特許第6888193号(P6888193)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6888193
(24)【登録日】2021年5月24日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】太陽光パネル取付構造及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20210603BHJP
   E04D 3/00 20060101ALI20210603BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20210603BHJP
【FI】
   E04D13/18ETD
   E04D3/00 M
   H02S20/23 A
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-15231(P2017-15231)
(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公開番号】特開2018-123524(P2018-123524A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 利志也
(72)【発明者】
【氏名】大塚 公一郎
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−122271(JP,A)
【文献】 特開2014−080737(JP,A)
【文献】 実開昭60−017821(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0302928(US,A1)
【文献】 米国特許第09404262(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0112000(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
E04D 3/00
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1部材が互いに一部を重なり合わせるように並べられることで形成される第1働き長さを有する前記複数の第1部材が段差を介して傾斜方向に並んで配置されることで構成される既設の第1屋根材と、
複数の第2部材が互いに一部を重なり合わせるように並べられることで形成される第2働き長さを有する前記複数の第2部材が前記第1屋根材の傾斜方向に並んで配置されることで構成され、隣接する前記第2部材の一部が重ねられた状態で、前記第1屋根材を覆うように配置される新設の第2屋根材と、
前記第2屋根材の上方に配置される太陽光パネルと、
前記第2部材及び前記太陽光パネルを支持する支持部材と、
前記支持部材が固定されると共に、前記第1屋根材の前記段差以外の部分に配置される固定台と、を備える太陽光パネル取付構造であって、
複数の前記第2部材は、それぞれ、前記第1屋根材の傾斜方向において、前記第2働き長さが、前記第1働き長さの整数倍となるように、隣接する前記第2部材の重なり部分の長さを調整して配置される太陽光パネル取付構造。
【請求項2】
隣接する前記第2部材の重なり部分において、隣接する前記第2部材の間に配置される水密部材を更に備える請求項1に記載の太陽光パネル取付構造。
【請求項3】
前記水密部材は、隣接する前記第2部材のうちの一方の第2部材の上面と、隣接する前記第2部材のうちの他方の第2部材の下面との間に配置される第1水密部材である請求項2に記載の太陽光パネル取付構造。
【請求項4】
前記水密部材は、隣接する前記第2部材のうちの一方の第2部材の側面と、隣接する前記第2部材のうちの他方の第2部材の側面との間に配置される第2水密部材である請求項2に記載の太陽光パネル取付構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の太陽光パネル取付構造の施工方法であって、
前記固定台を前記段差以外の部分に配置する固定台配置工程と、
前記複数の第2部材を、それぞれ、前記第1屋根材の傾斜方向において、前記第2働き長さが、前記第1働き長さの整数倍となるように、隣接する前記第2部材の重なり部分の長さを調整して配置する第2部材配置工程と、を備える太陽光パネル取付構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネル取付構造及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リフォームなどにより、既設の屋根材の上方に、既設の屋根材を覆うように、新設の屋根材を配置する屋根構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、平面状の板材で形成された複数のスレートが重ねられて配置された屋根材に、太陽光パネルが取り付けられた太陽光パネル取付構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−63310号公報
【特許文献2】特開2008−95281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、既設の屋根材を覆うように新設の屋根材を配置する特許文献1に記載のような屋根構造を有する屋根に、太陽光パネルを取り付けたい場合がある。しかし、後から取り付けた新設の屋根材に太陽光パネルを固定するための固定台を取り付ける場合には、新設の屋根材の取り付けの強度を確保しないと、固定台を安定して取り付けることが難しくなり、太陽光パネルを固定するための固定台の取り付けの強度が弱くなる可能性がある。
