(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記入退室制御装置から受信した情報に基づいて、前記特定したドアが遠隔で開けることができないドアと判断したとき、該当するドアの管理部署に電話又はメッセージの連絡を行う連絡部を備える
請求項2に記載のロボット制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1.第1の実施の形態例>
以下、本発明の第1の実施の形態例を、
図1〜
図12を参照して説明する。
【0015】
[1−1.システム全体の構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態例のシステム全体の構成を示す。
図1に示すように、ロボット管理システム1は、ロボット100、ロボット制御装置110、ロボット監視センタ120、電気錠130、入退室制御装置140、及び入退室管理サーバ150を備える。ロボット100は、建物(施設)200内を自律移動することが可能であり、建物200内を自律移動することで、来訪者の案内、警備、清掃、空調管理など、予め割り当てられた機能を実行する。ロボット100は、建物200内に必要な台数が、複数台配置される。
【0016】
建物200内には、ロボット100の他に、ロボット制御装置110、電気錠130、及び入退室制御装置140が配置される。
ロボット100と、ロボット100を制御するロボット制御装置110とは、例えば無線LAN(Local area network)を介して接続され、互いにデータの送受信が可能になっている。
【0017】
電気錠130は、建物200内のそれぞれのドアにつけられた錠であり、入退室制御装置140が施錠及び解錠を制御する。それぞれの電気錠130は、入退室制御装置140と有線LAN等で接続されており、入退室制御装置140により各電気錠130の施錠及び解錠を制御することができる。電気錠130が設置されたドアの近傍には、カードリーダ(不図示)が設置される。そして、カードリーダで入室できる権限を有する者のIDカードを検知したとき、入退室制御装置140は、該当するドアの電気錠130を解錠する。
各IDカードに設定された権限、つまり各IDカードがどの電気錠130を解錠できるか否かの情報は、例えば入退室管理サーバ150に保持される。入退室制御装置140は、ネットワークNを介して外部の入退室管理サーバ150にアクセスして、カードリーダが読み取ったIDカードの権限を確認する。なお、入退室管理サーバ150の機能を、入退室制御装置140が備えるようにしてもよい。
【0018】
また、自動で開閉する自動ドアの場合、電気錠130の解錠に連動して、ドアが自動的に開く。手動ドアの場合には、解錠操作後に、ドアを通過する者が手動で開操作を行う。なお、自動ドアと手動ドアのいずれの場合でも、電気錠130が取り付けられたドアは、閉状態になると自動的に施錠される。
【0019】
ロボット制御装置110と入退室制御装置140は、有線LAN等を介して接続されており、互いにデータの送受信が可能になっている。
ロボット制御装置110は、建物200内の各ロボット100に対して、移動指示や作業の指示などを行う。ロボット100にはカメラ102a(
図2)が搭載され、カメラ102aが撮影した画像が、ロボット制御装置110に伝送される。
【0020】
各建物200に設置されたロボット制御装置110は、複数の建物200のロボット制御装置110を統括管理するロボット監視センタ120と、ネットワークNを介して通信を行う。ロボット監視センタ120は、各建物200内のロボット100の稼働状況などを監視する。
【0021】
[1−2.ロボット100の構成]
図2は、ロボット100の内部構成例を示す。
図2に示すように、ロボット100は、中央制御ユニット(以下「CPU」と称する)104を備え、CPU104の制御下で各処理が実行されるコンピュータ装置と、そのコンピュータ装置に接続された周辺機器で構成される。
ロボット100を構成するコンピュータ装置は、CPU104の他に、主記憶装置101、入出力装置102、及び通信インターフェース(ロボット側通信インターフェース)103を備える。
主記憶装置101は、駆動制御部101a、対話制御部101b、入出力部101c、及び現在地取得部101dを備える。駆動制御部101a、対話制御部101b、入出力部101c、及び現在地取得部101dは、CPU104からの指令に基づいて動作する。
【0022】
駆動制御部101aは、駆動機構102dによりロボット100を自律移動させる駆動制御を行う。例えば、駆動制御部101aは、ロボット100が移動する際に、ロボット100のカメラ102aが撮影した画像や、測域センサ102cが光波により検出した自分の位置からロボット100の周囲の状況を判断する。そして、ロボット100と顧客との距離に関するデータを用いて人、壁等の障害物を避けてロボット100を移動させる。
