特許第6887890号(P6887890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887890
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】半導体装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/26 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
   H04B1/26 H
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-120680(P2017-120680)
(22)【出願日】2017年6月20日
(65)【公開番号】特開2019-9497(P2019-9497A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】内藤 渉
(72)【発明者】
【氏名】近藤 剛史
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−191266(JP,A)
【文献】 特開2007−281653(JP,A)
【文献】 特開2009−231883(JP,A)
【文献】 特開2005−277480(JP,A)
【文献】 特開2010−103797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカル信号を発生する発振回路と、
受信信号と前記ローカル信号とを乗算するミキサと、
前記ミキサから出力された信号をフィルタリングするアナログフィルタと、
前記アナログフィルタを通過した信号をデジタル化して第1の信号を生成するAD変換器と、
前記AD変換器を通過した信号をフィルタリングして第2の信号を生成するデジタルフィルタと、
前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差を検出する電力比較部と、
妨害波がない場合の前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差である理論電力差を格納するレジスタと、
前記電力比較部により検出された電力差と前記理論電力差とに基づいて、前記ローカル信号の周波数を決定する判定部と、
を備え
前記判定部は、前記電力差と前記理論電力差とに基づいて、n種類(nは自然数)の候補周波数の中から前記ローカル信号の周波数を決定し、前記n種類の候補周波数のローカル信号を発生するように前記発振回路を制御し、
前記電力比較部は、前記n種類の候補周波数のそれぞれについて、前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差を検出することにより、n個の電力差を検出し、
前記判定部は、前記n個の電力差の中で前記理論電力差に最も近い電力差を選択し、前記最も近い電力差に対応する前記候補周波数を、前記ローカル信号の周波数として決定する、
半導体装置。
【請求項2】
ローカル信号を発生する発振回路と、
受信信号と前記ローカル信号とを乗算するミキサと、
前記ミキサから出力された信号をフィルタリングするアナログフィルタと、
前記アナログフィルタを通過した信号をデジタル化して第1の信号を生成するAD変換器と、
前記AD変換器を通過した信号をフィルタリングして第2の信号を生成するデジタルフィルタと、
前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差を検出する電力比較部と、
妨害波がない場合の前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差である理論電力差を格納するレジスタと、
前記電力比較部により検出された電力差と前記理論電力差とに基づいて、前記ローカル信号の周波数を決定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、n種類(nは自然数)の候補周波数のローカル信号を発生するように前記発振回路を制御し、
前記電力比較部は、前記n種類の候補周波数のそれぞれについて、前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差を検出することにより、n個の電力差を検出し、
前記判定部は、前記n個の電力差における前記理論電力差に近い順番を求め、前記近い順番に基づいて、ローカル信号のさらなる候補周波数を決定する、
導体装置。
【請求項3】
前記電力比較部は、前記さらなる候補周波数について、前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差をさらに検出し、
前記判定部は、前記n個の電力差及び前記さらなる候補周波数の電力差の中で前記理論電力差に最も近い電力差を選択し、前記最も近い電力差に対応する前記候補周波数を、前記ローカル信号の周波数として決定する、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
ミキサの後段のアナログフィルタを通過した信号がデジタル化された第1の信号の電力値と、前記第1の信号がデジタルフィルタを通過して生成された第2の信号の電力値との電力差を検出し、
妨害波がない場合の前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差である理論電力差を読み出し、