【0005】
また、新設の屋根材の下方に配置される既設の屋根材に太陽光パネルを固定する固定台を取り付ける場合に、特許文献2の記載の太陽光パネル取付構造のようにスレートの平面部分に固定台を取り付ける構造であれば、固定台を安定して取り付けることができる。一方、複数のスレートの重なり部分の段差に、固定台を取り付ける必要性が生じることがある。複数のスレートの段差に固定台を取り付ける場合には、複数のスレートの段差に固定台を安定して取り付けることが難しくなり、太陽光パネルを固定するための固定台の取り付け強度が弱くなる可能性がある。
従って、既設の屋根材を覆うように新設の屋根材が配置される屋根構造において、太陽光パネルを設置する場合に、太陽光パネルを安定して設置できることが望まれる。
【0006】
本発明は、既設の屋根材を覆うように新設の屋根材が配置される構造において、太陽光パネルを安定して設置できる太陽光パネル取付構造及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1働き長さ(例えば、後述のスレート働き長さL1)を有する第1部材(例えば、後述のスレート131)が段差(例えば、後述の段差14)を介して傾斜方向に複数並んで配置されることで構成される既設の第1屋根材(例えば、後述の第1屋根材13)と、第2働き長さ(例えば、後述のルーフ板側働き長さL2)を有する第2部材(例えば、後述のルーフ板41)が前記第1屋根材の傾斜方向に複数並んで配置されることで構成され、隣接する前記第2部材の一部が重ねられた状態で、前記第1屋根材を覆うように配置される新設の第2屋根材(例えば、後述の第2屋根材4)と、前記第2屋根材の上方に配置される太陽光パネル(例えば、後述の太陽光発電パネル53)と、前記第2部材及び前記太陽光パネルを支持する支持部材(例えば、後述の支持金具3)と、前記支持部材が固定されると共に、前記第1屋根材の前記段差以外の部分に配置される固定台(例えば、後述の固定台22)と、を備える太陽光パネル取付構造(例えば、後述の太陽光パネル取付構造1)であって、複数の前記第2部材は、それぞれ、前記第1屋根材の傾斜方向において、前記第2働き長さが、前記第1働き長さの整数倍となるように、隣接する前記第2部材の重なり部分の長さを調整して配置される太陽光パネル取付構造に関する。
【0008】
また、隣接する前記第2部材の重なり部分において、隣接する前記第2部材の間に配置される水密部材(例えば、後述の第1シール部材23、第2シール部材24)を更に備えることが好ましい。
【0009】
また、前記水密部材は、隣接する前記第2部材のうちの一方の第2部材の上面と、隣接する前記第2部材のうちの他方の第2部材の下面との間に配置される第1水密部材(例えば、後述の第1シール部材23)であることが好ましい。
【0010】
また、前記水密部材は、隣接する前記第2部材のうちの一方の第2部材の側面と、隣接する前記第2部材のうちの他方の第2部材の側面との間に配置される第2水密部材(例えば、後述の第2シール部材24)であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、前記太陽光パネル取付構造の施工方法であって、前記固定台を前記段差以外の部分に配置する固定台配置工程と、前記複数の第2部材を、それぞれ、前記第1屋根材の傾斜方向において、前記第2働き長さが、前記第1働き長さの整数倍となるように、隣接する前記第2部材の重なり部分の長さを調整して配置する第2部材配置工程と、を備える太陽光パネル取付構造の施工方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既設の屋根材を覆うように新設の屋根材が配置される構造において、太陽光パネルを安定して設置できる太陽光パネル取付構造及びその施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る太陽光パネル取付構造の断面図である。
図2】第1実施形態に係る太陽光パネル取付構造の拡大断面図である。
図3】第1実施形態に係る太陽光パネル取付構造の斜視図である。
図4】第1実施形態に係る太陽光パネル取付構造の支持金具が配置されている部分における断面図である。
図5】第1実施形態に係る太陽光パネル取付構造の支持金具が配置されていない部分における断面図である。
図6】第2屋根材の働き長さが未調整の場合におけるルーフ板の配置を示す断面図であって、(a)は、支持金具が配置されている部分における断面図であり、(b)は、支持金具が配置されていない部分における断面図である。
図7】第2実施形態に係る太陽光パネル取付構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態に係る太陽光パネル取付構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る太陽光パネル取付構造1の断面図である。図2は、第1実施形態に係る太陽光パネル取付構造1の拡大断面図である。図3は、第1実施形態に係る太陽光パネル取付構造1の斜視図である。
【0015】
本実施形態の太陽光パネル取付構造1は、図1に示すように、既設の第1屋根材13の上方に、新設の第2屋根材4を設置し、新設の第2屋根材4の上方に、太陽光発電パネル53を設置する構造である。本実施形態では、既設の第1屋根材13及び新設の第2屋根材4は、上方側に配置される棟側から、下方側に配置される軒側まで下り傾斜で傾斜する。
【0016】
太陽光パネル取付構造1は、既設の第1屋根材13が設置される既設構造10として、複数の垂木11と、下地材12と、第1屋根材13を構成する複数のスレート131(第1部材)と、を備える。複数の垂木11は、それぞれ、第1屋根材13の傾斜方向に延びる。複数の垂木11は、第1屋根材13の傾斜方向に直交する方向に離間して配置される。
