特許第6887974号(P6887974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6887974基板実装構造、実装基板、及び電圧測定部
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887974
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】基板実装構造、実装基板、及び電圧測定部
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20210603BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20210603BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   H05K1/18 S
   H05K13/04 C
   H05K1/02 C
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-152995(P2018-152995)
(22)【出願日】2018年8月15日
(65)【公開番号】特開2020-27906(P2020-27906A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2019年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】柴田 光輝
(72)【発明者】
【氏名】河合 宣明
(72)【発明者】
【氏名】鷹箸 拓人
【審査官】 三森 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−114562(JP,A)
【文献】 特開2015−10973(JP,A)
【文献】 特開2016−114561(JP,A)
【文献】 特開2014−55848(JP,A)
【文献】 特開2015−12210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00− 1/02
H05K 1/18,13/04
H01R 19/00,35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を有する電子部品と、
前記端子に接触接続されるとともに基板に実装される第1導電板と、
前記端子に接触接続されず前記端子を間隔を空けて包囲するとともに前記基板に実装される第2導電板と、
を備えることを特徴とする基板実装構造。
【請求項2】
前記電子部品は、前記基板の切欠きにより支持されることを特徴とする、請求項1に記載の基板実装構造。
【請求項3】
前記電子部品は板形状を有し、前記切欠きは前記電子部品の両端部と嵌合することを特徴とする、請求項2に記載の基板実装構造。
【請求項4】
前記端子は、前記基板及び前記第2導電板の間に配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の基板実装構造。
【請求項5】
前記電子部品を接続する接続部をさらに備え、
前記電子部品は、前記第1導電板に接続される第1端子と、前記接続部に接続される第2端子と、を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の基板実装構造。
【請求項6】
前記電子部品は抵抗であり、
前記第1導電板及び前記第2導電板により、前記抵抗に並列に接続された空気コンデンサが形成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の基板実装構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の基板実装構造と、
前記基板と、
を備えることを特徴とする実装基板。
【請求項8】
前記基板は、前記第1導電板を配置するための基板穴と前記第2導電板を配置するための基板穴との間にスリットを有することを特徴とする、請求項7に記載の実装基板。
【請求項9】
請求項8に記載の実装基板を備える電圧測定部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板実装構造、実装基板、及び電圧測定部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子を有する電子部品と、端子に接着されるとともに基板に実装される第1導電板と、を備える基板実装構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−12210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、電子部品としての抵抗2と、第1導電板としての部品保持機構3と、が開示されている。このような基板実装構造によれば、第1導電板によって電子部品を基板に保持することができる。しかし、実装基板のより安定した動作を実現できる構造を提案できれば望ましい。
【0005】
