(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887887
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】スイッチ部品の取付構造
(51)【国際特許分類】
H01H 9/02 20060101AFI20210603BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20210603BHJP
E05B 83/18 20140101ALI20210603BHJP
H01H 9/04 20060101ALI20210603BHJP
H01H 13/04 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
H01H9/02 M
B60J5/10 Z
E05B83/18
H01H9/04 B
H01H13/04 C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-118422(P2017-118422)
(22)【出願日】2017年6月16日
(65)【公開番号】特開2019-3851(P2019-3851A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】長谷 佳幸
【審査官】
北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−105425(JP,A)
【文献】
特開2003−193705(JP,A)
【文献】
特開2012−188063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/02
H01H 13/00、13/04
B60J 5/00、 5/10
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバックドアの外表面に操作部を露出させてスイッチ部品を固定するスイッチ部品の取付構造であって、
前記スイッチ部品を保持するスイッチ保持部を備え、該スイッチ保持部に前記スイッチ部品の操作部を挿通させる挿通開口が開設されてバックドアのアウタパネルに固定されるスイッチベースと、
前記スイッチベースに固定され、固定状態において前記スイッチ部品を押さえ付けてスイッチ保持部に固定するブラケットとを有し、
前記挿通開口は室内空間に連通して形成されるとともに、前記挿通開口周縁と前記スイッチ部品の対応部の双方に形成されるシール面の間にシール材が介装され、
前記ブラケットを固定した状態で、前記スイッチ部品は前記シール材のシール面圧増加方向に押圧されるスイッチ部品の取付構造。
【請求項2】
前記ブラケットは、一端部がスイッチベースに形成される係止段部に係止されるとともに、他端部が適宜手段によりスイッチベースに連結されて固定され、中間部において前記スイッチ部品を押さえ付けて該スイッチ部品を固定する請求項1記載のスイッチ部品の取付構造。
【請求項3】
前記ブラケットは弾性を有する材料により板状に形成され、固定時の弾性復元力により前記スイッチ部品を押さえ付ける請求項1または2記載のスイッチ部品の取付構造。
【請求項4】
車両のバックドアの外表面に操作部を露出させてスイッチ部品を固定するスイッチ部品の取付構造であって、
先端が閉じられた筒形状を有してバックドアのアウタパネルから外部に突出し、中空部をスイッチ保持部として前記スイッチ部品を保持するとともに、底壁部に前記操作部が挿通する挿通開口が開設されて前記アウタパネルに固定されるスイッチベースと、
前記スイッチ保持部の開口端から挿入され、一端を前記スイッチ保持部の壁面に係止するとともに、他端をスイッチ保持部の開口端近傍にネジ止めして固定され、固定状態において中間部により前記スイッチ部品を押し付けてスイッチ保持部内に保持する弾性変形を有する材料により板状に形成されるブラケットとを有し、
前記挿通開口は室内空間に連通して形成されるとともに、前記挿通開口周縁と前記スイッチ部品の対応部の双方に形成されるシール面の間にシール材が介装され、
前記ブラケットを固定した状態で、前記スイッチ部品は前記シール材のシール面圧増加方向に押圧されるスイッチ部品の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ部品の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のバックドアにスイッチ部品を取り付けるスイッチ部品の取付構造としては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、車両のテールゲート(バックドア)のアウターパネルには取付孔が開設され、該取付孔に嵌合するようにブラケット(スイッチベース)が固定される。
【0003】
スイッチ部品であるロックスイッチ、およびオープンスイッチは基盤上に実装されており、この基盤が固定される取付板をスイッチベースにネジ止めして固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-63146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来例において、スイッチ部品はスイッチベースに直接ネジ止めされるために、該スイッチ部品のネジ止め位置、あるいはネジ止め方向が限定されることから、スイッチ部品の配置等のレイアウト上の制約が大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