【0017】
下地材12は、図1及び図2に示すように、野地板121と、第1防水シート122と、を備える。下地材12は、第1屋根材13を構成する複数のスレート131の下地となる。
【0018】
野地板121は、建物の屋根の骨組みである複数の垂木11の上に張られて配置される。野地板121は、所定の傾斜角度で傾斜して傾斜方向に延びる。野地板121の傾斜角度は、建物の屋根の傾斜角度となる。本実施形態においては、屋根の傾斜方向は、野地板121の傾斜方向と一致する。野地板121としては、合板等の板材が用いられる。
【0019】
第1防水シート122は、野地板121上に配置される。この第1防水シート122により、既設の第1屋根材13を備える屋根構造の防水性が高められる。第1防水シート122としては、板紙にアスファルトを含浸させたアスファルトルーフィング等の防水材料が用いられる。
【0020】
下地材12の上方には、野地板121の傾斜角度と同じ傾斜角度になるように、後述する既設の第1屋根材13が配置され、既設の第1屋根材13の上方には、後述する新設の第2屋根材4が配置される。
【0021】
第1屋根材13は、複数のスレート131を有する。本実施形態においては、スレート131は、平面状の板材により形成される。複数のスレート131は、第1防水シート122上において、所定の重なり幅でオーバーラップされて連続して配置されている。複数のスレート131は、スレート131の棟側(上方側)の端部側の上面に、別のスレート131の軒側(下方側)の端部側が重なって、連続して配置されている。複数のスレート131は、それぞれ、図1に示すように、ボルト101により、野地板121及び垂木11に固定されている。
【0022】
既設の第1屋根材13における2枚のスレート131が重なった部分の境界には、図2及び図3に示すように、棟側(上方側)のスレート131が上段に位置し、かつ、軒側(下方側)のスレート131が下段に位置することにより、段差14が形成される。段差14は、上方側のスレート131の傾斜方向の軒側の端面により形成され、スレート131の上面における第1屋根材13の傾斜方向の軒側の端部から立ち下がるように野地板121側に延びる。
【0023】
図2に示すように、第1屋根材13は、スレート131が段差14を介して傾斜方向に複数並んで配置されることで構成される。隣接するスレート131には、段差14を境にして、第1屋根材13の傾斜方向における上方側の棟側に形成される上方段差面141と、第1屋根材13の傾斜方向において上方段差面141よりも下方側の軒側に配置される下方段差面142と、が形成される。上方段差面141及び下方段差面142は、それぞれ、段差がない平面状に形成され、段差14を挟んで、屋根の傾斜方向に並んで配置される。本実施形態においては、上方段差面141及び下方段差面142について、特に区別がない場合には、段差上面140という場合がある。第1屋根材13の複数の段差上面140は、段差14を介して、屋根の傾斜方向に並んで配置される。
【0024】
新設の第2屋根材4及び太陽光発電パネル53が設置される新設構造20について説明する。本実施形態においては、新設の第2屋根材4及び太陽光発電パネル53を設置する新設構造20は、支持金具3を固定する固定台22を、既設の第1屋根材13の段差14に跨らないように設置する場合の構成である。支持金具3は、新設の第2屋根材4及び太陽光発電パネル53を支持する。
【0025】
太陽光パネル取付構造1は、図1に示すように、新設の第2屋根材4及び太陽光発電パネル53を設置する新設構造20として、第2防水シート21(防水シート)と、複数の固定台22と、第1シール部材23(第1水密部材)と、複数の支持金具3(支持部材)と、新設の第2屋根材4と、複数の架台取付金具51と、太陽光パネル架台52と、太陽光発電パネル53(太陽光パネル)と、を備える。
【0026】
第2防水シート21は、既設の第1屋根材13を構成する複数のスレート131上に配置される。この第2防水シート21により、太陽光パネル取付構造1の防水性が高められる。第2防水シート21としては、板紙にアスファルトを含浸させたアスファルトルーフィング等の防水材料が用いられる。
【0027】
複数の固定台22は、図2に示すように、それぞれ、既設の第1屋根材13に配置され、太陽光発電パネル53及び新設の第2屋根材4を支持する支持金具3の土台部分を構成する。固定台22は、直方体形状に形成され、第1屋根材13及び第2屋根材4の傾斜方向に直交(交差)する方向(交差方向)に延びる。固定台22は、例えば、樹脂製の部材により形成される。本実施形態では、固定台22が延びる方向と第1屋根材13の傾斜方向に直交(交差)する方向(交差方向)とは一致する。
【0028】
複数の固定台22は、それぞれ、第1屋根材13の段差14以外の部分において、ボルト103により野地板121に固定されて配置される。言い換えると、固定台22は、第1屋根材13の段差14を跨らないように配置される。つまり、固定台22は、屋根の傾斜方向の全域が、上方段差面141又は下方段差面142のいずれかの平面状の部分のみに配置される。本実施形態においては、固定台22は、屋根の傾斜方向の全域が、上方段差面141の平面状の部分に配置される。
【0029】
本実施形態においては、固定台22の軒側の端面が、第1屋根材13の段差14の軒側の側面(上方段差面141の軒側の端面)と同一平面状に位置するように配置され、かつ、固定台22は、固定台22の軒側の端面から棟側に延びる。そのため、固定台22は、段差14に跨って配置されずに、上方段差面141の平面状の部分に配置される。
【0030】
