(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記架橋剤が、i)シランカップリング剤、ii)カルボジイミド基、オキサゾリン基、エポキシ基のうち、少なくとも1つを有する化合物、および、iii)メラミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項8に記載の中空樹脂粒子。
【発明を実施するための形態】
【0047】
中空樹脂粒子は、ポリイソシアネート成分とカルボキシル基を含有する活性水素基含有成分とを反応させて、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る工程、ウレタンプレポリマーと疎水性溶剤とを混合して混合液を調製し、その混合液に水を添加し、ウレタンプレポリマーにより疎水性溶剤を内包したウレタンプレポリマー液滴を得る工程、ウレタンプレポリマーと、活性水素基を有する鎖伸長化合物とを反応させて、疎水性溶剤を内包したウレタン・ウレア樹脂からなる樹脂粒子を得る工程、および、樹脂粒子おいて内包された疎水性溶剤を除去して、ウレタン・ウレア樹脂からなり、内部が中空である中空樹脂粒子を得る工程を備える製造方法により、得ることができる。
【0048】
ポリイソシアネート成分とカルボキシル基を含有する活性水素基含有成分とを反応させて、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る工程では、ポリイソシアネート成分とカルボキシル基を含有する活性水素基含有成分(以下、活性水素基含有成分とする。)とを反応させる。これによって、ウレタンプレポリマーを得る。
【0049】
ポリイソシアネート成分は、疎水性溶剤(後述)と親和する有機ポリイソシアネートであって、例えば、環構造を有するポリイソシアネート、環構造を有しないポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0050】
環構造は、ポリイソシアネート単量体の骨格を形成する環状構造であり、ポリイソシアネート単量体を誘導することにより形成される環状構造(イソシアヌレート環など)は含まれない。環構造としては、例えば、脂環構造、芳香環構造などが挙げられる。
【0051】
環構造を有するポリイソシアネートとしては、例えば、環構造を有するポリイソシアネート単量体、環構造を有するポリイソシアネート誘導体などが挙げられる。
【0052】
環構造を有するポリイソシアネート単量体としては、例えば、環構造を有するジイソシアネート単量体が挙げられる。
【0053】
環構造を有するジイソシアネート単量体としては、例えば、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0054】
脂環族ジイソシアネートは、シクロヘキサン環、架橋シクロヘキサン環などの脂環構造を含み、例えば、第2級イソシアネート基を含む脂環族ジイソシアネート、第2級イソシアネート基を含まない脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0055】
第2級イソシアネート基を含む脂環族ジイソシアネートは、少なくとも1つの第2級イソシアネート基を含有し、例えば、シクロペンタンジイソシアネート(1,3−または1,4−シクロペンタンジイソシアネートもしくはその混合物)、シクロヘキサンジイソシアネート(1,3−または1,4−シクロヘキサンジイソシアネートもしくはその混合物)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−またはメチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネートもしくはその混合物)などの1つのシクロ環を有する第2級イソシアネート基を含む脂環族ジイソシアネート、例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’−または2,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)もしくはその混合物)(H
12MDI)などの2つのシクロ環を有する第2級イソシアネート基を含む脂環族ジイソシアネートなどの2つの第2級イソシアネート基を含有する脂環族ジイソシアネート、例えば、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)などの1つの第2級イソシアネート基および1つの第1級イソシアネート基を併有する脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0056】
第2級イソシアネート基を含まない脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(H
6XDI)、例えば、ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(2,5−または2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンもしくはその混合物)(NBDI)などが挙げられる。
【0057】
脂環族ジイソシアネートとしては、好ましくは、第2級イソシアネート基を含む脂環族ジイソシアネート、より好ましくは、1つの第2級イソシアネート基および1つの第1級イソシアネート基を併有する脂環族ジイソシアネート、さらに好ましくは、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)が挙げられる。
【0058】
なお、第2級イソシアネート基とは、水素原子を1つ有する炭素原子(第2級炭素原子)に直接結合するイソシアネート基(>CH−NCO)である。
【0059】
また、第1級イソシアネート基とは、水素原子を2つ有する炭素原子(第1級炭素原子)に直接結合するイソシアネート基(−CH
2−NCO)である。
【0060】
芳香族ジイソシアネートは、ベンゼン環、縮合環などの芳香環構造を含み、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。
【0061】
芳香脂肪族ジイソシアネートは、アルキル置換ベンゼンなどの脂肪族置換芳香環を含み、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどが挙げられる。
【0062】
環構造を有するポリイソシアネート誘導体は、上記した環構造を有するポリイソシアネート単量体の誘導体であって、例えば、2官能性の環構造を有するポリイソシアネート誘導体、多官能性の環構造を有するポリイソシアネート誘導体などが挙げられる。
【0063】
2官能性の環構造を有するポリイソシアネート誘導体としては、例えば、上記した環構造を有するジイソシアネート単量体の2量体(例えば、ウレトジオン誘導体)、2官能性のアロファネート誘導体(例えば、上記した環構造を有するジイソシアネート単量体と、1価アルコールとの反応より生成するアロファネート誘導体など)、ビウレット誘導体(例えば、上記した環構造を有するジイソシアネート単量体と、1価アミンとの反応により生成するビウレット誘導体など)、ウレア誘導体(例えば、上記した環構造を有するジイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア誘導体など)、オキサジアジントリオン誘導体(例えば、上記した環構造を有するジイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド誘導体(上記した環構造を有するジイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド誘導体など)などが挙げられる。
【0064】
