(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、自動車には、各種の内装ボックスが備えられており、例えば、運転席と助手席との間の床フロアには、内部に物品を収納可能なコンソールボックスが備えられている。ここで、下記特許文献1には、開口110aを有するコンソールボックス本体110と、コンソールボックス本体110の開口110aを開閉可能に左右のヒンジの軸を介して左右に両開き可能に組み付けられたリッド120とから構成されているコンソールボックス104が開示されている(
図11参照)。このコンソールボックス104の左のヒンジの軸(図示しない)は、コンソールボックス本体110に対するリッド120の左開きをロックするロックピンを兼ねている。これと同様に、このコンソールボックス104の右のヒンジ軸(図示しない)は、コンソールボックス本体110に対するリッド120の右開きをロックするロックピンを兼ねている。また、リッド120には、左のヒンジの軸によるコンソールボックス本体110に対するリッド120の左開きのロックを解除可能な左のノブ132と、右のヒンジの軸によるコンソールボックス本体110に対するリッド120の右開きのロックを解除可能な右のノブ132とを備えている。
【0003】
そのため、例えば、左のノブ132を操作して(リッド120の左のロックを解除して)リッド120を左に開けると、助手席の乗員がコンソールボックス104を使用できる(コンソールボックス104の内部に物品を収納できる)。これとは逆に、例えば、右のノブ132を操作して(リッド120の右のロックを解除して)リッド120を右に開けると、運転席の乗員がコンソールボックス104を使用できる(コンソールボックス104の内部に物品を収納できる)。したがって、リッド120が片開きのコンソールボックス(例えば、運転席側のみが開くコンソールボックス)104と比較すると、運転席の乗員だけでなく助手席の乗員でもコンソールボックス104を使用できる。結果として、コンソールボックス104の使用の利便性を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、リッド120を開けるヒンジの軸がコンソールボックス本体110に対するリッド120のロックのロックピンを兼ねる構造となっている。そのため、一方のノブ132の操作(リッド120の一方のロックの解除)によってリッド120を一方に開けた状態のまま他方のノブ132を操作すると、リッド120の他方のロックも解除してしまうこととなっていた。したがって、両方のロックが解除されるため、コンソールボックス本体110からリッド120が外れてしまうことがあった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、リッドを開けるヒンジの軸がコンソールボックス本体に対するリッドのロックのロックピンを兼ねる構造となっているとき、一方のノブの操作によってリッドを一方に開けた状態のまま他方のノブを操作しても、リッドの他方のロックが解除されてしまうことがない自動車の内装ボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、開口を有するボックス本体と、ボックス本体の開口を開閉可能に左右のヒンジの軸を介して左右に両開き可能に組み付けられたリッドとを備えている自動車の内装ボックスである。左のヒンジの軸は、ボックス本体に対するリッドの左開きをロックするロックピンを兼ねている。右のヒンジ軸は、ボックス本体に対するリッドの右開きをロックするロックピンを兼ねている。リッドには、左のヒンジの軸によるボックス本体に対するリッドの左開きのロックを解除可能な左のノブと、右のヒンジの軸によるボックス本体に対するリッドの右開きのロックを解除可能な右のノブとを備えている。
左右のノブは、それぞれ圧縮ばねを介して備えられ、且つ、左右のノブの操作がそれぞれ解消されると、左右の圧縮ばねの復元力によってそれぞれ操作する前の状態に戻される。この内装ボックスには、一方のノブの操作によるロックの解除によってリッドを開けると、開けたリッドが閉ざされるまで
一方のノブおよび他方のノブの操作を規制する規制部材が設けられている。
【0008】
請求項1の発明によれば、例えば、リッドを左側に開けると、この開けたリッドが上昇するため、ボックス本体に対する規制部材の押し当てが解消される。したがって、この規制部材は、例えば、引っ張りばねの復元力によって前側に向けてスライドしていく。このようにスライドしていくと、このスライドした規制部材と左右のノブとが対向する。このように対向すると、右のノブを押し込む操作をしても、この押し込む操作をした右のノブが規制部材に干渉するため、この押し込む操作そのものが規制される。このように規制されると、この右のノブを押し込む操作ができないため、右のヒンジの軸によるリッドの右開きのロックが解消されることがない。結果として、ボックス本体からリッドが外れてしまうことがない。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動車の内装ボックスであって、左右のノブは、リッドがボックス本体の開口を閉じた状態において同時に操作すると、互いが干渉することで同時に操作できないように形成されている。