【0023】
また、駆動制御部101aは、ジャイロセンサ102bを用いてロボット100の機体の傾きを検知し、ロボット100が倒れずに自律移動する制御を行う。
入出力部101cは、入出力装置102との間で、データの入出力動作を実行するほか、通信インターフェース103経由で、ロボット制御装置110との間でデータの入出力動作を実行する。
【0024】
入出力装置102は、カメラ102a、ジャイロセンサ102b、測域センサ102c、及び駆動機構102dを備える。
カメラ102aは、ロボット100の前方や後方を撮影して、画像を得る。例えば、ロボット100の前方にドアが存在するとき、そのドアを撮影し、部屋名称等の画像を取得する。カメラ102aで取得された画像データは、通信インターフェース103を経由してロボット制御装置110に供給される。
【0025】
ジャイロセンサ102bは、ロボット100に加わる角加速度からロボット100の傾き等を検出し、通信インターフェース103を経由して検出データをロボット制御装置110に供給する。
測域センサ102cは、ロボット100の位置を特定するためのセンサであり、併せてロボット100の周囲環境を検知する。この測域センサ102cにより、ロボット100の位置及び障害物等を含む周囲の空間形状が計測され、計測されたデータが通信インターフェース103を経由してロボット制御装置110に送られる。
【0026】
駆動機構102dは、駆動制御部101aからの指示に基づいて、ロボット100を移動させる。駆動機構102dは、少なくとも車輪を駆動するモータを備える。あるいは、ロボット100が人型ロボットである場合には、歩行による移動を行うため、足に相当する部材を駆動するアクチュエータを備える。
【0027】
通信インターフェース103は、
図1に示すように、ロボット制御装置110側と無線LAN等で接続されている。この通信インターフェース103は、ロボット100により収集した各種データをロボット制御装置110に送り、またロボット制御装置110からの指示を受け取る。
通信インターフェース103は、ロボット制御装置110からの指示を入出力装置102に伝える他、入出力装置102が収集したデータをロボット制御装置110に出力する。
【0028】
ロボット100は、移動中にカメラ102a又は測域センサ102cにより、障害物が検知された場合には、駆動制御部101aによって移動を停止又は回避するように制御される。
また、駆動制御部101aは、ロボット100が移動する際に、カメラ102aが撮影した画像や、測域センサ102cが検出した周囲状況を判断して、障害物等を避ける動作の制御を行う。また、移動経路の先にドアを検知した場合、そのドアに付与されたドア識別子を取得する。
【0029】
[1−3.ロボット制御装置の構成]
図3は、ロボット制御装置110の内部構成例を示す。
ロボット制御装置110は、CPU113の制御下で各処理が実行されるコンピュータ装置で構成される。
CPU113は、主記憶装置111及び通信インターフェース(制御装置側通信インターフェース)112と接続されている。
主記憶装置111は、CPU113の指令に基づいて動作する入出力部111a、移動指示部111b、撮影指示部111c、施設情報(地図情報)111d、シナリオ111e、ドア判定部111fを備える。また、主記憶装置111は、ドア識別子管理テーブル111g、ドア識別子管理テーブル操作部111h、ドア特定部111i、行動判断部111j、連絡部111k、及び判別部111mを備える。
【0030】
入出力部111aは、通信インターフェース112を介してロボット100、入退室制御装置140及びロボット監視センタ120とのデータの送受信の処理を行う。
移動指示部111bは、ロボット100を移動させる指示を行う。この指示には、ロボット100が建物200内を移動するルートの情報が含まれる。
撮影指示部111cは、ロボット100に対して、カメラ102aで前方又は後方を撮影させる指示を行う。
【0031】
施設情報(地図情報)111dには、施設内の地図情報が格納される。
シナリオ111eには、ロボット100の移動ルート、案内を行う言語、サービス内容等、ロボットの振る舞いに関する情報が格納される。
ドア判定部111fは、ロボット100のカメラ102aが撮影した画像に基づき、ドアの開閉状態を判別すると共に、当該画像からドアの識別子を取得しドアの識別を行う。ドアの識別子の具体的な例については後述する。
【0032】
ドア識別子管理テーブル111gは、ドア識別子及びドア位置と、ドア名ドアとの対応を示す各ドアの情報を示した表である。
ドア識別子管理テーブル操作部111hは、ドア識別子管理テーブル111gの情報の入力や修正などの操作を行う。
