特許第6888043号(P6888043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6888043
(24)【登録日】2021年5月21日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】改変型β−ガラクトシダーゼ
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/56 20060101AFI20210603BHJP
   C12N 9/38 20060101ALI20210603BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20210603BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20210603BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20210603BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20210603BHJP
   C12P 19/14 20060101ALI20210603BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   C12N15/56ZNA
   C12N9/38
   C12N1/15
   C12N1/19
   C12N1/21
   C12N5/10
   C12P19/14 Z
   C12N15/31
【請求項の数】6
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2019-76833(P2019-76833)
(22)【出願日】2019年4月15日
(62)【分割の表示】特願2015-539372(P2015-539372)の分割
【原出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2019-176852(P2019-176852A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2019年4月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-205097(P2013-205097)
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000216162
【氏名又は名称】天野エンザイム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 元一
(72)【発明者】
【氏名】栗谷 祐子
(72)【発明者】
【氏名】石原 聡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲也
【審査官】 林 康子
(56)【参考文献】
【文献】 Biosci Biotechnol Biochem (2011), Vol.75, No.6, p.1194-1197
【文献】 Biosci Biotechnol Biochem (2013) January 7, Vol.77, No.1, p.73-79
【文献】 Appl Microbiol Biotechnol(1989), Vol.31, p.59-60
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 9/00〜9/99
C12P 1/00〜41/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号1〜4のいずれかに示される
アミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼにおいて、85番目のトリプトファン(W85)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、91番目のフェニルアラニン(F91)がアラニン若しくはイソロイシンに置換されるアミノ酸置換、103番目のチロシン(Y103)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、134番目のチロシン(Y134)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、153番目のチロシン(Y153)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、182番目のプロリン(P182)がトリプトファン若しくはチロシンに置換されるアミノ酸置換、186番目のトリプトファン(W186)がメチオニンに置換されるアミノ酸置換、192番目のチロシン(Y192)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、295番目のチロシン(Y295)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、345番目のヒスチジン(H345)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、349番目のグリシン(G349)がトリプトファンに置換されるアミノ酸置換、402番目のフェニルアラニン(F402)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、407番目のグルタミン(Q407)がイソロイシン、ロイシン、メチオニン、バリン若しくはチロシンに置換されるアミノ酸置換、479番目のグリシン(G479)がロイシン、プロリン若しくはグルタミンに置換されるアミノ酸置換、480番目のグルタミン酸(E480)がアスパラギンに置換されるアミノ酸置換、482番目のリジン(K482)がメチオニン若しくはバリンに置換されるアミノ酸置換、483番目のトレオニン(T483)がグリシン若しくはセリンに置換されるアミノ酸置換、484番目のアルギニン(R484)がフェニルアラニン、イソロイシン、メチオニン、アスパラギン若しくはグルタミンに置換されるアミノ酸置換、485番目のグリシン(G485)がアスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン若しくはトレオニンに置換されるアミノ酸置換、486番目のアスパラギン酸(D486)がアラニン、グルタミン酸、フェニルアラニン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アルギニン、トレオニン、トリプトファン若しくはチロシンに置換されるアミノ酸置換、487番目のリジン(K487)がシステイン、グルタミン酸、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、トレオニン、バリン、トリプトファン若しくはチロシンに置換されるアミノ酸置換、488番目のバリン(V488)がグリシン、イソロイシン、ロイシン、アルギニン、セリン、トレオニン、トリプトファン若しくはチロシンに置換されるアミノ酸置換、496番目のチロシン(Y496)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、512番目のセリン(S512)がシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、プロリン、グルタミン若しくはトリプトファンに置換されるアミノ酸置換、513番目のグルタミン酸(E513)がアラニン、システイン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン若しくはバリンに置換されるアミノ酸置換、514番目のアスパラギン(N514)がグルタミン酸、ロイシン若しくはリジンに置換されるアミノ酸置換、515番目のアスパラギン(N515)がアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、プロリン若しくはバリンに置換されるアミノ酸置換、516番目のチロシン(Y516)がトリプトファンに置換されるアミノ酸置換、517番目のアスパラギン酸(D517)がリジン若しくはトリプトファンに置換されるアミノ酸置換、519番目のチロシン(Y519)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、533番目のトレオニン(T533)がグルタミン酸に置換されるアミノ酸置換、547番目のチロシン(Y547)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、549番目のチロシン(Y549)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、555番目のチロシン(Y555)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、572番目のアルギニン(R572)がシステイン、ロイシン、メチオニン、トレオニン、トリプトファン若しくはチロシンに置換されるアミノ酸置換、573番目のトレオニン(T573)がグルタミン酸に置換されるアミノ酸置換、598番目のチロシン(Y598)がヒスチジン若しくはアスパラギンに置換されるアミノ酸置換、605番目のチロシン(Y605)がシステイン、アスパラギン酸、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、プロリン、アルギニン若しくはトレオニンに置換されるアミノ酸置換、606番目のチロシン(Y606)がアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン若しくはセリンに置換されるアミノ酸置換、609番目のチロシン(Y609)がグルタミン酸、アスパラギン若しくはセリンに置換されるアミノ酸置換、616番目のフェニルアラニン(F616)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、624番目のフェニルアラニン(F624)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、648番目のトリプトファン(W648)がグリシンに置換されるアミノ酸置換、又は650番目のトリプトファン(W650)がグリシンに置換されるアミノ酸置換を含むアミノ酸配列からなり、
オリゴ糖合成活性に関して、3糖以上の含有率が野生型酵素の含有率を1とした場合に、0.8825〜1.0657であり、4糖の含有率が野生型酵素より少ない、との条件を満たす、改変型β−ガラクトシダーゼ。
【請求項2】
請求項1に記載の改変型β−ガラクトシダーゼをコードする遺伝子。
【請求項3】
請求項2に記載の遺伝子を含む組換えDNA。
【請求項4】
請求項3に記載の組換えDNAを保有する微生物。
【請求項5】
請求項1に記載の改変型β−ガラクトシダーゼを含む酵素剤。
【請求項6】
β-1,3結合、β-1,4結合及びβ-1,6結合の中の少なくとも一つを有する、二糖、オリゴ糖又は多糖に対して、請求項1に記載の改変型β−ガラクトシダーゼを作用させることを特徴とする、オリゴ糖の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はβ−ガラクトシダーゼに関する。詳細には、バチルス・サーキュランス由来のβ−ガラクトシダーゼの改変及び改変型酵素の用途などに関する。本出願は、2013年9月30日に出願された日本国特許出願第2013−205097号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。
【背景技術】
【0002】
β-ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.23)は、β−D−ガラクトシド結合を加水分解してD−ガラクトースを遊離する酵素であり、一般に微生物および動植物中に広く存在している。β−ガラクトシダーゼは別名ラクターゼとも呼ばれている。また、β−ガラクトシダーゼはガラクトシド結合を転移させる能力をも有しており、この能力を利用してガラクトオリゴ糖(ガラクトース残基を有するオリゴ糖)を製造する方法が知られている。
【0003】
ガラクトオリゴ糖とは、ガラクトースの直線状の重合体または分岐した重合体であり、末端がグルコースであることを除いて、ガラクトースで構成されている。ガラクトオリゴ糖は母乳に含まれているが、その様々なガラクトオリゴ糖の混合物であると報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/140435号パンフレット
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】浦島ら 化学と生物 50, 7, (2012)
【非特許文献2】Songら Biosci. Biotechnol. Biochem. 77. 73-79. (2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
麹菌アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、酵母クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロマイセス・マルキナス(K. marxinus)や細菌バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)などがβ−ガラクトシダーゼを産生することが知られている。この中で、バチルス・サーキュランス由来のβ−ガラクトシダーゼはラクトースからガラクトオリゴ糖を生成可能な酵素であり、工業的なガラクトオリゴ糖製造において重要な酵素である(例えば、「ビオラクタ」の商品名でβ−ガラクトシダーゼ製剤が販売されている)。当該酵素で製造されるガラクトオリゴ糖は均一性が高く、また、製造条件等を調整したとしても、製造されるガラクトオリゴ糖の組成(プロファイル)を変化させることは困難であった。そこで本発明は、バチルス・サーキュランス由来のβ−ガラクトシダーゼの有用性を更に高め、新たな用途(例えば、野生型酵素では製造できない又は製造効率が低いオリゴ糖の製造)への適用を可能にすべく、酵素の特異性を任意に改変した改変型β−ガラクトシダーゼを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これまでの研究では、バチルス・サーキュランス由来β−ガラクトシダーゼの立体構造情報を取得することが困難であり、その機能に関わるアミノ酸の特定は容易ではなかった。そこで、コンピュータシミュレーションを活用して立体構造を予測するとともに、特有のドメイン構造に注目し、特性の変化に有用なアミノ酸残基を選抜することにした。選抜したアミノ酸残基位置に変異を加えることで各種変異体をデザインし、その特性を調べた結果、β−1,6結合に対する加水分解活性が低下しているものや或いは向上しているもの等、酵素の特異性が明らかに変化しているものを認めた。即ち、酵素の特異性の改変に有用且つ重要なアミノ酸残基を特定することができ、酵素の特異性の変化した複数の変異体(改変型酵素)の取得に成功した。一方、過去の報告(非特許文献2)に注目して変異体を設計し、その特性を詳細に検討した結果、酵素の特異性の変化に有用な別のアミノ酸残基も見出された。
【0008】
ところで、効果的な二つのアミノ酸置換を組み合わせることによって相加的又は相乗的効果が生まれる可能性が高いことは多く経験するところである。従って、特定に成功した変異位置は単独に限らず、その組合せについても特性の変化に有効といえる。
上記成果及び考察に基づき、以下の発明が提供される。
[1]配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼにおいて、182番目のプロリン(P182)、187番目のチロシン(Y187)、188番目のセリン(S188)、405番目のトリプトファン(W405)、406番目のアラニン(A406)、407番目のグルタミン(Q407)、449番目のチロシン(Y449)、483番目のトレオニン(T483)、512番目のセリン(S512)、531番目のセリン(S531)、533番目のセリン(S533)、534番目のセリン(S534)、550番目のアスパラギン(N550)、551番目のグルタミン(Q551)、593番目のトリプトファン(W593)、598番目のチロシン(Y598)、602番目のプロリン(P602)、604番目のプロリン(P604)、609番目のチロシン(Y609)、612番目のリジン(K612)及び615番目のチロシン(Y615)からなる群より選択される一又は二以上のアミノ酸、或いはそれに相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなる改変型β−ガラクトシダーゼ。
[2]置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、449番目のチロシン(Y449)、531番目のセリン(S531)、593番目のトリプトファン(W593)、602番目のプロリン(P602)、604番目のプロリン(P604)及び612番目のリジン(K612)からなる群より選択される、[1]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[3]置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、187番目のチロシン(Y187)、188番目のセリン(S188)、533番目のセリン(S533)、602番目のプロリン(P602)及び612番目のリジン(K612)からなる群より選択される、[1]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[4]置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、182番目のプロリン(P182)、187番目のチロシン(Y187)、188番目のセリン(S188)、405番目のトリプトファン(W405)、407番目のグルタミン(Q407)、449番目のチロシン(Y449)、483番目のトレオニン(T483)、512番目のセリン(S512)、531番目のセリン(S531)、550番目のアスパラギン(N550)、602番目のプロリン(P602)及び604番目のプロリン(P604)からなる群より選択される、[1]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[5]置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、483番目のトレオニン(T483)、512番目のセリン(S512)、551番目のグルタミン(Q551)、598番目のチロシン(Y598)及び615番目のチロシン(Y615)からなる群より選択される、[1]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[6]置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、405番目のトリプトファン(W405)、483番目のトレオニン(T483)、531番目のセリン(S531)、550番目のアスパラギン(N550)及び598番目のチロシン(Y598)からなる群より選択される、[1]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[7]置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、182番目のプロリン(P182)、187番目のチロシン(Y187)、188番目のセリン(S188)、405番目のトリプトファン(W405)、406番目のアラニン(A406)、407番目のグルタミン(Q407)、449番目のチロシン(Y449)、483番目のトレオニン(T483)、512番目のセリン(S512)、534番目のセリン(S534)、550番目のアスパラギン(N550)、551番目のグルタミン(Q551)、602番目のプロリン(P602)、609番目のチロシン(Y609)、612番目のリジン(K612)及び615番目のチロシン(Y615)からなる群より選択される、[1]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[8]449番目のチロシン(Y449)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン又はトリプトファンであり、531番目のセリン(S531)の置換後のアミノ酸はアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、イソロイシン、メチオニン、アスパラギン又はグルタミンであり、593番目のトリプトファン(W593)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニンであり、602番目のプロリン(P602)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸又はグリシンであり、604番目のプロリン(P604)の置換後のアミノ酸はアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、メチオニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン又はチロシンであり、612番目のリジン(K612)の置換後のアミノ酸はメチオニンである、[2]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[9]187番目のチロシン(Y187)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、グルタミン酸又はグリシンであり、188番目のセリン(S188)の置換後のアミノ酸はプロリン又はトレオニンであり、533番目のセリン(S533)の置換後のアミノ酸はメチオニン又はグルタミンであり、602番目のプロリン(P602)置換後のアミノ酸はシステイン、イソロイシン、アスパラギン、セリン、トレオニン又はバリンであり、612番目のリジン(K612)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニンである、[3]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[10]182番目のプロリン(P182)の置換後のアミノ酸はロイシンであり、187番目のチロシン(Y187)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸又はロイシンであり、188番目のセリン(S188)の置換後のアミノ酸はイソロイシンであり、405番目のトリプトファン(W405)の置換後のアミノ酸はアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、アスパラギン、セリン又はトレオニンであり、407番目のグルタミン(Q407)の置換後のアミノ酸はグリシン又はアルギニンであり、449番目のチロシン(Y449)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸、イソロイシン、グルタミン、アルギニン又はセリンであり、483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はグルタミンであり、512番目のセリン(S512)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン、トレオニン又はバリンであり、531番目のセリン(S531)の置換後のアミノ酸はプロリンであり、550番目のアスパラギン(N550)の置換後のアミノ酸はロイシン、アルギニン又はセリンであり、602番目のプロリン(P602)の置換後のアミノ酸はロイシン、アスパラギン又はグルタミンであり、604番目のプロリン(P604)の置換後のアミノ酸はイソロイシン又はメチオニンである、[4]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[11]483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はリジン、メチオニン又はアルギニンであり、512番目のセリン(S512)の置換後のアミノ酸はグリシン又はリジンであり、551番目のグルタミン(Q551)の置換後のアミノ酸はアスパラギンであり、598番目のチロシン(Y598)の置換後のアミノ酸はアスパラギンであり、615番目のチロシン(Y615)の置換後のアミノ酸はトレオニンである、[5]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[12]405番目のトリプトファン(W405)の置換後のアミノ酸はアラニン、アスパラギン酸、セリン又はトレオニンであり、483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はメチオニンであり、531番目のセリン(S531)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ロイシン、リジン又はメチオニンであり、550番目のアスパラギン(N550)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニンであり、598番目のチロシン(Y598)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン又はヒスチジンである、[6]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[13]182番目のプロリン(P182)の置換後のアミノ酸はロイシン又はセリンであり、187番目のチロシン(Y187)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、グルタミン酸又はアスパラギンであり、188番目のセリン(S188)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸、グリシン、イソロイシン又はアスパラギンであり、405番目のトリプトファン(W405)の置換後のアミノ酸はヒスチジンであり、406番目のアラニン(A406)の置換後のアミノ酸はプロリンであり、407番目のグルタミン(Q407)の置換後のアミノ酸はアラニン、フェニルアラニン、グリシン、リジン又はアルギニンであり、449番目のチロシン(Y449)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸又はアルギニンであり、483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はセリン又はグルタミンであり、512番目のセリン(S512)の置換後のアミノ酸はグリシン、トレオニン又はバリンであり、534番目のセリン(S534)の置換後のアミノ酸はリジン又はグルタミンであり、550番目のアスパラギン(N550)の置換後のアミノ酸はアラニン、グリシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アルギニン又はセリンであり、551番目のグルタミン(Q551)の置換後のアミノ酸はリジン又はヒスチジンであり、602番目のプロリン(P602)の置換後のアミノ酸はシステイン、アスパラギン酸又はアスパラギンであり、609番目のチロシン(Y609)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、グルタミン又はトレオニンであり、612番目のリジン(K612)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン又はイソロイシンであり、615番目のチロシン(Y615)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸、イソロイシン又はトレオニンである、[7]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[14]前記β−ガラクトシダーゼが配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記置換に加えて、1540番目のトリプトファン(W1540)が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなる[1]〜[13]のいずれか一項に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[15]配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼにおいて、85番目のトリプトファン(W85)、91番目のフェニルアラニン(F91)、103番目のチロシン(Y103)、134番目のチロシン(Y134)、153番目のチロシン(Y153)、182番目のプロリン(P182)、186番目のトリプトファン(W186)、192番目のチロシン(Y192)、295番目のチロシン(Y295)、345番目のヒスチジン(H345)、349番目のグリシン(G349)、402番目のフェニルアラニン(F402)、407番目のグルタミン(Q407)、479番目のグリシン(G479)、480番目のグルタミン酸(E480)、482番目のリジン(K482)、483番目のトレオニン(T483)、484番目のアルギニン(R484)、485番目のグリシン(G485)、486番目のアスパラギン酸(D486)、487番目のリジン(K487)、488番目のバリン(V488)、496番目のチロシン(Y496)、512番目のセリン(S512)、513番目のグルタミン酸(E513)、514番目のアスパラギン(N514)、515番目のアスパラギン(N515)、516番目のチロシン(Y516)、517番目のアスパラギン酸(D517)、519番目のチロシン(Y519)、533番目のトレオニン(T533)、547番目のチロシン(Y547)、549番目のチロシン(Y549)、555番目のチロシン(Y555)、572番目のアルギニン(R572)、573番目のトレオニン(T573)、598番目のチロシン(Y598)、605番目のチロシン(Y605)、606番目のチロシン(Y606)、609番目のチロシン(Y609)、616番目のフェニルアラニン(F616)、624番目のフェニルアラニン(F624)、648番目のトリプトファン(W648)及び650番目のトリプトファン(W650)からなる群より選択される一又は二以上のアミノ酸、或いはそれに相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなる改変型β−ガラクトシダーゼ。
