特許第6887996号(P6887996)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6887996TEAD転写因子自己パルミトイル化阻害剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6887996
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】TEAD転写因子自己パルミトイル化阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 249/12 20060101AFI20210603BHJP
   C07D 249/14 20060101ALI20210603BHJP
   C07D 277/70 20060101ALI20210603BHJP
   C07D 271/07 20060101ALI20210603BHJP
   C07D 213/72 20060101ALI20210603BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20210603BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 31/428 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   C07D249/12 512
   C07D249/12CSP
   C07D249/14 502
   C07D277/70
   C07D271/07
   C07D213/72
   A61P35/02
   A61P35/00
   A61K31/4196
   A61K31/428
   A61K31/4245
   A61K31/4402
【請求項の数】10
【全頁数】113
(21)【出願番号】特願2018-515637(P2018-515637)
(86)(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公表番号】特表2018-528246(P2018-528246A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】US2016053318
(87)【国際公開番号】WO2017053706
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2019年7月1日
(31)【優先権主張番号】62/222,238
(32)【優先日】2015年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/306,421
(32)【優先日】2016年3月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ウ,シュ
【審査官】 小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−506979(JP,A)
【文献】 米国特許第05939462(US,A)
【文献】 国際公開第2006/102645(WO,A1)
【文献】 特表2014−507452(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/154403(WO,A1)
【文献】 RN 896657-58-2 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2006年 7月28日,検索日: 09 JUN 2020
【文献】 RN 717130-47-7 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2004年 7月27日,検索日: 09 JUN 2020
【文献】 RN 380572-22-5 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN RN,2002年 1月 7日,検索日: 09 JUN 2020
【文献】 RN 832687-05-5 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2005年 2月17日,検索日: 09 JUN 2020
【文献】 RN 838812-50-3 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2005年 2月27日,検索日:09 JUN 2020
【文献】 RN 831247-17-7 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2005年 2月15日,検索日: 09 JUN 2020
【文献】 RN 948157-71-9 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2007年 9月26日,検索日: 09 JUN 2020
【文献】 RN 955199-09-4 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2007年11月21日,検索日: 09 JUN 2020
【文献】 Database accession No. 41931789,DATA BASE PubChem Compound [Online] Retrieved from NCBI,2009年 5月30日
【文献】 Database accession No. 2513683,DATA BASE PubChem Compound [Online] Retrieved from NCBI,2005年 7月16日
【文献】 RN 1328557-34-1 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2011年 9月 5日,検索日: 01 JUL 2020
【文献】 RN 1306065-80-4 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2011年 6月 5日,検索日: 01 JUL 2020
【文献】 RN 1295981-70-2 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2011年 5月17日,検索日: 01 JUL 2020
【文献】 RN 1137430-91-1 REGISRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2009年 4月21日,検索日: 01 JUL 2020
【文献】 RN 1136992-83-0 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2009年 4月20日,検索日: 01 JUL 2020
【文献】 RN 902826-94-2 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2006年 8月20日,検索日: 01 JUL 2020
【文献】 RN 391614-28-1 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2002年 2月12日,検索日: 01 JUL 2020
【文献】 Database accession No. 47645506,DATA BASE PubChem Compound [Online] Retrieved from NCBI,2008年 2月20日
【文献】 Leyla Yurttas, et al.,Synthesis and anticancer activity evaluation of N-[4-(2-methylthiazol-4-yl)phenyl]acetamide derivatives containing (benz)azole moiety,Journal of Enzyme Inhibition and Medicinal Chemistry,2014年,Vol.29, No.2,p175-184
【文献】 Ajay B., Bedadurge, et al.,Designing Hypothesis of 2-Substituted-N-[4-(1-methyl-4,5-diphenyl-1H-imidazole-2-yl)phenyl] Acetamide Analogs as Anticancer Agents: QSAR Approach,Journal of the Korean Chemical Society,2013年,Vol.57, No.6,p744-754
【文献】 Leyla Yurttas, et al.,Synthesis and antitumor activity evaluation of new 2-(4-aminophenyl)benzothiazole derivatives bearing different heterocyclic rings,Journal of Enzyme Inhibition and Medicinal Chemistry,2015年,Vol.30, No.3,p458-465
【文献】 Romaine, Ian M., et al.,Narrow SAR in odorant sensing Orco receptor agonists,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2014年,Vol.24, No.12,p2613-2616
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式:
【化1】
うちのいずれか1つから選択される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記化合物が、
【化2】
である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記化合物が、
【化3】
である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記化合物が、
【化4】
である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
前記化合物が、
【化5】
である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む組成物。
【請求項7】
癌を処置する方法において使用するための、請求項6に記載の医薬組成物
【請求項8】
形腫瘍または血液癌を処置する方法において使用するための、請求項に記載の医薬組成物
【請求項9】
立腺癌、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、腎臓癌、肝癌、膵臓癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭部もしくは頸部癌、甲状腺癌、神経膠芽腫、肉腫、膀胱癌、リンパ腫、白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫または多発性骨髄腫を処置する方法において使用するための、請求項に記載の医薬組成物
【請求項10】
細胞癌、髄芽細胞腫、皮膚扁平上皮細胞癌、肺癌、膵臓癌、食道癌、肝臓癌、結腸癌、黒色腫、またはブドウ膜黒色腫を処置する方法において使用するための、請求項に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、そのそれぞれの開示が全体として参照により本明細書中に組み込まれる2015年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/222,238号明細書および2016年3月10日に出願された米国仮特許出願第62/306,421号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
政府支援
本発明は、米国国立衛生研究所によって交付された認可番号1RO1CA181537−01A1の下で政府支援により行われた。政府は、本発明において一部の権利を有する。
【0003】
本出願は、薬学的に有用な化合物に関する。本開示は、新規な化合物ならびにその組成物および使用の方法を提供する。化合物は、TEAD転写因子の自己パルミトイル化を阻害し、かつしたがって、例えば癌および他の疾患を含めたTEAD転写因子の活性と関連する疾患の処理において有用である。
【背景技術】
【0004】
Hippoシグナル伝達は、臓器サイズの制御および腫瘍抑制において重要な役割を果たしている。シグナル伝達は、MST1/2およびLats1/2キナーゼを含めたコアキナーゼカスケードが関与し、YAP/TAZのリン酸化、細胞質保持および阻害をもたらす3。これらのキナーゼの生理学的または病理学的不活性化は、YAP/TAZの脱リン酸化および核集積をもたらす。引き続いて、核のYAP/TAZはTEAドメイン転写因子(哺乳動物においてTEAD1〜4、およびショウジョウバエ(Drosophila)においてScalloped)に結合し、標的遺伝子発現を媒介する。TEAD−YAP複合体は、皮膚、筋肉、肺および肝臓の正常な発生をレギュレートし、かつまた多くのヒト癌において増幅されている発癌因子である。TEADはまた、TEAD結合についてYAP/TAZと競合することによって腫瘍抑制物質として関係付けられてきたVgll4に結合することができる。したがって、TEADは、Hippo経路の転写アウトプットをレギュレートすることにおいて必須である。TEAD−YAPを標的とすることは、レギュレートされていないHippo経路を伴う疾患のための有望な治療的なアプローチであり得るが、小分子で転写因子を直接的に阻害することは依然として難易度が高い。したがって、TEADのレギュレーションを理解することは、創薬のための新規な治療上の機会を明らかにし得る。
【0005】
翻訳後S−パルミトイル化は、可逆的チオエステル結合によってシステイン残基へと16個の炭素のパルミチン酸を付着させる。多数のパルミトイル化されたタンパク質がプロテオミクス研究を通して同定されてきた。動力学的S−パルミトイル化は、Src−ファミリーキナーゼ、GTPアーゼ、およびシナプス接着分子を含めた多くのタンパク質の輸送、膜局在および機能をレギュレートすることにおいて重大な役割を果たしている。Asp−His−His−Cys(DHHC)ファミリータンパク質は、酵素によるS−パルミトイル化を媒介する進化的に保存されたタンパク質であるパルミトイルアシルトランスフェラーゼ(PAT)である。さらに、いくつかのタンパク質は、パルミトイル−コエンザイムA(CoA)に直接結合し、PAT非依存性の自己パルミトイル化を受けることができる。しかし、自己パルミトイル化は、十分に特性決定されていない。自己パルミトイル化の報告された例の大部分は、非生理的な高濃度のパルミトイル−CoA(>100μM)下で観察される。今日まで、酵母輸送体タンパク質Bet3を含めたごく僅かなタンパク質が生理的濃度のパルミトイル−CoA(1〜10μM)下で自己パルミトイル化されている。したがって、さらなる自己パルミトイル化されたタンパク質を明らかにし、かつこれらのレギュレーションおよび機能を理解することは重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、とりわけ、式(I):
【化1】
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、可変部分は、下で定義する通りである。
【0007】
本開示はまた、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0008】
本開示はまた、患者に、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、癌および他の疾患を処置する方法を提供する。
【0009】
1つまたは複数の実施形態の詳細を下記の記述において記載する。他の特徴、目的および利点は、記述および特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1-1】図1Aは、TEADのパルミトイル化を示す、HEK293A細胞におけるプローブ1および2で標識されたmyc−TEAD1およびmyc−TEAD4のストレプトアビジンブロットである。
図1-2】図1Bは、内在性ヒトTEAD1〜4が全てパルミトイル化されていることを示す、TEAD1〜4のウエスタンブロットである。
図1-3】図1Cは、S−パルミトイル化およびヒドロキシルアミン処理がTEAD1のパルミトイル化レベルを劇的に減少させたことを示すストレプトアビジンブロットである。
図1-4】図1Dは、ショウジョウバエ(Drosophila)Scallopedタンパク質がパルミトイル化されていることを示すストレプドアビジンブロットである。
図1-5】図1Eは、HEK293A細胞におけるプローブ3で標識されたTEAD1の標識を示すブロットである。
図2-1】図2Aは、セリン残基への保存されたシステイン残基(C53、C327およびC359)の変異が個々にTEAD1のパルミトイル化をブロックしたことを示すストレプトアビジンブロットである。
図2-2】図2Bは、セリン残基への保存されたシステイン残基(C53、C327およびC359)の変異が組み合わせてTEAD1のパルミトイル化をブロックしたことを示すストレプトアビジンブロットである。
図2-3】図2Cは、組換えTEAD2タンパク質(YAP結合ドメイン、YBD)がアルキンパルミトイル−CoAの存在下でin vitroで自己パルミトイル化されていることを示すストレプトアビジンブロットである。
図2-4】図2Dは、DHHC−ファミリーPATが細胞におけるTEAD1のパルミトイル化レベルを有意に変化させなかったことを示す、ストレプトアビジンブロットおよび抗myc−c−抗体ブロットの画像である。
図2-5】図2Eは、TEAD2のパルミトイル化を示す組換えTEAD2 YBDの質量分析である。
図2-6】図2Fは、パルミトイル−CoAと共にin vitroでインキュベートしたとき、組換えTEAD2 YBDのパルミトイル化の増加を示す質量分析である。
図2-7】図2Gは、組換えTEAD2 YBDの自己パルミトイル化を確認するアシル−ビオチン交換(ABE)アッセイのストレプトアビジンブロットである。
図2-8】図2Hは、in vitroでの組換えTEAD2 YBDの時間依存的自己パルミトイル化を示すストレプトアビジンブロットである。
図2-9】図2Iは、組換えTEAD2 YBDのin vitroでのパルミトイル−CoAの用量依存的自己パルミトイル化を示すストレプトアビジンブロットである。
図2-10】図2Jは、パルミトイル化の割合(AU)に対するパルミトイル−CoAの濃度(μM)のグラフである。TEAD2の自己パルミトイル化におけるパルミトイル−CoAのKm値は約0.8μMである。
図3-1】図3Aは、2.5σの輪郭レベルでのTEAD2についてのFo−Fcオミット電子密度マップである。 図3Bは、PLMが結合したTEAD2 YBD(PDBコード:5HGU)のリボン図(左)および静電表面(右)である。
図3-2】図3Cは、3σの輪郭レベルでの深い疎水性ポケット中の(a)およびmTEAD4−mYAP(b)を示す、TEAD1−環状YAPについてのFo−Fcオミット電子密度マップである。 図3Dは、2.5σの輪郭レベルでのTEAD1−YAPについてのFo−Fcオミット電子密度マップである。パルミチン酸は、TEAD1のC359に共有結合的に連結している。
図3-3】図3Eは、PLMが結合したTEAD1−YAP複合体のリボン図(左)および静電表面(右)である。2個の保存されたシステイン残基を示す。
図4】TEAD2 C380変異体はin vitroでパルミトイル化することができるが、TEAD2 2CS変異体はin vitroでパルミトイル化することができないことを示す、自己パルミトイル化条件に供した後の(a)TEAD2 C380および(b)2CS変異体を示す質量分析の対である。
図5】構造TEAD2およびPDEδを比較する図である。左の図は、結合したパルミチン酸(PLM)を有するTEAD2を示す。右の図は、結合したファルネシル基(FAR)を有するファルネシル化PDEδ(PDBコード:3T5I)を示す。
図6-1】図6Aは、TEAD1のパルミトイル化欠損変異体(C359S、C327/359S(2CS)、および3CS)が免疫共沈降(co−IP)実験においてYAPとの会合を減少させたことを示すウエスタンブロットである。
図6-2】図6Bは、Gal4応答性ルシフェラーゼアッセイにおいて、YAPがGal4−TEAD1野生型(WT)に結合し、これを有意に活性化することを示すグラフである。パルミトイル化欠損Gal4−TEAD1変異体(C359S、2CSおよび3CS)は、Gal4応答性ルシフェラーゼレポーターを有意に阻害する。(データは平均±SEM(n=3)として表す。両側t検定を使用してP値を決定した。****、p<0.0001、**、p<0.005)。
図6-3】図6Cは、TEAD1 WTと比較して、TEAD1パルミトイル化欠損変異体(C359S、2CSおよび3CS)がYAPへの結合を減少させたことを示す、FRETをベースとする結合アッセイ(Alpha Screen)の結果を示すグラフである。(データは平均±SEM(n=3)として表す。両側t検定を使用してP値を決定した。***、p<0.0005)。
図6-4】図6Dは、TEAD1のパルミトイル化欠損変異体(C359S、2CS、および3CS)が、TEAD結合配列によって推進されるルシフェラーゼレポーターアッセイ(8XGTIIC−ルシフェラーゼ)においてTEAD転写活性を有意に減少させたことを示すグラフである。(データは平均±SEM(n=3)として表す。両側t検定を使用してP値を決定した。*、p<0.05;**、p<0.005)。
図6-5】図6Eは、パルミトイル化がTEAD1局在を変化させないことを示す蛍光顕微鏡画像を含む。画像は、パルミトイル化欠損TEAD1変異体(3CS)がC2C12細胞(上)、HeLa細胞(中)における細胞核において局在化したままであり、これはYAP局在を変化させない(下)ことを示す。内在性YAPの細胞局在を免疫染色によって可視化し、画像はNikon Digital Insight顕微鏡を使用して捕捉した。スケールバー:100μm。
図6-6】図6Fは、TEAD1のパルミトイル化欠損変異体(C359S、2CS、および3CS)が免疫共沈降(co−IP)実験においてVgll4腫瘍抑制物質への結合を保持することを示すウエスタンブロットである。
図6-7】図6Gは、TEAD1パルミトイル化欠損変異体(C359S、2CSおよび3CS)ならびにTEAD1 WTが、Vgll4に同様に結合することを示すFRETをベースとする結合アッセイ(Alpha Screen)の結果を示すグラフである(データは平均±SEM(n=3)として表す。両側t検定を使用してP値を決定した。N.S.、有意差なし)。
図7-1】図7Aは、C2C12細胞のミオシン重鎖(MHC)免疫染色の代表的な画像である。スケールバー:100μm。
図7-2】図7Bは、TEAD1 3CS変異体が筋分化および筋管融合を有意に阻害したことを示すグラフである。分化および融合インデックスは、5つの異なる領域から得たデータを平均することによって計算した。(データは平均±SEM(n=5)として表す。両側t検定を使用してP値を決定した。**、p<0.005)。
図7-3】図7Cは、TEAD1 3CS変異体が筋分化および筋管融合を有意に阻害したことを示すグラフである。分化および融合インデックスは、5つの異なる領域から得たデータを平均することによって計算した。(データは平均±SEM(n=5)として表す。両側t検定を使用してP値を決定した。**、p<0.005)。
図7-4】図7Dは、TEAD 3CS変異体が、C2C12細胞において筋原性マーカーであるMef2C、ならびにTEAD標的遺伝子(CTGFおよびCyr61)の発現をブロックしたことを示すグラフである(データは平均±SEM(n=3)として表す。両側t検定を使用してP値を決定した。**、p<0.01)。
図7-5】図7Eは、TEAD 3CS変異体が、C2C12細胞において筋原性マーカーであるMef2C、ならびにTEAD標的遺伝子(CTGFおよびCyr61)の発現をブロックしたことを示すグラフである(データは平均±SEM(n=3)として表す。両側t検定を使用してP値を決定した。**、p<0.01)。
図8-1】図8Aは、遺伝子型GMR−gal4/+からの複眼の画像である。スケールバー:150μm。 図8Bは、遺伝子型GMR−gal4/UAS−sdWTからの複眼の画像である。スケールバー:150μm。 図8Cは、遺伝子型GMR−gal4/UAS−sd2CSからの複眼の画像である。スケールバー:150μm。 図8Dは、遺伝子型GMR−gal4、UAS−ykiPDからの複眼の画像である。スケールバー:150μm。 図8Eは、遺伝子型GMR−gal4、UAS−ykiPD/UAS−sdWTからの複眼の画像である。スケールバー:150μm。 図8Fは、遺伝子型GMR−gal4、UAS−ykiPD/UAS−sd2CSからの複眼の画像である。スケールバー:150μm。
図8-2】図8Gは、ハエの眼の相対的サイズが示した遺伝子型において定量化されていることを示すグラフである。Sd WTおよびSd 2CSハエを、統計的により小さい眼を有する野生型と比較する(データは各遺伝子型について平均±SEM(n=10)として表す。両側t検定を使用してP値を決定した。*、p<0.05;***、p<0.001)。
図8-3】図8Hは、下記の遺伝子型からの複眼の写真上面図を集めたものである。(a)GMR−gal4/+、(b)GMR−gal4/UAS−sdWT、(c)GMR−gal4/UAS−sd2CS、(d)GMR−gal4、UAS−ykiPD、(e)GMR−gal4、UAS−ykiPD/UAS−sdWT、(f)GMR−gal4、UAS−ykiPD/UAS−sd2CS。画像は同じ拡大率で取った。野生型対照ハエにおける眼のサイズを青色の破線でマークし、全ての画像において同じ領域を示し、比較をしやすくする。スケールバー:150μm。
図8-4】図8Iは、qRT−PCRによる示したコンストラクトをトランスフェクトしたハエS2細胞におけるYki−Sd標的遺伝子発現(Diap1およびExpanded)のプロットである(データは平均±SEM(n=3)として表す。両側t検定を使用してP値を決定した。**、P<0.01)。
図8-5】図8Jは、qRT−PCRによる示したコンストラクトをトランスフェクトしたハエS2細胞におけるYki−Sd標的遺伝子発現(Diap1およびExpanded)のプロットである(データは平均±SEM(n=3)として表す。両側t検定を使用してP値を決定した。**、P<0.01)。
図9】化合物4(MGH−CP1)がTEAD2 YBDの自己パルミトイル化をin vitroで用量依存的に阻害することを示すストレプトアビジンプロットである。組換えTEAD2 YBDを、対照(DMSO)または増加する0.5〜20μMの化合物4の存在下で1μMのアルキンパルミトイル−CoAと共に1時間インキュベートした。TEAD2のパルミトイル化をストレプトアビジンブロットによって検出した。
図10】化合物4が結合したTEAD2の結晶構造のリボン図であり、化合物4は灰色のスティックとして示す。