そこで、本開示は、安定した動作を実現できる基板実装構造、実装基板、及び電圧測定部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る基板実装構造は、端子を有する電子部品と、前記端子に接触接続されるとともに基板に実装される第1導電板と、前記端子に接触接続されず前記端子を間隔を空けて包囲するとともに前記基板に実装される第2導電板と、を備える。
このように、第1導電板を電子部品の端子に接続するとともに基板に実装することにより、電子部品を基板に保持することができる。また、第2導電板を端子に間隔を空けて包囲するように配置することで、シールドケースがなくても第1導電板に接続された端子を第2導電板によって外部との接触等から物理的に保護することができる。
【0007】
一実施形態において、前記電子部品は、前記基板の切欠きにより支持されてもよい。
このように、電子部品が基板の切欠きにより支持されることにより、電子部品が振動などの衝撃を受けても切欠きにより支持されるため、電子部品が傾いたり、電子部品のリード端子が折れたりする問題の発生を抑制することができる。
【0008】
一実施形態において、前記電子部品は板形状を有し、前記切欠きは前記電子部品の両端部と嵌合してもよい。
このような構成によれば、電子部品を基板に安定して保持することができる。
【0009】
一実施形態において、前記端子は、前記基板及び前記第2導電板の間に配置されてもよい。
このような構成によれば、電子部品を基板の片面に実装した場合よりも基板実装構造を薄型化することができる。
【0010】
一実施形態において、基板実装構造は、前記電子部品を接続する接続部をさらに備え、前記電子部品は、前記第1導電板に接続される第1端子と、前記接続部に接続される第2端子と、を備えてもよい。
このように、第1導電板及び接続部を設けることにより、電子部品の端子を基板から離れた所定の位置に固定することができる。
【0011】
一実施形態において、前記電子部品は抵抗であり、前記第1導電板及び前記第2導電板により、前記抵抗に並列に接続された空気コンデンサが形成されてもよい。
このように、抵抗及び空気コンデンサの並列接続を構成することにより、入力電圧を測定することができる。
【0012】
一実施形態において、基板実装構造は、前記電子部品、前記第1導電板、及び前記第2導電板を覆うシールドケースを備えてもよい。
このように、シールドケースを設け、電子部品、第1導電板、及び第2導電板を覆うことにより、外部からの放射ノイズによる基板実装構造への影響と、基板実装構造からの放射ノイズによる外部への影響と、の両方を低減することができる。
【0013】
一実施形態において、前記第1導電板及び前記第2導電板の少なくともいずれかは、金属板であってよい。
このような構成によれば、実装基板のより安定した動作を可能にすることができる。
【0014】
幾つかの実施形態に係る実装基板は、前記基板実装構造と、前記基板と、を備える。
このような構成によれば、安定した動作を実現できる実装基板を得ることができる。
【0015】
一実施形態において、前記基板は、前記第1導電板を配置するための基板穴と前記第2導電板を配置するための基板穴との間にスリットを有してもよい。
このように、基板にスリットを設けることにより、上記基板穴の間の沿面距離(基板上の道のり)を稼ぎ、1導電板と第2導電板との間に基板が存在することによるコンデンサの特性への影響を、低減することができる。
【0016】
幾つかの実施形態に係る電圧測定部は、前記実装基板を備える。
このような構成によれば、安定した動作を実現できる電圧測定部を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、安定した動作を実現できる基板実装構造、実装基板、及び電圧測定部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る基板実装構造を備える実装基板を示す斜視図である。
図2図1に示した実装基板の分解図である。
図3図1に示した基板の平面図である。
図4図1に示した実装基板のA−A断面図である。
図5図4に示した実装基板のB−B断面図である。
図6A】一実施形態に係る基板実装構造を備える電圧測定部の第1の回路構成を示す図である。
図6B】一実施形態に係る基板実装構造を備える電圧測定部の第2の回路構成を示す図である。
図7】一実施形態に係る基板実装構造の第1の変形例を示す図である。
図8】一実施形態に係る基板実装構造の第2の変形例を示す図である。
図9】基板実装構造を備える実装基板の一例を示す斜視図である。
図10図9に示した実装基板の分解図である。
図11図9に示した実装基板のA−A断面図である。
図12図11に示した実装基板のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。各図中、同一符号は、同一の構成要素を示している。
【0020】
基板実装構造を備える実装基板の一例について、図9から図12を参照して説明する。図9は基板実装構造60を基板70に実装した実装基板の斜視図であり、図10図9に示した実装基板の分解図である。基板実装構造60は、抵抗61と、第1導電板62と、第2導電板63と、ホルダ64と、シールドケース65,66とを備える。
【0021】