[16]85番目のトリプトファン(W85)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、91番目のフェニルアラニン(F91)の置換後のアミノ酸はアラニン又はイソロイシンであり、103番目のチロシン(Y103)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、134番目のチロシン(Y134)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、153番目のチロシン(Y153)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、182番目のプロリン(P182)の置換後のアミノ酸はトリプトファン又はチロシンであり、186番目のトリプトファン(W186)の置換後のアミノ酸はメチオニンであり、192番目のチロシン(Y192)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、295番目のチロシン(Y295)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、345番目のヒスチジン(H345)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、349番目のグリシン(G349)の置換後のアミノ酸はトリプトファンであり、402番目のフェニルアラニン(F402)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、407番目のグルタミン(Q407)の置換後のアミノ酸はイソロイシン、ロイシン、メチオニン、バリン又はチロシンであり、479番目のグリシン(G479)の置換後のアミノ酸はロイシン、プロリン又はグルタミンであり、480番目のグルタミン酸(E480)の置換後のアミノ酸はアスパラギンであり、482番目のリジン(K482)の置換後のアミノ酸はメチオニン又はバリンであり、483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はグリシン又はセリンであり、484番目のアルギニン(R484)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン、イソロイシン、メチオニン、アスパラギン又はグルタミンであり、485番目のグリシン(G485)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン又はトレオニンであり、486番目のアスパラギン酸(D486)の置換後のアミノ酸はアラニン、グルタミン酸、フェニルアラニン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アルギニン、トレオニン、トリプトファン又はチロシンであり、487番目のリジン(K487)の置換後のアミノ酸はシステイン、グルタミン酸、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、トレオニン、バリン、トリプトファン又はチロシンであり、488番目のバリン(V488)の置換後のアミノ酸はグリシン、イソロイシン、ロイシン、アルギニン、セリン、トレオニン、トリプトファン又はチロシンであり、496番目のチロシン(Y496)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、512番目のセリン(S512)の置換後のアミノ酸はシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、プロリン、グルタミン又はトリプトファンであり、513番目のグルタミン酸(E513)の置換後のアミノ酸はアラニン、システイン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン又はバリンであり、514番目のアスパラギン(N514)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸、ロイシン又はリジンであり、515番目のアスパラギン(N515)の置換後のアミノ酸はアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、プロリン又はバリンであり、516番目のチロシン(Y516)の置換後のアミノ酸はトリプトファンであり、517番目のアスパラギン酸(D517)の置換後のアミノ酸はリジン又はトリプトファンであり、519番目のチロシン(Y519)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、533番目のトレオニン(T533)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸であり、547番目のチロシン(Y547)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、549番目のチロシン(Y549)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、555番目のチロシン(Y555)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、572番目のアルギニン(R572)の置換後のアミノ酸はシステイン、ロイシン、メチオニン、トレオニン、トリプトファン又はチロシンであり、573番目のトレオニン(T573)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸であり、598番目のチロシン(Y598)の置換後のアミノ酸はヒスチジン又はアスパラギンであり、605番目のチロシン(Y605)の置換後のアミノ酸はシステイン、アスパラギン酸、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、プロリン、アルギニン又はトレオニンであり、606番目のチロシン(Y606)の置換後のアミノ酸はアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン又はセリンであり、609番目のチロシン(Y609)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸、アスパラギン又はセリンであり、616番目のフェニルアラニン(F616)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、624番目のフェニルアラニン(F624)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、648番目のトリプトファン(W648)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、650番目のトリプトファン(W650)の置換後のアミノ酸はグリシンである、[15]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[17]配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼにおいて、76番目のトリプトファン(W76)、480番目のグルタミン酸(E480)、483番目のトレオニン(T483)、485番目のグリシン(G485)、484番目のアルギニン(R484)、487番目のリジン(K487)、488番目のバリン(V488)、512番目のセリン(S512)、514番目のアスパラギン(N514)、515番目のアスパラギン(N515)、569番目のグリシン(G569)及び596番目のフェニルアラニン(F596)からなる群より選択される一又は二以上のアミノ酸、或いはそれに相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなる改変型β−ガラクトシダーゼ。
[18]76番目のトリプトファン(W76)の置換後のアミノ酸はグリシンであり、480番目のグルタミン酸(E480)の置換後のアミノ酸はグルタミンであり、483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はトリプトファンであり、485番目のグリシン(G485)の置換後のアミノ酸はプロリン又はトレオニンであり、484番目のアルギニン(R484)の置換後のアミノ酸はアラニン、システイン、アスパラギン酸、グリシン、プロリン、セリン、チロシン又はリジンであり、487番目のリジン(K487)の置換後のアミノ酸はグリシン又はプロリンであり、488番目のバリン(V488)の置換後のアミノ酸はプロリンであり、512番目のセリン(S512)の置換後のアミノ酸はロイシン又はメチオニンであり、514番目のアスパラギン(N514)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸であり、515番目のアスパラギン(N515)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン、アルギニン、トリプトファン、チロシン又はリジンであり、569番目のグリシン(G569)の置換後のアミノ酸はリジン、プロリン又はバリンであり、596番目のフェニルアラニン(F596)の置換後のアミノ酸はグリシンである、[17]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[19]配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼにおいて、以下のいずれかの改変が施された改変型β−ガラクトシダーゼ:
188番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がイソロイシンに置換され、且つ550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がフェニルアラニンに置換(S188I_N550F);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がフェニルアラニンに置換(Q407R_N550F);
449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換、且つ598番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がヒスチジンに置換(Y449Q_Y598H);
550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がフェニルアラニンに置換、且つ602番目のプロリン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換(N550F_P602Q);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換(Q407R_Y449E);
550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がフェニルアラニンに置換、且つ598番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギンに置換(N550F_Y598N);
182番目のプロリン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換(P182L_Y449E);
182番目のプロリン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換(P182L_Y449Q);
187番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換(Y187L_Q407R);
187番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換(Y187L_Y449E);
187番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換(Y187L_Y449Q);
187番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ512番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がシステインに置換(Y187L_S512C);
187番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ512番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギンに置換(Y187L_S512N);
187番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ512番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がトレオニンに置換(Y187L_S512T);
188番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がイソロイシンに置換、且つ407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換(S188I_Q407R);
188番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がイソロイシンに置換、且つ449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換(S188I_Y449Q);
188番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がイソロイシンに置換、且つ483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換(S188I_T483E);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ512番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換(Q407L_S512V);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換(Q407R_T483G);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換(Q407R_Y449Q);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がセリンに置換(Q407R_N550S);
449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換、且つ550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がセリンに置換(Y449Q_N550S);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ512番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がトレオニンに置換(K487W_S512T);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ517番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(K487W_D517K);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換(K487W_N515G);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ517番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(K487W_D517W);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換(K487P_N515R);
91番目のフェニルアラニン又はそれに相当するアミノ酸がセリンに置換、且つ407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がメチオニンに置換(F91S_Q407M);
180番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ187番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換(T180V_Y187L);
180番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ188番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がイソロイシンに置換(T180V_S188I);
180番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換(T180V_Q407R);
180番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換(T180V_Y449E);
180番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換(T180V_T483G);
180番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ512番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換(T180V_S512V);
180番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がフェニルアラニンに置換(T180V_N550F);
180番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換(T180V_Y615P);
182番目のプロリン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ376番目アルギニンの又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換(P182L_R376P);
182番目のプロリン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ449番目チロシンの又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換(P182W_Y449Q);
187番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換(Y187L_K487A);
187番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ512番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換(Y187L_S512A);
187番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ533番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギンに置換(Y187L_T533N);
376番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、且つ407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換(R376P_Q407L);
376番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、且つ449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換(R376P_Y449Q);
376番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、且つ512番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換(R376P_S512V);
376番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、且つ550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(R376P_N550W);
376番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、且つ550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がチロシンに置換(R376P_N550Y);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ533番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換(Q407L_T533E);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ570番目のトリプトファン又はそれに相当するアミノ酸がチロシンに置換(Q407L_W570Y);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換(Q407L_Y615L);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換(Q407R_Y615L);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換(Q407R_Y615P);
449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、且つ598番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がフェニルアラニンに置換(Y449D_Y598F);
449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換、且つ533番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換(Y449Q_T533E);
449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換(Y449Q_Y615G);
449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換(Y449Q_Y615P);
483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換、且つ512番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換(T483G_S512V);
483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換、且つ550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がセリンに置換(T483G_N550S);
483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換(T483G_Y615L);
483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換、且つ602番目のプロリン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換(T483Q_P602Q);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がヒスチジンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がヒスチジンに置換(R484H_K487H);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換(R484W_K487D);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ575番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(R484W_T575W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485K_V488W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ516番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485K_Y516W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ 517番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(G485K_D517K);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ 517番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485K_D517W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ569番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485K_G569W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ571番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(G485K_G571K);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ572番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485K_R572W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ573番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485K_T573W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ516番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485W_Y516W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ 517番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485W_D517W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ573番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(G485W_T573K);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ573番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485W_T573W);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、且つ512番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換(K487A_S512V);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミンに置換(K487G_N515Q);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ573番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(K487W_T573K);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ593番目のトリプトファン又はそれに相当するアミノ酸がフェニルアラニンに置換(K487W_W593F);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ514番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(V488K_N514K);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ 517番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(V488K_D517K);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ569番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(V488K_G569K);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ569番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(V488K_G569W);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ572番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(V488K_R572K);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ573番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(V488K_T573K);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ573番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(V488K_T573W);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ516番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(V488K_Y516K);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ516番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(V488K_Y516W);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ514番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(V488W_N514W);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ573番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(V488W_T573W);