【0010】
請求項2の発明によれば、リッドがボックス本体の開口を閉じた状態においても、ボックス本体からリッドが外れてしまうことを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1〜10を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、自動車1を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0013】
まず、
図1〜6を参照して、本発明の実施例に係るコンソールボックス4の全体構成を説明する。このコンソールボックス4は、この
図2〜3からも明らかなように、主として、コンソールボックス本体10とリッド20とから構成されている。以下に、これらコンソールボックス本体10とリッド20とを個別に説明する。
【0014】
はじめに、コンソールボックス本体10から説明していく。このコンソールボックス本体10は、上側に開口10aを有するように前壁12と後壁14と左右の側壁16と底壁18とから成っており、この上側に有した開口10aから物品(図示しない)を収納可能(出し入れ可能)な矩形のボックス状の部材から構成されている(
図2〜3参照)。
【0015】
この前壁12の上側の左右には、後述するリッド20の左右のフロントロック部材36の各ヒンジピン36aを挿し込んで回転させることができるヒンジ孔12aがそれぞれ形成されている。また、この前壁12の上側には、後述する規制部材40の先端部44を押し当て可能な押当部12bが形成されている。この押当部12bの上縁の角は、テーパを成す傾斜面12cとなっている(
図5参照)。
【0016】
一方、この後壁14の上側の左右には、後述する左右のリアロック部材38の各ヒンジピン38aを挿し込んで回転させることができるヒンジ孔14aがそれぞれ形成されている。コンソールボックス本体10は、このように構成されている。このように構成されているコンソールボックス本体10は、その矩形の長手方向が前後方向を成すように、自動車1の床フロアFにおいて運転席2と助手席3との間に設置されている(
図1参照)。
【0017】
次に、リッド20を説明する。このリッド20は、コンソールボックス本体10の開口10aを塞ぎ可能なドアインナ30と、このドアインナ30の意匠を成すドアアウタ50とから構成されている(
図4参照)。このドアインナ30の表面の左右には、後述する左右のノブ32を左右方向に案内可能に組み付けるためのガイド30aがそれぞれ形成されている。
【0018】
また、このドアインナ30の前側の左右には、後述するフロントロック部材36のヒンジピン36aを挿し込み可能な前貫通孔30bがそれぞれ形成されている。また、このドアインナ30の後側の左右には、後述するリアロック部材38のヒンジピン38aを挿し込み可能な後貫通孔30cがそれぞれ形成されている。また、このドアインナ30の表面には、後述する規制部材40の先端部44を挿し込み可能な貫通孔30dを有する立壁30eが形成されている(
図5参照)。
【0019】
そして、このドアインナ30の表面の左右のガイド30aには、左右に対を成す圧縮ばね34を介して左右に対を成すようにノブ32が組み付けられている。この左右のノブ32には、後述する規制部材40の基端部42に干渉可能なアーム32aがそれぞれ形成されている。また、この左右のノブ32には、リッド20がコンソールボックス本体10の開口10aを閉じた状態において同時に操作すると、互いが干渉するストッパ32bがそれぞれ形成されている。
【0020】
なお、このドアインナ30の表面には、規制部材40が引っ張りばね46を介して組み付けられている。この規制部材40は、左右に張り出した基端部42と、傾斜面44aを有する先端部44とを備えている。また、このドアインナ30の前側の左右には、フロントロック部材36が引っ張りばね36bを介してそれぞれ組み付けられている。また、このドアインナ30の後側の左右には、リアロック部材38が引っ張りばね38bを介して組み付けられている。
【0021】
なお、左の圧縮ばね34の付勢力に抗して左のノブ32を押し込む操作すると、左の引っ張りばね36bの付勢力に抗して左のフロントロック部材36のヒンジピン36aがコンソールボックス本体10の左のヒンジ孔12aから退行すると共に、左の引っ張りばね38bの付勢力に抗して左のリアロック部材38のヒンジピン38aがコンソールボックス本体10の左のヒンジ孔14aから退行することとなっている。
【0022】