多官能性の環構造を有するポリイソシアネート誘導体は、3つ以上のイソシアネート基を有し、例えば、上記した環構造を有するジイソシアネート単量体の3量体(例えば、イソシアヌレート誘導体、イミノオキサジアジンジオン誘導体)、多官能性のアロファネート誘導体(例えば、上記した環構造を有するジイソシアネート単量体と、2価アルコール)との反応より生成するアロファネート誘導体など)、多官能性のビウレット誘導体(例えば、上記した環構造を有するジイソシアネート単量体と2価アミンとの反応により生成するビウレット誘導体など)、多官能性のポリオール誘導体(例えば、上記した環構造を有するジイソシアネート単量体と、トリメチロールプロパンなどの3価アルコールとの反応より生成するポリオール誘導体(アルコール付加体)など)、ウレトンイミン誘導体(例えば、上記のカルボジイミド誘導体と上記した環構造を有するジイソシアネート単量体との反応より生成するウレトンイミン誘導体など)が挙げられる。
【0065】
環構造を有するポリイソシアネート誘導体としては、好ましくは、2官能性の環構造を有するポリイソシアネート誘導体が挙げられる。
【0066】
環構造を有するポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0067】
環構造を有しないポリイソシアネートとしては、例えば、環構造を有しないポリイソシアネート単量体、環構造を有しないポリイソシアネート誘導体などが挙げられる。
【0068】
環構造を有しないポリイソシアネート単量体としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0069】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート、ドデカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0070】
環構造を有しないポリイソシアネート誘導体は、上記した環構造を有しないポリイソシアネート単量体の上記した誘導体である。
【0071】
環構造を有しないポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0072】
ポリイソシアネート成分は、好ましくは、環構造を有するポリイソシアネートを含む。すなわち、ポリイソシアネート成分は、好ましくは、環構造を有する化合物を含有する。
【0073】
具体的には、環構造を有するポリイソシアネートの配合割合は、ポリイソシアネート成分に対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、90質量%以上、より好ましくは、100質量%である。
【0074】
ポリイソシアネート成分が、環構造を有する化合物を含有すれば、中空樹脂粒子の強度に優れる。
【0075】
より好ましくは、ポリイソシアネート成分は、脂環構造を含むポリイソシアネート単量体または脂環構造を含むポリイソシアネート誘導体を含む。
【0076】
ポリイソシアネート成分が、脂環構造を含むポリイソシアネート単量体または脂環構造を含むポリイソシアネート誘導体を含めば、中空樹脂粒子が黄変することを抑制できる。
【0077】
また、より好ましくは、ポリイソシアネート成分は、環構造を有するジイソシアネート単量体または2官能性の環構造を有するポリイソシアネート誘導体を含み、さらに好ましくは、環構造を有するジイソシアネート単量体を含む。
【0078】
ポリイソシアネート成分が、環構造を有するジイソシアネート単量体または2官能性の環構造を有するポリイソシアネート誘導体を含めば、環構造を有するジイソシアネート単量体と活性水素基含有成分(好ましくは、2価アルコール)(後述)との配合比を調製することによって、ウレタンプレポリマーの分子量を容易に調製することができ、中空樹脂粒子の粒子径を制御できる。
【0079】
とりわけ好ましくは、ポリイソシアネート成分は、このような環構造を有するポリイソシアネートのうち、脂環構造を含むジイソシアネート単量体(脂環族ジイソシアネート)を含む。
【0080】
ポリイソシアネート成分が、脂環族ジイソシアネートを含めば、中空樹脂粒子の粒子径を制御でき、中空樹脂粒子が黄変することを抑制し、中空樹脂粒子の強度に優れる。
【0081】
最も好ましくは、ポリイソシアネート成分は、このような脂環族ジイソシアネートのうち、第2級イソシアネート基を含む脂環族ジイソシアネートを含む。
【0082】
ポリイソシアネート成分が、第2級イソシアネート基を含む脂環族ジイソシアネートを含めば、反応性を低くでき、イソシアネート基と水との副反応を抑制でき、中空樹脂粒子の粒子径を制御できる。
【0083】
活性水素基含有成分としては、例えば、任意成分としての多価アルコールと、必須成分としてのカルボキシル基および2つの活性水素基を有するカルボキシル基含有活性水素化合物(以下、カルボキシル基含有活性水素化合物とする。)とが挙げられる。
【0084】
多価アルコールとしては、例えば、環構造を有する多価アルコール、環構造を有しない多価アルコールなどが挙げられる。
【0085】
環構造を有する多価アルコールとしては、例えば、環構造を有する2価アルコールが挙げられる。
【0086】
環構造を有する2価アルコールとしては、例えば、脂環族2価アルコール、芳香族2価アルコール、芳香脂環族2価アルコールなどが挙げられる。
【0087】
脂環族2価アルコールは、シクロヘキサン環、架橋シクロヘキサン環などの脂環構造を含み、例えば、シクロヘキサンジオール(1,2−または1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールもしくはその混合物)、シクロヘキサンジメタノール(1,2−または1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールもしくはその混合物)、シクロヘキサンジエタノール(1,2−または1,3−または1,4−シクロヘキサンジエタノールもしくはその混合物)、水素化ビスフェノールA、スピログリコール、イソソルビドなどが挙げられる。
【0088】
芳香族2価アルコールは、ベンゼン環、縮合環などの芳香環構造を含み、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、2,2−ビス(4−ポリオキシプロピレンオキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
【0089】
芳香脂環族2価アルコールは、アルキル置換ベンゼンなどの脂肪族置換芳香環を含み、例えば、キシレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0090】
環構造を有する2価アルコールとしては、好ましくは、脂環族2価アルコール、芳香族2価アルコール、より好ましくは、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ポリオキシプロピレンオキシフェニル)プロパン、さらに好ましくは、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ポリオキシプロピレンオキシフェニル)プロパンが挙げられる。
【0091】
環構造を有する2価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0092】
環構造を有しない多価アルコールとしては、例えば、脂肪族多価アルコールなどが挙げられる。
【0093】
脂肪族多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−または1,3−プロパンジオールもしくはその混合物)、ブチレングリコール(1,2−または1,3−または1,4−ブチレングリコールもしくはその混合物)、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタンなどのアルカンジオール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのエーテルジオールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられ、好ましくは、2価アルコール、より好ましくは、アルカンジオール、さらに好ましくは、エチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、とりわけ好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。