仮に、固定台22が、第1屋根材13の段差14に跨って配置されると、固定台22が安定せずに、下方段差面142側に転げてしまう可能性がある。そのため、本実施形態においては、固定台22は、後述するように、第2屋根材4の複数のルーフ板41の働き長さを調整して配置することで、第1屋根材13の段差14を跨らないように配置される。
【0031】
なお、本実施形態においては、固定台22の軒側の端面が、第1屋根材13の段差14の軒側の側面(上方段差面141の軒側の端面)と同一平面状に位置するように配置され、かつ、固定台22が、固定台22の軒側の端面から棟側に延びるように構成したが、これに限定されない。例えば、固定台22を、上方段差面141又は下方段差面142における傾斜方向の途中に配置してもよい。つまり、固定台22は、第1屋根材13の段差14を跨らないように、上方段差面141又は下方段差面142のいずれかの平面状の部分に配置されていればよい。
【0032】
複数の固定台22の上面には、図2に示すように、それぞれ、ボルト103により、支持金具3が固定される。支持金具3は、太陽光発電パネル53を支持する共に新設の第2屋根材4を支持する。複数の固定台22は、屋根の傾斜方向において、支持金具3が設置される位置に対応して複数配置されている。
【0033】
支持金具3は、図2に示すように、固定台22の上面に固定される。支持金具3は、第2屋根材4及び太陽光発電パネル53を支持する。支持金具3は、固定台22から軒側に延びるように形成される。支持金具3は、金属製の板材により形成される。支持金具3は、屋根側取付板部31と、傾斜延在部32と、平面延在部33と、棟側壁部34と、底面板部35と、軒側壁部36と、パネル側取付板部37と、を備える。支持金具3は、棟側から軒側に向かって、屋根側取付板部31、傾斜延在部32、平面延在部33、棟側壁部34、底面板部35、軒側壁部36、パネル側取付板部37の順に連続して配置される。
【0034】
屋根側取付板部31は、屋根の傾斜方向に略平行に延びて形成され、固定台22の上面に固定される。
傾斜延在部32は、屋根側取付板部31の軒側の端部に接続され、屋根の傾斜方向に対して僅かに上り傾斜して軒側に延びる。
平面延在部33は、傾斜延在部32の軒側の端部に接続され、屋根の傾斜方向に略平行に軒側に延びる。
【0035】
棟側壁部34、底面板部35及び軒側壁部36は、下方側に窪む凹形状の収容凹溝部30(溝部)を構成し、収容凹溝部30には、第2屋根材4のルーフ板41の軒側端部接続板部43(後述)が収容(配置)される。
【0036】
棟側壁部34は、平面延在部33の軒側の端部に接続され、下方に向かう壁状に形成される。
底面板部35は、棟側壁部34の下端部に接続され、屋根の傾斜方向に略平行に軒側に延びる。
軒側壁部36は、底面板部35の軒側の端部に接続され、上方に向かう壁状に形成される。
【0037】
パネル側取付板部37は、軒側壁部36の上端部に接続され、屋根の傾斜方向に略平行に軒側に延びる。パネル側取付板部37の上面には、架台取付金具51が取り付けられる。
【0038】
新設の第2屋根材4は、図1に示すように、複数のルーフ板41(第2部材)を有する。ルーフ板41は、第2屋根材4の傾斜方向に延びる。第2屋根材4は、ルーフ板41が第1屋根材13の傾斜方向に複数並んで配置されることで構成される。隣接するルーフ板41は、軒側のルーフ板41の棟側の端部(一部)が、棟側のルーフ板41の軒側の端部(一部)の上方に重ねられた状態で配置されている。第2屋根材4は、複数のルーフ板41が隣接するルーフ板41の一部が重ねられた状態で並べられて配置されることで、第1屋根材13を覆うように配置される。
【0039】
本実施形態においては、ルーフ板41は、棟側の端部側において上方側に突出する棟側端部突出接続部44(図2参照)を有している。新設の第2屋根材4は、複数のルーフ板41を傾斜方向に並べて配置することで、例えば、瓦葺屋根における瓦の立体感を表現した形状に形成される。ルーフ板41は、例えば、表面に天然石を施したガリバリウム鋼板(登録商標)(JIS G3321に定められる、溶融55%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板)などにより構成される。
【0040】
ルーフ板41は、図2に示すように、ルーフ板本体42と、ルーフ板本体42における軒側の端部に形成される軒側端部接続板部43と、ルーフ板本体42における棟側の端部に形成される棟側端部突出接続部44と、を有する。
【0041】
ルーフ板本体42は、野地板121の傾斜角度よりも僅かに小さい傾斜角度で平面状に延びる。つまり、ルーフ板本体42は、軒側から棟側に向かうにしたがって、野地板121に近づくように傾斜する平面状に形成されている。
【0042】
軒側端部接続板部43は、ルーフ板本体42における軒側の端部から下方に延びる。軒側端部接続板部43は、支持金具3の収容凹溝部30に収容された状態で、支持金具3の棟側壁部34の軒側に配置され、別のルーフ板41の立ち上がり受け板部441に、ボルト401により共締めされて固定される。
【0043】
棟側端部突出接続部44は、ルーフ板41における棟側の端部側において上方側に突出する形状に形成される。棟側端部突出接続部44は、ルーフ板本体42の棟側の端部に接続されている。棟側端部突出接続部44は、立ち上がり受け板部441と、上面板部442と、傾斜延在部443と、棟側端部固定部444と、を有する。立ち上がり受け板部441、上面板部442、傾斜延在部443及び棟側端部固定部444は、軒側から棟側に向けて、この順に接続されている。
【0044】
立ち上がり受け板部441は、ルーフ板本体42の棟側の端部から上方に立ち上がるように形成されている。立ち上がり受け板部441は、支持金具3の棟側壁部34の棟側において棟側壁部34に沿って配置される。立ち上がり受け板部441は、前述のように、ルーフ板41の軒側端部接続板部43に、ボルト401により共締めされて固定される。
