(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887966
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】監視通報システム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/04 20060101AFI20210603BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20210603BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
H04M11/04
H04M11/00 301
H04Q9/00 311H
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-39247(P2018-39247)
(22)【出願日】2018年3月6日
(65)【公開番号】特開2019-153196(P2019-153196A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2020年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孟
【審査官】
田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−321943(JP,A)
【文献】
特開平11−289392(JP,A)
【文献】
特開2002−077427(JP,A)
【文献】
特開平07−264212(JP,A)
【文献】
特開2003−263218(JP,A)
【文献】
中国実用新案第201725190(CN,U)
【文献】
欧州特許出願公開第02975584(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00−11/10
H03J 9/00− 9/06
H04Q 9/00− 9/16
H04L 12/28−12/955
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の監視通報装置と第2の監視通報装置と通報対象装置とが公衆回線を介して接続された監視通報システムであって、
前記第1の監視通報装置は、
監視対象機器から監視データを取得して前記第2の監視通報装置との間で前記公衆回線を介して前記監視データを共有し、
前記監視対象機器の異常を検知した場合、異常検知データを前記第2の監視通報装置に前記公衆回線を介して送り、
前記第2の監視通報装置は、
前記第1の監視通報装置から送られてきた前記異常検知データに基づいて、前記公衆回線を介して前記通報対象装置に対して通報を行うことを特徴とする監視通報システム。
【請求項2】
前記第1の監視通報装置は、
前記第2の監視通報装置に対して一定間隔で前記公衆回線によるダイヤルアップ接続を行うことにより、前記監視データを共有することを特徴とする請求項1に記載の監視通報システム。
【請求項3】
前記第2の監視通報装置は、
前記第1の監視通報装置から送られてきた前記異常検知データを取得し、
前記異常検知データを共有した後に、前記通報対象装置に対して前記通報を行うことを特徴とする請求項1に記載の監視通報システム。
【請求項4】
前記公衆回線には更に第3の監視通報装置が接続されており、
前記第1の監視通報装置は、
前記公衆回線を介して、前記第2の監視通報装置及び前記第3の監視通報装置と定期的に前記監視データを共有することを特徴とする請求項1に記載の監視通報システム。
【請求項5】
前記第1の監視通報装置は、
前記第2の監視通報装置が前記通報対象装置に対して前記通報を行っている間に、前記第3の監視通報装置との間で前記公衆回線を介して前記監視データを共有することを特徴とする請求項4に記載の監視通報システム。
【請求項6】
前記第1の監視通報装置は、
前記監視対象機器がある現場に設置されることを特徴とする請求項1に記載の監視通報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現場に設置した監視通報装置に監視対象のデータを取り込んで、通信で遠隔地に監視対象の状態を転送して表示する監視通報システムが知られている。例えば、監視通報システムでは、上下水道の給水及び配水設備、産業用の生産設備、販売データ収集設備等の遠隔監視制御を行って、データの転送や利用者に対する警報の通報を行う。
【0003】
このような監視通報システムでは、通信コストを低減するために、常時通信回線ではなく公衆電話回線などの通信時のみ回線接続を行う都度通信回線を使用する場合も多い。
【0004】
都度通信回線を使用する監視通報システムは、現場で異常が発生したときや外部からのアクセスがあったときにのみ通信機能を有効にして、現場の状況や収集しているデータを監視通報装置に伝送したり利用者に対して通知を行う。
【0005】
