特許第6887949号(P6887949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6887949方向変更送達カテーテル及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887949
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】方向変更送達カテーテル及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20210603BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20210603BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   A61B17/3207
   A61M25/00 520
   A61M25/09
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-540333(P2017-540333)
(86)(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公表番号】特表2017-531544(P2017-531544A)
(43)【公表日】2017年10月26日
(86)【国際出願番号】IB2015002386
(87)【国際公開番号】WO2016063138
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2018年12月18日
(31)【優先権主張番号】62/066,311
(32)【優先日】2014年10月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515233661
【氏名又は名称】レトロバスキュラー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】オガタ ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】グ シャン イアン
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−525163(JP,A)
【文献】 特開昭63−262160(JP,A)
【文献】 特表2011−520563(JP,A)
【文献】 特表2012−515620(JP,A)
【文献】 特表2003−527192(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0247933(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3207
A61M 25/00
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の長手方向部材を受け入れるように構成された内部チャンバ、前記内部チャンバを取り囲む外側表面、近位端に設けられた第1の領域、遠位端に設けられた第2の領域、及び長さ
を有する、第1の長手方向部材と;
前記第1の領域と前記第2の領域との間で、前記第1の長手方向部材の前記長さの一部に沿って延びる、前記外側表面の開口と;
前記開口に近接して設けられ、第1の位置から第2の位置に変えることが可能なように構成される、撓み機構であって、前記撓み機構が前記第2の位置にある場合に、前記第2の長手方向部材が前記第2の領域にアクセスし、前記撓み機構が前記第1の位置にある場合に、前記開口に向かって前記第2の長手方向部材を撓ませることが可能なように構成される、前記撓み機構と;
記撓み機構を支持するために、前記撓み機構に連結された支持要素であって、
前記撓み機構が前記第2の位置にある場合に、少なくとも部分的に前記内部チャンバを回って延びるように構成され、かつ前記撓み機構が前記第1の位置にある場合に、半円形の構成に押し付けるように構成される、押し付けることが可能な円形リング、または
前記撓み機構が前記第1の位置にある場合に、前記第1の長手方向部材上に配置される第2の磁石と接触すべく前記撓み機構に配置される、第1の磁石
のうちの一つを含む、前記支持要素と
を備える、方向変更送達カテーテル。
【請求項2】
前記開口近くに配置された1つまたは複数の放射線不透過性マーカをさらに備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1または第2の領域が、らせん状の外観を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1または第2の領域が、複数のワイヤを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記複数のワイヤが、少なくとも2つの異なる直径を備える、請求項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記複数のワイヤが、電極または導電性ワイヤであるように構成される、請求項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記内部チャンバが、ガイドワイヤを受け入れるように構成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
ガイドワイヤと;
方向変更送達カテーテルと
を備える再疎通システムであって、前記方向変更送達カテーテルが、
前記ガイドワイヤを受け入れるように構成された内部チャンバ、前記内部チャンバを取り囲む外側表面、近位端に設けられた第1の領域、遠位端に設けられた第2の領域、及び長さ
を有する、第1の長手方向部材と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間で、前記第1の長手方向部材の前記長さの一部に沿って延びる、前記外側表面の開口と、