図11】TEAD2の化合物4結合部位のクロースアップ図を示す図である。水素結合を化合物4のカルボニル酸素およびQ410のNH2基間に示し、破線で示す。
図12】TEAD2−PLM複合体およびTEAD2−化合物4複合体の重ね合わせた構造を示す図である。結合したリガンド、PLMおよび化合物4(MGH−CP1)はスティックとして示す。PLMとC380の骨格アミドとの間の可能な水素結合は破線で示す。
図13】Gal4−TEAD1/YAPレポーターアッセイにおける化合物4によるTEAD1−YAP相互作用の阻害のプロットである。化合物4は、83nMのIC50を伴って、Gal4−TEAD1/YAPレポーターアッセイにおいてTEAD1−YAP相互作用を阻害する(データは、平均+/−SEM(n=3)として表す)。
図14】化合物4が癌細胞系(HeLa)においてYAP−TEAD標的遺伝子発現を阻害することを示すグラフである。
図15】化合物4が肝臓癌細胞系(JHH7)においてTEAD−YAP標的遺伝子発現を阻害することを示すグラフである。
図16】化合物4がヒト肝臓癌細胞系(HuH7)においてTEAD−YAP標的遺伝子を阻害することを示すグラフである。
図17】化合物4がYAP形質転換MCF10A細胞標的遺伝子発現を阻害することを示すグラフである。
図18】化合物4(10μM)がJHH(500個の細胞/ウェル)においてYAP依存性の癌細胞増殖を阻害することを示すグラフである。
図19】化合物4(「9008953」)がHuH7(500個の細胞/ウェル)においてYAP依存性の癌細胞増殖を阻害することを示すグラフである。
図20】化合物4がMCF10A+YAP(G)(500個の細胞/ウェル)においてYAP依存性の癌細胞増殖を阻害することを示すグラフである。
図21】化合物4が細胞移動を阻害することを示すLats1/2ダブルノックアウトMEF細胞の細胞移動を示す画像の対である。
図22】TEAD−2に結合したパルミチン酸および化合物(4)(「MGH−CP−1」)の共結晶構造を示すリボン図の対である。
図23】化合物(4)(「CP−1」)によるTEAD2およびTEAD4パルミトイル化の阻害を示す一連のブロットおよび対応するプロットである。
図24】化合物(4)(「CP−1」)による細胞におけるTEAD1およびTEAD4パルミトイル化の阻害を示す一連のブロットである。
図25】免疫共沈降アッセイにおける化合物(4)(「CP−1」)によるTEAD4−YAP相互作用の阻害を示す一連のブロットである。
図26】TEAD4−Vgll4相互作用が化合物(4)(「CP−1」)によって阻害されないことを示す一連のブロットである。
図27】化合物(4)(「CP−1」)がTEAD4を阻害するのに有効であるが、他のパルミトイルアシルトランスフェラーゼ(ZDHHCタンパク質)を阻害しないことを示す一連のブロットである。
図28-1】一連のブロットおよび写真である。パネルA:化合物(4)(「CP−1」)がヒト肝細胞癌細胞系HuH7およびJHH7の増殖を用量依存的に阻害することを示すプロット。パネルB:化合物(4)がHuH7およびJHH7細胞のコロニー形成を阻害することを示す写真。パネルC:化合物(4)が1.6μMのIC50を伴ってHuH7細胞増殖を阻害することを示すプロット;パネルD:化合物(4)が0.4μMのIC50を伴って乳癌細胞系MDA−MB−453を阻害することを示すプロット。パネルE:化合物(4)がHuH7細胞においてYAP標的遺伝子発現を阻害することを示すプロット。パネルF:化合物(4)がMDA−MB−453細胞においてYAP標的遺伝子を阻害することを示すプロット。パネルGおよびH:化合物(4)がYAP依存性の細胞系の増殖を阻害するが、YAP非依存性のHCCおよび乳癌細胞系の増殖の阻害においてより有効でないことを示すプロット。
図28-2】一連のブロットおよび写真である。パネルA:化合物(4)(「CP−1」)がヒト肝細胞癌細胞系HuH7およびJHH7の増殖を用量依存的に阻害することを示すプロット。パネルB:化合物(4)がHuH7およびJHH7細胞のコロニー形成を阻害することを示す写真。パネルC:化合物(4)が1.6μMのIC50を伴ってHuH7細胞増殖を阻害することを示すプロット;パネルD:化合物(4)が0.4μMのIC50を伴って乳癌細胞系MDA−MB−453を阻害することを示すプロット。パネルE:化合物(4)がHuH7細胞においてYAP標的遺伝子発現を阻害することを示すプロット。パネルF:化合物(4)がMDA−MB−453細胞においてYAP標的遺伝子を阻害することを示すプロット。パネルGおよびH:化合物(4)がYAP依存性の細胞系の増殖を阻害するが、YAP非依存性のHCCおよび乳癌細胞系の増殖の阻害においてより有効でないことを示すプロット。
図29】化合物(4)、(22)および(36)によるHuH7癌細胞コロニー形成の阻害を示す一連の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
用語「例えば」および「など」ならびにその文法的な均等物について、明示的に別の言及がなければ、語句「およびこれらに限定されないが」が続くことが理解される。
【0012】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈によって明らかにそれ以外のことの指示がない限り、複数の参照対象を含む。
【0013】
用語「約」は、「概ね」(例えば、示された値のプラスまたはマイナス概ね10%)を意味する。
【0014】
本発明者らは、酵素または自己パルミトイル化されたタンパク質の活性部位システインをアルキル化することによってパルミトイル化活性を阻害するPAT、2−ブロモパルミテート(2−BP)およびセルレニンの不可逆的阻害剤をベースとする、活性ベースの化学プローブを開発してきた。PATおよび自己パルミトイル化されたタンパク質を共有結合的に標識およびプロファイルするための生体直交型化学レポーターとしての役割を果たす、アルキン尾部を有する2−BPおよびセルレニンの類似体を合成した。プロテオミクスおよび生化学試験により、TEAD転写因子は、進化的に保存されたシステイン残基においてパルミトイル化されていることが同定されてきた。TEADは、生理的濃度のパルミトイル−CoA下でPAT非依存性の自己パルミトイル化を受けることが見出されてきた。脂質結合TEADの結晶構造は、TEADにおける新規なリガンド結合部位を明らかにした。さらに、自己パルミトイル化は、TEAD−YAPの会合およびこれらの生理機能をin vitroおよびin vivoでレギュレートすることにおいて重大な役割を果たしている。したがって、TEADのパルミトイル化は、Hippo経路転写複合体をレギュレートすることにおいて重要な役割を果たしている。
【0015】
TEADにおける新規なリガンド結合部位の発見は、TEADの自己パルミトイル化の小分子阻害剤の発見を可能とした。任意の理論に束縛されるものではないが、リガンドは、パルミチン酸結合疎水性ポケットに結合し、TEAD−YAP相互作用、癌細胞の増殖および移動を阻害すると理解される。したがって、TEADの自己パルミトイル化活性の直接の阻害は、これらの発癌転写因子を阻害するのに有用である。
【0016】
I.結果
A.TEAD転写因子はパルミトイル化される
タンパク質のパルミトイル化を検出するために、パルミチン酸の類似体、例えば、15−ヘキサデシン酸(1)は、パルミトイル化されたタンパク質(基質)を代謝的に標識する化学レポーターとして使用されてきた。PATおよび自己パルミトイル化されたタンパク質を探究するために、活性ベースの化学プローブである2−ブロモヘキサデカ−15−イン酸(2)およびcis−2,3−エポキシ−4−オキソオクタデカ−17−インアミド(3)を調製した。プローブで標識されたタンパク質の標識、濃縮およびプロテオミクス解析は、2および3が、いくつかの公知のPATおよびアシルトランスフェラーゼを含めた300超のタンパク質を共有結合的に標識し得ることを示した。
【化2】
【0017】
ケモプロテオミクス研究からのヒットの中で、プロテオミクス研究において独特の適合するペプチドを有する、TEAドメイン(TEAD/TEF)転写因子(TEAD1およびTEAD3)を同定した。
【0018】
TEADは、転写コアクチベーターYAP/TAZに結合し、かつ臓器サイズの制御、再生および腫瘍化において重大な役割を果たしているHippo経路の転写アウトプットをレギュレートする。TEADがパルミトイル化されていることを検証するために、Myc−TEAD1およびTEAD4コンストラクトをHEK293A細胞においてトランスフェクトし、次いで細胞を50μMの1または2で標識し、それに続いてビオチン−アジドによるCu触媒1,3−双極子環化付加(クリック反応)、およびストレプトアビジンブロットによる検出を行った。Myc−TEAD1およびTEAD4は、両方のプローブ(図1A)によって実際に標識され、TEADがパルミトイル化されていることを示唆する。
【0019】
内在性TEADタンパク質がパルミトイル化されているかどうかを特性決定するために、HEK293AおよびMCF10A細胞を1で代謝的に標識し、それに続いてビオチン−アジドによるクリック反応を行った。次いで、パルミトイル化されたタンパク質をストレプトアビジンビーズプルダウンによって濃縮した。4種の内在性ヒトTEAD(TEAD1〜4)の全ては、ウエスタンブロットによってプルダウン試料において検出され図1B)、これは、これらが細胞において実際にパルミトイル化されていることを示す。TEAD2および4は、場合によりこれらの低い存在量、および質量スペクトル分析のために使用されるストリンジェントな基準が原因で、化学プロテオミクス研究においてヒットの中にはなかった。それにも関わらず、詳細な生化学的実験により、全てのTEADが細胞においてパルミトイル化されているはずであることを確認した。
【0020】
ヒドロキシルアミンの処理は、TEAD1におけるパルミトイル化レベルを劇的に低減させたが、TEADは、可逆的チオエステル連結を介してS−パルミトイル化されていることを示唆する(図1C)。
【0021】
ショウジョウバエ(Drosophila)Scallopedタンパク質はパルミトイル化されており、TEADパルミトイル化が進化的に保存されていることを示唆することが示された。HEK293A細胞に空ベクターまたは野生型HA−Scallopedをトランスフェクトした。細胞を50μMのプローブ1で一晩標識し、溶解し、それに続いてクリック反応を行った。タンパク質をSDS−PAGEによって分解し、ビオチン連結タンパク質をストレプトアビジンブロットによって検出した。結果を図1Dに示す。
【0022】
さらに、TEAD1は、3によって標識し得ることが示された。HEK293A細胞はトランスフェクトしないか、これに空ベクターまたは野生型Myc−TEAD1をトランスフェクトした。細胞を5μMの3で一晩標識し、溶解し、それに続いてクリックケミストリー反応を行った。タンパク質をSDS−PAGEによって分解し、ビオチン連結タンパク質をストレプトアビジンブロットによって検出した。結果を図1Eに示す。
【0023】
まとめると、結果は、TEADファミリー転写因子がS−パルミトイル化されていることを示す。
【0024】
B.TEADは、保存されたシステイン残基においてパルミトイル化されている
TEADにおけるパルミトイル化の部位を同定するために、タンパク質のTEADファミリーの配列を、ヒト、アフリカツメガエル(Xenopus)、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ(Drosophila)、およびシノラブディスエレガンス(C.elegans)を含めた異なる種にわたって配列比較した。進化的に保存されている3個のシステイン残基が見出された。これらの残基をヒトTEAD1(C53S、C327SおよびC359S)においてセリンに変異させ、変異がTEAD1のパルミトイル化に影響を与えるかを試験した。C359S変異体は、パルミトイル化の最も大きい喪失を示し、C327SおよびC53Sはまた、パルミトイル化の減少を示した(図2A)。これらの結果は、C359がTEAD1のパルミトイル化において重大な役割を果たしており、かつ修飾の主要な部位であり得ることを示唆する。さらに、3個のシステイン残基の全て、C53/327/359S(3CS)の組合せ変異は、TEAD1のパルミトイル化を完全に除去し(図2B)、これらの残基がTEAD1のパルミトイル化に実際に関与していることを示す。
【0025】
C.TEADはPAT非依存性の自己パルミトイル化を受ける
TEADがプローブ2および3によって標識することができたという事実(図1B図1E)は、TEADがパルミトイル化酵素様活性を有し、自己パルミトイル化を受け得ることを示唆した。精製した組換えTEAD2タンパク質は、従前に報告されており(Tian et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2010,107,7293−7298)、これはTEAD2を使用したin vitroでの実験が行われることを可能とする。hTEAD2(完全長またはYAP結合ドメイン(YBD):TEAD2217447)を、中性pHでin vitroでパルミトイル−CoAのクリック反応可能な類似体(15−ヘキサデシン酸CoA)と共にインキュベートし、それに続いてビオチン−アジドおよびストレプトアビジンブロットによるクリック反応を行った。TEAD2の完全長およびYBDの両方は、PATの非存在下でin vitroでパルミトイル化されていた(図2C)。
【0026】
さらに、DHHC−ファミリーPATのそれぞれの過剰発現は、細胞においてTEAD1のパルミトイル化レベルを有意に変化させなかったことが示された(図2D)。HEK293A細胞はトランスフェクトしないか、これに対照ベクター、野生型Myc−TEAD1および/またはHA−DHHCをトランスフェクトした。細胞を50μMのプローブ1で一晩標識し、溶解し、それに続いてクリックケミストリー反応を行った。タンパク質をSDS−PAGEによって分解し、TEADタンパク質をストレプトアビジンブロットおよび抗c−myc抗体によって検出した。総DHHCタンパク質を、抗HA抗体によって検出した。これにより、TEADパルミトイル化がPATと無関係であることが確認された。
【0027】
組換えTEAD2−YBDのインタクト質量分析を行った。26497ダルトンでの無修飾TEAD2に対応するピークである。小さいサイドピークがまた、26736ダルトンで観察され(図2E)、タンパク質へのパルミチン酸修飾と一致する。これらの結果は、組換えTEAD2−YBDの小さい画分が、細菌において発現しているときにパルミトイル化されていることを示唆する。さらに、パルミトイル−CoAと共にin vitroでインキュベートした後、パルミトイル化されたTEAD2ピークの存在量(26736ダルトン)が有意に増加した(図2F)ことを本発明者らは観察し、TEAD2は、自己パルミトイル化され得ることがさらに確認される。さらに、TEAD2 YBDの自己パルミトイル化は、検出のためにS−パルミトイル化を安定的なビオチン化に変換するアシル−ビオチン交換(ABE)アッセイによって確認された(図2G)。中性のpHでの1μMのパルミトイル−CoAを伴って、TEAD2 YBDは2分以内に自己パルミトイル化され、パルミトイル化レベルは、10分後に飽和に達した(図2H)。パルミトイル−CoAの用量依存性を決定するために、組換えTEAD2 YBDを様々な濃度のアルキンパルミトイル−CoAと共に3分間インキュベートし、ストレプトアビジンブロットの強度を定量化することによって反応速度を決定した(図2I)。TEAD2の自己パルミトイル化におけるパルミトイル−CoAの見かけのKmは、約0.8μMで推定し(図2J)、これはDHHC−ファミリーPATのKmに匹敵する。生理的パルミトイル−CoA濃度は、細胞において100nM〜10μMの範囲である。したがって、結果は、TEADパルミトイル化が正常な生理学的条件下で起こり得ることを示した。
【0028】
D.TEADのパルミトイル化の構造分析
TEADの脂質修飾の構造的基礎を明らかにするために、X線結晶構造解析をTEAD2 YBD(残基217〜447)で行った。ヒトTEAD2 YBDは、細菌から発現および精製し、その構造を、サーチモデルとしてセレノメチオニン標識TEAD2 YBD(PDBコード3L15)27による分子置換えによって2.0Åの解像度まで決定した(PDBコード5HGU)(表1)。C380(TEAD1のC359に対応する)に隣接する深い疎水性ポケットにおいて余分な電子密度が明らかに観察され、TEAD2が未知の小分子リガンドに結合することを示す。化学生物学的方法および質量分析法によるTEAD2パルミトイル化の結果と一致して(図2E)、余分な電子密度は、16個の炭素の脂肪酸(パルミチン酸、PLM)に対応する(図3A)。パルミチン酸の脂質鎖は、疎水性ポケット中に深く挿入され、遊離カルボキシル基は、TEAD2のC380に向いているが、共有結合的に付着していない。これは、パルミチン酸が最初にC380に共有結合的に付着し得るが、変化しやすいチオエステル結合が精製および結晶化中に僅かに塩基性条件下で切断し得ることを示唆する。一貫して、TEAD2の表面の図は、C380に隣接する開口部を通してパルミチン酸のカルボキシル基が溶媒到達可能であることを明らかにする(図3B)。この開口部はまた、遊離パルミチン酸が疎水性ポケット中へと入り、かつ疎水性ポケットから拡散することが可能となるのに十分に大きい。僅かに異なる精製条件を使用したTEAD2構造の最近の報告は、より高い収量のパルミトイル化されたTEAD2をもたらし、共有結合は結晶構造において観察することができる。Noland et al.,Structure,2016,24,1−8。
【0029】
共有結合性パルミトイル化が他のTEAD構造において観察することができたかどうかを探究するために、ヒトTEAD1−YAP複合体(PDBコード3KYS)、マウスTEAD4−YAP(PDBコード3JUA)、およびヒトTEAD1−環状YAP(PDBコード4RE1)の従前に報告された結晶構造をまた調査した。同様の脂質様電子密度は、これらの構造の保存された深い疎水性ポケットの全てにおいて存在する。mTEAD4−YAP(3JUA)において、電子密度はTEAD4のC360に共有結合的に接続しているように思われる。しかし、3JUAおよび4RE1における電子密度はトランケートされ、パルミトイル化の従前の知識なしでPLMに割り当てることが困難となる(図3C)。細菌において同時発現し、かつ複合体として精製されたTEAD1−YAP複合体(PDBコード3KYS)は、疎水性ポケットにおいて最も高い質の電子密度を示した。構造を精密化したとき、電子密度が、TEAD1のC359に共有結合的に連結しているパルミチン酸に実際に相当することが見出された(図3D)。これらの結果は、TEAD1 C359がパルミトイル化されているという知見と一致する。TEAD2単独構造において観察される表面開口部は、TEAD1−YAP複合体におけるYAPペプチドのβ1セグメントによってブロックされる(図3E)。チオエステル結合は、複合体において溶媒が到達しにくいという事実は、穏やかな精製および結晶化条件と共に共有結合的連結を保存することを促進し得る。細菌において存在するPATは存在しないため、これらの知見はまた、TEAD1が自己パルミトイル化されていることを示す結果を確認した。まとめると、結果は、TEADが、パルミチン酸によって占有されている保存された疎水性ポケットを有し、これらの転写因子の新規な構造的特徴が明らかにされることを示す。脂質結合疎水性ポケットは、他のTEAD中で高度に保存されている32。したがって、パルミチン酸結合は、全てのTEADについての重要な調節性機序であり得る。
【0030】
構造研究は、TEAD1 C359(TEAD2 C380に対応する)のパルミトイル化が安定的でありかつ結晶化し得ることを示唆した。しかし、結果は、C327(TEAD2 C348に対応する)が細胞において部分的または一過性にパルミトイル化され得る可能性を除外しない。組換えTEAD2 C380SおよびC348/380S(2CS)変異体を精製した。図2Aおよび図2Bにおける突然変異誘発研究と一致して、質量分析研究により、図4における結果によって示されるように、TEAD2 C380S変異体が依然としてin vitroで自己パルミトイル化することができるが、TEAD2 2CS変異体は自己パルミトイル化できないことが示された。結果は、TEAD2 C380変異体が依然としてin vitroでパルミトイル化することができ、27304のm/zを伴う質量ピークが無修飾His6−タグ付きTEAD2 C380Sタンパク質(第1のMetを伴わない)を示し、27542のm/zが、パルミトイル化されたHis6−タグ付き−TEAD2 C380タンパク質を示すが、しかし、TEAD2 2CS変異体がin vitroでパルミトイル化することができ、27304のm/zを伴う質量ピークが無修飾のHis6−タグ付きTEAD2 C380Sタンパク質(第1のMetを伴わない)を示し、26465.30のm/zが非パルミトイル化TEAD2 2CSタンパク質(第1のMetおよびC末端Hisタグを伴わない)を示すことを示す。これらの結果は、C348およびC380の両方がパルミトイル化に関与しており、C380パルミトイル化がより安定的であることを示唆する。
【0031】
TEADはホスホジエステラーゼδ(PDEδ、PDBコード1KSHBおよび3T5I)に構造的に関連し、2つのβシートは互いに対してまとめられ、β−サンドイッチモチーフが形成されることが留意されてきた。興味深いことに、PDEδは、GTPアーゼのファルネシル鎖に結合するβ−サンドイッチモチーフ内に同様の疎水性ポケットを有する(図5)。このような構造モチーフは共通の脂質結合部位を表すことが可能であり、同様のモチーフを有する他のタンパク質はまた脂質リガンドに結合し得る。興味深いことに、PDEδの小分子阻害剤は、この疎水性ポケットに実際に結合し、PDEδおよびファルネシル化Rasタンパク質の会合を阻害し、Ras活性の阻害をもたらすことができる。したがって、このような脂質結合部位を標的とすることは、重要な生物学的経路の新規な小分子阻害剤をもたらし得る。
【0032】
E.TEADのパルミトイル化は、TEAD−YAP/TAZの会合をレギュレートする
4種のTEADタンパク質の全てはパルミトイル化されているが、TEAD1は、遍在的に発現している最も豊富なTEADタンパク質の1つであるため、これを使用して機能研究を行った。パルミトイル化されたシステイン(TEAD1のC359)は、TEAD−YAPインターフェースの近くに位置しているため、本発明者らは、パルミトイル化がTEAD−YAPの会合をアロステリックにレギュレートすることができるかを試験した。実際に、YAPがWT TEAD1と共に免疫沈降(co−IP)することができたが、会合は、パルミトイル化欠損変異体(C359S、C327/359S(2CS)または3CS)によって有意に低減したことが見出された(図6A)。
【0033】
さらに、TEAD−YAP/TAZ相互作用を、YAPまたはTAZ結合によってGal4応答性ルシフェラーゼレポーターを活性化することができるGal4−TEAD1またはTEAD2融合タンパク質を使用して試験した。Gal4−TEAD1/2 WTは、YAPまたはTAZの存在下でGal4応答性ルシフェラーゼを活性化することができ、活性転写複合体の形成を示すことが見出された。しかし、パルミトイル化欠損変異体(C359S、2CSおよび3CS)は、活性を有意に低減させた(図6B)が、TEAD 2CSおよび3CS変異体は、活性の大部分を失った。さらに、TEAD1およびYAP間のFRETをベースとする結合アッセイ(Alpha Screen)はまた、TEAD変異体(C359S)がYAPとのより弱い会合を有し、パルミトイル化欠損変異体(2CSおよび3CS)がYAPへの結合を失ったことを確認した(図6C)。まとめると、これらの結果は、TEADのパルミトイル化が、転写コアクチベーターへのその結合をレギュレートすることにおいて重要な役割を果たしていることを示した。
【0034】
TEADパルミトイル化の機能的役割をまた調査した。TEAD1 C359S変異体は、YAPにより誘発される転写活性において部分的に欠陥があることが観察された。一貫して、TEAD1 2CSまたは3CS変異体は、TEAD結合配列レポーター(8xGTIIC−Luc)アッセイにおいて活性を失い(図6D)、これは、TEADパルミトイル化をブロックすることがその転写活性を損なうことを示唆する。
【0035】
さらに、TEAD1 WTおよび3CS変異体の両方は、細胞核において同様に局在化し(図6E)、これは、パルミトイル化がTEAD1局在を変化させないことを示唆する。これらの知見は、パルミチン酸がTEAD内部の深い疎水性ポケットに結合するという本発明者らの観察と一致した。他のパルミトイル化されたタンパク質と異なり、パルミチン酸は、TEADについての膜アンカーとしての役割を果たし得ない。したがって、本発明者らの結果は、転写因子複合体をレギュレートすることにおけるタンパク質パルミトイル化の新規な機能を明らかにしてきた。
【0036】
さらに、TEAD2 2CS/3CS変異体は、正しくフォールドされたことが見出された。TEADは、TEAD結合についてYAPと競合する腫瘍抑制物質であるVgll4に結合することができ、結果的にYAP発癌活性を阻害することが報告されてきた。co−IPアッセイにおいて、TEAD1 WTおよびパルミトイル化欠損変異体(C359S、2CSまたは3CS変異体)がVgll4に結合し得たことが見出された(図6F)。一貫して、FRETをベースとする(Alpha Screen)結合アッセイにおいて、TEAD1 WT、C359S、2CSおよび3CS変異体は全てVgll4に同様に結合する(図6G)。
【0037】
まとめると、これらの結果は、パルミトイル化がTEAD1−YAP結合のために必要とされるが、TEAD1−Vgll4結合にとって必要でないことを示す。さらに、TEAD1 C359S、2CSおよび3CS変異体は依然としてVgll4に結合することができるため、YAP結合の喪失はミスフォールディングによるものではない。
【0038】
結晶構造において、パルミチン酸は、YAPと直接的に相互作用しない。したがって、パルミチン酸は、YAP結合をアロステリックにレギュレートする。YAPは、3つのインターフェースを介してTEADに結合することが示されてきた。インターフェースIIIにおけるTEAD残基の変異は、YAPを大いに阻害したが、Vgll4結合を阻害せず、インターフェースIIIは、YAP結合にとってより重大な意味を有することを示唆する。これらの結果は、パルミトイル化がインターフェースIIIにおいてまたはその近くでTEADの立体配座をアロステリックに変化させ、このようにYAP結合をレギュレートするが、Vgll4結合をレギュレートしないことを示唆する。本明細書に記載されている結果、および最近の報告(Noland et al.,Structure,2016,24,1−8)は、パルミチン酸の結合がTEADの構造を硬直化させ、これは、YAP結合のために必要とされる結合インターフェースIIIの周りの局所の側鎖動力学に影響を与え得ることを示唆する。NMR分光法を使用したさらなる構造研究およびタンパク質側鎖動力学的研究は、どのようにパルミチン酸がTEADタンパク質動力学をアロステリックにレギュレートするかについてのさらなる詳細を提供する。脂肪酸アシル化は、タンパク質の機能をアロステリックにレギュレートすることが以前に示されてきた。例えば、c−AblのN末端ミリストイル修飾はキナーゼドメインに結合し、タンパク質の立体配座変化を誘発し、c−Ablキナーゼ活性の自己阻害をもたらす。