500番目のグルタミン酸又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、且つ501番目のイソロイシン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換(E500A_I501A);
512番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がセリンに置換(S512V_N550S);
533番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換、且つ550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がセリンに置換(T533E_N550S);
533番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換(T533E_Y615G);
570番目のトリプトファン又はそれに相当するアミノ酸がチロシンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換(W570Y_Y615L);
91番目のフェニルアラニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ 513番目のグルタミン酸又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換(F91V_E513G);
180番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(T180V_T483K);
180番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ598番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギンに置換(T180V_Y598N);
180番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がバリンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換(T180V_Y615G);
182番目のプロリン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換(P182L_Y615L);
376番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、且つ598番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギンに置換(R376P_Y598N);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(Q407L_T483K);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換(Q407L_K487P);
407番目のグルタミン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換(Q407L_Y615G);
449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換(Y449E_K487A);
449番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換(Y449E_K487P);
483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換(T483G_K487A);
483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換、且つ533番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグルタミン酸に置換(T483G_T533E);
483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換(T483G_Y615G);
483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がメチオニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換(T483M_K487A);
483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がメチオニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換(T483M_K487G);
483番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がメチオニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換(T483M_K487P);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がヒスチジンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換(R484H_K487D);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ513番目のグルタミン酸又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(R484K_E513W);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ514番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(R484K_N514K);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ514番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(R484K_N514W);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(R484K_N515K);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(R484K_N515W);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ517番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(R484K_D517W);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ569番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(R484K_G569K);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ571番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(R484K_G571K);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ572番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(R484K_R572K);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ572番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(R484K_R572W);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ573番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(R484K_T573K);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ573番目のトレオニン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(R484K_T573W);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ516番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(R484K_Y516K);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(R484W_N515K);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がヒスチジンに置換(G485D_K487H);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がヒスチジンに置換(G485K_K487H);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ569番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(G485K_G569K);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ514番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(G485K_N514K);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(G485K_N515K);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485K_N515W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換(G485R_K487D);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ 513番目のグルタミン酸又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485W_E513W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(G485W_N515K);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485W_N515W);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、且つ531番目のセリン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換(K487A_S531A);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、且つ593番目のトリプトファン又はそれに相当するアミノ酸がフェニルアラニンに置換(K487A_W593F);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換(K487A_Y615L);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ514番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(K487W_N514K);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ514番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(K487W_N514W);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ516番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(K487W_Y516W);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ569番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(K487W_G569K);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がチロシンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がフェニルアラニンに置換(K487Y_N515F);
487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がチロシンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(K487Y_N515W);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(V488K_N515K);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(V488K_N515W);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がリジンに置換(V488W_N515K);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(V488W_N515W);
488番目のバリン又はそれに相当するアミノ酸がチロシンに置換、且つ515番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(V488Y_N515W);
550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がセリンに置換、且つ598番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギンに置換(N550S_Y598N);
550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がセリンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がグリシンに置換(N550S_Y615G);
550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がセリンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がロイシンに置換(N550S_Y615L);
550番目のアスパラギン又はそれに相当するアミノ酸がセリンに置換、且つ615番目のチロシン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換(N550S_Y615P);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換(R484A_G485A_K487D);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換(R484D_G485D_K487D);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がリジンアルギニンに置換(G485R_D486R_K487R);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換(R484A_G485A_D486A_K487A);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換(R484A_G485A_D486P_K487P);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換(R484A_G485A_K487D);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がシステインに置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がヒスチジンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換(R484C_D486H_K487R);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(G485R_D486W_K487W);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換(G485R_D486A_K487A);
485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換(G485R_D486P_K487P);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換(R484A_G485A_D486A_K487A);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換(R484A_G485A_D486R_K487R);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換(R484D_G485D_D486R_K487R);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換(R484D_G485D_D486P_K487P);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアラニンに置換(R484D_G485D_D486A_K487A);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がアスパラギン酸に置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がトリプトファンに置換(R484D_G485D_D486W_K487W);
484番目のアルギニン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、485番目のグリシン又はそれに相当するアミノ酸がプロリンに置換、486番目のアスパラギン酸又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換、且つ487番目のリジン又はそれに相当するアミノ酸がアルギニンに置換(R484P_G485P_D486R_K487R)。
[20]配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼにおいて、以下のいずれかの改変が施された改変型β−ガラクトシダーゼ:
(a)484番目のアルギニン(R484)〜487番目のリジン(K487)、又はこれに相当する領域の欠失;
(b)514番目のアスパラギン(N514)と515番目のアスパラギン(N515)の間、又はこれに相当する位置にアミノ酸の挿入;
(c)604番目のプロリン(P604)と605番目のチロシン(Y605)の間、又はこれに相当する位置にアミノ酸の挿入;
(d)485番目のグリシン(G485)又はこれに相当するアミノ酸の欠失に加え、486番目のアスパラギン酸(D486)又はこれに相当するアミノ酸の他のアミノ酸への置換;
(e)485番目のグリシン(G485)〜486番目のアスパラギン酸(D486)、又はこれに相当する領域の欠失に加え、487番目のリジン(K487)又はこれに相当するアミノ酸の他のアミノ酸への置換;
(f)485番目のグリシン(G485)〜486番目のアスパラギン酸(D486)、又はこれに相当する領域の欠失に加え、484番目のアルギニン(R484)又はこれに相当するアミノ酸の他のアミノ酸への置換、及び487番目のリジン(K487)又はこれに相当するアミノ酸の他のアミノ酸への置換;
(g)484番目のアルギニン(R484)と485番目のグリシン(G485)の間、又はこれに相当する位置にアミノ酸の挿入;
(h)485番目のグリシン(G485)と486番目のアスパラギン酸(D486)の間、又はこれに相当する位置にアミノ酸の挿入。
[21](d)〜(f)に関して、484番目のアルギニン(R484)の置換後のアミノ酸はトリプトファン又はプロリンであり、486番目のアスパラギン酸(D486)の置換後のアミノ酸はヒスチジンであり、487番目のリジン(K487)の置換後のアミノ酸はアルギニン、トリプトファン又はプロリンであり、
(b)、(c)、(g)、(h)に関して、挿入されるアミノ酸の数は1〜10個である、
[20]に記載の改変型β−ガラクトシダーゼ。
[22]配列番号1のアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼにおいて、以下のいずれかの改変が施された改変型β−ガラクトシダーゼ:
(i)487番目のリジン(K487)がグリシン又はプロリンに置換;
(ii)514番目のアスパラギン(N514)がトリプトファンに置換;
(iii)515番目のアスパラギン(N515)がリジン又はトリプトファンに置換。
[23][1]〜[22]のいずれか一項に記載の改変型β−ガラクトシダーゼをコードする遺伝子。
[24][23]に記載の遺伝子を含む組換えDNA。
[25][24]に記載の組換えDNAを保有する微生物。
[26][1]〜[22]のいずれか一項に記載の改変型β−ガラクトシダーゼを含む酵素剤。
[27]β-1,3結合、β-1,4結合及びβ-1,6結合の中の少なくとも一つを有する、二糖、オリゴ糖又は多糖に対して、[1]〜[22]のいずれか一項に記載の改変型β−ガラクトシダーゼを作用させることを特徴とする、オリゴ糖の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】バチルス・サーキュランス由来β-ガラクトシダーゼと3GM8(beta-glycosidase from Bacteroides vulgatus)の比較(Identities = 282/824 (34%)、Positives = 425/824 (52%))。
図2】変異体(改変型β-ガラクトシダーゼ)の組換え発現系。
図3】アロラクトースに対する加水分解活性が低下又は向上する変異体。(A)アロラクトース分解活性÷1%ラクトース分解活性が50%以下との条件を満足する変異体の測定結果。(B)アロラクトース分解活性÷1%ラクトース分解活性が150%以上との条件を満足する変異体の測定結果。WT:野生型酵素。
図4】生成するガラクトオリゴ糖の組成中の4糖含有率が変化した変異体。WT:野生型酵素。
図5】生成するガラクトオリゴ糖の組成中のアロラクトース含有率が変化した変異体。WT:野生型酵素。
図6】生成するガラクトオリゴ糖の組成中の4糖含有率が変化した変異体。WT:野生型酵素。
図7】条件3を満足する、1ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体。WT:野生型酵素。
図8】条件4を満足する、1ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体。WT:野生型酵素。
図9】4糖の含有率が多くなる、1ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体。WT−A:BgaD-A型の野生型酵素。
図10】条件3を満足する置換と条件5を満足する置換を組み合わせた変異体(例1)、条件3を満足する置換と条件6を満足する置換を組み合わせた変異体(例3)、条件4を満足する置換と条件5を満足する置換を組み合わせた変異体(例4)、条件3を満足する置換同士を組み合わせた変異体(例5−1)、条件4を満足する置換同士を組み合わせた変異体(例5−2)。WT:野生型酵素。
図11】条件3を満足する、2ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体(左)と、条件4を満足する、3ヶ所又は4ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体(右)。WT:野生型酵素。
図12】条件3を満足する、3ヶ所又は4ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体(上)と、条件4を満足する、3ヶ所又は4ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体(下)。WT:野生型酵素。
図13】条件3を満足する、挿入又は欠失変異体(上)と、条件4を満足する、挿入又は欠失変異体(下)。WT:野生型酵素。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明の便宜上、本発明に関して使用する用語の一部について以下で定義する。
(用語)
