【文献】
丸谷 美織 外2名,画像閲覧履歴の学習による医用画像の重要度評価とその応用に関する研究,映像情報メディア学会技術報告,日本,(社)映像情報メディア学会,2011年2月14日,第35巻第9号,p.41−45
【文献】
江川 陽 外1名,視線データからの画像評価に関する研究,映像情報メディア学会 2011年年次大会講演予稿集 [CD−ROM] 映像情報メディア学会 2011年年次大会講演予稿集,日本,社団法人映像情報メディア学会,2011年8月1日,p.1−2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記医療従事者に関する前記操作ログと前記位置ログから、特定の前記医療従事者に関わる前記医用画像を検索する共有参照画像検索部を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像検索支援装置。
前記注目画像分析部は、前記ミーティングにおいて表示時間が長かった前記医用画像、付されたブックマークの数が多い前記医用画像、或いは、前記医療従事者による入力部の操作履歴や前記医療従事者の視線移動を基に把握される前記医用画像を注目度の高い医用画像であると認識し抽出することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像検索支援装置。
前記注目画像分析部において抽出された注目度が高い前記医用画像をベストプラクティスとして登録するベストプラクティス部をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像検索支援装置。
前記ベストプラクティス部は、登録の対象となる前記医用画像を基に作成されたスケッチを、基となった前記医用画像と対にして登録することを特徴とする請求項5に記載の画像検索支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、実施の形態におけるチーム医療支援システムSの全体構成を示すブロック図である。チーム医療支援システムSは、ミーティング支援装置1と、チームメンバーがそれぞれ所持する携帯情報端末2と、患者に関する様々な医療情報を提供するモダリティ3とから構成される。ミーティング支援装置1、携帯情報端末2とモダリティ3は、いずれもそれぞれの装置間で医療情報のやり取りができるように通信ネットワークNに接続されている。なお、明細書内におけるミーティング支援装置は、特許請求の範囲における画像検索支援装置に相当する。
【0012】
チーム医療支援システムSは、それ自体独立したシステムとして構成されても良いが、例えば、病院情報管理システム(HIS:Hospital Information System)、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving Communication System)といった医療機関内に構築された各種管理システムの全て、或いは、その一部を構成するようにされていても良い。
【0013】
ミーティング支援装置1は、チーム医療を行うチームメンバーが患者の現状や治療方針等を策定するためにミーティングを行う際に利用される装置である。具体的な構成については後述するが、チームメンバーがミーティングを行うに当たって必要な資料の提供やチームメンバーがアクセスした資料に関する情報をログとして取得し記憶するといった機能を備えている。
【0014】
なお本発明の実施の形態においては、ミーティング支援装置1をこのようなミーティングの支援を行う「装置」として構成したが、例えば、上述したPACSとして構成しても良い。その場合には、後述する例えば、表示部1gは、表示装置として、というように、各部はそれぞれの機能を備える個々の装置としてPACSを構成する。
【0015】
携帯情報端末2は、ミーティングに参加するチームメンバーが所持し使用する端末である。チームメンバーは、後述するミーティング支援装置1を構成する表示部1gに表示される患者に関する画像等の医療情報を見ながらミーティングを行う。また、適宜、手元にある携帯情報端末2を介して、そのチームメンバーが必要と思う医療情報を呼び出して参照することもできる。
【0016】
なお、携帯情報端末2として例えば、タブレットやスマートフォン等が考えられるが、その他、例えば、ノート型のパソコンであっても良い。また、ここでは「携帯」情報端末としているが、もちろん「情報端末」であっても構わない。さらには、画面に表示させた画像(医療情報)を基に、スケッチが書き込めるようにされていても良い。