【0094】
環構造を有しない多価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0095】
多価アルコールとしては、好ましくは、環構造を有する多価アルコールが挙げられる。すなわち、多価アルコールは、好ましくは、環構造を有し、より好ましくは、脂環構造および/または芳香環構造を有する。
【0096】
具体的には、環構造を有する多価アルコールの配合割合は、多価アルコールに対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、90質量%以上、より好ましくは、100質量%である。
【0097】
多価アルコールが、環構造(好ましくは、脂環構造および/または芳香環構造)を有すれば、中空樹脂粒子の強度に優れる。
【0098】
カルボキシル基含有活性水素化合物は、2つの活性水素基(水酸基、アミノ基など)および1つのカルボキシル基を併有する有機化合物である。
【0099】
なお、カルボキシル基は、後述する中和剤によって、塩を形成していてもよい。
【0100】
カルボキシル基含有活性水素化合物としては、例えば、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールノナン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などが挙げられ、好ましくは、2,2−ジメチロールプロピオン酸が挙げられる。
【0101】
これらカルボキシル基含有活性水素化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0102】
活性水素基含有成分は、多価アルコールと、カルボキシル基含有活性水素化合物とを含む(第1活性水素基含有成分)か、または、多価アルコールを含まず、カルボキシル基含有活性水素化合物を含む(第2活性水素基含有成分)。
【0103】
第1活性水素基含有成分は、多価アルコールと、カルボキシル基含有活性水素化合物とを含み、好ましくは、多価アルコールと、カルボキシル基含有活性水素化合物とからなる。
【0104】
第2活性水素基含有成分は、多価アルコールを含まず、カルボキシル基含有活性水素化合物を含み、好ましくは、カルボキシル基含有活性水素化合物からなる。
【0105】
活性水素基含有成分が、カルボキシル基含有活性水素化合物を含めば、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整できる。
【0106】
また、活性水素基含有成分が、カルボキシル基含有活性水素化合物とともに、多価アルコールを含めば、後述する疎水性溶剤の相溶性が高まることで、中空樹脂粒子の体積平均粒子径をより一層調整でき、中空樹脂粒子の体積平均粒子径をより一層小さくできる。
【0107】
本発明においては、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分のうち、少なくともいずれか一方が環構造を有する化合物を含有する。
【0108】
具体的には、ウレタンプレポリマーの処方として、ポリイソシアネート成分が環構造を有する化合物を含有し、活性水素基含有成分は環構造を有する化合物を含有しない処方(第1処方)、ポリイソシアネート成分が環構造を有する化合物を含有せず、活性水素基含有成分が環構造を有する化合物を含有する処方(第2処方)、および、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分の両方が、環構造を有する化合物を含有する処方(第3処方)が挙げられる。
【0109】
つまり、ウレタンプレポリマーの処方として、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分の両方が、環構造を有する化合物を含有しない処方は、本発明に含まれない。
【0110】
より具体的には、第1処方は、環構造を有するポリイソシアネートと、環構造を有しないカルボキシル基含有活性水素化合物とを含み、好ましくは、環構造を有するポリイソシアネートと、環構造を有しない多価アルコールと、環構造を有しないカルボキシル基含有活性水素化合物とを含む。
【0111】
また、第2処方は、環構造を有しないポリイソシアネートと、環構造を有する多価アルコールと、カルボキシル基含有活性水素化合物とを含み、好ましくは、環構造を有しないポリイソシアネートと、環構造を有する多価アルコールと、環構造を有しないカルボキシル基含有活性水素化合物とを含む。
【0112】
また、第3処方は、環構造を有するポリイソシアネートと、環構造を有する多価アルコールと、カルボキシル基含有活性水素化合物とを含み、好ましくは、環構造を有するポリイソシアネートと、環構造を有する多価アルコールと、環構造を有しないカルボキシル基含有活性水素化合物とを含む。
【0113】
ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分のうち、少なくともいずれか一方が環構造を有する化合物を含有すれば、中空樹脂粒子の強度に優れる。
【0114】
これらの処方のうち、好ましくは、ポリイソシアネート成分が環構造を有する化合物を含有する処方(すなわち、第1処方、第3処方)が挙げられる。
【0115】
ポリイソシアネート成分が環構造を有する化合物を含有すれば、中空樹脂粒子の強度により一層優れる。
【0116】
これらの処方のうち、より好ましくは、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分の両方が環構造を有する化合物を含有する処方(すなわち、第3処方)が挙げられる。
【0117】
ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分の両方が環構造を有する化合物を含有すれば、中空樹脂粒子の強度のさらなる向上を図ることができる。
【0118】
そして、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させるには、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを、活性水素基に対するイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、過剰となる割合、例えば、1.25以上、好ましくは、1.55以上、また、例えば、21.2以下、好ましくは、2.85以下になるように、配合する。
【0119】
反応条件として、大気圧下、反応温度は、例えば、40℃以上、好ましくは、60℃以上であり、また、例えば、100℃以下である。また、反応時間は、例えば、1時間以上であり、また、例えば、24時間以下である。
【0120】
なお、この反応においては、必要に応じて、例えば、アミン系、スズ系、鉛系などのウレタン化触媒を添加してもよく、また、反応終了後には、必要に応じて、未反応のポリイソシアネート成分を、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により、除去することもできる。
【0121】
これによって、反応生成物(すなわち、ウレタンプレポリマー)の分子末端が、イソシアネート基となる。好ましくは、反応生成物の主鎖の両末端がイソシアネート基となる。
【0122】
反応生成物の主鎖の両末端がイソシアネート基となるには、好ましくは、ジイソシアネートと、カルボキシル基含有活性水素化合物と、必要により、2価アルコールとを反応させる。
【0123】
なお、ウレタンプレポリマーは、側鎖(分子末端以外)に、イソシアネート基を有していてもよい。
【0124】
ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の含有量(固形分換算値)は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、35質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
【0125】
なお、イソシアネート基の含有量は、電位差滴定装置を用いて、JIS K−1603に準拠したn−ジブチルアミン法により測定できる。
【0126】
ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の含有量が、上記の下限以上であれば、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整でき、かつ、中空樹脂粒子の強度に優れる。
【0127】
反応方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合などの公知の重合方法が挙げられ、好ましくは、溶液重合が挙げられる。
【0128】
溶液重合では、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分と溶媒中に配合して、例えば、窒素雰囲気下で、重合する。
【0129】
溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエーテルエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、2−エチルヘキシル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類などが挙げられ、好ましくは、エステル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類が挙げられ、より好ましくは、酢酸エチル、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンが挙げられる。
【0130】
溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0131】
溶媒中で、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させた場合には、溶媒中のウレタンプレポリマーの固形分濃度は、例えば、50質量%以上、好ましくは、70質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下である。
【0132】
なお、このような場合には、ウレタンプレポリマーは、溶媒を含む反応液のまま、次の工程において、用いることができる。
【0133】
次いで、ウレタンプレポリマーと疎水性溶剤とを混合して混合液を調製し、その混合液に水を添加し、ウレタンプレポリマーにより疎水性溶剤を内包したウレタンプレポリマー液滴を得る工程では、ウレタンプレポリマーと疎水性溶剤とを混合して混合液を調製し、その混合液に水を添加する。これによって、ウレタンプレポリマーにより疎水性溶剤を内包したウレタンプレポリマー液滴を得る。
【0134】
具体的には、まず、ウレタンプレポリマーと疎水性溶剤とを混合して混合液を調製する。
【0135】
疎水性溶剤としては、上記した溶媒と同様の溶媒が挙げられる。
【0136】
疎水性溶剤の配合割合(反応液のまま用いる場合には、反応液の溶媒と疎水性溶剤との総量)は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、例えば、150質量部以上、好ましくは、200質量部以上であり、また、例えば、600質量部以下である。
【0137】
また、混合液には、必要により、架橋剤を配合することもできる。
【0138】
混合液に架橋剤を配合すれば、ウレタン・ウレア樹脂(後述)が、架橋剤により架橋されるので、中空樹脂粒子の強度に優れる。
【0139】
架橋剤としては、例えば、シランカップリング剤、例えば、カルボジイミド基、オキサゾリン基、エポキシ基のうち、少なくとも1つを有する化合物、例えば、メラミン化合物などが挙げられる。
【0140】
シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミンなどのアミノ基含有シランカップリング剤、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、例えば、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランなどのインシアネート基含有シランカップリング剤、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤などが挙げられる。
【0141】
カルボジイミド基、オキサゾリン基、エポキシ基のうち、少なくとも1つを有する化合物としては、例えば、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤などが挙げられる。
【0142】
メラミン化合物としては、例えば、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂などのアルキル化メラミン樹脂などが挙げられる。
【0143】
架橋剤としては、好ましくは、i)シランカップリング剤、ii)カルボジイミド基、オキサゾリン基、エポキシ基のうち、少なくとも1つを有する化合物、iii)メラミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0144】
架橋剤が、i)シランカップリング剤、ii)カルボジイミド基、オキサゾリン基、エポキシ基のうち、少なくとも1つを有する化合物、iii)メラミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種であれば、ウレタン・ウレア樹脂(後述)が、上記の架橋剤により架橋されるので、中空樹脂粒子の強度に優れる。
【0145】
また、架橋剤としては、より好ましくは、シランカップリング剤、より好ましくは、インシアネート基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、さらに好ましくは、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0146】
これら架橋剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0147】
架橋剤の配合割合は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、30質量部以下である。
【0148】
また、架橋剤は、後述するように、ウレタンプレポリマーと、活性水素基を有する鎖伸長化合物とを反応させた後に加えてもよい。
【0149】
また、混合液に架橋剤を配合する場合には、必要により、架橋触媒を配合することもできる。
【0150】
架橋触媒としては、パラトルエンスルホン酸のトリエチルアミン中和物、ドデシルベンゼンスルホン酸のトリエチルアミン中和物などの有機酸のアミン塩などが挙げられ、とりわけ、架橋剤が、メラミン化合物である場合には、好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸のトリエチルアミン中和物が挙げられる。
【0151】
これら架橋触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0152】
架橋触媒の配合割合は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、4質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下である。
【0153】
また、架橋触媒は、後述するように、ウレタンプレポリマーと、活性水素基を有する鎖伸長化合物とを反応させた後に加えてもよい。