用語「改変型β−ガラクトシダーゼ」とは、特定のβ−ガラクトシダーゼ(説明の便宜上、「基準β−ガラクトシダーゼ」と呼ぶ)を改変ないし変異して得られる酵素である。基準β−ガラクトシダーゼは、バチルス・サーキュランスが生産するβ-ガラクトシダーゼである。これまでの研究から、バチルス・サーキュランスのβ-ガラクトシダーゼは分子量の異なる4種類の酵素で構成されていることが知られている。本発明では、これら4種類の酵素のいずれかを基準β−ガラクトシダーゼとする。典型的には、配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列を有する酵素が基準β−ガラクトシダーゼとなるが、配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列を有する酵素(β−ガラクトシダーゼ活性を示すもの)を基準β−ガラクトシダーゼとして用いることも可能である。好ましくは配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列と95%以上同一であるアミノ酸配列を有する酵素(β−ガラクトシダーゼ活性を示すもの)、より好ましくは配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列と98%以上同一であるアミノ酸配列を有する酵素(β−ガラクトシダーゼ活性を示すもの)、最も好ましくは配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列と99%以上同一であるアミノ酸配列を有する酵素(β−ガラクトシダーゼ活性を示すもの)を基準β−ガラクトシダーゼとして用いてもよい。配列番号1は分子量195kDのβ−ガラクトシダーゼ(以下、BgaD-Aとも呼ぶ)のアミノ酸配列であり、配列番号2は分子量160kDのβ−ガラクトシダーゼ(以下、BgaD-Bとも呼ぶ)のアミノ酸配列であり、配列番号3は分子量135kDのβ−ガラクトシダーゼ(以下、BgaD-Cとも呼ぶ)のアミノ酸配列であり、配列番号4は分子量86kDのβ−ガラクトシダーゼ(以下、BgaD-Dとも呼ぶ)である。また、BgaD-A、BgaD-B、BgaD-C及びBgaD-Dをコードする塩基配列をそれぞれ配列番号5、6、7及び8に示す。
【0011】
本発明では、改変ないし変異として「アミノ酸の置換」が行われる。従って、改変型β−ガラクトシダーゼと基準β−ガラクトシダーゼを比較すると、一部のアミノ酸残基に相違が認められる。尚、本明細書では、改変型β−ガラクトシダーゼのことを、改変型酵素、変異β−ガラクトシダーゼ、変異体などとも呼ぶ。
【0012】
本明細書では慣例に従い、以下の通り、各アミノ酸を1文字で表記する。
メチオニン:M、セリン:S、アラニン:A、トレオニン:T、バリン:V、チロシン:Y、ロイシン:L、アスパラギン:N、イソロイシン:I、グルタミン:Q、プロリン:P、アスパラギン酸:D、フェニルアラニン:F、グルタミン酸:E、トリプトファン:W、リジン:K、システイン:C、アルギニン:R、グリシン:G、ヒスチジン:H
【0013】
また、変異点のアミノ酸残基(置換の対象となるアミノ酸残基)を、アミノ酸の種類を表す上記1文字とアミノ酸の位置を表す数字との組合せで表現する。例えば、182番目のプロリンが変異点であれば「P182」と表現される。
【0014】
(改変型β−ガラクトシダーゼ)
本発明の第1の局面は改変型β−ガラクトシダーゼ(改変型酵素)に関する。本発明の改変型酵素は、典型的には、配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼにおいて、以下の(1)〜(21)からなる群より選択される一又は二以上のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列を有する。
(1) 182番目のプロリン(P182)
(2) 187番目のチロシン(Y187)
(3) 188番目のセリン(S188)
(4) 405番目のトリプトファン(W405)
(5) 406番目のアラニン(A406)
(6) 407番目のグルタミン(Q407)
(7) 449番目のチロシン(Y449)
(8) 483番目のトレオニン(T483)
(9) 512番目のセリン(S512)
(10) 531番目のセリン(S531)
(11) 533番目のセリン(S533)
(12) 534番目のセリン(S534)
(13) 550番目のアスパラギン(N550)
(14) 551番目のグルタミン(Q551)
(15) 593番目のトリプトファン(W593)
(16) 598番目のチロシン(Y598)
(17) 602番目のプロリン(P602)
(18) 604番目のプロリン(P604)
(19) 609番目のチロシン(Y609)
(20) 612番目のリジン(K612)
(21) 615番目のチロシン(Y615)
【0015】
後述の実施例に示す通り、置換対象となる上記のアミノ酸残基は、立体構造予測及び検証実験によって特定されたものである。本発明の一態様では、これらのアミノ酸を置換することによって酵素の構造を改変し、β−ガラクトシダーゼの特性を変化させる。ここでの「特性」はオリゴ糖合成活性及び/又はアロラクトースに対する加水分解活性である。
【0016】
配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列と90%以上(好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上)同一であるアミノ酸配列を有する基準β−ガラクトシダーゼでは、アミノ酸の挿入や欠失などによって、配列1〜4のいずれかのアミノ酸配列からなる酵素との間でアミノ酸位置のずれが生ずることがある。そこで、本発明の一態様では、基準β−ガラクトシダーゼにおいて、上記(1)〜(21)からなる群より選択される一又は二以上のアミノ酸に相当するアミノ酸が置換の対象となる。ここで、用語「相当する」とは、比較されるタンパク質(酵素)間においてその機能の発揮に同等の貢献をしていることを意味する。例えば、基準のアミノ酸配列(例えば配列番号1のアミノ酸配列)に対して比較対象のアミノ酸配列を、一次構造(アミノ酸配列)の部分的な相同性を考慮しつつ、最適な比較ができるように並べたときに(このときに必要に応じてギャップを導入し、アライメントを最適化してもよい)、基準のアミノ酸配列中の特定のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸を「相当するアミノ酸」として特定することができる。一次構造同士の比較に代えて、又はこれに加えて立体構造(三次元構造)同士の比較によって「相当するアミノ酸」を特定することもできる。立体構造情報を利用することによって信頼性の高い比較結果が得られる。この場合は、複数の酵素の立体構造の原子座標を比較しながらアライメントを行っていく手法を採用できる。
【0017】
置換後のアミノ酸の種類は特に限定されない。従って、保存的アミノ酸置換であっても非保存的アミノ酸置換であってもよい。ここでの「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基を、同様の性質の側鎖を有するアミノ酸残基に置換することをいう。アミノ酸残基はその側鎖によって塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)のように、いくつかのファミリーに分類されている。保存的アミノ酸置換は典型的には同一のファミリー内のアミノ酸残基間の置換である。
【0018】
本発明の第1の態様では、置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、449番目のチロシン(Y449)、531番目のセリン(S531)、593番目のトリプトファン(W593)、602番目のプロリン(P602)、604番目のプロリン(P604)及び612番目のリジン(K612)からなる群より選択されることになる。これらのアミノ酸は、後述の実施例に示した実験において、「アロラクトース分解活性が50%以下」という条件(条件1)を満足するとして特定されたものであり、アロラクトースに対する加水分解活性の基質特異性に関わる。従って、当該態様の改変型酵素は、アロラクトース加水分解活性が低いという点において有用性が高いといえる。置換後のアミノ酸は、好ましくは、以下の通りである。尚、第1の態様において置換対象となるアミノ酸を「第1群のアミノ酸」と呼ぶ。
449番目のチロシン(Y449)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン又はトリプトファン。
531番目のセリン(S531)の置換後のアミノ酸はアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、イソロイシン、メチオニン、アスパラギン又はグルタミン。
593番目のトリプトファン(W593)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン。
602番目のプロリン(P602)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸又はグリシン。
604番目のプロリン(P604)の置換後のアミノ酸はアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、メチオニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン又はチロシン。
612番目のリジン(K612)の置換後のアミノ酸はメチオニン。
【0019】
本発明の第2の態様では、置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、187番目のチロシン(Y187)、188番目のセリン(S188)、533番目のセリン(S533)、602番目のプロリン(P602)及び612番目のリジン(K612)からなる群より選択されることになる。これらのアミノ酸は、後述の実施例に示した実験において、「アロラクトース分解活性が150%以上」という条件(条件2)を満足するとして特定されたものであり、アロラクトースに対する加水分解活性の基質特異性に関わる。従って、当該態様の改変型酵素は、アロラクトース加水分解活性が高いという点において有用性が高いといえる。置換後のアミノ酸は、好ましくは、以下の通りである。尚、第2の態様において置換対象となるアミノ酸を「第2群のアミノ酸」と呼ぶ。
187番目のチロシン(Y187)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、グルタミン酸又はグリシン。
188番目のセリン(S188)の置換後のアミノ酸はプロリン又はトレオニン。
533番目のセリン(S533)の置換後のアミノ酸はメチオニン又はグルタミン。
602番目のプロリン(P602)置換後のアミノ酸はシステイン、イソロイシン、アスパラギン、セリン、トレオニン又はバリン。
612番目のリジン(K612)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン
【0020】
本発明の第3の態様では、置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、182番目のプロリン(P182)、187番目のチロシン(Y187)、188番目のセリン(S188)、405番目のトリプトファン(W405)、407番目のグルタミン(Q407)、449番目のチロシン(Y449)、483番目のトレオニン(T483)、512番目のセリン(S512)、531番目のセリン(S531)、550番目のアスパラギン(N550)、602番目のプロリン(P602)及び604番目のプロリン(P604)からなる群より選択されることになる。これらのアミノ酸は、後述の実施例に示した実験において、「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より少ない」という条件(条件3)を満足するとして特定されたものであり、4糖の生成量に関わる。従って、当該態様の改変型酵素は、それを使用すると4糖の含有量が下がるという点において有用性が高いといえる。置換後のアミノ酸は、好ましくは、以下の通りである。尚、第3の態様において置換対象となるアミノ酸を「第3群のアミノ酸」と呼ぶ。
182番目のプロリン(P182)の置換後のアミノ酸はロイシン。
187番目のチロシン(Y187)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸又はロイシン。
188番目のセリン(S188)の置換後のアミノ酸はイソロイシン。
405番目のトリプトファン(W405)の置換後のアミノ酸はアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、アスパラギン、セリン又はトレオニン。
407番目のグルタミン(Q407)の置換後のアミノ酸はグリシン又はアルギニン。
449番目のチロシン(Y449)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸、イソロイシン、グルタミン、アルギニン又はセリン。
483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はグルタミン。
512番目のセリン(S512)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン、トレオニン又はバリン。
531番目のセリン(S531)の置換後のアミノ酸はプロリン。
550番目のアスパラギン(N550)の置換後のアミノ酸はロイシン、アルギニン又はセリン。
602番目のプロリン(P602)の置換後のアミノ酸はロイシン、アスパラギン又はグルタミン。
604番目のプロリン(P604)の置換後のアミノ酸はイソロイシン又はメチオニン
【0021】
検討を進めた結果、「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より少ない」という条件(条件3)を満足する、置換対象のアミノ酸(即ち、第3群のアミノ酸)として、85番目のトリプトファン(W85)、91番目のフェニルアラニン(F91)、103番目のチロシン(Y103)、134番目のチロシン(Y134)、153番目のチロシン(Y153)、182番目のプロリン(P182)、186番目のトリプトファン(W186)、192番目のチロシン(Y192)、295番目のチロシン(Y295)、345番目のヒスチジン(H345)、349番目のグリシン(G349)、402番目のフェニルアラニン(F402)、407番目のグルタミン(Q407)、479番目のグリシン(G479)、480番目のグルタミン酸(E480)、482番目のリジン(K482)、483番目のトレオニン(T483)、484番目のアルギニン(R484)、485番目のグリシン(G485)、486番目のアスパラギン酸(D486)、487番目のリジン(K487)、488番目のバリン(V488)、496番目のチロシン(Y496)、512番目のセリン(S512)、513番目のグルタミン酸(E513)、514番目のアスパラギン(N514)、515番目のアスパラギン(N515)、516番目のチロシン(Y516)、517番目のアスパラギン酸(D517)、519番目のチロシン(Y519)、533番目のトレオニン(T533)、547番目のチロシン(Y547)、549番目のチロシン(Y549)、555番目のチロシン(Y555)、572番目のアルギニン(R572)、573番目のトレオニン(T573)、598番目のチロシン(Y598)、605番目のチロシン(Y605)、606番目のチロシン(Y606)、609番目のチロシン(Y609)、616番目のフェニルアラニン(F616)、624番目のフェニルアラニン(F624)、648番目のトリプトファン(W648)、650番目のトリプトファン(W650)、が特定された。そこで本発明の一態様では、配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼにおいて、上記アミノ酸群から選択される一又は二以上のアミノ酸、或いはそれに相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなる改変型酵素が提供される。置換後のアミノ酸は、好ましくは、以下の通りである。
85番目のトリプトファン(W85)の置換後のアミノ酸はグリシン。
91番目のフェニルアラニン(F91)の置換後のアミノ酸はアラニン又はイソロイシン。
103番目のチロシン(Y103)の置換後のアミノ酸はグリシン。
134番目のチロシン(Y134)の置換後のアミノ酸はグリシン。
153番目のチロシン(Y153)の置換後のアミノ酸はグリシン。
182番目のプロリン(P182)の置換後のアミノ酸はトリプトファン又はチロシン。
186番目のトリプトファン(W186)の置換後のアミノ酸はメチオニン。
192番目のチロシン(Y192)の置換後のアミノ酸はグリシン。
295番目のチロシン(Y295)の置換後のアミノ酸はグリシン。
345番目のヒスチジン(H345)の置換後のアミノ酸はグリシン。
349番目のグリシン(G349)の置換後のアミノ酸はトリプトファン。
402番目のフェニルアラニン(F402)の置換後のアミノ酸はグリシン。
407番目のグルタミン(Q407)の置換後のアミノ酸はイソロイシン、ロイシン、メチオニン、バリン又はチロシン。
479番目のグリシン(G479)の置換後のアミノ酸はロイシン、プロリン又はグルタミン。
480番目のグルタミン酸(E480)の置換後のアミノ酸はアスパラギン。
482番目のリジン(K482)の置換後のアミノ酸はメチオニン又はバリン。
483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はグリシン又はセリン。
484番目のアルギニン(R484)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン、イソロイシン、メチオニン、アスパラギン又はグルタミン。
485番目のグリシン(G485)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン又はトレオニン。
486番目のアスパラギン酸(D486)の置換後のアミノ酸はアラニン、グルタミン酸、フェニルアラニン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アルギニン、トレオニン、トリプトファン又はチロシン。
487番目のリジン(K487)の置換後のアミノ酸はシステイン、グルタミン酸、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、トレオニン、バリン、トリプトファン又はチロシン。
488番目のバリン(V488)の置換後のアミノ酸はグリシン、イソロイシン、ロイシン、アルギニン、セリン、トレオニン、トリプトファン又はチロシン。
496番目のチロシン(Y496)の置換後のアミノ酸はグリシン。
512番目のセリン(S512)の置換後のアミノ酸はシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、プロリン、グルタミン又はトリプトファン。
513番目のグルタミン酸(E513)の置換後のアミノ酸はアラニン、システイン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン又はバリン。
514番目のアスパラギン(N514)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸、ロイシン又はリジン。
515番目のアスパラギン(N515)の置換後のアミノ酸はアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、プロリン又はバリン。
516番目のチロシン(Y516)の置換後のアミノ酸はトリプトファン。
517番目のアスパラギン酸(D517)の置換後のアミノ酸はリジン又はトリプトファン。
519番目のチロシン(Y519)の置換後のアミノ酸はグリシン。
533番目のトレオニン(T533)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸。
547番目のチロシン(Y547)の置換後のアミノ酸はグリシン。
549番目のチロシン(Y549)の置換後のアミノ酸はグリシン。
555番目のチロシン(Y555)の置換後のアミノ酸はグリシン。
572番目のアルギニン(R572)の置換後のアミノ酸はシステイン、ロイシン、メチオニン、トレオニン、トリプトファン又はチロシン。
573番目のトレオニン(T573)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸。
598番目のチロシン(Y598)の置換後のアミノ酸はヒスチジン又はアスパラギン。
605番目のチロシン(Y605)の置換後のアミノ酸はシステイン、アスパラギン酸、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、プロリン、アルギニン又はトレオニン。
606番目のチロシン(Y606)の置換後のアミノ酸はアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン又はセリン。
609番目のチロシン(Y609)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸、アスパラギン又はセリン。
616番目のフェニルアラニン(F616)の置換後のアミノ酸はグリシン。
624番目のフェニルアラニン(F624)の置換後のアミノ酸はグリシン。
648番目のトリプトファン(W648)の置換後のアミノ酸はグリシン。
650番目のトリプトファン(W650)の置換後のアミノ酸はグリシン。
【0022】
本発明の第4の態様では、置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、483番目のトレオニン(T483)、512番目のセリン(S512)、551番目のグルタミン(Q551)、598番目のチロシン(Y598)及び615番目のチロシン(Y615)からなる群より選択されることになる。これらのアミノ酸は、後述の実施例に示した実験において、「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より多い」という条件(条件4)を満足するとして特定されたものであり、4糖の生成量に関わる。従って、当該態様の改変型酵素は、それを使用すると4糖の含有量が上がるという点において有用性が高いといえる。置換後のアミノ酸は、好ましくは、以下の通りである。尚、第4の態様において置換対象となるアミノ酸を「第4群のアミノ酸」と呼ぶ。
483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はリジン、メチオニン又はアルギニン。
512番目のセリン(S512)の置換後のアミノ酸はグリシン又はリジン。
551番目のグルタミン(Q551)の置換後のアミノ酸はアスパラギン。
598番目のチロシン(Y598)の置換後のアミノ酸はアスパラギン。
615番目のチロシン(Y615)の置換後のアミノ酸はトレオニン。
【0023】
検討を進めた結果、「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より多い」という条件(条件4)を満足する、置換対象のアミノ酸(即ち、第4群のアミノ酸)として、76番目のトリプトファン(W76)、480番目のグルタミン酸(E480)、483番目のトレオニン(T483)、485番目のグリシン(G485)、484番目のアルギニン(R484)、487番目のリジン(K487)、488番目のバリン(V488)、512番目のセリン(S512)、514番目のアスパラギン(N514)、515番目のアスパラギン(N515)、569番目のグリシン(G569)、596番目のフェニルアラニン(F596)が特定された。そこで本発明の一態様では、配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼにおいて、上記アミノ酸群から選択される一又は二以上のアミノ酸、或いはそれに相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなる改変型酵素が提供される。置換後のアミノ酸は、好ましくは、以下の通りである。
76番目のトリプトファン(W76)の置換後のアミノ酸はグリシン。
480番目のグルタミン酸(E480)の置換後のアミノ酸はグルタミン。
483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はトリプトファン。
485番目のグリシン(G485)の置換後のアミノ酸はプロリン又はトレオニン。
484番目のアルギニン(R484)の置換後のアミノ酸はアラニン、システイン、アスパラギン酸、グリシン、プロリン、セリン、チロシン又はリジン。
487番目のリジン(K487)の置換後のアミノ酸はグリシン又はプロリン。
488番目のバリン(V488)の置換後のアミノ酸はプロリン。
512番目のセリン(S512)の置換後のアミノ酸はロイシン又はメチオニン。
514番目のアスパラギン(N514)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸。
515番目のアスパラギン(N515)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン、アルギニン、トリプトファン、チロシン又はリジン。
569番目のグリシン(G569)の置換後のアミノ酸はリジン、プロリン又はバリン。
596番目のフェニルアラニン(F596)の置換後のアミノ酸はグリシン。
【0024】
本発明の第5の態様では、置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、405番目のトリプトファン(W405)、483番目のトレオニン(T483)、531番目のセリン(S531)、550番目のアスパラギン(N550)及び598番目のチロシン(Y598)からなる群より選択されることになる。これらのアミノ酸は、後述の実施例に示した実験において、「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度でアロラクトース含有率が野生型酵素より少ない」という条件(条件5)を満足するとして特定されたものであり、アロラクトース含有量に関わる。従って、当該態様の改変型酵素は、それを使用するとアロラクトースの割合が下がるという点において有用性が高いといえる。置換後のアミノ酸は、好ましくは、以下の通りである。尚、第5の態様において置換対象となるアミノ酸を「第5群のアミノ酸」と呼ぶ。
405番目のトリプトファン(W405)の置換後のアミノ酸はアラニン、アスパラギン酸、セリン又はトレオニン。
483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はメチオニン。
531番目のセリン(S531)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ロイシン、リジン又はメチオニン。
550番目のアスパラギン(N550)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン。
598番目のチロシン(Y598)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン又はヒスチジン
【0025】
本発明の第6の態様では、置換の対象となる一又は二以上のアミノ酸が、182番目のプロリン(P182)、187番目のチロシン(Y187)、188番目のセリン(S188)、405番目のトリプトファン(W405)、406番目のアラニン(A406)、407番目のグルタミン(Q407)、449番目のチロシン(Y449)、483番目のトレオニン(T483)、512番目のセリン(S512)、534番目のセリン(S534)、550番目のアスパラギン(N550)、551番目のグルタミン(Q551)、602番目のプロリン(P602)、609番目のチロシン(Y609)、612番目のリジン(K612)及び615番目のチロシン(Y615)からなる群より選択されることになる。これらのアミノ酸は、後述の実施例に示した実験において、「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度でアロラクトース含有率が野生型酵素より多い」という条件(条件)を満足するとして特定されたものであり、アロラクトース含有量に関わる。従って、当該態様の改変型酵素は、それを使用するとアロラクトースの割合が上がるという点において有用性が高いといえる。置換後のアミノ酸は、好ましくは、以下の通りである。尚、第6の態様において置換対象となるアミノ酸を「第6群のアミノ酸」と呼ぶ。
182番目のプロリン(P182)の置換後のアミノ酸はロイシン又はセリン。
187番目のチロシン(Y187)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、グルタミン酸又はアスパラギン。
188番目のセリン(S188)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸、グリシン、イソロイシン又はアスパラギン。
405番目のトリプトファン(W405)の置換後のアミノ酸はヒスチジン。
406番目のアラニン(A406)の置換後のアミノ酸はプロリン。
407番目のグルタミン(Q407)の置換後のアミノ酸はアラニン、フェニルアラニン、グリシン、リジン又はアルギニン。
449番目のチロシン(Y449)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸又はアルギニン。
483番目のトレオニン(T483)の置換後のアミノ酸はセリン又はグルタミン。