図11図9に示した実装基板のA−A断面図であり、図12図11に示した実装基板のB−B断面図である。ホルダ64は、溝641,642を有しており、図11,12に示すように抵抗61の側面の一方の端部611が溝641に挿入されるとともに、抵抗61の側面の他方の端部612が溝642に挿入されることにより、抵抗61の姿勢が固定される。また、ホルダ64は、係着部643を有しており、図11,12に示すように第1導電板62の係止穴621に係着部643を係着することにより、第1導電板62の姿勢が固定される。シールドケース65,66は、外部からの放射ノイズによる基板実装構造60への影響と、基板実装構造60からの放射ノイズによる外部への影響と、の両方を低減する。
【0022】
第1導電板62及び第2導電板63は、樹脂製のホルダ64によって絶縁され、かつ適正な間隔に位置決めされることで、空気コンデンサの電極を形成する。空気コンデンサは耐電圧特性が高いため、高電圧測定での使用が可能であり、他のコンデンサに比べて小型化できる。また、空気コンデンサは電極の形状や離間距離などの設計の自由度が高い。
【0023】
基板実装構造60は、上述したように、部品の位置決め、固定、及び絶縁のために樹脂製のホルダ64を使用している。しかし、湿度の高い状態で使用されると、吸湿によって樹脂部品であるホルダ64の表面抵抗値が変化するため、空気コンデンサの容量が変化してしまう。また、樹脂が吸湿によって膨らんだり、半田付けの際に熱で変形したりすると、第1導電板62及び第2導電板63の離間距離、及び第1導電板62及び第2導電板63とシールドケース65,66との離間距離が変わる。そして、電極間にある物質の特性や電極の離間距離が変化すると、空気コンデンサの特性も変化するため、基板実装構造60を電圧測定装置に使用した場合には、電圧測定結果の確度が低下してしまう。
【0024】
また、基板実装構造60は、各部品が基板70の片面に実装され、さらに各部品間に絶縁距離の確保が必要なため、図9に示すz方向(垂直方向)の寸法が大きくなり、基板実装構造60を薄型の装置に適用することが困難となる。
【0025】
そこで、本発明の一実施形態では、ホルダを設けないで電子部品を基板に保持することが可能な薄型の基板実装構造を提案する。本発明の一実施形態に係る基板実装構造について、図1から図6を用いて例示説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る基板実装構造を備える実装基板を示す斜視図である。図1に示すように、基板実装構造10は基板20に実装される。
【0027】
図2は、図1に示した実装基板の分解図である。図2に示すように、基板実装構造10は、電子部品11と、第1導電板12と、第2導電板13と、接続部14と、シールドケース15,16とを備える。本実施形態では、電子部品11は、長方形の板状の形状を有している。電子部品11は、例えば抵抗である。
【0028】
図3は、基板20の平面図である。基板20は、開口部21と、部品を配置するための基板穴22,23,24,25,26,27,28,29とを有する。開口部21は、凸部211と、凹部212と、切欠き213,214と、スリット215,216とを有する。第1導電板12、第2導電板13、及び接続部14は、それぞれ基板20により配置位置が決定され、部品間の距離が維持される。
【0029】
電子部品11は、部品本体111と、リード面112の一端に配置されたリード端子(第1端子)114a,114bと、リード面112の他端に配置されたリード端子(第2端子)113とを有する。なお、本実施形態の電子部品11は計3本のリード端子を有するが、このような電子部品11に替えて、リード面112の一端と他端に1本ずつの計2本のリード端子を有する電子部品を用いてもよい。
【0030】
第1導電板12は、上面板121と、前面板122と、後面板123とを有する。上面板121と前面板122と後面板123とは、それぞれ平板状をなす。上面板121と前面板122とは互いに垂直に延在しており、上面板121と後面板123とは互いに垂直に延在する。本実施形態では第1導電板12は断面形状がU字状に形成されるが、第1導電板12の形状に制約はなく、U字以外の形状でもよい。第1導電板12は、導電性を有する素材であればよく、例えば第1導電板12は素材が黄銅の金属板である。なお、説明の便宜上、図2における前方を前、後方を後、上方を上とする。上面板121には、電子部品11のリード端子114a,114bを挿通させるための挿通口124が設けられる。第1導電板12は、前面板122の爪125及び後面板123の爪126を、それぞれ基板穴24,25に挿入して半田付けすることにより、基板20に実装される。
【0031】
第2導電板13は、上面板131と、前面板132と、後面板133とを有する。上面板131と前面板132と後面板133とは、それぞれ平板状をなす。上面板131と前面板132とは互いに垂直に延在しており、上面板131と後面板133とは互いに垂直に延在する。本実施形態では第2導電板13は断面形状がU字状に形成されるが、第2導電板13の形状に制約はなく、U字以外の形状でもよい。第2導電板13は、導電性を有する素材であればよく、例えば第2導電板13は素材が黄銅の金属板である。上面板131には、第2導電板13を基板20の裏面側から開口部21を通してz方向に引き上る際に、凹部212と接触しないようにするために開口部134が設けられる。第2導電板13は、前面板132の爪135,136及び後面板133の爪137,138をそれぞれ基板穴26,27,28,29に挿入して半田付けすることにより、電子部品11のリード端子113,114a,114bを間隔を空けて包囲するように、基板20に実装される。
