(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成によると、機体前方の穀稈の植立状態を監視しながら自動的に掻込リールは適正高さに調整されるものであるから作業中のオペレータの負担を軽減できる。しかしながら、穀稈センサは、キャビンの上部前端に配設されて、機体前方の穀稈を検出する構成であるため、掻込リール直前の穀稈状態は死角となって確認することができない。
【0005】
本発明は、上記課題を解消し掻込リール直前の穀稈状態を的確に把握しその結果を基に掻込リール昇降制御を行わせようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0007】
請求項1に記載の発明は、走行する機体フレーム(1)の前方に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置(4)を設ける汎用コンバインにおいて、
前記刈取前処理装置(4)のフレーム部に昇降装置(32)を介して掻込リール(30)を設け、前記刈取前処理装置(4)に前記掻込リール(30)の前側の植立穀稈を監視する穀稈検出センサ(38)を設け、前記穀稈検出センサ(38)の検出結果に基づいて前記掻込リール(30)を昇降すべく前記昇降装置(32)を作動制御する制御部(C)を設け、
前記刈取前処理装置(4)の前記フレーム部に左右一対のリールアーム(31,31)を上下回動自在に設け、前記リールアーム(31,31)に前記掻込リール(30)を軸支し、前記リールアーム(31,31)を上下回動すべく前記昇降装置(32)を連結し、前記リールアーム(31,31)の前部に左右一対のセンサアーム(39,39)を設け、前記左右一対の前記センサアーム(39,39)の一方に前記穀稈検出センサ(38)の発信部(38a)を設け、他方に前記穀稈検出センサ(38)の受信部(38b)を設け、
前記リールアーム(31,31)に対して前記センサアーム(39,39)の上下高さを調整可能に設け、
前記センサアーム(39,39)を下側後方へ回動させて収納姿勢(ニ)に設定した状態では、前記穀稈検出センサ(38)に基づく前記昇降装置(32)の作動を規制することを特徴とする。
本発明に関連する第1
の発明は、走行する機体フレーム(1)の前方に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置(4)を設ける汎用コンバインにおいて、
前記刈取前処理装置(4)のフレーム部に昇降装置(32)を介して掻込リール(30)を設け、前記刈取前処理装置(4)に前記掻込リール(30)の前側の植立穀稈を監視する穀稈検出センサ(38)を設け、前記穀稈検出センサ(38)の検出結果に基づいて前記掻込リール(30)を昇降すべく前記昇降装置(32)を作動制御する制御部(C)を設けたことを特徴とする。
【0008】
このように構成すると、穀稈植立状態を監視する穀稈検出センサ38が、長稈を検出すると掻込リール30を上昇し、短稈の場合は掻込リール30を下降制御する。
【0009】
本発明に関連する第2
の発明は、
本発明に関連する第1
の発明において、前記穀稈検出センサ(38)は、光照射、レーザ又は超音波の発信部(38a)と受信部(38b)によって穀稈の有無を判定する構成とした。
【0010】
本発明に関連する第3
の発明は、
本発明に関連する第2
の発明において、前記刈取前処理装置(4)の前記フレーム部に左右一対のリールアーム(31,31)を上下回動自在に設け、前記リールアーム(31,31)に前記掻込リール(30)を軸支し、前記リールアーム(31,31)を上下回動すべく前記昇降装置(32)を連結し、前記リールアーム(31,31)の一方に穀稈検出センサ(38)の発信部(38a)を設け、他方に前記穀稈検出センサ(38)の受信部(38b)を設け、前記穀稈検出センサ(38)の穀稈の有無検出結果に基づいて前記昇降装置(32)を制御する構成とした。
【0011】