512番目のセリン(S512)の置換後のアミノ酸はグリシン、トレオニン又はバリン。
534番目のセリン(S534)の置換後のアミノ酸はリジン又はグルタミン。
550番目のアスパラギン(N550)の置換後のアミノ酸はアラニン、グリシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アルギニン又はセリン。
551番目のグルタミン(Q551)の置換後のアミノ酸はリジン又はヒスチジン。
602番目のプロリン(P602)の置換後のアミノ酸はシステイン、アスパラギン酸又はアスパラギン。
609番目のチロシン(Y609)の置換後のアミノ酸はアスパラギン酸、グルタミン又はトレオニン。
612番目のリジン(K612)の置換後のアミノ酸はフェニルアラニン又はイソロイシン。
615番目のチロシン(Y615)の置換後のアミノ酸はグルタミン酸、イソロイシン又はトレオニン
【0026】
本発明では、二つ以上のアミノ酸が置換されていてもよい。上記の通り、置換されるアミノ酸は第1群〜第6群に分類される。置換される二つ以上のアミノ酸は、例えば、同一群の中から選択される。この態様では、1つの群に属する二つ以上のアミノ酸が置換され、当該群に特徴的な特性(例えば、第1群の場合はアロラクトース分解活性が低いこと)が増強された改変型酵素になることが期待される。一方、置換される二つ以上のアミノ酸を、二以上の群から選択することにしてもよい。このようにすれば、選択したアミノ酸が属する各群の特性を合わせ持った改変型酵素になることが期待される。この態様の好ましい具体例を以下に示す。尚、置換されるアミノ酸の組合せは特に限定されないが、相反する特性を示す群(即ち、第1群と第2群、第3群と第4群、第5群と第6群)のアミノ酸が併用されないことが好ましい。
(例1)
第3群のアミノ酸と、第5群のアミノ酸を置換対象にする。得られる改変型酵素は、4糖の割合もアロラクトースの割合も少ないという特徴を示すことが期待される。
(例2)
第4群のアミノ酸と、第6群のアミノ酸を置換対象にする。得られる改変型酵素は、4糖の割合もアロラクトースの割合も多いという特徴を示すことが期待される。
(例3)
第3群のアミノ酸と、第6群のアミノ酸を置換対象にする。得られる改変型酵素は、4糖の割合が少ないものの、アロラクトースの割合は多いという特徴を示すことが期待される。
(例4)
第4群のアミノ酸と、第5群のアミノ酸を置換対象にする。得られる改変型酵素は、4糖の割合が多く、アロラクトースの割合は少ないという特徴を示すことが期待される。
(例5)
同じ群のアミノ酸を複数置換する。同じ群のアミノ酸を複数置換することで、より大きな変化が期待できる。たとえば、第3群のアミノ酸の複数のアミノ酸を置換対象にすると、得られる改変型酵素は4糖の割合がより少ないという特徴を示すことが期待される。
【0027】
上記の例1に該当する具体例として、188番目のセリンがイソロイシンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換された改変型酵素(S188I_N550F)、407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換された改変型酵素(Q407R_N550F)、449番目のチロシンがグルタミンに置換され、且つ598番目のチロシンがヒスチジンに置換された改変型酵素(Y449Q_Y598H)、550番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換され、且つ602番目のプロリンがグルタミンに置換された改変型酵素(N550F_P602Q)を挙げることができる。
【0028】
上記例3に該当する具体例として、407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミン酸に置換された改変型酵素(Q407R_Y449E)を挙げることができる。
【0029】
上記例4に該当する具体例として、550番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換され、且つ598番目のチロシンがアスパラギンに置換された改変型酵素(N550F_Y598N)を挙げることができる。
【0030】
上記例5に該当する具体例(第3群のアミノ酸の複数のアミノ酸を置換対象にしたもの)として、182番目のプロリンがロイシンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミン酸に置換された改変型酵素(P182L_Y449E)、182番目のプロリンがロイシンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換された改変型酵素(P182L_Y449Q)、187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ407番目のグルタミンがアルギニンに置換された改変型酵素(Y187L_Q407R)、187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミン酸に置換された改変型酵素(Y187L_Y449E)、187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換された改変型酵素(Y187L_Y449Q)、187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ512番目のセリンがシステインに置換された改変型酵素(Y187L_S512C)、187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ512番目のセリンがアスパラギンに置換された改変型酵素(Y187L_S512N)、187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ512番目のセリンがトレオニンに置換された改変型酵素(Y187L_S512T)、188番目のセリンがイソロイシンに置換され、且つ407番目のグルタミンがアルギニンに置換された改変型酵素(S188I_Q407R)、188番目のセリンがイソロイシンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換された改変型酵素(S188I_Y449Q)、188番目のセリンがイソロイシンに置換され、且つ483番目のトレオニンがグルタミン酸に置換された改変型酵素(S188I_T483E)、407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ512番目のセリンがバリンに置換された改変型酵素(Q407L_S512V)、407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ483番目のトレオニンがグリシンに置換された改変型酵素(Q407R_T483G)、407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換された改変型酵素(Q407R_Y449Q)、407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがセリンに置換された改変型酵素(Q407R_N550S)、449番目のチロシンがグルタミンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがセリンに置換された改変型酵素(Y449Q_N550S)、487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ512番目のセリンがトレオニンに置換された改変型酵素(K487W_S512T)、487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ517番目のアスパラギン酸がリジンに置換された改変型酵素(K487W_D517K)、487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがグリシンに置換された改変型酵素(K487W_N515G)、487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ517番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換された改変型酵素(K487W_D517W)を挙げることができる。
【0031】
同様に上記例5に該当する具体例(第4群のアミノ酸の複数のアミノ酸を置換対象にしたもの)として、487番目のリジンがプロリンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがアルギニンに置換された改変型酵素(K487P_N515R)、を挙げることができる。
【0032】
二つ以上のアミノ酸が置換された改変型酵素の更なる具体例として、91番目のフェニルアラニンがセリンに置換され、且つ407番目のグルタミンがメチオニンに置換された改変型酵素(F91S_Q407M)、180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ187番目のチロシンがロイシンに置換された改変型酵素(T180V_Y187L)、180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ188番目のセリンがイソロイシンに置換された改変型酵素(T180V_S188I)、180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ407番目のグルタミンがアルギニンに置換された改変型酵素(T180V_Q407R)、180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミン酸に置換された改変型酵素(T180V_Y449E)、180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ483番目のトレオニンがグリシンに置換された改変型酵素(T180V_T483G)、180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ512番目のセリンがバリンに置換された改変型酵素(T180V_S512V)、180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換された改変型酵素(T180V_N550F)、180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ615番目のチロシンがプロリンに置換された改変型酵素(T180V_Y615P)、182番目のプロリンがロイシンに置換され、且つ376番目のアルギニンがプロリンに置換された改変型酵素(P182L_R376P)、182番目のプロリンがトリプトファンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換された改変型酵素(P182W_Y449Q)、187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換された改変型酵素(Y187L_K487A)、187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ512番目のセリンがアラニンに置換された改変型酵素(Y187L_S512A)、187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ533番目のトレオニンがアスパラギンに置換された改変型酵素(Y187L_T533N)、376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ407番目のグルタミンがロイシンに置換された改変型酵素(R376P_Q407L)、376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換された改変型酵素(R376P_Y449Q)、376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ512番目のセリンがバリンに置換された改変型酵素(R376P_S512V)、376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがトリプトファンに置換された改変型酵素(R376P_N550W)、376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがチロシンに置換された改変型酵素(R376P_N550Y)、407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ533番目のトレオニンがグルタミン酸に置換された改変型酵素(Q407L_T533E)、407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ570番目のトリプトファンがチロシンに置換された改変型酵素(Q407L_W570Y)、407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換された改変型酵素(Q407L_Y615L)、407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換された改変型酵素(Q407R_Y615L)、407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ615番目のチロシンがプロリンに置換された改変型酵素(Q407R_Y615P)、449番目のチロシンがアスパラギン酸に置換され、且つ598番目のチロシンがフェニルアラニンに置換された改変型酵素(Y449D_Y598F)、449番目のチロシンがグルタミンに置換され、且つ533番目のトレオニンがグルタミン酸に置換された改変型酵素(Y449Q_T533E)、449番目のチロシンがグルタミンに置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換された改変型酵素(Y449Q_Y615G)、449番目のチロシンがグルタミンに置換され、且つ615番目のチロシンがプロリンに置換された改変型酵素(Y449Q_Y615P)、483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ512番目のセリンがバリンに置換された改変型酵素(T483G_S512V)、483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがセリンに置換された改変型酵素(T483G_N550S)、483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換された改変型酵素(T483G_Y615L)、483番目のトレオニンがグルタミンに置換され、且つ602番目のプロリンがグルタミンに置換された改変型酵素(T483Q_P602Q)、484番目のアルギニンがヒスチジンに置換され、且つ487番目のリジンがヒスチジンに置換された改変型酵素(R484H_K487H)、484番目のアルギニンがトリプトファンに置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換された改変型酵素(R484W_K487D)、484番目のアルギニンがトリプトファンに置換され、且つ575番目のトレオニンがトリプトファンに置換された改変型酵素(R484W_T575W)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ488番目のバリンがトリプトファンに置換された改変型酵素(G485K_V488W)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ516番目のチロシンがトリプトファンに置換された改変型酵素(G485K_Y516W)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ 517番目のアスパラギン酸がリジンに置換された改変型酵素(G485K_D517K)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ 517番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換された改変型酵素(G485K_D517W)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ569番目のグリシンがトリプトファンに置換された改変型酵素(G485K_G569W)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ571番目のグリシンがリジンに置換された改変型酵素(G485K_G571K)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ572番目のアルギニンがトリプトファンに置換された改変型酵素(G485K_R572W)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ573番目のトレオニンがトリプトファンに置換された改変型酵素(G485K_T573W)、485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ516番目のチロシンがトリプトファンに置換された改変型酵素(G485W_Y516W)、485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ 517番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換された改変型酵素(G485W_D517W)、485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ573番目のトレオニンがリジンに置換された改変型酵素(G485W_T573K)、485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ573番目のトレオニンがトリプトファンに置換された改変型酵素(G485W_T573W)、487番目のリジンがアラニンに置換され、且つ512番目のセリンがバリンに置換された改変型酵素(K487A_S512V)、487番目のリジンがグリシンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがグルタミンに置換された改変型酵素(K487G_N515Q)、487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ573番目のトレオニンがリジンに置換された改変型酵素(K487W_T573K)、487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ593番目のトリプトファンがフェニルアラニンに置換された改変型酵素(K487W_W593F)、488番目のバリンがリジンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがリジンに置換された改変型酵素(V488K_N514K)、488番目のバリンがリジンに置換され、且つ 517番目のアスパラギン酸がリジンに置換された改変型酵素(V488K_D517K)、488番目のバリンがリジンに置換され、且つ569番目のグリシンがリジンに置換された改変型酵素(V488K_G569K)、488番目のバリンがリジンに置換され、且つ569番目のグリシンがトリプトファンに置換された改変型酵素(V488K_G569W)、488番目のバリンがリジンに置換され、且つ572番目のアルギニンがリジンに置換された改変型酵素(V488K_R572K)、488番目のバリンがリジンに置換され、且つ573番目のトレオニンがリジンに置換された改変型酵素(V488K_T573K)、488番目のバリンがリジンに置換され、且つ573番目のトレオニンがトリプトファンに置換された改変型酵素(V488K_T573W)、488番目のバリンがリジンに置換され、且つ516番目のチロシンがリジンに置換された改変型酵素(V488K_Y516K)、488番目のバリンがリジンに置換され、且つ516番目のチロシンがトリプトファンに置換された改変型酵素(V488K_Y516W)、488番目のバリンがトリプトファンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがトリプトファンに置換された改変型酵素(V488W_N514W)、488番目のバリンがトリプトファンに置換され、且つ573番目のトレオニンがトリプトファンに置換された改変型酵素(V488W_T573W)、500番目のグルタミン酸がアラニンに置換され、且つ501番目のイソロイシンがアラニンに置換された改変型酵素(E500A_I501A)、512番目のセリンがバリンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがセリンに置換された改変型酵素(S512V_N550S)、533番目のトレオニンがグルタミン酸に置換され、且つ550番目のアスパラギンがセリンに置換された改変型酵素(T533E_N550S)、533番目のトレオニンがグルタミン酸に置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換された改変型酵素(T533E_Y615G)、570番目のトリプトファンがチロシンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換された改変型酵素(W570Y_Y615L)、(以上の改変型酵素は、上記の条件3「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より少ない」を満足する)、91番目のフェニルアラニンがバリンに置換され、且つ 513番目のグルタミン酸がグリシンに置換された改変型酵素(F91V_E513G)、180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ483番目のトレオニンがリジンに置換された改変型酵素(T180V_T483K)、180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ598番目のチロシンがアスパラギンに置換された改変型酵素(T180V_Y598N)、180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換された改変型酵素(T180V_Y615G)、182番目のプロリンがロイシンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換された改変型酵素(P182L_Y615L)、376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ598番目のチロシンがアスパラギンに置換された改変型酵素(R376P_Y598N)、407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ483番目のトレオニンがリジンに置換された改変型酵素(Q407L_T483K)、407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換された改変型酵素(Q407L_K487P)、407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換された改変型酵素(Q407L_Y615G)、449番目のチロシンがグルタミン酸に置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換された改変型酵素(Y449E_K487A)、449番目のチロシンがグルタミン酸に置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換された改変型酵素(Y449E_K487P)、483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換された改変型酵素(T483G_K487A)、483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ533番目のトレオニンがグルタミン酸に置換された改変型酵素(T483G_T533E)、483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換された改変型酵素(T483G_Y615G)、483番目のトレオニンがメチオニンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換された改変型酵素(T483M_K487A)、483番目のトレオニンがメチオニンに置換され、且つ487番目のリジンがグリシンに置換された改変型酵素(T483M_K487G)、483番目のトレオニンがメチオニンに置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換された改変型酵素(T483M_K487P)、484番目のアルギニンがヒスチジンに置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換された改変型酵素(R484H_K487D)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ 513番目のグルタミン酸がトリプトファンに置換された改変型酵素(R484K_E513W)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがリジンに置換された改変型酵素(R484K_N514K)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがトリプトファンに置換された改変型酵素(R484K_N514W)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換された改変