ドア特定部111iは、ドア判定部111fが識別したドアについて、ドア識別子管理テーブル111gを使った検索結果から、当該ドアを特定する。
【0033】
行動判断部111jは、入退室制御装置140から受信した開閉制御情報から、ロボット100の次の行動を判断する。
連絡部111kは、各ドアを管理している部門へ電話等により連絡する。この連絡部111kによる連絡は、ドア判定部111fが判定したドアが、手動で開閉が必要なドアである場合に、開閉を依頼するために行う。連絡部111kが電話で連絡を行うのは一例であり、メールやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)など電話連絡以外の手法で連絡するようにしてもよい。
【0034】
判別部111mは、ドア判定部111fが識別したドアが、施錠・解錠の遠隔操作と自動的なドア開閉とが可能なドアか否かを判別する。この判別は、入退室制御装置140などの外部にアクセスして行う。あるいは、ロボット制御装置110がドア管理テーブルを備えて、そのドア管理テーブルの情報から、判別部111mが遠隔操作と自動的なドア開閉とが可能なドアか否かを判別するようにしてもよい。このロボット制御装置110がドア管理テーブルを備える例については後述する(
図15)。
【0035】
さらに、ロボット制御装置110は、ロボット100との無線通信や、ネットワークNを経由した通信を行う通信インターフェース112を有する。通信インターフェース112は、ロボット100との無線通信を行う他に、ネットワークNを経由して、ロボット監視センタ120との通信及び入退室制御装置140との通信を行う。
【0036】
[1−4.入退室制御装置の構成]
図4は、入退室制御装置140の構成例を示す。
入退室制御装置140は、CPU143の制御下で各処理が実行されるコンピュータ装置で構成される。
CPU143は、主記憶装置141及び通信インターフェース142と接続されている。
主記憶装置141は、CPU143の指令に基づいて動作する入出力部141a、ドア制御部141b、ドア管理テーブル141c、及びドア管理テーブル操作部141dを備える。
【0037】
入出力部141aは、通信インターフェース142を介して電気錠130、ロボット制御装置110、及び入退室管理サーバ150とのデータの送受信の処理を行う。
ドア制御部141bは、入出力部141aより受信したドアの解錠要求に対し、該当する電気錠の解錠を指示する。
ドア管理テーブル141cは、ドア、ドア種別、遠隔操作可否、電話番号、及びドア開閉可否を示した表である。
ドア管理テーブル操作部141dは、ドア管理テーブル141cの情報の入力や修正などの操作を行う。
【0038】
さらに、入退室制御装置140は、通信インターフェース142を有する。通信インターフェース142は、電気錠130やロボット制御装置110との通信を行うと共に、ネットワークNを介して入退室管理サーバ150と通信を行う。
【0039】
[1−5.ロボットの移動例]
次に、本発明の第1の実施の形態例のロボット管理システム1が設置された建物200内のドアなどの配置と、ロボット100の移動状態の例について説明する。
図5は、建物200内でのロボット100による移動状態の一例を示す説明図である。
図5に示すように、建物200には、共用エリア201とセキュリティエリア202が設けられる。共用エリア201とセキュリティエリア202との間には、自動ドア207が配置される。セキュリティエリア202内には、片開きドア208が配置される。自動ドア207や片開きドア208には、電気錠130(
図1)が取り付けられ、入退室制御装置140により施錠や解錠が制御される。
この
図5に示す建物200内のエリアやドアの配置は、上述したようにロボット制御装置110の施設情報(地図情報)111dに、登録されるものである。ここでは、一例として、ロボット100が移動ルートR1を移動する場合を説明する。
【0040】
ロボット制御装置110の移動指示部111bは、ロボット100の移動ルートR1として、自動ドア207を通過させ、片開きドア208の前の位置まで移動させるように設定する。移動指示部111bで設定された移動ルートR1は、ロボット制御装置110の通信インターフェース112を経て、ロボット100に伝送される。
ロボット100の駆動制御部101aは、この移動指示部111bで設定された移動ルートR1に沿ってロボット100を移動させる。このロボット100の移動は、ロボット100の駆動機構102dにより行われる。
【0041】
図6は、建物200内に設置される片開きドア208の一例を示す。