【0017】
モダリティ3は、患者を撮影してその内部情報を取得する医用画像取得(撮影)装置である。モダリティ3としては、例えば、X線CT装置(computed tomography:コンピュータ断層撮影装置)や、磁気共鳴診断装置(MRI:magnetic resonance imaging)、或いは、超音波診断装置等が該当する。
【0018】
通信ネットワークNは、ミーティング支援装置1、携帯情報端末2、及び、モダリティ3をそれぞれつなぎ、互いの間で、例えば患者に関する画像といった医療情報のやりとりを可能とする。通信ネットワークNの例としては、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを挙げることができる。また、この通信ネットワークNで使用される通信規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。
【0019】
なお、
図1に示すチーム医療支援システムSでは、通信ネットワークNに1つのミーティング支援装置1、携帯情報端末2A及び2B(以下、適宜これら複数の携帯情報端末をまとめて「携帯情報端末2」と表わす。)、及び1つのモダリティ3が接続されている。但し、通信ネットワークNに接続されるミーティング支援装置、携帯情報端末、或いは、モダリティの数は単数、或いは複数のいずれでも良く、その数は任意である。
【0020】
また、通信ネットワークNに接続されるこれらミーティング支援装置1、携帯情報端末2、及びモダリティ3は、例えば、1つの医療機関内にその全てが設けられていなくとも良い。例えば、あるチームメンバーが他の施設にいて携帯情報端末2を利用し、当該携帯情報端末2に表示された医療情報の通信履歴等の情報がインターネット等を介してミーティング支援装置1に集められる形態も考えられる。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態におけるミーティング支援装置1の内部構成を示すブロック図である。
【0022】
ミーティング支援装置1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。入出力インターフェイス1dには、入力部1fと、表示部1gと、通信制御部1hと、記憶部1iと、ログ取得部10と、ミーティング資料記憶部20と、共有参照画像検索部30と、注目画像分析部40と、ベストプラクティス部50とが接続されている。
【0023】
CPU1aは、入力部1fからの入力信号に基づいてROM1bからミーティング支援装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。
【0024】
またCPU1aは、入力部1fや入出力インターフェイス1dを介して、
図2において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPU1aは、RAM1cや記憶部1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、ミーティングにおける画像表示のための処理やデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0025】
入力部1fは、ミーティング支援装置1の操作者(例えば、医師や検査技師)が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU1aに送信される。
【0026】
表示部1gは、例えば液晶ディスプレイである。この表示部1gは、CPU1aからバス1eを介して出力信号を受信し、例えばある画像の処理要求をミーティング支援装置1に対して行うに当たっての条件設定に必要な画像等、或いはCPU1aの処理結果等を表示する。
【0027】
通信制御部1hは、LANカードやモデム等の手段であり、ミーティング支援装置1をインターネットやLAN等の通信ネットワークNに接続することを可能とする手段である。通信制御部1hを介して通信ネットワークNと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
【0028】
記憶部1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。
【0029】