型酵素(R484K_N515K)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換された改変型酵素(R484K_N515W)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ 517番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換された改変型酵素(R484K_D517W)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ569番目のグリシンがリジンに置換された改変型酵素(R484K_G569K)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ571番目のグリシンがリジンに置換された改変型酵素(R484K_G571K)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ572番目のアルギニンがリジンに置換された改変型酵素(R484K_R572K)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ572番目のアルギニンがトリプトファンに置換された改変型酵素(R484K_R572W)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ573番目のトレオニンがリジンに置換された改変型酵素(R484K_T573K)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ573番目のトレオニンがトリプトファンに置換された改変型酵素(R484K_T573W)、484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ516番目のチロシンがリジンに置換された改変型酵素(R484K_Y516K)、484番目のアルギニンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換された改変型酵素(R484W_N515K)、485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、且つ487番目のリジンがヒスチジンに置換された改変型酵素(G485D_K487H)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ487番目のリジンがヒスチジンに置換された改変型酵素(G485K_K487H)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ569番目のグリシンがリジンに置換された改変型酵素(G485K_G569K)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがリジンに置換された改変型酵素(G485K_N514K)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換された改変型酵素(G485K_N515K)、485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換された改変型酵素(G485K_N515W)、485番目のグリシンがアルギニンに置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換された改変型酵素(G485R_K487D)、485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ 513番目のグルタミン酸がトリプトファンに置換された改変型酵素(G485W_E513W)、485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換された改変型酵素(G485W_N515K)、485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換された改変型酵素(G485W_N515W)、487番目のリジンがアラニンに置換され、且つ531番目のセリンがアラニンに置換された改変型酵素(K487A_S531A)、487番目のリジンがアラニンに置換され、且つ593番目のトリプトファンがフェニルアラニンに置換された改変型酵素(K487A_W593F)、487番目のリジンがアラニンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換された改変型酵素(K487A_Y615L)、487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがリジンに置換された改変型酵素(K487W_N514K)、487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがトリプトファンに置換された改変型酵素(K487W_N514W)、487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ516番目のチロシンがトリプトファンに置換された改変型酵素(K487W_Y516W)、487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ569番目のグリシンがリジンに置換された改変型酵素(K487W_G569K)、487番目のリジンがチロシンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換された改変型酵素(K487Y_N515F)、487番目のリジンがチロシンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換された改変型酵素(K487Y_N515W)、488番目のバリンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換された改変型酵素(V488K_N515K)、488番目のバリンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換された改変型酵素(V488K_N515W)、488番目のバリンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換された改変型酵素(V488W_N515K)、488番目のバリンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換された改変型酵素(V488W_N515W)、488番目のバリンがチロシンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換された改変型酵素(V488Y_N515W)、550番目のアスパラギンがセリンに置換され、且つ598番目のチロシンがアスパラギンに置換された改変型酵素(N550S_Y598N)、550番目のアスパラギンがセリンに置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換された改変型酵素(N550S_Y615G)、550番目のアスパラギンがセリンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換された改変型酵素(N550S_Y615L)、550番目のアスパラギンがセリンに置換され、且つ615番目のチロシンがプロリンに置換された改変型酵素(N550S_Y615P)(以上の改変型酵素は、上記の条件4「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より多い」を満足する)を挙げることができる。
【0033】
以上の具体例は二つのアミノ酸が置換された改変型酵素であったが、三つ又は四つのアミノ酸が置換された改変型酵素の例として、484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換された改変型酵素(R484A_G485A_K487D)、484番目のアルギニンがアスパラギン酸に置換され、485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換された改変型酵素(R484D_G485D_K487D)、485番目のグリシンがアルギニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアルギニンに置換され、且つ487番目のリジンがリジンアルギニンに置換された改変型酵素(G485R_D486R_K487R)、484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換された改変型酵素(R484A_G485A_D486A_K487A)、484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がプロリンに置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換された改変型酵素(R484A_G485A_D486P_K487P)(以上の改変型酵素は、上記の条件3「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より少ない」を満足する)、484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換された改変型酵素(R484A_G485A_K487D)、484番目のアルギニンがシステインに置換され、486番目のアスパラギン酸がヒスチジンに置換され、且つ487番目のリジンがアルギニンに置換された改変型酵素(R484C_D486H_K487R)、485番目のグリシンがアルギニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換され、且つ487番目のリジンがトリプトファンに置換された改変型酵素(G485R_D486W_K487W)、485番目のグリシンがアルギニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換された改変型酵素(G485R_D486A_K487A)、485番目のグリシンがアルギニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がプロリンに置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換された改変型酵素(G485R_D486P_K487P)、484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換された改変型酵素(R484A_G485A_D486A_K487A)、484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアルギニンに置換され、且つ487番目のリジンがアルギニンに置換された改変型酵素(R484A_G485A_D486R_K487R)、484番目のアルギニンがアスパラギン酸に置換され、485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、486番目のアスパラギン酸がアルギニンに置換され、且つ487番目のリジンがアルギニンに置換された改変型酵素(R484D_G485D_D486R_K487R)、484番目のアルギニンがアスパラギン酸に置換され、485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、486番目のアスパラギン酸がプロリンに置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換された改変型酵素(R484D_G485D_D486P_K487P)、484番目のアルギニンがアスパラギン酸に置換され、485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、486番目のアスパラギン酸がアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換された改変型酵素(R484D_G485D_D486A_K487A)、484番目のアルギニンがアスパラギン酸に置換され、485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、486番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換され、且つ487番目のリジンがトリプトファンに置換された改変型酵素(R484D_G485D_D486W_K487W)、484番目のアルギニンがプロリンに置換され、485番目のグリシンがプロリンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアルギニンに置換され、且つ487番目のリジンがアルギニンに置換された改変型酵素(R484P_G485P_D486R_K487R)(以上の改変型酵素は、上記の条件4「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より多い」を満足する)を挙げることができる。
【0034】
以上の改変型酵素は、基準β−ガラクトシダーゼの特定のアミノ酸を他のアミノ酸に置換して得られる。本発明者らの検討によって、このようなアミノ酸置換変異体以外にも、有用な改変型酵素として、アミノ酸配列の特定の位置にアミノ酸が挿入されたもの(挿入変異体)、及びアミノ酸配列の特定のアミノ酸が欠失したもの(欠失変異体)、更には、欠失変異体にアミノ酸置換を加えたものが見出された。そこで本発明の一態様では、配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼに対して、以下の改変が行われた改変型酵素が提供される。
(a)484番目のアルギニン(R484)〜487番目のリジン(K487)、又はこれに相当する領域の欠失
(b)514番目のアスパラギン(N514)と515番目のアスパラギン(N515)の間、又はこれに相当する位置にアミノ酸の挿入
(c)604番目のプロリン(P604)と605番目のチロシン(Y605)の間、又はこれに相当する位置にアミノ酸の挿入
(d)485番目のグリシン(G485)又はこれに相当するアミノ酸の欠失に加え、486番目のアスパラギン酸(D486)又はこれに相当するアミノ酸の他のアミノ酸への置換
(e)485番目のグリシン(G485)〜486番目のアスパラギン酸(D486)、又はこれに相当する領域の欠失に加え、487番目のリジン(K487)又はこれに相当するアミノ酸の他のアミノ酸への置換
(f)485番目のグリシン(G485)〜486番目のアスパラギン酸(D486)、又はこれに相当する領域の欠失に加え、484番目のアルギニン(R484)又はこれに相当するアミノ酸の他のアミノ酸への置換、及び487番目のリジン(K487)又はこれに相当するアミノ酸の他のアミノ酸への置換
(g)484番目のアルギニン(R484)と485番目のグリシン(G485)の間、又はこれに相当する位置にアミノ酸の挿入
(h)485番目のグリシン(G485)と486番目のアスパラギン酸(D486)の間、又はこれに相当する位置にアミノ酸の挿入
【0035】
(d)〜(f)に関して、好ましくは、置換後のアミノ酸は、R484についてはトリプトファン又はプロリンであり、D486についてはヒスチジンであり、K487についてはアルギニン、トリプトファン又はプロリンである。一方、(b)、(c)、(g)、(h)に関して、挿入されるアミノ酸の数は例えば1〜10個であり、好ましくは2〜8個である。以下、表記方法と併せて、上記(a)〜(g)の具体例を示す。
<表記方法>
「N514-F-F-N515」は、N514とN515の間にF(フェニルアラニン)を2個挿入した改変型酵素であることを表す。
「Δ484-487」は、484番目アミノ酸〜487番目アミノ酸を欠失させた改変型酵素であることを表す。
「Δ485-486_K487R」は、485番目アミノ酸〜486番目アミノ酸を欠失させるとともに、487番目アミノ酸をR(アルギニン)に置換した改変型酵素であることを表す。
【0036】
<改変型酵素の具体例>
(A)上記の条件3「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より少ない」を満足する改変型酵素
Δ484-487
N514-F-F-N515
N514-W-W-N515
P604-W-W-Y605
P604-A-A-A-A-Y605
P604-F-F-F-F-Y605
(B)上記の条件4「3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より多い」を満足する改変型酵素
Δ485_D486H
Δ485-486_K487R
Δ485-486_R484W_K487W
Δ485-486_R484P_K487P
R484-A-A-G485
R484-F-F-G485
R484-K-K-G485
R484-P-P-G485
R484-R-R-G485
R484-S-S-G485
R484-W-W-G485
G485-S-S-S-D486
R484-A-A-A-A-G485
R484-D-D-D-D-G485
R484-F-F-F-F-G485
R484-P-P-P-P-G485
R484-R-R-R-R-G485
R484-S-S-S-S-G485
R484-W-W-W-W-G485
R484-A-A-A-A-A-A-A-A-G485
R484-D-D-D-D-D-D-D-D-G485
R484-F-F-F-F-F-F-F-F-G485
R484-K-K-K-K-K-K-K-K-G485
R484-P-P-P-P-P-P-P-P-G485
【0037】
ここで、後述の実施例に示す通り、第1群のアミノ酸〜第6群のアミノ酸を同定する場合とは異なるアプローチによって、酵素の特異性の変化に有用な別のアミノ酸残基も見出された。当該成果に基づき本発明は、更に、以下の改変型β−ガラクトシダーゼ酵素を提供する。即ち、配列番号1のアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼにおいて、上記の置換に加えて、1540番目のトリプトファン(W1540)が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなる改変型β−ガラクトシダーゼ、である。置換後のアミノ酸は、好ましくは、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン又はバリンである。当該態様の改変型酵素は、組み合わせる上記の置換に起因する特性に加え、それを使用すると4糖の含有量が多くなるという点において有用性が高い。
【0038】
検討を進めた結果、配列番号1のアミノ酸配列からなるβ−ガラクトシダーゼの場合、4糖の含有量が多くなるという点において特に有用性が高い、置換対象のアミノ酸として、487番目のリジン(K487)、514番目のアスパラギン(N514)、515番目のアスパラギン(N515)が特定された。置換後のアミノ酸は、好ましくは、以下の通りである。
487番目のリジン(K487)の置換後のアミノ酸はグリシン又はプロリン。
514番目のアスパラギン(N514)の置換後のアミノ酸はトリプトファン。
515番目のアスパラギン(N515)の置換後のアミノ酸はリジン又はトリプトファン。
【0039】
ところで、バチルス・サーキュランス由来β−ガラクトシダーゼの一つがWO2010/098561に示されている。当該β−ガラクトシダーゼに対して、本明細書が開示するアミノ酸置換に相当する変異を施し、改変型β−ガラクトシダーゼを取得することも可能である。尚、WO2010/098561が開示するβ−ガラクトシダーゼをコードする配列は、本願における基準β−ガラクトシダーゼの一つをコードする配列(配列番号5)と約70%の同一性を示す。
【0040】
(改変型β−ガラクトシダーゼをコードする核酸等)
本発明の第2の局面は本発明の改変型酵素に関連する核酸を提供する。即ち、改変型酵素をコードする遺伝子、改変型酵素をコードする核酸を同定するためのプローブとして用いることができる核酸、改変型酵素をコードする核酸を増幅又は突然変異等させるためのプライマーとして用いることができる核酸が提供される。
【0041】
改変型酵素をコードする遺伝子は典型的には改変型酵素の調製に利用される。改変型酵素をコードする遺伝子を用いた遺伝子工学的調製法によれば、より均質な状態の改変型酵素を得ることが可能である。また、当該方法は大量の改変型酵素を調製する場合にも好適な方法といえる。尚、改変型酵素をコードする遺伝子の用途は改変型酵素の調製に限られない。例えば、改変型酵素の作用機構の解明などを目的とした実験用のツールとして、或いは酵素の更なる改変体をデザイン又は作製するためのツールとして、当該核酸を利用することもできる。
【0042】
本明細書において「改変型酵素をコードする遺伝子」とは、それを発現させた場合に当該改変型酵素が得られる核酸のことをいい、当該改変型酵素のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する核酸は勿論のこと、そのような核酸にアミノ酸配列をコードしない配列が付加されてなる核酸をも含む。また、コドンの縮重も考慮される。
【0043】
本発明の核酸は、本明細書又は添付の配列表が開示する配列情報を参考にし、標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法などを用いることによって、単離された状態に調製することができる。
【0044】
本発明の他の態様では、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列と比較した場合にそれがコードするタンパク質の機能は同等であるものの一部において塩基配列が相違する核酸(以下、「相同核酸」ともいう。また、相同核酸を規定する塩基配列を「相同塩基配列」ともいう)が提供される。相同核酸の例として、本発明の改変型酵素をコードする核酸の塩基配列を基準として1若しくは複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含む塩基配列からなり、改変型酵素に特徴的な酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAを挙げることができる。塩基の置換や欠失などは複数の部位に生じていてもよい。ここでの「複数」とは、当該核酸がコードするタンパク質の立体構造におけるアミノ酸残基の位置や種類によっても異なるが例えば2〜40塩基、好ましくは2〜20塩基、より好ましくは2〜10塩基である。
【0045】
以上のような相同核酸は例えば、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やランダム突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)による変異の導入などによって得られる。また、紫外線照射など他の方法によっても相同核酸を得ることができる。
【0046】
本発明の他の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する核酸に関する。本発明の更に他の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列、或いはそれに相補的な塩基配列に対して少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.9%同一な塩基配列を有する核酸を提供する。
【0047】
本発明の更に別の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列又はその相同塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有する核酸に関する。ここでの「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であって例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参照して設定することができる。ストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液(50%ホルムアミド、10×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、5×Denhardt溶液、1% SDS、10% デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いて約42℃〜約50℃でインキュベーションし、その後0.1×SSC、0.1% SDSを用いて約65℃〜約70℃で洗浄する条件を挙げることができる。更に好ましいストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液として50%ホルムアミド、5×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、1×Denhardt溶液、1%SDS、10%デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いる条件を挙げることができる。
【0048】
本発明の更に他の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列、或いはそれに相補的な塩基配列の一部を有する核酸(核酸断片)を提供する。このような核酸断片は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列を有する核酸などを検出、同定、及び/又は増幅することなどに用いることができる。核酸断片は例えば、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列において連続するヌクレオチド部分(例えば約10〜約100塩基長、好ましくは約20〜約100塩基長、更に好ましくは約30〜約100塩基長)にハイブリダイズする部分を少なくとも含むように設計される。プローブとして利用される場合には核酸断片を標識化することができる。標識化には例えば、蛍光物質、酵素、放射性同位元素を用いることができる。
【0049】
本発明のさらに他の局面は、本発明の遺伝子(改変型酵素をコードする遺伝子)を含む組換えDNAに関する。本発明の組換えDNAは例えばベクターの形態で提供される。本明細書において用語「ベクター」は、それに挿入された核酸を細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子をいう。
【0050】
使用目的(クローニング、タンパク質の発現)に応じて、また宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。大腸菌を宿主とするベクターとしてはM13ファージ又はその改変体、λファージ又はその改変体、pBR322又はその改変体(pB325、pAT153、pUC8など)等、酵母を宿主とするベクターとしてはpYepSec1、pMFa、pYES2等、昆虫細胞を宿主とするベクターとしてはpAc、pVL等、哺乳類細胞を宿主とするベクターとしてはpCDM8、pMT2PC等を例示することができる。
【0051】
本発明のベクターは好ましくは発現ベクターである。「発現ベクター」とは、それに挿入された核酸を目的の細胞(宿主細胞)内に導入することができ、且つ当該細胞内において発現させることが可能なベクターをいう。発現ベクターは通常、挿入された核酸の発現に必要なプロモーター配列や、発現を促進させるエンハンサー配列等を含む。選択マーカーを含む発現ベクターを使用することもできる。かかる発現ベクターを用いた場合には、選択マーカーを利用して発現ベクターの導入の有無(及びその程度)を確認することができる。
【0052】
本発明の核酸のベクターへの挿入、選択マーカー遺伝子の挿入(必要な場合)、プロモーターの挿入(必要な場合)等は標準的な組換えDNA技術(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照することができる、制限酵素及びDNAリガーゼを用いた周知の方法)を用いて行うことができる。
【0053】
宿主細胞としては、取り扱いの容易さの点から、大腸菌(エシェリヒア・コリ)、出芽酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)などの微生物を用いることが好ましいが、組換えDNAが複製可能で且つ改変型酵素の遺伝子が発現可能な宿主細胞であれば利用可能である。大腸菌の例としてT7系プロモーターを利用する場合は大腸菌BL21(DE3)pLysS、そうでない場合は大腸菌JM109を挙げることができる。また、出芽酵母の例として出芽酵母SHY2、出芽酵母AH22あるいは出芽酵母INVSc1(インビトロジェン社)を挙げることができる。
【0054】
本発明の他の局面は、本発明の組換えDNAを保有する微生物(即ち形質転換体)に関する。本発明の微生物は、上記本発明のベクターを用いたトランスフェクション乃至はトランスフォーメーションによって得ることができる。例えば、塩化カルシウム法(ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(J.Mol. Biol.)、第53巻、第159頁 (1970))、ハナハン(Hanahan)法(ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー、第166巻、第557頁 (1983))、SEM法(ジーン(Gene)、第96巻、第23頁(1990))、チャング(Chung)らの方法(プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第86巻、第2172頁(1989))、リン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション(Potter,H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81, 7161-7165(1984))、リポフェクション(Felgner, P.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84,7413-7417(1984))等によって実施することができる。尚、本発明の微生物は、本発明の改変型酵素を生産することに利用することができる。
【0055】
(改変型β−ガラクトシダーゼを含む酵素剤)
本発明の改変型酵素は例えば酵素剤の形態で提供される。酵素剤は、有効成分(本発明の改変型酵素)の他、賦形剤、緩衝剤、懸濁剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水などを含有していてもよい。賦形剤としてはデンプン、デキストリン、マルトース、トレハロース、乳糖、D-グルコース、ソルビトール、D-マンニトール、白糖、グリセロール等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としてはエタノール、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等と用いることができる。
【0056】
(改変型β−ガラクトシダーゼの用途)
本発明の更なる局面は改変型酵素又は酵素剤の用途を提供する。用途の例は、ガラクトオリゴ糖の製造、乳糖不耐症患者のための医薬やサプリメントの製造・加工、乳製品(低乳糖牛乳等の加工乳、粉乳(脱脂粉乳、育児粉乳など)、ヨーグルトなど)の製造・加工、医療用食品(メディカルフード)の製造・加工である。
【0057】
本発明の改変型酵素はガラクトオリゴ糖の製造に特に有用である。ガラクトオリゴ糖の製造においては、例えば、予め加熱溶解させた乳糖液(例えば30%〜50%の乳糖、pH 7.0)に所定量(例えば50 U〜1000 U)の改変型酵素を加え、40℃前後で1〜10時間放置し、ガラクトオリゴ糖を生成させる。尚、ガラクトオリゴ糖はGal-(Gal)n-Glc(nは0〜5程度)で表される(Gal:ガラクトース残基、Glc:グルコース残基)。結合様式にはβ1-6、β1-3、β1-4、β1-2の他、α1-3、α1-6などがある。
【0058】
特性の異なる複数の改変型酵素を利用すれば、様々なガラクトオリゴ糖を作り分けられるようになる。このような利用形態は、例えば、母乳中に含まれるガラクトオリゴ糖のプロファイル(ガラクトオリゴ糖の種類及び比率)の再現に有効である。
【0059】
改変型酵素は野生型酵素と特性が異なる。従って、改変型酵素と野生型酵素の併用によって、野生型酵素単独では製造できなかった(或いはその製造に適さなかった)ガラクトオリゴ糖を製造することが可能になる。特性の異なる複数の改変型酵素と野生型酵素を併用することにすれば、製造されるガラクトオリゴ糖の種類を更に増加させることができる。このように改変型酵素(1種類又は2種類以上)と野生型酵素の併用も、様々なガラクトオリゴ糖を作り分けることに有効である。
