(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定可能な所定の範囲内でユーザが感知された場合、非接触状態の前記ユーザから複数の生体データを取得した後、取得した複数の生体データを予め登録された生体データと比較して、各生体データに関するユーザ認証を行うステップは、
前記マルチ生体認識装置が、前記ユーザから顔に関する生体データを取得し、予め登録された生体データと比較するステップと、
前記マルチ生体認識装置が、前記ユーザから虹彩に関する生体データを取得し、予め登録された生体データと比較するステップと、を含み、
前記ユーザから顔に関する生体データを取得し、予め登録された生体データと比較するステップと、前記ユーザから虹彩に関する生体データを取得し、予め登録された生体データと比較するステップとは、同時に行われる
請求項1に記載の非接触式マルチ生体認識方法。
前記各生体データに関するユーザ認証結果を総合して、前記各生体データに関するユーザ認証結果が所定の条件を満たしている場合、前記ユーザを認可されたユーザとして判断するステップは、
前記マルチ生体認識装置が、成功したユーザ認証結果と所定のユーザ認証条件との一致可否を確認するステップと、
前記マルチ生体認識装置が、前記成功したユーザ認証結果と前記所定のユーザ認証条件との一致可否の結果に基づいて、ユーザの認可可否を判断するステップと、を含む
請求項1に記載の非接触式マルチ生体認識方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、添付図面に基づき、本発明について説明する。しかし、本発明は、さまざまに異なる形態にも具現可能であり、したがって、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして、図面において、本発明について明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似した部分については、類似した図面符号を付した。
【0044】
明細書の全般に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているとしたとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけではなく、これらの間に他の素子を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに備えていてもよいということを意味する。
【0045】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われるものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む(備える)」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除するものではない。
【0046】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0047】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係るマルチ生体認識装置100(以下、「マルチ生体認識装置100」という。)は、ユーザ1の身体が非接触状態で近づいた場合、ユーザ1から複数の生体データを取得し、これに基づいてユーザ1の識別を行うことができる生体認識セキュリティ装置であって、生体データ入力部10を含む。
【0048】
生体データ入力部10は、本マルチ生体認識装置100に近づいているユーザ1から複数の生体データを取得する。
【0049】
さらに詳しくは、生体データ入力部10は、ユーザ10が本マルチ生体認識装置100に近づいた場合、カメラの物理的な移動により非接触状態のユーザの身体から顔及び虹彩に関する複数の生体データを取得する。ここで、「非接触された状態」とは、ユーザ1の身体(例えば、指や手のひらなど)が本マルチ生体認識装置100から認識可能な位置に配置されるが、本マルチ生体認識装置100に接触されていない状態を意味する。また、「カメラの物理的な移動」とは、カメラが所定の方向に向かって、ある一地点から他の一地点へ移動する状態を意味するのみならず、カメラが所定の方向に向かって、所定の角度で回転する状態をも意味する。
【0050】