ログ取得部10は、ミーティング支援装置1を利用してチームメンバーがミーティングを行う際に利用される医療情報に関するログを取得する。ここで取得されるログは、例えば、上述した表示部1gに表示される画像の情報に関するもののみならず、チームメンバーが使用する携帯情報端末2がアクセスした通信情報や取得した医療情報に関する情報等、通信ネットワークNを介してミーティング中にやり取りされた医療情報に関する全てのログが含まれる。
【0030】
ミーティング資料記憶部20は、ログ取得部10において取得されたログやミーティングで利用された資料等、ミーティングで示された医療情報の全てが記憶される。記憶される場合には、例えば、各ミーティングに割り当てられる「会議ID」に紐づけられる。また、チームメンバーが行った操作を「操作ログ」としてまとめて記憶している。さらには、チームメンバーの存在位置を示す、後述する「位置ログ」を操作ログ、医療情報と関連づけて記憶する
【0031】
なお、ここではミーティングで示された医療情報を記憶する機能を備える部分として、ミーティング資料記憶部20を設けた例を説明したが、例えば、これらの医療情報は、まとめて記憶部1iに記憶されるようにしても良い。そのため特許請求の範囲における「記憶部」は、ミーティング資料記憶部20、或いは、記憶部1iに相当する。
【0032】
共有参照画像検索部30は、チームメンバーからの要求に基づいて、ミーティング資料記憶部20内に記憶されている画像(医療情報)を検索する。共有参照画像検索部30を利用しての画像の検索の流れについては、後述する。
【0033】
注目画像分析部40は、ミーティング中にチームメンバーによって注目された画像を分析、抽出する。ミーティング中は様々な医療情報が提供され、検討されることになるが、それらの医療情報の中で注目度の高い画像を抽出する。また、例えば、表示部1gに表示された画像のどの領域にチームメンバーが注目したか、その領域を分析、抽出することもできる。これにより、抽出された画像に対するコメントや知見を、例えば、今後の治療方針の策定に役立てたり、或いは、同じ病気の他の患者に関してミーティングが開かれる場合にも利用することができる。
【0034】
ベストプラクティス部50は、注目画像分析部40において抽出された画像を「ベストプラクティス」として採択する。ベストプラクティスとして採択された画像は、例えば、別の患者に関するミーティングが開催される際に利用される。
【0035】
次に、チームメンバーが参加するミーティングの流れに沿って、チーム医療支援システムSの働きを説明する。以下では、まず、
図3を利用してミーティングの大まかな流れに従って、各機器を移動する医療情報の流れを説明する。
【0036】
なお、以下のミーティングの流れにおいては、より具体的に説明するべく、例えば、チームメンバーである放射線科の医師がチームを組む他の科の医師や技師に対して説明を行うといった場面を想定しつつ説明する。
【0037】
図3は、実施の形態におけるチーム医療支援システムSが利用される際におけるチーム医療支援システムSを構成する各機器の間でやり取りされる医療情報の流れを示すシーケンス図である。
図3に示すシーケンス図では、ミーティング支援装置1の表示部1gと、ログ取得部10、ミーティング資料記憶部20、及び、携帯情報端末2の間で送信される医療情報の流れが示されている。
【0038】
まず、ミーティングが開始されると、放射線科のチームメンバーは他のチームメンバーに対して患者の治療方針等を策定する際に参考となる画像を表示部1gに表示させる(ST1)。但し、ここで表示される画像についてはどのような画像であっても良く、まずは例えば、患者に関する情報等を表示させてチームメンバーにミーティングの対象となる患者を把握させることとしても良い。放射線科の医師が表示させるのであれば、対象となる患者を、例えば、X線CT装置を利用して撮影した画像を表示させることになる。
【0039】
表示部1gに表示された画像(医療情報)に関する情報は、表示された記録を示すログが取得され、表示部1gからログ取得部10へと送信される(ST2)。ログとして送信される情報は、例えば、表示された当該画像に付加されている画像を識別するための識別子や表示された日時等を示す情報等が考えられる。なお、ログ取得部10に対して送信するログの内容は、事前に設定しておくことも可能である。
【0040】
ミーティング中、表示部1gには、放射線科のチームメンバーが表示させその他のチームメンバー全員が見ることができる、或いは、チームメンバーに見て欲しい医療情報(画像)が表示されている。一方で、各チームメンバーは、それぞれ個人が使用することができる携帯情報端末2を所持している。この携帯情報端末2は、上述したように例えば、タブレット等である。ミーティング中であっても、チームメンバーはミーティングの進行に合わせて適宜自分が気になる情報を携帯情報端末2に取り込んで見ることができる(ST3)。
