(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887842
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】地盤探査方法および貫入試験機
(51)【国際特許分類】
E21D 9/093 20060101AFI20210603BHJP
G01N 3/40 20060101ALI20210603BHJP
G01V 9/00 20060101ALI20210603BHJP
G01V 9/02 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
E21D9/093 F
G01N3/40 B
G01V9/00 J
G01V9/02
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-56576(P2017-56576)
(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公開番号】特開2018-159221(P2018-159221A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2020年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 計行
(72)【発明者】
【氏名】高倉 克彦
(72)【発明者】
【氏名】木下 勇人
【審査官】
富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−089994(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102005038313(DE,A1)
【文献】
特開平04−011193(JP,A)
【文献】
特開昭62−164997(JP,A)
【文献】
米国特許第04774470(US,A)
【文献】
特開平02−074789(JP,A)
【文献】
実開昭62−050294(JP,U)
【文献】
独国特許出願公開第03819818(DE,A1)
【文献】
米国特許第04367647(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D1/00−9/14
G01N3/00−3/62
G01V1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッターヘッドに設けられたコピーカッターとは異なる位置において前記カッターヘッドの内部から外側に向けて前記カッターヘッドの径方向に対して進出可能に設けられた探査棒を、前記カッターヘッド周囲の地盤に貫入するとともに、前記探査棒を地盤に貫入した際の貫入抵抗、貫入力、貫入量または摩擦抵抗力を測定することを特徴とする、地盤探査方法。
【請求項2】
地盤に貫入した前記探査棒により間隙水圧を測定することを特徴とする、請求項1に記載の地盤探査方法。
【請求項3】
トンネル掘削機のカッターヘッドに装備された貫入試験機であって、
前記カッターヘッドに設けられたコピーカッターとは異なる位置において前記カッターヘッドの周囲の地盤に貫入される探査棒と、
前記探査棒に押出力を付与する押出手段と、
前記探査棒を地盤に貫入した際の貫入抵抗、貫入力、貫入量または摩擦抵抗力を検知するセンサーと、を備えており、
前記探査棒は、前記カッターヘッドの内部から外側に向けて前記カッターヘッドの径方向に対して進出可能に設けられていることを特徴とする、貫入試験機。
【請求項4】
トンネル掘削機のカッターヘッドに装備された貫入試験機であって、
前記カッターヘッドに設けられたコピーカッターとは異なる位置において前記カッターヘッドの周囲の地盤に貫入される第一探査棒および第二探査棒と、
前記第一探査棒または前記第二探査棒に押出力を付与する押出手段と、
前記第一探査棒または前記第二探査棒を地盤に貫入した際の貫入抵抗、貫入力、貫入量または摩擦抵抗力を検知するセンサーと、を備えており、
前記第一探査棒は、前記カッターヘッドの内部から外側に向けて前記カッターヘッドの径方向に進出可能に設けられていて、
前記第二探査棒は、前記カッターヘッドの内部から外側に向けて前記トンネル掘削機の掘進方向に進出可能に設けられていることを特徴とする、貫入試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削機周辺の地盤探査方法および貫入試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルを安全かつ経済的に施工するためには、トンネル掘削機周辺の地盤を把握することが重要である。そのため、トンネル施工では、計画や設計の段階において、過去の地盤調査結果に加え、地表踏査や弾性波探査などの地盤調査を実施することで、事前に地盤の予測を行っている。ところが、事前調査により線状構造物であるトンネル周囲の地盤の状態(例えば、急な地盤変化等)を完全に把握することは困難であった。また、大口径トンネルの施工では、想定とは異なる地盤が掘削断面内やトンネル周囲に含まれている場合もある。