すなわち、生体データ入力部10は、内部に備えられたカメラの光学的なズーム機能ではなく、カメラの物理的な移動または回転により、ユーザ1から顔及び虹彩に関する複数の生体データを取得する。ちなみに、カメラの物理的な移動または回転によりユーザ1から顔及び虹彩に関する複数の生体データを取得する内容については、後述する。
【0051】
図1及び
図2を参照すると、生体データ入力部10は、ユーザ1の身体部位に応じて、それぞれの生体データを取得することができる複数の生体手段を含んでもよい。
【0052】
さらに詳しくは、生体データ入力部10は、顔認識手段13及び虹彩認識手段14を含んでもよい。
【0053】
顔認識手段13は、ユーザ1が生体データ入力部10側に近づいた場合、ユーザ1から顔画像データを取得することができる。
【0054】
顔認識手段13は、顔認識カメラ131を備えてもよい。
【0055】
顔認識カメラ131は、ユーザ1が本マルチ生体認識装置100に近づいた場合、ユーザ1の顔を撮影して顔画像データを取得することができる。そして、顔認識カメラ131の内部には、複数のレンズ(図示せず)が同軸に配置され、軸方向に沿って互いに距離調節可能な構造で備えられてもよい。また、顔認識カメラ131の内部には、複数のレンズを支持する構造物と締結され、構造物を回転させて複数のレンズを軸方向に移動させることができるモータ(図示せず)が備えられてもよい。したがって、顔認識カメラ131は、光学的にズーム機能を実現することができる。
【0056】
ここで、顔認識手段13は、顔認識カメラ131そのものであってもよく、これとは異なり、顔認識カメラ131と、顔認識カメラ131によって撮影された画像データを処理するプロセッサ(図示せず)と、を含むモジュールであってもよい。
【0057】
虹彩認識手段14は、ユーザ1が生体データ入力部10側に近づいた場合、ユーザ1から虹彩データを取得することができる。
【0058】
虹彩認識手段14は、虹彩認識カメラ141を備えてもよい。
【0059】
虹彩認識カメラ141は、ユーザ1が本マルチ生体認識装置100に近づいた場合、ユーザ1の目を撮影して虹彩データを取得することができる。そして、虹彩認識カメラ141の内部には、複数のレンズ(図示せず)が同軸に配置され、軸方向に沿って互いに距離調節可能な構造で備えられてもよい。また、虹彩認識カメラ141の内部には、複数のレンズを支持する構造物と締結され、構造物を回転させて複数のレンズを軸方向に移動させることができるモータ(図示せず)が備えられてもよい。したがって、虹彩認識カメラ141は、光学的にズーム機能を実現することができる。
【0060】
ここで、虹彩認識手段14は、虹彩認識カメラ141そのものであってもよく、これとは異なり、虹彩認識カメラ141と、虹彩認識カメラ141によって撮影された画像データを処理するプロセッサ(図示せず)と、を含むモジュールであってもよい。
【0061】
一方、顔認識手段13及び虹彩認識手段14は、顔認識カメラ131及び虹彩認識カメラ141をそれぞれ所定の方向に移動または回転させることができるパン・チルトドライバ15を備えてもよい。
【0062】
パン・チルトドライバ15は、左右及び上下回転が可能なのはもちろん、前後左右に直線移動可能な構造で形成されてもよい。例えば、パン・チルトドライバ15は、複数のアクチュエータ(図示せず)と、顔認識カメラ131及び虹彩認識カメラ141を支持することができる支持構造物(図示せず)と、で構成されてもよい。
【0063】
したがって、ユーザ1が、生体データ入力部10側に近づいた場合、顔認識手段13及び虹彩認識手段14は、前記パン・チルトドライバ15の駆動により自動的にユーザの顔映像及びユーザの目領域映像を取得することができる。このとき、顔認識カメラ131及び虹彩認識カメラ141を用いて取得したユーザの顔映像及びユーザの目領域映像は、所定の大きさ及び位置に補正されている可能性がある。
【0064】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1が意図的に自分の目または顔を本マルチ生体認識装置100に近づけることなく、ユーザ1が、生体データを取得可能な設定範囲内に位置した場合、虹彩認識カメラ141及び顔認識カメラ131の物理的(機械的)移動または回転により自動的にユーザの顔映像及びユーザの目領域映像を取得するとともに、取得したユーザの顔映像及びユーザの目領域映像を、所定の大きさ及び位置となるように補正することができる。例えば、虹彩認識カメラ141及び顔認識カメラ131は、同一のパン・チルトドライバ15によって駆動されてもよく、それぞれ別個のパン・チルトドライバ15によって個別に駆動されてもよい。