このように構成すると、穀稈植立状態を監視する穀稈検出センサ38はリールアーム31,31に設けられるから、掻込リール30の直前の植立穀稈の有無を検出できる。
【0012】
本発明に関連する第4
の発明は、
本発明に関連する第3
の発明において、前記リールアーム(31,31)の前部にセンサアーム(39,39)を介して前記穀稈検出センサ(38)の前記発信部(38a)と前記受信部(38b)とを対向させて設け、前記リールアーム(31,31)に対して前記センサアーム(39,39)の上下高さを調整可能に設けた。
【0013】
このように構成すると、穀物種類や作物生育状況に適応して穀稈検出センサ38の作用高さを調整できて便利である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、穀稈検出センサ38の配置を掻込リールの前側とすることにより、刈取前処理装置4又は掻込リール30の直前の植立穀稈状況を検出することができ、的確な掻込リール30の昇降制御が行える。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の汎用コンバインの実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側には土壌面を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上側には脱穀・選別を行なう脱穀装置3が設けられ、この機体フレーム1に、脱穀装置3の前側に位置させて圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置4が昇降可能に設けられている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は、脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は、揚穀筒と横送り筒を備える排出筒6によって外部へ排出される。また、グレンタンク5の前側には操縦者が搭乗する操縦部7が設けられている。
【0018】
刈取前処理装置4は、フィーダハウス8と、オーガ装置9と、刈刃装置10と、掻込装置11を備えている。
【0019】
フィーダハウス8は、オーガ装置9の左部に搬送された稲、麦、大豆、そば等の穀稈を脱穀装置3に移送する装置であり、オーガ装置9と脱穀装置3の間に設けられている。
【0020】
フィーダハウス8の枠体13の後部には、エンジンの回転が伝動される回転軸14が横設され、枠体13の前部には、従動軸15が横設されている。また、回転軸14に装着された一対のスプロケット14Aと従動軸15に装着された一対のスプロケット15Aには、チェン16がそれぞれ巻き掛けられており、左右一対のチェン16には、所定の間隔を隔てて穀稈を搬送するプレート(図示省略)が加設されている。
【0021】
図3,4に示すように、オーガ装置9は、掻込装置11で掻込まれた穀稈等をオーガ装置9の左部に寄せ集めてフィーダハウス8に移送する装置であり、フィーダハウス8の前側に設けられ、コンバインの左右方向の幅とほぼ同一幅に形成されている。
【0022】
オーガ装置9は、オーガフレーム17と、オーガフレーム17に横設された掻込オーガ18を備えている。オーガフレーム17は、左壁17Aと、右壁17Bと、左壁17Aと右壁17Bの後部を連結する後壁17Cと、左壁17Aと右壁17Bの後下部を連結する下壁17Dから略バケット形状に形成されている。また、後壁17Cの左部には、フィーダハウス8に穀稈を移送する移送口19が開口されている。
【0023】
側面視において、左壁17Aと右壁17Bの上面20は、後上がり傾斜に形成されており、左壁17Aと右壁17Bの下面21は、上面20と略平行に後上がり傾斜した後、刈刃装置10の上側の位置から後側に向かって略水平に延在した後、掻込オーガ18の下側の位置から略円弧状に形成されている。
【0024】
