(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧縮機(11)、凝縮器(12)、減圧装置(14A,14B)、及び蒸発器(13)を有し、冷媒が循環するように構成された冷媒回路(20)を備える冷凍装置(1)の冷媒漏洩を判定する冷媒漏洩判定装置(60)であって、
前記冷媒漏洩判定装置(60)は、前記冷凍装置(1)の運転に関するデータに基づいて指標値を算出する算出部(66)と、前記算出部(66)の算出結果に基づいて冷媒漏洩発生時期を予測する判定部(67)と、を有し、
前記算出部(66)は、前記冷凍装置(1)の運転に関するデータのうち、前記指標値の算出を実施する時点よりも以前の第1期間の前記冷凍装置(1)の運転に関するデータから算出される第1指標値と、前記第1期間の長さよりも長い期間であって前記指標値の算出を実施する時点よりも以前の第2期間の前記冷凍装置(1)の運転に関するデータから算出される第2指標値とに基づいて、前記第2指標値に対する前記第1指標値の乖離度合を算出し、
前記判定部(67)は、前記乖離度合の時系列での変化傾向を算出し、前記第2指標値に対する前記第1指標値の乖離度合の時系列での変化傾向に基づいて前記冷媒漏洩発生時期を予測するものであり、
前記第1指標値及び前記第2指標値のそれぞれは、吐出側冷媒温度比である、または、吐出側冷媒圧力比であり、
前記吐出側冷媒温度比は、前記圧縮機(11)の吐出側冷媒温度の予測値と、前記圧縮機(11)の吐出側冷媒温度の実測値との比により規定される値であり、
前記吐出側冷媒圧力比は、前記圧縮機(11)の吐出側の冷媒圧力の予測値と、前記圧縮機(11)の吐出側の冷媒圧力の実測値との比により規定される値であり、
前記圧縮機(11)の吐出側冷媒温度の予測値は、前記冷媒回路(20)への冷媒充填量が適正範囲内である場合の凝縮温度、蒸発温度、前記減圧装置である膨張弁(14A,14B)の開度、前記圧縮機(11)の運転周波数、及び前記圧縮機(11)の回転速度の少なくとも1つを変数とした回帰分析によって、前記冷凍装置(1)への電力の供給源となる電源の電源周波数と電源電圧ごとに算出され、
前記圧縮機(11)の吐出側の冷媒圧力の予測値は、前記冷媒回路(20)への冷媒充填量が適正範囲内である場合の凝縮圧力、蒸発圧力、前記減圧装置である膨張弁(14A,14B)の開度、前記圧縮機(11)の運転周波数、及び前記圧縮機(11)の回転速度の少なくとも1つを変数とした回帰分析によって、前記冷凍装置(1)への電力の供給源となる電源の電源周波数と電源電圧ごとに算出され、
前記第1期間の前記冷凍装置(1)の運転に関するデータは、前記時点の最近の1日分のデータであり、
前記第2期間の前記冷凍装置(1)の運転に関するデータは、前記時点の最近の10日分以上30日分以下のデータである
冷媒漏洩判定装置。
前記算出部(66)は、前記冷凍装置(1)が停止している区間のデータ、前記圧縮機(11)の起動直後の区間のデータ、前記圧縮機(11)の停止直後の区間のデータ、及び前記圧縮機(11)の運転の切り替り直後の区間のデータの少なくとも1つを除いて前記第1指標値及び前記第2指標値を算出する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷媒漏洩判定装置。
前記算出部(66)は、前記冷凍装置(1)が停止している区間のデータ、前記圧縮機(11)の起動直後の区間のデータ、前記圧縮機(11)の停止直後の区間のデータ、及び前記圧縮機(11)の運転の切り替り直後の区間のデータの少なくとも1つに対して代替データを用いて前記第1指標値及び前記第2指標値を算出する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷媒漏洩判定装置。
前記代替データは、前記冷凍装置(1)が停止している区間、前記圧縮機(11)の起動直後の区間、前記圧縮機(11)の停止直後の区間、及び前記圧縮機(11)の運転の切り替り直後の区間のうちの前記代替データを用いる区間の前後の値又は予め決める代表値である
請求項5に記載の冷媒漏洩判定装置。
前記算出部(66)は、前記第2指標値に対する前記第1指標値の乖離度合を、前記第1指標値及び前記第2指標値を用いた標準偏差、歪度、尤度、尖度、及び平均値の少なくとも1つに基づいて算出する
請求項1〜6のいずれか一項に記載の冷媒漏洩判定装置。
圧縮機(11)、凝縮器(12)、減圧装置(14A,14B)、及び蒸発器(13)を有し、冷媒が循環するように構成された冷媒回路(20)を備える冷凍装置(1)の冷媒漏洩判定方法であって、
前記冷凍装置(1)の運転に関するデータを保存するデータ保存ステップと、
指標値の算出を実施する時点よりも以前の第1期間の前記冷凍装置(1)の運転に関するデータから第1指標値を算出し、前記第1期間の長さよりも長い期間であって指標値の算出を実施する時点よりも以前の第2期間の前記冷凍装置(1)の運転に関するデータから第2指標値を算出する第1算出ステップと、
前記第1算出ステップにおいて算出された前記第1指標値及び前記第2指標値に基づいて、前記第2指標値に対する前記第1指標値の乖離度合を算出する第2算出ステップと、
前記乖離度合の時系列での変化傾向を算出し、前記乖離度合の時系列での変化傾向に基づいて冷媒漏洩発生時期を予測する判定ステップと、
を有し、
前記第1指標値及び前記第2指標値のそれぞれは、吐出側冷媒温度比である、または、吐出側冷媒圧力比であり、
前記吐出側冷媒温度比は、前記圧縮機(11)の吐出側冷媒温度の予測値と、前記圧縮機(11)の吐出側冷媒温度の実測値との比により規定される値であり、
前記吐出側冷媒圧力比は、前記圧縮機(11)の吐出側の冷媒圧力の予測値と、前記圧縮機(11)の吐出側の冷媒圧力の実測値との比により規定される値であり、
前記圧縮機(11)の吐出側冷媒温度の予測値は、前記冷媒回路(20)への冷媒充填量が適正範囲内である場合の凝縮温度、蒸発温度、前記減圧装置である膨張弁(14A,14B)の開度、前記圧縮機(11)の運転周波数、及び前記圧縮機(11)の回転速度の少なくとも1つを変数とした回帰分析によって、前記冷凍装置(1)への電力の供給源となる電源の電源周波数と電源電圧ごとに算出され、
前記圧縮機(11)の吐出側の冷媒圧力の予測値は、前記冷媒回路(20)への冷媒充填量が適正範囲内である場合の凝縮圧力、蒸発圧力、前記減圧装置である膨張弁(14A,14B)の開度、前記圧縮機(11)の運転周波数、及び前記圧縮機(11)の回転速度の少なくとも1つを変数とした回帰分析によって、前記冷凍装置(1)への電力の供給源となる電源の電源周波数と電源電圧ごとに算出され、
前記第1期間の前記冷凍装置(1)の運転に関するデータは、前記時点の最近の1日分のデータであり、
前記第2期間の前記冷凍装置(1)の運転に関するデータは、前記時点の最近の10日分以上30日分以下のデータである
冷媒漏洩判定方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、冷凍装置の一例である輸送用冷凍装置(以下単に「冷凍装置1」と称する)について説明する。冷凍装置1は、例えば海上コンテナ、陸上輸送トレーラ用コンテナ等の庫内を冷却するものである。冷凍装置1のケーシング内は、庫内空気を循環させる庫内収容空間と庫外空気を循環させる庫外収容空間とに分離されている。