【0041】
例えば、あるチームメンバーは、表示部1gに表示されている放射線科のチームメンバーが表示させている画像を取り込んで、気になる箇所に丸や印を付けるといった、スケッチを描くことができる。紙に描かれたスケッチをカメラで読み込んで携帯情報端末2の画面上に表示させることもできる。また、表示部1gに表示されている画像とは別に、前回の検査において取得された対象の患者に関する画像を参照画像として携帯情報端末2上に表示させることも可能である。さらには、患者の病気に関するレポートや読影レポート等を見ることもできる。また、チームメンバーが手元(自身の携帯情報端末2)に表示させた内容、加工した情報等は、携帯情報端末2から大きな画面(表示部1g)へと送信することで、チーム員に対してその情報を共有させることができる。
【0042】
チームメンバーが所持する携帯情報端末2に表示された画像やレポート等の各種医療情報、これらの情報を携帯情報端末2に表示させるために通信ネットワークNに接続した際に通信履歴等の情報は、ログとしてログ取得部10に送信される(ST4)。
【0043】
このようにログ取得部10においてミーティングで表示、或いは、取得された各種情報をログとして取得する(ST5)。そしてミーティング資料記憶部20にログとして取得された情報を送信し、記憶させる(ST6)。
【0044】
このようにすることで、ミーティングで使用された情報を全て把握することができる。従って、例えば、後から当該ミーティングで使用された各種情報にアクセスする場合には、ミーティング資料記憶部20にその旨の要求を出すことで、必要な情報を取得することができる。
【0045】
次に、主に
図4のシーケンス図を利用して、ミーティング中にチームメンバーが自身の携帯情報端末2を利用して画像を検索する流れについて説明する。なお、ここで検索される画像は、上述したように既にミーティング資料記憶部20に記憶されており、チームメンバー全員、或いは、公開範囲で指定された一部のチームメンバーが利用することが可能な画像であることから、以下、「共有参照画像」と表わす。
【0046】
図4、
図5は、実施の形態における共有参照画像検索部30を利用して必要とする情報を取得する際の流れを示すシーケンス図である。ミーティング中にチームメンバーが参照したい画像を検索する際、共有参照画像に直接アクセスすることができれば、特に複雑な処理は不要である。例えば、検索対象となる共有参照画像に付加されている識別子を知っており、その識別子を直接入力して検索を掛けるような場合である。
【0047】
ただ、通常は検索を行うチームメンバーの記憶も曖昧であり、検索対象となる共有参照画像に直接たどり着けないことも多いと考えられる。そこで、ここでは、例えば、あるチームメンバー(A医師)が「2012年の8月に開かれたミーティングで、B医師が説明していた画像(共有参照画像)が欲しい」といった場合を例に挙げて説明する。
【0048】
まず、A医師は、共有参照画像の検索条件を入力する(ST11)。ただ、このような場合、携帯情報端末2に入力される検索条件は曖昧なものとならざるを得ない。例えば、A医師は、「2012年8月」、「ミーティング」、「B医師」といった語句を検索条件として入力する。条件が入力された携帯情報端末2は、ミーティング支援装置1の共有参照画像検索部30に向けて検索要求を送信する(ST12)。共有参照画像検索部30では、受信した検索要求の内容(検索条件)を把握し(ST13)、実際に検索を開始する。
【0049】
共有参照画像検索部30では、把握した検索条件に合致するログをミーティング資料記憶部20において検索する(ST14)。そこで、共有参照画像検索部30はミーティング資料記憶部20にアクセスして検索条件を含む操作ログと位置ログを検索する(ST15)。
【0050】
ここでは、ミーティング資料記憶部20が上述したような検索条件「2012年8月」、「ミーティング」、「B医師」を含む操作ログ、位置ログを検索する。ミーティング資料記憶部20には、ログ取得部10を介してこれまで行われたミーティングにおいて表示された医療情報やチームメンバーが所持する携帯情報端末2が行った通信履歴等の情報に関するログを全て収集している。従って、ミーティング資料記憶部20は、記憶されているこれら操作ログと位置ログを検索し、検索結果を共有参照画像検索部30へ送信する(ST16)。
