(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887758
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】グリース組成物
(51)【国際特許分類】
C10M 169/06 20060101AFI20210603BHJP
C10M 115/08 20060101ALN20210603BHJP
C10M 137/10 20060101ALN20210603BHJP
C10N 30/06 20060101ALN20210603BHJP
C10N 40/02 20060101ALN20210603BHJP
C10N 40/04 20060101ALN20210603BHJP
C10N 50/10 20060101ALN20210603BHJP
【FI】
C10M169/06
!C10M115/08
!C10M137/10 Z
C10N30:06
C10N40:02
C10N40:04
C10N50:10
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-94509(P2016-94509)
(22)【出願日】2016年5月10日
(65)【公開番号】特開2017-203069(P2017-203069A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2018年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228486
【氏名又は名称】日本グリース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】幸 賢司
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】竹田 稜
(72)【発明者】
【氏名】前田 十世
【審査官】
宮地 慧
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−268793(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/136649(WO,A1)
【文献】
特開2006−029473(JP,A)
【文献】
特開2004−091764(JP,A)
【文献】
特開平10−067993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M
C10N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油、増ちょう剤およびエチル−3−[[ビス(1−メチルエトキシ)フォスフィノチオイル]チオ]プロピオネートを含有するグリース組成物であって、
前記増ちょう剤が、炭化水素基の炭素数が6〜12の脂肪族アミンAおよび炭化水素基の炭素数が16〜22の脂肪族アミンBからなる混合アミンを、ジイソシアネート化合物と反応させて得られるジウレア化合物であり、
脂肪族アミンAと脂肪族アミンBとの混合モル比(A:B)が0:10〜2:8であり、
エチル−3−[[ビス(1−メチルエトキシ)フォスフィノチオイル]チオ]プロピオネートの含有量が、前記基油と前記増ちょう剤との合計量100質量部に対して0.5〜15質量部であり、
ASTM D5706に従い、下記の試験条件で測定した摩擦係数が0.6μ以下であるグリース組成物。
(試験条件)
ボール径:10mm
周波数:30Hz
ストローク:3mm
試験温度:−20℃および25℃
試験荷重:25N
試験時間:300秒
【請求項2】
脂肪族アミンAと脂肪族アミンBとの混合モル比(A:B)が1:9〜2:8である請求項1記載のグリース組成物。
【請求項3】
前記増ちょう剤の含有量が、基油と増ちょう剤との合計量中15〜30%である請求項1または2記載のグリース組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の増ちょう剤を含有するグリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グリース組成物は、自動車、電気機器、情報機器、工作機械などの各種機器や機械およびそれらを構成する各部品の潤滑に広く用いられている。これらの各種機器や機械の使用環境は様々であり、寒冷地で使用する場合や機器や機械の用途によっては、低温環境下で使用される。一般的に機器や機械の作動によりグリース組成物の環境温度は高温となる傾向があるが、低温環境下での作動開始時などでも十分な潤滑性能を発揮することが求められる。
【0003】
特許文献1および2には、所定の基油を使用することで低温環境下でも使用可能なグリース組成物が記載されているが、増ちょう剤による低温での耐焼き付き性能の改善については考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−091464号公報