図6に示すように、片開きドア208には部屋名、図形、色、ウォーターマーク等が付加される。すなわち、片開きドア208には、部屋名を記載したドア名表示208aや、特定の形状のマークなどの記載されたドア識別子208bが取り付けられている。このドア識別子208bは、ドアに特別なマークなどを記載する代わりに、片開きドア208の全体又は一部の色を識別子として利用してもよい。あるいは、部屋名(ドア名)そのものを識別子として利用してもよい。また、画像認識可能なウォーターマークやバーコードなどをドアに記載して、ドア識別子として利用してもよい。
【0042】
これらのドア名表示208aやドア識別子208bは、ロボット100が片開きドア208に接近したとき、ロボット100に取り付けられたカメラ102aで撮影される。カメラ102aにより撮影された画像は、ロボット制御装置110に伝送され、ドア判定部111fによりドア識別子が取得される。そして、このドア識別子によりドア特定部111iは、ドア識別子管理テーブル111gを参照し当該ドアを特定する。ドア特定部111iが当該ドア(自動ドア207や片開きドア208など)を特定すると、その特定したドアを示す情報が、ロボット制御装置110の通信インターフェース112を経て、入退室制御装置140に送信される。入退室制御装置140は、該当するドアを解錠する処理を行う。
なお、
図6では、片開きドア208の例を示すが、自動ドア207にも、同様にドア名表示やドア識別子が取り付けられる。
【0043】
[1−6.テーブルのデータ構造の例]
図7は、ロボット制御装置110が持つドア識別子管理テーブル111gのデータ構造の一例を示す。
ドア識別子管理テーブル111gは、識別子情報401、位置情報402、ドア情報403の各項目を備える。
識別子情報401の項目は、各ドアに対応する識別子を示す。ここでは、識別子としてドアの色を示す。
位置情報402の項目は、建物200内の各ドアの設置位置の座標を示している。
ドア情報403の項目は、識別子に対応するドア名を示す。このドア名には、例えば
図6に示すドア名表示208aに記載したドア名が示される。但し、ドアには、ドア名を表示しない場合もある。
【0044】
図8は、入退室制御装置140が持つドア管理テーブル141cのデータ構造の一例を示す。
ドア管理テーブル141cは、ドア情報501、ドア種別情報502、遠隔操作可否情報503、電話番号情報504、ドア開閉可否情報505の各項目を備える。
ドア情報501は、ドア名を示す。このドア名は、ドア識別子管理テーブル111gのドア情報403と同じである。
ドア種別情報502は、ドアの種類を示す。ドア種別としては、自動ドア、片開きドアなどのドアの種類が示される。
【0045】
遠隔操作可否情報503は、ドアの遠隔操作の可否を示す。例えば、自動ドアはロボット単体で通過可能な為、遠隔操作可能(図中の○)と示され、ロボット単体では開けられない片開きドア等は遠隔操作が不可(図中の×)と示される。
電話番号情報504は、ドアに対応した電話番号を示す。例えば、遠隔操作不可のドアを開ける際に、対応するドアを管理している場所(部署)へロボット制御装置110の連絡部111kから音声による連絡を行い、ドアを開けてもらうようにする。メールやSNSなどのメッセージで連絡を行う場合には、電話番号情報504としてメールアドレスなどの連絡先を特定する情報が記載される。
【0046】
ドア開閉可否情報505は、ドアの開閉の可否を示す。例えば、ロボット100が入ることを禁止する役員室は、入室不可(図中の×)と示される。また、ロボット100が入室可能な部屋やエリアの場合には、入室可(図中の○)と示される。なお、ドア開閉可否情報505は、ロボット100の種類によって、より詳細にドアの開閉の可否を示すようにしてもよい。例えば、来訪者を案内するロボットについては、特定のドアについて入室可とし、清掃ロボットについては、同じドアについて入室不可とする等、ロボットの作業内容によって、異なる情報を設定してもよい。
【0047】
[1−7.テーブルの操作画面の例]
図9は、ロボット制御装置110のドア識別子管理テーブル111gを更新する画面の一例である。このドア識別子管理テーブル111gを更新する画面は、ドア識別子管理テーブル操作部111hにより作成され、ロボット制御装置110を操作する管理者(操作作業者)などの操作で、更新が行われる。
【0048】
図9に示すように、ドア識別子管理テーブル111gを更新する画面には、識別子の選択箇所601と、位置の選択箇所602と、ドアの選択箇所603とが表示され、各情報について、操作作業者が建物200内の各ドアの実際の状態と一致するように登録する。すなわち、操作作業者は、各情報の選択箇所601,602,603を選んだ後、設定ボタン604を押すことで、ドア識別子管理テーブル111gの該当する情報を更新する。
【0049】