ADSL(asymmetric digital subscriber line)などのネットワーク回線サービスが提供される以前から、公衆回線を利用してその都度通信を行う監視システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−286998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
監視通報システムにおいては、端末間でデータ取得親機とデータ取得子機を設定し、監視データの共有を行うことで中央サーバを設置することなく、何れかの端末が故障した場合にデータの欠損を防ぐ。
【0008】
しかし、公衆回線監視通報システムにおいて、端末間の接続は1対1の都度通信により行われる。このため、故障通報動作とデータ共有動作が重なった場合に、公衆回線監視通報システムのデータ取得親機はデータ共有動作終了後に通報動作を実施する。
【0009】
しかし、公衆回線を利用した音声通報動作は通報完了までに所定の時間(例えば、10分以上)を必要とする場合もある。このため、データ取得親機が監視対象の異常を検知した場合に次のデータ共有動作が迅速に開始されない恐れがある。
【0010】
本発明の目的は、監視通報システムにおいて、データ取得親機が監視対象の異常を検知した場合に次のデータ共有動作を迅速に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の監視通報システムは、第1の監視通報装置と第2の監視通報装置と通報対象装置とが公衆回線を介して接続された監視通報システムであって、前記第1の監視通報装置は、監視対象機器から監視データを取得して前記第2の監視通報装置との間で前記公衆回線を介して前記監視データを共有し、前記監視対象機器の異常を検知した場合、異常検知データを前記第2の監視通報装置に前記公衆回線を介して送り、前記第2の監視通報装置は、前記第1の監視通報装置から送られてきた前記異常検知データに基づいて、前記公衆回線を介して前記通報対象装置に対して通報を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、監視通報システムにおいて、データ取得親機が監視対象の異常を検知した場合に次のデータ共有動作を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例の監視通報システム全体の構成図である。
【
図2】データ共有時のデータ取得親機の処理内容を示す図である。
【
図3】データ共有中のデータ取得子機の処理内容を示す図である。
【
図4】データ共有中にデータ取得親局が監視対象の異常を検出した場合のデータ取得親機の処理内容を示す図である。
【
図5】データ共有中にデータ取得親局が監視対象の異常を検出した場合のデータ取得子機の処理内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
監視通報システムとして、公衆電話回線の他に携帯電話回線を利用した監視通報システムが存在する。携帯電話回線は電波を利用するため他の通信回線と異なり、現場に電話線などの固定の通信線を施設する必要がない。携帯電話回線を利用した監視通報システムは、導入が非常に容易であり、車載の設備のような移動体での通信が可能であり、通信費が一般に固定回線よりも安価である。このため、携帯電話回線を利用した監視通報システムは、近年需要が拡大している。現在は、安価なネットワーク回線サービスの普及により公衆回線を利用した監視システムの需要は減少している。
【0015】
しかし、音声による通報機能は利用者の携帯電話に直接通報を行える。また、上下水道の給水、配水設備等のような設備は山奥などに設置されていることも多い。このため、常時通信回線や携帯電話回線の提供範囲外であることも少なくない。このような状況の下、公衆回線を用いた都度通信による監視通報システムは、現在でも市場から一定の需要を得ている。
【0016】
そこで、実施形態の監視通報システムでは、通信コストを低減するために、常時通信回線ではなく公衆電話回線などの通信時のみ回線接続を行う都度通信回線を使用する。
【0017】
実施形態の監視通報システムでは、監視対象の監視データを記録するデータサーバ機能を持つ公衆回線監視通報システムにおいて、データ取得親機とデータ取得子機を設定し、データ取得親機からデータ取得子機に対して一定間隔で公衆回線によるダイヤルアップ接続を行うことによりデータの共有を行う。
【0018】
この際、データ取得親局が監視対象の異常を検知すると、データ取得子機がデータ取得親機の異常検知データを取得し、データ共有動作の終了後に、データ取得子機がデータ取得親機に替わり通報動作を行う。これにより、迅速なデータ共有動作の継続と通報動作を実現する。
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例】
【0019】
図1を参照して、実施例の監視通報システム全体の構成について説明する。
図1に示すように、監視通報システムは取水場、浄水場、ポンプ場などの上下水道関連施設に設置されたデータ取得親機100、データ取得子機200、データ取得子機300及び通報対象(通報対象機器)400を有する。ここで、データ取得親機100、データ取得子機200及びデータ取得子機300は、それぞれ、第1の監視通報装置、第2の監視通報装置及び第3の監視通報装置を構成する。