【0012】
図1に示すように、冷凍装置1は、圧縮機11、凝縮器12、蒸発器13等が冷媒配管によって接続される冷媒回路20を備える。冷媒回路20は、主回路21、ホットガスバイパス回路22、及び液冷媒バイパス回路31を備える。
【0013】
主回路21は、モータ駆動の圧縮機11、凝縮器12、減圧装置の一例である第1膨張弁14A、及び蒸発器13が冷媒配管によって順に直列に接続されて構成されている。
図1に示すように、圧縮機11、凝縮器12、第1膨張弁14A、及び、凝縮器12に庫外空気を循環させる庫外送風機15等は、庫外収容空間に収納されている。また、蒸発器13、及び、蒸発器13に庫内空気を循環させる庫内送風機16等は、庫内収容空間に収納されている。
【0014】
圧縮機11は、例えばロータリ式圧縮機やスクロール式圧縮機を用いることができる。圧縮機11は、インバータによって運転周波数が制御されることにより、回転速度が制御され、これにより運転容量が可変となるように構成されている。
【0015】
凝縮器12及び蒸発器13は、フィンアンドチューブ熱交換器を用いることができる。凝縮器12は、庫外送風機15により供給される庫外空気と凝縮器12内を循環する冷媒とを熱交換する。蒸発器13は、庫内送風機16により供給される庫内空気と蒸発器13内を循環する冷媒とを熱交換する。庫外送風機15及び庫内送風機16の一例は、プロペラファンである。蒸発器13の下方には、ドレンパン28が設けられている。ドレンパン28には、蒸発器13から剥がれ落ちた霜や氷塊、空気中から凝縮した結露水等が回収される。
【0016】
第1膨張弁14Aは、例えばパルスモータによって開度可変に構成された電動膨張弁を用いることができる。
圧縮機11と凝縮器12とを接続する高圧ガス管23には、冷媒流れ方向に第1開閉弁17Aと逆止弁18とが順に設けられている。第1開閉弁17Aは、例えばパルスモータによって開度可変に構成された電動膨張弁を用いることができる。逆止弁18は、
図1に示す矢印の方向への冷媒の流れを許容する。
【0017】
凝縮器12と第1膨張弁14Aとを接続する高圧液管24には、冷媒流れ方向にレシーバ29、第2開閉弁17B、ドライヤ30、及び過冷却熱交換器27が順に設けられている。第2開閉弁17Bは、例えば開閉自在な電磁弁を用いることができる。
【0018】
過冷却熱交換器27は、互いに熱交換関係に構成される1次側通路27aと2次側通路27bとを有する。1次側通路27aは、主回路21においてドライヤ30と第1膨張弁14Aとの間に設けられている。2次側通路27bは、液冷媒バイパス回路31中に設けられている。液冷媒バイパス回路31は、高圧液管24と圧縮機11内の圧縮機構部における中間圧力部(図示略)とを接続するバイパス回路である。液冷媒バイパス回路31における高圧液管24と2次側通路27bとの間には、高圧液冷媒の流れ方向に第3開閉弁17Cと、絞り装置の一例である第2膨張弁14Bとが順次接続されている。このように構成されることにより、高圧液管24から液冷媒バイパス回路31に流入した液冷媒は、第2膨張弁14Bにより中間圧力まで膨張され、高圧液管24を流通する液冷媒よりも低温の冷媒となって2次側通路27bに流れる。したがって、1次側通路27aを流通する高圧液冷媒は、2次側通路27bを流通する冷媒により冷却され、過冷却される。第3開閉弁17Cは、例えば開閉自在な電磁弁を用いることができる。第2膨張弁14Bは、例えばパルスモータによって開度可変に構成された電動膨張弁を用いることができる。
【0019】
ホットガスバイパス回路22は、高圧ガス管23と蒸発器13の入口側を接続するものであって、圧縮機11から吐出された高圧高温のガス冷媒を蒸発器13の入口側にバイパスするものである。ホットガスバイパス回路22は、主通路32と、主通路32から分岐された第1分岐通路33及び第2分岐通路34とを有する。第1分岐通路33及び第2分岐通路34は、双方の一端が主通路32に接続され、双方の他端が蒸発器13の入口側、すなわち第1膨張弁14Aと蒸発器13との間の低圧の連絡配管25に接続された並列回路である。主通路32には、第4開閉弁17Dが設けられている。第4開閉弁17Dは、例えば開閉自在な電磁弁を用いることができる。第1分岐通路33は、配管のみにより構成されている。第2分岐通路34には、ドレンパンヒータ35が設けられている。ドレンパンヒータ35は、ドレンパン28を高温の冷媒によって加熱するようにドレンパン28の底部に設けられたものである。
【0020】
冷凍装置1には、各種のセンサが設けられている。一例では、
図1及び
図2に示すとおり、冷凍装置1には、吐出温度センサ41、吐出圧力センサ42、吸入温度センサ43、吸入圧力センサ44、電流センサ45、回転センサ46、凝縮温度センサ47、及び蒸発温度センサ48が設けられている。センサ41〜48は、例えば既知のセンサを用いることができる。
【0021】
吐出温度センサ41及び吐出圧力センサ42は、例えば高圧ガス管23における圧縮機11の吐出口近傍に設けられている。吐出温度センサ41は、圧縮機11から吐出される吐出ガス冷媒の温度に応じた信号を出力する。吐出圧力センサ42は、圧縮機11から吐出される吐出ガス冷媒の圧力に応じた信号を出力する。吸入温度センサ43及び吸入圧力センサ44は、例えば圧縮機11の吸入配管、すなわち低圧ガス管26における圧縮機11の吸入口近傍に設けられている。吸入温度センサ43は、圧縮機11に吸入される吸入ガス冷媒の温度に応じた信号を出力する。吸入圧力センサ44は、圧縮機11に吸入される吸入ガス冷媒の圧力に応じた信号を出力する。電流センサ45は、例えば圧縮機11のモータを駆動するインバータ回路に設けられている。電流センサ45は、インバータ回路に流れる電流量に応じた信号を出力する。回転センサ46は、例えば圧縮機11のモータに設けられている。回転センサ46は、モータの回転速度に応じた信号を出力する。
【0022】
凝縮温度センサ47は、例えば凝縮器12に設けられ、凝縮器12内を流れる冷媒の凝縮温度に応じた信号を出力する。本実施形態では、凝縮温度センサ47は、例えば凝縮器12の中間部分に取り付けられている。この場合、凝縮温度センサ47は、凝縮器12の中間部分における冷媒温度を凝縮温度として凝縮温度に応じた信号を出力する。なお、凝縮器12に対する凝縮温度センサ47の取り付け位置は、任意に変更可能である。
【0023】
蒸発温度センサ48は、例えば蒸発器13に設けられ、蒸発器13内を流れる冷媒の蒸発温度に応じた信号を出力する。本実施形態では、蒸発温度センサ48は、例えば蒸発器13の中間部分に取り付けられている。この場合、蒸発温度センサ48は、蒸発器13の中間部分における冷媒温度を蒸発温度として蒸発温度に応じた信号を出力する。なお、蒸発器13に対する蒸発温度センサ48の取り付け位置は、任意に変更可能である。
【0024】