図10は、入退室制御装置140のドア管理テーブル141cを更新する画面の一例である。このドア管理テーブル141cを更新する画面は、ドア管理テーブル操作部141dにより作成され、入退室制御装置140を操作する管理者(操作作業者)は、この画面を用いてドア管理テーブル141cを更新する。
【0050】
ドア管理テーブル141cを更新する画面には、ドアの選択箇所701と、ドア種別の選択箇所702と、遠隔操作可否の選択箇所703と、電話番号の選択箇所704と、ドア開閉可否の選択箇所705とが表示される。そして、各情報について、操作作業者が建物200内の各ドアの実際の状態と一致するように登録する。すなわち、操作作業者は、各情報の選択箇所701,702,703,704,705を選んだ後、設定ボタン706を押すことで、ドア管理テーブル141cの該当する情報を更新する。
【0051】
[1−8.ロボットがドアを通過する際の処理の流れ]
次に、ロボット100を建物200内の施錠されたドアを解錠して通過する際の処理の流れについて説明する。
【0052】
図11は、ロボット100が建物200内の施錠されたドアを通過する際のロボット制御装置110の処理を示すフローチャートである。
まず、ドア判定部111fが、ロボット100のカメラ102aが撮影した画像を取得し、取得した画像についての画像解析処理を行うことで、その画像内のドアが閉まっているか否かを判定する(ステップS100)。ここで、ドア判定部111fが、ドアが閉まっていると判定しない場合、つまりドアが開いていると判定した場合には(ステップS100のNO)、解錠のための処理を終了する。
【0053】
次に、ドア判定部111fにおいて、ドアが閉まっていると判定された場合(ステップS100のYES)、ドア判定部111fが、ロボット100のカメラ102aが撮影した画像からドア識別子を取得する(ステップS101)。ドア識別子を取得する方法としては、例えば、
図6に示すようなドアでは、ドア名207a(会議室や役員室等の部屋の名称)を画像から取得する方法、ドアの色から取得する方法、ドアの図形や模様等の識別専用の識別子207bから取得する方法、特定のウォーターマークから取得する方法等がある。
【0054】
次に、ドア特定部111iが、ドア識別子管理テーブル111gを参照して、ドア識別子に対応するドアを特定する(ステップS102)。
そして、ドアを特定した後、入出力部111aは、通信インターフェース112を介して、解錠するドアの情報を入退室制御装置140に送信する(ステップS103)。この情報を受信した入退室制御装置140での処理は後述する(
図12)。
その後、入出力部111aは、通信インターフェース112を介して、入退室制御装置140から開閉制御情報を受信する(ステップS104)。
【0055】
次に、行動判断部111jが、受信した開閉制御情報にドアの連絡先が含まれるか否かを判断する(ステップS105)。ここで、ドアの連絡先を取得した場合(ステップS105のYES)、連絡部111kが、指示された連絡先へ電話をして、ドア開放を音声で依頼する(ステップS109)。このドア開放の依頼に基づいて手動でドアが開放された場合には、移動指示部111bに前進を指示し、本処理を終了する。
【0056】
また、ステップS105において、開閉制御情報にドアの連絡先が含まれなかった場合(ステップS105のNO)、行動判断部111jは、開閉制御情報でドアの解錠を取得したか否かを判断する(ステップS106)。ここで、開閉制御情報からドアの解錠を取得した場合(ステップS106のYES)、行動判断部111jが移動指示部111bに前進を指示し、移動指示部111bが、移動ルートに基づきロボット100の移動を再開させ、前進移動させる(ステップS107)。
【0057】
この前進移動時には、撮影指示部111cが、ロボット100のカメラ102aをドア方向に向けドアが閉まるまでドア方向を撮影し本処理を終了する(ステップS108)。ステップS108でのカメラ102aによるドア方向の撮影は、ロボット100がドアを通過した後は、ロボット100の後方を撮影する処理になる。ロボット制御装置110は、ロボット100の後方の撮影で、ロボット100が通過した後、解錠したドアが閉まることを確認することができる。また、ロボット制御装置110は、ドアが閉まるまでの間に、ドアを通過した者がいるか否かを、カメラ102aの画像から判断することもできる。
【0058】
また、ステップS106の判断処理で開閉制御情報からドアの解錠を取得しなかった場合(ステップS106のNO)、移動指示部111bに回避ルートの指示を送り(ステップS110)、本処理を終了する。この指示を受けた移動指示部111bは、ロボット100にドアを通過しない回避ルートの走行を指示する。回避ルートとしては、例えば次の目的地に移動するルートや、元の場所に戻るルートなどがある。
【0059】
次に、入退室制御装置140でのロボット制御装置110からの指示による電気錠解錠処理の流れを説明する。