【0065】
一方、顔認識手段13及び虹彩認識手段14は、補正したユーザの顔映像に関する顔映像情報および補正したユーザの目領域映像に関する目映像情報が、所定の基準映像情報と異なる場合、顔認識カメラ131及び虹彩認識カメラ141に備えられた複数のレンズを用いて補正したユーザの顔映像及び補正したユーザの目領域映像を、光学的に再補正するように設定されてもよい。
【0066】
すなわち、顔認識手段13及び虹彩認識手段14は、補正したユーザの顔映像及び補正したユーザの目領域映像の解像度または映像の大きさが、所定の解像度または映像の大きさと一致しない場合、各カメラに備えられたレンズ間の距離調整により当該映像を拡大または縮小する再補正を行うことができる。
【0067】
一方、虹彩認識手段14は、ユーザから虹彩データの一部または全体を取得することができる。
【0068】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、虹彩全体ではなく、虹彩の一部だけでも虹彩に関するユーザ認証を行うことができる。
【0069】
さらに詳しくは、本マルチ生体認識装置100は、虹彩全体に関するパターン情報(特徴点)を認識して、予め登録されている生体データと比較することができるのはもちろん、虹彩の一部に関するパターン情報を認識して(partial iris donut pattern:部分虹彩ドーナツパターン)、予め登録されている生体データと比較することができる。このとき、後述する生体データ登録部30には、虹彩全体に関するパターン情報及び虹彩の一部に関するパターン情報が両方とも登録されている可能性がある。
【0070】
したがって、ユーザ1の虹彩部位が部分的にのみ外部に露出された状態の場合であっても、上述した部分虹彩認識機能により、当該ユーザ1の認証を行うことができる。
【0071】
一方、顔認識手段13及び虹彩認識手段14は、ユーザ1からのユーザの顔映像及びユーザの目領域映像の取得に際して、パルス幅変調(Pulse Width Modulation)方式を利用して光量を調節することができる。例えば、顔認識手段13及び虹彩認識手段14には、照度センサ(図示せず)、光源(図示せず)、および照度情報に基づいてパルス幅変調方式を利用して光源の光量を調節可能なPWMドライバ(図示せず)を備えてもよい。
【0072】
したがって、ユーザから映像を取得する場合、周囲の環境に応じて光量が自動的に調節されることで、映像のノイズを低減させ、且つ、一定の解像度の映像を取得することができる。
【0073】
また、生体データ入力部10は、ユーザ10が本マルチ生体認識装置100に近づいた場合、ユーザ1の身体が非接触された状態で、ユーザ1の身体から指紋及び手のひら静脈に関する複数の生体データをさらに取得することができる。
【0074】
さらに詳しくは、生体データ入力部10は、指紋認識手段11及び手のひら静脈認識手段12をさらに含んでもよい。
【0075】
指紋認識手段11は、ユーザ1が生体データ入力部10側に近づいた場合、ユーザ1の指から複数の指紋データを取得することができる。
【0076】
指紋認識手段11は、複数の認識カメラ111、113を備えてもよい。
【0077】
複数の指紋認識カメラ111、113は、ユーザ1が生体データ入力部10側に近づいた場合、ユーザ1の指を撮影して少なくとも2つ以上の指紋データを取得することができる。
【0078】
さらに詳しくは、複数の指紋認識カメラ111、113は、親指を除いた残りの指のうち、所定数の指の指紋を撮影する第1指紋認識カメラ111と、親指を除いた残りの指のうち、第1指紋認識カメラ111が撮影していない指の指紋を撮影する第2指紋認識カメラ113を含んでもよい。例示的に、
図6の(c)に示すように、第1指紋認識カメラ111がユーザ1の第1指F1、第2指F2及び第3指F3を撮影する場合、第2指紋認識カメラ113はユーザ1の第4指F4指紋を撮影することができる。これとは異なり、
図6の(a)に示すように、第1指紋認識カメラ111がユーザ1の第1指F1指紋のみを撮影し、第2指紋認識カメラ113がユーザ1の第2指F2、第3指F3及び第4指F4の指紋を撮影することもできる。また、