図2に示すように、冷凍装置1は、冷凍装置1の運転を制御する制御装置50及び報知部52を備える。制御装置50には、吐出温度センサ41、吐出圧力センサ42、吸入温度センサ43、吸入圧力センサ44、電流センサ45、回転センサ46、凝縮温度センサ47、及び蒸発温度センサ48がそれぞれ電気的に接続されている。また制御装置50には、圧縮機11、第1膨張弁14A、第2膨張弁14B、庫外送風機15、庫内送風機16、第1開閉弁17A、第2開閉弁17B、第3開閉弁17C、第4開閉弁17D、及び報知部52が電気的に接続されている。報知部52は、冷凍装置1に関する情報を冷凍装置1の外部に報知する。報知部52は、例えば冷凍装置1に関する情報を表示する表示器53を有する。なお、報知部52は、表示器53に代えて、又は加えてスピーカを有してもよい。この場合、報知部52は、音声によって冷凍装置1に関する情報を報知してもよい。
【0025】
制御装置50は、制御部51を備える。制御部51は、例えば予め定められる制御プログラムを実行する演算装置及び記憶部を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を含む。記憶部には、各種の制御プログラム及び各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部は、例えば不揮発性メモリ及び揮発性メモリを含む。制御部51は、センサ41〜48の検出結果に基づいて、圧縮機11、膨張弁14A,14B、庫外送風機15、庫内送風機16、及び開閉弁17A〜17Dを制御する。冷凍装置1は、制御部51によって冷凍・冷却運転及びデフロスト運転を実行する。
【0026】
〔冷凍・冷却運転〕
冷凍・冷却運転では、第1開閉弁17A、第2開閉弁17B、及び第3開閉弁17Cが開放状態となり、第4開閉弁17Dが閉鎖状態となる。第1膨張弁14A及び第2膨張弁14Bの開度は適宜調整される。また、圧縮機11、庫外送風機15、及び庫内送風機16が運転される。
【0027】
冷凍・冷却運転時では、冷媒は
図1の実線矢印で示すように循環する。すなわち、圧縮機11で圧縮された高圧ガス冷媒は、凝縮器12で凝縮された後、液冷媒となってレシーバ29に貯留される。レシーバ29に貯留された液冷媒は、第2開閉弁17B及びドライヤ30を経由し、過冷却熱交換器27の1次側通路27aで冷却され、過冷却の液冷媒となって第1膨張弁14Aに流れる。なお、レシーバ29から流出した液冷媒の一部は、
図1の波線矢印で示すように過冷却源として第3開閉弁17C及び第2膨張弁14Bを介して中間圧力の冷媒となって過冷却熱交換器27の2次側通路27bに流れ、1次側通路27aの液冷媒を冷却する。過冷却熱交換器27で過冷却された液冷媒は、第1膨張弁14Aで減圧された後、蒸発器13に流れる。蒸発器13では、低圧液冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発気化される。これにより、庫内空気が冷却される。蒸発器13で蒸発気化した低圧ガス冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
【0028】
〔デフロスト運転〕
冷凍・冷却運転を継続して行うと、蒸発器13の伝熱管等の表面に霜が付着し、この霜が徐々に成長して肥大化する。このため、制御部51は、蒸発器13の除霜を行うための運転であるデフロスト運転を行う。
【0029】
デフロスト運転は、
図1の破線矢印で示すように、圧縮機11で圧縮した高温高圧のガス冷媒を蒸発器13の入口側にバイパスさせることにより蒸発器13を除霜する動作である。デフロスト運転では、第4開閉弁17Dが開放状態となり、第1開閉弁17A、第2開閉弁17B、第3開閉弁17C、及び第2膨張弁14Bが全閉状態となる。そして、圧縮機11が運転する一方、庫外送風機15及び庫内送風機16は停止される。
【0030】
圧縮機11で圧縮された高圧高温のガス冷媒は、主通路32を流れた後、第4開閉弁17Dを通過して第1分岐通路33及び第2分岐通路34に分流する。第2分岐通路34に分流した冷媒は、ドレンパンヒータ35を通過する。ドレンパンヒータ35から流出した冷媒は、第1分岐通路33を通過した冷媒と合流し、蒸発器13に流れる。蒸発器13では、伝熱管の内部を高圧ガス冷媒(所謂、ホットガス)が流通する。このため、蒸発器13では、伝熱管及びフィンに付着した霜が、高温ガス冷媒によって徐々に加熱される。その結果、蒸発器13に付着した霜が徐々にドレンパン28に回収される。蒸発器13の除霜に利用された冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。ここで、ドレンパン28の内部には、霜が融解した水とともに蒸発器13の表面から剥がれ落ちた氷塊等が回収されている。この氷塊等は、ドレンパンヒータ35の内部を流れる冷媒によって加熱されて融解する。融解した水は、所定の流路を通じて庫外に排出される。
【0031】
また、
図2に示すように、制御装置50は、冷媒漏洩の有無を判定し、又は、冷媒漏洩発生時期を予測する冷媒漏洩判定装置60をさらに備える。ここで、冷媒漏洩が発生すると、例えば、冷媒量の不足による圧縮機11の圧縮効率の低下のような冷凍装置1の異常が発生する。冷媒漏洩判定装置60は、圧縮機11から吐出される吐出ガス冷媒の温度(以下「吐出側冷媒温度」と称する)をモニタして冷媒漏洩の有無を判定し、又は、冷媒漏洩発生時期を予測する。
【0032】
図3に示すように、冷媒漏洩判定装置60は、データ取得部61、データ蓄積部62、前処理部63、冷媒漏洩判定部64、及び出力部65を有する。
データ取得部61は、各センサ41〜48と通信可能に接続されている。データ取得部61は、各センサ41〜48の時系列データが入力される。一例では、各センサ41〜48は、所定時間TX毎の検出結果を冷媒漏洩判定装置60に出力する。所定時間TXの一例は、1時間である。一例では、各センサ41〜48は、所定のサンプリング周期によって検出した検出結果を所定時間TXにわたって記憶し、所定時間TXにおいて平均した検出結果を冷媒漏洩判定装置60に出力する。なお、各センサ41〜48は、所定時間TX毎に決められた時刻において検出した検出結果を冷媒漏洩判定装置60に出力してもよい。
【0033】
データ蓄積部62は、データ取得部61と電気的に接続されている。データ蓄積部62は、データ取得部61からのデータが入力される。データ蓄積部62は、データ取得部61からのデータを保存する。一例では、データ蓄積部62は、データ取得部61からのデータを時系列で順次記憶する。本実施形態のデータ蓄積部62は、冷媒漏洩判定装置60に内蔵された記録媒体として構成されている。この場合、データ蓄積部62は、例えば不揮発性メモリ及び揮発性メモリを含んでもよい。なお、データ蓄積部62は、冷媒漏洩判定装置60の外部、又は冷凍装置1の外部に設けられた記録媒体であってもよい。この場合、データ蓄積部62は、USB(Universe Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード、及びHDD(hard disk drive)記録媒体の少なくとも1つを含んでもよい。
【0034】
前処理部63は、時系列データにおいて冷媒漏洩の有無の判定、又は冷媒漏洩発生時期の予測に対してノイズとなるデータを除去し、除去されたデータの区間を代替データで補填する。前処理部63は、第1処理部63a及び第2処理部63bを有する。ノイズとなるデータは、例えば、圧縮機11の起動直後のような瞬時的な変動のデータ、経時的に連続していない区間のデータ、等を含む。
【0035】