【0045】
上面板部442は、立ち上がり受け板部441の上端部から棟側に延びる。上面板部412は、棟側端部突出接続部44における突出部分の上面を構成する。
傾斜延在部443は、上面板部412から棟側に向かうにしたがって下り傾斜して延びる平面状に形成される。
棟側端部固定部444は、傾斜延在部443の棟側における下端部に形成され、ボルト402により、第1屋根材13及び野地板121に固定される。
【0046】
次に、第1屋根材13、第2屋根材4及び支持金具3の構成について詳細に説明する。
図4は、第1実施形態に係る太陽光パネル取付構造1の支持金具3が配置されている部分における断面図である。図5は、第1実施形態に係る太陽光パネル取付構造1の支持金具3が配置されていない部分における断面図である。
【0047】
第1屋根材13は、図3図5に示すように、スレート側働き長さL1(第1働き長さ)(図5参照)を有するスレート131が段差14を介して傾斜方向に複数並んで配置されることで構成される。
【0048】
本実施形態においては、図5に示すように、スレート131の段差上面140の傾斜方向の長さは、スレート側働き長さL1を構成する。スレート側働き長さL1は、スレート131自体の傾斜方向の長さから、隣接するスレート131,131における重なり部分の長さ(互いの重なり部分の長さ)を除いた長さであって、実際に屋根材として使用できる部分の長さである。スレート側働き長さL1は、第1屋根材13の傾斜方向に沿う長さであって、野地板121に平行な方向における長さである。
【0049】
第1屋根材13は、図5に示すように、ルーフ板側働き長さL2(第2働き長さ)を有する複数のルーフ板41が傾斜方向に複数並んで配置されることで構成される。複数のルーフ板41は、軒側から棟側に向けて、所定の重なり幅でオーバーラップした状態で、並べて配置される。複数のルーフ板41は、屋根の傾斜方向の下方側(軒側)から上方側(棟側)に向けて順に配置される。複数のルーフ板41は、図4及び図5に示すように、ルーフ板41の棟側の端部の上方に、別のルーフ板41の軒側の端部がオーバーラップして配置される。複数のルーフ板41は、それぞれ、支持金具3の収容凹溝部30にルーフ板41の軒側端部接続板部43(一部)が配置される。
【0050】
複数のルーフ板41は、図5に示すように、互いが所定の重なり幅でオーバーラップした状態で配置され、ルーフ板側働き長さL2で、第1屋根材13の傾斜方向に並んで配置されている。ルーフ板側働き長さL2は、ルーフ板41a(ルーフ板41b)自体の傾斜方向の長さから、隣接するルーフ板41a,41bにおける重なり部分の長さ(互いの重なり部分の長さ)を除いた長さであって、実際に屋根材として使用できる部分の長さである。本実施形態においては、ルーフ板41は、屋根の傾斜方向である野地板121の傾斜方向に対して傾いて配置されている。本実施形態では、ルーフ板側働き長さL2は、第1屋根材13の傾斜方向に沿う長さであり、野地板121に平行な方向における長さである。
【0051】
複数のルーフ板41は、それぞれ、図4に示すように、支持金具3の収容凹溝部30にルーフ板41の軒側端部接続板部43(一部)が配置された状態で、図5に示すように、第1屋根材13の傾斜方向において、ルーフ板側働き長さL2(第2働き長さ)が、第1屋根材13のスレート131のスレート側働き長さL1(第1働き長さ)の2倍(整数倍)(図5における第1屋根材13の2枚のスレート131の働き総長さLT)となるように、隣接するルーフ板41との重なり部分の長さを調整して配置される。
【0052】
ここで、本発明(第2屋根材4の働き長さを調整した場合)と、第2屋根材4の働き長さを調整しない場合(未調整の場合)とを比較することで、本発明について詳細に説明する。図6は、第2屋根材4の働き長さが未調整の場合におけるルーフ板41の配置を示す断面図であって、(a)は、支持金具3が配置されている部分における断面図であり、(b)は、支持金具3が配置されていない部分における断面図である。
【0053】
所定長さの第2屋根材4の複数のルーフ板41を用いて第2屋根材4を構成する場合において、第1屋根材13のスレート131のスレート側働き長さL1を整数倍した長さと、第2屋根材4のルーフ板41のルーフ板側働き長さL2とが異なる長さである場合がある。このような場合において、第2屋根材4の働き長さが未調整の場合には、例えば、働き長さが未調整の場合の第2屋根材4の複数のルーフ板41は、図6の(a)に示すように、複数のルーフ板41を隙間なく並べて配置すると、第2屋根材4の複数のルーフ板41の未調整働き長さL0は、第1屋根材13の2枚のスレート131の働き総長さLT(=L1×2)よりも長く形成される(L0>LT)ことがある。ここで、図6の(b)に示すように、第2屋根材4のルーフ板41の軒側端部接続板部43は、支持金具3の収容凹溝部30(溝部)に収容された状態である。
【0054】
この場合には、支持金具3を支持する複数の固定台22のうち、例えば、図6の(a)における屋根の棟側から1つ目の固定台22を、第1屋根材13の段差14以外の部分のスレート131の上面に配置したとしても、ルーフ板41の軒側端部接続板部43が支持金具3の収容凹溝部30に収容した状態(図6の(b)参照)においては、棟側から2つ目の固定台22は、第1屋根材13の段差14に対して屋根の傾斜方向の軒側にΔL(=L0−LT)の長さだけずれて配置されることになる。そのため、棟側から2つ目の固定台22は、図6の(a)及び(b)に示すように、段差14を跨いで配置される。
【0055】
