば、α=0.1)
以上であるかどうかを判断する。計測部44は、割合(X/S)が許容値α以上である(予め定められた範囲にある)と判断したとき、後述する計測結果r1を出力し、計測結果r1を表示部1に表示させる。一方で、計測部44は、割合(X/S)が許容値α未満である(予め定められた範囲にない)と判断したとき、その旨の情報r2を表示部1、及び、画像縮尺部43に出力する。それにより、表示部1に再計測を促すメッセージが表示される。また、画像縮尺部43は、情報r2を受けて、倍率bを調整する。倍率bが調整されることにより、画像が拡大表示され、それに応じて、画像領域の描画面積Xが大きくなるため、境界線によって画像領域がつぶれず、正確な描画が可能となる。なお、許容値αは、操作部による操作を受けて設定される。
【0025】
以上は、画像表示エリアの面積Sに対する描画面積Xの割合を求めたが、画像表示エリアの面積Sと描画長Lとは、次元が異なるため、対比できない。
そこで、描画長Lに基づいて正確な描画であるかどうかを判断するには、次のように構成する。
計測部44は、描画長Lを有する直線を斜辺とする直角二等辺三角形の面積X´(=L*L/2)を求め、さらに、画像表示エリアの面積Sに対する面積X´の割合(X´/S)を求め、割合(X´/S)が許容値α以上であるかどうかを判断する。
【0026】
以上のようにして、正確な描画ができたとき、次に、例えば、画像上の長さLgを計測する。
以下に、画像上の長さを計測する手段の一例について説明する。
判断部42は、倍率bを参照して、画面上の第1の位置p21及び第2の位置p22に対応する画像上の各位置を求める。計測部44は、画像上の各位置に基づいて、画像上の長さLgを計測する。計測結果としての長さLgが表示部1に表示される。
また、計測部44は、画像表示エリアのピクセル数に対する画像領域のピクセル数の割合及び倍率bに基づいて、画像上の画像領域の面積Sgを計測する。計測結果としての面積Sgが表示部1に表示される。
【0027】
(動作)
次に、指針位置p1を検出してからマーカを指針位置p1から離間した位置p2に配置するまでの一連の動作について、
図4を参照して説明する。
図4は、指針位置p1を検出してから第2の位置p22を求めるまでの一連の動作を示すタイミングチャートである。
【0028】
図4に示すように、モード判断部33は、操作部(図示しない)によるモード指示mを受けて、実行モードが第1モードであると判断し、第1マーカ設定部31(
図4ではマーカ生成部30)を第1モードに切り替える。指針検出手段2が指針位置p1を検出すると、第1マーカ設定部31に指針位置p1を出力する。第1マーカ設定部31は、指針位置p1を表示部1に配置する(
図2参照)。
特徴部検出部41(
図4では画像表示処理部40)は、指針位置p1を受けて、関心領域を設定するとともに、関心領域における特徴部を抽出する。
判断部42(
図4では画像表示処理部40)は、特徴部の情報を基に、倍率b、指針位置p1及び所定方向を参照して、指針位置p1から所定方向に沿った直線と特徴部との交点である位置(画像上の特徴部の位置)を求める。
【0029】
次に、第1マーカ設定部31は、マーカを指針位置p1から所定方向に連続的に移動させる。マーカを移動させたときのマーカの画面上の位置が判断部42に送られる。判断部42は、倍率bを参照して、マーカの画面上の位置と、画像上の特徴部の位置との両方の位置が一致するかどうかを即時(リアルタイム)に判断し、判断結果を第1マーカ設定部31に出力する。第1マーカ設定部31は、両方の位置が一致しないとの判断結果を受けて、マーカを所定方向に移動させる。一方、第1マーカ設定部31は、両方の位置が一致するとの判断結果である停止指示aを受けて、マーカの移動を停止する(
図3参照)。
【0030】
次に、第1の位置p21を指定してから計測結果を出力するまでの一連の動作について、
図4を参照して説明する。
【0031】
図4に示すように、指針が移動されると、指針検出手段2により検出された指針の検出位置に基づいて、第2マーカ設定部32(
図4ではマーカ生成部30)は、指針位置から所定方向に一定の距離だけ離間した状態を保ちながらマーカを移動させる。
第2マーカ設定部32は、希望した位置でマーカを静止させて、操作部(図示しない)による指定を受けて、静止した位置について、第1の位置p21を取得し、描画線の始端を第1の位置p21に表示させる。さらに、第2マーカ設定部32は、第1の位置p21を計測部44に送り、計測部44は、画像上の第1の位置を求める。
さらに、指針が移動されると、第2マーカ設定部32は、マーカを移動させる。このとき、マーカの移動軌跡が描画線として表示される。