検出された前記電力差と前記理論電力差とに基づいて、前記ミキサへ入力されるローカル信号の周波数を決定し、
前記電力差と前記理論電力差とに基づいて、n種類(nは自然数)の候補周波数の中から前記ローカル信号の周波数を決定し、
前記n種類の候補周波数のローカル信号を前記ミキサへ順次入力し、
前記n種類の候補周波数のそれぞれについて、前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差を検出することにより、n個の電力差を検出し、
前記n個の電力差の中で前記理論電力差に最も近い電力差を選択し、
前記最も近い電力差に対応する前記候補周波数を、前記ローカル信号の周波数として決定する、
方法。
【請求項5】
ミキサの後段のアナログフィルタを通過した信号がデジタル化された第1の信号の電力値と、前記第1の信号がデジタルフィルタを通過して生成された第2の信号の電力値との電力差を検出し、
妨害波がない場合の前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差である理論電力差を読み出し、
検出された前記電力差と前記理論電力差とに基づいて、前記ミキサへ入力されるローカル信号の周波数を決定し、
n種類(nは自然数)の候補周波数のローカル信号を前記ミキサへ順次入力し、
前記n種類の候補周波数のそれぞれについて、前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差を検出することにより、n個の電力差を検出し、
前記n個の電力差における前記理論電力差に近い順番を求め、
前記近い順番に基づいて、ローカル信号のさらなる候補周波数を決定する、
法。
【請求項6】
前記さらなる候補周波数について、前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差をさらに検出し、
前記n個の電力差及び前記さらなる候補周波数の電力差の中で前記理論電力差に最も近い電力差を選択し、
前記最も近い電力差に対応する前記候補周波数を、前記ローカル信号の周波数として決定する、
請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその方法に関し、例えばLow−IF(Intermediate Frequency)方式の無線受信機として用いられる半導体装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アンテナ、同調回路、高周波増幅回路、局部発振器、ミキサ、IFフィルタ、及びIF増幅回路を備えたスーパーヘテロダイン方式の無線受信機が開示されている。スーパーヘテロダイン方式の無線受信機は、一般的な受信機であり、周波数安定性と選択性に優れているため、携帯電話、テレビ、ラジオ等、幅広い通信、放送分野で用いられている。
【0003】
スーパーヘテロダイン方式では、イメージ信号が発生するという問題がある。なお、イメージ信号とは、アンテナにより受信される妨害波信号であって、ミキサを通過後に希望波信号の受信帯域に折り返す信号のことである。例えば、アンテナにより受信される希望波信号の周波数をf_RF、ローカル信号の周波数をf_LO、イメージ信号の周波数をf_IMとすると、f_RF>f_LOの場合には、f_RF−f_LO=f_LO−f_IMという関係になる。
【0004】
スーパーヘテロダイン方式では、同調回路等のフィルタにより、ミキサに入力される前にイメージ信号を減衰させることによって、イメージ信号による受信性能の劣化を軽減することが知られている。
【0005】
また、スーパーヘテロダイン方式と構成は同じであるが、IF周波数をより小さい周波数としたLow−IFシステムの無線受信機が知られている。Low−IFシステムの無線受信機では、IF周波数をより小さい周波数とすることで、後段のデジタル処理を行いやすくすることができるという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−068752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、Low−IF方式では、受信希望波信号の周波数とイメージ信号の周波数とが近接している。このため、フィルタによってミキサに入力される前にイメージ信号を十分に減衰させることが難しく、イメージ信号による受信性能の劣化を軽減することが困難であるという問題があった。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置は、ローカル信号を発生する発振回路と、ミキサと、アナログフィルタと、前記アナログフィルタを通過した信号をデジタル化して第1の信号を生成するAD変換器と、前記AD変換器を通過した信号をフィルタリングして第2の信号を生成するデジタルフィルタと、前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差を検出する電力比較部と、妨害波がない場合の前記第1の信号の電力値と前記第2の信号の電力値との電力差である理論電力差を格納するレジスタと、前記電力比較部により検出された電力差と前記理論電力差とに基づいて、前記ローカル信号の周波数を決定する判定部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