これとは逆に、右の圧縮ばね34の付勢力に抗して右のノブ32を押し込む操作すると、右の引っ張りばね36bの付勢力に抗して右のフロントロック部材36のヒンジピン36aがコンソールボックス本体10の右のヒンジ孔12aから退行すると共に、右の引っ張りばね38bの付勢力に抗して右のリアロック部材38のヒンジピン38aがコンソールボックス本体10の右のヒンジ孔14aから退行することとなっている。
【0023】
また、このドアインナ30の表面には、ドアアウタ50が組み付けられている。これにより、左右のノブ32や左右のフロントロック部材36や左右のリアロック部材38を目隠しできる。なお、
図4からも明らかなように、左右のノブ32は、ドアアウタ50の左右の縁にそれぞれ形成されている切欠52に対応する格好で配置されている。リッド20は、このように構成されている。このように構成されているリッド20は、コンソールボックス本体10の開口10aを塞ぐように組み付けられている。
【0024】
このリッド20の組み付けにおいて、リッド20の左右のフロントロック部材36の各ヒンジピン36aは、コンソールボックス本体10の左右のヒンジ孔12aにそれぞれ挿し込まれた状態となっている。また、この組み付けにおいて、リッド20の左右のリアロック部材38の各ヒンジピン38aは、コンソールボックス本体10の左右のヒンジ孔14aにそれぞれ挿し込まれた状態となっている。
【0025】
このように挿し込まれた状態になっていると、コンソールボックス本体10に対するリッド20の左開きと右開きとがロックされることとなる(リッド20の左開きのロック状態、リッド20の右開きのロック状態、すなわち、両ロック状態)。これらの記載が、特許請求の範囲に記載の「左のヒンジの軸は、ボックス本体に対するリッドの左開きをロックするロックピンを兼ねており、」と「右のヒンジの軸は、ボックス本体に対するリッドの右開きをロックするロックピンを兼ねており、」とに相当する。
【0026】
また、このリッド20の組み付けにおいて、規制部材40の先端部44は、ドアインナ30の立壁30eの貫通孔30dを介してコンソールボックス本体10の前壁12の押当部12bに押し当てられた状態となっている(
図5〜6参照)。これらコンソールボックス本体10とリッド20とからコンソールボックス4が構成されている。
【0027】
続いて、
図2、5〜10を参照して、上述したコンソールボックス4の動作を説明する。この動作の説明にあたって、リッド20の開け操作と、リッド20の閉じ操作とを個別に説明する。なお、この説明にあたって、
図2、5、6に示すように、リッド20がコンソールボックス本体10の開口10aを塞いでおり、この開口10aを塞いだリッド20の左開きと右開きとがロックされた状態(両ロック状態)にあるときから説明することとする。
【0028】
まず、リッド20の開け操作を説明する。この両ロック状態から、例えば、左の圧縮ばね34の付勢力に抗して左のノブ32を押し込む操作する。すると、引っ張りばね36bの付勢力に抗して左のフロントロック部材36のヒンジピン36aがコンソールボックス本体10の前壁12の左のヒンジ孔12aから退行すると共に、左の引っ張りばね38bの付勢力に抗して左のリアロック部材38のヒンジピン38aがコンソールボックス本体10の後壁14の左のヒンジ孔14aから退行する。これにより、リッド20の左開きのロックされた状態が解消された状態(リッド20の右開きのロック状態)となる。
【0029】
そのため、右のフロントロック部材36のヒンジピン36aと右のリアロック部材38のヒンジピン38aとの軸回りにリッド20を回転させることができる。したがって、コンソールボックス本体10の開口10aが左開きとなるようにリッド20が開いていく(
図7、10参照)。このようにリッド20が開いていくと、リッド20の規制部材40が回転によって上昇するため、コンソールボックス本体10の前壁12の押当部12bに対する規制部材40の先端部44の押し当てが解消されることとなる。
【0030】
そのため、この規制部材40は、その先端部44がドアインナ30の貫通孔30dに挿し込まれるように引っ張りばね46の復元力によって前側に向けてスライドしていく(
図8参照)。このようにスライドしていくと、このスライドした規制部材40の基端部42と左右のノブ32の各アーム32aとが対向する(
図9参照)。したがって、右の圧縮ばね34の付勢力に抗して右のノブ32を押し込む操作をしても、この押し込む操作をした右のノブ32のアーム32aが規制部材40に基端部42に干渉するため、この押し込む操作そのものが規制される。
【0031】
このように規制されると、この右のノブ32を押し込む操作ができないため、右のヒンジの軸(右のヒンジピン36a、右のヒンジピン38a)によるリッド20の右開きのロックされた状態が解消されることがない。結果として、コンソールボックス本体10からリッド20が外れてしまうことがない。
【0032】
次に、リッド20の閉じ操作を説明する。