【0154】
次いで、その混合液に水を一括、あるいは、分割して、添加する。
【0155】
また、ウレタンプレポリマーの反応性が高い場合には、混合液の温度を、必要により、例えば、20℃以下に調整する。
【0156】
このとき、水中に疎水性溶剤が分散される一方、ウレタンプレポリマーの分子骨格部分が疎水性溶剤と親和し、カルボキシル基が水と親和することから、ウレタンプレポリマーは、水と疎水性溶剤との間に介在する。
【0157】
具体的には、ウレタンプレポリマーは、水中で疎水性溶剤を包む。
【0158】
これにより、ウレタンプレポリマーにより疎水性溶剤を内包したウレタンプレポリマー液滴を得る。
【0159】
このようなウレタンプレポリマー液滴は、水中に分散されている。つまり、ウレタンプレポリマー液滴を含む水分散液が得られる。
【0160】
ウレタンプレポリマーは、カルボキシル基を有しているため、別途、分散剤を配合しなくても、ウレタンプレポリマー液滴は、水との混合で容易に分散される。
【0161】
また、上記したように、混合液に水を添加する転相乳化法であれば、水に混合液を添加する順相乳化法と比べて、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整できる。
【0162】
次いで、ウレタンプレポリマーと、活性水素基を有する鎖伸長化合物とを反応させて、疎水性溶剤を内包したウレタン・ウレア樹脂からなる樹脂粒子を得る工程では、ウレタンプレポリマーと、活性水素基を有する鎖伸長化合物(以下、鎖伸長化合物とする。)とを反応させる。これによって、疎水性溶剤を内包したウレタン・ウレア樹脂からなる樹脂粒子を得る。
【0163】
鎖伸長化合物としては、例えば、水、例えば、アミノ基、水酸基などの活性水素基を2つ以上(好ましくは、2つ)有する化合物が挙げられる。
【0164】
鎖伸長化合物としては、例えば、アミノ基含有化合物、水酸基含有化合物などが挙げられる。
【0165】
アミノ基含有化合物としては、例えば、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、アミノアルコール、ポリオキシエチレン基含有ポリアミン、第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物、ヒドラジンまたはその誘導体などが挙げられる。
【0166】
芳香族ポリアミンとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミンなどの芳香族ジアミンが挙げられる。
【0167】
芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、キシリレンジアミン(1,3−または1,4−キシリレンジアミンもしくはその混合物)などの芳香脂肪族ジアミンが挙げられる。
【0168】
脂環族ポリアミンとしては、例えば、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(別名:イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびそれらの混合物などの脂環族ジアミンが挙げられる。
【0169】
脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタンなどの脂肪族ジアミンが挙げられる。
【0170】
アミノアルコールとしては、例えば、2−((2−アミノエチル)アミノ)エタノール(別名:N−(2−アミノエチル)エタノールアミン)、2−((2−アミノエチル)アミノ)−1−メチルプロパノール(別名:N−(2−アミノエチル)イソプロパノールアミン)などが挙げられる。
【0171】
ポリオキシエチレン基含有ポリアミンとしては、例えば、ポリオキシエチレンエーテルジアミンなどのポリオキシアルキレンエーテルジアミンが挙げられる。
【0172】
第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどの第1級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン)などの第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物などが挙げられる。
【0173】
ヒドラジンまたはその誘導体としては、例えば、ヒドラジン(水和物を含む)、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
【0174】
アミノ基含有化合物として、好ましくは、ヒドラジンが挙げられ、より好ましくは、ヒドラジン一水和物が挙げられる。
【0175】
水酸基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール(1,2−または1,3−または1,4−ブチレングリコール、)、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜20)ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコールが挙げられる。
【0176】
これら鎖伸長化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0177】
鎖伸長化合物として、好ましくは、アミノ基含有化合物が挙げられる。
【0178】
この反応においては、具体的には、ウレタンプレポリマー液滴が分散されている水中に、鎖伸長化合物を添加し、撹拌する。
【0179】
具体的には、鎖伸長化合物の活性水素基に対するウレタンプレポリマーのイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、0.50以上、好ましくは、0.67以上、また、例えば、1.43以下、好ましくは、1.35以下となるように、鎖伸長化合物を添加する。
【0180】
また、この反応では、必要により、中和剤、ポリアクリル酸ソーダなどの分散剤を配合し、必要より、加熱し、撹拌する。
【0181】
中和剤は、カルボキシル基を中和するために配合され、例えば、3級アミンなどが挙げられる。
【0182】
3級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−メチルピペリジンまたはN−エチルピペリジンなどの3級モノアミン、例えば、1,3−ビス−(ジメチルアミノ)−プロパン、1,4−ビス−(ジメチルアミノ)−ブタン、N,N'−ジメチルピペラジンなどの3級ジアミンなどが挙げられる。
【0183】
中和剤の配合割合は、ウレタンプレポリマー1モルに対して、例えば、0.02モル以上、また、例えば、1モル以下である。
【0184】
分散剤の配合割合は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下である。
【0185】
加熱温度は、例えば、10℃以上であり、また、例えば、80℃以下である。
【0186】
加熱(撹拌)時間は、例えば、1時間以上であり、また、例えば、24時間以下である。
【0187】
なお、鎖伸長化合物が水である場合には、ウレタンプレポリマーと疎水性溶剤とを混合して混合液に水を添加し、必要により、上記の条件で加熱し、撹拌することでウレタンプレポリマーと鎖伸長化合物とが反応する。
【0188】
この反応では、疎水性溶剤と水との界面でウレタンプレポリマーと鎖伸長化合物とが界面重合する。すなわち、ウレタンプレポリマー液滴の表面のウレタンプレポリマーが、鎖伸長化合物と反応する。
【0189】
そのため、この反応により、疎水性溶剤を内包したウレタン・ウレア樹脂からなる樹脂粒子を得られる。
【0190】
このような樹脂粒子は、水中に分散されている。
【0191】
ウレタン・ウレア樹脂は、ウレタン基および/またはウレア基を含む重合体である。
【0192】