【0060】
尚、複数の酵素(複数の改変型酵素の併用、或いは野生型酵素と1種類又は2種類以上の改変型酵素の併用)を使用してガラクトオリゴ糖(複数種類のガラクトオリゴ糖の混合物)を得る方法は、大別して、各酵素を別々に使用して製造したガラクトオリゴ糖を混合する方法、原料(乳糖)に対して同時に複数の酵素を作用させる方法、及び原料に対して複数の酵素を段階的に作用させる方法がある。
【実施例】
【0061】
<有効な変異位置の特定1>
1.目的
バチルス・サーキュランス由来のβ−ガラクトシダーゼは工業的なガラクトオリゴ糖製造において重要な酵素であるが、それを使用して製造したガラクトオリゴ糖は均一性が高く、製造条件等を調整したとしても、製造されるガラクトオリゴ糖の組成(プロファイル)を変化させることは困難である。従来、当該酵素の立体構造情報を取得することは困難であり、その機能に関わるアミノ酸の特定は容易ではなかった。そこで、ガラクトオリゴ糖の製造に有用な改変型酵素を創出することを目指し、コンピュータシミュレーションを活用することで有効な変異位置の特定を試みた。
【0062】
2.方法・結果
(1)立体構造予測と変異体(改変型β−ガラクトシダーゼ)の設計
(1−1)1次配列からの立体構造予測と変異点の設計
バチルス・サーキュランス由来のβ−ガラクトシダーゼはラクトースの加水分解及びにガラクトシル基転移反応(ガラクトオリゴ糖の製造)を行う。これまでの研究から、バチルス・サーキュランスが生産するβ−ガラクトシダーゼは分子量の異なる4種類の酵素、即ち、分子量195kDのβ−ガラクトシダーゼ(BgaD-A、配列番号1)、分子量160kDのβ−ガラクトシダーゼ(BgaD-B、配列番号2)、分子量135kDのβ−ガラクトシダーゼ(BgaD-C、配列番号3)、及び分子量86kDのβ−ガラクトシダーゼ(BgaD-D、配列番号4)で構成されていることが知られている(特許文献1、非特許文献1)。この中で、分子量が最小のBgaD-Dは、酵素活性がある最小サイズのβ−ガラクトシダーゼであり、最も糖転移活性が高い。
【0063】
上記の通り、バチルス・サーキュランス由来のβ−ガラクトシダーゼの立体構造情報を取得することは困難であった。そこで、コンピュータシミュレーションを活用して、立体構造の予測を行うことにした。データベース(Protein Data Bank (http://www.pdb.org/))に登録されている立体構造情報から、β-ガラクトシダーゼ活性を持つ酵素の立体構造情報を抽出して、バチルス・サーキュランス由来のβ−ガラクトシダーゼの1次配列に相同性のあるものを検索した。具体的には、バチルス・サーキュランス由来のβ−ガラクトシダーゼの1次配列を基準として、相同性の高いと予測される立体構造を探索した。その結果、3GM8(beta-glycosidase from Bacteroides vulgatus)という構造を見つけた(図1)。次に、3GM8をテンプレートにしてモデリングした立体構造をもとに、活性中心の周囲にあるループ配列を同定した。このようにして構築した立体構造モデルを用いることで、バチルス・サーキュランス由来のβ−ガラクトシダーゼの基質ポケットを構成するアミノ酸の中から、基質に接触すると思われるアミノ酸を予測した。さらに、ループ上のアミノ酸に注目して、変異導入点をデザインした。
【0064】
(1−2)プラスミド構築と変異体の生産
変異導入点のアミノ酸をランダムに置換することにした。実際の変異導入は、BgaD-D型のDNAをコードするプラスミドをテンプレートにしたPCRで行った。1ヶ所の変異導入点に対して8〜19種類の置換アミノ酸をデザインし、実際に変異導入を行った。各変異に対応するプライマーを設計し、KOD plus Mutagenesis kit (Toyobo社)を用いてinverse PCR法で変異導入を行った。製品のプロトコールに従って、PCR産物をセルフライゲーション後に大腸菌DH5alphaに形質転換した。ミニプレップでプラスミドを得た後にシークエンスし、変異を確認した。さらに、大腸菌BL21に形質転換して、以下のプロトコールでタンパク質(変異体)を発現させた(図2)。
<プロトコール>
1. 1.5 mL LB+ampで前培養(37℃、一晩)
2. 0.06 mL 前培養後の培養液を3 mL LB+ampに加える
3. 37℃、4時間培養
4. 試験管を氷上に移して、0.75μL 1M IPTGを加える
5. 15℃、24時間培養
6. 集菌してリン酸バッファー(pH7.4)で洗浄
7. 0.25 mL リン酸バッファー(pH7.4)に懸濁
8. ソニケーターで超音波破砕(30秒×3回)
9. 遠心で上清を回収
【0065】
以上の方法で調製した大腸菌抽出液を変異体(改変型β−ガラクトシダーゼ)として使用した。
【0066】
さらに、活性確認のために変異体を精製した。各変異体は、N末にHISタグをつけた融合タンパク質として発現していることから、ニッケルカラムHISTrap HP1 ml(GEヘルスケア社)で精製を行った。各操作に使用したバッファーは以下の通りである。
結合用バッファー(20 mM リン酸ナトリウム, 0.2 M NaCl, 20 mM イミダゾール, pH 7.4)
溶出用バッファー(10 mM リン酸ナトリウム, 0.1 M NaCl, 0.25 M イミダゾール, pH 7.4)
【0067】
結合用バッファーでカラムに結合させた後、同バッファーで洗浄した。その後、結合成分を溶出用バッファーでカラムから溶出させた。溶出画分をサンプルとしてSDS-PAGE及び加水分解活性の測定を行い、酵素の精製度を確認した。
【0068】
(1−3)加水分解活性の評価
加水分解測定法は過去の文献(特許文献1)を参考にして行った。基質としてο-Nitrophenyl-β-D- galactopyranoside(ONPG)、乳糖、アロラクトースの3種類を使い、以下に示す方法でそれぞれの活性を測定した。
(a)LSU活性:ONPG法
ラクターゼがONPG(終濃度20 mM)にpH 6.0、40℃で作用するとき、反応初期の1分間に1μmolのONPを生成する酵素量を1 LSUとする。
(b)LU活性:乳糖分解力法
ラクターゼが乳糖(終濃度10%)にpH 6.0、40℃で作用するとき、反応初期の1分間に1μmolのグルコースを生成する酵素量を1 LUとする。
(c)アロラクトース分解活性:アロラクトース分解力法
ラクターゼがアロラクトース(終濃度1%)にpH 6.0、40℃で作用するとき、反応初期の1分間に1μmolのグルコースを生成する酵素量を1 Uとする。
(d)1%ラクトース分解活性:乳糖分解力法
ラクターゼが乳糖(終濃度1%)にpH 6.0、40℃で作用するとき、反応初期の1分間に1μmolのグルコースを生成する酵素量を1 Uとする。
【0069】
以上の測定により、野生型と比べて基質選択性が変化する変異点を探した。
【0070】
(1−4)ガラクトオリゴ糖(GOS)合成活性の評価
ガラクトオリゴ糖(GOS)合成活性の評価は高濃度乳糖液を基質にしたオリゴ糖合成反応を行い、反応性生物をHPLCにより分析した。これまでの研究から、乳糖を基質にした場合は最終濃度50%程度、pH6付近で酵素反応を行うことで、高収率なGOS合成が行えると報告されている(特開平11−18763号公報)。この報告に記載の方法(実施例2の方法)に準じてGOS合成を行った。生成したGOSの組成を以下のカラムを用いて分析した。
ゲルろ過カラム:MCIGEL CK04S(三菱化成)
アミドカラム:NH2P-40 3E(昭和電工)
【0071】
解析の結果に基づき、全糖量中の4糖のオリゴ糖の含有率、3糖以上のオリゴ糖の含有率、アロラクトースの含有率を測定して表を作成した。
【0072】
(2)アロラクトースに対する加水分解活性の低下又は向上をもたらす変異点
全変異体と野生型の組み換え発現酵素に関して、LSU活性、LU活性、アロラクトース分解活性及び1%ラクトース分解活性を測定した。最初に、LSU活性とLU活性から、酵素活性が消失した変異体を除外した。一方、ラクトースの分解活性に応じてアロラクトースの分解活性も変化することから、「アロラクトース分解活性÷1%ラクトース分解活性」の値を用いてアロラクトースに対する相対的基質特異性を評価し、野生型と比較した。
【0073】
実際に測定した結果、野生型酵素では、「アロラクトース分解活性÷1%ラクトース分解活性」が0.02%となった。そこで、以下の条件を満足する変異体をアロラクトースに対する基質特異性が変化したものとして選択した(図3)。
条件1:アロラクトース分解活性が50%以下、即ち「アロラクトース分解活性÷1%ラクトース分解活性」が野生型酵素の1/2以下。
条件2:アロラクトース分解活性が150%以上、即ち「アロラクトース分解活性÷1%ラクトース分解活性」が野生型酵素の3/2以上。
【0074】
条件1を満足する変異体は以下の28個であった(図3(A))。
449番目のチロシン(Y449):変異後のアミノ酸(D, E, N, W)
531番目のセリン(S531):変異後のアミノ酸(A, D, E, F, G, I, M, N, Q)
593番目のトリプトファン(W593):変異後のアミノ酸(F)
602番目のプロリン(P602):変異後のアミノ酸(E, G)
604番目のプロリン(P604):変異後のアミノ酸(A, G, H, I, M, S, T, V, W, Y)
612番目のリジン(K612):変異後のアミノ酸(M)
【0075】
条件2を満足する変異体は以下の14個であった(図3(B))。
187番目のチロシン(Y187):変異後のアミノ酸(D, E, G)
188番目のセリン(S188):変異後のアミノ酸(P, T)
533番目のセリン(S533):変異後のアミノ酸(M, Q)
602番目のプロリン(P602):変異後のアミノ酸(C, I, N, S, T, V)
612番目のリジン(K612):変異後のアミノ酸(F)
【0076】
以上の結果から、合計9個のアミノ酸がアロラクトースに対する加水分解活性の基質特異性に関わることが判明した。
【0077】
(3)ガラクトオリゴ糖(GOS)の組成が変化する変異点
全変異体と野生型の組み換え発現酵素に関して変異点の評価を行った。以下の条件を満足する変異体をGOS組成が変化したものとして選択した。まず、生成したGOSの組成を分析して、その成分の4糖オリゴ糖の含有率、3糖以上のオリゴ糖の含有率に注目した。実際に測定した結果、野生型酵素では4糖の含有率が10.8%、3糖以上のオリゴ糖の含有率が40.0%となった。そこで、3糖の含有率が野生型に近い値であるが(即ち、オリゴ糖の合成量が野生型と同等)、4糖の含有率に変化がある変異点を選抜した。即ち、以下の条件を満足する変異点を選択した。
条件3:3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より少ない。
条件4:3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度で4糖の含有率が野生型酵素より多い。
【0078】
条件3を満足する変異体は以下の33個であった(図4(A))。
182番目のプロリン(P182):変異後のアミノ酸(L)
187番目のチロシン(Y187):変異後のアミノ酸(D, L)
188番目のセリン(S188):変異後のアミノ酸(I)
405番目のトリプトファン(W405):変異後のアミノ酸(A, D, E, G, H, L, N, S, T)
407番目のグルタミン(Q407):変異後のアミノ酸(G, R)
449番目のチロシン(Y449):変異後のアミノ酸(E, I, Q, R, S)
483番目のトレオニン(T483):変異後のアミノ酸(Q)
512番目のセリン(S512):変異後のアミノ酸(F, T, V)
531番目のセリン(S531):変異後のアミノ酸(P)
550番目のアスパラギン(N550):変異後のアミノ酸(L, R, S)
602番目のプロリン(P602):変異後のアミノ酸(L, N, Q)
604番目のプロリン(P604):変異後のアミノ酸(I, M)
【0079】
条件4を満足する変異体は以下の8個であった(図4(B))。
483番目のトレオニン(T483):変異後のアミノ酸(K, M, R)
512番目のセリン(S512):変異後のアミノ酸(G, K)
551番目のグルタミン(Q551):変異後のアミノ酸(N)
598番目のチロシン(Y598):変異後のアミノ酸(N)
615番目のチロシン(Y615):変異後のアミノ酸(T)
【0080】
以上の結果から、合計9個のアミノ酸が4糖の生成量に関わることが判明した。
【0081】
次に、生成したGOS組成中のアロラクトースの含有率と3糖以上のオリゴ糖の含有率に注目した。野生型酵素ではアロラクトース含有率が3.58%、3糖以上のオリゴ糖の含有率が40.2%となった。そこで、3糖の含有率が野生型に近い値であるが、アロラクトース含有率に変化があったものを探した。即ち、以下の条件を満足する変異点を選択した。
条件5:3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度でアロラクトース含有率が野生型酵素より少ない。
条件6:3糖以上の含有率が野生型酵素と同程度でアロラクトース含有率が野生型酵素より多い。
【0082】
条件5を満足する変異体は以下の14個であった(図5(A))。
405番目のトリプトファン(W405):変異後のアミノ酸(A, D, S, T)
483番目のトレオニン(T483):変異後のアミノ酸(M)
531番目のセリン(S531):変異後のアミノ酸(D, F, G, L, K, M)
550番目のアスパラギン(N550):変異後のアミノ酸(F)
598番目のチロシン(Y598):変異後のアミノ酸(F, H)
【0083】
条件6を満足する変異体は以下の45個であった(図5(B))。
182番目のプロリン(P182):変異後のアミノ酸(L, S)
187番目のチロシン(Y187):変異後のアミノ酸(D, E, N)
188番目のセリン(S188):変異後のアミノ酸(E, G, I, N)
405番目のトリプトファン(W405):変異後のアミノ酸(H)
406番目のアラニン(A406):変異後のアミノ酸(P)
407番目のグルタミン(Q407):変異後のアミノ酸(A, F, G, K, R)
449番目のチロシン(Y449):変異後のアミノ酸(E, R)
483番目のトレオニン(T483):変異後のアミノ酸(S, Q)
512番目のセリン(S512):変異後のアミノ酸(G, T, V)
534番目のセリン(S534):変異後のアミノ酸(K, Q)
550番目のアスパラギン(N550):変異後のアミノ酸(A, G, K, L, M, R, S)
551番目のグルタミン(Q551):変異後のアミノ酸(K, H)
602番目のプロリン(P602):変異後のアミノ酸(C, D, N)
609番目のチロシン(Y609):変異後のアミノ酸(D, Q, T)
612番目のリジン(K612):変異後のアミノ酸(F, I)
615番目のチロシン(Y615):変異後のアミノ酸(E, I, T)
【0084】
以上の結果から、合計19個のアミノ酸がアロラクトース含有量に関わることが判明した。
【0085】
(4)BgaD-A型における変異点
(1−1)で示した方法では、活性中心のループ構造に変異を加えるというデザインを行った。ところで、BgaD-A型については、GOS合成に関わるアミノ酸が過去に報告されている。特に、1540番目のトリプトファン(W1540)は、アラニンまたはフェニルアラニンに置換することでオリゴ糖合成の最大収量が多くなると報告されている(非特許文献1)。この報告に注目し、これまでに検討した活性中心付近のアミノ酸だけでなく、BgaD-A型にのみ存在するアミノ酸に変異を加えることによっても、生成するGOSの組成を変化できるのではないかと考えた。そこで、実際に、1540番目のトリプトファン(W1540)を19種類のアミノ酸に置換する飽和変異導入を実施することにした。具体的には、BgaD-A型のDNA(配列番号5)をコードするプラスミドをテンプレートにして、(1−2)と同様な手法で、W1540をすべてのアミノ酸に置換した。また、プラスミドを大腸菌に導入し変異酵素を発現させた。さらに、(1−4)と同様な方法でGOS合成反応を行い、生成したGOSの組成中の4糖オリゴ糖の含有率、3糖以上のオリゴ糖の含有率を解析した。
【0086】
測定の結果、野生型では4糖の含有率が10.4%、3糖以上のオリゴ糖の含有率が38.5%となった。そこで、すべての変異体で4糖の含有率に変化があるかを調べた。その結果、18個の変異体において、野生型酵素よりも4糖の含有率が多くなることが分かった(図6)。具体的には、以下に示す変異体において4糖の生成量が増加することが判明した。
1540番目のトリプトファン(W1540):変異後のアミノ酸(A, C, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V)
【0087】
以上の結果から、活性中心のループ構造に変異を入れるだけでなく、1540番目のアミノ酸に変異を導入することによっても、4糖の生成量を増やす効果があることが判明した。
【0088】
3.まとめ
(1)変異体では、β-1,6結合を有する糖類に対する加水分解活性の低下又は向上が見られた(9ヶ所のアミノ酸;42変異体)
(2)変異体で生産したガラクトオリゴ糖は、生成物の重合度や分岐鎖の割合が変化していた(4糖が変化した変異点:15ヶ所のアミノ酸;41変異体。分岐鎖が変化した変異点:19ヶ所のアミノ酸;49変異体)。
(3)野生型では組成が一様なオリゴ糖の製造しかできなかったが、変異体を利用すれば様々な種類のガラクトオリゴ糖を作り分けられるようになる。変異体は、例えば、母乳成分の再現などに利用可能である。
(4)上記検討によって有効性を認めた変異点を組み合わせることで、有用性の一層高い変異体の構築が可能であると考えられる。
【0089】
<有効な変異位置の特定2>
検討を進めた結果、有効な変異位置が更に特定され、有用な変異体が取得された。以下、取得に成功した変異体(改変型酵素)とその特徴を示す。尚、(A)、(B)、(D)〜(N)はBgaD-D型のβ−ガラクトシダーゼ(配列番号4)の変異体であり、(C)はBgaD-A型のβ−ガラクトシダーゼ(配列番号1)の変異体である。
【0090】
(A)条件3を満足する、1ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体(図7
85番目のトリプトファン(W85)がグリシンに置換
91番目のフェニルアラニン(F91)がアラニン又はイソロイシンに置換
103番目のチロシン(Y103)がグリシンに置換
134番目のチロシン(Y134)がグリシンに置換
153番目のチロシン(Y153)がグリシンに置換
182番目のプロリン(P182)がトリプトファン又はチロシンに置換
186番目のトリプトファン(W186)がメチオニンに置換
192番目のチロシン(Y192)がグリシンに置換
295番目のチロシン(Y295)がグリシンに置換
345番目のヒスチジン(H345)がグリシンに置換
349番目のグリシン(G349)がトリプトファンに置換
402番目のフェニルアラニン(F402)がグリシンに置換
407番目のグルタミン(Q407)がイソロイシン、ロイシン、メチオニン、バリン又はチロシンに置換
479番目のグリシン(G479)がロイシン、プロリン又はグルタミンに置換
480番目のグルタミン酸(E480)がアスパラギンに置換
482番目のリジン(K482)がメチオニン又はバリンに置換
483番目のトレオニン(T483)がグリシン又はセリンに置換
484番目のアルギニン(R484)がフェニルアラニン、イソロイシン、メチオニン、アスパラギン又はグルタミンに置換
485番目のグリシン(G485)がアスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン又はトレオニンに置換
486番目のアスパラギン酸(D486)がアラニン、グルタミン酸、フェニルアラニン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アルギニン、トレオニン、トリプトファン又はチロシンに置換
487番目のリジン(K487)がシステイン、グルタミン酸、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、トレオニン、バリン、トリプトファン又はチロシンに置換
488番目のバリン(V488)がグリシン、イソロイシン、ロイシン、アルギニン、セリン、トレオニン、トリプトファン又はチロシンに置換
496番目のチロシン(Y496)がグリシンに置換
512番目のセリン(S512)がシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、プロリン、グルタミン又はトリプトファンに置換
513番目のグルタミン酸(E513)がアラニン、システイン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン又はバリンに置換
514番目のアスパラギン(N514)がグルタミン酸、ロイシン又はリジンに置換
515番目のアスパラギン(N515)がアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、プロリン又はバリンに置換
516番目のチロシン(Y516)がトリプトファンに置換
517番目のアスパラギン酸(D517)がリジン又はトリプトファンに置換
519番目のチロシン(Y519)がグリシンに置換
533番目のトレオニン(T533)がグルタミン酸に置換
547番目のチロシン(Y547)がグリシンに置換
549番目のチロシン(Y549)がグリシンに置換
555番目のチロシン(Y555)がグリシンに置換
572番目のアルギニン(R572)がシステイン、ロイシン、メチオニン、トレオニン、トリプトファン又はチロシンに置換
573番目のトレオニン(T573)がグルタミン酸に置換
598番目のチロシン(Y598)がヒスチジン又はアスパラギンに置換
605番目のチロシン(Y605)がシステイン、アスパラギン酸、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、プロリン、アルギニン又はトレオニンに置換
606番目のチロシン(Y606)がアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン又はセリンに置換
609番目のチロシン(Y609)がグルタミン酸、アスパラギン又はセリンに置換
616番目のフェニルアラニン(F616)がグリシンに置換
624番目のフェニルアラニン(F624)がグリシンに置換
648番目のトリプトファン(W648)がグリシンに置換
650番目のトリプトファン(W650)がグリシンに置換
【0091】
(B)条件4を満足する、1ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体(図8
76番目のトリプトファン(W76)がグリシンに置換
480番目のグルタミン酸(E480)がグルタミンに置換
483番目のトレオニン(T483)がトリプトファンに置換
485番目のグリシン(G485)がプロリン又はトレオニンに置換
484番目のアルギニン(R484)がアラニン、システイン、アスパラギン酸、グリシン、プロリン、セリン、チロシン又はリジンに置換
487番目のリジン(K487)がグリシン又はプロリンに置換
488番目のバリン(V488)がプロリンに置換
512番目のセリン(S512)がロイシン又はメチオニンに置換
514番目のアスパラギン(N514)がアスパラギン酸に置換
515番目のアスパラギン(N515)がフェニルアラニン、アルギニン、トリプトファン、チロシン又はリジンに置換
569番目のグリシン(G569)がリジン、プロリン又はバリンに置換
596番目のフェニルアラニン(F596)がグリシンに置換
【0092】
(C)4糖の含有率が多くなる、1ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体(BgaD-A型のβ−ガラクトシダーゼの変異体)(図9
487番目のリジン(K487)がグリシン又はプロリンに置換
514番目のアスパラギン(N514)がトリプトファンに置換
515番目のアスパラギン(N515)がリジン又はトリプトファンに置換
【0093】
(D)条件3を満足する置換と条件5を満足する置換を組み合わせた変異体(図10
188番目のセリンがイソロイシンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換(S188I_N550F)、
407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換(Q407R_N550F)、
449番目のチロシンがグルタミンに置換され、且つ598番目のチロシンがヒスチジンに置換(Y449Q_Y598H)、
550番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換され、且つ602番目のプロリンがグルタミンに置換(N550F_P602Q)
【0094】
(E)条件3を満足する置換と条件6を満足する置換を組み合わせた変異体(図10
407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミン酸に置換(Q407R_Y449E)
【0095】
(F)条件4を満足する置換と条件5を満足する置換を組み合わせた変異体(図10
550番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換され、且つ598番目のチロシンがアスパラギンに置換(N550F_Y598N)
【0096】
(G)条件3を満足する置換同士を組み合わせた変異体(図10
182番目のプロリンがロイシンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミン酸に置換(P182L_Y449E)
182番目のプロリンがロイシンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換(P182L_Y449Q)
187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ407番目のグルタミンがアルギニンに置換(Y187L_Q407R)
187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミン酸に置換(Y187L_Y449E)
187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換(Y187L_Y449Q)
187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ512番目のセリンがシステインに置換(Y187L_S512C)
187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ512番目のセリンがアスパラギンに置換(Y187L_S512N)
187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ512番目のセリンがトレオニンに置換(Y187L_S512T)
188番目のセリンがイソロイシンに置換され、且つ407番目のグルタミンがアルギニンに置換(S188I_Q407R)
188番目のセリンがイソロイシンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換(S188I_Y449Q)
188番目のセリンがイソロイシンに置換され、且つ483番目のトレオニンがグルタミン酸に置換(S188I_T483E)
407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ512番目のセリンがバリンに置換(Q407L_S512V)
407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ483番目のトレオニンがグリシンに置換(Q407R_T483G)
407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換(Q407R_Y449Q)
407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがセリンに置換(Q407R_N550S)
449番目のチロシンがグルタミンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがセリンに置換(Y449Q_N550S)
487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ512番目のセリンがトレオニンに置換(K487W_S512T)
487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ517番目のアスパラギン酸がリジンに置換(K487W_D517K)
487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがグリシンに置換(K487W_N515G)
487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ517番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換(K487W_D517W)
【0097】