前記一実施の形態によれば、イメージ信号による受信性能の劣化を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1にかかる半導体装置の構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1にかかる理論電力差を説明するための図である。
図3】実施の形態1にかかるローカル信号の周波数の決定手法を説明するための図である。
図4】実施の形態1にかかるローカル信号の周波数の決定手法を説明するための図である。
図5】実施の形態1にかかる半導体装置の構成の具体例を示すブロック図である。
図6】実施の形態1にかかる半導体装置の判定部の処理を説明するための図である。
図7】実施の形態1にかかる半導体装置の判定部の処理を説明するための図である。
図8】実施の形態1にかかる半導体装置の判定部の処理を説明するための図である。
図9】実施の形態1にかかる半導体装置の構成の他の例を示すブロック図である。
図10】実施の形態1にかかる半導体装置の処理例を示すフローチャートである。
図11】実施の形態2にかかる半導体装置の処理例を示すフローチャートである。
図12】受信信号の希望波帯域とイメージ信号との関係について説明するための図である。
図13】受信信号の希望波帯域とイメージ信号との関係について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0013】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。
【0014】
実施の形態の説明に先立って、受信信号の希望波帯域とイメージ信号との関係について、図12及び図13を用いて説明する。
【0015】
図12は、ミキサ通過後のIF周波数の希望波帯域とイメージ信号との関係を示す図である。図12の例では、チャネル間隔が200kHzであり、IF周波数として500kHzを中心としたch6(チャネル6)を用いて通信を行っている場合を示している。この場合、−500kHzを中心としたch1の信号は、ミキサ通過後にch6の希望波帯域に折り返す。このため、図12の例では、ch1のイメージ信号によって、ch6の受信性能が劣化する。
【0016】
図13の例のように、ch6のIF周波数を変更することによって、ch1のイメージ信号によるch6の受信性能の劣化を軽減することができる。図13の例では、ch6の中心周波数を550kHzとしている。この場合、−450kHzを中心としたch1の信号は、ミキサ通過後に450kHzに折り返す。これにより、ch1の折り返し信号の中心周波数とch6の中心周波数とは、100kHz離れる。このため、図13の例では、図12の例に比べて、ch1のイメージ信号によるch6の受信性能の劣化を軽減することができる。
【0017】
しかし、図13の例であっても、図13にて点線で示すように、−550kHzにイメージ信号が存在する場合には、そのイメージ信号は、ミキサ通過後にch6の希望波帯域に折り返す。本件発明者は、これらの点を鑑み、通信開始時に、適応的にIF周波数を切り替えることを想到した。
【0018】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0019】
実施の形態1
図1は、実施の形態1にかかる半導体装置100の構成例を示すブロック図である。半導体装置100は、発振回路1と、ミキサ2と、アナログフィルタ3と、AD変換器4と、デジタルフィルタ5と、電力比較部6と、レジスタ7と、判定部8と、を備えている。また、半導体装置100は、例えば、SubGHz帯域の信号を受信する無線受信機として用いられるが、これに限らない。
【0020】
発振回路1は、ローカル信号を発生する発振回路である。発振回路1は、ローカル信号をミキサ2へ出力する。ここでは一例として、位相を90°ずらしたIおよびQのローカル信号を用いているが、受信機のアーキテクチャによっては1つのローカル信号のみを用いるように構成することも可能である。
【0021】
ミキサ2には、半導体装置100により受信された受信信号が入力される。また、ミキサ2には、発振回路1からローカル信号が入力される。また、ミキサ2は、受信信号とローカル信号とを乗算する。そして、ミキサ2は、乗算により生成された信号をアナログフィルタ3へ出力する。
【0022】
アナログフィルタ3は、ミキサ2から出力された信号をフィルタリングする。また、アナログフィルタ3は、フィルタリングにより生成された信号をAD変換器4へ出力する。
【0023】
AD変換器4は、アナログフィルタ3から出力された信号をデジタル化して第1の信号を生成する。そして、AD変換器4は、生成された第1の信号をデジタルフィルタ5及び電力比較部6へ出力する。
【0024】
デジタルフィルタ5は、第1の信号をフィルタリングして第2の信号を生成する。そして、デジタルフィルタ5は、生成された第2の信号を電力比較部6へ出力する。なお、デジタルフィルタ5の帯域幅は、アナログフィルタ3の帯域幅より狭い。
【0025】
電力比較部6は、第1の信号をAD変換器4から受け取る。また、電力比較部6は、第2の信号をデジタルフィルタ5から受け取る。また、電力比較部6は、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出する。なお、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差とは、第1の信号の電力帯域積分値から第2の信号の電力帯域積分値を減算した値を示す。そして、電力比較部6は、検出された電力差を判定部8へ出力する。