掻込オーガ18は、オーガフレーム17の左壁17Aと右壁17Bに回転自在に架設される回転軸22と、回転軸22に支持される円筒形状の筒体23を備えている。筒体23の外周面の左部には、掻込装置11で掻込まれた穀稈等を前記移送口19の前側に寄せ集める向きに傾斜させた搬送螺旋23Aが固定され、筒体23の外周面の右部における移送口19の前側の部位には、複数の掻込フィンガ24が出没自在する出没口23Bが開口されている。
【0025】
フィーダハウス8の従動軸15のスプロケット15Aに伝動されたエンジンの回転は、チェン(図示省略)を介して回転軸22の左端部に装着されたスプロケット22Aに伝動され、掻込オーガ18を回転させる。
【0026】
刈刃装置10は、掻込装置11によってオーガ装置9内に掻込まれた穀稈や、後記分草体28によってオーガ装置9内に分草された穀稈等の株元を切断する装置であり、オーガフレーム17の下壁17Dの前端部に設けられている。
【0027】
刈刃装置10は、刃幅が狭く刃長が長いフィンガ状の固定刃25と、刃幅が広く刃長が短い三角形状の可動刃26から構成されている。また、可動刃26は、固定刃25の後部に固定された刈刃プレート27と固定刃25の間に形成された溝を左右方向に摺動する。これにより、多くの穀稈の株元を保持することができ、効率良く穀稈の株元を切断することができる。
【0028】
フィーダハウス8の従動軸15のスプロケット15Aに伝動されたエンジンの回転は、変換装置(図示省略)等を介して刈刃装置10の可動刃26に伝動され、可動刃26を左右方向に移動させる。
【0029】
分草体28は、オーガフレーム17の左壁17Aと右壁17Bの下部から前側に向かって左側フレーム29Aと右側フレーム29Bの前端部にそれぞれ固定されている。
【0030】
図1,2に示すように、掻込装置11は、倒伏した穀稈、大豆やそば等の丈の低い穀稈、油菜や菜の花等の丈の高い穀稈をオーガ装置9に掻込む装置であり、オーガ装置9の上側に設けられ、オーガ装置9の左右方向の幅とほぼ同一幅に形成されている。
【0031】
掻込装置11は、掻込リール30と、掻込リール30を上下に移動させる左右一対のリールアーム31を備えている。リールアーム31の後部は、オーガフレーム17の後壁17Cに回転自在に固定され、リールアーム31の中間部には、リールアーム31を上下方向に移動させる油圧シリンダ等の昇降装置32が連結され、リールアーム31の前部には、掻込リール30を装着する回転軸33が架設されている。なお、昇降装置32としての油圧シリンダは、基部側のシリンダ部32aが刈取前処理装置4のフレーム部(前記オーガフレーム17又は筒体37)に連結され、上端のピストン部32bがリールアーム31の中間屈曲部に付加する補強板31aに連結される構成である。
【0032】
側面視において、掻込リール30は、略六角形状に形成されており、六箇所の各隅部には、タイン支持杆34が設けられ、タイン支持杆34には、左右方向に所定間隔を隔てて複数のリールタイン35が吊下げられている。
【0033】
フィーダハウス8の従動軸15に装着されたスプロケット15Aに伝動されたエンジンの回転は、オーガフレーム17の後壁17Cに設けられた左右方向に延在する回転軸36等を介して回転軸33の右端部に装着されたスプロケット(図示省略)に伝動され、掻込リール30を回転させる。
【0034】
ところで、刈取前処理装置4が作業姿勢の下降姿勢にあるとき、掻込リール30の高さは、穀稈長さ(穀稈丈)や倒伏度に合わせて変更することが望ましい。長穀稈の場合には掻込リール30を上昇し短穀稈の場合には下降させることによって、リールタイン35による穀稈掻込みを適正な掻込負荷状態で効率的に行わせることができるからである。このため前記リールアーム31は、後壁17Cの支持軸31a回り上下に回転自在に連結されていて、前記昇降装置32の伸縮によって掻込リール30の上下高さを変更調整できるよう構成されている。
【0035】