そのため、施工段階でトンネル掘削機周辺の地盤探査を行う場合がある。例えば、特許文献1には、カッターヘッドのビットに設置したセンサーにより掘削時の振動を測定する地盤探査方法が開示されている。
また、特許文献2には、カッターヘッドに設置した発信部と受信部とを利用して切羽前方の地盤に対して弾性波探査を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−003429号公報
【特許文献2】特開2014−013222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シールド掘削機のチャンバ内では、様々な振動が複合している。そのため、特許文献1の探査方法によって掘削時の振動のみを正確に計測することは困難であった。
また、特許文献2の弾性波探査は、設備が大掛かりであるとともに、解析に時間を要してしまう。そのため、工期短縮化および工事費の低減化の妨げとなっていた。
このような観点から、本発明は、比較的簡易な設備により施工中のトンネル掘削機周辺の地盤を把握することを可能とした地盤探査方法および貫入試験機を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の地盤探査方法は、
カッターヘッドに設けられたコピーカッターとは異なる位置において前記カッターヘッドの内部から外側に向けて前記カッターヘッドの径方向に対して進出可能に設けられた探査棒を、前記カッターヘッド周囲の地盤に貫入するとともに、前記探査棒を地盤に貫入した際の貫入抵抗、貫入力、貫入量または摩擦抵抗力を測定することを特徴とする。
かかる地盤探査方法によれば、探査棒の貫入抵抗(先端抵抗や周面摩擦力等)、貫入力や貫入量等によってトンネル掘削機周囲の地盤の硬軟をリアルタイムかつ容易に判断することができる。そのため、地層の急な変化や、想定外の地盤の露出などに対して、適切に対応することができ、ひいては、トンネル施工をより安全かつより経済的に施工することができる。また、カッターヘッドを回転させることで、探査棒を貫入させる位置を所望の位置に移動させることができるため、試験実施個所の位置決めが容易である。なお、地盤に貫入した前記探査棒により間隙水圧を測定してもよい。
【0006】
また、本発明の貫入試験機は、トンネル掘削機のカッターヘッドに装備されたものであって、
前記カッターヘッドに設けられたコピーカッターとは異なる位置において前記カッターヘッドの周囲の地盤に貫入される探査棒と、前記探査棒に押出力を付与する押出手段と、を備えており、前記探査棒は、前記カッターヘッドの内部から外側に向けて前記カッターヘッドの径方向に対して進出可能に設けられていることを特徴とする。
かかる貫入試験機によれば、簡易な機構により構成されているため、比較的安価である。また、当該貫入試験機は、大きな設置スペースを必要としないため、取り付け個所が限定されるカッターヘッドにも設置することができる。なお、前記探査棒は、前記カッターヘッドの径方向に対して進退可能に設けられた第一探査棒と、前記トンネル掘削機の進行方向に対して進退可能に設けられた第二探査棒とを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の地盤探査方法および貫入試験機によれば、比較的簡易な設備によりトンネル掘削機周辺の地盤をリアルタイムで適切に把握することを可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)は第一の実施形態に係るシールド掘削機を示す正面図、(b)は同シールド掘削機の断面図である。
【
図2】第一の実施形態の貫入試験機を示す拡大断面図であって、(a)は常時、(b)は伸長時である。
【
図3】(a)は第二の実施形態に係るシールド掘削機を示す正面図、(b)は同シールド掘削機の断面図である。
【
図4】第二の実施形態の貫入試験機を示す拡大断面図であって、(a)は常時、(b)は伸長時である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一の実施形態>
第一の実施形態に係るシールド掘削機(トンネル掘削機)1は、
図1(a)および(b)に示すように、トンネル軸回りに回転するカッターヘッド2と、カッターヘッド2の後方に配置され、このカッターヘッド2の駆動手段21を有する円筒状の掘削機本体3と、カッターヘッド2と掘削機本体3との間に形成されたチャンバ4と、カッターヘッド2の内部に設けられた貫入試験機5とを備えている。