【0026】
レジスタ7は、妨害波がない場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差である理論電力差を格納している。なお、妨害波がない場合とは、アナログフィルタ3の帯域内、及びデジタルフィルタ5の帯域内に妨害波が被らない場合のことである。
【0027】
例えば、理論電力差とは、受信信号における希望波信号とアナログフィルタ3の帯域とデジタルフィルタ5の帯域とが、図2の例に示すような関係である場合において、第1の信号の電力帯域積分値から第2の信号の電力帯域積分値を減算した値である。なお、図2の状態では、イメージ妨害波は、アナログフィルタ3の帯域内、及びデジタルフィルタ5の帯域内に被っていない。このため、理論電力差は、第1の信号の電力帯域積分値から第2の信号の電力帯域積分値を減算することにより、希望波信号の電力が打ち消された値、すなわち0に近い値となる。
【0028】
判定部8は、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を、電力比較部6から受け取る。また、判定部8は、理論電力差をレジスタ7から読み出す。また、判定部8は、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差と、理論電力差とに基づいて、ローカル信号の周波数を決定する。そして、判定部8は、発振回路1により生成されるローカル信号の周波数を、決定された周波数に調整する。
【0029】
ここで、図3及び図4を用いて、判定部8によるローカル信号の周波数の決定手法について説明する。図3の例では、イメージ妨害波は、希望波の帯域内に被っていない。これに対し、図4の例では、イメージ妨害波は、希望波の帯域内に被っている。このため、図4の例では、イメージ信号の影響によって図3の例よりも受信性能は劣化する。
【0030】
また、図3の例における第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差の方が、図4の例における第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差よりも理論電力差に近い。このため、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差が、理論電力差に近くなるようにローカル信号の周波数を決定することにより、イメージ信号による受信性能の劣化を軽減することができる。
【0031】
続いて、図5のブロック図を用いて、実施の形態1にかかる半導体装置100の構成の具体例について説明する。半導体装置100は、例えば、SubGHz帯域の信号を受信するLow−IF方式の無線受信機として用いられる。
【0032】
半導体装置100は、発振回路1と、ミキサ2と、アナログフィルタ3と、AD変換器4と、デジタルフィルタ5と、電力比較部6と、レジスタ7と、判定部8と、LNA(Low Noise Amplifier)9と、VGA(Variable Gain Amplifiers)10と、AGC(Automatic Gain Control)回路11と、IIR(Infinite impulse response)フィルタ12と、複素乗算器13と、NCO(Numerical Controlled Oscillator)14と、DEMOD(Demodulator)15と、を備えている。また、デジタルフィルタ5は、IIRフィルタ16を備えている。
【0033】
図示しないアンテナにより受信されたSubGHz帯域のRF(Radio Frequency)信号は、LNA9に入力される。LNA9は、RF信号を増幅し、ミキサ2へ出力する。なお、図5の例では、LNA9は、利得可変型の低雑音増幅器である。LNA9は、AGC回路11により利得が制御される。
【0034】
発振回路1は、ローカル信号を発生する発振回路である。発振回路1は、例えばPLL(Phase Locked Loop)回路である。発振回路1は、ローカル信号をミキサ2へ出力する。ここでは一例として、位相を90°ずらしたIおよびQのローカル信号を用いているが、受信機のアーキテクチャによっては1つのローカル信号のみを用いるように構成することも可能である。
【0035】
ミキサ2は、RF信号とローカル信号とを乗算してIF信号を生成する。そして、ミキサ2は、生成されたIF信号をアナログフィルタ3へ出力する。
【0036】
アナログフィルタ3は、IFフィルタである。アナログフィルタ3は、ミキサ2から出力されたIF信号をフィルタリングし、VGA10へ出力する。
【0037】
VGA10は、アナログフィルタ3から出力されたIF信号を増幅し、AD変換器4へ出力する。なお、VGA10は、AGC回路11により利得が制御される。
【0038】
AD変換器4は、VGA10から出力されたIF信号をデジタル化して第1の信号を生成する。そして、AD変換器4は、生成された第1の信号を、AGC回路11、IIRフィルタ12、及び電力比較部6へ出力する。
【0039】
AGC回路11は、AD変換器4から第1の信号を受け取る。また、AGC回路11は、第1の信号の電力値が所定の電力値になるように、LNA9及びVGA10の利得を制御する。
【0040】
IIRフィルタ12は、AD変換器4から出力された第1の信号をフィルタリングし、複素乗算器13へ出力する。
【0041】