図12は、入退室制御装置140での電気錠解錠処理の流れを示すフローチャートである。
まず、入退室制御装置140の入出力部141aは、通信インターフェース142を介し、ロボット制御装置110から送信されたドアの情報を受信する(ステップS200)。
【0060】
次に、ドア制御部141bは、ロボット制御装置110から送信されたドアの情報に基づいて、遠隔操作が可能なドアか否かを判断する(ステップS201)。ステップS201の判断で、遠隔操作が可能でない場合は(ステップS201のNO)、ドア制御部141bは、受信したドアの情報により、ドア管理テーブル141cを参照して、連絡先を確認する。そして、入出力部141aが、その連絡先の情報を含む開閉制御情報を、通信インターフェース142を介してロボット制御装置110に送信して(ステップS206)、ドアの情報受信時の処理を終了する。
【0061】
また、ステップS201で、遠隔操作が可能なドアであると判定された場合は(ステップS201のYES)、ドア制御部141bは、ドア管理テーブル141cを参照して、解錠して良いドアか否かを判断する(ステップS202)。
ここで、解錠して良いドアであれば(ステップS202のYES)、ドア制御部141bは、ロボット制御装置110から受信したドアの情報に対応する電気錠の解錠を行う(ステップS204)。
その後、入出力部141aから通信インターフェース142を介し、ロボット制御装置110へドアの解錠ができたことを伝達し(ステップS205)、ドアの情報受信時の処理を終了する。
【0062】
また、ステップS202において、解錠して良いドアではない場合には(ステップS202のNO)、入出力部141aが解錠不可のエラーをロボット制御装置110に対して返信して(ステップS203)、ドアの情報受信時の処理を終了する。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態例によるロボット管理システム1によると、ロボット100が施錠されたドアの前に移動したとき、ロボット制御装置110がロボット100のカメラ102aの画像からドアを特定することができる。そして、ロボット制御装置110は、特定したドアの情報を入退室制御装置140に送信して、該当するドアの解錠を入退室制御装置140に指示することができる。
【0064】
入退室制御装置140では、受信したドアの情報をドア管理テーブル141cで検索して、解錠可能な場合に、該当するドアを解錠すると共に、解錠できたことを示す開閉制御情報をロボット制御装置110に送信する処理が行われる。したがって、本実施の形態例によるロボット管理システム1によると、施錠されたドアをロボット100が通過できるようになる。また、解錠したドアを手動で開ける必要がある場合には、解錠したドアの管理部署に電話等で連絡するため、ロボット100が通過可と登録されたドアについては、いずれの種類のドアであっても、解錠してロボット100を通過させることが可能になる。
【0065】
さらに、解錠したドアをロボット100が通過する際には、ロボット100に搭載されたカメラ102aの画像から、解錠して開いたドアが閉じるまでロボット制御装置110が監視するため、開いたドアを不審者などが通過しないか確実に監視できるようになる。
【0066】
また、本実施の形態例によるロボット管理システム1の場合、施錠や解錠の管理は、ロボット制御装置110と入退室制御装置140とが行うため、ロボット100自身が解錠のための鍵やIDカードを持つ場合に比べて、セキュリティを強化することができる。すなわち、本実施の形態例の場合には、ロボット100が万一の盗難にあったとしても、ロボット100単独では解錠ができないため、不正な解錠を確実に阻止することができる。
【0067】
また、本実施の形態例の場合、各ドアの施錠や解錠の管理そのものは入退室制御装置140が行うため、既存の電気錠が設置された建物200に、本実施の形態例のロボット管理システム1を構築することが簡単にできるようになる。
【0068】
なお、ここまで説明した第1の実施の形態例では、ロボット制御装置110は、ドア識別子を使ってロボット100の前にあるドアを特定するようにした。これに対して、ロボット100が現在位置を取得し、その取得した現在位置をロボット制御装置110に送信して、ロボット制御装置110がロボット100の現在位置からドアを特定するようにしてもよい。すなわち、
図7に示すように、ドア識別子管理テーブル111gには、位置情報402が含まれているので、この位置情報402とロボット100の現在位置との照合により、ロボット制御装置110が解錠が必要なドアを判別することができる。
また、現在位置を使ったドアの特定処理を行う場合に、識別子を使ったドアの特定処理と組み合わせるようにしてもよい。
【0069】
<2.第2の実施の形態例>