図10に示すように、リッド20がコンソールボックス本体10の開口10aを左開きに開いた状態からドアインナ30の右のフロントロック部材36のヒンジピン36aとドアインナ30の右のリアロック部材38のヒンジピン38aとの軸回りにリッド20を逆回転させていく。すると、コンソールボックス本体10の開口10aの左開きが閉ざされるようにリッド20が閉ざされていく(
図7、2参照)。
【0033】
これにより、リッド20の規制部材40が回転によって下降するため、ドアインナ30の規制部材40の先端部44の傾斜面44aがコンソールボックス本体10の前壁12の傾斜面12cに干渉する。そのため、この規制部材40は、
図5に示すように、その先端部44が引っ張りばね46の付勢力に抗して後側(ドアインナ30の貫通孔30dから引き抜く方向)に向けてスライドしていく。
【0034】
したがって、コンソールボックス本体10の前壁12の押当部12bに対する規制部材40の先端部44の押し当て状態に戻される。このように戻されると、この戻された規制部材40の基端部42と左右のノブ32の各アーム32aとの対向も解消することとなる(
図6参照)。結果として、右のノブ32を押し込む操作そのものの規制が解消することとなる。
【0035】
なお、上記のリッド20の開け操作の説明において、左のノブ32に替えて右のノブ32を操作すると、コンソールボックス本体10の開口10aが右開きとなるようにリッド20を開けることができる。すなわち、リッド20は、コンソールボックス本体10の開口10aに対して両開き可能となっている。この場合でも、上記のリッド20の開け操作の説明と同様に、左の圧縮ばね34の付勢力に抗して左のノブ32を押し込む操作をしても、この押し込む操作をした左のノブ32のアーム32aが規制部材40に基端部42に干渉するため、この押し込む操作そのものが規制されることとなる。
【0036】
したがって、コンソールボックス本体10からリッド20が外れてしまうことがない。このようにコンソールボックス本体10の開口10aが右開きとなるようにリッド20を開けると、上記のリッド20の閉じ操作の説明と同様に、コンソールボックス本体10の開口10aの右開きが閉ざされるようにリッド20を閉じることができる。
【0037】
本発明の実施例に係るコンソールボックス4は、上述したように構成されている。この構成によれば、リッド20には、規制部材40が引っ張りばね46を介して組み付けられている。この規制部材40は、左右に張り出した基端部42と、傾斜面44aを有する先端部44とを備えている。そして、規制部材40の先端部44は、ドアインナ30の立壁30eの貫通孔30dを介してコンソールボックス本体10の前壁12の押当部12bに押し当てられた状態となっている。そのため、例えば、リッド20を左側に開けると、この開けたリッド20が上昇するため、コンソールボックス本体10の前壁12の押当部12bに対する規制部材40の先端部44の押し当てが解消される。したがって、この規制部材40は、その先端部44がドアインナ30の貫通孔30dに挿し込まれるように引っ張りばね46の復元力によって前側に向けてスライドしていく。このようにスライドしていくと、このスライドした規制部材40の基端部42と左右のノブ32の各アーム32aとが対向する。このように対向すると、右の圧縮ばね34の付勢力に抗して右のノブ32を押し込む操作をしても、この押し込む操作をした右のノブ32のアーム32aが規制部材40に基端部42に干渉するため、この押し込む操作そのものが規制される。このように規制されると、この右のノブ32を押し込む操作ができないため、右のヒンジの軸(右のヒンジピン36a、右のヒンジピン38a)によるリッド20の右開きのロックが解消されることがない。結果として、コンソールボックス本体10からリッド20が外れてしまうことがない。
【0038】
また、この構成によれば、左右のノブ32には、リッド20がコンソールボックス本体10の開口10aを閉じた状態において同時に操作すると、互いが干渉するストッパ32bがそれぞれ形成されている。そのため、リッド20が閉じた状態でも、コンソールボックス本体10からリッド20が外れてしまうことを防止できる。
【0039】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
【0040】
実施例では、「内装ボックス」が「コンソールボックス4」である形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、「内装ボックス」が、例えば、「後部座席のアームレスト」であっても構わない。
【0041】
また、実施例では、規制部材40は、左右のノブ32に共用される形態を説明した。すなわち、規制部材40を1個で実施する形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、規制部材40は、左右のノブ32ごとに設けても構わない。すなわち、規制部材40w2個で実施する形態でも構わない。