前記開口に近接して設けられ、第1の位置から第2の位置に変えることが可能なように構成される、撓み機構であって、前記撓み機構が前記第2の位置にある場合に、前記ガイドワイヤが前記第2の領域にアクセスし、前記撓み機構が前記第1の位置にある場合に、前記開口に向かって前記ガイドワイヤを撓ませることが可能なように構成される、前記撓み機構と、
記撓み機構を支持するために、前記撓み機構に連結された支持要素であって、
前記撓み機構が前記第2の位置にある場合に、少なくとも部分的に前記内部チャンバを回って延びるように構成され、かつ前記撓み機構が前記第1の位置にある場合に、半円形の構成に押し付けるように構成される、押し付けることが可能な円形リング、または
前記撓み機構が前記第1の位置にある場合に、前記第1の長手方向部材上に配置される第2の磁石と接触すべく前記撓み機構に配置される、第1の磁石
のうちの一つを含む、前記支持要素と
を備える、
前記再疎通システム。
【請求項9】
前記ガイドワイヤが、1つまたは複数の電極を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
1つまたは複数の電極を備えるバルーンカテーテルをさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つまたは複数の電極のうち少なくとも1つが、前記バルーンカテーテルの内部に設けられた、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記方向変更送達カテーテルが、前記開口近くに配置された1つまたは複数の放射線不透過性マーカをさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1または第2の領域が、らせん状の外観を有する、請求項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1または第2の領域が、複数のワイヤを備える、請求項に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のワイヤが、少なくとも2つの異なる直径を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数のワイヤが、電極または導電性ワイヤであるように構成される、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年10月20日に出願された、米国仮特許出願第62/066,311号の利益を主張し、これは参考としてその全体が明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本技術は、体内の管腔の重度または慢性完全閉塞部を通過するための方向変更送達カテーテル、当該方向変更送達カテーテルを含む再疎通システム及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
慢性完全閉塞(CTO)は、血管を完全に閉塞し、早期に治療しなければ重大な結果になり得る。閉塞はアテローム斑または古い血栓によるものの可能性がある。冠状動脈のCTOを治療するための一般的な手順の1つは、経皮的血管内冠動脈形成術(PTCA)である。
【0004】
PTCAの手順中に、小さな切開が通常、鼠径部に行われる。ガイドワイヤに沿ってガイディングカテ−テルを大腿動脈内に導入し、閉塞部へと前進させる。時には、微妙な操作によって、ガイドワイヤは閉塞部を通過することができる。バルーンが先端に取り付けられた血管形成術カテーテルを、次にガイドワイヤに沿って閉塞部へと前進させる。バルーンを膨張させ、アテロームを分離または破砕する。多くの場合、ステントがその後にまたは同時に配置される。
【0005】
CTOに対するPTCAの手順に伴う共通のステップの幾つかは、対側の血管内に造影剤を同時に注射し、ガイドワイヤのバックアップ力または安定を確保し(カテーテルを取り扱うためにさらに人員を必要とし得る)、プラークを穿刺し、ガイドワイヤで穿孔するかまたはガイドワイヤを回転させて密集しているプラークを押し出すこと等である。密集したプラークによって受ける強固な抵抗のため、時として硬いワイヤを使用せざるを得ない場合がある。場合によっては、ワイヤは、治療手段を必要としている血管壁を刺すことがある。
【0006】
CTOの経皮的冠動脈介入(PCI)における最も一般的な過誤の仕方は、ガイドワイヤを、病変を通って遠位の血管の真腔へとうまく通過させることができないことである。これまでに従来のガイドワイヤを用いた試みが失敗した後、CTOを治療する最良の方法については、統一見解がない。側枝手法、パラレルワイヤ法及びIVUSガイド法を含む、CTOへの異なる方策が開発されてきた。機械的切断または振動及びレーザまたは超音波または高周波(RF)エネルギ焼灼のような、機械及びエネルギに基づく装置も、ガイドワイヤを強硬な石灰化した閉塞部を通過させるために提案されてきた。これらの装置のそれぞれは、順行性の手法を正確に利用し、及びチャネルを作成し、できれば遠位の真腔に入れるために、ガイドワイヤまたはカテーテル装置の先端にエネルギ(通常熱の形態で)を局所的に印加することによって作動する。
【0007】
RFエネルギは、組織を凝固、切除または焼灼するために広く用いられる。単極及び双極方式の双方において、導電性電極は治療すべき組織に接触する。単極方式では、活性電極は治療すべき組織に接触して置かれ、大きな表面積を有するリターン電極は、活性電極から離れた位置で患者に設けられる。双極方式において、活性電極及びリターン電極は、互いに極めて接近して治療すべき組織を囲んでいる。時として、電極の配列は、RF磁場の浸透の深さ、したがって、組織が加熱される温度をより良く制御することを提供するために使用される。
【0008】
単極及び双極の両方式には、いくつかの欠点がある。例えば、単極の配列においては、電極間に大きな物理的分離があるために、電極の部位で局所燃焼の報告が頻繁にある。この電極のうち1つが血管内部にある場合は明らかに望ましくないであろう。その他の深刻な問題は、血栓を形成する可能性があることである。電極と接触する組織は、凝固または焼灼され得る。電極が血管内部にある場合には、危険な血栓の形成は、言うまでもなく望ましくない。
【0009】