次に、本発明の第2の実施の形態例を、
図13〜
図15を参照して説明する。
第2の実施の形態例では、ロボット制御装置110の構成を、第1の実施の形態例で説明した構成から変更したものである。ロボット管理システム1の全体構成などのその他の構成については、第1の実施の形態例で説明した構成をそのまま適用する。
【0070】
[2−1.ロボット制御装置の構成]
図13は、第2の実施の形態例のロボット制御装置110の内部構成例を示す。
図13に示すロボット制御装置110は、第1の実施の形態例で説明したロボット制御装置110(
図3)が備える構成に加えて、ドア管理テーブル111nとドア管理テーブル操作部111oとを備えるようにしたものである。
【0071】
ドア管理テーブル111nは、入退室制御装置140が持つドア管理テーブル141cと同じものである。あるいは、ロボット制御装置110のドア管理テーブル111nは、入退室制御装置140が持つドア管理テーブル141cの中の、ロボット100を運用するエリア内のドアについての情報だけを持つようにしてもよい。
【0072】
ロボット制御装置110のドア管理テーブル111nの情報は、ドア管理テーブル操作部111oによる操作で、修正や更新を行うことができる。あるいは、入退室制御装置140側のドア管理テーブル141cが更新されたとき、ロボット制御装置110側のドア管理テーブル111nに対して同じ内容の更新を自動的に行うようにしてもよい。
ロボット制御装置110のその他の構成については、
図3に示すロボット制御装置110と同様に構成する。
【0073】
[2−2.ロボットがドアを通過する際の処理の流れ]
次に、ロボット100を建物200内の施錠されたドアを解錠して通過する際の処理の流れについて説明する。
【0074】
図14は、ロボット100を建物200内の施錠されたドアを通過する際のロボット制御装置110の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ドア判定部111fが、ロボット100のカメラ102aが撮影した画像を取得し、取得した画像についての画像解析処理を行うことで、その画像内のドアが閉まっているか否かを判定する(ステップS300)。ここで、ドア判定部111fが、ドアが閉まっていると判定した場合(S300のYES)、ドア判定部111fが、ロボット100のカメラ102aが撮影した画像からドア識別子を取得する(ステップS301)。
一方、ドア判定部111fが、ドアが閉まっていること判定しない場合(ステップS300のNO)、解錠のための処理を終了する。
【0075】
次に、ドア特定部111iが、ドア識別子管理テーブル111gを検索して、ドア識別子に対応するドアを特定する(ステップS302)。そして、ドアを特定した後、ドア判定部111fが、ドア管理テーブル111nを検索して、特定したドアの遠隔操作とドア解錠の可否を判断する(ステップS303)。
【0076】
次に、行動判断部111jは、ステップS303で判断した情報から、ドアの遠隔操作が可能か否かを判断する(ステップS304)。ここで、ドアの遠隔操作ができないと判断した場合(ステップS304のNO)、連絡部111kが、指示された連絡先へ電話等により連絡を行い、ドア開放を依頼する(ステップS311)。このドア開放の依頼に基づいて手動でドアが開放された場合には、行動判断部111jは、移動指示部111bに前進を指示し、本処理を終了する。
【0077】
また、ステップS304において、ドアの遠隔操作が可能と判断した場合(ステップS304のYES)、行動判断部111jは、ステップS303で判断した情報から、ドアの解錠が可能か否かを判断する(ステップS305)。
ステップS305の判断で、ドアの解錠が可能と判断した場合(ステップS305のYES)、入出力部111aは、特定したドアの情報を入退室制御装置140に送信する(ステップS306)。
【0078】
その後、入出力部111aは、通信インターフェース112を介して、入退室制御装置140から解錠できたことを示す応答を受信する(ステップS307)。この応答の受信で、行動判断部111jは、移動指示部111bに前進を指示し、移動指示部111bが、移動ルートに基づきロボット100の移動を再開させ、前進移動させる(ステップS308)。
前進移動時には、撮影指示部111cが、ロボット100のカメラ102aをドア方向に向けドアが閉まるまでドア方向を撮影し(ステップS309)、本処理を終了する。
【0079】
また、ステップS305の判断処理で、ドアの解錠ができないと判断した場合(ステップS305のNO)、移動指示部111bに戻る指示を送り(ステップS310)、本処理を終了する。この指示を受けた移動指示部111bは、ロボット100にドアを通過しない戻るルートの走行を指示する。
【0080】