【0032】
基板20のスリット215,216は必須ではないが、基板穴24及び基板穴28の間にスリット215を設け、基板穴25及び基板穴29の間にスリット216を設けることにより、基板穴24及び基板穴28の沿面距離と、基板穴25及び基板穴29の沿面距離を稼ぎ、第1導電板12と第2導電板13との間に基板20が存在することによるコンデンサの特性への影響を低減することができる。
【0033】
接続部14は、上面板141と、前面板142と、後面板143とを有する。上面板141と前面板142と後面板143とは、それぞれ平板状をなす。上面板141と前面板142とは互いに垂直に延在しており、上面板141と後面板143とは互いに垂直に延在する。本実施形態では接続部14は断面形状がU字状に形成されるが、接続部14の形状に制約はなく、U字以外の形状でもよい。接続部14は、導電性を有する素材であればよく、例えば接続部14は素材が黄銅の金属板である。上面板141には、電子部品11のリード端子113を挿通させるための挿通口144が設けられる。接続部14は、前面板142の爪145及び後面板143の爪146を、それぞれ基板穴22,23に挿入して半田付けすることにより、基板20に実装される。
【0034】
電子部品11は、リード端子114a,114bを第1導電板12の上面板121の挿通口124に挿通して、第1導電板12の上面板121と接続される。また、電子部品11は、リード端子113を接続部14の上面板141の挿通口144に挿通して、接続部14の上面板141と接続される。接続の方法は、溶接や差込でもよいが、半田付けにより接着させることにより、電子部品11をより確実に固定することができる。
【0035】
シールドケース15,16は、電子部品11、第1導電板12、及び第2導電板13を覆うようにして基板20に取り付けられる。シールドケース15,16は、電子部品11を包囲することにより、外部との接触等から電子部品11を保護し、実装基板の安定した動作を可能にすることができる。シールドケース15,16は、前述したノイズの低減のために、基板20の基準電位用の導体パターンに接続される。
【0036】
図4図1に示した実装基板のA−A断面図であり、図5図4に示した実装基板のB−B断面図である。図4,5に示すように、電子部品11のリード端子114a,114bは、第2導電板13の上面板131と、前面板132及び後面板133における基板20から上方に突出した部分と、により、間隔を空けて包囲される。したがって、リード端子114a,114bは、シールドケース15のみによって包囲される場合よりもさらに確実に、外部との接触等から物理的に保護される。また、電子部品11のリード端子113,114a,114bは、基板20及び第2導電板13の間に配置される。すなわち、図9から図12に示した基板実装構造60では、抵抗61のリード端子が基板70表面に接するように配置されるところ、基板実装構造10においては電子部品11のリード端子114a,114bが基板20と垂直方向に所定の距離だけ離れた第1導電板12の上面板121に接するように配置される。また、電子部品11のリード端子113は基板20と垂直方向に所定の距離だけ離れた接続部14の上面板141に接するように配置され、リード端子113及び接続部14は、第2導電板13と基板20で覆われた空間の外部に配置される。なお、第1導電板12及び接続部14は、それぞれ基板20に実装した際に、基板20から第1導電板12の上面板121までの距離と、基板20から接続部14の上面板141までの距離とが等しくなるように設計されてもよい。
【0037】
また、電子部品11は、基板20に設けられた切欠き213,214によって支持される。例えば、電子部品11が板形状を有する場合、電子部品11は両端部が切欠き213,214と嵌合し、基板20と垂直に保持される。そのため、振動により電子部品11が傾いたり、電子部品11のリード端子113,114a,114bが折れたりする問題の発生を抑制することができ、部品の位置決め、固定、絶縁のためのホルダが無くても電子部品11の耐衝撃性を得ることができる。
【0038】
図4に示すように、第1導電板12の上面板121及び第2導電板13の上面板131は間隔を空けて対向する。また、図5に示すように、第1導電板12の前面板122及び第2導電板13の前面板132は間隔を空けて対向し、第1導電板12の後面板123及び第2導電板13の後面板133は間隔を空けて対向する。また、電子部品11のリード端子114a,114b及び第1導電板12が電気的に接続され、電子部品11のリード端子113及び第2導電板13が接続部14を介して電気的に接続される。したがって、電子部品11が抵抗である場合には、第1導電板12及び第2導電板13は、抵抗11に並列に接続された空気コンデンサ30の電極として機能することができる。また、このような抵抗11及び空気コンデンサ30を用いて電圧測定部を構成することができる。このような電圧測定部は、例えば電圧測定装置の入力回路として使用することができる。