NCO14は、発振信号を生成し、複素乗算器13へ出力する。
【0042】
複素乗算器13は、IIRフィルタ12から出力された第1の信号とNCO14から出力された発振信号とを複素乗算してベースバンド信号を生成する。そして、複素乗算器13は、生成されたベースバンド信号をIIRフィルタ16へ出力する。
【0043】
IIRフィルタ16は、複素乗算器13から出力されたベースバンド信号をフィルタリングして第2の信号を生成する。そして、IIRフィルタ16は、生成された第2の信号を、DEMOD15及び電力比較部6へ出力する。
【0044】
DEMOD15は、IIRフィルタ16から出力された第2の信号を復調する。
【0045】
電力比較部6は、第1の信号をAD変換器4から受け取る。また、電力比較部6は、第2の信号をIIRフィルタ16から受け取る。また、電力比較部6は、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出する。そして、電力比較部6は、検出された電力差を判定部8へ出力する。
【0046】
判定部8は、電力比較部6により検出された電力差と理論電力差とに基づいて、n種類(nは自然数)の候補周波数の中からローカル信号の周波数を決定する。
【0047】
具体的には、判定部8は、n種類の候補周波数のローカル信号を発生するように発振回路1を制御する。また、判定部8は、n種類の候補周波数のそれぞれについて、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を電力比較部6から受け取る。すなわち、判定部8は、n個の電力差を電力比較部6から受け取る。また、判定部8は、理論電力差をレジスタ7から読み出す。また、判定部8は、n個の電力差の中で理論電力差に最も近い電力差を選択する。さらに、判定部8は、選択された最も近い電力差に対応する候補周波数を、ローカル信号の周波数として決定する。そして、判定部8は、発振回路1により生成されるローカル信号の周波数を、決定された周波数に調整する。
【0048】
ここで、判定部8の処理について、図6図8を用いて説明する。なお、アンテナにより受信される希望波周波数は、1GHzであり、ローカル周波数の初期設定値は、999.5MHzであり、初期IF周波数は、500kHzであるものとして説明する。また、ローカル信号のn種類の候補周波数として、0ppm(999.5MHz)、−100ppm(999.4MHz)、+100ppm(999.6MHz)の3種類の候補周波数を用いるものとする。なお、ローカル信号の候補周波数が、0ppm(999.5MHz)、−100ppm(999.4MHz)、+100ppm(999.6MHz)の場合、IF周波数は、それぞれ500kHz、600kHz、400kHzとなる。
【0049】
なお、候補周波数は、例えば半導体装置100により受信する信号のデータレートに基づいて設定するようにしてもよい。例えば、半導体装置100により受信する信号のデータレートが100kbpsの場合に、候補周波数を100ppm間隔で設定するようにしてもよい。
【0050】
まず、判定部8は、ローカル信号の周波数が0ppm(999.5MHz)になるように発振回路1を制御する。これにより、電力比較部6は、ローカル信号の周波数が0ppmである場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出する。そして、判定部8は、ローカル信号の周波数が0ppmである場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を電力比較部6から受け取る。
【0051】
図6は、ローカル信号の周波数が0ppm(999.5MHz)の場合における、受信希望波信号、イメージ妨害波、アナログフィルタ3の帯域、及びIIRフィルタ16の帯域の関係の例を示す図である。この場合、イメージ妨害波が希望波に重なるため、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差は、理論電力差からずれる。
【0052】
次に、判定部8は、ローカル信号の周波数がー100ppm(999.4MHz)になるように発振回路1を制御する。これにより、電力比較部6は、ローカル信号の周波数が−100ppmである場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出する。そして、判定部8は、ローカル信号の周波数が−100ppmである場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を電力比較部6から受け取る。
【0053】
図7は、ローカル信号の周波数が−100ppm(999.4MHz)の場合における、受信希望波信号、イメージ妨害波、アナログフィルタ3の帯域、及びIIRフィルタ16の帯域の関係の例を示す図である。この場合、希望波がIIRフィルタ16の中心になり、イメージ妨害波がIIRフィルタ16の帯域外にずれるため、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差は、理論電力差に近づく。
【0054】
次に、判定部8は、ローカル信号の周波数が+100ppm(999.6MHz)になるように発振回路1を制御する。これにより、電力比較部6は、ローカル信号の周波数が+100ppmである場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出する。そして、判定部8は、ローカル信号の周波数が+100ppmである場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を電力比較部6から受け取る。