図15は、本実施の形態例における、入退室制御装置140での電気錠解錠処理の流れを示すフローチャートである。
まず、入退室制御装置140の入出力部141aは、通信インターフェース142を介し、ロボット制御装置110から送信されたドアの情報を受信する(ステップS401)。
【0081】
次に、ドア制御部141bは、ロボット制御装置110から送信されたドアに対応する電気錠の解錠を行う(ステップS402)。その後、入出力部141aから通信インターフェース142を介し、ロボット制御装置110へドアの解錠ができたことを伝達し(ステップS403)、ドアの情報の受信時の処理を終了する。
【0082】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態例によるロボット管理システム1によると、第1の実施の形態例と同様に、施錠されたドアを解錠して、ロボット100を通過させることができる。
この場合、第2の実施の形態例の場合には、ロボット制御装置110がドア管理テーブル111nを持って、ドアの解錠や開動作の可否を判断するようにしたことで、ロボット制御装置110と入退室制御装置140との間での通信処理が簡単になる。すなわち、ロボット制御装置110は、特定したドアについての解錠の指令を送り、入退室制御装置140は、指令に基づいて解錠した後、解錠したことを通知するだけでよく、両者の通信処理が簡単になる。また、入退室制御装置140は、連絡などの判断を行う必要がなく、ロボット100を通過させるための特別な判断処理が不要であり、それだけ入退室制御装置140としての構成を簡単にすることができる。
【0083】
<3.変形例>
なお、上述した各実施の形態例では、ロボット制御装置110と入退室制御装置140とは、個別の装置としたが、ロボット制御装置110と入退室制御装置140とは、同じコンピュータ装置によって構成してもよい。
また、各実施の形態例のようにロボット制御装置110と入退室制御装置140とを個別に用意する場合において、ロボット制御装置110で行う処理の一部を、入退室制御装置140が行うようにしてもよい。例えば、入退室制御装置140が、ロボット100の前のドアを特定するための処理を行うようにしてもよい。
【0084】
また、上述した各実施の形態例では、ロボット100がカメラ102aを搭載して、カメラ102aの画像からロボット制御装置110がドアの特定などを行うようにした。これに対して、建物200側に設置された監視カメラの画像から、ロボット100の位置などが判断できる場合には、ロボット制御装置110は、ロボット100側のカメラ102aの画像の代わりに、監視カメラの画像を利用してもよい。また、ドアの電気錠の解錠後に行われる、ドアが閉まったことや不審者の通過の可否の検知についても、ロボット100に搭載されたカメラ102aの画像の代わりに、建物200側の監視カメラを利用してもよい。
このように建物200側の監視カメラを利用することで、ロボット100がカメラを搭載していない場合にも、本発明を適用することが可能になる。
【0085】
また、
図8に示すドア管理テーブル111nの各項目は一例を示したものであり、その他の項目を登録するようにしてもよい。
例えば、建物200内の各部屋の温度などの環境を測定するロボット用のドア管理テーブルとして、環境を測定する部屋(入室可の部屋)と、環境を測定しない部屋(入室不可の部屋)の情報とを持つようにしてもよい。
【0086】
また、上述した各実施の形態では、ロボット100が施錠されたドアの通過の可否を、予め用意されたドア管理テーブル111nを使って判断するようにした。これに対して、ドア管理テーブル111nは、建物200内の各部屋の使用状況に応じて可変させ、時間などで判断を変更するようにしてもよい。
【0087】
例えば、会議室のドアの電気錠については、その会議室のスケジュールで予約が入っている時間帯にはドア開閉不可とし、予約が入っていない時間帯にはドア開閉可とする。このようにそれぞれの部屋の使用スケジュールに応じて、ドア開閉の可否を可変設定することで、不使用時にはロボット100の入室が可能となり、使用中にはロボット100の入室ができないような運用が可能になる。
あるいは、建物200内の各部屋に入居したオフィスや店舗の営業時間などの情報をドア管理テーブルに持たせて、営業時間内は清掃を行うロボットの入室不可とし、営業時間外は清掃を行うロボットの入室可としてもよい。逆に、案内用のロボットについては、営業時間内は入室可とし、営業時間外は入室不可としてもよい。
【0088】
さらに、本発明は上記した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
また、
図1〜
図4のブロック図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。