【0039】
F.パルミトイル化は、TEADの生理機能をレギュレートする
TEADパルミトイル化の生理学的役割をまた調査した。TAZは、TEAD1およびTEAD4を通して骨格筋細胞の最終分化および筋管融合を促進することが示されてきた。YAP/TAZ結合ドメインを欠いているTEAD4変異体(TEAD4−DBD)は、ドミナントネガティブ変異体として機能し、C2C12筋芽細胞分化および筋管融合を阻害した。したがって、TEAD−TAZの会合は、筋発生にとって重大な意味を有する。TEADパルミトイル化はTAZ結合のために必要とされるため、本発明者らは、TEADパルミトイル化の喪失が筋発生を損ない得ると推測する。
【0040】
この仮説を試験するために、C2C12筋芽細胞にTEAD1 WTまたは3CS変異体を安定的にトランスフェクトし、次いで分化を誘発した。ベクター対照(pBabe Hygro)、TEAD1 WTまたはTEAD1 3CS変異体を安定的に発現しているC2C12細胞は、3日間分化を誘発した。細胞核をDAPIで染色した。筋分化は、ミオシン重鎖(MHC)の免疫染色によって評価した。TEAD1 3CSは、ベクター対照およびTEAD1 WTと比較して筋分化および筋管融合を強力に阻害した(図7A)。TEAD1 3CSを発現しているC2C12細胞は、有意により低い分化指数および融合指数を示した(図7Bおよび7C)。
【0041】
さらに、TEAD1 3CS変異体の発現は、qRT−PCRによって筋分化遺伝子(Mef2C、MyoG1、Myh4)、ならびにTEAD特異的標的遺伝子(CTGFおよびCyr61)発現をブロックした(図7Dおよび7E)。その結果は、図7Dおよび7Eに示す実験において、TEAD1のベクター対照、野生型および3CS変異体を安定的に発現していたC2C12のRNA試料を集め、それぞれのcDNAを合成し、SYBR Greenを使用して各遺伝子のmRNAレベルをqRT−PCRによって決定し、GAPDHに規準化した。まとめると、結果は、パルミトイル化がin vitroでの筋分化におけるTEADの正常な生理機能に必要とされていることを示唆した。
【0042】
TEADパルミトイル化の機能的意義をさらに実証するために、組織の過成長を促進することにおいてYorkie(Yki)と競合する野生型ショウジョウバエ(Drosophila)Scalloped(Sd)またはパルミトイル化欠損(2CS)変異体(導入遺伝子挿入の位置的な効果を回避するために、両方のコンストラクトは同じ遺伝子座を標的とする)の能力を、感受性のin vivoアッセイを使用して比較した。Ykiの差次的スプライシングは、2つのWWドメイン(Yki−PGおよびYki−PF、Flybase)または単一のWWドメイン(Yki−PD、Flybase)を含有する2つのアイソフォームをもたらす。その過剰発現が眼の過成長をもたらしたYki−PGと異なり5、Yki−PD単独の過剰発現は、僅かにのみより大きい眼のサイズをもたらしたが、このような変化は統計的に有意でない(図8Aから8D)。それにも関わらず、Yki−PDおよびSd(WT)の同時発現は、眼のサイズの有意な拡大をもたらした(図8E)が、組織の過成長を推進することにおいてSd−Yki複合体のための非常に感受性のアッセイを提供する。興味深いことに、この過成長表現型は、Yki−PDがパルミトイル化欠損Sd(2CS)変異体と同時発現したときに有意に損なわれた(図8F)。Yki−PDおよびSd(WT)の同時発現によってもたらされる過成長表現型(粗い表面を伴う拡大した眼)(図8E)は、Yki−PDがパルミトイル化欠損Sd(2CS)変異体と同時発現するときに損なわれる(図8F)。画像は同じ拡大率で取った。野生型対照ハエにおける眼のサイズは青色の破線でマークし、全ての画像において同じ領域を示す。
【0043】
全てのハエにおける眼のサイズを定量化し、結果を統計解析に供した(図8G)。
【0044】
さらに、ハエの上面図(図8H)は、異なる角度からの眼のサイズを示した。
【0045】
Sd WTおよび2CS変異体の両方は、WTハエと比較して眼の成長が統計的に有意に低減し(図8B、8C、および8G)、これはSdのデフォルトのリプレッサー機能と一致する。Sd WTおよび2CS変異体間の差異は、統計的に有意ではない。したがって、Sd(2CS)におけるパルミトイル化の喪失は、そのデフォルトのリプレッサー機能に影響を与えない可能性が高い。この結果は、TEAD1(2CS)がそれでもなお、Vgll4に結合することができるというヒト細胞における知見と一致する。
【0046】
標的遺伝子に対する効果をよりよく評価するために、2CS変異体またはWT Scallopedの発現を伴うハエS2細胞におけるDiap1およびExpandedのqRT−PCR分析を行った。一貫して、YkiおよびWT Scallopedの発現は、両方の遺伝子の発現を誘発し、一方、YkiおよびScalloped 2CS変異体の発現は、ハエ細胞における標的遺伝子発現を有意に損なった(図8Iおよび8J)。
【0047】
まとめると、結果は、パルミトイル化がTEAD転写因子の生理機能のために必要とされることを示唆する。
【0048】
G.TEADの自己パルミトイル化の小分子阻害剤の同定
小分子ライブラリー(50Kの化合物)を、TEAD結合配列ルシフェラーゼレポーター(8xGTII−Luc)およびYAPを発現しているHEK293A安定的細胞系を使用してスクリーニングした。化合物を、一次スクリーニングとしてレポーターアッセイを使用して5μMの濃度でスクリーニングし、次いでTEAD非依存性のレポーター系または毒性対照(Celltiter Glo、Topflash−Lucおよびp53−Luc)においてカウンターアッセイとして化合物を評価した。TEAD−レポーターにおいて>50%の阻害を伴うが、対照アッセイにおいて<20%の阻害を伴う化合物を一次ヒットとして選択した。TEADパルミトイル化の阻害剤を同定するために、in vitroでのTEAD2自己パルミトイル化アッセイにおいて一次ヒットを試験し、TEAD2の自己パルミトイル化を阻害した化合物の同定がもたらされた。したがって、これらの化合物の作用機序は、TEADパルミトイル化の阻害を通してであり得る。
【0049】
同定された化合物の1つは、in vitroでTEAD2の自己パルミトイル化、および細胞においてTEAD1のパルミトイル化を濃度依存的様式で阻害した化合物4(「MGH−CP1」)であった(図9)。
【化3】
【0050】
化合物4の作用機序を確認し、MGH−CP1およびTEAD間の詳細な分子の相互作用を解明するために、2.0Åの解像度でのTEAD2に結合した化合物4の共結晶構造を決定した(表1)。阻害剤が結合したTEAD2構造において、化合物4は、パルミチン酸によって従前に占有されている同じ疎水性ポケットに結合し、これは、化合物4がTEADパルミトイル化を阻害するという本発明者らの観察と一致する(図10)。化合物4のアダマタン部分は疎水性ポケット内で結合し、疎水性ポケット中の残基と共に疎水的相互作用が生じ、トリアゾール環は疎水性ポケットの開口部に隣接している(図11)。さらに、カルボニル酸素は、Q410の側鎖と共に水素結合を形成する(図11)。
【0051】
TEAD2に結合した化合物4の構造を、パルミチン酸が結合したTEAD4のそれと比較し、化合物4はTEAD2に結合したときにパルミチン酸と同様の立体配座を取ったことが見出された(図12)。これらの結果により、化合物4がTEADの小分子阻害剤であることを確認したが、これは保存された疎水性ポケットから脂肪酸を移動させた。さらに、阻害剤が結合した構造は、TEAD阻害剤のさらなる最適化のための構造的ガイダンスを提供することができた。
【0052】
化合物4がTEADの機能を阻害することができるかを試験するために、Gal4−TEAD1レポーター系を使用したTEAD−YAP相互作用の阻害を評価した。MGH−CP1が、このアッセイにおいて83nMのIC50を伴ってTEAD−YAP相互作用を用量依存的に阻害したことが見出された(図13)。
【0053】
癌細胞系において、Hippo経路における上流の腫瘍抑制物質の機能欠失は、TEAD−YAP転写複合体の過剰活性化をもたらすことが多い。化合物4を、HeLa(LKB1変異)、ならびに肝細胞癌細胞JHH7およびHuH7を含めた、活性化過剰YAPを有する細胞系において試験した(Mst1/2機能喪失およびYAP増幅)(Fitamant et al.,2015;Mohseni et al.,2014;Nguyen et al.,2012;Zhou et al.,2009)。化合物4は、全てのこれらの細胞においてTEAD−YAP標的遺伝子発現(CTGFおよびCyr61)を阻害し得たことが見出された(図14〜17)が、化合物4によるTEADパルミトイル化の阻害は、TEAD−YAP転写活性を機能的に阻害し得たことを示唆する。
【0054】
さらに、細胞を化合物4(10μM)またはDMSO対照で処理し、細胞生存率を評価した。化合物4は、YAP依存性の癌細胞系の細胞増殖をin vitroで効果的にブロックし得ることが見出された(図18〜20)。
【0055】
YAP/TAZは、細胞の浸潤および移動を促進し得たことが報告された(Chan et al.,2008)。化合物4がYAP/TAZ依存性の細胞浸潤を機能的に阻害することができるかを試験するために、Lats1/2ダブルノックアウト(Lats1/2DKO)MEF細胞をスクラッチアッセイにおいて使用した(Kim et al.,2013)。細胞をDMSO対照または2.5μMのMGH−CP1で処理し、スクラッチした領域の閉鎖のブロッキングにおける化合物の活性を測定した。DMSO対照で処理した細胞は急速に移動し、16〜24時間以内にギャップを閉鎖した。対照的に、化合物4で処理した細胞は移動しなかった(図21)。まとめると、本発明者らは、小分子が、TEADにおける保存された脂質結合疎水性ポケットに実際に結合し、TEAD−YAP活性を阻害し得ることを示してきた。MGH−CP1は、in vivoでの試験について最適な特性を有さないことが留意される。したがって、MGH−CP1のさらなる最適化は、化学的ツールまたは創薬のための「リード」化合物としての強力かつ特異的阻害剤を開発するために必要とされる。それにも関わらず、本発明者らは、TEADが実際に「ドラッガブル」であることを示してきた。
【0056】
化合物4に加えて、化合物5〜53をさらなるTEAD阻害剤として調査した。アッセイデータを、実施例15において提供する。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0057】
H.考察
要約すれば、化学的アプローチは、TEADが進化的に保存されたシステイン残基において特異的に自己パルミトイル化されていることを明らかにした。自己パルミトイル化は、表面システイン残基と高濃度のパルミトイル−CoAとの非特異的反応として考えられてきた。本研究は、酵母のBet3タンパク質の研究と共に、自己パルミトイル化が生理学的条件下で起こり得、特定のシステイン残基が修飾されていることを示してきた。23のDHHC−PATのみが存在するため、これらが細胞における全てのパルミトイル化活性に関与していることはあり得ない(1000超のタンパク性基質はS−パルミトイル化されている)。したがって、多くのS−パルミトイル化されたタンパク質がPAT非依存性のプロセスによって修飾されており、自己パルミトイル化は、タンパク質機能のための重要なレギュレーションであり得ることが可能である。本研究は、化学的ツールを使用して初めて自己パルミトイル化されたタンパク質を系統的に同定することを示してきた。
【0058】
パルミトイル化は、膜付着およびタンパク質の輸送と一般に関連付けられてきた。本結果は、パルミチン酸がタンパク質のコアにおける疎水性ポケットに結合し、タンパク質の膜結合をレギュレートしないことを示してきた。酵母のBet3タンパク質の結晶構造において、共有結合的に付着したパルミチン酸はまた、タンパク質における疎水性ポケット中に結合することが留意されてきた。Bet3のパルミトイル化は、タンパク質を安定化させ、Bet3分解および共同因子結合をレギュレートすることにおいて関与している。したがって、膜結合部分として作用することに加えて、タンパク質のパルミトイル化は、実際に他の重要な機能を有する。
【0059】
TEAD1 C359は、脂質結合疎水性ポケットの開口部に位置している、修飾の主要で安定的な部位であることが観察されてきた。パルミチン酸非含有TEAD2は精製および結晶化することができないため、パルミチン酸の結合がTEADの立体配座を安定化させ、タンパク質が結晶化することが可能となった可能性は高い。それにも関わらず、TEADタンパク質は、細胞におけるパルミトイル化および非パルミトイル化種として存在し得る。TEAD2 C380Sは自己パルミトイル化されたままであるが、C348/380S変異体はそうではなく、これはTEAD 2CS/3CS変異体がC380Sよりも活性が有意に喪失したという観察と一致することが観察されてきた。C348の脂質修飾は、タンパク質の最も安定的な立体配座の単にスナップショットである結晶構造において観察されなかったが、C348およびC380の両方は、パルミトイル化に関与しているはずである。C348−パルミトイル化TEAD2は、異なる立体配座を有し、パルミチン酸が保存された深い疎水性ポケットに結合することが許容されることは可能である。さらに、表面近くの別の疎水性ポケットはTEAD2構造におけるC348に近接しており、これは疎水性リガンド、例えば、ブロモフェナミン酸(BFA)の結合を提供することができる。さらなる研究は、C348−パルミトイル化TEAD2のより詳細な構造を明らかにし得る。
【0060】
TEADの自己パルミトイル化のレベルは、細胞中のパルミトイル−CoA濃度と高度に関連する。細胞のパルミトイル−CoAプールは、TEADの活性およびHippo経路の上流レギュレーターであり得る。脂肪酸シンターゼ(FASN)は、アセチル−CoAおよびマロニル−CoAからパルミトイル−CoAを合成する重要な酵素である。FASNは、乳癌においてアップレギュレーされている潜在的な癌遺伝子として提示されてきており、その発現は予後不良と関連する。高レベルのFASNは、高い細胞内のパルミトイル−CoAをもたらし、このようにTEAD−YAPによって媒介される発癌プロセスを促進し得る。さらなる研究は、TEAD−YAP活性がFASN過剰発現の癌細胞における腫瘍化に関与していることを明らかにし得る。
【0061】
本研究はまた、相互作用インターフェースが浅くかつ表面上の大きい領域上に及ぶため、TEAD−YAP相互作用を撹乱する強力および選択的な小分子阻害剤を開発することが可能であることが示してきた。TEADのパルミチン酸結合疎水性ポケットは深く疎水性であり、阻害剤結合のための部位を提供することができる。疎水性ポケットは小分子が到達可能であり、TEADの自己パルミトイル化を阻害する薬物候補の発見を可能とする。
【0062】
II.化合物
本開示は、とりわけ、式(I):
【化8】
(式中、
Cyは、式(Cy−A)または(Cy−B):
【化9】
の基であるか、または
Cyは、Cy−Cであり、Cy−Cは、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールおよび4〜10員ヘテロシクロアルキルから選択される0個または1個の置換基、ならびにC16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される0個、1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているフェニルであり、Cy−Cの前記C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル置換基は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
1は、NR1、OまたはSであり、
1は、HまたはC16アルキルであり、
2は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1であり、R2を形成する前記C16アルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルまたは(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
3は、NまたはCR3であり、
3は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択されるか、または
2およびR3は、R2およびR3が付着している原子と一緒になって、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されている縮合ベンゾ環を一緒に形成し、
4は、NまたはCR4であり、
4は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択され、
5は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択され、
Bは、不存在(結合)であるか、またはNR6、O、S、S(O)およびS(O)2から選択され、
6は、HまたはC16アルキルであり、
Dは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC14アルキレンであるか、または
Dは、フェニレンまたは5〜6員ヘテロアリーレンであり、Dを形成する前記フェニレンまたは5〜6員ヘテロアリーレンは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されており、
Eは、NR7またはOであり、
7は、HまたはC16アルキルであるか、または
7は、フェニルまたは5〜6員ヘテロアリールであり、R7を形成する前記フェニルまたは5〜6員ヘテロアリールは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されており、
8、R9、R10、R11およびR12は、H、C16アルキル、Cy1、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1からそれぞれ独立に選択され、
ただし、R8、R9、R10、R11およびR12の2つ以下は、Cy1であり、
各Cy1は、C614アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルから独立に選択され、Cy1を形成する前記C614アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルおよび(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、Cy2、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
各Cy2は、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルから独立に選択され、Cy2を形成する前記C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルおよび(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
a1、Rb1、Rc1およびRd1は、H、C16アルキル、C26アルケニルおよびC26アルキニルからそれぞれ独立に選択され、および
各Re1は、独立に、H、C14アルキル、CNまたはNO2である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0063】
本開示はさらに、式(I):
【化10】
(式中、
Cyは、式(Cy−A)または(Cy−B):
【化11】
の基であり、
1は、NR1、OまたはSであり、
1は、HまたはC16アルキルであり、
2は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1であり、R2を形成する前記C16アルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルまたは(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個もしくは5個の置換基で任意選択で置換されており、
3は、NまたはCR3であり、
3は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択されるか、または
2およびR3は、R2およびR3が付着している原子と一緒になって、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されている縮合ベンゾ環を一緒に形成し、
4は、NまたはCR4であり、
4は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択され、
5は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択され、
Bは、不存在(結合)であるか、またはNR6、O、S、S(O)およびS(O)2から選択され、
6は、HまたはC16アルキルであり、
Dは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC14アルキレンであり、
Eは、NR7またはOであり、
7は、HまたはC16アルキルであり、
8、R9、R10、R11およびR12は、H、C16アルキル、Cy1、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1からそれぞれ独立に選択され、
ただし、R8、R9、R10、R11およびR12の2つ以下は、Cy1であり、
各Cy1は、C614アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルから独立に選択され、Cy1を形成する前記C614アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルおよび(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、Cy2、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
各Cy2は、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルから独立に選択され、Cy2を形成する前記C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルおよび(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
a1、Rb1、Rc1およびRd1は、H、C16アルキル、C26アルケニルおよびC26アルキニルからそれぞれ独立に選択され、および
各Re1は、独立に、H、C14アルキル、CNまたはNO2である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0064】
一部の実施形態では、Cyは、式(Cy−A)の基である。
【0065】
一部の実施形態では、Cyは、式(Cy−B)の基である。
【0066】
一部の実施形態では、Cyは、Cy−Cである。
【0067】
一部の実施形態では、A1は、NR1である。一部のこのような実施形態では、R1は、Hである。一部のこのような実施形態では、R1は、C16アルキル、例えば、メチルまたはエチルである。
【0068】
一部の実施形態では、A1は、Oである。
【0069】
一部の実施形態では、A1は、Sである。
【0070】
一部の実施形態では、R2は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1であり、R2を形成する前記C16アルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルまたは(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている。
【0071】
一部の実施形態では、R2は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、または(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルであり、R2を形成する前記C16アルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルまたは(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている。
【0072】
一部の実施形態では、R2は、Hである。
【0073】
一部の実施形態では、R2は、C16アルキル、例えば、メチルである。
【0074】
一部の実施形態では、R2は、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、または(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルであり、R2を形成する前記C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルまたは(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている。
【0075】
一部の実施形態では、R2は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC610アリール、例えば、フェニルである。
【0076】
一部の実施形態では、R2は、フェニル、4−メチルフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−メトキシフェニル、または2−ヒドロキシフェニルである。
【0077】
一部の実施形態では、R2は、5〜10員ヘテロアリールであり、R2は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている。
【0078】
一部の実施形態では、R2は、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、または(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルであり、R2を形成する4〜10員ヘテロシクロアルキル、または(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている。
【0079】
一部の実施形態では、R2は、4−モルホリニルメチルである。
【0080】
一部の実施形態では、R2は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される。
【0081】
一部の実施形態では、nR2は、NRc1d1、例えば、NH2である。
【0082】
一部の実施形態では、A3は、Nである。
【0083】
一部の実施形態では、A3は、CR3である。
【0084】
一部の実施形態では、R3は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される。
【0085】