更に、この掻込みリールアーム31の前方には、穀稈検出センサ38を装着している。左右一対のリールアーム31の各前端に左右一対のセンサアーム39をこのリールアーム31に対して上下回動可能に連結し、センサアーム39の先端に、例えば光電センサ又はレーザセンサ等の作物検出センサ38を装着する。なお、作物検出センサ38は、発信部38a(又は発光部)と受信部38b(又は受光部)の一対からなり、受信信号を処理して後記制御部に出力する信号処理部40に接続される。そして、発信部38aを一対のセンサアーム39の一方に装着し、他方のセンサアーム39に受信部38bを発信部38aに対向させて設ける。制御部Cは、前記信号処理部40を経由して、所定タイミング毎に発信信号出力を実行させ、かつ受信部38bから受信信号を信号処理部40を介して受信するものである。発信部38aと受信部38bは水平状態で対向するので、発信部38aの発信信号が圃場の穀稈によって遮られると、発信信号が受信部38bに受信されないため、穀稈検出センサ38の高さに穀稈が存在することを検出できる。この発信信号が受信される状態では穀稈検出センサ38の間に穀稈が存在せず、穀稈検出センサ38の位置が穀稈高さよりも高い位置にあるものと判定する。
【0036】
そして、前記穀稈検出センサ38が対象の穀稈穂先部位置の検出に基づいて前記昇降装置32を伸縮制御する構成としている。このように構成することによって、長穀稈の場合には掻込リール30を上昇し短穀稈の場合には下降させることができ、リールタイン35による穀稈掻込みを適正な掻込負荷状態で効率的に行わせることができる。
【0037】
なお、前記適正な掻込負荷状態となるよう予め穀稈検出センサ38の高さ位置を設定できる構成としている。すなわち、穀稈検出センサ38を設けるセンサアーム39の基部とリールアーム31との間に、上下調整手段41を介在するもので、上下調整手段41は、リールアーム31にボルトで固定の調整板42に対してセンサアーム39を上下回動自在に支点軸43によって連結し、さらに、調整板42に長孔42aを形成し、締結ボルト44をもってセンサアーム39の調整板42に対する上下傾斜角を任意に設定でき、センサアーム39をリールアーム31に対して上下角度変更自在に構成している。したがって、図例の左側センサアーム39の先端部の発信部38aの上下高さを任意に設定できる。例えば長穀稈の場合には標準高さ位置(イ)に対して高い位置(ロ)側に、短穀稈の場合や倒伏穀稈の場合には標準高さ位置(イ)よりも低い位置(ハ)側にそれぞれ調整してボルト固定する。長孔42aの最下部に達して固定すると、非作用の収納状態(ニ)となる。なお右側センサアーム39においても上下角度調整自在に構成され、受信部38bの高さを発信部38aに対応する高さに調整できる。
【0038】
図6(B)のように、中継の調整板42の端部を折り曲げ、目盛り42bを付すことによって、左右を独立してセンサアーム39の調整を行う場合に便利である。
【0039】
次いで
図8のフローチャートに基づいて作用を説明する。
【0040】
コンバインのキースイッチ37をオンすると、オペレータに穀稈検出センサ38の高さ調整を促す調整ランプ45が点滅する(S101,102)。オペレータは前記上下調整手段41の調整作業を行うことにより穀稈検出センサ38の高さを調整し、完了すると調整済スイッチ46を押すと(S103)、上記調整ランプ45は消灯する(S104)。刈取脱穀作業を開始すると、制御部Cは、前記穀稈検出センサ38へ発信信号を出力し、発信部38aはレーザを発する(S107)。制御部Cは、予め設定されたタイミングで受信部38bの受信信号を入力する(S108)。この受信信号の入力によって、穀稈有りと判定すると、上昇信号を出力し昇降装置32を伸出す(S109)。リールアーム31は基部中心に上方回動して掻込リール30を予め設定された時間又は距離だけ上昇させる(S110)。一方S109で穀稈無しと判定すると、下降信号を出力し上記昇降装置32を短縮させる(S111)。上記掻込リール30は予め設定された時間又は距離だけ下降する。