第1処理部63aは、データ蓄積部62に電気的に接続され、第2処理部63bは、第1処理部63aと電気的に接続されている。第1処理部63aは、代替データを補填する区間を抽出する。この区間は、例えば、冷凍装置1が停止している区間、圧縮機11の起動直後の区間、圧縮機11の停止直後の区間、及び圧縮機11の運転の切り替り直後の区間の少なくとも1つを含む。本実施形態では、第1処理部63aは、冷凍装置1が停止している区間、圧縮機11の起動直後の区間、圧縮機11の停止直後の区間、及び圧縮機11の運転の切り替り直後の区間を全て抽出する。
【0036】
第2処理部63bは、第1処理部63aによって抽出された区間に代替データを入力する。この代替データは、第1処理部63aによって抽出した区間の前後の値、又は予め決める代表値である。例えば、第1処理部63aが、冷凍装置1が停止している区間を抽出した場合、第2処理部63bは、冷凍装置1が停止している区間の前後の値のいずれか一方を代替データとする。ここで、停止している、つまり経時的に連続していない区間のデータは、例えば「0」とみなされる。第1処理部63aが圧縮機11の起動直後の区間を抽出した場合、第2処理部63bは、圧縮機11の起動直後の区間の後の値を代替データとする。圧縮機11の起動直後の区間の後の値は、圧縮機11の起動直後の区間の後の所定期間にわたるデータの平均値であってもよいし、圧縮機11の起動直後の区間の直後の時刻のデータであってもよい。第1処理部63aが圧縮機11の運転の停止直後の区間を抽出した場合、第2処理部63bは、圧縮機11の運転の停止直後の区間の前の区間の値を代替データとする。圧縮機11の運転の停止直後の区間の前の区間の値は、圧縮機11の停止直後の区間の前の区間として圧縮機11が停止動作に入る直前の区間におけるデータの平均値であってもよいし、圧縮機11が停止動作に入る直前の時刻のデータであってもよい。第1処理部63aが圧縮機11の運転の切り替り直後の区間を抽出した場合、第2処理部63bは、圧縮機11の運転の切り替り直後の区間の前後の区間の値のいずれか一方を代替データとする。圧縮機11の運転の切り替り直後の区間の前後の区間の値のいずれか一方は、圧縮機11の運転の切り替り直後の区間の前後の区間のいずれか一方のデータの平均値であってもよいし、圧縮機11の運転の切り替り直後の区間の前後の区間のいずれか一方における所定の時刻のデータであってもよい。なお、代替データの算出方法として、代替データで補填する区間の前後のデータを補間処理(例えば直線補間)して算出した値を代替データとしてもよい。
【0037】
冷媒漏洩判定部64は、前処理部63と電気的に接続されている。冷媒漏洩判定部64は、前処理部63によって処理されたデータを用いて、冷媒漏洩の有無を判定し、又は冷媒漏洩発生時期を予測する。冷媒漏洩判定部64は、算出部66及び判定部67を有する。
【0038】
算出部66は、冷媒回路20の正常状態からの乖離度合を算出するため、第1指標値及び第2指標値を算出する。冷媒回路20の正常状態とは、例えば冷媒回路20に封入された冷媒量(冷媒充填量)が適正範囲内であることである。算出部66は、冷凍装置1の運転に関するデータのうち、第1期間の冷凍装置1の運転に関するデータから第1指標値を算出する。また算出部66は、冷凍装置1の運転に関するデータのうち、第1期間とは長さが異なる第2期間の冷凍装置1の運転に関するデータから第2指標値を算出する。そして算出部66は、第1指標値と第2指標値とに基づいて冷媒回路20の正常状態からの乖離度合を算出する。本実施形態では、算出部66は、第1指標値と第2指標値との乖離度合に基づいて冷媒回路20の正常状態からの乖離度合を算出する。算出部66は、算出結果を判定部67に出力する。
【0039】
判定部67は、算出部66によって算出された冷媒回路20の正常状態からの乖離度合に基づいて冷媒漏洩の有無を判定、又は、冷媒漏洩発生時期を予測する。判定部67は、判定結果又は予測結果を出力部65に出力する。
【0040】
ここで、冷媒漏洩の有無とは、微量の冷媒漏洩ではなく、単位時間当たりの冷媒漏洩量が第1閾値以上になることである。第1閾値の一例は、冷媒漏洩によって冷凍装置1に異常が発生するほどの冷媒漏洩量であり、試験等により予め決められる。冷凍装置1の異常の一例は、冷媒充填量が適正範囲の下限値未満となって圧縮機11が冷却できないことに起因する圧縮機11の温度が過度に高くなることである。また、冷媒漏洩発生時期は、例えば、冷媒充填量が適正範囲の下限値未満となる時期であってもよいし、冷媒充填量が適正範囲の下限値未満となって圧縮機11が冷却できないことに起因する圧縮機11の温度が第2閾値以上となる時期であってもよい。第2閾値の一例は、圧縮機11の圧縮機構部の焼き付き等の異常が発生する可能性が高くなる温度であり、試験等により予め決められる。
【0041】
出力部65は、データ蓄積部62及び報知部52と電気的に接続されている。出力部65は、冷媒漏洩の有無の判定結果、又は、冷媒漏洩発生時期の予測結果をデータ蓄積部62及び報知部52に出力する。報知部52は、例えば表示器53によって冷媒漏洩の有無の判定結果、又は、冷媒漏洩発生時期の予測結果を表示する。また、出力部65は、アンテナを含む無線通信部を有する。出力部65は、無線通信部を介して管理者の端末(管理者用端末70)と通信可能である。出力部65は、冷媒漏洩の有無の判定結果、又は、冷媒漏洩発生時期の予測結果を管理者用端末70に出力する。管理者用端末70は、スマートフォン、タブレット型コンピュータ等の携帯型通信機器であってもよいし、デスクトップ型のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0042】
次に、冷媒漏洩判定部64によって行われる冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測の詳細な内容について説明する。
算出部66は、データ蓄積部62に蓄積された冷凍装置1の運転に関するデータを用いて、第1期間における冷凍装置1の運転に関するデータの移動平均によって第1指標値を算出し、第2期間における冷凍装置1の運転に関するデータの移動平均によって第2指標値を算出する。算出部66は、処理を実施する時点よりも以前の第1期間及び第2期間のデータを用いて第1指標値及び第2指標値を算出する。そして算出部66は、第1指標値と第2指標値との乖離度合を算出する。本実施形態では、第1期間のデータは、1日分のデータであり、第2期間のデータは、10日分のデータである。また、本実施形態において、サンプリングサイクルを1時間とし、1時間毎に冷凍装置1の運転に関するデータを取得する。したがって、第1期間のデータ及び第2期間のデータは、期間の長さのみならずデータの個数によっても示すことができ、1日分のデータとは、24個のデータであり、10日分のデータとは、240個のデータである。
【0043】
第1指標値及び第2指標値は、吐出側冷媒温度比である。吐出側冷媒温度比は、吐出側冷媒温度指数の一例であり、圧縮機11の吐出側冷媒温度の予測値と、圧縮機11の吐出側冷媒温度の実測値との比により示される。本実施形態では、圧縮機11の吐出側冷媒温度の予測値に対する圧縮機11の吐出側冷媒温度の実測値を吐出側冷媒温度比と規定する。
【0044】