【0055】
図8は、ローカル信号の周波数が+100ppm(999.6MHz)の場合における、受信希望波信号、イメージ妨害波、アナログフィルタ3の帯域、及びIIRフィルタ16の帯域の関係の例を示す図である。この場合、希望波がIIRフィルタ16の帯域外にずれるため、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差は、理論電力差からずれる。
【0056】
次に、判定部8は、3つの電力差の中で理論電力差に最も近い電力差を選択する。本例では、ローカル信号の周波数が−100ppmの場合における第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差が理論電力差に最も近い。このため、判定部8は、−100ppmの場合における電力差を選択する。
【0057】
次に、判定部8は、選択された最も近い電力差に対応する候補周波数である−100ppm(999.4MHz)を、ローカル信号の周波数として決定する。そして、判定部8は、発振回路1により生成されるローカル信号の周波数を、999.4MHzに調整する。
【0058】
なお、実施の形態1にかかる半導体装置100は、図9のブロック図に示すように、IIRフィルタ17及びAFC(Automatic frequency control)回路18をさらに備えるようにしてもよい。
【0059】
IIRフィルタ17は、IIRフィルタ16から第2の信号を受け取る。また、IIRフィルタ17は、第2の信号をフィルタリングしてAFC回路18へ出力する。
【0060】
AFC回路18は、IIRフィルタ17から入力された信号を用いてAFCを実施する。そして、AFC回路18は、AFCの結果を発振回路1へフィードバックすることにより、ローカル周波数を調整して周波数偏差の補正を行う。
【0061】
また、AFC回路18は、判定部8から候補周波数を受け取る。そして、AFC回路18は、ローカル信号の周波数が候補周波数になるように発振回路1を制御する。
【0062】
さらに、AFC回路18は、判定部8からローカル信号の周波数として決定された周波数を受け取る。そして、AFC回路18は、ローカル信号の周波数が決定された周波数になるように発振回路1を制御する。
【0063】
続いて、図10のフローチャートを用いて、実施の形態1にかかる半導体装置100の処理について説明する。なお、図10のフローチャートは、図6図8の例と同様の条件、すなわち3つの候補周波数を用いる場合の例である。
【0064】
まず、半導体装置100は、AGC回路11により、AGCを実施する(ステップS101)。
【0065】
次に、半導体装置100は、判断部8により、ローカル信号の周波数が第1の候補周波数になるように発振回路1を制御する(ステップS102)。なお、第1の候補周波数は、例えば0ppmの周波数である。また、第1の候補周波数として0ppmの周波数を用いる場合に、AFC回路18がAFCを実施することにより、ローカル信号の周波数が第1の候補周波数になるように発振回路1を制御してもよい。
【0066】
次に、半導体装置100は、電力比較部6により、ローカル信号の周波数が第1の候補周波数である場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出する(ステップS103)。なお、この電力差を第1の電力差とも呼ぶ。
【0067】
次に、半導体装置100は、判断部8により、ローカル信号の周波数が第2の候補周波数になるように発振回路1を制御する(ステップS104)。なお、第2の候補周波数は、例えば−100ppmの周波数である。
【0068】
次に、半導体装置100は、電力比較部6により、ローカル信号の周波数が第2の候補周波数である場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出する(ステップS105)。なお、この電力差を第2の電力差とも呼ぶ。
【0069】
次に、半導体装置100は、判断部8により、ローカル信号の周波数が第3の候補周波数になるように発振回路1を制御する(ステップS106)。なお、第3の候補周波数は、例えば+100ppmの周波数である。
【0070】
次に、半導体装置100は、電力比較部6により、ローカル信号の周波数が第3の候補周波数である場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出する(ステップS107)。なお、この電力差を第3の電力差とも呼ぶ。
【0071】
次に、半導体装置100は、判断部8により、理論電力差をレジスタ7から読み出す(ステップS108)。
【0072】
次に、半導体装置100は、判断部8により、第1〜第3の電力差の中で理論電力差に最も近い電力差を選択する(ステップS109)。
【0073】
そして、半導体装置100は、判断部8により、ステップS109にて選択された電力差に対応する候補周波数をローカル信号の周波数として決定する(ステップS110)。
【0074】