(H)条件4を満足する置換同士を組み合わせた変異体(図10
487番目のリジンがプロリンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがアルギニンに置換(K487P_N515R)
【0098】
(I)条件3を満足する、2ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体(図11
91番目のフェニルアラニンがセリンに置換され、且つ407番目のグルタミンがメチオニンに置換(F91S_Q407M)
180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ187番目のチロシンがロイシンに置換(T180V_Y187L)
180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ188番目のセリンがイソロイシンに置換(T180V_S188I)
180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ407番目のグルタミンがアルギニンに置換(T180V_Q407R)
180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミン酸に置換(T180V_Y449E)
180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ483番目のトレオニンがグリシンに置換(T180V_T483G)
180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ512番目のセリンがバリンに置換(T180V_S512V)
180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換(T180V_N550F)
180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ615番目のチロシンがプロリンに置換(T180V_Y615P)
182番目のプロリンがロイシンに置換され、且つ376番目のアルギニンがプロリンに置換(P182L_R376P)
182番目のプロリンがトリプトファンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換(P182W_Y449Q)
187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換(Y187L_K487A)
187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ512番目のセリンがアラニンに置換(Y187L_S512A)
187番目のチロシンがロイシンに置換され、且つ533番目のトレオニンがアスパラギンに置換(Y187L_T533N)
376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ407番目のグルタミンがロイシンに置換(R376P_Q407L)
376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ449番目のチロシンがグルタミンに置換(R376P_Y449Q)
376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ512番目のセリンがバリンに置換(R376P_S512V)
376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがトリプトファンに置換(R376P_N550W)
376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがチロシンに置換(R376P_N550Y)
407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ533番目のトレオニンがグルタミン酸に置換(Q407L_T533E)
407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ570番目のトリプトファンがチロシンに置換(Q407L_W570Y)
407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換(Q407L_Y615L)
407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換(Q407R_Y615L)
407番目のグルタミンがアルギニンに置換され、且つ615番目のチロシンがプロリンに置換(Q407R_Y615P)
449番目のチロシンがアスパラギン酸に置換され、且つ598番目のチロシンがフェニルアラニンに置換(Y449D_Y598F)
449番目のチロシンがグルタミンに置換され、且つ533番目のトレオニンがグルタミン酸に置換(Y449Q_T533E)
449番目のチロシンがグルタミンに置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換(Y449Q_Y615G)
449番目のチロシンがグルタミンに置換され、且つ615番目のチロシンがプロリンに置換(Y449Q_Y615P)
483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ512番目のセリンがバリンに置換(T483G_S512V)
483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがセリンに置換(T483G_N550S)
483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換(T483G_Y615L)
483番目のトレオニンがグルタミンに置換され、且つ602番目のプロリンがグルタミンに置換(T483Q_P602Q)
484番目のアルギニンがヒスチジンに置換され、且つ487番目のリジンがヒスチジンに置換(R484H_K487H)
484番目のアルギニンがトリプトファンに置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換(R484W_K487D)
484番目のアルギニンがトリプトファンに置換され、且つ575番目のトレオニンがトリプトファンに置換(R484W_T575W)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ488番目のバリンがトリプトファンに置換(G485K_V488W)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ516番目のチロシンがトリプトファンに置換(G485K_Y516W)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ 517番目のアスパラギン酸がリジンに置換(G485K_D517K)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ 517番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換(G485K_D517W)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ569番目のグリシンがトリプトファンに置換(G485K_G569W)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ571番目のグリシンがリジンに置換(G485K_G571K)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ572番目のアルギニンがトリプトファンに置換(G485K_R572W)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ573番目のトレオニンがトリプトファンに置換(G485K_T573W)
485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ516番目のチロシンがトリプトファンに置換(G485W_Y516W)
485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ 517番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換(G485W_D517W)
485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ573番目のトレオニンがリジンに置換(G485W_T573K)
485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ573番目のトレオニンがトリプトファンに置換(G485W_T573W)
487番目のリジンがアラニンに置換され、且つ512番目のセリンがバリンに置換(K487A_S512V)
487番目のリジンがグリシンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがグルタミンに置換(K487G_N515Q)
487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ573番目のトレオニンがリジンに置換(K487W_T573K)
487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ593番目のトリプトファンがフェニルアラニンに置換(K487W_W593F)
488番目のバリンがリジンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがリジンに置換(V488K_N514K)
488番目のバリンがリジンに置換され、且つ 517番目のアスパラギン酸がリジンに置換(V488K_D517K)
488番目のバリンがリジンに置換され、且つ569番目のグリシンがリジンに置換(V488K_G569K)
488番目のバリンがリジンに置換され、且つ569番目のグリシンがトリプトファンに置換(V488K_G569W)
488番目のバリンがリジンに置換され、且つ572番目のアルギニンがリジンに置換(V488K_R572K)
488番目のバリンがリジンに置換され、且つ573番目のトレオニンがリジンに置換(V488K_T573K)
488番目のバリンがリジンに置換され、且つ573番目のトレオニンがトリプトファンに置換(V488K_T573W)
488番目のバリンがリジンに置換され、且つ516番目のチロシンがリジンに置換(V488K_Y516K)
488番目のバリンがリジンに置換され、且つ516番目のチロシンがトリプトファンに置換(V488K_Y516W)
488番目のバリンがトリプトファンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがトリプトファンに置換(V488W_N514W)
488番目のバリンがトリプトファンに置換され、且つ573番目のトレオニンがトリプトファンに置換(V488W_T573W)
500番目のグルタミン酸がアラニンに置換され、且つ501番目のイソロイシンがアラニンに置換(E500A_I501A)
512番目のセリンがバリンに置換され、且つ550番目のアスパラギンがセリンに置換(S512V_N550S)
533番目のトレオニンがグルタミン酸に置換され、且つ550番目のアスパラギンがセリンに置換(T533E_N550S)
533番目のトレオニンがグルタミン酸に置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換(T533E_Y615G)
570番目のトリプトファンがチロシンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換(W570Y_Y615L)
【0099】
(J)条件4を満足する、2ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体(図11
91番目のフェニルアラニンがバリンに置換され、且つ 513番目のグルタミン酸がグリシンに置換(F91V_E513G)
180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ483番目のトレオニンがリジンに置換(T180V_T483K)
180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ598番目のチロシンがアスパラギンに置換(T180V_Y598N)
180番目のトレオニンがバリンに置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換(T180V_Y615G)
182番目のプロリンがロイシンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換(P182L_Y615L)
376番目のアルギニンがプロリンに置換され、且つ598番目のチロシンがアスパラギンに置換(R376P_Y598N)
407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ483番目のトレオニンがリジンに置換(Q407L_T483K)
407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換(Q407L_K487P)
407番目のグルタミンがロイシンに置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換(Q407L_Y615G)
449番目のチロシンがグルタミン酸に置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換(Y449E_K487A)
449番目のチロシンがグルタミン酸に置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換(Y449E_K487P)
483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換(T483G_K487A)
483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ533番目のトレオニンがグルタミン酸に置換(T483G_T533E)
483番目のトレオニンがグリシンに置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換(T483G_Y615G)
483番目のトレオニンがメチオニンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換(T483M_K487A)
483番目のトレオニンがメチオニンに置換され、且つ487番目のリジンがグリシンに置換(T483M_K487G)
483番目のトレオニンがメチオニンに置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換(T483M_K487P)
484番目のアルギニンがヒスチジンに置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換(R484H_K487D)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ 513番目のグルタミン酸がトリプトファンに置換(R484K_E513W)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがリジンに置換(R484K_N514K)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがトリプトファンに置換(R484K_N514W)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換(R484K_N515K)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換(R484K_N515W)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ 517番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換(R484K_D517W)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ569番目のグリシンがリジンに置換(R484K_G569K)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ571番目のグリシンがリジンに置換(R484K_G571K)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ572番目のアルギニンがリジンに置換(R484K_R572K)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ572番目のアルギニンがトリプトファンに置換(R484K_R572W)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ573番目のトレオニンがリジンに置換(R484K_T573K)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ573番目のトレオニンがトリプトファンに置換(R484K_T573W)
484番目のアルギニンがリジンに置換され、且つ516番目のチロシンがリジンに置換(R484K_Y516K)
484番目のアルギニンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換(R484W_N515K)
485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、且つ487番目のリジンがヒスチジンに置換(G485D_K487H)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ487番目のリジンがヒスチジンに置換(G485K_K487H)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ569番目のグリシンがリジンに置換(G485K_G569K)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがリジンに置換(G485K_N514K)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換(G485K_N515K)
485番目のグリシンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換(G485K_N515W)
485番目のグリシンがアルギニンに置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換(G485R_K487D)
485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ 513番目のグルタミン酸がトリプトファンに置換(G485W_E513W)
485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換(G485W_N515K)
485番目のグリシンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換(G485W_N515W)
487番目のリジンがアラニンに置換され、且つ531番目のセリンがアラニンに置換(K487A_S531A)
487番目のリジンがアラニンに置換され、且つ593番目のトリプトファンがフェニルアラニンに置換(K487A_W593F)
487番目のリジンがアラニンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換(K487A_Y615L)
487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがリジンに置換(K487W_N514K)
487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ514番目のアスパラギンがトリプトファンに置換(K487W_N514W)
487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ516番目のチロシンがトリプトファンに置換(K487W_Y516W)
487番目のリジンがトリプトファンに置換され、且つ569番目のグリシンがリジンに置換(K487W_G569K)
487番目のリジンがチロシンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがフェニルアラニンに置換(K487Y_N515F)
487番目のリジンがチロシンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換(K487Y_N515W)
488番目のバリンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換(V488K_N515K)
488番目のバリンがリジンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換(V488K_N515W)
488番目のバリンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがリジンに置換(V488W_N515K)
488番目のバリンがトリプトファンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換(V488W_N515W)
488番目のバリンがチロシンに置換され、且つ515番目のアスパラギンがトリプトファンに置換(V488Y_N515W)
550番目のアスパラギンがセリンに置換され、且つ598番目のチロシンがアスパラギンに置換(N550S_Y598N)
550番目のアスパラギンがセリンに置換され、且つ615番目のチロシンがグリシンに置換(N550S_Y615G)
550番目のアスパラギンがセリンに置換され、且つ615番目のチロシンがロイシンに置換(N550S_Y615L)
550番目のアスパラギンがセリンに置換され、且つ615番目のチロシンがプロリンに置換(N550S_Y615P)
【0100】
(K)条件3を満足する、3ヶ所又は4ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体(図12
484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換(R484A_G485A_K487D)
484番目のアルギニンがアスパラギン酸に置換され、485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換(R484D_G485D_K487D)
485番目のグリシンがアルギニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアルギニンに置換され、且つ487番目のリジンがリジンアルギニンに置換(G485R_D486R_K487R)
484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換(R484A_G485A_D486A_K487A)
484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がプロリンに置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換(R484A_G485A_D486P_K487P)
【0101】
(L)条件4を満足する、3ヶ所又は4ヶ所のアミノ酸置換が施された変異体(図12
484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアスパラギン酸に置換(R484A_G485A_K487D)
484番目のアルギニンがシステインに置換され、486番目のアスパラギン酸がヒスチジンに置換され、且つ487番目のリジンがアルギニンに置換(R484C_D486H_K487R)
485番目のグリシンがアルギニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換され、且つ487番目のリジンがトリプトファンに置換(G485R_D486W_K487W)
485番目のグリシンがアルギニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換(G485R_D486A_K487A)
485番目のグリシンがアルギニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がプロリンに置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換(G485R_D486P_K487P)
484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換(R484A_G485A_D486A_K487A)
484番目のアルギニンがアラニンに置換され、485番目のグリシンがアラニンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアルギニンに置換され、且つ487番目のリジンがアルギニンに置換(R484A_G485A_D486R_K487R)
484番目のアルギニンがアスパラギン酸に置換され、485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、486番目のアスパラギン酸がアルギニンに置換され、且つ487番目のリジンがアルギニンに置換(R484D_G485D_D486R_K487R)
484番目のアルギニンがアスパラギン酸に置換され、485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、486番目のアスパラギン酸がプロリンに置換され、且つ487番目のリジンがプロリンに置換(R484D_G485D_D486P_K487P)
484番目のアルギニンがアスパラギン酸に置換され、485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、486番目のアスパラギン酸がアラニンに置換され、且つ487番目のリジンがアラニンに置換(R484D_G485D_D486A_K487A)
484番目のアルギニンがアスパラギン酸に置換され、485番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され、486番目のアスパラギン酸がトリプトファンに置換され、且つ487番目のリジンがトリプトファンに置換(R484D_G485D_D486W_K487W)
484番目のアルギニンがプロリンに置換され、485番目のグリシンがプロリンに置換され、486番目のアスパラギン酸がアルギニンに置換され、且つ487番目のリジンがアルギニンに置換(R484P_G485P_D486R_K487R)
【0102】
(M)条件3を満足する、挿入又は欠失変異体(図13
Δ484-487
N514-F-F-N515
N514-W-W-N515
P604-W-W-Y605
P604-A-A-A-A-Y605
P604-F-F-F-F-Y605
【0103】
(N)条件4を満足する、挿入又は欠失変異体(図13
Δ485_D486H
Δ485-486_K487R
Δ485-486_R484W_K487W
Δ485-486_R484P_K487P
R484-A-A-G485
R484-F-F-G485
R484-K-K-G485
R484-P-P-G485
R484-R-R-G485
R484-S-S-G485
R484-W-W-G485
G485-S-S-S-D486
R484-A-A-A-A-G485
R484-D-D-D-D-G485
R484-F-F-F-F-G485
R484-P-P-P-P-G485
R484-R-R-R-R-G485
R484-S-S-S-S-G485
R484-W-W-W-W-G485
R484-A-A-A-A-A-A-A-A-G485
R484-D-D-D-D-D-D-D-D-G485
R484-F-F-F-F-F-F-F-F-G485
R484-K-K-K-K-K-K-K-K-G485
R484-P-P-P-P-P-P-P-P-G485
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の改変型酵素は野生型酵素と異なる酵素学的性質を示す。この特性を活かし、様々なガラクトオリゴ糖を作り分けることへの利用が想定される。特に、野生型酵素単独では実現できなかった、母乳中のオリゴ糖プロファイルを再現することに本発明を利用することを期待できる。また、オリゴ糖の製造(合成)への利用が期待される。さらには、乳糖不耐症患者のための医薬やサプリメントの製造・加工、乳製品(低乳糖牛乳等の加工乳、粉乳(脱脂粉乳、育児粉乳など)、ヨーグルトなど)の製造・加工、医療用食品(メディカルフード)の製造・加工等にも本発明を利用可能である。
【0105】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]