第2マーカ設定部32は、希望した位置でマーカを静止させて、操作部の指示を受けて、静止した位置について、第2の位置p22を取得し、描画線の終端を第2の位置p22に表示させる。以上により、位置p21から位置p22までの線が表示部1に描画される。さらに、第2マーカ設定部32は、第2の位置p22を計測部44に送り、計測部44は、画像上の第2の位置を求める。
【0032】
次に、計測部44は、第1の位置p21及び第2の位置p22に基づいて、描画長(画面上の長さ)Lを求め、求めた描画長Lを有する直線を斜辺とする直角二等辺三角形の面積X´を求める。さらに、計測部44は、画像表示エリアの面積Sに対する面積X´の割合(X´/S)が許容値α以上であるかどうかを判断し、許容値α以上であると判断したとき、第1の位置p21及び第2の位置p22に基づいて、倍率bを参照して画像上の長さLgを計測し、計測結果r1としての長さLgを、表示部1に表示させる。計測部44は、割合(X´/S)が許容値α未満であると判断したとき、その旨の情報r2を表示部1に出力し、再計測すべき旨のメッセージmsgを表示部1に表示させる。
描画長Lが「表示されている画像上の距離」の一例である。さらに、面積X´が「画像上の領域の面積」の一例である。なお、面積X´は、描画長Lを有する直線を斜辺とする直角二等辺三角形の面積に限らず、第1の位置p21及び第2の位置p22を領域の外周上の点とする領域の面積であればよい。
【0033】
<変形例1>
次に、第1の実施形態の変形例1について
図5を参照して説明する。
図5は、複数の特徴部Cgが存在するとき、特徴部Cgの各位置p2に停止させたマーカMKを示す図である。
図5に特徴部Cgとしての特異線を破線で示す。ここで、「特異線」とは、特徴部の外形を形づくっている線をいう。
上記の実施形態では、第1マーカ設定部31がマーカMKを指針位置p1から所定方向に沿って移動させ、マーカMKが特徴部Cgの位置p2に達したことを検出したとき、マーカMKの移動を停止させるものを示した。
これに対し、変形例1では、特徴部検出部41は、複数の特徴部Cgを検出したとき、判断部42に画像上の特徴部Cgの位置を出力する。なお、特徴部検出部41は、特異線を識別するためのラインLNを表示部1に表示させない(これに対し、
図6で示す変形例2ではラインLNを表示させる)。ラインLNを表示させない理由は、ラインLNによって特異線が見づらくなることを防ぐためである。
第1マーカ設定部31は、マーカMKを指針位置p1から所定方向に沿って移動させる。マーカMKが指針位置p1に対し最も近い位置にある特徴部Cgの位置p2に達したとき、判断部42は、停止指示aを第1マーカ設定部31に出力する。第1マーカ設定部31は、停止指示aを受けて、特徴部Cgの位置p2に停止させる。
【0034】
次に、特徴部Cgの位置p2(現位置という)に停止させたマーカMKを次の特徴部Cgの位置(次の位置という)に向けて移動させる構成について説明する。
マーカMKを現位置から次の位置に移動させるために、操作者による指針のタップがされる。ここで、「指針のタップ」とは、表示部1の同一位置において所定時間内に指針が複数回触れることをいう。
(a)操作者による指針のタップがされる。
(b)指針検出手段2が指針のタップを検出する。
(c)第1マーカ設定部31は、現位置を記憶する。
(d)第1マーカ設定部31は、マーカMKを現位置から所定方向に移動させる。
(e)判断部42が、マーカMKが次の位置に達したことを判断したとき、第1マーカ設定部31に停止指示aを出力する。
(f)第1マーカ設定部31は、停止指示aを受けて、次の位置でマーカMKの移動を停止させる。
つまり、操作者による指針のタップがされることで、マーカMKを現位置から移動させ、かつ、次の位置でその移動を停止させることができる。
【0035】
<変形例2>
次に、第1の実施形態の変形例2について
図6を参照して説明する。
図6は、複数の特徴部Cgが存在するとき、特徴部Cgの任意の位置p2に停止させたマーカMKを示す図である。
変形例1では、特徴部検出部41は、特異線を識別するためのラインLNを表示部1に表示させなかった。
これに対し、変形例2では、特徴部検出部41は、特異線を識別するためのラインLNを表示部1に表示させる(これに対し、
図5に示す変形例1ではラインLNを表示させない)。ラインLNを表示させる理由は、測定対象となる特異線と対象とならない他の特異線とを明確に視認するためである。特異線を明確に視認できることで、測定対象となる特異線を任意に選択することができる。例えば、測定対象となる特異線から所定距離だけ所定方向と反対の方向に離れた位置を指針位置p1とすることができる。それにより、第1マーカ設定部31は、指針位置p1から測定対象となる特異線に向かって所定方向にマーカを移動させ、特異線上でマーカの移動を停止させることが可能となる。