一部の実施形態では、A3は、CR3であり、およびR2およびR3は、R2およびR3が付着している原子と一緒になって、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されている縮合ベンゾ環を一緒に形成する。
【0086】
一部の実施形態では、A4は、Nである。
【0087】
一部の実施形態では、A4は、CR4である。
【0088】
一部の実施形態では、R4は、Hである。
【0089】
一部の実施形態では、R5は、Hである。
【0090】
一部の実施形態では、Cy−Cは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているフェニルである。
【0091】
一部の実施形態では、Cy−Cは、3−トリフルオロメチルフェニルである。
【0092】
一部の実施形態では、Bは、不存在(結合)である。
【0093】
一部の実施形態では、Bは、Sである。
【0094】
一部の実施形態では、Bは、S(O)である。
【0095】
一部の実施形態では、Bは、S(O)2である。
【0096】
一部の実施形態では、Bは、Oである。
【0097】
一部の実施形態では、Bは、NR6である。
【0098】
一部の実施形態では、R6は、Hである。
【0099】
一部の実施形態では、R6は、C16アルキル、例えば、メチルである。
【0100】
一部の実施形態では、Dは、C14アルキレン、例えば、CH2、CH2CH2、CH2CH2CH2またはCH2CH2CH2CH2である。
【0101】
一部の実施形態では、Dは、C1アルキレン、例えば、CH2である。
【0102】
一部の実施形態では、Dは、C2アルキレン、例えば、CH2CH2である。
【0103】
一部の実施形態では、Dは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されているフェニレンである。一部の実施形態では、Eは、NR7である。Dは、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、または1,4−フェニレンでよい。Dは、非置換フェニレンでよい。
【0104】
一部の実施形態では、Dは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されているヘテロアリーレンである。一部の実施形態では、Eは、NR7である。Dは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−または3,5−ピリジレンでよい。Dは、非置換ピリジレンでよい。
【0105】
一部の実施形態では、R7は、Hである。
【0106】
一部の実施形態では、R7は、C16アルキル、例えば、メチルである。
【0107】
一部の実施形態では、R7は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されているフェニルである。R7は、例えば、非置換フェニルでよい。
【0108】
一部の実施形態では、R7は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されている5〜6員ヘテロアリールである。R7は、例えば、非置換ピリジルでよい。R7は、例えば、2−ピリジル、3−ピリジルまたは4−ピリジルでよい。
【0109】
一部の実施形態では、Eは、Oである。
【0110】
一部の実施形態では、R8は、H、C16アルキル、例えば、メチル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される。
【0111】
一部の実施形態では、R8は、Hである。
【0112】
一部の実施形態では、R8は、ハロゲン、例えば、F、ClまたはBrである。
【0113】
一部の実施形態では、R9は、H、C16アルキル、例えば、メチル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される。
【0114】
一部の実施形態では、R9は、Hである。
【0115】
一部の実施形態では、R9は、Cy1である。
【0116】
一部の実施形態では、R10は、H、C16アルキル、例えば、メチル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される。
【0117】
一部の実施形態では、R10は、Hである。
【0118】
一部の実施形態では、R10は、Cy1である。
【0119】
一部の実施形態では、Cy1は、C614アリール、C310シクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニル、または(C310シクロアルキル)C13アルキレニルであり、Cy1を形成する前記C614アリール、C310シクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニルまたは(C310シクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、Cy2、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている。
【0120】
一部の実施形態では、Cy1は、Cy2、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC614アリール、例えば、フェニルである。
【0121】
一部の実施形態では、Cy1は、フェニル、1−もしくは2−ナフチル、1−、2−、3−、4−もしくは9−フェナントレニル、または1−、2−もしくは9−アントラセニルである。
【0122】
一部の実施形態では、Cy1は、フェニル、4−シクロヘキシルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、3,5−トリフルオロメチルフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−n−プロピルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−n−ブチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、1,1’−ビフェニル−3−イル、1,1’−ビフェニル−4−イル、3,5−ジフェニルフェニルである。
【0123】
一部の実施形態では、Cy1は、Cy2、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC310シクロアルキルである。
【0124】
一部の実施形態では、Cy1は、アダマンチルである。
【0125】
一部の実施形態では、各Cy2は、C610アリール、C310シクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、および(C310シクロアルキル)C13アルキレニルから独立に選択され、Cy2を形成する前記C610アリール、C310シクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、または(C310シクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている。
【0126】
一部の実施形態では、各Cy2は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC610アリール、例えば、フェニルから独立に選択される。
【0127】
一部の実施形態では、各Cy2は、フェニルである。
【0128】
一部の実施形態では、各Cy2は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC310シクロアルキルから独立に選択される。
【0129】
一部の実施形態では、各Cy2は、シクロヘキシルである。
【0130】
一部の実施形態では、R11は、H、C16アルキル、例えば、メチル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される。
【0131】
一部の実施形態では、R11は、Hである。
【0132】
一部の実施形態では、R12は、H、C16アルキル、例えば、メチル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される。
【0133】
一部の実施形態では、R12は、Hである。
【0134】
一部の実施形態では、R8、R9、R10、R11およびR12の1つ以下は、Cy1である。
【0135】
一部の実施形態では、R8、R9、R10、R11およびR12、R7、R8、R9、R10およびR11の1つおよび1つのみは、Cy1である。
【0136】
一部の実施形態では、Ra1、Rb1、Rc1およびRd1は、HおよびC16アルキル、例えば、メチルからそれぞれ独立に選択される。
【0137】
一部の実施形態では、各Re1は、HまたはC16アルキル、例えば、メチル、好ましくはHである。
【0138】
一部の実施形態では、化合物は、下記の式(I−1)〜(I−24):
【化12】
【化13】
【化14】
の1つの化合物であり、可変部分は、式(I)について上記に定義される通りか、またはその実施形態のいずれかでよい。
【0139】
一部の実施形態では、化合物は、下記の式(I−25)〜(I−30):
【化15】
の1つの化合物であり、可変部分は、式(I)について上記に定義される通りか、またはその実施形態のいずれかでよく、式中、R13、R14、R15およびR16は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1からそれぞれ独立に選択される。
【0140】
一部の実施形態では、化合物は、上記のように、下記の式(4)〜(53)の1つの化合物である。
【0141】
明確にするために、別々の実施形態との関連で記載されている本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供し得ることがさらに認識される(一方では、実施形態は、多重従属形式で記載されているかのように合わされることを意図する)。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態との関連で記載されている本発明の様々な特徴はまた、別々にまたは任意の適切な部分組合せにおいて提供することができる。このように、式(I)の化合物の実施形態として記載される特徴は、任意の適切な組合せにおいて合わせ得ることが意図されている。
【0142】
本明細書における様々な箇所において、化合物の特定の特徴は、群または範囲で開示されている。このような開示は、このような群および範囲のメンバーの全ての個々の部分組合せを含むことが特に意図される。例えば、用語「C16アルキル」は、(これらに限定されないが)メチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキルおよびC6アルキルを個々に開示することが特に意図される。
【0143】
用語「n員」(nは、整数である)は、典型的には、部分における環形成原子の数を説明し、ここで、環形成原子の数は、nである。例えば、ピペリジニルは、6員ヘテロシクロアルキル環の一例であり、ピラゾリルは、5員ヘテロアリール環の一例であり、ピリジルは、6員ヘテロアリール環の一例であり、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレンは、10員シクロアルキル基の一例である。
【0144】
本明細書の様々な箇所において、二価連結基を定義する可変部分を記載する。各連結置換基は、連結置換基の順方向および逆方向形態の両方を含むことが特に意図される。例えば、−NR(CR’R’’)n−は、−NR(CR’R’’)n−および−(CR’R’’)nNR−の両方を含み、形態のそれぞれを個々に開示することを意図する。構造が連結基を必要とする場合、その基について列挙したマーカッシュ可変部分は、連結基であると理解される。例えば、構造がその可変部分リスト「アルキル」または「アリール」について連結基およびマーカッシュ群の定義を必要とする場合、「アルキル」または「アリール」は、それぞれ連結アルキレン基またはアリーレン基を表すことが理解される。
【0145】
用語「置換されている」は、原子または原子の群が、別の群に付着した「置換基」として水素を形式的に置き換えることを意味する。用語「置換されている」は、他に示さない限り、置換の任意のレベル、例えば、一置換、二置換、三置換、四置換または五置換を指し、このような置換は許容される。置換基は、独立に選択され、置換は、任意の化学的に到達可能な位置にあってよい。所与の原子における置換は、原子価によって限定されることを理解すべきである。用語「任意選択で置換されている」は、非置換であるか、または置換されていることを意味する。用語「置換されている」は、水素原子が除去され、置換基で置き換えられていることを意味する。単一の二価置換基、例えば、オキソは、2個の水素原子を置き換えることができる。
【0146】
用語「Cnm」は、エンドポイントを含む範囲を示し、式中、nおよびmは、整数であり、炭素の数を示す。例は、C14、C16などを含む。
【0147】
用語「アルキル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、直鎖状または分岐状であり得る飽和炭化水素基を指す。用語「Cnmアルキル」は、n〜m個の炭素原子を有するアルキル基を指す。アルキル基は、アルカンに形式的に相当し、1個のC−H結合は、化合物の残部へのアルキル基の付着点で置き換えられている。一部の実施形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、または1〜2個の炭素原子を含有する。アルキル部分の例には、これらに限定されないが、化学基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、sec−ブチル;高級相同体、例えば、2−メチル−1−ブチル、n−ペンチル、3−ペンチル、n−ヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピルなどが含まれる。
【0148】
用語「アルケニル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、1個または複数の二重炭素−炭素結合を有するアルキル基に対応する直鎖状または分岐状の炭化水素基を指す。アルケニル基は、アルケンに形式的に相当し、1個のC−H結合は、化合物の残部へのアルケニル基の付着点で置き換えられている。用語「Cnmアルケニル」は、n〜m個の炭素を有するアルケニル基を指す。一部の実施形態では、アルケニル部分は、2〜6個、2〜4個、または2〜3個の炭素原子を含有する。アルケニル基の例には、これらに限定されないが、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、sec−ブテニルなどが含まれる。
【0149】
用語「アルキニル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、1個または複数の三重炭素−炭素結合を有するアルキル基に対応する直鎖状または分岐状の炭化水素基を指す。アルキニル基は、アルキンに形式的に相当し、1個のC−H結合は、化合物の残部へのアルキル基の付着点で置き換えられている。用語「Cnmアルキニル」は、n〜m個の炭素を有するアルキニル基を指す。アルキニル基の例には、これらに限定されないが、エチニル、プロピン−1−イル、プロピン−2−イルなどが含まれる。一部の実施形態では、アルキニル部分は、2〜6個、2〜4個、または2〜3個の炭素原子を含有する。
【0150】
用語「アルキレン」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、二価のアルキル連結基を指す。アルキレン基は、アルカンに形式的に相当し、2個のC−H結合は、化合物の残部へのアルキレン基の付着点で置き換えられている。用語「Cnmアルキレン」は、n〜m個の炭素原子を有するアルキレン基を指す。アルキレン基の例には、これらに限定されないが、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,3−ジイルなどが含まれる。
【0151】
用語「アルコキシ」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、式−O−アルキルの基を指し、ここで、アルキル基は上記で定義されている通りである。用語「Cnmアルコキシ」は、アルコキシ基を指し、そのアルキル基は、n〜m個の炭素を有する。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシなどを含む。一部の実施形態では、アルキル基は、1〜6個、1〜4個、または1〜3個の炭素原子を有する。
【0152】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用されて、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。
【0153】
用語「ハロアルキル」は、水素原子の1つまたは複数がハロゲン原子で置き換えられているアルキル基を指す。用語「Cnmハロアルキル」は、n〜m個の炭素原子、および同じまたは異なり得る少なくとも1個〜最大{2(n〜m)+1}個のハロゲン原子を有するCnmアルキル基を指す。一部の実施形態では、ハロゲン原子は、フルオロ原子である。一部の実施形態では、ハロアルキル基は、1〜6個または1〜4個の炭素原子を有する。ハロアルキル基の例は、CF3、C25、CHF2、CCl3、CHCl2、C2Cl5などを含む。一部の実施形態では、ハロアルキル基は、フルオロアルキル基である。
【0154】
用語「ハロアルコキシ」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、式−O−ハロアルキルの基を指し、ここで、ハロアルキル基は上記で定義されている通りである。用語「Cnmハロアルコキシ」は、ハロアルコキシ基を指し、そのハロアルキル基は、n〜m個の炭素を有する。ハロアルコキシ基の例は、トリフルオロメトキシなどを含む。一部の実施形態では、ハロアルコキシ基は、1〜6個、1〜4個、または1〜3個の炭素原子を有する。
【0155】
用語「アミノ」は、式−NH2の基を指す。
【0156】
用語「カルバミル」は、式−C(=O)NH2の基を指す。
【0157】
用語「カルボニル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、−C(=O)−基を指し、これはまたC(O)と記載し得る。
【0158】
用語「カルボニル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、−C(=O)−基を指す。
【0159】
用語「カルボキシ」は、式−C(=O)OHの基を指す。
【0160】
用語「オキソ」は、二価置換基としての酸素を指し、カルボニル基を形成するか、またはヘテロ原子に付着して、スルホキシドもしくはスルホン基、またはN−オキシド基を形成する。
【0161】
用語「芳香族」は、芳香族の特徴を有する1個または複数の多価不飽和環を有する炭素環または複素環を指す(すなわち、(4n+2)個の非局在化π(パイ)電子(式中、nは、整数である)を有する)。
【0162】
用語「アリール」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、単環式または多環式(例えば、2個、3個または4個の縮合環を有する)であり得る芳香族炭化水素基を指す。用語「Cnmアリール」は、n〜m個の環炭素原子を有するアリール基を指す。アリール基は、例えば、フェニル、ナフチル、インデニルなどを含む。一部の実施形態では、アリール基は、6〜10個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、アリール基は、フェニルである。
【0163】
用語「アリールアルキレニル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、本明細書に定義されているようなアルキレン基に付着した、本明細書に定義されているようなアリール基を指す。用語「CnmアリールCopアルキレニル」は、アリールアルキレニル基を指し、n〜m個の環炭素原子を有するアリール基は、o〜p個の炭素原子を有するアルキレン基に付着している。アリールアルキレニル基は、例えば、ベンジル、フェネチルなどを含む。
【0164】
用語「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、硫黄、酸素および窒素から選択される少なくとも1個のヘテロ原子環員を有する単環式または多環式の芳香族複素環を指す。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、単環式または二環式であり、かつ窒素、硫黄および酸素から独立に選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子環員を有する5〜10員C19ヘテロアリールである。一部の実施形態では、ヘテロアリール部分における任意の環形成Nは、N−オキシドでよい。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、炭素原子を含む5〜10個の環原子、ならびに窒素、硫黄および酸素から独立に選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子環員を有する。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、5〜6個の環原子、ならびに窒素、硫黄および酸素から独立に選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子環員を有する。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、5〜6個の環原子、ならびに窒素、硫黄および酸素から独立に選択される1個または2個のヘテロ原子環員を有する。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、5員または6員ヘテロアリール環である。ヘテロアリール基の例には、これらに限定されないが、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、ピラゾール、アゾリル、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、フラン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイソオキサゾール、イミダゾ[1,2−b]チアゾール、イミダゾ[1,2−b]ピリダジン、プリン、フロピリジン(例えば、フロ[3,2−b]ピリジン)、チエノピリジン(例えば、チエノ[3,2−b]ピリジン)などが含まれる。
【0165】
5員ヘテロアリール環は、5個の環原子を有するヘテロアリール基であり、ここで、1個または複数(例えば、1個、2個、3個または4個)の環原子は、N、OおよびSから独立に選択される。例示的な5員環ヘテロアリールは、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリルおよび1,3,4−オキサジアゾリルを含む。
【0166】
6員ヘテロアリール環は、6個の環原子を有するヘテロアリール基であり、ここで、1個または複数(例えば、1個、2個または3個)の環原子は、N、OおよびSから独立に選択される。例示的な6員環ヘテロアリールは、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニルおよびピリダジニルである。
【0167】
用語「ヘテロアリールアルキレニル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、本明細書に定義されているようなアルキレン基に付着した、本明細書に定義されているようなヘテロアリール基を指す。用語「n〜m員ヘテロアリールCopアルキレニル」は、o〜p個の炭素原子を有するアルキレン基に付着した、n〜m個の環原子を有するヘテロアリール基を指す。ヘテロアリールアルキレニル基は、例えば、ピリジルメチル、ピリジルエチルなどを含む。
【0168】
用語「シクロアルキル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、環化アルキルおよびアルケニル基を含む非芳香族、飽和、単環式、二環式または多環式の炭化水素環系を指す。用語「Cnmシクロアルキル」は、n〜m個の環員炭素原子を有するシクロアルキルを指す。シクロアルキル基は、単環式または多環式(例えば、2個、3個または4個の縮合環を有する)基およびスピロ環を含むことができる。シクロアルキル基は、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個もしくは10個の環形成炭素(C310)、または3個、4個、5個、6個もしくは7個の環形成炭素(C37)を有することができる。一部の実施形態では、シクロアルキル基は、3〜6個の環員、3〜5個の環員、または3〜4個の環員を有する。一部の実施形態では、シクロアルキル基は、単環式である。一部の実施形態では、シクロアルキル基は、単環式または二環式である。一部の実施形態では、シクロアルキル基は、C36単環式シクロアルキル基である。シクロアルキル基の環形成炭素原子は、オキソまたはスルフィドで任意選択で置換されることができる。シクロアルキル基はまた、シクロアルキリデンを含む。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ビシクロ[2.1.1]ヘキサニル、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル、アダマンチルなどを含む。一部の実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。シクロアルキルの定義においてまた含まれるのは、シクロアルキル環に縮合した(すなわち、これと共通した結合を有する)1個または複数の芳香族環を有する部分、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンのベンゾまたはチエニル誘導体など、例えば、インダニルまたはテトラヒドロナフチルである。縮合芳香族環を含有するシクロアルキル基は、縮合芳香族環の環形成原子を含めた任意の環形成原子を介して付着することができる。
【0169】
用語「アリールアルキレニル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、本明細書に定義されているようなアルキレン基に付着した、本明細書に定義されているようなシクロアルキル基を指す。用語「CnmシクロアルキルCopアルキレニル」は、シクロアルキルアルキレニル基を指し、n〜m個の環炭素原子を有するシクロアルキル基は、o〜p個の炭素原子を有するアルキレン基に付着している。シクロアルキルアルキレニル基は、例えば、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロヘキシルメチルなどを含む。