上述の問題を克服するために、装置及び電極の構成は、例えば、Eggarsらへの米国特許第5,366,443号(特許文献1)及び米国特許第5,419,767号(特許文献2)に記載され、病変を通過するカテーテル上のRF電極の使用を記載している。これらの特許は、閉塞部に接触するカテーテルの遠位先端での双極電極アセンブリを記載し、特許権者は、RFエネルギの印加により閉塞部を焼灼し、またガイドワイヤが閉塞部を貫通するのを容易にすると主張している。本方法は、閉塞部の代わりに健全な組織を通って電流が短絡する可能性が高いため、血管壁または健全な組織に損傷を与えるのを防ぐために閉塞部の注意深い追跡および焼灼のプロセスが必要であるとういう欠点を有する。Eggarsらの米国特許第5,419,767号(特許文献2)は、この制限を多数の電極配列の使用によってある程度克服する。しかしながら、本装置は、事前に作成された閉塞部を通るチャネルが必要とされ、これにより本チャネルを横切るガイドワイヤを通過させ得るが、これは必ずしも容易ではない。
【0010】
Hillsmanらの米国特許第5,514,128号(特許文献3)は、脈管構造内の閉塞部を焼灼するのを可能にするレーザカテ−テル装置を記載する。このシステムは、誘導システムの必要性、健全な組織が焼灼される可能性及び装置の複雑性(またしたがって、コスト)等のような、上述したものと同様の欠点を有する。
【0011】
従来の装置に関する大きな問題の1つは、エネルギ送達部材の方向及び位置を追跡する機構がない状態で、焼灼エネルギが脈管構造の壁を損傷する可能性である。エネルギ送達要素の追跡及び操作に関する問題を対処するいくつかの装置が、従来技術において存在する。Hallらの米国特許第6,911,026号(特許文献4)は、RFエネルギを単極構造の先端に送達する、焼灼装置を方向付ける磁気操作及び誘導システムについて記載し、リターン電極は、本体に接触するかまたはリターン電極が中央ワイヤ電極を取り囲むリングである双極構造で外部に置かれている。ラフォンテーヌの米国特許第6,416,523号(特許文献5)は、誘導が接触している組織のインピーダンスを測定することによって提供される機械的な切除装置について説明している。誘導システムは、狭窄組織と血管壁との間のインピーダンスにおける差異を感知し、切除要素を閉塞部へと方向付ける。
【0012】
しかしながら、これらの代替的な方策の何れも、たいていのCTOの課題に対して満足できる結果を提供して来なかった。したがって、安全で有効、かつ迅速に閉塞性物質を焼灼しまたは粉砕する改善された方法が必要とされている。現在の技術の欠点のないCTOを再疎通させ得る代替的な技術及び装置を有することが有益であろう。
【0013】
狭窄の近位端が貫通することが困難であること、または遠位の真腔にアクセスすることが困難であることの何れかにより、再疎通させることが困難なCTOまたは標準的な手順では失敗し易いCTOのその他の特徴は、CTOを再疎通させる、より新しい手法から利益を得るであろう。近年、順行性、逆行性を組み合わせた手法が、慢性の閉塞部を再疎通させるために提示されてきた(米国特許出願第11/706,041号(特許文献6))。同時係属中の開示されている方法は、CTOを通過させるためのエネルギの使用から利益を得るであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,366,443号
【特許文献2】米国特許第5,419,767号
【特許文献3】米国特許第5,514,128号
【特許文献4】米国特許第6,911,026号
【特許文献5】米国特許第6,416,523号
【特許文献6】米国特許出願第11/706,041号
【発明の概要】
【0015】
概要
方向変更送達カテーテルは、第2の長手方向部材を収容するように構成された中空の長手方向部材を含む。中空の長手方向部材は、近位端に設けられた第1の領域、遠位端に設けられた第2の領域及び長さを有する。開口は、第1の領域と第2の領域との間で、中空の長手方向部材の長さの一部に沿って延びる。撓み機構が開口に近接して設けられ、第1の位置から第2の位置に変えることが可能なように構成される。撓み機構が第2の位置にある場合に、第2の長手方向部材が第2の領域にアクセスし、撓み機構が第1の位置に係合されている場合に、第2の長手方向部材を開口に向かって撓ませることが可能なように、撓み機構は構成される。
【0016】
再疎通システムはガイドワイヤ及び方向変更送達カテーテルを含む。方向変更送達カテーテルは、第2の長手方向部材を収容するように構成された中空の長手方向部材を含む。中空の長手方向部材は、近位端に設けられた第1の領域、遠位端に設けられた第2の領域及び長さを有する。開口は、第1の領域と第2の領域との間で、中空の長手方向部材の長さの一部に沿って延びる。撓み機構が開口に近接して設けられ、第1の位置から第2の位置に変えることが可能なように構成される。撓み機構が第2の位置にある場合に、第2の長手方向部材が第2の領域にアクセスし、撓み機構が第1の位置に係合されている場合に、第2の長手方向部材を開口に向かって撓ませることが可能なように、撓み機構は構成される。
【0017】
ガイドワイヤの方向を変更する方法は、患者の管腔にガイドワイヤを挿入することを含む。方向変更送達カテーテルを、ガイドワイヤに沿って前進させる。方向変更送達カテーテルは、第2の長手方向部材を収容するように構成された中空の長手方向部材を含む。中空の長手方向部材は、近位端に設けられた第1の領域、遠位端に設けられた第2の領域及び長さを有する。開口は、第1の領域と第2の領域との間で、中空の長手方向部材の長さの一部に沿って延びる。撓み機構が開口に近接して設けられ、第1の位置から第2の位置に変えることが可能なように構成される。撓み機構が第2の位置にある場合に、第2の長手方向部材が第2の領域にアクセスし、撓み機構が第1の位置に係合されている場合に、開口に向かって第2の長手方向部材を撓ませることが可能なように、撓み機構が構成される。ガイドワイヤを第1の領域に後退させ、第1の位置から第2の位置へと撓み機構を変える。ガイドワイヤを撓み機構に向かって前進させ、開口に向かってガイドワイヤの方向変更を行う。
【0018】