【0051】
共有参照画像検索部30では、ミーティング資料記憶部20から送信された検索条件を含む操作ログと位置ログとを受信し(ST17)、これらを基に検索要求の対象となる共有参照画像のリストを作成する(ST18)。
【0052】
なお、ここでは、「リストを作成」としたが、これは今後の処理において実際に要求される共有参照画像を絞り込むために利用されることを考慮したものである。従って、特にリストを作成せずに検索要求に該当する共有参照画像を特定しても良い。
【0053】
操作ログと位置ログとを利用してのリスト作成に関して、以下に
図6及び
図7を利用して説明する。
図6は、チームメンバーが必要とする医療情報を入手する際に用いられる操作ログの一例を示す説明図であり、
図7は、チームメンバーが必要とする医療情報を入手する際に用いられる位置ログの一例を示す説明図である。
【0054】
ここで、「操作ログ」とは、上述したように、ミーティングに参加しているチームメンバーによってミーティング支援装置1、或いは、携帯情報端末2等が操作されたことに伴ってログ取得部10を介して取得されるログである。
【0055】
一方、「位置ログ」とは、チームメンバーがどこにいたかを示すログである。この位置ログを検出、記憶するには、例えば、チームメンバー自身がIDを検出装置に読み取らせることによって把握しても良く、或いは、チームメンバーが所持する携帯情報端末2の位置を測定することで、チームメンバーの位置を把握することとしても良い。さらには、近距離無線通信(NFC:Near field communication)を利用して互いに近くにいるチームメンバーを検出することでチームメンバーの位置を把握することもできる。従って、チームメンバーの位置を示すログの取得については、既知の技術を利用することで行うことができる。
【0056】
操作ログの一例を示す
図6には、5つの項目が示されている。左から「Day」、「Time」、「Image ID」、「User」、及び「Room」である。このうち、「Image ID」は、「User」である医師等が使用した画像(医療情報)に付加されている識別子(ID)を示している。また、「Room」とは、ミーティングが開催された会議室を示している。
【0057】
なお、
図6ないし
図9に示されているログにおいて示されている項目はあくまでも説明のための項目であって、ログとして設定される項目はこれらに限られるものではない。
【0058】
図6によると、この操作ログからは、2012年8月16日に2人のユーザ(BとD)が会議室A101においてそれぞれ10時15分に「img001」の画像、11時30分に「img005」の画像を表示していることが把握できる。但し、同じ会議室でのミーティングだが、同じチームメンバーによるミーティングであるかは、この操作ログからは分からない。
【0059】
位置ログの一例を示す
図7には、5つの項目が示されている。左から「Day」、「入室時間」、「退室時間」、「User」、及び「Room」である。このうち、「入室時間」或いは「退室時間」は、「User」であるチームメンバーがミーティングが開催された会議室に入室した時間、或いは、退室した時間を示している。
【0060】
図7の位置ログによると、ユーザである「B」はミーティングが開催された会議室A101に「8時55分」に入室し、「12時05分」に退室していることが分かる。従って、「B」は9時前から12時過ぎまでミーティングに参加して、同じ部屋に在室していることが分かる。一方、「A」は、同じ会議室A101に10時に入室したものの、20分で退室してしまったことが位置ログから把握できる。
【0061】
ところで、ここでの前提は、上述したように、チームメンバーであるA医師が「2012年の8月に開かれたミーティングで、B医師が説明していた画像(共有参照画像)が欲しい」というものである。
【0062】
図6、
図7に示される操作ログ及び位置ログからすると、画像を要求しているA医師は、2012年8月16日に会議室A101において開催されたミーティングに参加しており、このミーティングにはB医師も参加していることが分かる。ただ、当該ミーティングでは、B医師の方が長く参加しており、A医師はむしろ短時間のみの参加であったことも分かる。そのためA医師が要求するB医師の説明の際利用された画像は、当該ミーティングで表示された共有参照画像であると推測できる。
【0063】