具体的には、鎖伸長化合物が、水、または、アミノ基含有化合物である場合には、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と、水、または、アミノ基含有化合物のアミノ基とが反応し、ウレア結合が形成され、ウレア樹脂が得られる(ウレタンポリマー中のウレタン基を考慮すると、ウレタン−ウレア樹脂(後述)でもある。)。
【0193】
また、鎖伸長化合物が、水酸基含有化合物である場合には、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と、水酸基含有化合物の水酸基とが反応し、ウレタン結合が形成され、ウレタン樹脂が得られる。
【0194】
また、鎖伸長化合物が、水またはアミノ基含有化合物、および、水酸基含有化合物である場合には、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と、水、または、アミノ基含有化合物のアミノ基とが反応し、ウレア結合が形成される一方、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と、水酸基含有化合物の水酸基とが反応し、ウレタン結合が形成され、ウレタン−ウレア樹脂が得られる。
【0195】
つまり、ウレタン・ウレア樹脂は、ウレタンプレポリマーと、鎖伸長化合物との反応生成物を含み、好ましくは、ウレタンプレポリマーと、鎖伸長化合物との反応生成物からなる。
【0196】
ウレタン・ウレア樹脂が、ウレタンプレポリマーと、鎖伸長化合物との反応生成物を含めば、ウレタン・ウレア樹脂により疎水性溶剤を内包することができる。
【0197】
樹脂粒子において、ウレタン・ウレア樹脂および疎水性溶剤の総量に対するカルボキシル基の含有量は、例えば、0.074質量%以上、好ましくは、0.15質量%以上、より好ましくは、0.22質量%以上であり、また、例えば、2.5質量%以下、好ましくは、1.25質量%以下、より好ましくは、0.58質量%以下、さらに好ましくは、0.44質量%以下、とりわけ好ましくは、0.37質量%以下である。
【0198】
上記のカルボキシル基の含有量が、上記の下限以上および上記の上限以下であれば、中空樹脂粒子の粒子径を調整することができる。
【0199】
次いで、樹脂粒子おいて内包された疎水性溶剤を除去して、ウレタン・ウレア樹脂からなり、内部が中空である中空樹脂粒子を得る工程では、樹脂粒子おいて内包された疎水性溶剤を除去する。これによって、ウレタン・ウレア樹脂からなり、内部が中空である中空樹脂粒子を得る。
【0200】
樹脂粒子おいて内包された疎水性溶剤を除去するには、疎水性溶剤を内包したウレタン・ウレア樹脂からなる樹脂粒子が水に分散されている水分散液を、減圧し、ウレタン・ウレア樹脂に内包された疎水性溶剤を気化させ、水と置換する。その結果、樹脂粒子の内部が中空となる。
【0201】
これにより、ウレタン・ウレア樹脂からなり、内部が中空である中空樹脂粒子が得られる。
【0202】
このような中空樹脂粒子は、水中に分散されている。
【0203】
このウレタン・ウレア樹脂は、カルボキシル基を有する。詳しくは、ウレタン・ウレア樹脂は、カルボキシル基含有活性水素化合物に由来するカルボキシル基を有する。
【0204】
ウレタン・ウレア樹脂中のカルボキシル基の含有量は、0.3質量%以上、好ましくは、0.6質量%以上、より好ましくは、0.89質量%以上であり、また、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、2.3質量%以下、さらに好ましくは、1.75質量%以下、とりわけ好ましくは、1.47質量%以下である。
【0205】
ウレタン・ウレア樹脂中のカルボキシル基の含有量が、上記の下限以上、および、上記の上限以下であれば、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整することができる。
【0206】
なお、ウレタン・ウレア樹脂中のカルボキシル基の含有量は、仕込み量から算出することができる。
【0207】
得られた中空樹脂粒子では、ウレタン・ウレア樹脂が、カルボキシル基を有するため、中空樹脂粒子の体積平均粒子径が調整されており、具体的には、活性水素基含有成分が、活性水素基含有成分が第1活性水素基含有成分であれば、例えば、0.5μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm以下であり、また、活性水素基含有成分が、活性水素基含有成分が第2活性水素基含有成分であれば、0.5μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0208】
なお、体積平均粒子径の測定方法は、後述する実施例で詳述する。
【0209】
中空樹脂粒子の体積平均粒子径が、上記の上限以下であれば、例えば、中空樹脂粒子を含む樹脂を基材に塗工する際、塗膜の平滑性が向上する。
【0210】
中空樹脂粒子の体積平均粒子径が、上記の下限以上であれば、断熱性に優れる。
【0211】
また、この中空樹脂粒子の製造方法では、ウレタンプレポリマーは、カルボキシル基を有しているため、安定して分散することができる。そのため、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整することができる。
【0212】
また、中空樹脂粒子は、内部が中空である。そして、この中空樹脂粒子は、中空樹脂粒子の体積平均粒子径が調整されているため、中空樹脂粒子は、内部が中空であっても、強度に優れ、また、内部空間を大きくすることができ、断熱性に優れる。
【0213】
中空樹脂粒子の体積中空率は、例えば、30%以上、好ましくは、60%以上であり、また、例えば、95%以下、好ましくは、85%以下である。
【0214】
中空樹脂粒子の体積中空率が、上記の上限以下であれば、強度に優れる。
【0215】
中空樹脂粒子の体積中空率が、上記の下限以上であれば、断熱性に優れる。
【0216】
なお、体積中空率の測定方法は、後述する実施例で詳述する。
【0217】
また、このウレタン・ウレア樹脂は、環構造を有する。詳しくは、ウレタン・ウレア樹脂は、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分のうち、少なくともいずれか一方に由来する環構造を有する。
【0218】
得られた中空樹脂粒子では、ウレタン・ウレア樹脂が、環構造を有するため、強度に優れる。
【0219】
つまり、このような中空樹脂粒子は、内部が中空であり、カルボキシル基および環構造を有するウレタン・ウレア樹脂からなる。
【0220】
そのため、中空樹脂粒子の体積平均粒子径が調整されており、かつ、強度に優れる。
【0221】
また、中空樹脂粒子の内部(中空部分)に、香料、染料、蓄熱材、薬剤、紫外吸収剤、無機顔料などを内包させることもできる。
【0222】
なお、上記した説明では、ウレタンプレポリマーと疎水性溶剤とを混合して混合液を調製し、その混合液に水を添加し、ウレタンプレポリマーにより疎水性溶剤を内包したウレタンプレポリマー液滴を得る工程において、分散剤を配合することなく、ウレタンプレポリマーを分散しているが、分散剤を配合して、ウレタンプレポリマーを分散してもよい。
【0223】
また、上記した説明では、ウレタンプレポリマーと疎水性溶剤とを混合して混合液を調製し、その混合液に水を添加し、ウレタンプレポリマーにより疎水性溶剤を内包したウレタンプレポリマー液滴を得る工程において、混合液に水を添加する(転相乳化法)が、水に混合液を添加(順相乳化法)してもよい。
【0224】
このような中空樹脂粒子は、例えば、感熱記録材料、農薬、医薬、香料、液晶、接着剤などの分野において用いることができ、とりわけ、感熱記録材料に、好適に用いることができる。
【0225】
そのため、支持層と、断熱層と、感熱記録層とを順に備える感熱記録材料において、この中空樹脂粒子を断熱層に含有させることが好適である。
【0226】
具体的には、
図1において、感熱記録材料1は、支持層2と、断熱層3と、感熱記録層4とを順に備える。
【0227】
感熱記録材料1は、熱によって、色を変化させる材料であって、例えば、感熱記録紙、熱転写受容紙などが挙げられる。