【0041】
上記のS108~S111は繰り返し実行されるが、そのタイミングはタイマ設定によって予め設定される(S112,113)。キースイッチがオフされると、刈取脱穀作業は終了し掻込リール昇降制御も終了する(S115)。
【0042】
したがって、穀稈の高さに応じた掻込リール30高さに設定でき、長稈又は短稈に対応して適正な掻込リール30による掻込作用を実現できる。
【0043】
次いで、
図9に基づき、昇降装置32の上昇開始及び上昇停止判定制御について説明する。制御部Cに、掻込リール昇降制御モード選択スイッチ47及び頻度設定モード選択スイッチ48を接続し、両者がオンとされると(S201~S203)、上昇開始判定用頻度αに設定される。なお、過去の刈取脱穀作業において設定された頻度α´を頻度αに修正する場合もある。この上昇開始判定用頻度αの設定あるいは修正は、上昇開始判定用頻度ダイヤル49によって行う(S204)。併せて上昇中すなわち伸出中の昇降装置32を停止判定するための頻度βの設定あるいは修正は、上昇停止判定用頻度ダイヤル50によって行う(S205)。そして制御部Cは、前記穀稈検出センサ38の受信部38bからの信号を入力して記憶する(S206)。制御部Cは、穀稈の有無に関わりなく、微小時間間隔で受信部38b出力を入力し、予め設定した所定回数mに達した時点で穀稈有りの判定回数(穀稈検出判定回数)mxが前記上昇開始判定用頻度αを越えると、昇降装置上昇出力し昇降装置32を伸出する(S207~S210)。昇降装置32は伸出作用を継続するが、昇降装置上昇出力停止の判定によって昇降装置32は停止する。すなわち、制御部Cは前記穀稈検出センサ38の受信部38bからの信号を更新して記憶する(S211)。予め設定した所定回数nに達し穀稈有り回数nxが前記上昇囲停止判定用頻度βを下回ると昇降装置32は停止する(S212~S214)。なお、S203で頻度設定モード選択スイッチ47をオンしない場合には、前回頻度α´、β´を採用して、昇降装置32の昇降開始と昇降停止制御を行う。
【0044】
また、前記S202で掻込リール昇降制御モード選択スイッチ46をオンしない場合には、手動で掻込リール30の昇降を行う。たとえば、主変速レバー(図示せず)に設ける上昇スイッチ51、下降スイッチ52の操作によって直接的に制御バルブ53を作動し、昇降装置32を伸縮作動させる構成とする。
【0045】
圃場の穀稈高さは一律でないため、受信部38bによる穀稈の有無信号毎に昇降制御すると昇降制御が頻繁となり易く、実用的でない。このため上記のように、上昇開始判定用頻度αと上昇停止判定用頻度βを設定しておき、受信部38b信号の穀稈有り頻度に基づいて昇降装置32を上昇開始、上昇停止することで、上記欠点を解消し円滑な掻込リール30の昇降制御を行える。前記頻度α及びβとの関係は、同じでもよく、異なる値としてもよい。また、受信部38bによる受信入力設定回数m及びnの関係も、同じでもよく異なる値に設定してもよい。
【0046】
なお、標準的に実行される上昇開始判定よりも上昇停止判定を迅速に行うことで、掻込リール30の下降側制御を抑制でき該掻込リール30を高い位置に維持して掻込作用を良好に行うことができるが、このため、上昇開始判定用頻度αに対して上昇停止判定用頻度βを小に設定し、又は受信部38bによる信号入力所定回数mよりもnを小に設定するとよい。
【0047】
前記上昇開始判定用頻度αと上昇停止判定用頻度βは、車体の走行速度Vに応じて変更補正される形態とする。走行速度Vが上がると、受信部38bによる検出タイミングが一定と仮定すると、検出間隔が大となって穀稈検出範囲が必然に拡大する結果、穀稈の長短範囲も拡大し、このため昇降装置32の昇降作動回数が増加する傾向となる。ハンチングによる不具合を惹起するが、これを解消するため、前記走行速度Vが増すときは、前記頻度α及び頻度βを低く設定するとよい。
【0048】