【0010】
カッターヘッド2は、回転することにより地山を切削する。本実施形態のカッターヘッド2は、いわゆるスポーク型であって、正面視円形を呈している。なお、カッターヘッド2の形式および形状は限定されるものではない。例えば、面板型のカッターヘッド2であってもよい。また、カッターヘッド2は、楕円形や矩形であってもよい。また、カッターヘッド2は、回転式に限定されるものではなく、例えば、揺動式であってもよい。
カッターヘッド2の前面には、地山の切削するための複数のカッタービット22が固定されている。なお、カッタービット22の数、配置、形状等は限定されるものではない。
【0011】
カッターヘッド2の後面には、中心部から後方に延びるセンターシャフト23と、センターシャフト23から間隔をあけた位置(カッターヘッド2の半径の中間付近)から後方向に延びる支持部材24とが形成されている。なお、カッターヘッド2の支持方式には、センター支持方式、中間支持方式、および外周支持方式があるが、本実施形態では、中間支持方式を例示する。センターシャフト23は、加泥材の供給路であって、坑口側から輸送された加泥材を、カッターヘッド2の前面側へと輸送する。支持部材24は、カッターヘッド2を後側から支持するとともに、チャンバ4内の土砂を撹拌する役目を果たす。また、支持部材24の後端(坑口側の端部)は、旋回リング25に固定されている。支持部材24の形状、配置、数などは限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
【0012】
旋回リング25は、掘削機本体3の内部に配設された駆動手段21の動力により回転する。旋回リング25が回転すると、支持部材24を介してカッターヘッド2にも回転力が付与されて、カッターヘッド2がセンターシャフト23(トンネル軸)を中心に回転する。なお、駆動手段21の構成は限定されるものではない。
本実施形態のカッターヘッド2は、コピーカッター26を備えている。コピーカッター26は、トンネルの掘削径を必要に応じて拡径するための部材であって、カッターヘッド2の径方向に対して進退可能に設けられている。なお、コピーカッター26は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。
【0013】
掘削機本体3は、カッターヘッド2の後方に配置されていて、シールド掘削機1の内部の各種設備(例えば、駆動手段21や土砂搬送手段31等)を防護する。掘削機本体3は、鋼板(スキンプレート)により円筒状に形成されている。なお、掘削機本体3の断面形状は限定されるものではなく、施工されるトンネルの断面形状に応じて適宜決定すればよい。掘削機本体3の内部にはシールドジャッキ32が配置されており、掘削機本体3の坑口側に配設されたセグメントリングRを土台としたシールドジャッキ32の推力により、シールド掘削機1が前進するように構成されている。
【0014】
チャンバ4は、カッターヘッド2の後面(背面)に形成された空間(掘削機本体3の前部に形成された空間)である。チャンバ4には、カッターヘッド2により掘削された土砂が一時的に滞留する。チャンバ4と掘削機本体3との内部は、掘削機本体3の前面に形成された隔壁33を介して分離されている。チャンバ4内に投入された土砂は、隔壁33を貫通して配設される土砂搬送手段31を介してトンネル坑外へ搬送される。
【0015】
貫入試験機5は、
図2(a)および(b)に示すように、カッターヘッド2に装備された探査棒6および押出手段7を備えている。
探査棒6は、カッターヘッド2の径方向に進退可能である。すなわち、探査棒6は、カッターヘッド2の内部から外側に向けて進出可能に設けられている。探査棒6は、押出手段7から付与された押出力よって進退する。本実施形態の探査棒6は、鋼棒からなる探査棒本体61と、探査棒本体61の先端に固定された先端コーン62により構成されている。なお、探査棒本体61は、鋼棒に限定されるものではなく、例えば鋼管であってもよい。また、先端コーン62は必要に応じて設置すればよい。本実施形態の先端コーン62は円錐状を呈しているが、先端コーン62の形状は限定されるものではない。
本実施形態の探査棒6は、カッターヘッド2からの突出長が最大300mmとなる長さを有している。なお、探査棒6のカッターヘッド2からの突出長は、限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
【0016】