算出部66は、冷凍装置1の運転に関するデータとして吐出側冷媒温度比を算出する。具体的には、算出部66は、圧縮機11の吐出側冷媒温度の予測値、および、圧縮機11の吐出側冷媒温度の実測値を算出し、算出した圧縮機11の吐出側冷媒温度の予測値に対する圧縮機11の吐出側冷媒温度の実測値の比として吐出側冷媒温度比を算出する。
【0045】
算出部66は、圧縮機11の吐出側冷媒温度の予測値を、例えば冷媒回路20への冷媒充填量が適正範囲内である場合の凝縮温度、蒸発温度、第1膨張弁14Aの開度、第2膨張弁14Bの開度、圧縮機11の運転周波数、及び圧縮機11の回転速度の少なくとも1つを変数とした回帰分析によって、冷凍装置1への電力の供給源となる電源の電源周波数と電源電圧ごとに算出する。
【0046】
具体的には、海上コンテナのような輸送用冷凍装置では、港等のターミナルにおける電源の電源周波数及び電源電圧と、船の電源の電源周波数及び電源電圧とが異なる場合がある。一例では、ターミナルにおける電源の電源周波数は50Hzであり、電源電圧は定格380V±10%である。船の電源の電源周波数は60Hzであり、電源電圧は定格440V±10%である。電源周波数及び電源電圧の組合せの一例として、第1〜第6組合せを含む。第1組合せは、電源周波数が50Hzであり、電源電圧が342V(電源周波数が50Hzの場合の電源電圧の下限値)である。第2組合せは、電源周波数が50Hzであり、電源電圧が380V(電源周波数が50Hzの場合の電源電圧の中央値)である。第3組合せは、電源周波数50Hzであり、電源電圧が418V(電源周波数が50Hzの場合の電源電圧の上限値)である。第4組合せは、電源周波数が60Hzであり、電源電圧が396V(電源周波数が60Hzの場合の電源電圧の下限値)である。第5組合せは、電源周波数が60Hzであり、電源電圧が440V(電源周波数が60Hzの場合の電源電圧の中央値)である。第6組合せは、電源周波数が60Hzであり、電源電圧が484V(電源周波数が60Hzの場合の電源電圧の上限値)である。算出部66は、第1〜第6組合せのそれぞれについて、圧縮機11の吐出側冷媒温度の予測値を算出する。なお、電源周波数及び電源電圧の組合せ数は任意に変更可能である。
【0047】
算出部66は、圧縮機11の吐出側冷媒温度の実測値を吐出温度センサ41からの信号から算出する。圧縮機11の吐出側冷媒温度の実測値は、例えば冷媒回路20からの単位時間当たりの冷媒漏洩量が多くなるにつれて、圧縮機11の吐出側冷媒温度の予測値に対して高くなる。このため、圧縮機11に吐出側冷媒温度の予測値に対する圧縮機11の吐出側冷媒温度の実測値の乖離度合と単位時間当たりの冷媒漏洩量とが相関を有する。
【0048】
算出部66は、第1指標値として第1期間における吐出側冷媒温度比(以下「第1冷媒温度比」と称する)及び第2指標値として第2期間における吐出側冷媒温度比(以下「第2冷媒温度比」と称する)を算出する。一例として
図4(a)のグラフは、第1冷媒温度比及び第2冷媒温度比のそれぞれの推移を示す。
図4(a)に示すとおり、7月9日以前では、第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合が小さいが、7月9日以降において、乖離度合が徐々に大きくなっていることが分かる。
【0049】
算出部66は、例えば第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合を算出する。本実施形態では、第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合は、第2冷媒温度比に対する第1冷媒温度比の比で示す。この比が大きくなるにつれて第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合が大きくなる。なお、第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合として、第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との差で示してもよい。この差が大きくなるにつれて第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合が大きくなる。一例として
図4(b)のグラフは、第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合の推移を示す。
図4(b)に示すとおり、7月9日以前では、第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合は略1.00である。7月9日以降において、第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合が徐々に大きくなることが分かる。
【0050】
判定部67は、第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合が閾値XT以上の場合、冷媒漏洩が発生していると判定する。閾値XTは、冷凍装置1に異常が発生するほどの冷媒漏洩が発生していると判別するための値であり、試験等により予め設定される。
【0051】
判定部67は、第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合の変化傾向に基づいて、冷媒漏洩発生時期を予測する。具体的には、算出部66は、例えば1日毎の第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合を算出して判定部67に出力する。判定部67は、例えば1日毎の第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合からこの乖離度合の変化傾向を取得する。判定部67は、乖離度合が増加傾向であり、かつ、乖離度合の傾きに基づいて、冷媒漏洩発生時期を予測する。より詳細には、判定部67は、第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合の傾きに基づいて、この乖離度合が閾値XTに達する時期を予測する。判定部67は、乖離度合の傾きを、例えば回帰分析によって算出してもよいし、所定の2つの時期の乖離度合を結ぶ直線から算出してもよい。一例では、
図4(b)に示すとおり、判定部67は、7月16日までの第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合の推移に基づいて、7月16日以降の乖離度合を予測する(
図4(b)の破線部分)。判定部67は、7月16日以降の乖離度合の推移と閾値XTとの比較に基づいて、冷媒漏洩発生時期を予測する。
【0052】
図5を参照して、冷媒漏洩判定装置60による冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測の具体的な処理手順について説明する。この処理は、例えば、ユーザの要求があったとき、冷凍装置1又は冷媒漏洩判定装置60の電源がオン状態になったとき、冷凍装置1の輸送が完了したとき、及び冷凍装置1の使用前点検が実施されたときの少なくとも1つの場合に実行される。本実施形態では、冷媒漏洩判定装置60は、ユーザの要求があったとき、冷凍装置1又は冷媒漏洩判定装置60の電源がオン状態になったとき、冷凍装置1の輸送が完了したとき、及び冷凍装置1の使用前点検が実施されたときのそれぞれの場合に、冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測を実行する。