以上、説明したように、実施の形態1にかかる半導体装置100は、発振回路1と、ミキサ2と、アナログフィルタ3と、アナログフィルタ3を通過した信号をデジタル化して第1の信号を生成するAD変換器4と、AD変換器4を通過した信号をフィルタリングして第2の信号を生成するデジタルフィルタ5と、を備える構成としている。また、半導体装置100は、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出する電力比較部6を備える構成としている。また、半導体装置100は、妨害波がない場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差である理論電力差を格納するレジスタ7を備える構成としている。さらに、半導体装置100は、電力比較部6により検出された電力差と理論電力差とに基づいて、ローカル信号の周波数を決定する判定部8を備える構成としている。これにより、半導体装置100では、妨害波がない場合の理論電力差に近い電力差となるようにローカル信号の周波数を決定することができる。すなわち、半導体装置100では、IF周波数を適応的に切り替えることができ、イメージ信号による受信性能の劣化を軽減することができる。
【0075】
また、半導体装置100では、判定部8により、電力比較部6によって検出された電力差と理論電力差とに基づいて、n種類の候補周波数の中からローカル信号の周波数を決定する構成としている。これにより、半導体装置100では、妨害波がない場合の理論電力差に近い電力差となるように、n種類の候補周波数の中からローカル信号の周波数を選択することができる。また、システムにおける復調時間の制約を満たすようにnの値を設定することにより、システムに影響を与えずに、IF周波数を適応的に切り替えることができる。
【0076】
また、半導体装置100では、判定部8により、n種類の候補周波数のローカル信号を発生するように発振回路1を制御する構成としている。また、半導体装置100では、電力比較部6により、n種類の候補周波数のそれぞれについて、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出することにより、n個の電力差を検出する構成としている。さらに、半導体装置100では、判定部8により、n個の電力差の中で理論電力差に最も近い電力差を選択し、最も近い電力差に対応する候補周波数を、ローカル信号の周波数として決定する構成としている。これにより、半導体装置100では、n種類の候補周波数の中から理論電力差に最も近い電力差となる候補周波数を、ローカル信号の周波数として決定することができる。
【0077】
実施の形態2
続いて、実施の形態2にかかる半導体装置100Aについて説明する。半導体装置100Aは、判断部8が判断部8Aに置き換わった点以外は実施の形態1の半導体装置100と同様であり、図示及び説明を省略する。
【0078】
判断部8Aは、n種類の候補周波数のローカル信号を発生するように発振回路1を制御する。また、判定部8Aは、n種類の候補周波数のそれぞれについて、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を電力比較部6から受け取る。すなわち、判定部8Aは、n個の電力差を電力比較部6から受け取る。また、判定部8Aは、理論電力差をレジスタ7から読み出す。なお、ここまでは、判断部8Aの処理は、判断部8の処理と同様である。
【0079】
また、判定部8Aは、n個の電力差における理論電力差に近い順番を求める。そして、判定部8Aは、n個の電力差における理論電力差に近い順番に基づいて、ローカル信号のさらなる候補周波数を決定する。
【0080】
電力比較部6は、さらなる候補周波数について、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差をさらに検出する。
【0081】
判定部8Aは、n個の電力差及びさらなる候補周波数の電力差の中で理論電力差に最も近い電力差を選択する。そして、判定部8Aは、選択された最も近い電力差に対応する候補周波数を、ローカル信号の周波数として決定する。
【0082】
ここで、判定部8Aの処理について、具体例を説明する。なお、アンテナにより受信される希望波周波数は、1GHzであり、ローカル周波数の初期設定値は、999.5MHzであり、初期IF周波数は、500kHzであるものとして説明する。また、ローカル信号のn種類の候補周波数として、0ppm(999.5MHz)、−100ppm(999.4MHz)、+100ppm(999.6MHz)の3種類の候補周波数を用いるものとする。なお、候補周波数が0ppmである場合の電力差を第1の電力差とも呼ぶ。また、候補周波数が−100ppmである場合の電力差を第2の電力差とも呼ぶ。さらに、候補周波数が+100ppmである場合の電力差を第3の電力差とも呼ぶ。
【0083】
判定部8Aは、第1の電力差、第2の電力差、及び第3の電力差における理論電力差に近い順番を求める。そして、判定部8Aは、3つの電力差における理論電力差に近い順番に基づいて、ローカル信号のさらなる候補周波数を決定する。
【0084】
理論電力差に近い順番が、近い順に、第1の電力差、第2の電力差、第3の電力差である場合、判定部8Aは、0ppmと−100ppmとの間の周波数を、ローカル信号のさらなる候補周波数として決定する。この場合、判定部8Aは、例えば、0ppmと−100ppmとの中間である−50ppmをさらなる候補周波数として決定する。
【0085】