【0228】
支持層2としては、例えば、紙、プラスチックシートなどが挙げられる。支持層2の厚みは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0229】
断熱層3は、感熱記録層4を発色させるために感熱ヘッドから与えられる熱の放散を防ぐ層である。
【0230】
断熱層3は、上記の中空樹脂粒子と、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、スチレン/ブタジエン エマルション、アクリルエマルションなどのバインダー樹脂とを含む。断熱層3の厚みは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0231】
感熱記録層4は、上記のバインダー樹脂と、染料と、顕色剤とを含む。
【0232】
染料としては、例えば、フロオラン系有機染料、トリアリルメタン系有機染料、フェノキシアジン系有機染料などの公知の塩基性有機染料が挙げられる。
【0233】
顕色剤としては、特に制限されず、例えば、フェノール性化合物、芳香族カルボン酸などの公知の顕色剤が挙げられる。
【0234】
感熱記録層4の厚みは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0235】
感熱記録材料1を製造するには、まず、支持層2上に、断熱層3を形成する。
【0236】
断熱層3を形成するには、中空樹脂粒子とバインダー樹脂との混合物を、カーテンコート法、ロールコート法、ブレードコート法などの公知のコート法によって、塗布し、その後、乾燥させる。
【0237】
次いで、断熱層3上に、感熱記録層4を形成する。
【0238】
感熱記録層4を形成するには、上記のバインダー樹脂と、染料と、顕色剤との混合物を、カーテンコート法、ロールコート法、ブレードコート法などの公知のコート法によって、塗布し、その後、乾燥させる。
【0239】
これにより、感熱記録材料1が得られる。
【0240】
そして、このような感熱記録材料1において、断熱層3は上記の中空樹脂粒子を含んでいる。そのため、感熱記録材料1は、断熱性に優れる。
【0241】
また、上記した説明では、感熱記録材料1は、支持層2、断熱層3および感熱記録層4からなるが、例えば、支持層2と断熱層3との間や、断熱層3と感熱記録層4との間に、中間層(図示せず)が介在されていてもよい。
【0242】
また、感熱記録層4の上に、オーバーコート層(図示せず)が配置されていてもよい。このような場合には、感熱記録材料1は、支持層2と、断熱層3と、感熱記録層4と、オーバーコート層(図示せず)とを順に備える。
【0243】
また、支持層2の下に、バックコート層(図示せず)が配置されていてもよい。このような場合には、感熱記録材料1は、バックコート層(図示せず)と、支持層2と、断熱層3と、感熱記録層4とを順に備える。
【0244】
また、感熱記録材料1は、上記のオーバーコート層(図示せず)および上記のバックコート層(図示せず)の両方を備えることもできる。このような場合には、感熱記録材料1は、バックコート層(図示せず)と、支持層2と、断熱層3と、感熱記録層4とオーバーコート層(図示せず)とを順に備える。
【実施例】
【0245】
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。また、以下の記載において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。
【0246】
1. 成分および装置の詳細
各合成例、各実施例
、各参考比較例および各比較例で用いた各成分を以下に記載する。
IPDI:3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート
H
6XDI:1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
XDI:1,3−キシリレンジイソシアネート
HDI:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
D−170N:HDIのイソシアヌレート誘導体
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
BA−P2M:2,2−ビス(4−ポリオキシプロピレンオキシフェニル)プロパン
NPG:ネオペンチルグリコール
EG:エチレングリコール
1,4−BG:1,4−ブチレングリコール
TMP:トリメチロールプロパン
DMPA:2,2−ジメチロールプロピオン酸
EA:酢酸エチル
MCH:メチルシクロヘキサン
CH:シクロヘキサン
XY:キシレン
TEA:トリエチルアミン
ポイズ530:ポリアクリル酸ソーダ
KBE−9007:3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業社製
KBM−803:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製
サイメル325:メチル化メラミン樹脂、allnex社製
ユーバン225:ブチル化メラミン樹脂、三井化学社製
2.ウレタンプレポリマーの調製
合成例1
電磁誘導攪拌機、還流冷却管、窒素導入管を取り付けたガラスフラスコに、CHDM 15.0質量部、DMPA 3.8質量部および溶剤としてEA 20.0質量部を加え、撹拌下で40℃に昇温した。次いで、IPDI 61.2質量部を添加し、窒素雰囲気
下、70〜80℃で、イソシアネート基濃度が12.0%以下になるまで反応させることで、ウレタンプレポリマーを得た。固形分濃度は79.1%、NCO基濃度は11.8%であった。
【0247】
合成例2〜13、15、16
配合処方を、表1の記載に従って変更した以外は、合成例1と同様に処理して、ウレタンプレポリマーを得た。
【0248】
なお、合成例10では、XDIを約1時間かけて滴下し、窒素雰囲気下、50〜60℃で、NCO基濃度が12.0%以下になるまで反応させた。
【0249】
また、合成例12では、HDIを約1時間かけて滴下し、窒素雰囲気下、50〜60℃で、NCO基濃度が12.0%以下になるまで反応させた。
【0250】
合成例14
電磁誘導撹拌機、還流冷却付きのフラスコに、D−170N 48.2質量部、グリコール酸 1.8質量部、および、EA 50.0質量部を入れた。次いで、50℃で1時間、さらに、80℃で12時間加熱撹拌することで、ウレタンプレポリマーを得た。固形分濃度は50.2%、イソシアネート基濃度は11.4%であった。
3.中空樹脂粒子の製造
実施例1
合成例1で得たウレタンプレポリマー 75.0質量部、EA 55.0質量部、MCH 70.0、TEA 2.2質量部を混合し、混合液を調製した。次いで、混合液を特殊機化工業社製TKホモミキサー(鋸歯型)を用いて、1000rpmで撹拌しながら、混合液に蒸留水240.0質量部を3回に分けて10分毎に添加した。これにより、ウレタンプレポリマーにより、EAおよびMCHを内包したウレタンプレポリマー液滴を含む水分散液を得た。
【0251】
次いで、ウレタンプレポリマー液滴が分散されている水中に、ヒドラジン・一水和物 5.4質量部を添加し、室温下で2時間撹拌した後、ポイズ530 8.2質量部を加えてさらに30分撹拌した。その後、この水分散液を攪拌機、還流冷却付きのフラスコに移液して45℃で3時間撹拌した。これにより、EAおよびMCHを内包したウレア樹脂(ウレタン−ウレア樹脂)からなる樹脂粒子を含む水分散液を得た。
【0252】
その後、この水分散液を、減圧し、樹脂粒子に内包されたEAおよびMCHを留去し、中空樹脂粒子を含む水分散液を得た。
【0253】
実施例2〜
8、15〜17、19、20
、参考比較例9〜14、18および比較例1〜4
配合処方を、表2〜表4の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様に処理して、中空樹脂粒子を含む水分散液を得た。
【0254】