本技術は、閉塞部を通るまたは閉塞部の周りの長手方向部材を使用して、当該長手方向部材の方向を変更することによって、より安全に、かつより効果的なエネルギ送達を可能にすることを含むいくつかの利点を提供する。さらに、当該カテ−テルは、再疎通治療のためのエネルギを送達するために、内膜下空間のような第2の位置から長手方向部材を介してエネルギの送達を可能にするように構成され得る。
[本発明1001]
第2の長手方向部材を受け入れるように構成された内部チャンバ、前記内部チャンバを取り囲む外側表面、近位端に設けられた第1の領域、遠位端に設けられた第2の領域、及び長さ
を有する、第1の長手方向部材と;
前記第1の領域と前記第2の領域との間で、前記第1の長手方向部材の前記長さの一部に沿って延びる、前記外側表面の開口と;
前記開口に近接して設けられ、第1の位置から第2の位置に変えることが可能なように構成される、撓み機構と
を備え、前記撓み機構が前記第2の位置にある場合に、前記第2の長手方向部材が前記第2の領域にアクセスし、前記撓み機構が前記第1の位置にある場合に、前記開口に向かって前記第2の長手方向部材を撓ませることが可能なように前記撓み機構が構成される、方向変更送達カテーテル。
[本発明1002]
前記撓み機構が、前記撓み機構に連結された支持要素をさらに備える、本発明1001のカテーテル。
[本発明1003]
前記支持要素が、押し付けることが可能な円形リングまたは対の磁石を含む、本発明1002のカテーテル。
[本発明1004]
前記撓み機構が、押し付けることが可能なチューブ、一方向弁、対の磁石または膜を含む、本発明1001のカテーテル。
[本発明1005]
前記開口近くに配置された1つまたは複数の放射線不透過性マーカをさらに備える、本発明1001のカテーテル。
[本発明1006]
前記第1または第2の領域が、らせん状の外観を有する、本発明1001のカテーテル。
[本発明1007]
前記第1または第2の領域が、複数のワイヤを備える、本発明1001のカテーテル。
[本発明1008]
前記複数のワイヤが、少なくとも2つの異なる直径を備える、本発明1007のカテーテル。
[本発明1009]
前記複数のワイヤが、電極または導電性ワイヤであるように構成される、本発明1007のカテーテル。
[本発明1010]
前記内部チャンバが、ガイドワイヤを受け入れるように構成される、本発明1001のカテーテル。
[本発明1011]
ガイドワイヤと;
方向変更送達カテーテルと
を備える再疎通システムであって、前記方向変更送達カテーテルが、
前記ガイドワイヤを受け入れるように構成された内部チャンバ、前記内部チャンバを取り囲む外側表面、近位端に設けられた第1の領域、遠位端に設けられた第2の領域、及び長さ
を有する、第1の長手方向部材と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間で、前記第1の長手方向部材の前記長さの一部に沿って延びる、前記外側表面の開口と、
前記開口に近接して設けられ、第1の位置から第2の位置に変えることが可能なように構成される、撓み機構と
を備え、前記撓み機構が前記第2の位置にある場合に、前記ガイドワイヤが前記第2の領域にアクセスし、前記撓み機構が前記第1の位置にある場合に、前記開口に向かって前記ガイドワイヤを撓ませることが可能なように前記撓み機構が構成される、前記再疎通システム。
[本発明1012]
前記ガイドワイヤが、1つまたは複数の電極を備える、本発明1011のシステム。
[本発明1013]
1つまたは複数の電極を備えるバルーンカテーテルをさらに備える、本発明1011のシステム。
[本発明1014]
前記1つまたは複数の電極のうち少なくとも1つが、前記バルーンカテーテルの内部に設けられた、本発明1013のシステム。
[本発明1015]
前記撓み機構が、前記撓み機構に連結された支持要素をさらに備える、本発明1011のシステム。
[本発明1016]
前記支持要素が、押し付けることが可能な円形リングまたは対の磁石を含む、本発明1015のシステム。
[本発明1017]
前記撓み機構が、押し付けることが可能なチューブ、一方向弁、対の磁石または膜を含む、本発明1011のシステム。
[本発明1018]
前記方向変更送達カテーテルが、前記開口近くに配置された1つまたは複数の放射線不透過性マーカをさらに備える、本発明1011のシステム。
[本発明1019]
前記第1または第2の領域が、らせん状の外観を有する、本発明1011のシステム。
[本発明1020]
前記第1または第2の領域が、複数のワイヤを備える、本発明1011のシステム。
[本発明1021]
前記複数のワイヤが、少なくとも2つの異なる直径を備える、本発明1020のシステム。
[本発明1022]
前記複数のワイヤが、電極または導電性ワイヤであるように構成される、本発明1020のシステム。
[本発明1023]
ガイドワイヤの方向変更方法であって、以下の段階を含む、方法:
患者の血管内に前記ガイドワイヤを挿入する段階と;
前記ガイドワイヤに沿って方向変更送達カテーテルを前進させる段階であって、前記方向変更送達カテーテルが、
前記ガイドワイヤを受け入れるように構成された内部チャンバ、前記内部チャンバを取り囲む外側表面、近位端に設けられた第1の領域、遠位端に設けられた第2の領域、及び長さ
を有する、第1の長手方向部材と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間で、前記第1の長手方向部材の前記長さの一部に沿って延びる、前記外側表面の開口と、
前記開口に近接して設けられ、第1の位置から第2の位置に変えることが可能なように構成される、撓み機構と
を備え、前記撓み機構が前記第2の位置にある場合に、前記ガイドワイヤが前記第2の領域にアクセスし、前記撓み機構が前記第1の位置にある場合に、前記開口に向かって前記ガイドワイヤを撓ませることが可能なように前記撓み機構が構成され、前記前進が、前記ガイドワイヤを前記第1の領域に部分的に位置させる、段階と;
前記ガイドワイヤを前記第2の領域に後退させ、前記撓み機構を前記第1の位置から前記第2の位置へと変える段階と;
前記ガイドワイヤを前記撓み機構に向かって前進させ、前記開口に向かって前記ガイドワイヤの方向変更を行う段階。
[本発明1024]
前記ガイドワイヤが、前記方向変更送達カテーテルの遠位開口に対して横方向に方向変更される、本発明1023の方法。