【0020】
データ取得親機100は、上下水道機器等のある現場に設置される装置であり、監視対象となる機器に接続され、監視対象機器よりデータを取得する。例えば、ポンプ装置等の設備において異常が生じた場合、異常を示すデータがデータ取得親機100に入力される。
【0021】
データ取得親機100とデータ取得子機200とデータ取得子機300と通報対象400との間は、公衆回線にて接続される。データ取得親機100は、CPU上で動作するデータ共有プロセス110、監視プロセス120、通報プロセス130、データ集計プロセス140及びアナログモデム150を有する。
【0022】
データ取得子機200は、CPU上で動作するデータ共有プロセス210、監視プロセス220、通報プロセス230、データ集計プロセス240及びアナログモデム250を有する。データ取得子機300は、CPU上で動作するデータ共有プロセス310、監視プロセス320、通報プロセス330、データ集計プロセス340及びアナログモデム350を有する。
【0023】
図1に示す監視通報システムは、データ取得親機100が定期的にデータ取得子機200及びデータ取得子機300とデータ共有動作を行い、データ取得親機100が監視対象の異常を検知した場合には通報対象400へ通報動作を行う。
【0024】
以下、
図2〜
図5を参照して、各装置の処理内容を説明する。
【0025】
図2を参照して、データ共有時のデータ取得親局100の処理内容について説明する。
図2に示すように、データ取得親局100は、CPU上で動作するデータ共有プロセス110がデータ同期タイミングを確認すると(S101)、CPU内に設定されたデータ取得順番に従い、アナログモデム150を経由してデータ取得子局200へと通信を行う(S102)。データ取得子局200との通信が確立すると、データ取得親局100はデータ取得子局200から監視データを取得し(S103)、データ集計プロセス140に保存する(S104)。ここで、データ集計プロセス140は、例えば、フラッシュメモリ等のメモリで構成される。
【0026】
データ取得親局100は、データ取得子局200とのデータ共有動作完了後、データ取得子局200と同様に、データ取得子局300とのデータ共有動作を行う。データ取得親局100は、データ取得子局200及びデータ取得子局300に対して一定間隔で公衆回線によるダイヤルアップ接続を行うことにより監視データを共有する。
【0027】
図3を参照して、データ共有時のデータ取得子局200の処理内容について説明する。
図3に示すように、データ取得子局200とデータ取得親局100との通信が確立すると(S201)、CPU上で動作するデータ共有プロセス210は、データ集計プロセス240から監視データを読出し(S202)、データ取得親局100に対して監視データを送信する(S203)。
【0028】
図4を参照して、データ共有動作中にデータ取得親局100が監視対象の異常を検出した場合のデータ取得親局100の処理内容について説明する。
図4に示すように、データ取得親局100は、データ取得子局200とのデータ共有動作中(S101、S102、S103、S104)に、CPU上で動作する監視プロセス120が監視対象の異常を検出すると(S105)、データ共有プロセス110はデータ取得子局200に対して監視対象の異常データの送信(S106)を行う。
【0029】
データ取得親局100は、データ取得子局200とのデータ共有動作完了後、通報対象400に対する通報を行わずに、データ取得子局200と同様に、データ取得子局300とのデータ共有動作を行う。
【0030】
図5を参照して、データ共有動作中にデータ取得親局100が監視対象の異常を検出した場合のデータ取得子局200の処理内容について説明する。
図5に示すように、データ取得子局200は、データ取得子局100とのデータ共有動作中(S201、S202、S203)に、データ取得親局100から監視対象の異常データを受信(S204)した場合、データ共有動作の終了後、通報プロセス230から通報対象400に対する通報を行う(S205)。
【0031】
上述のように、データ取得親局100は、公衆回線を介してデータ取得子局200及びデータ取得子局300と定期的に監視データを共有する。そして、データ取得親局100は、データ取得子局200が通報対象400に対して通報を行っている間に、データ取得子局300との間で公衆回線を介して監視データを共有する。よって、データ取得親機が監視対象の異常を検知した場合に次のデータ共有動作を迅速に行うことができる。
【符号の説明】
【0032】
100 データ取得親機
200 データ取得子機
300 データ取得子機
400 通報対象
110 データ共有プロセス
120 監視プロセス
130 通報プロセス
140 データ集計プロセス
150 アナログモデム
210 データ共有プロセス
220 監視プロセス
230 通報プロセス
240 データ集計プロセス
250 アナログモデム
310 データ共有プロセス
320 監視プロセス
330 通報プロセス
340 データ集計プロセス
350 アナログモデム