押出手段7は、いわゆる油圧式ジャッキであって、油圧により探査棒6に押出力を付与する。なお、押出手段7のジャッキ形式は限定されるものではなく、例えば、空気式や機械式であってもよい。押出手段7は、探査棒6の基端部を支持している。すなわち、押出手段7が伸長すると、探査棒6がカッターヘッド2の内部から外側に押し出され、押出手段7が縮長すると、探査棒6がカッターヘッド2の外側から内部に収納される。本実施形態の押出手段7には、センサー(図示せず)が設置されている。当該センサーは、いわゆるロードセルであって、探査棒6を地中に圧入する際または押し引きする際の貫入値や摩擦抵抗力等を測定する。センサーは、有線または無線により、コンピュータ(図示せず)に接続されていて、センサーの計測結果は、コンピュータに送信される。
貫入試験機5は、図示しない制御手段に接続されている。貫入試験機5は、制御手段から送信された信号により、押出手段7を起動させて、探査棒6を進退させる。
【0017】
なお、貫入試験機5の構成は限定されるものではない。例えば、探査棒6の内部にロードセル等のセンサーを備えた、いわゆる電気式コーンを採用してもよい。かかる貫入試験機5によれば、探査棒6を地中に貫入する際または押し引きする際の周面摩擦力や先端抵抗等を、探査棒6の内部に設けられたセンサーにより測定する。また、探査棒6には、内部に間隙水圧計が設けられているとともに、この間隙水圧計に通じる通水路が形成されていてもよい。かかる貫入試験機5によれば、地盤の強度とともに間隙水圧を測定することができる。
【0018】
本実施形態のシールド掘削機1によるトンネル施工時の地盤探査方法は、シールド掘進停止時に、探査棒6をカッターヘッド2の周囲の地盤Gに貫入した際の貫入値を測定する。すなわち、押出手段7を起動させて、探査棒6をカッターヘッド2の内部から外側に向けて押し出すことにより、探査棒6を地盤Gに貫入し、貫入値を測定する。貫入値を測定したら、探査棒6を収納した後、カッターヘッド2を所定角度回転させて、再度、地盤探査を実施する。このように、カッターヘッド2の回転および地盤探査を複数回繰り返すことにより、トンネル周囲の地盤探査を行う。
【0019】
本実施形態の貫入試験機5および地盤探査方法によれば、探査棒6の貫入値によってシールド掘削機1の周囲の地山状況をリアルタイムかつ容易に判断することができる。そのため、地層の急な変化や、想定外の地盤Gの露出などに対して、早期かつ適切に対応することができ、ひいては、トンネル施工をより安全かつより経済的に施工することができる。また、カッターヘッド2を回転させることで、探査棒6を貫入させる位置を所望の位置に移動させることができるため、試験実施個所の位置決めが容易である。
貫入試験機5は、比較的小型で大きな設置スペースを必要としないため、取り付け個所が限定されるカッターヘッド2に設置することができる。また、貫入試験機5は、簡易な機構により構成されているため、安価である。
【0020】
<第二の実施形態>
第二の実施形態に係るシールド掘削機(トンネル掘削機)1は、
図3(a)および(b)に示すように、トンネル軸回りに回転するカッターヘッド2と、カッターヘッド2の後方に配置され、このカッターヘッド2の駆動手段21を有する円筒状の掘削機本体3と、カッターヘッド2と掘削機本体3との間に形成されたチャンバ4と、カッターヘッド2の内部に設けられた第一貫入試験機51と、第二貫入試験機52とを備えている。
【0021】
カッターヘッド2は、回転することにより地山を切削する。本実施形態のカッターヘッド2は、いわゆる面板型であって、正面視円形を呈している。なお、カッターヘッド2の形式および形状は限定されるものではない。例えば、スポーク型のカッターヘッド2であってもよい。また、カッターヘッド2は、楕円形や矩形であってもよい。また、カッターヘッド2は、回転式に限定されるものではなく、例えば、揺動式であってもよい。
カッターヘッド2の前面には、地山の切削するための複数のカッタービット22が固定されている。なお、カッタービット22の数、配置、形状等は限定されるものではない。
【0022】
カッターヘッド2の後面には、中心部から後方に延びるセンターシャフト23と、センターシャフト23から間隔をあけた位置(カッターヘッド2の半径の中間付近)から後方向に延びる支持部材24とが形成されている。支持部材24は、カッターヘッド2を後側から支持するとともに、チャンバ4内の土砂を撹拌する役目を果たす。また、支持部材24の後端(坑口側の端部)は、旋回リングに固定されている。
旋回リングは、掘削機本体3の内部に配設された駆動手段21の動力により回転する。旋回リングが回転すると、支持部材24を介して接続されたカッターヘッド2も回転する。本実施形態のカッターヘッド2は、コピーカッター26を備えている。
【0023】
掘削機本体3は、カッターヘッド2の後方に配置されていて、シールド掘削機1の内部の各種設備(例えば、駆動手段21や土砂搬送手段31等)を防護する。掘削機本体3は、鋼板(スキンプレート)により円筒状に形成されている。