[本発明1025]
前記ガイドワイヤの前記方向変更に由来する横への力を制限するために、前記ガイドワイヤからのエネルギを印加する段階をさらに含む、本発明1024の方法。
[本発明1026]
前記ガイドワイヤが3次元のガイドワイヤを含み、該3次元のガイドワイヤの前進が、前記ガイドワイヤの前記方向変更に由来する横への力を制限するために該3次元のガイドワイヤを回転させることを含む、本発明1024の方法。
[本発明1027]
前記エネルギが、高周波、超音波、マイクロ波またはレーザを含む、本発明1025の方法。
[本発明1028]
前記ガイドワイヤが、分岐部を治療するために方向変更される、本発明1023の方法。
[本発明1029]
前記方向変更送達カテーテルの前記開口を、前記開口の近くに設けられた1つまたは複数の放射線不透過性マーカを使用して標的領域に位置合わせする段階をさらに含む、本発明1023の方法。
[本発明1030]
前記ガイドワイヤが、遠位先端に導電性電極を備える、本発明1023の方法。
[本発明1031]
前記遠位先端の前記導電性電極と第2の導電性電極との間で双極の配置を作るために、前記第2の導電性電極を前記開口近くの位置に前進させる段階をさらに含む、本発明1030の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1A図1Cは、例示的な撓み機構を具備する方向変更送達カテーテル及び方向変更送達カテーテル内の様々な位置に配置されたガイドワイヤを含む、再疎通システムの例の側面斜視模型図の一例である。図1Bは、方向変更送達カテーテルの遠位端を越えて延びるガイドワイヤを具備する図1Aにおける再疎通システムの例を示す。図1Cは、ウィンドウ領域に置かれたガイドワイヤを具備する図1Aにおける再疎通システムの例を示す。
図2図1Aから図1Cに示された方向変更送達カテーテルの側面斜視模型図である。
図3】方向変更送達カテーテル内の様々な位置に配置されたガイドワイヤを具備する別の例示的な撓み機構を備える再疎通システムの側面斜視模型図である。
図4】開口に近接する放射線不透過性マーカを具備する方向変更送達カテーテルの一例を示す。
図5図5Aは、第1の位置にある場合の、支持要素を備える方向変更送達カテーテルの一例を示す。図5Bは、第2の位置にある場合の、半円形の構成の支持要素を具備する図5Aに示された方向変更送達カテーテルを示す。図5Cは、図5Bに示すような支持要素の例の断面を示す。
図6】方向変更送達カテーテル内の様々な位置に配置された対の磁石及びガイドワイヤを含む、再疎通システムの一例の側面斜視模型図である。
図7】ガイドワイヤの形態の1つの導電性電極及びバルーンカテーテルの形態の第2の導電性電極を具備する、方向変更送達カテーテルの別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
例示的な再疎通システム10は、図1Aから図1Cに示されている。再疎通システム10は、方向変更送達カテーテル100及びガイドワイヤ200を含むが、その他の種類及び数の装置、構成要素及び/または、例としてのみであるが追加のガイドワイヤを含む、その他の構成におけるその他の要素を含んでもよい。例として、2つのガイドワイヤまたはその他の長手方向部材が、順行性/逆行性構成において使用され、長手方向部材のうち1つが順行性部材としての役割を果たすように構成され、別の長手方向部材が逆行性部材としての役割を果たすように構成される。この例示的な技術は、慢性完全閉塞部の再疎通が可能なシステムを提供することを含むいくつかの利点を提供する。さらに、例示的なシステムは、横方向から管腔にアクセスするために血管に挿入されるガイドワイヤを方向変更することを有利に可能にし、同時に、管腔にアクセスする際に加えられる横方向の力の量を制限する。
【0021】
ここで図2をより具体的に参照すると、例示的な方向変更送達カテーテル100が図示されている。方向変更送達カテーテル100は、遠位端102、近位端104、外側表面106、内部チャンバ108、第1の領域110、第2の領域120、開口130及び撓み機構150(1)を含むが、その他の種類及び数の構成要素及び/またはその他の構成におけるその他の要素を含んでもよい。
【0022】
方向変更送達カテーテル100は、遠位端102と近位端104との間で長さに沿って長手方向部材として延び、円筒状の外側表面106を具備するが、外側表面106は楕円または平坦(偏心)のようなその他の形状を有してもよい。方向変更送達カテーテル100は、カテーテルの当該技術分野において既知である任意の長さを有し得る。一実施例では、円筒状の外側表面は、ガイドワイヤのような第2の長手方向部材を収容するように構成された円筒状の内部チャンバ108を画定するが、方向変更送達カテーテル100は、内部チャンバ108を形成する外側表面106内にその他の層を有してもよい。
【0023】
方向変更送達カテーテル100の第1の領域110及び第2の領域120は、開口130を配置することによって画定されるが、方向変更送達カテーテル100はその他の手段で画定されたその他の数の領域を有してもよい。本実施例では、第1の領域110は、方向変更送達カテーテル100の近位端104と開口130との間で延びる。一方、第2の領域120は、方向変更送達カテーテル100の遠位端102と開口130との間で延びる。さらに、本実施例では、方向変更送達カテーテル100の遠位端102は、方向変更送達カテーテル100の開口130近くの第2の領域120の直径よりも小さくなるように構成された遠位開口161の直径を具備するテーパ状の構成を有するが、遠位端102はその他の構成を有してもよい。一実施例では、第1の領域110及び/または第2の領域120は、らせん状の外観を有するが、その他の構成が利用されてもよい。第1の領域110及び第2の領域120は、さらに、導電性ワイヤとしての役割をする複数のワイヤを備え得る。一実施例では、複数のワイヤは異なる直径を有し得る。
【0024】
開口130が遠位開口161の横方向に配置されるように、開口130は、方向変更送達カテーテル100の外側表面106の一部に沿って延びる。開口130は、用途に応じて外側表面106に沿って様々な長さを有し得る。図2にて示すように、開口130は外側表面106の平坦な開口として構成される。