図6の(b)に示すように、第1指紋認識カメラ111と第2指紋認証カメラ113がそれぞれ2本の指の指紋を撮影することもできる。すなわち、複数の指紋認識カメラ111、113は、ユーザ1の指が本マルチ生体認識装置100と接触していない非接触(touchless)状態では、ユーザ1の親指を除いた残りの4本の指の指紋を同時に撮影することができる。
【0079】
したがって、本マルチ生体認識装置100は、複数の指紋情報によりユーザ1認証を行うことができる。ここで、指紋認識手段11は、上述したように、複数の指紋認識カメラ111、113そのものであってもよく、これとは異なり、複数の指紋認識カメラ111、113と、複数の指紋認識カメラ111、113によって撮影された画像をデータ処理するプロセッサ(図示せず)と、を含むモジュールであってもよい。
【0080】
再び
図1及び2を参照すると、 手のひら静脈認識手段12は、ユーザ1が生体データ入力部10側に近づいた場合、ユーザ1の手のひらから手のひら静脈データを取得することができる。
【0081】
手のひら静脈認識手段12は、手のひら静脈認識カメラ121を備えてもよい。
【0082】
手のひら静脈認識カメラ121は、ユーザ1が本マルチ生体認識装置100に近づいた場合、ユーザ1の手のひらを撮影して手のひら静脈データを取得することができる。ここで、手のひら静脈認識手段12は、上述したように、手のひら静脈認識カメラ121そのものであってもよく、これとは異なり、手のひら静脈認識カメラ121と、手のひら静脈認識カメラ121によって撮影された画像をデータ処理するプロセッサ(図示せず)と、を含むモジュールであってもよい。
【0083】
一方、複数の指紋認識カメラ111、113と手のひら静脈認識カメラ121は、
図2及び
図6に示すように、三角構図に配置されてもよい。
【0084】
さらに詳しくは、複数の指紋認識カメラ111、113は、ユーザ1の手が非接触状態で近づいた場合、手のひらより相対的に上側に位置するユーザ1の指を撮影できるように、手のひら静脈認識カメラ121に比べて相対的に上側に配置されてもよい。また、手のひら静脈認識カメラ121は、指よりも相対的に下側に位置するユーザ1の手のひらを撮影できるように、複数の指紋認識カメラ111、113に比べて相対的に下側に配置されてもよい。
【0085】
したがって、ユーザ1が、自分の生体データを本マルチ生体認識装置100の生体データ入力部10に入力させるために、自分の指を複数の指紋認識カメラ111、113に近づけた場合、ユーザ1の手のひらは、手のひら静脈認識カメラ121と対向する位置に自動的に配置され得る。
【0086】
また、本マルチ生体認識装置100は、生体データ識別部20を含む。
【0087】
図1を参照すると、生体データ識別部20は、生体データ入力部10から取得した複数の生体データと予め登録されている生体データとを比較してユーザ1の認証を行う。
【0088】
すなわち、生体データ識別部20は、生体データ入力部10から取得したマルチ生体データを、予め登録されている生体データと同時に比較して、生体データ入力部10から入力された各生体データに関する認証を個別に行い、各生体データに関する認証結果を総合してユーザの認可可否を判断することができる。もちろん、予め登録されているユーザ1の各生体データの種類や量に応じて、認証の過程で個別に時間差が発生する可能性がある。また、生体データ識別部20は、各生体データのうち、先に識別が行われる生体データからセキュリティ管理者が確認できるように、ディスプレイなどにより外部に表示することも可能である。
【0089】
ここで、生体データ識別部20は、1対1マッチングに本人であることを確認する認証(verification)を行うこともでき、1対Nマッチングで、多くの人の中からユーザ1を見つける識別(identification)を行うこともできる。すなわち、厳密に言って、認証と識別は別個のもので、応用領域に応じて選択的に利用されるものである。しかし、本発明において、「認証」または「識別」とは、生体データを利用して本人であることを確認するか見つける過程を総称するもので、広義に解釈されることが望ましい。
【0090】
図1及び2を参照すると、本マルチ生体認識装置100は、生体データ登録部30、ID表示部40、制御50をさらに含んでもよい。
【0091】