より詳細には、図6の(a)に示すように、本実施形態においては、第2屋根材4のルーフ板41の屋根の傾斜方向の未調整働き長さL0は、例えば、L0=368mmである。また、第1屋根材13のスレート131の段差上面140の屋根の傾斜方向のスレート側働き長さL1は、例えば、L1=182mmであり、第1屋根材13の2枚のスレート131の段差上面140の屋根の傾斜方向の働き総長さLT(=L1×2)は、LT=L1×2=182mm×2=364mmである。
【0056】
ここで、複数のルーフ板41を隙間なく屋根の傾斜方向に並べて配置すると、第2屋根材4のルーフ板41の傾斜方向の未調整働き長さL0(368mm)が、2枚のスレート131の段差上面140の働き総長さLT=L1×2(364mm)よりも長いため、その差ΔL(4mm)(=L0(368mm)−LT(364mm))ずつ、ルーフ板41の設置位置が傾斜方向にずれていく。そのため、ルーフ板41の設置位置がずれることにより、固定台22の位置は、図6の(a)に示すように、ΔL(4mm)ずつ、屋根の傾斜方向の軒側にずれる。これにより、図6の(a)及び(b)に示すように、棟側から1つ目の固定台22を、第1屋根材13の段差14以外の部分のスレート131の上面に配置したとしても、棟側から2つ目の固定台22は、段差14を跨いで配置されることになる。そして、このルーフ板41の設置位置が傾斜方向にずれることが繰り返されることで、第1屋根材13の段差14に対する固定台22の設置位置が一定せずに、固定台22は、段差14を跨いで配置されたり、段差14を跨がないで配置されたりする。
【0057】
このように、第2屋根材4の複数のルーフ板41の働き長さが調整されていないと、図6の(a)及び(b)に示すように、ルーフ板41の設置位置は、固定台22の第1屋根材13の段差14に対する位置が屋根の傾斜方向にずれることにより、固定台22の設置位置が一定せずに、第1屋根材13の段差14を跨ぐように配置されることがあった。これにより、既設の第1屋根材13の段差14を跨いで配置された場合には、固定台22の軒側が下方段差面142側に転げてしまうなどして、安定して設置できない場合があった。
【0058】
これに対して、本発明においては、図4及び図5に示すように、複数のルーフ板41は、それぞれ、ルーフ板41の一部が収容凹溝部30に配置された状態で、第1屋根材13の傾斜方向において、ルーフ板側働き長さL2が、スレート側働き長さL1(第1働き長さ)の2倍(整数倍)となるように、隣接するルーフ板41の重なり部分の長さを調整して配置される。
本発明の太陽光パネル取付構造1を施工する場合には、複数のルーフ板41を、それぞれ、第1屋根材13の傾斜方向において、ルーフ板側働き長さL2が、スレート側働き長さL1の整数倍となるように、隣接するルーフ板41の重なり部分の長さを調整して配置するルーフ板配置工程(第2部材配置工程)を行うと共に、固定台22を段差14以外の部分に配置する固定台配置工程を行う。なお、本実施形態においては、固定台配置工程及びルーフ板配置工程を行う順番は、いずれの工程が後先であってもよい。
【0059】
ここで、図5に示すように、本実施形態においては、2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)の重なり部分の長さを調整した場合において、第1ルーフ板41aの軒側端部接続板部43の棟側の側面(側面)と、第2ルーフ板41bの立ち上がり受け板部441の軒側の側面(側面)とは、対向して配置され、互いの間には、隙間Sが形成される。第1ルーフ板41aの軒側端部接続板部43は、第1ルーフ板41aの軒側の端部において、ルーフ板本体42から立ち下がるように形成される。第2ルーフ板41bの立ち上がり受け板部441は、第2ルーフ板41bの棟側に配置される棟側端部突出接続部44の軒側の端部において、上面板部442から立ち下がるように形成される。
【0060】
このように、図5に示すように、2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)の間に隙間Sを形成することで、第2屋根材4のルーフ板41のルーフ板側働き長さL2が、第1屋根材13のスレート131の第1屋根材13の2枚のスレート131の段差上面140の屋根の傾斜方向の働き総長さLT(=L1×2)となるように、隣接するルーフ板41の重なり部分の長さを調整する。これにより、第2屋根材4のルーフ板41のルーフ板側働き長さL2と、第1屋根材13のスレート131の第1屋根材13の2枚のスレート131の段差上面140の屋根の傾斜方向の働き総長さLT(=L1×2)とを、同じ長さになるように調整できる(L2=LT)。
【0061】
そのため、第2屋根材4のルーフ板41のルーフ板側働き長さL2と第1屋根材13の2枚のスレート131の働き総長さLT(=L1×2)とを、同じ長さ(L2=LT)とすることにより、複数のルーフ板41を傾斜方向に並べて配置した場合に、屋根の傾斜方向のいずれの位置においても、第1屋根材13の段差14と、第2屋根材4のルーフ板41との位置関係は常に同じとなる。よって、屋根の傾斜方向において、複数の固定台22と複数の段差14との位置関係は、必ず同じ位置関係とすることができる。つまり、複数の固定台22と複数の段差14との位置関係は、第1屋根材13の段差14には、固定台22が配置されない位置関係となる。
【0062】
以上により、ルーフ板側働き長さL2は、スレート側働き長さL1(第1働き長さ)の2倍(整数倍)の長さとなるため、第1屋根材13の段差14に対するルーフ板41の端部の位置を、段差14を避けた位置に最初に設定すれば、複数のルーフ板41を傾斜方向に並べて配置した場合に、複数の固定台22の全ての設置位置を、複数の段差14を避けた平面状の部分に配置することができる。これにより、ルーフ板41の軒側端部接続板部43が支持金具3の収容凹溝部30に配置された状態で、複数のルーフ板41を傾斜方向に並べて配置した場合に、屋根の傾斜方向におけるいずれの位置においても、複数の固定台22を、第1屋根材13の段差14を跨がない位置に設置することができる。よって、既設の第1屋根材13に固定台22を安定して設置することができる。従って、太陽光発電パネル53を安定して設置できる。