【0025】
本実施例では、撓み機構150(1)は、開口130の近くに設けられる。撓み機構150(1)は、既定の位置で図2に示されている。ここで図1Aから図1Cを参照すると、撓み機構150(1)は、一実施例として図1A及び図1Cにおいて示されるように第1の位置を、及び図1Bにおいて一実施例として示されるように第2の位置を提供する。本実施例では、撓み機構150(1)の既定の位置である第1の位置においては、撓み機構150(1)は、内部チャンバ108に沿って第1の領域110に挿入されたガイドワイヤ200のような第2の長手方向部材の、方向変更送達カテーテル100の第2の領域120へのアクセスを妨げる。本実施例では、ガイドワイヤが撓み機構150(1)に向かって押し出されるときに、方向変更送達カテーテルの遠位開口161に対して横方向にガイドワイヤ200を方向付けるために、撓み機構150(1)は図1A図1C及び図2に示されているような第1の位置における実質的に湾曲した構成を有するが、その他の構成が利用されてもよい。実施例として、撓み機構150(1)は、図1Bに示されているように、第2の位置に押し付けることが可能なポリマーチューブであり得る。第2の位置では、実施例として、撓み機構150(1)が押し付けられて、方向変更送達カテーテル100の第2の領域120及び遠位開口161への、ガイドワイヤ200のアクセスを可能にする。
【0026】
方向変更送達カテーテル100及びガイドワイヤ200を含む再疎通システム10の別の実施例が図3A及び図3Bに示され、方向変更送達カテーテル100は撓み機構150(2)を含む。撓み機構150(2)は、一方向弁を形成するように接する2つのリップ165及び166によって画定されるが、その他の数のリップまたはその他の構造が利用されてもよい。撓み機構150(2)は、実施例として、可撓性のポリマーで構築され得るが、その他の材料が利用されてもよい。
【0027】
撓み機構150(2)は、図3Aに示されているように第1の位置を提供し、一方向弁は、内部チャンバ108に沿う第1の領域110に挿入されたガイドワイヤ200のような第2の長手方向部材の、方向変更送達カテーテル100の第2の領域120へのアクセスを妨げる。本実施例では、ガイドワイヤが撓み機構150(2)に向かって押し出されるときに、撓み機構150(2)は、方向変更送達カテーテルの遠位開口161に対して横方向にガイドワイヤ200を方向付けるが、その他の構成が利用されてもよい。図3Bに示されているように、第2の位置においては、撓み機構150(2)のリップ165及び166のそれぞれが押し付けられて、方向変更送達カテーテル100の第2の領域120及び遠位開口161への、ガイドワイヤ200のアクセスを可能にする。リップ165及び166が互いに押し付けられた状態ではなくなる場合には、撓み機構の2つのリップ165及び166は、第1の領域110と第2の領域120との間で、方向変更送達カテーテル100の内部チャンバ108を効果的に塞ぐ。ガイドワイヤ200が、少なくとも部分的に第2の領域120にある初期の位置から開口130へと後退する際に、撓み機構150(2)は、ガイドワイヤ200が第2の領域120に再度入るのを効果的に阻止する。さらに別の実施例においては、撓み機構は、ガイドワイヤによって貫通され得る被覆膜を備える。しかしながら、膜を突破するためには抵抗を克服するための十分な力が加えられねばならないように、本膜は抵抗を生じるように構成される。
【0028】
方向変更送達要素またはカテーテルは、追加のまたは任意の構成要素を備え得る。図4にて示すように、方向変更送達カテーテル100は、多数の放射線不透過性マーカを備え、血管の管腔に対するカテーテルの方向を決定するのを促進し得る。単なる例示として、開口130を管腔に向けかつ血管壁から離れるように方向付ける役割をする、開口130の反対の位置に置かれた方向マーカ260を、方向変更送達カテーテル100は有し得る。方向変更送達カテーテル100は、さらに、ウィンドウのおおよその位置を認める役割をする第2のマーカ261を含み得る。2つのマーカ260及び261が図4に示されているが、別の実施例においては、方向変更送達カテーテル100は単一のL形状の構成の単一の放射線不透過性マーカを含んでもよい。
【0029】
一実施例では、図5Aから図5Cに示すように、方向変更送達カテーテル100はさらに任意の支持要素350(1)を含み、実施例として、第1の位置(開口130開放時)から第2の位置(開口130閉鎖時)に移動する際に、撓み機構150(1)との一体性を支持するために含まれ得る。本実施例では、支持要素350(1)は、撓み機構150(1)が図5Aに示されているように開口130を閉鎖するように押し付けられている場合に、内部チャンバ108を回って延びる円形リングである。撓み機構150(1)が、遮られていない開口130を具備する内部チャンバ108を越えて延びる場合には、図5B及び図5Cに示されているように、支持部材350(1)が押し付けられて半円形リングが形成されることが可能である。支持要素350(1)は、ニチノールのようなポリマーまたは形状記憶材料で構成され得るが、その他の生体適合性材料で構成されてもよい。
【0030】
別の実施例においては、図6A及び図6Bに示されているように、逆の極性を有する対の磁石352及び354を含む、撓み機構150(1)の一体性を促進するための任意の支持要素350(2)を、方向変更送達カテーテル100は含んでいる。あるいは、対の磁石352及び354は、それら自身が撓み機構としての役割をし得る。本実施例では、図6Bに示されているように、ガイドワイヤ200が第1の領域110と第2の領域120を占めているときには、磁石352と磁石354との接触がガイドワイヤ200によって妨げられる。ガイドワイヤ200の後退により、磁石352及び磁石354は、もはやガイドワイヤ200によって塞がれず、接触することが可能となり、それによって撓み機構150(1)を押し付け、図6Aに示されているように、撓み機構150(1)を内部チャンバ108に対して閉鎖位置に変える。
【0031】