【0053】
冷媒漏洩判定装置60は、ステップS11において冷凍装置1の運転に関するデータから第1冷媒温度比及び第2冷媒温度比をそれぞれ算出し、ステップS12に移行する。冷媒漏洩判定装置60は、ステップS12において第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合を算出し、ステップS13に移行する。
【0054】
冷媒漏洩判定装置60は、ステップS13において第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合が閾値XT以上か否かを判定する。冷媒漏洩判定装置60は、ステップS13において肯定判定する場合、ステップS14において冷媒漏洩が発生していると判定し、ステップS15に移行する。冷媒漏洩判定装置60は、ステップS15において判定結果を表示器53及び管理者用端末70の少なくとも一方に通信し、処理を一旦終了する。なお、表示器53及び管理者用端末70は、ステップS15においてユーザの要求があったとき、冷凍装置1又は冷媒漏洩判定装置60の電源がオン状態になったとき、冷凍装置1の輸送が完了したとき、及び冷凍装置1の使用前点検が実施されたときの少なくとも1つの場合に冷媒漏洩の有無の判定結果、又は冷媒漏洩発生時期の予測結果を報知する。本実施形態では、表示器53及び管理者用端末70は、ユーザの要求があったとき、冷凍装置1又は冷媒漏洩判定装置60の電源がオン状態になったとき、冷凍装置1の輸送が完了したとき、及び冷凍装置1の使用前点検が実施されたときのそれぞれの場合に冷媒漏洩の有無の判定結果、又は冷媒漏洩発生時期の予測結果を報知する。なお、ステップS15において表示器53に代えて報知部52に通信してもよい。報知部52がスピーカを有する場合、報知部52は、スピーカによって冷媒漏洩の有無の判定結果、又は冷媒漏洩発生時期の予測結果を報知してもよい。
【0055】
冷媒漏洩判定装置60は、ステップS13において否定判定する場合、ステップS16において第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合の変化傾向を算出し、ステップS17に移行する。
【0056】
冷媒漏洩判定装置60は、ステップS17において第1冷媒温度比と第2冷媒温度比との乖離度合の変化の傾きに基づいて冷媒漏洩発生時期を予測し、ステップS18に移行する。冷媒漏洩判定装置60は、ステップS18において予測結果を表示器53及び管理者用端末70の少なくとも一方に通信し、処理を一旦終了する。このように、
図5に示すフローチャートでは、冷媒漏洩判定装置60は、冷媒漏洩の有無の判定を行った後、冷媒漏洩発生時期の予測を行う。
【0057】
以上説明した冷媒漏洩判定装置60における冷媒漏洩判定方法は、データ保存ステップ、第1算出ステップ、第2算出ステップ、及び判定ステップを有する。以下これを説明する。
【0058】
データ保存ステップは、冷凍装置1の運転に関するデータを保存するステップである。一例では、データ保存ステップは、冷凍装置1の運転に関するデータ取得部61からのデータをデータ蓄積部62において時系列データとして保存する。
【0059】
第1算出ステップは、第1期間の冷凍装置1の運転に関するデータから第1指標値を算出し、第2期間の冷凍装置1の運転に関するデータから第2指標値を算出するステップである。一例では、第1算出ステップは、算出部66によって実行されるものであって、第1期間の冷凍装置1の運転に関するデータの移動平均によって第1指標値を算出し、第2期間の冷凍装置1の運転に関するデータの移動平均によって第2指標値を算出する。また一例では、第1算出ステップは、冷媒漏洩の有無の判定、又は冷媒漏洩発生時期の予測に対してノイズとなるデータを前処理部63によって削除し、代替データで補填する前処理ステップを含む。第1算出ステップと
図5との関係について述べると、
図5におけるステップS11が第1算出ステップに相当する。
【0060】
第2算出ステップは、第1指標値及び第2指標値から冷媒回路20の正常状態からの乖離度合を算出するステップである。一例では、第2算出ステップは、算出部66によって実行される。第2算出ステップと
図5との関係について述べると、
図5におけるステップS12が第2算出ステップに相当する。
【0061】
判定ステップは、冷媒回路20の正常状態からの乖離度合に基づいて、冷媒漏洩の有無の判定、又は冷媒漏洩発生時期を予測するステップである。一例では、第2指標値を冷媒回路20の正常状態とし、第2指標値に対する第1指標値の乖離度合がある閾値以上となると、冷媒漏洩が発生したと判定する。判定ステップは、第2指標値に対する第1指標値の乖離度合の変化傾向に基づいて、この乖離度合がいつ閾値に達するかを予測することによって、冷媒漏洩発生時期を予測する。判定ステップと
図5との関係について述べると、
図5におけるステップS13〜S18が判定ステップに相当する。
【0062】
次に、本実施形態の作用について説明する。
冷媒漏洩判定装置60は、第2期間の冷凍装置1の運転に関するデータから第2指標値を移動平均によって算出し、この算出された第2指標値を基準とする。本実施形態では、第2期間は、10日〜30日と長期間にわたる冷凍装置1の運転に関するデータであるため、1日等の短い期間における冷凍装置1の運転に関する変動による影響が小さくなる。
【0063】
また冷媒漏洩判定装置60は、第1期間の冷凍装置1の運転に関するデータから第1指標値を移動平均によって算出する。本実施形態では、第1期間は、1日と短期間における冷凍装置1の運転に関するデータであるため、冷凍装置1の運転に関する最近の変動による影響が大きい。
【0064】
このように、冷凍装置1の運転に関する最近の変動による影響が小さい第2指標値を基準として、冷凍装置1の運転に関する変動による影響が大きい第1指標値が第2指標値からどの程度乖離するかをモニタすることによって、冷凍装置1の運転に関する変動を抽出し易くなる。これにより、冷媒漏洩が発生した場合、第2指標値に対して第1指標値が顕著に乖離するため、冷媒漏洩判定装置60は、冷媒漏洩が発生したと判定できる。また、第2指標値に対する第1指標値の乖離度合の変化傾向を取得し、この乖離度合の推移を予測することによって、冷媒漏洩判定装置60は、冷媒漏洩発生時期を予測できる。
【0065】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)算出部66は、冷凍装置1の運転に関するデータのうち、第1期間の冷凍装置1の運転に関するデータから算出される第1指標値と、第1期間とは長さが異なる第2期間の冷凍装置1の運転に関するデータから算出される第2指標値とに基づいて、冷媒回路20の正常状態からの乖離状態を算出する。判定部67は、冷媒回路20の正常状態からの乖離度合に基づいて冷媒漏洩の有無を判定し、又は、冷媒漏洩発生時期を予測する。この構成によれば、冷凍装置1の冷房運転及び除霜運転等の通常運転及び冷凍装置1の使用前点検の運転を含む冷凍装置1の運転に関するデータを用いて算出された第1指標値と第2指標値との乖離状態に基づいて冷媒回路20の正常状態からの乖離状態を算出できる。これにより、冷媒回路20の正常状態からの乖離状態に基づいて冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測を行うことができる。このように、冷媒漏洩の有無を判定するための特別な運転を実行せずに、冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測を行うことができる。