【特許文献2】特開2003−206491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、含有する基油の種類に関わらず、低温環境下での耐焼き付き性能に優れたグリース組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のグリース組成物は、基油および増ちょう剤を含有するグリース組成物であって、前記増ちょう剤が、炭化水素基の炭素数が6〜12の脂肪族アミンAおよび炭化水素基の炭素数が16〜22の脂肪族アミンBからなる混合アミンを、ジイソシアネート化合物と反応させて得られるジウレア化合物であり、脂肪族アミンAと脂肪族アミンBとの混合モル比(A:B)が0:10〜2:8であるグリース組成物に関する。
【0007】
さらに、耐摩耗剤を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のグリース組成物は、含有する基油の種類に関わらず、低温環境下での耐焼き付き性能に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のグリース組成物は、基油および所定の増ちょう剤を含有する。
【0010】
前記基油としては、グリースに使用される通常の基油であれば特に限定されず、例えば減圧蒸留、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等の処理を、適宜組み合わせて原油から精製した鉱物油;例えば天然ガスなどからフィッシャートロプシュ法により合成されたガス液化油(GTL油);例えばジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチルアセチルシノレート等のジエステル系合成油;例えばトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル系合成油;例えばトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル系合成油;例えば多価アルコールと二塩基酸および一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油等のエステル系合成油;例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル等のポリグリコール系合成油;例えばモノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル系合成油;例えばノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンとのコオリゴマー等のポリ−α−オレフィンまたはこれらの水素化物などの合成炭化水素油;例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン等のシリコーン系合成油;さらに、例えばパーフルオロポリエーテル等のフッ素系合成油などの1種または2種以上を用いることができる。なかでも、低温特性により優れたグリース組成物が得られるという理由からは合成油を用いることが好ましい。低温での耐焼き付き性能が十分に得られるにもかかわらずコスト面で優位であり、入手が容易であるという理由からは鉱物油を用いることが好ましい。また、各種添加剤との相性、コスト面などを鑑みた場合にバランスが良く、一般的に広く用いられているという理由から、鉱物油と合成炭化水素油との2種による混合基油が好ましい。
【0011】
基油の含有量は、グリース組成物の混和ちょう度が後述する範囲を満たすように適宜調整することができる。基油の含有量は、基油と増ちょう剤との合計量中70質量%以上が好ましい。基油の含有量が70質量%未満の場合は、グリース組成物の混和ちょう度が低下し、トルクの増大を起こす傾向がある。また、基油の含有量は、95質量%以下が好ましい。基油の含有量が95質量%を超える場合は、過剰な油分離を引き起こし、使用箇所からの漏洩、飛散などが起こる傾向がある。
【0012】
前記増ちょう剤は、炭化水素基の炭素数が6〜12の脂肪族アミンAおよび炭化水素基の炭素数が16〜22の脂肪族アミンBを特定の割合で混合した混合アミンと、ジイソシアネート化合物との反応生成物であるジウレア化合物である。
【0013】
脂肪族アミンAにおける炭化水素基の炭素数は、6以上であり、7以上がより好ましい。当該炭素数が6未満の場合は、引火点が低くまた水に可溶となりその取扱いが困難になる傾向、ゲル化能が悪くなる傾向、本発明の効果が得られ難くなる傾向がある。また、脂肪族アミンAにおける炭化水素基の炭素数は、12以下であり、10以上がより好ましい。当該炭素数が12を超える場合は、ゲル化能が悪くなる傾向、せん断安定性が悪くなる傾向、本発明の効果が得られ難くなる傾向がある。
【0014】
脂肪族アミンAは1級アミンであることが好ましい。脂肪族アミンAの炭化水素基は、分岐状、直鎖状および環状のものを含むが、直鎖状の炭化水素基であることが好ましい。また、脂肪族アミンAの炭化水素基は、飽和炭化水素基および不飽和炭化水素基を含むが、飽和炭化水素基であることが好ましい。なかでも、入手容易性および低温での耐焼き付き性能により優れるという理由から、炭化水素基が直鎖状で炭素数が8の脂肪族アミンが好ましく、オクチルアミンがより好ましい。
【0015】
脂肪族アミンBにおける炭化水素基の炭素数は、16以上であり、17以上がより好ましい。当該炭素数が16未満の場合は、ゲル化能が悪くなる傾向、せん断安定性が悪くなる傾向、本発明の効果が得られ難くなる傾向がある。また、脂肪族アミンBにおける炭化水素基の炭素数は、22以下であり、20以上がより好ましい。当該炭素数が22を超える場合は、融点が高くなりその取扱いが困難になる傾向、本発明の効果が得られ難くなる傾向がある。