操作ログを確認すると、B医師は、当該ミーティングで少なくとも10時15分に「img001」のIDを持つ共有参照画像を表示させている。この時間は、A医師が当該ミーティングに参加している時間(会議室A101に在室している時間)である。そのため、当該共有参照画像がA医師が要求している画像である可能性が高い。但し、
図6の操作ログには示されていないが、その他にも共有参照画像を表示させている可能性がある。そこで、共有参照画像検索部30では、当該ミーティングにおいてB医師が表示させた共有参照画像を抽出してリスト化する。
【0064】
このように、ミーティングに直接参加したチームメンバーについては、例えば、
図7に示す位置ログを利用することで、上述したように共有参照画像を抽出することができる。但し、例えば、遠隔地から通信ネットワークNを介してミーティングに参加したチームメンバーがいた場合であっても同様に、共有参照画像を抽出できる。
【0065】
図8及び
図9は、チームメンバーが遠隔地からミーティングに参加した場合の共有参照画像の検索について説明する際に利用するログの一例を示す。
図8は、チームメンバーが必要とする医療情報を入手する際に用いられる通信ログの一例を示す説明図である。また、
図9は、チームメンバーが必要とする医療情報を入手する際に用いられる位置ログの一例を示す説明図である。
【0066】
図8に示す通信ログについて見てみると、このログにおいても5つの項目が設けられている。「Day」、「開始時間」、「終了時間」、「会議ID」、及び「Room」の5つであり、「Day」はミーティングが開催された日を示している。また、「開始時間」、「終了時間」はミーティングの開始、終了時間を、「会議ID」は当該ミーティングに付加されている識別子であるIDである。また、「Room」は、ミーティングが開催された場所(会議室)を示している。
【0067】
図8の通信ログを見ると、2つの欄に分かれて2つのミーティングが示されている。但し、同日同時刻にミーティングが開催されており、いずれのミーティングについても同じ会議IDが付与されている。従って、これら2つの欄に分かれて示されているミーティングは、同じミーティングであることがわかる。「Room」については、「A101」と示されるとともに、「読影センタ」とも示されている。ここからは、チームメンバーが実際に会議室に集まってミーティングが行われているところに、当該会議室A101でのミーティングに直接参加できないチームメンバーが別の場所である「読影センタ」から参加していることが読み取れる。
【0068】
図9に示す位置ログを見ると、示されている項目は、
図7に示す位置ログと同じである。またユーザがB及びAの位置ログについても同様である。一方、読影センタからミーティングに参加しているC及びDに関する位置ログが新たに示されている。
図9の位置ログからすると、読影センタから参加したC及びDは、いずれも8時50分から12時10分までこのミーティングに参加していることが分かる。
【0069】
従って、通信ログ、位置ログ、及び、操作ログを利用することで、例えば、読影センタから参加したCが上述した医師Aが検索の条件とした「2012年8月」、「ミーティング」、「B医師」を入力すれば、ミーティングに直接参加したA医師が要求したのと同様に必要な画像(医療情報)を入手することができる。
【0070】
上述したように、共有参照画像検索部30においては、各種ログを利用して参照要求のあった共有参照画像のリスト化を行い、さらにこの共有参照画像検索部30において作成されたリストを基に、さらに検索条件から要求の対象となる共有参照画像を絞り込む(
図5のST19)。ここでは特に絞り込みの方法については詳細に説明しないが、例えば、気をつけなければならない症例(参考になる有用な症例)やブックマークの多い症例といった、病気の特異度を参照したり、或いは、ミーティングにおける治療方針の変更等のミーティングに関する付帯情報等を参照することが考えられる。
【0071】
共有参照画像検索部30は、絞り込みを行うことで、A医師から要求された共有参照画像を特定する(ST20)。その上で、ミーティング資料記憶部20に対して、当該特定された共有参照画像の(検索)取得を要求し、ミーティング資料記憶部20では、取得した共有参照画像を共有参照画像検索部30に送信する(ST21及びST22)。
【0072】
共有参照画像検索部30では、ミーティング資料記憶部20から送信されてきた共有参照画像を取得するとともに、そもそもの検索要求を出した携帯情報端末2(A医師の所持する携帯情報端末2)に対して当該共有参照画像を送信する(ST22)。
【0073】