【0039】
図6は、基板実装構造10を備える電圧測定部の回路構成例を示す図である。図6Aは電圧測定部の第1の例である電圧測定部50の回路構成を示しており、電圧測定部50では抵抗11に直列に抵抗41が接続され、抵抗41の一端は接地される。図6Bは電圧測定部の第2の例である電圧測定部51の回路構成を示しており、電圧測定部51では、抵抗11に直列にオペアンプ42が接続され、オペアンプ42の非反転入力端子(+)と出力端子との間に抵抗43が接続され、オペアンプ42の反転入力端子(−)は接地される。いずれの例においても、電子部品11及び空気コンデンサ30は並列接続している。低周波帯域は抵抗11で分圧を行い、さらに空気コンデンサ30を並列接続することで高周波帯域までカバーすることができる。
【0040】
<第1の変形例>
次に、基板実装構造10の変形例について説明する。図7は、基板実装構造10の第1の変形例である基板実装構造10−1を示す図である。基板実装構造10−1は、基板実装構造10と比較して、接続部14に代えて接続部14’を使用する点が相違する。接続部14’はテストピンである。電子部品11のリード端子113は、折り曲げて接続部14’と接触させて半田付けすることにより、接続部14’と接続される。このように、基板実装構造10−1では、接続部の構成を簡略化することができる。
【0041】
<第2の変形例>
基板実装構造10の第1導電板12及び第2導電板13は、必要な表面積及び絶縁距離を保っていれば、形状を変更することが可能である。図8に、基板実装構造10の第2の変形例として、第1導電板12及び第2導電板13の形状を変形した基板実装構造10−2を示す。すなわち、基板実装構造10−2は、基板実装構造10と比較して、第1導電板12及び第2導電板13に代えて第1導電板12’及び第2導電板13’を使用する点が相違する。図8は、シールドケースの図示を省略している。図8に示す例では、第1導電板12’は側面板127を有しており、第1導電板12と比較して側面板127の面積が増加する分、空気コンデンサの容量を変えることなく、基板20の裏面側に突き出る部分を削除又は低減することができる。同様に、第2導電板13’は側面板138を有しており、第2導電板13と比較して側面板138の面積が増加する分、空気コンデンサの容量を変えることなく、基板20の裏面側に突き出る部分を削除又は低減することができる。その結果、基板実装構造10−2は、基板実装構造10よりも高さ(図1に示すz方向の寸法)を短くすることができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態では、基板実装構造10は、電子部品(抵抗)11と、電子部品11に接続されるとともに基板20に実装される第1導電板12と、電子部品11のリード端子113,114a,114bを間隔を空けて包囲するとともに基板20に実装される第2導電板13とを備える。かかる構成により、電子部品を保持する樹脂製のホルダを削減し、省スペース化及びコストダウンを実現することが可能となる。また、熱による変形の恐れがある樹脂部品が無いため、半田付けが容易になり、組立作業性が向上する。
【0043】
また、第1導電板12及び第2導電板13を空気コンデンサ30の電極として機能させることができ、空気コンデンサ30の高さを基板20の両面に分散することで、より薄型の装置で使用可能となる。また、樹脂部品が無くなり周囲環境が変化してもコンデンサ容量が安定するため、基板実装構造10を備える電圧測定部は、確度の高い電圧測定を実現することが可能となる。
【0044】
また、特許文献1に開示された基板実装構造では、一対の部品保持機構3の挟持部が空気コンデンサの電極として機能するが、電極間の距離が抵抗の幅の制約を受ける。また、電極間に抵抗が存在するため、例えば抵抗の表面に埃が付着した場合にはコンデンサの特性が不安定となる。その点、本実施形態の基板実装構造10では、第1導電板12及び第2導電板13の電極間距離の設定には自由度があるため、電極間距離を広くすることで、より高電圧に耐えうるコンデンサとすることができる。また、基板実装構造10では、電極間に部品が配置されないため、コンデンサの特性を安定化させることが可能となる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10,10−1,10−2 基板実装構造
11,41,43 電子部品(抵抗)
12,12’ 第1導電板
13,13’ 第2導電板
14,14’ 接続部
15,16 シールドケース
20 基板
21,134 開口部
22,23,24,25,26,27,28,29 基板穴
30 空気コンデンサ
42 オペアンプ
50,51 電圧測定部
111 部品本体
112 リード面
113,114a,114b リード端子
121,131,141 上面板
122,132,142 前面板
123,133,143 後面板
124,144 挿通口
125,126,135,136,137,138,145,146 爪
127,138 側面板
211 凸部
212 凹部
213,214 切欠き
215,216 スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12