【0016】
脂肪族アミンBは1級アミンであることが好ましい。脂肪族アミンBの炭化水素基は、分岐状、直鎖状および環状のものを含むが、直鎖状の炭化水素基であることが好ましい。また、脂肪族アミンBの炭化水素基は、飽和炭化水素基および不飽和炭化水素基を含むが、飽和炭化水素基であることが好ましい。なかでも、入手容易性および低温での耐焼き付き性能により優れるという理由から、炭化水素基が直鎖状で炭素数は18の脂肪族アミンが好ましく、ステアリルアミンがより好ましい。
【0017】
混合アミン中の脂肪族アミンAと脂肪族アミンBとの混合モル比(A:B)を0:10〜2:8とすることで、含有する基油の種類に関わらず、低温環境下での耐焼き付き性能に優れたグリース組成物が得られる。また、脂肪族アミンAおよび脂肪族アミンB以外のアミンを本発明の効果が損なわれない範囲で含有することができるが、脂肪族アミンAおよび脂肪族アミンBのみからなる混合アミンとすることが好ましい。
【0018】
前記混合モル比(A:B)は、0:10〜2:8であり、低温環境での耐焼き付き性能により優れるという理由から1:9〜2:8が好ましく、2:8が最も好ましい。脂肪族アミンAの含有量が2:8(A:B)を超える場合、すなわち脂肪族アミンBの含有量が2:8(A:B)より少ない場合は、低温での耐焼き付き性能が悪化する傾向がある。
【0019】
混合アミンと反応させる前記ジイソシアネート化合物としてはグリースの耐熱性が良好な点から芳香族ジイソシアネートが好ましい。例えばジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートおよび2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどを挙げることができる。特に入手性が良好な点から、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートが好ましく、さらに耐熱性が良好な点からジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートがより好ましい。
【0020】
混合アミンとジイソシアネート化合物との反応は、種々の方法と条件下で行うことができるが、増ちょう剤の均一分散性が高いジウレア化合物が得られることから、基油中において行うことが好ましい。また、反応は、脂肪族アミンAおよび脂肪族アミンBを溶解させた基油中に、ジイソシアネート化合物を溶解させた基油を添加して行ってもよく、また、ジイソシアネート化合物を溶解させた基油中に、脂肪族アミンAおよび脂肪族アミンBを溶解させた基油を添加して行ってもよい。
【0021】
前記反応における温度および時間は、特に限定されず、通常のこの種の反応と同様でよい。反応温度は混合アミンおよびジイソシアネートの溶解性、揮発性の点から、60〜170℃が好ましい。反応時間は混合アミンとジイソシアネートの反応を完結させるという点と製造時間短縮による効率化の点から0.5〜2.0時間が好ましい。また、混合アミンのアミノ基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基の反応は定量的に進み、それらの割合は、混合アミン2モルに対してジイソシアネート化合物1モルとすることが好ましい。
【0022】
前記反応により得られる反応生成物であるジウレア化合物は、下記一般式(I)で示される。式中、R
2は前記ジイソシアネート化合物に由来する炭化水素基である。また、R
1およびR
3は、それぞれ独立してまたは共通して脂肪族アミンAおよび/または脂肪族アミンBに由来する炭化水素基であり、R
1およびR
3全量中の脂肪族アミンAに由来する炭化水素基と脂肪族アミンBに由来する炭化水素基とのモル比(A:B)が0:10〜2:8であり、1:9〜2:8が好ましく、2:8が最も好ましい。
【化1】
【0023】
前記増ちょう剤の含有量は、グリース組成物の混和ちょう度が後述する範囲を満たすように適宜調整することができる。グリース組成物の混和ちょう度が高くなり過ぎることを防ぐという点から、基油と増ちょう剤との合計量中5質量%以上が好ましい。一方、グリース組成物の混和ちょう度が低くなり過ぎすることを防ぐという点から、基油と増ちょう剤との合計量中30質量%以下が好ましい。
【0024】
本発明のグリース組成物の混和ちょう度は、特に限定されず用途に合わせて調整することができ、例えば220〜385に調整することが好ましい。なお、本発明における混和ちょう度とは、JIS K2220 7に準拠し、25℃の環境下で、ちょう度計に取り付けた円錐をグリース組成物に落下させ、5秒間かけて進入した深さ(mm)を10倍した値をいう。
【0025】
また、本発明のグリース組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で耐摩耗剤、酸化防止剤、極圧添加剤、染料、色相安定剤、増粘剤、構造安定剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤、防錆添加剤などの各種添加剤を適量添加してもよい。なお、これらの各種添加剤を含有する場合は、添加剤の合計含有量が、基油と増ちょう剤との合計量100質量部に対して、10質量部以下となるように含有することが好ましい。