【0063】
図3図5に示すように、第1シール部材23は、第1ルーフ板41aと第2ルーフ板41bとの間に配置される。第2屋根材4における第2ルーフ板41bのルーフ板側働き長さL2を調整するために、複数のルーフ板41の重なり部分の長さを調整すると、隣接する2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)の重なり部分において、2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)との間には隙間Sが形成される。そのため、2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)との間における水密性を確保するため、第1ルーフ板41aと第2ルーフ板41bとの間には、第1シール部材23が配置される。
【0064】
具体的には、第1シール部材23は、隣接する2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)の重なり部分において、第1ルーフ板41aのルーフ板本体42の下面(下面)と、第2ルーフ板41bの上面板部442の上面(上面)との間に配置される。第1シール部材23は、図3に示すように、屋根の傾斜方向に交差する方向に延びており、ルーフ板41の幅方向(屋根の傾斜方向に交差する方向)の全域に亘って配置されている。
【0065】
以上のように構成される第2屋根材4は、図2に示すように、既設の第1屋根材13を覆うように、既設の第1屋根材13の上方に配置される。新設の第2屋根材4を構成する複数のルーフ板41は、棟側の端部側において上方に突出する棟側端部突出接続部44を有し、軒側の端部側において下方に延びる軒側端部接続板部43を有する。棟側端部突出接続部44は、棟側端部固定部444において、ボルト402により、第1屋根材13及び野地板121に固定される。軒側端部接続板部43は、支持金具3の収容凹溝部30に収容された状態で、別のルーフ板41の棟側端部突出接続部44の立ち上がり受け板部441に、ボルト401により共締めされて固定される。
【0066】
図1に戻って、太陽光パネル架台52は、支持金具3に固定された架台取付金具51にビス止めして固定される。また、太陽光パネル架台52は、太陽光発電パネル53を固定支持する。太陽光パネル架台52は、格子状に枠組みされた複数の縦桟522と、複数の横桟523と、を備える。
【0067】
縦桟522は、野地板121の傾斜方向に沿って延びて形成され、棟から軒先に亘って通しで設けられる。縦桟522は、屋根の傾斜方向に沿うようにして、屋根の傾斜方向に直交する方向に一定間隔で複数配置されて、支持金具3の上方に固定される架台取付金具51に、ビス止めされる。
横桟523は、屋根の傾斜方向に直交する方向に延びて設けられ、縦桟522上にビス止めされる。
【0068】
複数の太陽光発電パネル53は、図1に示すように、太陽光パネル架台52により固定支持される。太陽光発電パネル53は、第2屋根材4の上方に配置される。
【0069】
第1実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態の太陽光パネル取付構造1においては、スレート側働き長さL1(第1働き長さ)を有するスレート131が段差14を介して傾斜方向に複数並んで配置されることで構成される既設の第1屋根材13と、ルーフ板側働き長さL2を有するルーフ板41が傾斜方向に複数並んで配置されることで構成され第1屋根材13を覆うように配置される新設の第2屋根材4と、太陽光パネル53と、ルーフ板41の一部が配置される収容凹溝部30を有し、第2屋根材4及び太陽光パネル53を支持する支持部材3と、支持部材3が固定されると共に第1屋根材13の段差14以外の部分に配置される固定台22と、を備え、複数のルーフ板41は、それぞれ、第1屋根材13の傾斜方向において、ルーフ板側働き長さL2が、スレート側働き長さL1の整数倍となるように、隣接するルーフ板41の重なり部分の長さを調整して配置される。
【0070】
そのため、ルーフ板側働き長さL2は、スレート側働き長さL1(第1働き長さ)の整数倍の長さとなる。このため、第1屋根材13の段差14に対するルーフ板41の端部の位置を、段差14を避けた位置に最初に設定すれば、複数のルーフ板41を傾斜方向に並べて配置した場合に、複数の固定台22の全ての設置位置を、複数の段差14を避けた平面状の部分に配置することができる。これにより、複数のルーフ板41を傾斜方向に並べて配置した場合に、屋根の傾斜方向におけるいずれの位置においても、複数の固定台22を、第1屋根材13の段差14を跨がない位置に設置することができる。よって、既設の第1屋根材13に固定台22を安定して設置することができる。従って、太陽光発電パネル53を安定して設置できる。
【0071】
また、本実施形態では、第1ルーフ板41aと第2ルーフ板41bとの間には、第1シール部材23が配置される。詳細には、第1シール部材23は、隣接する2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)の重なり部分において、第1ルーフ板41aのルーフ板本体42の下面(下面)と、第2ルーフ板41bの上面板部442の上面(上面)との間に配置される。これにより、ルーフ板41の働き長さを調整することで隣接するルーフ板41の間に隙間Sが形成されても、隣接するルーフ板41の間の水密性を確保できる。