【0066】
(2)期間の長い第2期間から算出される第2指標値は、冷凍装置1の運転の変動に関する影響が小さく、期間の短い第1期間から算出される第1指標値は、冷凍装置1の運転の変動に関する影響が大きくなる。そこで、本実施形態では、算出部66は、第1指標値と第2指標値との乖離度合に基づいて冷媒回路20の正常状態からの乖離度合を算出する。これにより、冷凍装置1の運転の変動を抽出し易くなり、冷凍装置1の運転の変動に基づいて、冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測を行うことができる。
【0067】
(3)第1指標値は、第1期間の冷凍装置1の運転に関するデータの移動平均によって算出され、第2指標値は、第2期間の冷凍装置1の運転に関するデータの移動平均によって算出される。この構成によれば、長期間にわたる冷凍装置1の運転の変動と短期間における冷凍装置1の運転の変動との乖離度合に基づいて、冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測を行うことができる。
【0068】
(4)冷媒回路20に封入される冷媒量(冷媒充填量)が適正範囲よりも少ない場合、圧縮機11の吸入圧力が低下することにより、圧縮機11の内部の冷媒による冷却不足が生じ、圧縮機11の温度が過度に高くなるおそれがある。すなわち、冷媒回路20に封入される冷媒量が適正範囲の下限値未満の場合の圧縮機11の吐出側冷媒温度は、冷媒回路20に封入される冷媒量が適正範囲の場合の圧縮機11の吐出側冷媒温度よりも高くなる。そこで、本実施形態では、第1指標値及び第2指標値として、圧縮機11の吐出側冷媒温度の予測値に対する吐出側冷媒温度の実測値である吐出側冷媒温度比を用いる。このため、冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測を精度よく行うことができる。
【0069】
(5)算出部66は、電源周波数及び電源電圧ごとに予測冷媒温度を算出し、電源周波数及び電源電圧ごとに第1冷媒温度比及び第2冷媒温度比を算出する。これにより、第1冷媒温度比及び第2冷媒温度比をより精度よく算出できるため、冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測を精度よく行うことができる。
【0070】
(6)前処理部63によって冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測を行う際にノイズとなる冷凍装置1の運転に関するデータを省き、代替データで補填することにより、冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測を精度よく行うことができる。
【0071】
(7)第1処理部63aが圧縮機11の起動直後の区間を抽出した場合、第2処理部63bは、圧縮機11の起動直後の区間の後の値を代替データとする。第1処理部63aが圧縮機11の運転の停止直後の区間を抽出した場合、第2処理部63bは、圧縮機11の運転の停止直後の区間の前の区間の値を代替データとする。第1処理部63aが圧縮機11の運転の切り替り直後の区間を抽出した場合、第2処理部63bは、圧縮機11の運転の切り替り直後の区間の前後の区間の値のいずれか一方を代替データとする。この構成によれば、第1処理部63aによって抽出した区間から時期的に近いデータを代替データとすることによって、実際の冷凍装置1の運転に関するデータと代替データとの乖離度合を小さくできる。したがって、冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測を精度よく行うことができる。
【0072】
(8)報知部52によって冷凍装置1の表示器53又は管理者用端末70に冷媒漏洩の発生、又は冷媒漏洩発生時期が表示されるため、管理者又は冷凍装置1の作業者が冷媒漏洩の発生又は冷媒漏洩発生時期を把握できる。
【0073】
(変更例)
上記実施形態に関する説明は、本開示に従う冷媒漏洩判定装置、この冷媒漏洩判定装置を備える冷凍装置、及び冷媒漏洩判定方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う冷媒漏洩判定装置、この冷媒漏洩判定装置を備える冷凍装置、及び冷媒漏洩判定方法は、例えば以下に示される上記実施形態の変更例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変更例において、上記実施形態の形態と共通する部分については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
・上記実施形態では、第1指標値と第2指標値との乖離度合として第2指標値に対する第1指標値の比で示していたが、これに限られない。第1指標値と第2指標値との乖離度合の算出方法は、任意に変更可能である。一例では、算出部66は、第1指標値と第2指標値との乖離度合を、第1指標値及び第2指標値を用いた標準偏差、歪度、尤度、尖度、及び平均値の少なくとも1つに基づいて算出してもよい。
【0075】
・上記実施形態では、冷媒漏洩判定装置60は、冷媒漏洩の有無の判定、及び冷媒漏洩発生時期の予測の両方を実行しているが、これに限られない。冷媒漏洩判定装置60は、冷媒漏洩の有無の判定のみを実行してもよい。また冷媒漏洩判定装置60は、第1指標値と第2指標値との乖離度合が閾値XTよりも小さい場合に冷媒漏洩発生時期の予測を実行してもよい。この場合、冷媒漏洩判定装置60は、冷媒漏洩の有無の判定を省略できる。
【0076】
・上記実施形態では、前処理部63は、時系列データにおいて冷媒漏洩の有無を判定、又は、冷媒漏洩発生時期を予測することに対するノイズとなるデータを除去し、除去されたデータの区間を代替データで補填したが、これに限られない。前処理部63は、時系列データにおいて冷媒漏洩の有無を判定、又は、冷媒漏洩発生時期を予測することに対するノイズとなるデータを除去するのみであってもよい。この構成によれば、冷媒漏洩の有無の判定、又は、冷媒漏洩発生時期の予測を精度よく行うことができる。
【0077】
・上記実施形態において、吐出側冷媒温度比に代えて、吐出側冷媒温度の予測値又は吐出側冷媒温度の実測値から第1指標値及び第2指標値を算出してもよい。一例では、算出部66は、第1期間における吐出側冷媒温度の予測値の移動平均によって第1指標値を算出し、第2期間における吐出側冷媒温度の予測値の移動平均によって第2指標値を算出する。また一例では、算出部66は、第1期間における吐出側冷媒温度の実測値の移動平均によって第1指標値を算出し、第2期間における吐出側冷媒温度の実測値の移動平均によって第2指標値を算出する。
【0078】