生体データ登録部30は、後述する制御部50を介して生体データ識別部20と連結されるように構成され、ユーザ1の生体データが予め登録されていてもよい。したがって、生体データ識別部20は、生体データ入力部10から取得した生体データと生体データ登録部30に予め登録されているユーザ1の生体データとを比較して、識別を行うことができる。
【0092】
ID表示部40は、制御部50を介して生体データ識別部20と連結されるように構成され、生体データ識別部20が識別したユーザ1の生体データに対する識別結果をIDで表示することができる。このようなID表示部40の識別結果は、セキュリティ管理者またはユーザ1が確認できる。
【0093】
制御部50は、生体データ入力部10、生体データ登録部30、生体データ識別部20及びID表示部40と連結され、これらのそれぞれの動作を制御する役割を果たす。
【0094】
また、本マルチ生体認識装置100は、生体データ保存データベース60をさらに含んでもよい。
【0095】
生体データ保存データベース60は、生体データ登録部30に登録されている生体データのバックアップを取ることができる。すなわち、人為的ミスや、ハードウェアの問題、ソフトウェアの問題、盗難、コンピュータウイルス、サイバーテロ、災害などの問題が発生した場合、生体データ登録部30に登録されているユーザ1の生体情報が失われる可能性がある。したがって、生体データ登録部30のデータは、生体データ保存データベース60に定期的にバックアップするように設定されてもよい。
【0096】
ここで、生体データ保存データベース60は、タンパープロテクション(tamper protection)機能に利用できる。すなわち、本マルチ生体認識装置100が、本マルチ生体認識装置100が設けられる外部コントローラから分離されると、生体データ登録部30に登録されているデータはすべて削除できる。逆に、本マルチ生体認識装置100がコントローラに再び連結されると、生体データ保存データベース60にバックアップされていたデータは、生体データ登録部30に復元できる。
【0097】
これにより、本マルチ生体認識装置100が盗難などの理由で失われても、個人情報である生体データの損失を防ぐことができる。すなわち、本マルチ生体認識装置100が外部コントローラから分離されると、生体データ登録部30に登録されているデータがすべて削除されるので、ユーザ1の生体データが流出する問題を事前に防止することができる。また、分離されたマルチ生体認識装置100が再び外部コントローラに連結されると、生体データ保存データベース60にバックアップされていたデータがすべて生体データ登録部30に復元されるので、ミス又は修理、管理等の目的のために、本マルチ生体認識装置100を外部コントローラから分離してから再び連結した場合でも、生体データを再入力する手間が発生しない。
【0098】
また、本マルチ生体認識装置100は、収容部70をさらに含んでもよい。
【0099】
図2及び
図3を参照すると、収容部70は、生体データ入力部10、生体データ識別部20、生体データ登録部30、ID表示部40及び制御部50を内側に収容する構造で形成されてもよい。
【0100】
さらに詳しくは、収容部70は、球状に形成され、内側には生体データ入力部10、生体データ識別部20、生体データ登録部30、ID表示部40及び制御部50を収容可能な収容空間が形成されてもよい。しかし、収容部70は、球状に限定されるものではなく、必要に応じて様々な形状に変更されて適用できる。例えば、本マルチ生体認識装置100の生体データ入力部10は、生体データ識別部20、生体データ登録部30、ID表示部40及び制御部50は、1つのモジュール形状に形成されて収容部70に収納されるように形成されてもよい。
【0101】
また、収容部70は、複数の外皮を含んでもよい。
【0102】
さらに詳しくは、複数の外皮は、前面部材71、後面部材72、両側に位置する2つの側面部材73、74、上部部材75及び下部部材76で構成されてもよい。
【0103】
前面部材71と後面部材72は、互いに対向配置され、側面部材73、74、上部部材75及び下部部材76と結合すると球状を呈するように構成されてもよい。
【0104】
2つの側面部材73、74は、後面部材72から着脱可能に設けられてもよい。したがって、システム管理者は、側面部材73、74を開放することにより、収容部70の内部に生体認識モジュールを装着したり、本マルチ生体認識装置100を維持及び補修したりすることができる。
【0105】