共有参照画像を受信した携帯情報端末2では(ST23)、当該共有参照画像を表示させる(ST24)。これにより、A医師は、「2012年の8月に開かれたミーティングで、B医師が説明していた画像(共有参照画像)が欲しい」との要求に合致した共有参照画像を取得することができる。
【0074】
以上、これまでは、チームメンバーが自身が所持する携帯情報端末2に必要な画像(医療情報)を検索し、共有参照画像として表示させることについて説明した。但し、この他にも、チームメンバーは、携帯情報端末2に注目されている画像を表示させることも可能である。
【0075】
例えば、ミーティング支援装置1における注目画像分析部40では、ミーティング資料記憶部20に記憶されているこれまでのミーティングで使用された画像の中から注目度の高い画像を抽出することができる。例えば、上述した操作ログから、ミーティングにおいて表示時間が長かった画像は、注目度が高いと判断することができる。また、チームメンバーが携帯情報端末2に表示させる画像について、気になる画像であるとしてブックマークが付される場合も考えられるが、このブックマークの多寡をもって注目度を分析することも可能である。
【0076】
さらには、例えば、ミーティング支援装置1の表示部1gに表示された際に、マウスでポインタを移動させた軌跡や拡大表示された履歴、或いは、携帯情報端末2においてもこれを使用するチームメンバーの視線を追跡すること等によっても注目画像の中の、さらに当該画像内における注目領域を抽出することも可能である。
【0077】
注目画像分析部40では、このようにして注目度の高かった画像を抽出し、例えば、ミーティング資料記憶部20に記憶させておく。このような準備がなされていれば、その後、例えばチームメンバーが共有参照画像として検索することができたり、或いは、注目度が高い画像に付加されている識別子を基に、今後当該識別子に現われている撮影条件をもってモダリティ3において撮影することも可能となる。
【0078】
さらに、注目画像分析部40において抽出された画像のうち、さらにある閾値を超えて注目度が高い画像については、ベストプラクティスとして医療機関内、或いは、医療機関外に公開することも可能である。本発明の実施の形態におけるミーティング支援装置1においては、ベストプラクティス部50が当該機能を果たしている。すなわち、注目度の特に高い画像をベストプラクティスとして公開することで、医療従事者は公開されたベストプラクティスの画像を見て参照することができる。
【0079】
さらに、ベストプラクティス部50は、注目度の特に高い画像のみをベストプラクティスとするだけではなく、当該画像に対して描かれたスケッチを組み合わせてベストプラクティスとすることも可能である。このスケッチは、例えば、チームメンバーがミーティングに参加しながら自身の携帯情報端末2上において当該画像を基に描かれたもの、或いは、紙に描かれたスケッチを携帯情報端末2に取り込んだものであり、そのチームメンバーの経験や知見が現われているものである。
【0080】
従って、携帯情報端末2からログ取得部10を介して取得されたスケッチを、例えば、ミーティング資料記憶部20において基となる画像と組み合わせて記憶させておくことで、ベストプラクティス部50においても一体の情報として取り扱うことができる。
【0081】
さらに、このように画像とその画像に関するスケッチを組み合わせて記憶させておくことで、新たに描かれたスケッチを基に、記憶されているスケッチを検索することも可能である。この場合、例えば、まず、チームメンバーが携帯情報端末2上においてスケッチを行う。そしてこのスケッチを基に、例えば、パターンマッチング技術を用いて、ミーティング資料記憶部20に記憶されているスケッチを検索する。この検索を行うことで、スケッチと組み合わせて記憶されている画像も併せて検索することができる。このようにすれば、画像を検索するに当たっても、条件はあるものの、スケッチから画像と組み合わせて記憶されているスケッチを介して画像そのものを検索することができることになる。
【0082】
以上説明してきた通り、チーム医療支援システムSを構成するミーティング支援装置1、携帯情報端末2、及びモダリティ3、或いは、ミーティング支援装置1内の各部がそれぞれ有機的に連携させることで、チーム医療を行うに当たってチームメンバー間における医療情報の共有化を十分に図ることのできるチーム医療支援システムを提供することができる。
【0083】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。