・上記実施形態において、第1指標値及び第2指標値として吐出側冷媒温度比に代えて、圧縮機11の吐出側の冷媒圧力の予測値に対する圧縮機11の吐出側の冷媒圧力の実測値の比である吐出側冷媒圧力比を用いてもよい。算出部66は、第1指標値として第1期間における吐出側冷媒圧力比(以下「第1冷媒圧力比」と称する)及び第2指標値として第2期間における吐出側冷媒圧力比(以下「第2冷媒圧力比」と称する)を算出する。そして算出部66は、第1冷媒圧力比と第2冷媒圧力比との乖離度合を算出する。判定部67は、第1冷媒圧力比と第2冷媒圧力比との乖離度合が所定の閾値以上の場合、冷媒漏洩が発生していると判定する。また判定部67は、第1冷媒圧力比と第2冷媒圧力比との乖離度合の変化傾向に基づいて、冷媒漏洩発生時期を予測する。また、吐出側冷却温度比に代えて、圧縮機11に吸入される吸入ガス冷媒の過熱度の予測値に対する吸入ガス冷媒の過熱度の実測値の比を用いてもよいし、凝縮器12の出口の液冷媒の過冷却度の予測値に対する凝縮器12の出口の液冷媒の過冷却度の実測値の比を用いてもよい。
【0079】
・上記変形例において、吐出側冷媒圧力比に代えて、圧縮機11の吐出側の冷媒圧力の予測値又は圧縮機11の吐出側の冷媒圧力の実測値から第1指標値及び第2指標値を算出してもよい。一例では、算出部66は、第1期間における圧縮機11の吐出側の冷媒圧力の予測値の移動平均によって第1指標値を算出し、第2期間における圧縮機11の吐出側の冷媒圧力の予測値の移動平均によって第2指標値を算出する。また一例では、算出部66は、第1期間における圧縮機11の吐出側の冷媒圧力の実測値の移動平均によって第1指標値を算出し、第2期間における圧縮機11の吐出側の冷媒圧力の実測値の移動平均によって第2指標値を算出する。
【0080】
・上記実施形態において、データ蓄積部62は、冷凍装置1と通信可能に接続された冷凍装置1の外部のサーバであってもよい。このサーバの一例は、クラウドサーバを含む。すなわち冷媒漏洩判定装置60は、データ取得部61で取得したデータをサーバに送信することにより、サーバ上でデータを保存する。
【0081】
・上記実施形態では、冷媒漏洩判定装置60と報知部52とが個別に設けられているが、これに限られず、冷媒漏洩判定装置60が報知部52を有してもよい。
・上記実施形態では、冷凍装置1として輸送用冷凍装置の構成について説明したが、冷凍装置の構成はこれに限られない。例えば、定置倉庫用の冷凍装置に適用してもよい。冷凍装置1が輸送用冷凍装置以外の冷凍装置に適用される場合、冷媒漏洩判定装置60は、ユーザの要求があったとき、冷凍装置1又は冷媒漏洩判定装置60の電源がオン状態になったとき、及び冷凍装置1の使用前点検が実施されたときの少なくとも1つの場合に冷媒漏洩の有無を判定し、又は、冷媒漏洩発生時期を予測する。また報知部52は、ユーザの要求があったとき、冷凍装置1又は冷媒漏洩判定装置60の電源がオン状態になったとき、及び冷凍装置1の使用前点検が実施されたときの少なくとも1つの場合に冷媒漏洩の有無の判定結果、又は、冷媒漏洩発生時期の予測結果を報知する。
【0082】
・上記実施形態では、コンテナ用の冷凍装置1の構成について説明したが、冷凍装置の構成はこれに限られない。例えば、
図6に示すように、冷凍装置を空気調和機80として用いられてもよい。空気調和機80は、屋外に設置される室外機80Aと、屋内の壁面等に取り付けられる壁掛け型の室内機80Bとが冷媒配管91によって接続されることにより形成された冷媒回路90を備える。
【0083】
室外機80Aは、運転周波数の変更により容量可変とした圧縮機81、四路切換弁82、室外熱交換器83、膨張弁84、室外ファン85、室外制御装置86等を備える。圧縮機81は、例えば揺動ピストン型の圧縮機であり、圧縮機構、モータ、モータの駆動力を圧縮機構に伝達するクランク軸等を備える。室外熱交換器83は、外気と冷媒とを熱交換するものであり、例えばフィンアンドチューブ熱交換器を用いることができる。膨張弁84は、例えば電子膨張弁である。室外ファン85は、駆動源として回転数を変更可能なモータと、モータの出力軸に接続された羽根車とを有する。羽根車の一例はプロペラファンである。室外ファン85は、モータによって羽根車を回転させることにより室外熱交換器83を通過する室外空気の気流を発生させる。室外制御装置86は、圧縮機81のモータ、四路切換弁82、膨張弁84、及び室外ファン85のモータと電気的に接続され、これらの動作を制御する。
【0084】
室内機80Bは、室内熱交換器87、室内ファン88、及び室内制御装置89等を備える。室内熱交換器87は、室内空気と冷媒とを熱交換するものであり、例えばフィンアンドチューブ熱交換器を用いることができる。室内ファン88は、駆動源として回転数を変更可能なモータと、モータの出力軸に接続された羽根車とを有する。羽根車の一例は、横流ファンである。室内制御装置89は、室内ファン88と電気的に接続され、室内ファン88の動作を制御する。
【0085】
冷媒回路90は、圧縮機81、四路切換弁82、室外熱交換器83、及び膨張弁84と、室内熱交換器87、アキュムレータ81aとを冷媒配管91によって環状に接続したものであって、四路切換弁82を切り換えることにより、冷媒を可逆的に循環させるようにした蒸気圧縮式冷凍サイクルを実行することができる。
【0086】
すなわち、四路切換弁82が冷房モード接続状態(図示実線の状態)に切り換えられることにより、冷媒回路90は、圧縮機81、四路切換弁82、室外熱交換器83、膨張弁84、室内熱交換器87、四路切換弁82、アキュムレータ81a、及び圧縮機81の順に冷媒が循環する冷房サイクルが形成される。これにより、空気調和機80では、室外熱交換器83が凝縮器として作用し、室内熱交換器87が蒸発器として作用する冷房運転が行われる。また、四路切換弁82が暖房モード接続状態(図示破線の状態)に切り換えられることにより、冷媒回路90は、アキュムレータ81a、圧縮機81、四路切換弁82、室内熱交換器87、膨張弁84、室外熱交換器83、四路切換弁82、及び圧縮機81の順に冷媒が循環する暖房サイクルが形成される。これにより、空気調和機80では、室内熱交換器87が凝縮器として作用し、室外熱交換器83が蒸発器として作用する暖房運転が行われる。
【0087】
空気調和機80では、例えば冷媒漏洩判定装置60(
図6では図示略)は、室外制御装置86及び室内制御装置89のいずれか一方に設けられる。報知部52(
図6では図示略)は、例えば空気調和機80のリモコンに設けられる。
【0088】
・上記実施形態では、冷凍装置1は冷媒漏洩判定装置60を備えていたが冷凍装置1の構成はこれに限られない。例えば、冷凍装置1から冷媒漏洩判定装置60を省略してもよい。冷媒漏洩判定装置60は、冷凍装置1とは別に設けられてもよい。一例では、冷媒漏洩判定装置60は、冷凍装置1に通信可能なサーバに設けられてもよい。この場合、冷凍装置1は、冷媒漏洩判定装置60と通信することによって、冷媒漏洩の有無の判定結果、又は冷媒漏洩発生時期の予測結果を取得する。
【0089】
以上、本装置の実施の形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本装置の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。