とりわけ、バックドアのアウタパネルに開設される開口は車内に通じているために、スイッチ部品を当該開口から外部に露出させると、開口周りの防水シールを考慮する必要があり、さらに、スイッチ部品の配置等の制約が重なることとなる。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、スイッチ部品の固定によるレイアウト上の制約を小さくすることのできるスイッチ部品の取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
車両1のバックドア2の外表面に操作部3を露出させてスイッチ部品4を固定するスイッチ部品の取付構造であって、
前記スイッチ部品4を保持するスイッチ保持部5を備え、該スイッチ保持部5に前記スイッチ部品4の操作部3を挿通させる挿通開口6が開設されてバックドア2のアウタパネル7に固定されるスイッチベース8と、
前記スイッチベース8に固定され、固定状態において前記スイッチ部品4を押さえ付けてスイッチ保持部5に固定するブラケット9とを有し、
前記挿通開口6は室内空間に連通して形成されるとともに、前記挿通開口6周縁と前記スイッチ部品4の対応部の双方に形成されるシール面11の間にシール材12が介装され、
前記ブラケット9を固定した状態で、前記スイッチ部品4は前記シール材12のシール面圧増加方向に押圧されるスイッチ部品の取付構造を提供することにより達成される。
【0009】
本発明において、バックドア2のアウタパネル7にはスイッチベース8が固定される。スイッチ部品4はスイッチベース8に連結され、連結状態においてスイッチベース8を押さえ付けるブラケット9を使用してスイッチベース8に固定される。
【0010】
スイッチ部品4を直接固定することなく、ブラケット9により押さえ付けて固定する本発明において、スイッチ部品4の固定位置を適宜決定することができるために、レイアウト上の制約を小さくすることができる。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記ブラケット9は、一端部がスイッチベース8に形成される係止段部10に係止されるとともに、他端部が適宜手段によりスイッチベース8に連結されて固定され、中間部において前記スイッチ部品4を押さえ付けて該スイッチ部品4を固定するスイッチ部品の取付構造を構成することができる。
【0012】
本発明において、スイッチベース8には係止段部10が形成され、ブラケット9は一端部を上記係止段部10に係止させた状態で他端部をネジ止め等によりスイッチベース8に連結して固定される。固定状態において、ブラケット9の中間部がスイッチ部品4を押し付けて該スイッチ部品4を所定位置に保持する。
【0013】
一端部を係止した状態で他端部を連結することでブラケット9の固定、すなわち、スイッチ部品4の装着が完了する本発明において、装着作業性が向上する。
【0014】
ブラケット9の係止は、自由端であっても、あるいは自由端近傍の側縁部であってもよく、さらに、反対端部のスイッチベース8への連結は、ネジ止め等、適宜手段によることが可能で、ブラケット9が弾性変形可能な場合には、弾性変形した状態でブラケット9を装着し、他端部をスイッチベース8に係止させることによって弾性復元力を利用して脱離を防止するように固定することもできる。
【0015】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記ブラケット9は弾性を有する材料により板状に形成され、固定時の弾性復元力により前記スイッチ部品4を押さえ付けるスイッチ部品の取付構造を構成することができる。
【0016】
ブラケット9によるスイッチ部品4の押し付けは、例えば、ブラケット9のスイッチ部品4への当接部を弾性変形可能な構造に形成し、該当接部の弾性復元力によりスイッチ部品4を押し付けることによって、ガタつき、あるいは後述するシール性能の向上を図ることができるが、ブラケット9を弾性を有する材料、例えば、金属板材により形成し、ブラケット9自体の弾性変形を利用してスイッチ部品4を押し付けると、構造を簡単にすることが可能になる。
【0017】
また、
以上において、
前記挿通開口6は室内空間に連通して形成されるとともに、前記挿通開口6周縁と前記スイッチ部品4の対応部の双方に形成されるシール面11の間にシール材12が介装され、
前記ブラケット9を固定した状態で、前記スイッチ部品4は前記シール材12のシール面圧増加方向に
押圧されるので、挿通開口6から室内への浸水を確実に防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ブラケットを介してスイッチ部品を固定するために、スイッチ部品を直接ネジ等を使用して固定する場合に比して、レイアウト上の制約を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明を示す図で、(a)はバックドアを備えた車両を示す側面図、(b)は背面図、(c)は(b)の1C部拡大図である。
【
図2】本発明の要部を示す図で、(a)は