【0026】
前記耐摩耗剤を使用する場合は、メチレンビスジチオカーバメート、ポリカルボキシレート、亜鉛系耐摩耗剤、硫黄系耐摩耗剤、リン系耐摩耗剤などを用いることが好ましい。
【0027】
耐摩耗剤を含有する場合の基油と増ちょう剤との合計量100質量部に対する含有量は、耐摩耗剤を含有することの効果が十分に得られるという理由から、0.10質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗剤の含有量は、添加剤の効果が飽和状態となることから、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
【0028】
前記酸化防止剤としては、一般的にグリース組成物に添加されるものであればとくに限定されないが、本発明の増ちょう剤と併用することで、酸化防止性を付与するだけでなく耐焼き付き性能も付与することができる点から、アミン系酸化防止剤を含有することが好ましい。
【0029】
前記アミン系酸化防止剤としては芳香族系アミン化合物が望ましく、例えばジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、フェノチアジン、N−フェニル−α−ナフチルアミン、p,p’−ジアミノジフェニルメタン、アルドール−α−ナフチルアミン、p−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミン、などが挙げられ、なかでも耐焼き付き性において好ましい点からアルキル化ジフェニルアミンが好ましい。
【0030】
前記極圧添加剤としては、無灰型ジチオカーバメート(無灰型DTC)、硫化油脂、リン酸塩、無灰型ジチオリン酸塩(無灰型DTP)、S−P系極圧添加剤などの無灰型極圧添加剤、アンチモンジチオカーバメート(SbDTC)、ビスマスジブチルジチオカーバメート(BiDTC)、ジンクジチオカーバメート(ZnDTC)などの無灰型極圧添加剤以外の極圧添加剤が挙げられる。特に極圧性の向上効果が高く、環境に優しいという点から無灰型極圧添加剤が好ましい。
【0031】
本発明のグリース組成物は、減速機・増速機、ギヤ、チェーン、モーター等の動力伝達装置、走行系部品、ABS等の制御系部品、操舵系部品、変速機等の駆動系部品、パワーウィンドウモーター、パワーシートモーター、サンルーフモーター等の自動車補強部品、電子情報機器、携帯電話等のヒンジ部品、食品・薬品工業、鉄鋼、建設、ガラス工業、セメント工業、フィルムテンター等化学・ゴム・樹脂工業、環境・動力設備、製紙・印刷工業、木材工業、繊維・アパレル工業における各種部品や相対運動する機械部品等に広く適用可能であり、また、転がり軸受、スラスト軸受、動圧軸受、樹脂軸受、直動装置等の軸受等にも適用可能である。
【実施例】
【0032】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
本実施例では、以下の原料を使用した。
増ちょう剤:表1に示すモル比で増ちょう剤原料(MDI、アミン化合物AおよびB)を含有する増ちょう剤
MDI:ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート
アミン化合物A:オクチルアミン
アミン化合物B:ステアリルアミン
混合基油:ナフテン系鉱物油(動粘度(40℃):150mm
2/s)とポリ−α−オレフィン系合成炭化水素油(動粘度(40℃):30mm
2/s)とを7:3で混合した混合油(混合基油の動粘度(40℃):85mm
2/s)
パラフィン油:パラフィン系鉱物油(動粘度(40℃):85mm
2/s)
PAO:ポリ−α−オレフィン系合成炭化水素油(動粘度(40℃):85mm
2/s)
耐摩耗剤:BASF社製のIRGALUBE63(リン系耐摩耗剤)
【0034】
実施例および比較例
表1に従い、アミン化合物と同質量部の基油とを混合し、100℃に加熱して溶解させ溶液Aを調製した。また、これとは別に、表1に従い、MDIと同質量部の基油とを混合し、140℃に加熱して溶解させ溶液Bを調製した。次に、残りの基油を100℃に加熱後、前記溶液Aを混合し、この混合液を攪拌しつつ、溶液Bを徐々に添加した。その後150℃で60分間保持後、室温まで冷却し、耐摩耗剤を、表1に示す含有量となるように添加し、さらに3本ロールミルにより均質化処理することで試験用グリースを得た。得られた試験用グリースについて下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0035】
<混和ちょう度の測定>
JIS K2220 7に準拠し、25℃の環境下で、ちょう度計に取り付けた円錐をグリースに落下させ、5秒間かけて進入した深さ(mm)を測定し、測定された値を10倍したものを混和ちょう度とした。
【0036】
<SRV試験(−20℃および25℃)>
ASTM D5706に従い、各グリース組成物の摩擦係数(μ)を下記の試験条件で測定し、下記の基準で評価した。なお、閾値は0.6μとした。
(試験条件)
ボール径:10mm
周波数:30Hz
ストローク:3mm
試験温度:−20℃および25℃
試験荷重:25N
試験時間:10分
(評価基準)
○:試験開始から終了まで閾値を超えなかった
△:試験開始から300秒後から終了までに閾値を超えた
×:試験開始後
300秒までに閾値を超えた
【0037】
【表1】