再疎通システム10は、ガイドワイヤ200またはその他の長手方向部材をさらに含み、追加のガイドワイヤまたはその他の長手方向部材を任意で含み得る。実施例として、2つのガイドワイヤまたはその他の長手方向部材が、順行性/逆行性構成において使用されてもよく、長手方向部材のうち1つが順行性部材としての役割を果たすように構成され、別の長手方向部材が逆行性部材としての役割を果たすように構成される。別の実施例においては、再疎通システム10は、図7に示されているように、バルーン605及び位置610または位置620の何れかでの導電性電極を具備するバルーンカテーテル600のような、第2の長手方向部材を含み得る。「ガイドワイヤ」という用語は長手方向部材を指すために使用されるが、本明細書で使用する場合、「ガイドワイヤ」という用語は、カテーテル、マイクロカテーテルまたは拡張カテーテルを含む任意のその他の種類の長手方向部材を含むことを意図することを理解すべきである。
【0032】
本実施例では、ガイドワイヤ200は、その遠位端に設けられる導電性電極210を含むが、ガイドワイヤ200は、その他の位置に任意のその他の数の導電性電極またはその他の電極を含んでもよい。実施例として、電極は遠位端の側に設けられてもよく、これは血管壁から離れるようにRFエネルギを方向付けし、それによってRFによる血管壁への損傷の可能性を最小にする。
【0033】
RF発生装置または制御装置(図示せず)は、RFエネルギの供給源としての役割をし、ガイドワイヤ200のような長手方向部材に提供され得る。任意でRF発生装置は携帯型の電池式装置であり得るが、その他の種類及び数のRF発生装置が利用されてもよい。
【0034】
上記の実施例は焼灼の目的のためのRFエネルギの使用について言及しているが、例えば超音波エネルギのような、その他のエネルギ方式も使用され得るという点に留意すべきである。一実施例では、再疎通システム10のガイドワイヤ200のような1つまたは複数の長手方向部材は、RF電極の代わりに、またはRF電極に加えて、1つまたは複数の超音波変換器を備える。超音波変換器は、閉塞部を焼灼するための超音波エネルギを提供する。一実施例では、順行性及び/または逆行性の長手方向部材は、超音波変換器を含み、逆行性方向と同様に順行性方向から病変を焼灼し得るが、マイクロ波及びレーザのような、その他のエネルギ方式が利用されてもよい。
【0035】
いくつかの態様では、RFエネルギのようなエネルギを、発生装置から、ガイドワイヤ200のような長手方向部材へと提供するために、ピグテールをガイドワイヤ200の近位端214でRF発生装置と接続し、コネクタの遠位端で終端させる。コネクタは、RF発生装置の入力信号及び出力信号をガイドワイヤ200に結合し、トルク装置に類似した装置の形態をとり得る。
【0036】
図1Aを再度参照すると、ガイドワイヤ200は、方向変更送達カテーテル100の第1の領域110に配置されたものとして示されている。図1Bにおいては、ガイドワイヤ200は、方向変更送達カテーテル100内に収容されたものとして示されている。ガイドワイヤ200は、第1の領域110、開口130及び第2の領域120の長さにわたっているものとして示されている。導電性電極210を含むガイドワイヤ200の一部が、患者の管腔において実行される際に組織の領域に露出されるように、遠位開口161を越えたものとして示されている。ここで図1Cを参照すると、ガイドワイヤ200は、導電性電極210がウィンドウ130に置かれるように配置されている。先に記載したように、いくつかの態様では、撓み機構150(1)は既定の状態で押し付けられている。ガイドワイヤ200が、撓み機構150(1)の手前で方向変更送達カテーテル100中に配置される場合、撓み機構150(1)の押し付け構成によって、ガイドワイヤ200が第2の領域120に入るのを阻止する障壁が作られ、したがってガイドワイヤ200が開口130に配置される。
【0037】
本技術の再疎通システム10の例示的な操作が、図1Aから図1Cを参照して本明細書に記載されるであろう。再疎通治療のステップの順序は、ガイドワイヤ200を順行性の方向で患者の血管内に前進させることを含む。ガイドワイヤ200は、標準的な血管形成技術を使用して閉塞部または内膜下空間へと前進され得る。
【0038】
方向変更カテーテル100は、次にガイドワイヤ200にバックロード挿入され、そのためガイドワイヤが図1Bに示されているように配置されるようになる。方向変更送達カテーテル100をガイドワイヤ200にバックロード挿入することで、ガイドワイヤ200が方向変更送達カテーテルの第1の領域110及び第2の領域120を占めるように、撓み機構150(1)が押し付けられることになる。方向変更送達カテーテルの開口130を、ガイドワイヤが方向変更される位置にまで前進させる。
【0039】
一旦、位置が確認されると、図4に示されているように放射線不透過性マーカ260及び261を使用する実施例として、ガイドワイヤ200を、撓み機構150(1)を通って第1の領域110へと方向変更送達カテーテル100内で後退させ、撓み機構150(1)を押し付けられた状態から効果的に解放して、開口130へのアクセスを排除する。
【0040】
ガイドワイヤ200を次に、撓み機構150(1)に向かって再度前進させる。撓み機構の構成は、本実施例では図1Cに示されているように湾曲形状を含み、開口130に向かってガイドワイヤ200を横方向に撓ませ、開口130の外部にある閉塞部または組織との接触を提供する。この位置における撓み機構150(1)は、撓み機構150(1)の既定位置であり、ガイドワイヤ200が第1の領域にアクセスするのを効果的に遮断する。
【0041】
一実施例では、第2のガイドワイヤまたは図7に示すようなバルーンカテーテル600のような長手方向部材を、次に閉塞部の遠位端に向かって逆行性に前進させる。これは第2の導電性電極610/620としての役割をし、双極の配置を形成する。しかしながら、バルーンカテーテルは、逆行性電極を提供する別のガイドワイヤを具備する、順行性電極としての役割もする。エネルギ治療が次に開始される。別の実施例においては、第2の導電性電極も、順行性方向で閉塞部または内膜下空間へと前進される。
【0042】