【0170】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、環構造の部分として1個または複数のアルケニレン基を任意選択で含有してもよく、窒素、硫黄、酸素およびリンから独立に選択される少なくとも1個のヘテロ原子環員を有し、かつ4〜10個の環員、4〜7個の環員または4〜6個の環員を有する、非芳香族環または環系を指す。ヘテロシクロアルキルに含まれるのは、単環式4員、5員、6員および7員ヘテロシクロアルキル基である。ヘテロシクロアルキル基は、単環式または二環式(例えば、2個の縮合環または架橋環を有する)環系を含むことができる。一部の実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、窒素、硫黄および酸素から独立に選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する単環式基である。ヘテロシクロアルキル基の例は、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピラン、アゼパン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、ジヒドロフランなどを含む。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子およびヘテロ原子は、オキソまたはスルフィドで任意選択で置換することができる(例えば、C(=O)、S(=O)、C(S)またはS(=O)2など)か、または窒素原子は、四級化されていてもよい。ヘテロシクロアルキル基は、環形成炭素原子または環形成ヘテロ原子を介して付着することができる。一部の実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、0〜3個の二重結合を含有する。一部の実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、0〜2個の二重結合を含有する。ヘテロシクロアルキルの定義にまた含まれるのは、ヘテロシクロアルキル環に縮合した(すなわち、これと共通した結合を有する)1個または複数の芳香族環を有する部分、例えば、ピペリジン、モルホリン、アゼピンのベンゾまたはチエニル誘導体などである。縮合芳香族環を含有するヘテロシクロアルキル基は、縮合芳香族環の環形成原子を含めた任意の環形成原子を通して付着することができる。ヘテロシクロアルキル基の例は、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、ジヒドロベンゾフラン、アゼチジン、アゼパン、ジアゼパン(例えば、1,4−ジアゼパン)、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピラン、テトラヒドロフラン、ならびにジ−およびテトラ−ヒドロピランを含む。
【0171】
用語「ヘテロシクロアルキルアルキレニル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、本明細書に定義されているようなアルキレン基に付着した、本明細書に定義されているようなヘテロシクロアルキル基を指す。用語「n〜m員ヘテロシクロアルキルCopアルキレニル」は、o〜p個の炭素原子を有するアルキレン基に付着した、n〜m個の環原子を有するヘテロシクロアルキル基を指す。ヘテロアリールアルキレニル基は、例えば、テトラヒドロフリルメチルを含む。
【0172】
特定の箇所において、定義または実施形態は、特定の環(例えば、アゼチジン環、ピリジン環など)を指す。他に示さない限り、これらの環は、任意の環員に付着することができるが、ただし、原子の原子価は超えない。例えば、アゼチジン環は、環の任意の位置において付着してもよく、他方でアゼチジン−3−イル環は3位において付着している。
【0173】
本明細書に記載されている化合物は、非対称的であり得る(例えば、1個または複数の立体中心を有する)。他に示さない限り、全ての立体異性体、例えば、エナンチオマーおよびジアステレオ異性体が意図される。非対称的に置換されている炭素原子を含有する本発明の化合物は、光学活性な形態またはラセミ体で単離することができる。光学不活性な出発材料から光学活性な形態をどのように調製するかの方法は、当技術分野において公知であり、例えば、ラセミ混合物の分割によるか、または立体選択的合成による。オレフィンの多くの幾何異性体、C=N二重結合などはまた、本明細書に記載されている化合物中に存在することができ、全てのこのような安定的な異性体が本発明において意図されている。本発明の化合物のcisおよびtrans幾何異性体を記載し、異性体の混合物としてまたは分離した異性体形態として単離し得る。
【0174】
化合物のラセミ混合物の分割は、当技術分野において公知の多数の方法のいずれかによって行うことができる。1つの方法は、光学活性な塩形成有機酸であるキラル分割酸を使用する分別再結晶化を含む。分別再結晶化方法のための適切な分割剤は、例えば、光学活性な酸、例えば、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸または様々な光学活性なショウノウスルホン酸、例えば、β−ショウノウスルホン酸のD形態およびL形態である。分別結晶方法に適した他の分割剤は、α−メチルベンジルアミンの立体異性的に純粋な形態(例えば、S形態およびR形態、またはジアステレオマー的に純粋な形態)、2−フェニルグリシノール、ノルエフェドリン、エフェドリン、N−メチルエフェドリン、シクロヘキシルエチルアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサンなどを含む。
【0175】
ラセミ混合物の分割はまた、光学活性な分割剤(例えば、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン)をパックしたカラム上の溶出によって行うことができる。適切な溶出溶媒組成は、当業者が決定することができる。
【0176】
一部の実施形態では、本発明の化合物は、(R)−配置を有する。他の実施形態では、化合物は、(S)−配置を有する。複数のキラル中心を有する化合物において、化合物におけるキラル中心のそれぞれは、他に示さない限り、独立に、(R)または(S)であり得る。
【0177】
本発明の化合物はまた、互変異性形態を含む。互変異性形態は、プロトンの随伴する移動に加えて、隣接する二重結合との単結合のスワッピングに由来する。互変異性形態は、同じ実験式および総電荷を有する異性体のプロトン化状態であるプロトトロピー互変異性体を含む。プロトトロピー互変異性体の例は、ケトン−エノール対、アミド−イミド酸対、ラクタム−ラクチム対、エナミン−イミン対、ならびにプロトンが複素環系の2つまたはそれよりも多い位置を占めることができる環状形態、例えば、1H−および3H−イミダゾール、1H−、2H−および4H−1,2,4−トリアゾール、1H−および2H−イソインドールならびに1H−および2H−ピラゾールを含む。互変異性形態は、平衡状態でよいか、または適当な置換によって1形態に立体的にロックすることができる。
【0178】
本発明の化合物はまた、中間体または最終化合物中に生じる原子の全ての同位体を含むことができる。同位体は、同じ原子番号を有するが、異なる質量数を有するそれらの原子を含む。例えば、水素の同位体は、トリチウムおよび重水素を含む。
【0179】
用語「化合物」は、示した構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体および同位体を含むことを意味する。
【0180】
全ての化合物およびその薬学的に許容される塩は、他の物質、例えば、水および溶媒(例えば、水和物および溶媒和物)と一緒に見出すことができるか、または単離することができる。固体状態にあるとき、本明細書に記載されている化合物およびその塩は、様々な形態で起こり得、例えば、水和物を含めた溶媒和物の形態を取り得る。化合物は、任意の固体状態形態、例えば、多形または溶媒和物でよく、他に明示しない限り、明細書において化合物およびその塩への言及は、化合物の任意の固体状態形態を包含すると理解すべきである。
【0181】
一部の実施形態では、本発明の化合物またはその塩は、実質的に単離される。「実質的に単離されている」とは、化合物は、これが形成されるかまたは検出される環境から少なくとも部分的または実質的に分離されていることを意味する。部分的分離は、例えば、本発明の化合物が濃縮した組成物を含むことができる。実質的な分離は、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、もしくは少なくとも約99重量%の本発明の化合物、またはその塩を含有する組成物を含むことができる。
【0182】
語句「薬学的に許容される」は本明細書において、合理的な利益/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わない、正しい医学的判断の範囲内で人間および動物の組織と接触させる使用に適したそれらの化合物、材料、組成物および/または剤形を指すために用いられる。
【0183】
表現「周囲温度」および「室温」は当技術分野で理解されており、一般に、温度、例えば、概ね反応が行われる部屋の温度、例えば、約20℃〜約30℃の温度である反応温度を指す。
【0184】
本発明はまた、本明細書に記載されている化合物の塩、特に薬学的に許容される塩を含む。用語「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、現存する酸または塩基部分をその塩の形態に変換することによって修飾される、開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例には、これらに限定されないが、塩基性残基、例えば、アミンの鉱物塩または有機酸塩;酸性残基、例えば、カルボン酸のアルカリまたは有機塩などが含まれる。本発明の薬学的に許容される塩は、例えば、無毒性の無機酸または有機酸から形成される親化合物の無毒性塩を含む。本発明の薬学的に許容される塩は、通常の化学的方法により、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸または遊離塩基形態と、水もしくは有機溶媒、または2つの混合物中の化学量論量の適当な塩基または酸とを反応させることによって調製することができる。一般に、非水性媒体、例えば、エーテル、酢酸エチル、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールもしくはブタノール)またはアセトニトリル(MeCN)が好ましい。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th Ed.,(Mack Publishing Company,Easton,1985),p.1418、Berge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66(1),1−19およびStahl et al.,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(Wiley,2002)において見出される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物は、N−オキシド形態を含む。
【0185】
下記の略語を、本明細書において使用し得る。AcOH(酢酸);Ac2O(無水酢酸);Al23(酸化アルミニウム);aq.(水性);atm.(気圧);Boc(t−ブトキシカルボニル);Boc2O(ジ−tert−ブチルジカーボネート);BOP((ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート);br(広幅化);c−Pr(シクロプロピル);Cbz(カルボキシベンジル);calc.(計算値);CeCl3・7H2O(塩化セリウム(III)七水化物);Cs2CO3(炭酸セシウム);CuI(ヨウ化銅(I));d(二重線);dd(二重線の二重線);DCM(ジクロロメタン);DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン);DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);DMSO(ジメチルスルホキシド);Et(エチル);EtOAc(酢酸エチル);EtOH(エタノール);Fmoc(9−フルオレニルメチルメトキシカルボニル);g(グラム);h(時間);H2(水素ガス);H22(過酸化水素);HATU(N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート);HBr(臭化水素);HCl(塩酸または塩化水素);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);Hz(ヘルツ);i−Pr(イソプロピル);i−PrOH(イソプロピルアルコール);J(結合定数);KOAc(酢酸カリウム);K3PO4(リン酸カリウム);K3PO4・H2O(リン酸三カリウム水和物);LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析法);LiAlH4(テトラヒドロアルミン酸リチウム);LiBH4(テトラヒドロホウ酸リチウム);LiOH(水酸化リチウム);LiOH・H2O(水酸化リチウム一水和物);m(多重線);M(モル);mCPBA(m−クロロ過安息香酸);Me(メチル);MeCN(アセトニトリル);MeOH(メタノール);MgSO4(硫酸マグネシウム);MS(質量分析法);mg(ミリグラム);min.(分);mL(ミリリットル);mmol(ミリモル);N(ノルマル);N2(窒素ガス);NaHCO3(炭酸水素ナトリウム);NaIO4(メタ過ヨウ素酸ナトリウム);NaN3(アジ化ナトリウム);NaOH(水酸化ナトリウム);Na2SO4(硫酸ナトリウム);n−Bu(n−ブチル);n−BuLi(n−ブチルリチウム);NH4Cl(塩化アンモニウム);NH4OH(水酸化アンモニウム);nM(ナノモル);NMR(核磁気共鳴分光法);Pd(パラジウム);Pd(dppf)Cl2([1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド);Pd(OAc)2(酢酸パラジウム);Pd(tBu3P)2(ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム);pM(ピコモル);Pd(PPh34(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0));PPh3(トリフェニルホスフィン);psi(ポンド/平方インチ);PTFE(ポリテトラフルオロエチレン);RP−HPLC(逆相高速液体クロマトグラフィー);s(一重線);t(三重線または第三級);tert(第三級);tt(三重線の三重線);TBAF(テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド);t−Bu(tert−ブチル);TEA(トリエチルアミン);TFA(トリフルオロ酢酸);THF(テトラヒドロフラン);μg(マイクログラム);μL(マイクロリットル);μm(マイクロモル);重量%(重量パーセント)。
【0186】
III.合成
その塩を含めた本発明の化合物は、公知の有機合成技術を使用して調製することができ、多数の可能な合成経路のいずれか、例えば、下記のスキームに示したものによって合成することができる。
【0187】
本発明の化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者が容易に選択することができる適切な溶媒中で行うことができる。適切な溶媒は、反応が行われる温度、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲であり得る温度で、出発材料(反応物)、中間体または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1種の溶媒または複数種の溶媒の混合物中で行うことができる。特定の反応段階により、特定の反応段階のための適切な溶媒は、当業者が選択することができる。
【0188】
本発明の化合物の調製は、様々な化学基の保護および脱保護が関与し得る。保護および脱保護の必要性、ならびに適当な保護基の選択は、当業者が容易に決定することができる。保護基の化学反応は、例えば、Kocienski,Protecting Groups,(Thieme,2007);Robertson,Protecting Group Chemistry,(Oxford University Press,2000);Smith et al.,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,6th Ed.(Wiley,2007);Peturssion et al.,“Protecting Groups in Carbohydrate Chemistry,”J.Chem.Educ.,1997,74(11),1297;およびWuts et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,4th Ed.,(Wiley,2006)に記載されている。
【0189】
反応は、当技術分野において公知の任意の適切な方法によってモニターすることができる。例えば、生成物形成は、分光学的手段、例えば、核磁気共鳴分光法(例えば、1Hもしくは13C)、赤外分光法、分光光度法(例えば、紫外可視)、質量分析法により、またはクロマトグラフ法、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターすることができる。
【0190】
下記のスキームは、本発明の化合物を調製することに関連した一般的ガイダンスを提供する。スキームに示される調製物は、本発明の様々な化合物を調製するための有機化学の一般知識を使用して修飾または最適化し得ることを当業者は理解する。
【0191】
式(I)の化合物は、式(II)のカルボン酸誘導体と、式(III)のアニリンまたは式(IV)のフェノールとをカップリングすることにより、スキーム1に示されるように調製することができる。式(II)の化合物において、Lは、OH、ハロゲン、Oアルキル、Oアリール、OCOアルキル、またはOCOアリールを含むことができる適切な脱離基である。適切なエステルまたはアミド形成手順は、適切な溶媒中の0〜120℃での式(III)の化合物による式(II)の化合物の処置が関与する。塩基の存在、またはY=OHであるときにカップリング剤の存在はまた、反応が起こるために必要であり得る。反応のための適切な塩基は、4−(NN−ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを含む。L=OHであるとき、適切なカップリング剤は、カルボジイミド、例えば、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−(3−ジメチルアミノプロピル−3−エチルカルボジイミド塩酸塩;ホスホニウム試薬、例えば、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートまたはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;およびウロニウム試薬、例えば、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレートを含む。反応のための適切な溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、またはクロロホルムを含む。好ましい溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミドである。反応は、典型的には、0〜50℃の温度、例えば、20〜30℃の温度で行うことができる。
【化16】
【0192】
式(I)の化合物は、式(V)の化合物(式中、Lは、ハロゲンまたはスルホネート基(アルキルまたはアリールスルホネート、例えば、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、またはナフタレンスルホネート)を含むことができる適切な脱離基である)と、式(VI)の適切なヒドロキシ(BH=OH)、メルカプト(BH=SH)またはアミノ化合物(BH=NHR6)とをカップリングすることにより、スキーム2に示すように代わりに調製することができる。適切な手順は、適切な溶媒中の0〜120℃での式(VI)の化合物による式(V)の化合物の処理が関与する。塩基の存在はまた、反応が起こるのに必要であり得る。反応のための適切な塩基は、4−(NN−ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、または水酸化ナトリウムを含む。反応のための適切な溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、またはクロロホルムを含む。好ましい溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミドである。反応は、典型的には、0〜50℃の温度、例えば、20〜30℃の温度で行うことができる。
【化17】
【0193】
式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の化合物は、市販であるか、文献において公知であるか、または当業者に公知の方法によって調製し得る。
【0194】
記載されているプロセスは、それによって本発明の化合物を合成し得る独占的な手段ではなく、かつ合成有機反応の広範なレパートリーは、本発明の化合物の合成において潜在的に用いられることが可能であることを当業者は認識する。当業者は、どのように適当な合成経路を選択および実現するかを知っている。出発材料、中間体および生成物の適切な合成法は、Advances in Heterocyclic Chemistry,Vols.1−107(Elsevier,1963−2012);Journal of Heterocyclic Chemistry Vols.1−49(Journal of Heterocyclic Chemistry,1964−2012);Carreira,et al.(Ed.)Science of Synthesis,Vols.1−48(2001−2010)およびKnowledge Updates KU2010/1−4;2011/1−4;2012/1−2(Thieme,2001−2012);Katritzky,et al.(Ed.)Comprehensive Organic Functional Group Transformations,(Pergamon Press,1996);Katritzky et al.(Ed.);Comprehensive Organic Functional Group Transformations II(Elsevier,2nd Edition,2004);Katritzky et al.(Ed.),Comprehensive Heterocyclic Chemistry(Pergamon Press,1984);Katritzky et al.,Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,(Pergamon Press,1996);Smith et al.,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,6th Ed.(Wiley,2007);Trost et al.(Ed.),Comprehensive Organic Synthesis(Pergamon Press,1991)などの参照源を含めた文献を参照することにより同定し得る。
【0195】
IV.化合物の使用
本発明の化合物は、TEAD転写因子の自己パルミトイル化を阻害することができ、このようにTEAD転写因子の活性と関連する疾患および障害の処置において有用である。本明細書に記載されている使用のために、その実施形態のいずれかを含めた本発明の化合物のいずれかを使用し得る。
【0196】
このように、本開示は、このような処置を必要とする個体に、治療有効量もしくは治療有効用量の式(I)の化合物、またはその実施形態のいずれか、またはその医薬組成物を投与することにより、個体(例えば、患者)においてTEAD転写因子が関連する疾患または障害を処置する方法を提供する。本開示はまた、TEAD転写因子が関連する疾患または障害を処置することにおける使用のための、式(I)の化合物、またはその実施形態のいずれか、またはその医薬組成物を提供する。TEAD転写因子が関連する疾患または障害を処置するための医薬の製造における式(I)の化合物、またはその実施形態のいずれか、またはその医薬組成物の使用をまた提供する。疾患または障害は、TEAD1、TEAD2、TEAD3、またはTEAD4と関連するものでよい。
【0197】
TEAD転写因子が関連する疾患は、過剰発現および/または異常な活性レベルを含めたTEAD転写因子の発現または活性と直接的または間接的に関連している任意の疾患、障害または状態を含むことができる。異常な活性レベルは、正常な健常組織または細胞における活性レベルと、異常細胞における活性レベルとを比較することによって決定することができる。TEAD転写因子が関連する疾患はまた、TEAD転写因子活性をモジュレートすることによって予防、寛解、阻害または治癒することができる任意の疾患、障害または状態を含むことができる。一部の実施形態では、疾患は、TEAD転写因子の異常な活性または発現(例えば、過剰発現)によって特性決定される。TEAD転写因子が関連する疾患はまた、TEAD転写因子の発現または活性をモジュレートすることが有益である、任意の疾患、障害または状態を指すことができる。
【0198】
本発明の化合物を使用して処置することができるTEAD転写因子が関連する疾患は、癌を含む。癌は、固形腫瘍、例えば、前立腺癌、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、腎臓癌、肝癌、膵臓癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭部もしくは頸部癌、甲状腺癌、神経膠芽腫、肉腫、膀胱癌などを含む。他のTEAD転写因子が関連する疾患は、肝細胞癌、髄芽細胞腫、皮膚扁平上皮細胞癌、肺癌、膵臓癌、食道癌、肝臓癌、結腸癌、黒色腫、またはブドウ膜黒色腫を含む。TEAD転写因子が関連する疾患はまた、血液癌、例えば、リンパ腫、白血病、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(再発性非ホジキンリンパ腫、難治性非ホジキンリンパ腫および再発性濾胞性非ホジキンリンパ腫を含めた)、ホジキンリンパ腫ならびに多発性骨髄腫を含む。
【0199】
癌は、癌の異常に増殖している細胞が1つまたは複数のTEADを発現している癌、例えば、TEAD1、TEAD2、TEAD3、および/またはTEAD4の1つまたは複数を発現している癌であり得る。方法は、1つまたは複数のTEAD、例えば、TEAD1、TEAD2、TEAD3、および/またはTEAD4の1つまたは複数の発現について個体の癌細胞を試験すること、ならびに癌がTEAD1、TEAD2、TEAD3、および/またはTEAD4を発現しているかの決定に基づいて、本明細書に記載の方法によって癌を処置することを含むことができる。