【0036】
<第2の実施形態>
第2の実施形態の医用画像表示装置について
図7及び
図8を参照して説明する。
なお、第2の実施形態においては、第1の実施形態の医用画像表示装置と異なる構成について主に説明し、同じ構成については同一番号を付してその説明を省略する。
第2の実施形態では、第2モード(前述する(1)マーカを指針位置の側から離間した位置の側の所定方向に連続的に移動させて配置することと、(4)ユーザにより任意に定められたものとを組み合わせたモード)で実行される。
【0037】
ここで、「静止している期間」とは、指針検出手段2が指針が表示部1に触れたことを検出したときから、次に指針が表示部1に触れた状態で移動したこと、又は、表示部1から離れたことによる指針の移動を検出するまでの間である。
【0038】
第1の実施形態では、第1マーカ設定部31がマーカを指針位置p1から所定方向に沿って移動させ、特徴部検出部41が指針位置p1に基づいて特徴部を抽出し、判断部42が、マーカが画像上の特徴部の位置に達したことを検出したとき、第1マーカ設定部31がマーカの移動を停止させるものを示した。
【0039】
これに対し、第2の実施形態では、第1マーカ設定部31がマーカを指針位置p1から所定方向に沿って移動させ、指針が表示部1から離れたことによる指針の移動を検出したとき、マーカの移動を停止させる。
【0040】
図7は、指針位置を検出してから第2の位置を求めるまでの一連の動作を示すタイミングチャートである。
図7では、医用画像を表示させる画像表示処理部40を省略する。
図8は、指針位置p1から連続的に所定方向に移動されたマーカMKを示す図である。
図8に、マーカMKの移動を破線で示し、指針位置p1から離間した位置p2に配置されたマーカMKを白抜きの矢印で示す。
【0041】
図7に示すように、モード判断部33は、操作部(図示しない)によるモード指示mを受けて、実行モードが第2モードであると判断し、第1マーカ設定部31(
図7ではマーカ生成部30)を第2モードに切り替える。
指針検出手段2が指針位置p1を検出すると、第1マーカ設定部31に指針位置p1を出力する。
【0042】
次に、第1マーカ設定部31は、マーカを指針位置p1から所定方向に沿って連続的に移動させる。指針検出手段2が、指針が表示部1から離れたことによる指針の移動を検出したとき、第1マーカ設定部31は、マーカの移動を停止する。停止したマーカの位置が離間した位置p2となる。
なお、画像表示処理部40が計測部44を有し、計測部44が、第1の位置p21及び第2の位置に基づいて描画長Lを求め、さらに、描画長Lから面積Sを求める構成については、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0043】
第2の実施形態に係る医用画像表示装置によれば、指針位置p1から所定方向に沿った線上における、ユーザの任意の位置にマーカを停止させることができる。また、マーカを停止させた位置は、指針位置p1から離間した位置p2であるため、指針によってマーカが遮らないため、マーカで描画の開始位置を精度よく指定することができる。
【0044】
なお、第2の実施形態では、第1マーカ設定部31が、指針が表示部1から離れたことによる指針の移動を検出したとき、マーカの移動を停止させたが、これに限らない。つまり、第1マーカ設定部31が、指針が表示部1に触れた状態で移動したことによる指針の移動を検出したとき、マーカの移動を停止させてもよい。
【0045】
<第3の実施形態>
第3の実施形態の医用画像表示装置について
図9及び
図10を参照して説明する。
なお、第3の実施形態においては、第1の実施形態の医用画像表示装置と異なる構成について主に説明し、同じ構成については同一番号を付してその説明を省略する。
第3の実施形態では、第3モード(前述する(2)マーカを一度に離間した位置に配置することと(4)ユーザにより任意に定められたものとを組み合わせたモード)で実行される。
【0046】
第1の実施形態では、第1マーカ設定部31がマーカを指針位置p1から所定方向に沿って移動させ、特徴部検出部41が指針位置p1に基づいて特徴部を抽出し、判断部42が、マーカが画像上の特徴部の位置に達したことを検出したとき、第1マーカ設定部31がマーカの移動を停止させるものを示した。