また、前記掻込リール30の昇降制御は、刈取前処理装置4を圃場面に対して昇降制御する刈高さ自動制御の作動と関連つけて実行させる。この刈高さ自動制御作動と同時に開始するよう構成すると、共に刈取脱穀作業中の制御実行を行わせるものであるから無駄なく実行できる。また、刈高さ制御を実行して所定距離移動後又は一定時間経過後に、掻込リール昇降制御を行うと、刈取前処理装置4の姿勢と刈刃装置10の刈取作動が落ち着いており、作業開始直後の不安定な作動や挙動を防止できる。
【0049】
前記実施例において、上下調整手段41は、調整板42形成する長孔42aに沿ってセンサアーム39を位置調整できる構成としたが、このほかに、調整板部とセンサアーム39の支点軸43との間に制動手段を介在し、任意の位置に手動調整後は摩擦によって制動できる構成としてもよい。さらに、支点軸43部に電動モータを組み込み、該電動モータの正・逆転によってセンサアーム39を上下に回動できる構成としてもよい。この場合には操縦部7にてオペレータが任意に調整するよう構成できる。
【0050】
前記上下調整手段41には、センサアーム39を収納姿勢(ニ)に保持することができ、路上走行や倉庫への出入り等非作業中の走行に際して他物への不測の衝突による破損を防止できる。なお、この収納姿勢(ニ)に達する位置に収納状態検出スイッチを構成しておき、このスイッチがオンすると穀稈検出センサ38からの受信信号を遮断する構成とすると、不測に掻込リール30の昇降作動が行われることがないので安全である。
【0051】
図10,11に基づき前記リールタイン35の改良について説明する。リールタイン35は、1本の弾性線状体によって形成され、タイン支持杆34に固定するため固定ボルトを係合する上端側U状部35a、コイルスプリング状に巻回した巻回弾発部35b、漸次進行方向後方に後退する脚部35cからなる。従来のリールタイン35Bは、脚部35Bcが巻回弾発部35bから直下方に延び続いて後方に屈曲するよう形成されている(図 10中仮想線)。これに対し、改良されたリールタイン35Aの脚部35Aaは、巻回弾発部35Abの下方は前方に移行しその下方は後方に湾曲する(同図実線)。改良されたリールタイン35Aの下端は、従来型のリールタイン35Aの下端に対して下位となっている。従来型のリールタイン35の場合は、後方の刈刃装置10との干渉を避けるような軌跡を描くよう設定するため軌跡下端の限界は仮想圃場面のやや下方であるのに対し(
図11)、改良型リールタイン35Aの作用軌跡は、
図12に示すように、刈刃装置10との干渉を避けつつ従来型の軌跡下端よりも更に下位になっており、倒伏穀稈に対する掻込性能が向上する。
【0052】
次いで、前記昇降装置32のシリンダ部32aのオーガフレーム17への装着構成、ピストン部32bのリールアーム31との連結構成について説明する。まずシリンダ部32aの連結構成について、シリンダ部32aの基部側を連結ピン55を介して連結せる連結枠56を設け、この連結枠56をオーガフレーム17又は筒体23(刈取前処理装置側フレーム部)に固定した台座57に装着するに際して、連結枠56と台座57との間に長孔58と固定ボルト59a・ナット59bの組み合わせによる上下調整手段を構成してなる。昇降装置32の伸縮によって昇降連動される掻込リール30の昇降範囲を変更設定することができるもので、穀物種類や長稈・短稈に対応してこの昇降範囲を任意に設定できる。
図13においては、台座57に長孔58を形成し、この長孔58に沿って連結枠56を上下調整して固定ボルト59a等で固定できる構成としたが、連結枠56側を長孔としてもよい。一方ピストン部32bとリールアーム31との連結構成について、
図14に示すように、ピストン部32bの先端部の連結ピン32cは、リールアーム31の補強板31aに対して連結されるものであるが、実施例では補強板31aに、円弧状長孔60を形成し、長孔60両端部との接続による高さの差異zを生じるようになし、リールアーム31、ひいては掻込リール30の昇降範囲を大小に変更できる。