【0200】
用語「個体」または「患者」は、互換的に使用されて、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、最も好ましくはヒトを含めた任意の動物を指す。
【0201】
語句「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって探究されている、組織、系、動物、個体またはヒトにおける生物学的応答または医薬応答を引き出す活性化合物または医薬品の量を指す。
【0202】
用語「処置すること」または「処置」は、(1)疾患を阻害すること、例えば、疾患、状態または障害の病態または総体症状を経験または示している個体において疾患、状態または障害を阻害すること(すなわち、病態および/または総体症状のさらなる発生を抑止すること);ならびに(2)疾患を寛解させること、例えば、疾患、状態または障害の病態または総体症状を経験または示している個体において疾患、状態または障害を寛解させること(すなわち、病態および/または総体症状を反転させること)、例えば、疾患の重症度を減少させることの1つまたは複数を指す。一実施形態では、処置することまたは処置は、疾患を発生する危険性を予防または低減させること、例えば、疾患、状態または障害にかかりやすくてもよいが、疾患の病態または総体症状をまだ経験または示していない個体において疾患、状態または障害を発生する危険性を予防または低減させることを含む。
【0203】
併用療法
癌細胞の成長および生存は、複数のシグナル伝達経路によって影響され得る。このように、このような状態を処置する異なる化学療法剤を合わせることは有用である。併用療法の使用は、細胞集団において起こる薬物耐性の可能性を低減させ、かつ/または処置の毒性を低減させ得る。
【0204】
化合物は、1種または複数の抗癌薬、例えば、化学療法剤と組み合わせて投与することができる。化学療法剤の例は、アバレリックス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、ベバシズマブ、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾンビ、ボルテゾミブ、静脈内ブスルファン、経口ブスルファン、カルステロン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルテパリンナトリウム、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、デニロイキン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エクリズマブ、エピルビシン、エルロチニブ、エストラムスチン、リン酸エトポシド、エトポシド、エキセメスタン、フェンタニルクエン酸塩、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴセレリン酢酸塩、ヒストレリン酢酸塩、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、インターフェロンアルファ2a、イリノテカン、ラパチニブジトシレート、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、酢酸ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メソトレキセート、メトキサレン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パニツムマブ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、ルクソリチニブ、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、マレイン酸スニチニブ、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ボリノスタットおよびゾレドロネートのいずれかを含む。
【0205】
複数種の医薬品が患者に投与されるとき、これらは、同時に、逐次的に、または組み合わせて(例えば、2種超の薬剤について)投与することができる。
【0206】
VI.製剤、剤形および投与
医薬品として用いられるとき、本発明の化合物は、医薬組成物の形態で投与することができる。このように、本開示は、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはその実施形態のいずれか、および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。これらの組成物は、製薬技術において周知の様式で調製することができ、局所または全身的処置が示されているかどうかにより、および処置する領域によって種々の経路により投与することができる。投与は、局所(経皮的、表皮性、点眼用、ならびに鼻腔内、膣および直腸送達を含めた粘膜を含めた)、肺(例えば、ネブライザー(気管内または鼻腔内)によるものを含めた、粉末またはエアゾールの吸入または吹送による)、経口または非経口でよい。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋内もしくは注射もしくは注入;または頭蓋内、例えば、くも膜下腔内もしくは脳室内の投与を含む。非経口投与は、単一の大量瞬時投与の形態でよいか、または例えば、連続灌流ポンプによってでよい。局所投与のための医薬組成物および製剤は、経皮パッチ、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴剤、坐剤、スプレー剤、液剤および散剤を含み得る。通常の医薬担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤などが必要であるかまたは望ましいことができる。
【0207】
本発明はまた、1種または複数の薬学的に許容される担体(添加剤)と組み合わせた、活性成分としての本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、局所投与に適している。本発明の組成物の作製において、活性成分は、典型的には、添加剤と混合されるか、添加剤で希釈されるか、または例えば、カプセル、サシェ、紙、もしくは他の容器の形態のこのような担体内に封入されている。添加剤が賦形剤としての役割を果たすとき、これは活性成分のためのビヒクル、担体または媒体として作用する、固体、半固体、または液体材料でよい。このように、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、溶液剤、シロップ剤、エアゾール(固体としてまたは液体媒体中)、例えば、10重量%までの活性化合物を含有する軟膏剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル剤、坐剤、無菌注射用溶液剤ならびに無菌パッケージ化散剤の形態でよい。
【0208】
製剤の調製において、活性化合物は、他の成分と合わせる前に粉砕して適当な粒径を実現することができる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、これは200メッシュ未満の粒径へと粉砕することができる。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒径は、粉砕によって調節して製剤中の実質的に均一な分布、例えば、約40メッシュを実現することができる。
【0209】
本発明の化合物は、公知の粉砕手順、例えば、湿式粉砕を使用して粉砕して錠剤形成および他の製剤タイプに適した粒径を得てもよい。本発明の化合物の微粉化した(ナノ粒子状)調製物は、当技術分野において公知のプロセスによって調製することができる。例えば、国際公開第2002/000196号パンフレットを参照されたい。
【0210】
適切な添加剤のいくつかの例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップおよびメチルセルロースを含む。製剤は、滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;保存料、例えば、メチル−およびプロピルヒドロキシ−ベンゾエート;甘味剤;ならびに香味剤をさらに含むことができる。本発明の組成物は、当技術分野において公知の手順を用いることにより、患者への投与の後に活性成分の急速、持続または遅延放出を実現するために製剤化することができる。
【0211】
一部の実施形態では、医薬組成物は、ケイ化微結晶性セルロース(SMCC)および本明細書に記載されている少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、ケイ化微結晶性セルロースは、約98w/w%の微結晶性セルロースおよび約2w/w%の二酸化ケイ素を含む。
【0212】
一部の実施形態では、組成物は、本明細書に記載されている少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む持続放出組成物である。一部の実施形態では、組成物は、本明細書に記載されている少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリエチレンオキシドから選択される少なくとも1種の構成要素を含む。一部の実施形態では、組成物は、本明細書に記載されている少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに微結晶性セルロース、ラクトース一水和物およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。一部の実施形態では、組成物は、本明細書に記載されている少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに微結晶性セルロース、ラクトース一水和物およびポリエチレンオキシドを含む。一部の実施形態では、組成物は、ステアリン酸マグネシウムまたは二酸化ケイ素をさらに含む。一部の実施形態では、微結晶性セルロースは、Avicel PH102(商標)である。一部の実施形態では、ラクトース一水和物は、Fast−flo316(商標)である。一部の実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208K4M(例えば、Methocel K4M Premier(商標))および/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース2208K100LV(例えば、Methocel K00LV(商標))である。一部の実施形態では、ポリエチレンオキシドは、ポリエチレンオキシドWSR1105(例えば、Polyox WSR1105(商標))である。
【0213】
一部の実施形態では、湿式造粒プロセスを使用して組成物を生成する。一部の実施形態では、乾式造粒プロセスを使用して組成物を生成する。
【0214】
組成物は、単位剤形で製剤化することができ、各投与量は、約5〜約1,000mg(1g)、より通常には約100mg〜約500mgの活性成分を含有する。一部の実施形態では、各投与量は、約10mgの活性成分を含有する。一部の実施形態では、各投与量は、約50mgの活性成分を含有する。一部の実施形態では、各投与量は、約25mgの活性成分を含有する。用語「単位剤形」は、ヒト対象および他の哺乳動物のための単位投与量として適した物理的な個別単位を指し、各単位は、適切な医薬添加剤と関連した所望の治療効果を生じさせるために計算された所定の量の活性材料を含有する。
【0215】
医薬組成物を製剤化するために使用される構成要素は、高純度のものであり、潜在的に有害な汚染物質が実質的に非含有である(例えば、少なくとも、National Foodグレード、一般に少なくとも、分析用、より典型的には、少なくとも、医薬グレード)。特に、ヒトの消費のために、組成物は、好ましくは、米国食品医薬品局の適用可能な規制に定義された通りの優良製造規範基準の下で製造または製剤化される。例えば、適切な製剤は、無菌および/もしくは実質的に等張性であり、かつ/または米国食品医薬品局の全ての優良製造規範の規制に完全に従っていてもよい。
【0216】
活性化合物は、広範な投与量範囲にわたり有効であり得、一般に治療有効量で投与される。しかし、実際に投与される化合物の量は、通常、処置される状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、および応答、患者の症状の重症度などを含めた関連性のある状況によって医師が決定することが理解される。
【0217】
本発明の化合物の治療的投与量は、例えば、そのために処置が行われる特定の使用、化合物の投与の様式、患者の健康および状態、ならびに処方する医師の判断によって変化することができる。医薬組成物中の本発明の化合物の割合または濃度は、投与量、化学的特性(例えば、疎水性)、および投与経路を含めたいくつかの要因によって変化し得る。例えば、本発明の化合物は、非経口投与のために、約0.1〜約10w/v%の化合物を含有する生理的緩衝水溶液中で提供することができる。いくつかの典型的な用量範囲は、1日当たり約1μg/kg〜約1g/kg体重である。一部の実施形態では、用量範囲は、1日当たり約0.01mg/kg〜約100mg/kg体重である。投与量は、疾患または障害の進行のタイプおよび程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択した化合物の相対的生物学的有効性、添加剤の配合、ならびにその投与経路などの可変要素によって決まる可能性が高い。有効用量は、in vitroまたは動物モデル試験系に由来する用量応答曲線から推定することができる。
【0218】
固体組成物、例えば、錠剤を調製するために、主要な活性成分を医薬添加剤と混合して、本発明の化合物の均一な混合物を含有する固体予備配合組成物を形成する。これらの予備配合組成物を均質であると言及するとき、組成物を等しく有効な単位剤形、例えば、錠剤、丸剤およびカプセル剤へと容易に細分することができるように、活性成分を典型的には組成物にわたって均一に分散させる。次いで、この固体予備配合物を、例えば、約0.1〜約1000mgの本発明の活性成分を含有する上記のタイプの単位剤形に細分する。
【0219】
本発明の錠剤または丸剤をコーティングするか、またはその他の方法で配合して、持続性作用の利点をもたらす剤形を提供することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内側の投与構成要素および外側の投与構成要素を含むことができ、後者は、前者上のエンベロープの形態である。2つの構成要素は、胃における崩壊に抵抗し、内側の構成要素が十二指腸へと未変化で通過するか、または放出が遅延することを可能とする役割を果たす腸溶層によって分離することができる。種々の材料をこのような腸溶層またはコーティングのために使用することができ、このような材料は、シェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの材料を伴う、いくつかのポリマー酸、およびポリマー酸の混合物を含む。
【0220】
本発明の化合物および組成物を経口的または注射による投与のために組み込むことができる液体形態は、水溶液、適切に風味を付けたシロップ剤、水性または油性懸濁剤、および食用油、例えば、綿実油、ゴマ油、ヤシ油、またはピーナッツ油を有する風味を付けた乳剤、ならびにエリキシル剤および同様の医薬ビヒクルを含む。
【0221】
吸入または吹送のための組成物は、薬学的に許容される、水性もしくは有機溶媒、またはこれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末を含む。液体または固体組成物は、上で記載したような適切な薬学的に許容される添加剤を含有し得る。一部の実施形態では、組成物は、局所または全身効果のために経口または経鼻呼吸経路によって投与される。組成物は、不活性ガスを使用して噴霧することができる。噴霧された溶液は、噴霧装置から直接的に吸い得るか、または噴霧装置をフェースマスク、テント、もしくは間欠的陽圧呼吸機器に付着させることができる。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、適当な様式で製剤を送達する装置から経口または経鼻で投与することができる。
【0222】
局所製剤は、1種または複数の通常の担体を含有することができる。一部の実施形態では、軟膏剤は、水、および例えば、流動パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール、白色ワセリンなどから選択される1種または複数の疎水性担体を含有することができる。クリーム剤の担体組成物は、グリセロールおよび1種または複数の他の構成要素、例えば、グリセリンモノステアレート、PEG−グリセリンモノステアレートおよびセチルステアリルアルコールと組み合わせた水に基づくことができる。ゲル剤は、他の構成要素、例えば、グリセロール、ヒドロキシエチルセルロースなどと適切に組み合わせたイソプロピルアルコールおよび水を使用して製剤化することができる。一部の実施形態では、局所製剤は、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.25重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%の本発明の化合物を含有する。局所製剤は、例えば、100gのチューブ中で適切にパッケージすることができ、これは選択した適応症、例えば、乾癬または他の皮膚状態の処置のための説明書と任意選択で関連している。
【0223】
患者に投与される化合物または組成物の量は、何が投与されるか、投与の目的、例えば、予防または治療、患者の状態、投与の様式などによって変化する。治療用途において、組成物は、疾患およびその合併症の症状を治癒するか、または少なくとも部分的に抑止するのに十分な量で、疾患を既に患っている患者に投与することができる。有効用量は、処置される疾患状態、ならびに要因、例えば、疾患の重症度、患者の年齢、体重および全身状態などに応じた担当の臨床医の判断によって決まる。
【0224】
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態であり得る。これらの組成物は、通常の滅菌法によって無菌化することができるか、または無菌濾過し得る。水溶液は、そのままでの使用のためにパッケージするか、または凍結乾燥することができ、凍結乾燥した調製物を投与前に無菌水性担体と併せる。化合物調製物のpHは、典型的には、3〜11、より好ましくは5〜9、最も好ましくは7〜8である。いくつかの上記の添加剤、担体または安定剤の使用は、医薬塩の形成をもたらすことが理解される。
【0225】
本発明の化合物の治療的投与量は、例えば、そのために処置が行われる特定の使用、化合物の投与の様式、患者の健康および状態、ならびに処方する医師の判断によって変化することができる。医薬組成物中の本発明の化合物の割合または濃度は、投与量、化学的特性(例えば、疎水性)、および投与経路を含めたいくつかの要因によって変化し得る。例えば、本発明の化合物は、非経口投与のために、約0.1〜約10w/v%の化合物を含有する生理的緩衝水溶液中で提供することができる。いくつかの典型的な用量範囲は、1日当たり約1μg/kg〜約1g/kg体重である。一部の実施形態では、用量範囲は、1日当たり約0.01mg/kg〜約100mg/kg体重である。投与量は、疾患または障害の進行のタイプおよび程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択した化合物の相対的生物学的有効性、添加剤の配合、ならびにその投与経路などの可変要素によって決まる可能性が高い。有効用量は、in vitroまたは動物モデル試験系に由来する用量応答曲線から推定することができる。
【0226】
V.標識化合物およびアッセイ法
本発明の化合物は、正常および異常組織における生物学的過程の調査においてさらに有用であり得る。このように、本発明の別の態様は、イメージング技術においてだけでなく、in vitroおよびin vivoの両方のアッセイにおいても有用である、ヒトを含めた組織試料においてTEAD転写因子を局在化および定量化するため、ならびに標識化合物の結合の阻害によるTEAD転写因子リガンドを同定するための、本発明の標識化合物(放射性標識、蛍光標識など)に関する。したがって、本発明は、このような標識化合物を含有するアッセイを含む。
【0227】
本発明は、同位体標識された本発明の化合物をさらに含む。「同位体的」または「放射性標識」化合物は、1個または複数の原子が、典型的には天然に見出される(すなわち、天然に存在する)原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子で置き換えられるか、または置換されている本発明の化合物である。本発明の化合物に組み込み得る適切な放射性核種には、これらに限定されないが、3H(またトリチウムについてTと記載される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125Iおよび131Iが含まれる。本放射性標識化合物中に組み込まれている放射性核種は、その放射性標識化合物の特定の用途によって決まる。例えば、in vitroでの標識および競合アッセイのために、3H、14C、82Br、125I、131I、35Sを組み込んでいる化合物が一般に最も有用である。放射線イメージング用途のために、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Brまたは77Brが一般に最も有用である。
【0228】
「放射性標識」または「標識化合物」は、少なくとも1種の放射性核種を組み込んでいる化合物であることを理解すべきである。一部の実施形態では、放射性核種は、3H、14C、125I、35Sおよび82Brからなる群から選択される。一部の実施形態では、化合物は、1個、2個または3個の重水素原子を組み込む。有機化合物中に放射性同位体を組み込むための合成法は、当技術分野において公知である。
【0229】
具体的には、本発明の標識化合物を、スクリーニングアッセイにおいて使用して、化合物を同定および/または評価することができる。例えば、標識されている新規に合成または同定された化合物(すなわち、試験化合物)は、標識のトラッキングにより、TEAD転写因子と接触したときの、その濃度変動をモニターすることにより、TEAD転写因子を結合するその能力について評価することができる。例えば、試験化合物(標識された)は、TEAD転写因子に結合することが公知である別の化合物(すなわち、標準的化合物)の結合を低減させるその能力について評価することができる。したがって、TEAD転写因子への結合について標準的化合物と競合する試験化合物の能力は、その結合親和性と直接相関する。逆に、いくつかの他のスクリーニングアッセイにおいて、標準的化合物は標識され、試験化合物は標識されていない。したがって、標識された標準的化合物の濃度は、標準的化合物および試験化合物間の競合を評価するためにモニターされ、試験化合物の相対的結合親和性はこのように確認される。
【0230】
VII.キット
本開示はまた、治療有効量の式(I)の化合物またはその実施形態のいずれかを含む医薬組成物を含有する1個または複数の容器を含む、例えば、TEAD転写因子が関連する疾患または障害、例えば、癌の処置または予防において有用な医薬キットを含む。このようなキットは、当業者に容易に明らかなように、様々な通常の医薬キット構成要素の1つまたは複数、例えば、1種または複数の薬学的に許容される担体を有する容器、さらなる容器などをさらに含むことができる。投与する構成要素の量を示すインサートまたはラベルとしての説明書、投与のためのガイドライン、および/または構成要素を混合するためのガイドラインをまた、キットに含めることができる。
【0231】
本発明を、具体例としてより詳細に記載する。下記の実施例は例示の目的のために提供し、いかなる方法によっても本発明を限定することを意図しない。当業者は、本質的に同じ結果を生じさせるために変更または修正することができる、種々の重大でないパラメーターを容易に認識する。
【実施例】
【0232】
本明細書において使用されるHEK293A、Phoenix、MCF10AおよびC2C12細胞系(ATCC、Manassas、VAから得る)は、5%CO2と共に37℃で成長させた。HEK293A、Phoenix、およびC2C12細胞系を、10%ウシ胎仔血清(FBS)(Thermo/Hyclone、Waltham、MA)および50μg/mLのペニシリン/ストレプトマイシンを補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Life technologies)中で培養した。MCF10A細胞は、5%ウマ血清、20ng/mLのEGF、0.5μg/mLのヒドロコルチゾン、100ng/mLのコレラ毒素、10μg/mLのインスリンおよび50μg/mLのペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM/F12(Life technologies)中で培養した。本明細書において使用される細胞系は、ICLACによって維持される一般に誤同定された細胞系のデータベースにおいて全く列挙されていない。全ての細胞系は、マイコプラズマ汚染を含んでいない。
【0233】
メーカーの説明書に従って、プラスミドにjetPRIME(Polyplusトランスフェクション)またはXtremeGene HP(Roche)をトランスフェクトした。レトロウイルス産生のために、Phoenix細胞にTEAD1野生型または3CS変異体cDNAを含有するVSV−Gおよび空pBabe hygro、またはpBabe hygroをトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、上清を遠心分離によって集め、0.45μmのシリンジフィルター(Corning)を通して濾過した。細胞を10μg/mLのポリブレン(Millipore)の存在下で2mLのウイルス上清に感染させた。細胞を24〜48時間インキュベートし、その後、選択培地へと分割した。
【0234】
試料サイズを事前決定するために統計的方法は使用しなかった。実験は無作為化しなかった。生化学的実験のために、本発明者らは、独立した少なくとも3回の実験を行った。本発明者らが代表的な画像を示した実験を少なくとも3回成功裏に独立して行った。試料または動物は分析から除外しなかった。調査者は実験および治療成績アセスメント中に割付けに対して知らされなかった。全てのP値は両側t検定を使用して決定し、統計的有意性は、P=0.05で設定した。本発明者らが比較した群間で分散は同様であった。
【0235】
実施例1:標識、クリック反応およびストレプトアビジンプルダウン
HEK293AまたはMCF10A細胞をDMSOまたはプローブ1、2もしくは3で一晩標識した。
【化18】
【0236】