ここで図7をより具体的に参照すると、一実施例では、第2の導電性電極が、バルーンカテーテル600に設けられ得る。本実施例では、バルーンカテーテル600は、バルーン605の内部にあり得る(610)またはバルーン605の外部にあり得る(620)、第2の導電性電極610/620を含む。図7に示すように、第1の導電性電極210は、内膜下空間内に配置される。一方、第2の導電性電極610/620は、バルーン605内に(610)、または血管内に(620)、のそれぞれまたは両方に設けられる。第2の電極610は、管腔内での第2の電極の中心合わせをするというさらなる利点を有し、それにより、第1の電極210に対して電気的な活性領域を配置することを促進する。
【0043】
操作中、電気的接続が第1の導電性電極210と第2の導電性電極610/620との間に形成されると、結果として生じた火花がバルーン605を破損させるであろう。この観察可能な事象(可視または可聴)は、電気的接続、恐らくはチャネルが電極間で形成されていると操作者に知らせる、確認のトリガとして作用することができる。
【0044】
いくつかの実施例では、電極間の距離を最小化するためにガイドワイヤをできるだけ深く閉塞部へと前進させ、そして、その結果として、焼灼領域の長さを最小化する。ガイドワイヤが適切な位置にあることの確認は、インピーダンス測定によって及び/またはX線透視検査または血管内超音波診断法(IVUS)のような、インターベンションの手順中に用いられる標準的な撮像技術の何れかを使用して行われ、変換器がガイドワイヤの遠位端に置かれる。
【0045】
本技術は、閉塞された管腔、特に慢性完全閉塞部を再疎通させるために、順行性及び逆行性部材を通って送達されるエネルギの使用を組み合わせるために利用され得る。本明細書で記載される方法及びシステムは、順行性及び逆行性の手法を利用して、通過することが困難な閉塞部を再疎通させ、閉塞部を越えて双極電極の配置を確立する。両方のRF電極が閉塞部の同じ側にある従来の双極RF治療手法でさもなくば起こるような、血管壁の穿孔または損傷の可能性を、本手法は最小化する。電極は閉塞部を挟んで向い合うように割り当てられているため、RF治療によって焼灼される組織(閉塞部)は、電極の間に適切に囲まれている。これは、また、ユーザが閉塞部に治療を集中させるのを可能にする。
【0046】
制御された順行性及び逆行性の追跡(CART)技術において、逆行性の手法は冠状動脈間のチャネルを利用する。このようなチャネルは、心外膜チャンネル、心房間チャネル、内部中隔チャネル(中隔側枝とも称される)またはバイパスグラフトであり得る。CART技術の基本概念は、好ましくは限定的な切開で、順行性及び逆行性の両方向で閉塞部に近づくことにより、閉塞部を通るチャネルを作ることである。
【0047】
組み合わされた順行性及び逆行性の手法は病変を通過することが困難な通過段階において効果的ではあるものの、例えばRFエネルギのようなエネルギを使用して、制御されたやり方で組織を焼灼または変化させることは、病変を通過することが難しい通過段階においては有益であることが観察された。このような制御されたエネルギの配置は、電極の双極の配置を使用して達成され、片方の電極は順行性要素に設けられ、双極配置を構成するもう片方の電極は逆行性要素に設けられる。これらの電極もまた、リターン電極及び活性電極と称され得る。また、それぞれ陽極及び陰極とも称され得る。また、電極が、整列(多数の電極)されて配置され、電極のその配置により、RF磁場の浸透の深さをよりよく制御し、それによって組織の温度を制御する機能が提供される。
【0048】
前述した順行性及び逆行性のエネルギ送達技術の組み合わせは、従来の方法を使用して組み合わされた、CTOを通過する補助的な技術としても使用され得るという点に留意すべきである。本技術は閉塞部を十分に軟化または脆弱化するために使用され、それによってガイドワイヤまたはカテーテルが閉塞部を通過することを可能にする。
【0049】
エネルギの使用は前述されているが、方向変更送達要素100またはカテーテルも、エネルギを使用せずに使用され得る点に留意すべきである。特に、ガイドワイヤ200は内膜下空間に配置される場合には、ガイドワイヤを管腔に向かって、かつ血管壁から離れるように撓ませることによって、次のガイドワイヤを方向変更するために、方向変更送達カテーテル100が使用され得る。一実施例では、次のガイドワイヤは鋭利な先端を備える。別の実施例においては、次のガイドワイヤは3次元の遠位先端の形態をとる。この構成では、3次元のガイドワイヤを、血管管腔にアクセスするために軸方向に前進させる代わりに、回転させることができる。これは、ガイドワイヤが軸方向に前進する場合に内膜下空間にかかる横への力を減少させる役割をし、多くの場合、内膜下空間の拡大につながり得る。エネルギの使用は内膜下空間にかかる横への力を同じように減少させるという点に留意すべきである。
【0050】
別の態様では、方向変更送達要素100またはカテーテルは、分岐部を治療するために使用され得る。本態様において、方向変更送達カテーテル100を、ガイドワイヤ200に沿って主血管内に、開口130が側枝近くに位置づけられるまで前進させる。この段階で、撓み機構150(1)が作動するまでガイドワイヤ200を後退させ、次にガイドワイヤ200を、開口130を通って側枝へと前進させる。単一のガイドワイヤ200を使用することにより、装置のプロファイル及び使用されるガイドワイヤの数を減少することができる。
【0051】
このように、本発明の基礎概念を記載したが、上記の詳細な開示は、例としてのみ提示されることを意図しており、限定するものではないことは、当業者にとってかなり明白であろう。明白に本明細書に記載されていないが、様々な変更、改良及び修正が行われ、当業者に意図されている。これらの変更、改良及び修正は、本明細書に提案されることが意図され、本発明の趣旨及び範囲内である。さらに、要素あるいは配列の引用された順序、または数、文字またはその他の名称の使用は、特許請求の範囲に規定され得るものを除き、任意の順序で請求された工程を限定することは意図していない。したがって本発明は、以下の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7