理論電力差に近い順番が、近い順に、第1の電力差、第3の電力差、第2の電力差である場合、判定部8Aは、0ppmと+100ppmとの間の周波数を、ローカル信号のさらなる候補周波数として決定する。この場合、判定部8Aは、例えば、0ppmと+100ppmとの中間である+50ppmをさらなる候補周波数として決定する。
【0086】
理論電力差に近い順番が、近い順に、第2の電力差、第1の電力差、第3の電力差である場合、判定部8Aは、−100ppmより小さい周波数を、ローカル信号のさらなる候補周波数として決定する。この場合、判定部8Aは、例えば、−150ppmをさらなる候補周波数として決定する。
【0087】
理論電力差に近い順番が、近い順に、第3の電力差、第1の電力差、第2の電力差である場合、判定部8Aは、+100ppmより大きい周波数を、ローカル信号のさらなる候補周波数として決定する。この場合、判定部8Aは、例えば、+150ppmをさらなる候補周波数として決定する。
【0088】
判定部8は、ローカル信号の周波数がさらなる候補周波数である場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を電力比較部6から受け取る。
【0089】
判定部8Aは、第1の電力差、第2の電力差、第3の電力差、及びさらなる候補周波数の電力差の中で理論電力差に最も近い電力差を選択する。そして、判定部8Aは、選択された最も近い電力差に対応する候補周波数を、ローカル信号の周波数として決定する。
【0090】
続いて、図11のフローチャートを用いて、実施の形態2にかかる半導体装置100Aの処理について説明する。なお、図11のフローチャートは、3つの候補周波数とさらなる候補周波数を用いる場合の例である。
【0091】
ステップS201〜ステップS208については、図10のステップS101〜ステップS108と同様であり、説明を省略する。
【0092】
半導体装置100Aは、判断部8Aにより、第1〜第3の電力差における理論電力差に近い順番を求める(ステップS209)。
【0093】
次に、半導体装置100Aは、判断部8Aにより、ステップS209にて求めた理論電力差に近い順番に基づいて、ローカル信号のさらなる候補周波数を決定する(ステップS210)。
【0094】
次に、半導体装置100Aは、判断部8Aにより、ローカル信号の周波数がステップS210にて決定されたさらなる候補周波数になるように発振回路1を制御する(ステップS211)。
【0095】
次に、半導体装置100Aは、電力比較部6により、ローカル信号の周波数がさらなる候補周波数である場合の第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出する(ステップS212)。
【0096】
次に、半導体装置100Aは、判断部8Aにより、第1〜第3の電力差及びさらなる候補周波数の電力差の中で理論電力差に最も近い電力差を選択する(ステップS213)。
【0097】
そして、半導体装置100Aは、判断部8Aにより、ステップS213にて選択された電力差に対応する候補周波数をローカル信号の周波数として決定する(ステップS214)。
【0098】
以上、説明したように、実施の形態2にかかる半導体装置100Aでは、判定部8Aにより、n種類の候補周波数のローカル信号を発生するように発振回路1を制御する構成としている。また、半導体装置100Aでは、電力比較部6により、n種類の候補周波数のそれぞれについて、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差を検出することにより、n個の電力差を検出する構成としている。また、半導体装置100Aでは、判定部8Aにより、n個の電力差における理論電力差に近い順番を求める構成としている。さらに、半導体装置100Aでは、判定部8Aにより、理論電力差に近い順番に基づいて、ローカル信号のさらなる候補周波数を決定する構成としている。これにより、実施の形態2にかかる半導体装置100Aでは、n+1種類目の候補周波数として、n種類の候補周波数よりも理論電力差に近い電力差となり得る候補周波数を決定することができる。
【0099】
また、半導体装置100Aでは、電力比較部6により、さらなる候補周波数について、第1の信号の電力値と第2の信号の電力値との電力差をさらに検出する構成としている。また、半導体装置100Aでは、判定部8Aにより、n個の電力差及びさらなる候補周波数の電力差の中で理論電力差に最も近い電力差を選択し、最も近い電力差に対応する候補周波数を、ローカル信号の周波数として決定する構成としている。これにより、半導体装置100Aでは、n種類の候補周波数の中から理論電力差に最も近い電力差となる候補周波数を決定することに比べて、理論電力差にさらに近い電力差となる候補周波数を決定し得る。すなわち、半導体装置100Aでは、イメージ信号による受信性能の劣化をさらに軽減することができる。
【0100】
なお、実施の形態で述べた電力比較部及び判定部の処理は、例えば、少なくとも1つのプロセッサ(e.g. MPU(Micro Processing Unit))にプログラムを実行させることによって実現することができる。
【0101】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0102】
1 発振回路
2 ミキサ
3 アナログフィルタ
4 AD変換器
5 デジタルフィルタ
6 電力比較部
7 レジスタ
8、8A 判定部
100、100A 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13