細胞は溶解緩衝液(50mMのTEA−HCl、pH7.4、150mMのNaCl、1%Triton X−100、0.2%SDS、完全EDTA非含有プロテアーゼ阻害剤)に溶解し、それに続いてビオチン−アジドによるクリック反応を行った。Zheng,B.et al.,J.Am.Chem.Soc.,2013,135,7082〜7085。タンパク質を9容の100%メタノールで−20℃において2時間または一晩沈殿させた。タンパク質を10分間の14,000×gでの遠心分離によって回収し、沈殿剤を懸濁緩衝液(50mMのTris−HCl、pH7.7、150mMのNaCl、10mMのEDTA、1%SDS、0.5%NP−40)に懸濁させた。標識された細胞タンパク質を、室温で一晩回転させながらストレプトアビジンアガロース(Life technologies)を使用して濃縮させた。タンパク質結合ストレプトアビジンアガロースビーズを、NP−40を伴わない懸濁緩衝液で3回洗浄し、結合したタンパク質を溶出緩衝液(30mMのD−ビオチン、2%SDS、6Mの尿素)で溶出した。試料をSDS−PAGE試料緩衝液でプロセスし、タンパク質をSDS−PAGEによって分解した。
【0237】
これらの試料中のTEAD1〜4を、TEAD特異的抗体およびストレプトアビジンHRPを使用して検出した。図1A図1B、および図1Cを参照されたい。図1Aは、TEADのパルミトイル化を示す、HEK293A細胞におけるプローブ1および2で標識されたmyc−TEAD1およびmyc−TEAD4のストレプトアビジンブロットである。図1Bは、内在性ヒトTEAD1〜4が全てパルミトイル化されていることを示すTEAD1〜4のウエスタンブロットである。HEK293AおよびMCF10A細胞のパルミトイル化されたプロテオームを1で標識し、ストレプトアビジンビーズによって濃縮した。TEAD1〜4のウエスタンブロットを、抗TEAD1、2、3、4抗体を使用してプルダウン試料において行った。図1Cは、S−パルミトイル化およびヒドロキシルアミン処理がTEAD1のパルミトイル化レベルを劇的に減少させたことを示すストレプトアビジンブロットである。ブロットを抗TEAD1(#8526、1:1000、Cell Signaling)、抗TEAD2(#8870、1:1000、Cell Signaling)、抗TEAD3(#13224、1:1000、Cell Signaling)、抗TEAD4(ab58310、1:1000、Abcam)およびストレプトアビジンHRP(1:5000、Life technologies)でプローブした。
【0238】
実施例2:免疫共沈降
HEK293A細胞に、上記で示したものをトランスフェクトした。48時間後、細胞を溶解緩衝液(50mMのTris−HCl、pH7.3、150mMのNaCl、0.5mMのEDTA、1%Triton X−100、PhosSTOPホスファターゼ阻害剤カクテル、完全EDTA非含有プロテアーゼ阻害剤カクテル)で溶解した。Flag−YAPまたはMyc−TEAD1をそれぞれ抗FLAG M2磁気ビーズ(Sigma Aldrich)または抗c−Myc抗体(M4439、Sigma Aldrich)で回転させながら4℃で一晩免疫沈降させた。タンパク質A/G磁性樹脂(Life technologies)を使用してTEAD1を捕捉した。タンパク質結合樹脂を溶解緩衝液で3回洗浄し、SDS−PAGE試料緩衝液でプロセスした。ブロットを抗c−Myc(Sigma Aldrich)、抗HA(Sigma Aldrich)、抗FLAG M2(F1804、Sigma Aldrich)でプローブした。
【0239】
実施例3:FRETをベースとするAlpha screen結合アッセイ
Myc−TEAD1およびFlag−YAPまたはFlag−VGLL4をHEK293A細胞にトランスフェクトし、トランスフェクションの24〜48時間後、細胞を溶解緩衝液(20mMのTris−HCl、pH7.5、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1mMのEGTA、1%Triton X−100、PhosSTOPホスファターゼ阻害剤カクテル、完全EDTA非含有プロテアーゼ阻害剤)で溶解した。抗c−mycアクセプタービーズ(Perkin Elmer)を各ウェルに加え、抗FLAGドナービーズ(Perkin Elmer)の添加前に2時間インキュベートした。試料を暗中一晩インキュベートし、アルファシグナルをPerkin Elmer EnVisionプレートリーダーを使用して記録した。
【0240】
実施例4:ルシフェラーゼアッセイ
Gal−UAS−Luc、YAP、Gal4−TEAD1、Gal4−DBDまたはMyc−TEAD1およびウミシイタケルシフェラーゼ対照コンストラクトを293T細胞にトランスフェクトし、トランスフェクションの48時間後、メーカーの説明書に従ってDual−Gloルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)を使用して細胞をプロセスした。ホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼ活性の発光を、Perkin Elmer EnVisionプレートリーダーを使用して定量化した。
【0241】
実施例5:Ni−NTAプルダウンおよびアシル−ビオチン交換
組換えHis6TEAD2を、PBS中のNi−NTA樹脂(Life technologies)と共に4℃で1時間インキュベートした。タンパク質結合樹脂を洗浄し、次いで50μMのアルキンパルミトイル−CoAと共に25℃で2時間インキュベートした。樹脂を2つの均等な反応物に分割し、PBSで洗浄し、50mMのNEM(Thermo Scientific)で4℃において一晩処理した。試料を、0.5Mのヒドロキシルアミン(Sigma Aldrich)を伴ってまたは伴わずに室温で1時間インキュベートし、次いで1μMのビオチン−BMCC(Pierce Biotechnology、Inc.)と共に室温で1時間インキュベートした。試料を洗浄し、SDS−試料緩衝液と共にプロセスした。タンパク質をSDS−PAGEによって分解し、免疫ブロットによってストレプトアビジンHRP、抗His抗体(SAB1306085、Sigma Aldrich)またはクマシーブルー染色で可視化した。
【0242】
実施例6:C2C12細胞分化
C2C12細胞は、ベクター対照(pBabe hygro)、野生型または3CS TEAD1を含有するレトロウイルスを使用して形質導入した。最初に600μg/mLのハイグロマイシンB(Life technologies)を使用し、次いで2週間にわたり300μg/mLに減少させて安定発現を選択した。分化を誘発するために、培養条件を分化培地(DMEM+2%ウマ血清+50μg/mLのペニシリン/ストレプトマイシン)で置き換え、培地は毎日交換した。
【0243】
実施例7:免疫蛍光
細胞は4%パラホルムアルデヒドで固定し、次いで透過処理し、3%(w/v)BSA/PBS+0.1%Triton X−100で室温において30分間ブロックした。細胞を抗ミオシン(骨格、速)鎖(M4276、1:400、Sigma Aldrich)、抗Yap(1:1000、Abgent)または抗c−myc(1:500、Sigma Aldrich)抗体で4℃において一晩免疫染色した。細胞をPBS+0.1%Triton X−100で3回洗浄し、それに続いてAlexafluor488コンジュゲート抗マウス二次抗体(1:500、Life technologies)およびHoechst33258(1:2500、Life technologies)と共に室温で2時間インキュベートした。細胞を再び洗浄し、Nikon Digital Sight顕微鏡を使用して画像を捕捉した。
【0244】
実施例8:ショウジョウバエ(Drosophila)遺伝学
UAS−ykiPDコンストラクトは、yki単一WWドメインアイソフォーム(Yki−PD)cDNAをpUASTベクター中にクローン化することによって生じさせた。UAS−sdWTおよびUAS−sd2CSコンストラクトは、野生型scalloped(sd)またはsdパルミトイル化欠損(2CS)変異体cDNAをpUAST−attBベクター中にクローン化することによって生じさせた。UAS−ykiPDトランスジェニックハエは、通常のトランスポゾンによって媒介される形質転換によって作製した。UAS−sdWTおよびUAS−sd2CSトランスジェニックハエは、51CにおけるattP2部位を使用したphiC31が媒介する部位特異的形質転換によって作製した。GMR−Gal4を過剰発現分析のために使用した。全てのクロスを25℃で行った。ハエの眼の定量化を画像における眼の領域を分析することによって行い、対照野生型ハエに規準化した。各遺伝子型についてn=10。Diap−1およびExpandedのqRT−PCR分析は、従前に報告されたプライマー配列を使用して行った。Sorrentino,G.et al.,Nat.Cell.Biol.2014,16,357〜366を参照されたい。
【0245】
実施例9:タンパク質の精製および結晶化
ヒトTEAD2(残基217〜447、TEAD2217447)をコードするcDNAを、C末端His6−タグを含んだpET29ベクター(EMD Biosciences)中にクローン化した。コンストラクトは、DNA配列決定によって検証した。タンパク質発現のために、pET29−TEAD2217447プラスミドを大腸菌(E.coli)株BL21(DE3)−T1R細胞(Sigma)中に形質転換した。His6−タグ付きTEAD2217447は、Ni2+−NTAアガロース樹脂(Qiagen)と共に精製し、次いでresource−Qカラムを伴うアニオン交換クロマトグラフィー、それに続いてSuperdex75カラム(GE Healthcare)を伴うサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。精製したTEAD2217447を、20mMのTris(pH8.0)、100mMのNaCl、2mMのMgCl2、1mMのTCEPおよび5%グリセロールを含有する緩衝液中で4mg/mlに濃縮した。
【0246】
TEAD2217447の結晶は、0.1MのHepes(pH7.2)および2.4Mのギ酸ナトリウムを含有するレザバー溶液を伴うハンギングドロップ蒸気拡散法を使用して20℃で成長させた。25%グリセロールを補充したレザバー溶液と共に結晶を凍結保護し、次いで液体窒素中で瞬間冷却した。
【0247】
実施例10:In vitroでのパルミトイル化
組換えGST−TEAD2またはHis6TEAD2(500ng)タンパク質を、50mMのMES、pH6.4中で示した濃度のアルキンパルミトイル−CoA(Cayman Chemical)と共に2時間または示した時間にわたりインキュベートした。反応物を1%SDSでクエンチし、それに続いて従前に記載したようなクリック反応を行った。試料をSDS−PAGEおよびストレプトアビジンHRPによって分析した。ストレプトアビジンブロットから得たバンド強度は、Image J(NIH)を使用して定量化し、任意単位でのパルミトイル化の割合は、パルミトイル−CoAの濃度に対してプロットした。データは、Prism v.6.0(GraphPad)を使用してミカエリスメンテン式にフィットさせた。質量分析のために、組換えTEAD2YBD(1mg/ml)を、50mMのMES、pH6.4を含有する緩衝液中で1当量のパルミトイル−CoAと共に室温で30分間インキュベートした。
【0248】
実施例11:TEADパルミトイル化阻害剤としての化合物の効力を測定するIn vitroでのパルミトイル化アッセイ
組換えHis6TEAD2(500ng)タンパク質をDMSO対照またはTEAD阻害剤(MGH−CP1およびその類似体)と共に5μMで30分間インキュベートした。次いで、3μMのアルキンパルミトイル−CoA(Cayman Chemical)を反応混合物中に加え、50mMのMES、pH6.4中で2時間インキュベートした。反応物を1%SDSでクエンチし、それに続いてビオチン−アジドによるクリック反応を行った。試料はSDS−PAGEおよびストレプトアビジンHRPによって分析した。ストレプトアビジンブロットから得たバンド強度を、Image J(NIH)を使用して定量化し、DMSO対照に規準化した。阻害の百分率を、DMSO対照および非パルミトイル化TEAD2と比較することによって決定した。阻害剤の用量依存性を決定するために、様々な濃度の化合物(10nM〜20μM)をTEAD2タンパク質と共に30分間インキュベートし、次いで3μMのアルキンパルミトイル−CoA(Cayman Chemical)を反応混合物中に加え、50mMのMES、pH6.4中で2時間インキュベートした。次いで、反応物をクエンチし、上記と同様に分析した。次いで、パルミトイル化のレベルをストレプトアビジンブロットによって決定し、Prismによってプロットして、IC50値を決定した。
【0249】
実施例12:細胞増殖アッセイ
ヒト癌細胞系(HuH7、JHH7)、形質転換MCF10A−YAPおよびマウスLats1/2DKO細胞を5%FBS含有培地中で培養した。細胞を500個の細胞/ウェルで96ウェルプレート中に播種した。様々な濃度の化合物(10nM〜20μM)またはDMSO対照をウェルに加えた。細胞を2〜5日間、さらにインキュベートした。細胞生存率は、CellTiter Glo(Promega)を使用することによって決定する。次いで、データをDMSO対照で規準化し、Prismソフトウェアでプロットした。ヒト黒色腫細胞A375および皮膚線維芽細胞は対照細胞であり、同様に試験する。
【0250】
実施例13:細胞ベースのYAP−レポーターアッセイ
TEAD結合配列レポーターコンストラクト(8xGTIIC−Luc)およびYAPを安定的にトランスフェクトしたHEK293A細胞をアッセイにおいて使用した。細胞を1000個の細胞/ウェル密度で384ウェルプレートに播種する。様々な濃度の化合物(10nM〜20μM)またはDMSO対照をウェル中に加えた。ルシフェラーゼシグナルは、BrightGloを使用して測定する。次いで、データをDMSO対照で規準化し、Prismソフトウェアでプロットした。
【0251】
実施例14:データ収集および構造決定
回折データは、Advanced Photon Source(Argonne National Laboratory)においてビームライン19−ID(SBC−CAT)で0.9791Åの波長で100Kにおいて集め、HKL3000でプロセスした。サーチモデルとしてヒトTEAD2(PDBコード:3L15)の結晶構造を使用して、Phaserによる分子置換えによって相を得た。それぞれCOOTおよびPhenixで反復モデル構築および精密化を行った。MolProbityを構造検証のために使用し、全てのモデルが良好な幾何学的配置を有することを示した。データ収集および構造精密化統計値を下記の表1において要約する。ラマチャンドラン統計(好適値/許容値/外れ値(%))は、97.4/2.6/0.0である。パルミチン酸が結合したTEAD1−YAPの結晶構造は、3KYS構造因子から計算した電子密度マップを使用して、COOTと共にTEAD1−YAP(PDBコード:3KYS)中に2個のチオエステル連結パルミチン酸分子を構築することによって得た。最終モデルは、Phenixで精密化した。
【0252】
【表1】
【0253】
共結晶構造は、化合物(4)(「MGH−CP−1」)が、パルミチン酸によって占有されている脂質結合疎水性ポケットにおいてTEAD2に結合していることを示す(図22)。
【0254】
実施例15:TEADパルミトイル化阻害剤として活性な化合物
化合物(4)〜(53)は、実施例11のアッセイにおいてTEADパルミトイル化を阻害する活性について試験した。5μMの濃度での化合物によるTEAD2パルミトイル化の阻害の百分率としての表2において提供する化合物についてのデータである。
【0255】
【表2】
【0256】
【表3】
【0257】
【表4】
【0258】
【表5】
【0259】
【表6】
【0260】
【表7】
【0261】
【表8】
【0262】
実施例16:in vitroでの化合物(4)によるTEAD2およびTEAD4のパルミトイル化の阻害
アッセイを行って、精製したTEAD2およびTEAD4タンパク質、ならびに1μMのアルキン−パルミトイル−CoAを使用して、in vitroでのTEAD2およびTEAD4パルミトイル化の阻害を測定した。化合物(4)(「CP−1」)を0〜10μMの範囲の濃度で試験し、パルミトイル化の量を定量化した。結果を図23に示し、化合物(4)がin vitroでTEAD2およびTEAD4の両方のパルミトイル化を用量依存的に阻害したことを示す。
【0263】
実施例17:細胞における化合物(4)によるTEAD2およびTEAD4のパルミトイル化の阻害
アッセイを行ってTEAD1およびTEAD4タンパク質をトランスフェクトし、かつ1μMのアルキン−パルミチン酸プローブで標識された細胞においてTEAD1およびTEAD4パルミトイル化の阻害を測定した。パルミトイル化を阻害する化合物(4)(「CP−1」)の能力を0〜10μMの範囲の濃度で試験し、パルミトイル化の量を定量化した。結果を図24に示し、化合物(4)が細胞においてTEAD1およびTEAD4の両方のパルミトイル化を用量依存的に阻害したことを示す。
【0264】
実施例18:TEAD4およびYAPの免疫共沈降
TEAD4およびYAPの免疫共沈降アッセイを行った。化合物(4)(「CP−1」)がTEAD4−YAP相互作用を阻害する能力を0〜10μMの範囲の濃度で試験した。結果を図25に示し、化合物(4)がYAPとのTEAD4の相互作用を用量依存的に阻害したことを示す。
【0265】
実施例19:TEAD1およびVgll4の免疫共沈降
TEAD1およびVgll4の免疫共沈降アッセイを行った。化合物(4)(「CP−1」)がTEAD1−Vgll4相互作用を阻害する能力を0〜10μMの範囲の濃度で試験した。結果を図26に示し、化合物(4)がTEAD1とVgll4との相互作用に影響を与えなかったことを示す。
【0266】
実施例20:他のパルミトイルアシルトランスフェラーゼに対する、TEAD4パルミトイル化を阻害することにおける化合物(4)の選択性
アッセイを行って、他のパルミトイルアシルトランスフェラーゼ、DHHC4、DHHC7およびDHHC11と比較したTEAD4パルミトイル化の阻害を測定した。パルミトイル化を阻害する化合物(4)(「CP−1」)の能力を0〜10μMの範囲の濃度で試験し、パルミトイル化の量を定量化した。結果を図27に示し、化合物(4)が両方のTEAD4のパルミトイル化を用量依存的に阻害したが、他のパルミトイルアシルトランスフェラーゼではパルミトイル化を阻害しなかったことを示す。
【0267】
実施例21:化合物(4)による癌細胞増殖およびコロニー形成の阻害
アッセイを行って、化合物(4)による癌細胞増殖の阻害を測定した。化合物(4)(「CP−1」)が、ヒト肝細胞癌細胞系HuH7およびJHH7における、ならびに乳癌細胞系MDA−MB−453における細胞増殖を阻害する能力である。化合物をまた、SK−HEP−1(腺癌)、BT−474(乳房腫瘍)、OCUB−M(乳癌)、HCC1143(腺管癌)、EVSA−T(腺管癌)およびBT−20(乳癌)細胞系に対して試験した。
【0268】
結果を図28に示す。パネルAにおけるプロットは、化合物(4)(「CP−1」)がヒト肝細胞癌細胞系HuH7およびJHH7の増殖を用量依存的に阻害することを示す。パネルBにおける写真は、化合物(4)がHuH7およびJHH7細胞のコロニー形成を阻害することを示す。パネルC〜Hにおけるプロットは、(C)化合物(4)が1.6μMのIC50を伴ってHuH7細胞増殖を阻害し、(D)化合物(4)が0.4μMのIC50を伴って乳癌細胞系MDA−MB−453を阻害し、(E)化合物(4)がHuH7細胞においてYAP標的遺伝子発現を阻害し、(F)化合物(4)がMDA−MB−453細胞においてYAP標的遺伝子を阻害することを示す。(G)〜(H)化合物(4)は、YAP依存性の細胞系の増殖を阻害するが、YAP非依存性のHCCおよび乳癌細胞系の増殖を阻害することにおいてより有効でない。
【0269】
実施例21:化合物(4)、(22)および(36)による癌細胞コロニー形成の阻害
アッセイを行って、それぞれ0〜20μMで試験した化合物(4)、(22)および(36)による、HuH7細胞における癌細胞増殖の阻害を測定した。
【0270】
結果を図29に示す。結果は、化合物(4)(「MGH−CP1」)および(23)(「MGH−CP19」)がHuH7細胞において癌細胞増殖を阻害するのに有効であることを示す。TEAD2パルミトイル化のより低い阻害を示す化合物(36)(「MGH−CP33」)は、より有効でない。
【0271】
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【0272】
本明細書に記載されているものに加えて、本発明の様々な修正形態が上記の記述から当業者に明らかであろう。このような修正形態はまた、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。本出願において引用した、これらに限定されないが、全ての特許、特許出願、および公開資料を含めた各参照文献は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれる。

本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
式(I):
【化19】
(式中、
Cyは、式(Cy−A)または(Cy−B):
【化20】
の基またはCy−Cであり、Cy−Cは、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールおよび4〜10員ヘテロシクロアルキルから選択される0個または1個の置換基、ならびにC16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される0個、1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているフェニルであり、Cy−Cの前記C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル置換基は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
1は、NR1、OまたはSであり、
1は、HまたはC16アルキルであり、
2は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1であり、R2を形成する前記C16アルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルまたは(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
3は、NまたはCR3であり、
3は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択されるか、
または
2およびR3は、R2およびR3が付着している原子と一緒になって、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されている縮合ベンゾ環を一緒に形成し、
4は、NまたはCR4であり、
4は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択され、
5は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択され、
Bは、不存在(結合)であるか、またはNR6、O、S、S(O)およびS(O)2から選択され、
6は、HまたはC16アルキルであり、
Dは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC14アルキレンであるか、または
Dは、フェニレンまたは5〜6員ヘテロアリーレンであり、Dを形成する前記フェニレンまたは5〜6員ヘテロアリーレンは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されており、
Eは、NR7またはOであり、
7は、HまたはC16アルキルであるか、または
7は、フェニル、5〜6員ヘテロアリールであり、R7を形成する前記フェニルまたは5〜6員ヘテロアリールは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されており、
8、R9、R10、R11およびR12は、H、C16アルキル、Cy1、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1からそれぞれ独立に選択され、
ただし、R8、R9、R10、R11およびR12の2つ以下は、Cy1であり、
各Cy1は、C614アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルから独立に選択され、Cy1を形成する前記C614アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルおよび(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、Cy2、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
各Cy2は、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルから独立に選択され、Cy2を形成する前記C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルおよび(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
a1、Rb1、Rc1およびRd1は、H、C16アルキル、C26アルケニルおよびC26アルキニルからそれぞれ独立に選択され、および
各Re1は、独立に、H、C14アルキル、CNまたはNO2である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[2]
式(I):
【化21】
(式中、
Cyは、式(Cy−A)または(Cy−B):
【化22】
の基であり、
1は、NR1、OまたはSであり、
1は、HまたはC16アルキルであり、
2は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1であり、R2を形成する前記C16アルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルまたは(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
3は、NまたはCR3であり、
3は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択されるか、
または
2およびR3は、R2およびR3が付着している原子と一緒になって、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されている縮合ベンゾ環を一緒に形成し、
4は、NまたはCR4であり、
4は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択され、
5は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択され、
Bは、不存在(結合)であるか、またはNR6、O、S、S(O)およびS(O)2から選択され、
6は、HまたはC16アルキルであり、
Dは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC14アルキレンであり、