これに対し、第3の実施形態では、第1マーカ設定部31が指針位置p1に基づいて離間した位置p2を求め、離間した位置p2にマークを配置させる。
【0047】
図9は、指針位置を検出してから第2の位置を求めるまでの一連の動作を示すタイミングチャート、
図9では、医用画像を表示させる画像表示処理部40を省略する。
図10は、指針位置p1から離間した位置p2に付されたマーカMKを示す図である。
【0048】
図9に示すように、モード判断部33は、操作部(図示しない)によるモード指示mを受けて、実行モードが第3モードであると判断し、第1マーカ設定部(
図9では、マーカ生成部30)を第3モードに切り替える。指針検出手段2が指針位置p1を検出すると、第1マーカ設定部31に指針位置p1を出力する。
【0049】
次に、第1マーカ設定部31は、指針位置p1に基づいて、所定方向及び指針位置p2からの距離を参照して、離間した位置p2を求める。
図10に示すように、第1マーカ設定部31は、マーカを離間した位置p2に表示させる。
なお、画像表示処理部40が計測部44を有し、計測部44が、第1の位置p21及び第2の位置に基づいて描画長Lを求め、さらに、描画長Lから面積Sを求める構成については、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0050】
第3の実施形態に係る医用画像表示装置によれば、マーカを表示させた位置は、指針位置p1から離間した位置p2であるため、指針によってマーカが遮らないため、マーカで描画の開始位置を精度よく指定することができる。
【0051】
<他の実施形態>
なお、前記実施形態においては、マーカが指針位置p1から移動する方向を、所定方向として内部メモリに予め記憶させた。これに限らず、指針位置p1を中心とする関心領域を設定し、関心領域における医用画像から特徴部を抽出し、マーカが指針位置p1から移動する方向を、指針位置p1及び特徴部の位置を基に求めてもよい。
関心領域に複数の特徴部が含まれたときは、複数の特徴部のうちから指針位置p1に最も近い特徴部を、マーカが指針位置p1から移動する方向とする。それにより、画面上の特徴部の近傍位置に指針を触れるだけで、マーカが測定対象とすべき特徴部の位置にマーカが自動的に配置させるため、使い勝手がよい。
関心領域に複数の特徴部が密集しているとき、マーカが指針位置p1から移動する方向を選択可能に構成すればよい。それにより、移動する方向と反対の方向であって、測定対象とすべき特徴部の近傍位置に指針を触れるだけで、その特徴部の位置にマーカが自動的に配置させることができる。
また、前記実施形態では、正確な描画であるかどうかを判断する構成の一例として、計測部44が画像表示エリアの面積Sに対する描画面積Xの割合(X/S)が許容値α以上であるかどうかを判断した。同様に、描画長Lにおいても、計測部44が割合(X´/S)が許容値α以上であるかどうかを判断した。しかし、これに限らず、計測部44は、描画面積Xや描画長Lが予め定められた範囲にあるかどうかを判断してもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、マーカとして、画面上の位置を示すためのカーソル(矢印)を示したが、これに限らない。関心領域(ROI)を示すもの、参照ラインを示すもの、注釈(コメント)の入力範囲を示すものであってもよい。
【0053】
また、第1及び第2の実施形態において、第1マーカ設定部31によりマーカが移動されるとき、マーカの移動開始位置と指針位置p1とが一致したものを示した。これに限らず、マーカの移動開始位置を指針位置p1の近傍にしてもよい。それにより、マーカの移動開始位置が指針位置p1からずれるため、マーカの移動中や移動終了時ばかりでなく、マーカの移動開始時においてもマーカの位置を正確に視認することができる。
【0054】
さらに、前記実施形態では、マーカを一度に離間した位置に配置する上記(2)の構成と、距離が画像(特徴部)に基づいて定められた上記(3)の構成とを組み合わせて、マーカを指針位置から離間した位置に配置されるようにしてもよい。
さらに、前記実施形態においては、第1の位置p21と第2の位置p22とを結ぶ描画長Lを有する直線を対角線とするひし形(正方形を含む)の面積Xを求めたが、これに限らない。例えば、第1の位置p21及び第2の位置p22を領域の外周上の点とする当該領域の面積を求めてもよい。
【0055】
上記実施形態において説明した医用画像表示装置の構成は、可搬型端末に限らず、固定型端末にも適用することができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。