【0072】
また、本発明の太陽光パネル取付構造1の施工方法においては、固定台22を段差14以外の部分に配置する固定台配置工程と、複数のルーフ板41を、それぞれ、第1屋根材13の傾斜方向において、ルーフ板側働き長さL2が、スレート側働き長さL1の整数倍となるように、隣接するルーフ板41の重なり部分の長さを調整して配置するルーフ板配置工程(第2部材配置工程)と、を備える。そのため、複数のルーフ板41を傾斜方向に並べて配置した場合に、屋根の傾斜方向におけるいずれの位置においても、複数の固定台22を、第1屋根材13の段差14を跨がない位置に設置することができる。よって、既設の第1屋根材13に固定台22を安定して設置することができる。従って、太陽光発電パネル53を安定して設置できる。
【0073】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、第2実施形態に係る太陽光パネル取付構造の斜視図である。第2実施形態は、第1実施形態の第1シール部材23に代えて第2シール部材24を用いる点において、第1実施形態と主に異なる。第2実施形態の説明にあたって、第1実施形態の構成と同一の構成については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0074】
図7に示すように、第2実施形態の太陽光パネル取付構造1Aは、主に、第1実施形態の第1シール部材23に代えて、第2シール部材24(第2水密部材)を備える。
第2シール部材24は、第1実施形態の第1シール部材23と同様に、図7に示すように、第1ルーフ板41aと第2ルーフ板41bとの間に配置される。第2屋根材4における第2ルーフ板41bのルーフ板側働き長さL2を調整するために、複数のルーフ板41の重なり部分の長さを調整すると、隣接する2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)の重なり部分において、2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)との間には隙間S(図5参照)が形成される。そのため、2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)との間における水密性を確保するため、第1ルーフ板41aと第2ルーフ板41bとの間には、第2シール部材24が配置される。
【0075】
第2シール部材24は、隣接する2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)の重なり部分において、第1ルーフ板41aの軒側端部接続板部43の棟側の側面(側面)と、第2ルーフ板41bの立ち上がり受け板部441の軒側の側面(側面)との間に配置される。
【0076】
詳細には、第2シール部材24は、図7に示すように、ルーフ板41の棟側壁部34の棟側の側面(側面)の山谷形状の外面に沿って、ルーフ板41の立ち上がり受け板部441の軒側の側面(側面)に貼り付けられている。第2シール部材24は、図7に示すように、屋根の傾斜方向に交差する方向に延び、かつ、ルーフ板41の立ち上がり受け板部441の軒側の側面において山谷形状に配置される。第2シール部材24は、ルーフ板41の幅方向(屋根の傾斜方向に交差する方向)の全域に亘って配置されている。
【0077】
第2実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、第1ルーフ板41aと第2ルーフ板41bとの間に、第2シール部材24が配置される。詳細には、第2シール部材24は、隣接する2つのルーフ板41(第1ルーフ板41a、第2ルーフ板41b)の重なり部分において、第1ルーフ板41aの軒側端部接続板部43の棟側の側面(側面)と、第2ルーフ板41bの立ち上がり受け板部441の軒側の側面(側面)との間に配置される。これにより、ルーフ板41の働き長さを調整することで隣接するルーフ板41の間に隙間Sが形成されても、隣接するルーフ板41の間の水密性を確保できる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、ルーフ板側働き長さL2(第2働き長さ)が、第1屋根材13のスレート131のスレート側働き長さL1(第1働き長さ)の2倍となるように、隣接するルーフ板41との重なり部分の長さを調整して配置したが、これに限定されない。例えば、ルーフ板側働き長さL2(第2働き長さ)が、第1屋根材13のスレート131のスレート側働き長さL1(第1働き長さ)の1倍となるように調整してもよいし、3倍以上となるように調整してもよい。
【0079】
また、前記実施形態では、固定台22を第1屋根材13の傾斜方向に交差する方向に長く延びるように形成したが、これに限定されず、固定台22を第1屋根材13の傾斜方向に長く延びるように形成してもよい。
【0080】
また、前記実施形態では、第1屋根材13を、複数のスレート131で構成したが、これに限定されず、トタン屋根(板金屋根)や、アスファルトシングルの屋根などで構成してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 太陽光パネル取付構造
3 支持金具(支持部材)
4 第2屋根材
13 第1屋根材
14 段差
22 固定台
23 第1シール部材(水密部材、第1水密部材)
24 第2シール部材(水密部材、第2水密部材)
41 ルーフ板(第2部材)
53 太陽光発電パネル(太陽光パネル)
131 スレート(第1部材)
L1 スレート側働き長さ(第1働き長さ)
L2 ルーフ板側働き長さ(第2働き長さ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7