Eは、NR7またはOであり、
7は、HまたはC16アルキルであり、
8、R9、R10、R11およびR12は、H、C16アルキル、Cy1、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1からそれぞれ独立に選択され、
ただし、R8、R9、R10、R11およびR12の2つ以下は、Cy1であり、
各Cy1は、C614アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルから独立に選択され、Cy1を形成する前記C614アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルおよび(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、Cy2、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
各Cy2は、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルから独立に選択され、Cy2を形成する前記C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルおよび(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されており、
a1、Rb1、Rc1およびRd1は、H、C16アルキル、C26アルケニルおよびC26アルキニルからそれぞれ独立に選択され、および
各Re1は、独立に、H、C14アルキル、CNまたはNO2である)
の、上記[1]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[3]
Cyは、式(Cy−A)の基である、上記[1]または[2]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[4]
Cyは、式(Cy−B)の基である、上記[1]または[2]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[5]
Cyは、Cy−Cである、上記[1]または[2]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[6]
1は、NR1である、上記[3]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[7]
1は、Hである、上記[6]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[8]
1は、C16アルキル、例えば、メチルまたはエチルである、上記[6]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[9]
1は、Oである、上記[3]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[10]
1は、Sである、上記[3]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[11]
2は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1であり、R2を形成する前記C16アルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルまたは(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている、上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[12]
2は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、または(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルであり、R2を形成する前記C16アルキル、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルまたは(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている、上記[11]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[13]
2は、Hである、上記[11]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[14]
2は、C16アルキルである、上記[11]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[15]
2は、C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリール、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニル、または(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルであり、R2を形成する前記C610アリール、C310シクロアルキル、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、(C310シクロアルキル)C13アルキレニル、(5〜10員ヘテロアリール)C13アルキレニルまたは(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている、上記[11]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[16]
2は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC610アリール、例えば、フェニルである、上記[15]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[17]
2は、フェニル、4−メチルフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−メトキシフェニル、または2−ヒドロキシフェニルである、上記[16]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[18]
2は、5〜10員ヘテロアリールであり、R2は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている、上記[17]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[19]
2は、4〜10員ヘテロシクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、または(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルであり、R2を形成する4〜10員ヘテロシクロアルキル、または(4〜10員ヘテロシクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている、上記[17]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[20]
2は、4−モルホリニルメチルである、上記[19]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[21]
2は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される、上記[11]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[22]
2は、NRc1d1、例えば、NH2である、上記[21]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[23]
3は、Nである、上記[1]〜[22]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[24]
3は、CR3である、上記[1]〜[22]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[25]
3は、H、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される、上記[24]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[26]
3は、CR3であり、およびR2およびR3は、R2およびR3が付着している原子と一緒になって、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されている縮合ベンゾ環を一緒に形成する、上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[27]
4は、Nである、上記[1]〜[26]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[28]
4は、CR4である、上記[1]〜[26]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[29]
4は、Hである、上記[28]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[30]
5は、Hである、上記[1]〜[29]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[31]
Cy−Cは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているフェニルである、上記[5]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[32]
Cy−Cは、3−トリフルオロメチルフェニルである、上記[31]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[33]
Bは、不存在(結合)である、上記[1]〜[32]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[34]
Bは、Sである、上記[1]〜[32]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[35]
Bは、S(O)2である、上記[1]〜[32]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[36]
Bは、Oである、上記[1]〜[32]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[37]
Bは、NR6である、上記[1]〜[32]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[38]
6は、Hである、上記[37]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[39]
6は、C16アルキル、例えば、メチルである、上記[37]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[40]
Dは、C14アルキレン、例えば、CH2、CH2CH2、CH2CH2CH2またはCH2CH2CH2CH2である、上記[1]〜[39]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[41]
Dは、C1アルキレン、例えば、CH2である、上記[36]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[42]
Dは、C2アルキレン、例えば、CH2CH2である、上記[36]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[43]
Dは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されているフェニレンである、上記[1]〜[39]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[44]
Dは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されている5員または6員ヘテロアリーレンである、上記[1]〜[39]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[45]
Eは、NR7である、上記[1]〜[44]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[46]
7は、Hである、上記[45]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[47]
7は、C16アルキル、例えば、メチルである、上記[46]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[48]
7は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されているフェニルである、上記[46]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[49]
7は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個または4個の置換基で任意選択で置換されている5〜6員ヘテロアリールである、上記[46]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[50]
Eは、Oである、上記[1]〜[44]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[51]
8は、H、C16アルキル、例えば、メチル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される、上記[1]〜[50]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[52]
8は、Hである、上記[51]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[53]
8は、ハロゲン、例えば、F、ClまたはBrである、上記[51]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[54]
9は、H、C16アルキル、例えば、メチル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される、上記[1]〜[53]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[55]
9は、Hである、上記[54]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[56]
9は、Cy1である、上記[1]〜[55]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[57]
10は、H、C16アルキル、例えば、メチル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される、上記[1]〜[56]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[58]
10は、Hである、上記[57]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[59]
10は、Cy1である、上記[1]〜[58]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[60]
Cy1は、C614アリール、C310シクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニル、または(C310シクロアルキル)C13アルキレニルであり、Cy1を形成する前記C614アリール、C310シクロアルキル、(C614アリール)C13アルキレニルまたは(C310シクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、Cy2、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている、上記[59]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[61]
Cy1は、Cy2、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC614アリール、例えば、フェニルである、上記[60]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[62]
Cy1は、フェニル、1−もしくは2−ナフチル、1−、2−、3−、4−もしくは9−フェナントレニル、または1−、2−もしくは9−アントラセニルである、上記[61]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[63]
Cy1は、フェニル、4−シクロヘキシルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、3,5−トリフルオロメチルフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−n−プロピルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−n−ブチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、1,1’−ビフェニル−3−イル、1,1’−ビフェニル−4−イル、3,5−ジフェニルフェニルである、上記[61]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[64]
Cy1は、Cy2、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC310シクロアルキルである、上記[59]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[65]
Cy1は、アダマンチルである、上記[64]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[66]
各Cy2は、C610アリール、C310シクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、および(C310シクロアルキル)C13アルキレニルから独立に選択され、Cy2を形成する前記C610アリール、C310シクロアルキル、(C610アリール)C13アルキレニル、または(C310シクロアルキル)C13アルキレニルのそれぞれは、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されている、上記[1]〜[65]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[67]
各Cy2は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC610アリール、例えば、フェニルから独立に選択される、上記[66]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[68]
各Cy2は、フェニルである、上記[67]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[69]
各Cy2は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から独立に選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基で任意選択で置換されているC310シクロアルキルから独立に選択される、上記[66]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[70]
各Cy2は、シクロヘキシルである、上記[69]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[71]
11は、H、C16アルキル、例えば、メチル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される、上記[1]〜[70]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[72]
11は、Hである、上記[71]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[73]
12は、H、C16アルキル、例えば、メチル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1から選択される、上記[1]〜[72]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[74]
12は、Hである、上記[73]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[75]
8、R9、R10、R11およびR12の1つ以下は、Cy1である、上記[1]〜[74]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[76]
8、R9、R10、R11およびR12、R7、R8、R9、R10およびR11の1つかつ1つのみは、Cy1である、上記[75]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[77]
a1、Rb1、Rc1およびRd1は、HおよびC16アルキル、例えば、メチルからそれぞれ独立に選択される、上記[1]〜[76]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[78]
各Re1は、HまたはC16アルキル、例えば、メチル、好ましくはHである、上記[1]〜[77]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[79]
下記の式(I−1)〜(I−24):
【化23】
【化24】
【化25】
の1つの化合物である、上記[1]または[2]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[80]
下記の式(I−25)〜(I−30):
【化26】
の1つの化合物であり、式中、R13、R14、R15およびR16は、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、ハロゲン、C16ハロアルキル、CN、ORa1、SRa1、C(=O)Rb1、C(=O)NRc1d1、C(=O)ORa1、OC(=O)Rb1、OC(=O)NRc1d1、NRc1d1、NRc1C(=O)Rb1、NRc1C(=O)NRc1d1、NRc1C(=O)ORa1、C(=NRe1)NRc1d1、NRc1C(=NRe1)NRc1d1、S(=O)Rb1、S(=O)NRc1d1、S(=O)2b1、NRc1S(=O)2b1およびS(=O)2NRc1d1からそれぞれ独立に選択される、上記[1]または[2]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[81]
下記の式:
【化27】
【化28】
【化29】
の1つの化合物である、上記[1]または[2]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[82]
上記[1]〜[81]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む組成物。
[83]
TEAD転写因子のパルミトイル化を阻害する方法であって、前記TEAD転写因子を、上記[1]〜[81]のいずれか一項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩と、または上記[82]に記載の組成物と接触させることを含む、方法。
[84]
TEAD転写因子の活性と関連する疾患または状態を処置する方法であって、前記処理を必要としている患者に、治療有効量の上記[1]〜[81]のいずれか一項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩または上記[82]に記載の組成物を投与することを含む、方法。
[85]
癌を処置する方法であって、前記処置を必要としている患者に、治療有効量の上記[1]〜[81]のいずれか一項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩または上記[82]に記載の組成物を投与することを含む、方法。
[86]
前記癌は、固形腫瘍または血液癌である、上記[85]に記載の方法。
[87]
前記癌は、前立腺癌、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、腎臓癌、肝癌、膵臓癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭部もしくは頸部癌、甲状腺癌、神経膠芽腫、肉腫、膀胱癌、リンパ腫、白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫または多発性骨髄腫である、上記[85]または[86]に記載の方法。
[88]
前記癌は、肝細胞癌、髄芽細胞腫、皮膚扁平上皮細胞癌、肺癌、膵臓癌、食道癌、肝臓癌、結腸癌、黒色腫、またはブドウ膜黒色腫である、上記[85]または[86]に記載の方法。
[89]
細胞におけるTEADドメインを検出する方法であって、
前記細胞を化学プローブで標識して、標識された細胞を形成することと、
前記標識された細胞を溶解させることと、
前記溶解された細胞をビオチン−アジドで処理することと、
前記溶解された細胞のタンパク質を沈殿させることと、
緩衝液中の前記沈殿されたタンパク質を懸濁させて懸濁液を形成することと、
前記懸濁液をストレプトアビジンアガロースで濃縮して、タンパク質結合ストレプトアビジンアガロースビーズを形成することと、
前記タンパク質結合ストラプトアバジンアガロースビーズを懸濁緩衝液で洗浄することと、
前記結合されたタンパク質を溶出緩衝液で溶出させることと、
前記溶出されたタンパク質をSDS−PAGE試料緩衝液でプロセスすることと
を含む、方法。

図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
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図28-2】
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