図1(c)の2A-2A線断面図、(b)はブラケットの装着工程を示す断面図である。
【
図3】スイッチベースを示す図で、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図、(d)は(c)の3D方向矢視図である。
【
図4】スイッチ部品を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)の4B方向矢視図、(c)は(a)の4C方向矢視図、(d)は(a)の4D方向矢視図である。
【
図5】ブラケットを示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1、2に示すように、本発明によるスイッチ部品4は、車両1のバックドア2に取り付けられて使用されるもので、バックドア2のフィニッシャー13により覆われる領域に配置される。このスイッチ部品4は、ドアオープナーの操作スイッチとして機能しており、スイッチ部品4の操作部3を押下すると、車両1から利用者の所持する携帯器に対してリクエスト信号が送信され、このリクエスト信号に対する携帯器からの応答信号に含まれる認証用信号が車両1の認証装置により認証されると、図外のアクチュエータによりバックドア2の開放操作が行われる。
【0021】
図2に示すように、スイッチ部品4を装着するためにバックドア2のアウタパネル7にはスイッチ取付開口7aが開設され、このスイッチ取付開口7aにスイッチベース8が固定される。
【0022】
図2、3に示すように、スイッチベース8は上述したアウタパネル7のスイッチ取付開口7aの周縁に当接する取付フランジ8aと、取り付けフランジ8aの中心部に突設され、アウタパネル7への固定状態においてスイッチ取付開口7aから車両1外方に突出する中空の截頭四角錐形状をした筒状体8bとを有する。筒状体8bは突出先端は閉塞壁8cにより閉塞されており、中空部がスイッチ保持部5として使用される。
【0023】
また、筒状体8bの閉塞壁8cには係止段部10が形成されるとともに、底壁部には、挿通開口6が開設される。さらに、筒状体8bの基端部で底壁の延長部には円柱状膨隆部が8dが突設され、該円柱状膨隆部8dにネジ孔8eが形成される。挿通開口6の周囲には後述するスイッチ部品4に形成されるシール面11に対応するシール面11が形成される。
【0024】
上記スイッチ部品4は、
図2、4に示すように、スイッチハウジングから押しボタン状の操作部3を突出させて形成される。操作部3はスイッチハウジングの一端部に配置され、他端部には二股状の取付片4aが下方に向けて延設される。また、スイッチハウジングには、上記操作部3を囲むようにシール面11が形成される。
【0025】
このスイッチ部品4は
図2、および
図3(c)、(d)に示すように、取付片4aによりスイッチベース8の円柱状膨隆部8dを左右から挟み付け、操作部3を挿通開口6から露出させた姿勢で配置される。
【0026】
また、
図2に示すように、上記挿通開口6は室内空間に連通しているために、スイッチ部品4のハウジングとスイッチベース8の各々に形成されたシール面11の間には、シール材12が介装されて雨水等の室内への浸入が防止される。
【0027】
図5に示すように、ブラケット9は、上記スイッチ部品4をスイッチベース8上に保持するために使用され、金属板材をL字形状に折り曲げて形成される。このブラケット9の一端部には上記スイッチベース8のネジ孔8eに対応する止着子挿通孔9aが開設されるとともに、他端部は上記係止段部10に係止可能な寸法に形成される。
【0028】
したがって本例において、スイッチ部品4の装着は、シール材12を介在させた状態でスイッチ部品4を所定の位置、すなわち、操作部3を挿通開口6から露出させた姿勢に保持し、次いで、ブラケット9を装着して行われる。
【0029】
ブラケット9の装着は、
図2(b)に示すように、一端部をスイッチ保持部5の開口から挿入して先端部をスイッチベース8の係止段部10に係止させた後、ブラケット9全体を係止段部10との係止部を中心として
図2(b)において時計回りに回転させて止着子挿通孔9aをネジ孔8eに合致させ、この後、ネジ孔8eにビス14をねじ込んで行われる。
【0030】
ブラケット9を装着した状態でスイッチ部品4は、上面がブラケット9の中間部により下方に押し付けられる。このことから、シール材12には適宜のシール圧が付与されて挿通開口6から車内への浸水が確実に防止され、かつ、スイッチ部品4のガタツキ等が防がれる。
【0031】
なお、以上において、スイッチベース8にはスイッチ部品4のみを保持する場合を示したが、ハンドル装置を回転自在に連結することも可能である。この場合、スイッチ部品4の操作部3を押下すると、車両1から利用者の所持する携帯器に対してリクエスト信号が送信され、このリクエスト信号に対する携帯器からの応答信号に含まれる認証用信号が車両1の認証装置により認証されると、バックドア2を閉塞状態に保持している図外のロック装置に対する施錠状態が解除され、この後、ハンドルを操作してロック装置のラッチを解除して開扉操作を行うことができる。
【符号の説明】
【0032】
1 車両
2 バックドア
3 操作部
4 スイッチ部品
5 スイッチ保持部
6 挿通開口
7 アウタパネル
8 スイッチベース
9 ブラケット
10 係止段部
11 シール面
12 シール材