チャンバ4は、カッターヘッド2により掘削された土砂が一時的に滞留する空間である。チャンバ4と掘削機本体3との内部は、掘削機本体3の前面に形成された隔壁33を介して分離されている。チャンバ4内に投入された土砂は、隔壁33を貫通して配設される土砂搬送手段31を介してトンネル坑外へ搬送される。
【0024】
図4(a)および(b)に示すように、第一貫入試験機51(貫入試験機5)は、カッターヘッド2に装備された第一探査棒63(探査棒6)および第一押出手段71(押出手段7)を備えている。なお、第一貫入試験機51、第一探査棒63および第一押出手段71の詳細は、第一の実施形態で示した貫入試験機5、探査棒6および押出手段7と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0025】
図4(a)および(b)に示すように、第二貫入試験機52(貫入試験機5)は、カッターヘッド2に装備された第二探査棒64(探査棒6)および第二押出手段72(押出手段7)を備えている。
第二探査棒64は、シールド掘削機1の掘進方向に進退可能である。すなわち、第二探査棒64は、カッターヘッド2の内部から外側に向けて進出可能に設けられている。第二探査棒64は、第二押出手段72に付与された押出力よって進退する。本実施形態の第二探査棒64は、鋼棒からなる探査棒本体61と、探査棒本体61の先端に固定された先端コーン62により構成されている。この他の第二探査棒64の詳細は、第一の実施形態で示した探査棒6と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0026】
第二押出手段72は、第二探査棒64の基端部を支持していて、第二探査棒64に対してシールド掘削機1の掘進方向の押出力を付与する。この他の第二押出手段72の詳細は、第一の実施形態の押出手段7と同様なため、詳細な説明は省略する。
本実施形態の第一探査棒63および第二探査棒64は、カッターヘッド2からの突出長が最大400mmとなる長さを有している。なお、第一探査棒63および第二探査棒64のカッターヘッド2からの突出長は、限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
【0027】
本実施形態のシールド掘削機1によるトンネル施工時の地盤探査方法では、第一探査棒63をカッターヘッド2の周囲の地盤Gに貫入するとともに、第二探査棒64をカッターヘッド2の前面の地盤Gに貫入する。すなわち、本実施形態では、カッターヘッド2の周囲の地盤Gを測定するとともに、カッターヘッド2の前面の地盤Gを測定も行う。
地盤探査は、カッターヘッド2を回転させることにより、複数個所で行う。
【0028】
本実施形態の貫入試験機5および地盤探査方法によれば、第一探査棒63によってトンネル外周囲の地山状況をリアルタイムに判断することを可能にしていることに加えて、第二探査棒64によって切羽前方の地山状況を予測することができる。そのため、地層の急な変化や、想定外の地盤Gの露出などに対して、事前に予測することができ、ひいては、トンネル施工をより安全かつより経済的に施工することができる。
この他の第二の実施形態の貫入試験機5および地盤探査方法の作用効果は、第一の実施形態に示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記各実施形態では、シールド掘削機1に貫入試験機5を設置する場合について説明したが、貫入試験機5を設定するトンネル掘削機は限定されるものではなく、例えば、TBMや推進機であってもよい。
前記各実施形態では、探査棒6がカッターヘッド2の径方向またはシールド掘削機1の進行方法に対して進退可能に設けられている場合について説明したが、探査棒6の進退方向は限定されるものではない。すなわち、探査棒6は、カッターヘッド2の径方向またはシールド掘削機1の進行方法に対して傾斜していてもよい。
また、探査棒6はコーン状の鋼製棒であってもよい。
【0030】
前記実施形態では、押出手段7に設置されたセンサーによって探査棒6を地中に圧入する際の貫入値や摩擦抵抗力等を測定する場合について説明したが、貫入値の測定手段は限定されるものではない。例えば、同一の押圧力による探査棒6の貫入量を測定してもよい。
また、探査棒6は、地盤Gに圧入する場合に限定されるものではなく、例えば、地盤Gに打ち込んでもよい。この場合には、地盤G内に所定長貫入するまでの打撃回数により地山状況を判断すればよい。
また、探査棒6による貫入試験方法は限定されるものではない。例えば、標準貫入試験、CBR試験、平板載荷試験、電気式コーン貫入試験、スウェーデン式サウンディング試験などを採用してもよい。また、複数の貫入試験方法を併用して行ってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 シールド掘削機(トンネル掘削機)
2 カッターヘッド
3 掘削機本体
4 チャンバ
5 貫入試験機
6 探査棒
7 押出手段
G 地盤