なお、実施例2〜
8、15〜17、19、20
、参考比較例9〜14、18および比較例1、2、4では、ウレタンプレポリマーとともに、架橋剤を配合し、混合液を調製した。
【0255】
また、実施例15では、混合液の温度を、20℃以下に調整したまま、蒸留水を添加した。
【0256】
また、実施例16では、混合液の温度を、10℃以下に調整したまま、蒸留水を添加した。
【0257】
また、実施例17では、混合液の温度を、15℃以下に調整したまま、蒸留水を添加した。
【0258】
また、実施例19および実施例20では、ポイズ530を加えて30分撹拌した後、ドデシルベンゼンスルホン酸のトリエチルアミン中和物を9.0質量部加えて、30分撹拌し、その後、水分散液を攪拌機、還流冷却付きのフラスコに移液した。
【0259】
また、比較例1では、混合液の温度を、15℃以下に調整したまま、蒸留水を添加した。
【0260】
また、比較例2では、混合液の温度を、15℃以下に調整したまま、蒸留水を添加した。
【0261】
また、比較例3では、混合液の温度を、15℃以下に調整したまま、蒸留水を添加した。
【0262】
比較例5(外部乳化処方)
D−170N 20.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20.0質量部、XY 60.0質量部を混合し、混合液を調製した。次いで、特殊機化工業社製TKホモミキサー(鋸歯型)を用いて、1000rpmで撹拌しながら、分散剤としてのポリビニルピロリドン(PVP)6.0質量部を蒸留水296質量部に溶解させたものに、混合液を添加して5分間撹拌した。次いで、これを攪拌機、還流冷却付きのフラスコに移し、リン酸水素二ナトリウムの5%水溶液を16質量部、ヒドラジン・一水和物を2.5質量部添加して、室温で撹拌したところ、凝集物が大量に発生した。
4.評価
(体積平均粒子径)
各実施例
、各参考比較例および各比較例の中空樹脂粒子について、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を測定した。具体的には、試料1gと蒸留水10gとを30mLガラス製サンプル瓶に採取し、マグネティックスターラーで5分間撹拌した後、粒度分析計マイクロトラックHRA(日機装株式会社製)を用い、下記条件で粒度分布測定を実施した。
【0263】
Particle Transparency =Transp
Spherical Particles =Yes
Particle Refractive Index=1.50
Fluid Refractive Index =1.333
その結果を表2〜表4に示す。
【0264】
比較例5について、得られた凝集物を光学顕微鏡により、無作為に選んだ50個の中空樹脂粒子の粒子径を測定した。
【0265】
その結果を表2〜表4に示す。
(形状および体積中空率)
各実施例
、各参考比較例および各比較例の中空樹脂粒子について、中空樹脂粒子の形状を観察し、また、その体積中空率を測定した。具体的には、中空樹脂粒子を含む水分散液をアルミホイル上に塗布し、40℃で12時間以上乾燥し、塗膜を得た。次いで、この塗膜を、液体窒素に浸して凍結させた後、速やかに切断し、得られた切断面を電子顕微鏡により観察した。無作為に選んだ10個の中空樹脂粒子の粒子径および中空部分の径を測定し、中空率を計算した。得られた中空率の平均値を中空樹脂粒子の体積中空率とした。
【0266】
なお、比較例1について、切断面を見ると、粒子が中空であることは確認できるものの、つぶれており、中空率評価はできなかった。
【0267】
その結果を表2〜表4に示す。
(粒子径分布)
各実施例
、各参考比較例および各比較例の中空樹脂粒子について、中空樹脂粒子の粒子径分布を測定した。
【0268】
粒度分析計マイクロトラックHRAによる粒子径測定から得られた、粒子径の積算分布のデータに基づき(体積基準)、メインピークのピークトップ粒子径をAとしたとき、A−0.5A〜A+0.5Aの範囲に属する中空樹脂粒子の割合を求めた。
【0269】
粒子径分布に関して次の基準で優劣を評価した。その結果を表2〜表4に示す。
◎:60%以上
○:30%以上60%未満
×:30%未満
(強度評価)
(走査型電子顕微鏡での測定)
各実施例
、各参考比較例および各比較例の中空樹脂粒子について、中空樹脂粒子の強度を測定した。具体的には、中空樹脂粒子を含む水分散液をアルミホイル上に厚さ20〜30μmで塗布し、40℃で12時間以上乾燥し、塗膜を得た。得られた塗膜の表面と、塗膜の切断面を、走査型電子顕微鏡により倍率2000倍で観察した。塗膜の切断面は、塗膜を液体窒素に浸して凍結させた後に速やかに切断することにより得た。
【0270】
強度に関して次の基準で優劣を評価した。その結果を表2〜表4に示す。
◎:表面の粒子がすべて形状を維持、断面が空隙を保つ
○:表面の粒子が一部凹んでいる、断面が空隙を保つ
△:表面の粒子がすべて凹んでいる、断面が空隙を保つ
×表面の粒子がすべて凹んでいる、断面が空隙を維持できていない
(キャレンダー試験)
各実施例
、各参考比較例および各比較例の中空樹脂粒子について、中空樹脂粒子の強度を測定した。具体的には、蒸留水で不揮発分10%に調整した中空樹脂粒子を含む水分散液を市販のコート紙(坪量74g/m
2)の片面に、乾燥後の塗布量が2g/m
2となるように塗布し、エアドライヤー方式にて80℃で1分間乾燥させて、中空樹脂粒子を含む層(中空樹脂粒子層)を設け、中空樹脂粒子が塗工された塗工紙を得た。キャレンダー装置(「卓上キャレンダー 単板型」 由利ロール社製)を用いて、室温、線圧200kg/cm、処理速度2m/分で、この塗工紙にキャレンダー処理を施した。キャレンダー処理後の塗工紙の中空樹脂粒子層側の表面と、中空樹脂粒子層の切断面を、走査型電子顕微鏡により倍率2000倍で観察した。中空樹脂粒子層の切断面は、塗工紙を液体窒素に浸して凍結させた後、速やかに切断することにより得た。
【0271】
強度に関して次の基準で優劣を評価した。その結果を表2〜表4に示す。
○:表面の粒子が形状を維持している
×:表面の粒子がすべて潰れている
【0272】
【表1】
【0273】
【表2】
【0274】
【表3】
【0275】
【表4】
【0276】
5.考察
ウレタンプレポリマーが、カルボキシル基を有する実施例1〜
8、15〜17、19および20は、その体積平均粒子径を、1.2μm以上18μm以下に調整できたことがわかる。
【0277】
一方、カルボキシル基を有しないHDIのイソシアヌレート誘導体を、分散剤(ポリビニルピロリドン(PVP))を用いて、分散させた比較例5(外部乳化処方)では、分散が不均一となり、凝集物が大量に発生した。そのため、中空樹脂粒子の体積平均粒子径を調整できなかったことがわかる。
【0278】
また、ジイソシアネートと、2つの活性水素基および1つのカルボキシル基を併有するカルボキシル基含有活性水素化合物と、必要により、2価アルコールとを反応させた実施例1〜
8、15〜17、19および20は、中空樹脂粒子の粒子径分布が30%以上であり、中空樹脂粒子の粒子径を精度よく制御できたことがわかる。
【0279】
一方、HDIのイソシアヌレート誘導体(3官能)と、1つの活性水素基および1つのカルボキシル基を併有するグリコール酸とを反応させた比較例3では、中空樹脂粒子の粒子径分布が、30%未満となり、中空樹脂粒子の粒子径を精度よく制御できなかったことがわかる。
【0280】
ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分のうち、少なくともいずれか一方が環構造を有する化合物を含有する実施例1〜
8、15〜17、19および20は、ポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分の両方が、環構造を有する化合物を含有しない比較例1〜4に比べて、強度に優れることがわかる。
【0281】
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記請求の範囲に含まれる。