上部部材75は、ユーザ1の利便性(アクセシビリティ)を考慮して、垂直方向から所定の角度で傾いた領域に取りつけられてもよい。これにより、ユーザ1の指または手のひらが本マルチ生体認識装置100に向かって近づくとき、ユーザ1はより楽な姿勢を取ることができる。例えば、上部部材75は、ハーフミラー(half mirror)構造で形成されてもよい。
【0106】
また、垂直方向から所定の角度で傾いた領域に位置する上部部材75の一側には、複数の貫通ホール751、753が形成されてもよい。このような複数の貫通ホール751、753には、収容部70に設けられた複数の指紋認識カメラ111、113のレンズ部がそれぞれ配置されてもよい。
【0107】
さらに詳しくは、複数の貫通ホール751、753は、一方の側に形成されて第1指紋認識カメラ111の一面が露出される第1貫通ホール751と、他方の側に形成されて第2指紋認識カメラ113の一面が露出される第2貫通ホール753と、を含んでもよい。例えば、第1貫通ホール751を介して一面が外部に露出される第1指紋認識カメラ111は、親指を除いた残りの指のうち、所定数の指の指紋を撮影し、第2貫通ホール753を介して一面が外部に露出される第2指紋認識カメラ113は、親指を除いた残りの指のうち、第1指紋認識カメラ111が撮影していない指の指紋を撮影することができる。
【0108】
下部部材76は、前面部材71及び後面部材72と結合され、下部部材76の中心には、本マルチ生体認識装置100と外部コントローラとを連結するために、収容部70の収容空間と連通する連通ホール761が形成されてもよい。
【0109】
ここで、前述した実施形態では、収容部70が6つの部材で構成されたと説明したが、収容部70は、これに限定されるものではなく、より多様な形態に変更されて適用できる。例えば、
図4に示すように、収容部70の上部部材75と下部部材76は、直接締結されて1つの球状を呈する半球状に形成されてもよい。
【0110】
また、収容部70は、固定部材77をさらに含んでもよい。
【0111】
図2を参照すると、固定部材77は、リング状に形成され、下部部材76を除いた前面部材71、後面部材72、両側面部材73、74及び上部部材75と結合されてもよい。ここで、上部部材75と固定部材77との間には、リング状の光源78が設けられてもよい。光源78は、装飾的または審美的効果、且つ、ユーザ1の指または手のひらを誘導する機能の効果を有することができる。
【0112】
また、収容部70は、案内ガイド79をさらに含んでもよい。
【0113】
図3を参照すると、収容部70には、ユーザ1の指または手のひらの接近方向を案内する案内ガイド79が形成されてもよい。
【0114】
さらに詳しくは、上部部材75の表面には案内ガイド79が形成されてもよい。したがって、案内ガイド79は、ユーザ1の指または手のひらの接近方向を案内し、所定の案内方式(例えば、視覚または触覚)によって指または手のひらの接近方向を案内することができる。これにより、ユーザ1の指及び手のひらが、本マルチ生体認識装置100に近づきやすくなる。例えば、案内ガイド79は、光源78あるいは透明インク等により指や手のひらの形を表す形状に形成されてもよい。また、案内ガイド79は、別の色で表示されてよく、凹凸形状に形成されてもよい。また、指や手のひらの形が表示された箇所には空気排出部が設けられて、ユーザ1が風を感知して本マルチ生体認識装置100に近づくように誘導することも可能である。しかし、案内ガイド79は、前記実施形態に限定されず、同じ機能を実現できる条件下で様々な形状に変更されて適用できる。
【0115】
以下では、本マルチ生体認識装置100を用いた出入りシステムについて説明する。
【0116】
図5を参照すると、本マルチ生体認識装置100を用いた出入りシステムは、前述したような本マルチ生体認識装置100と、本マルチ生体認識装置100により識別が行われたユーザ1を選別して出入りさせるゲート200と、を含む。例えば、ゲート200は、スイングドアやスライドドアのようにユーザ1の出入りを物理的に制御することができる手段であり得、その構造及び形状は特に限定されない。
【0117】
したがって、ユーザ1は、ゲート200を通過するために、本マルチ生体認識装置100を介してユーザ1本人であることを認証しなければならず、本マルチ生体認識装置100によるユーザ1認証過程を通過すると、ユーザ1は、ゲート200を通過することができるようになる。
【0118】
さらに詳しくは、ユーザ1は、ゲート200を通過するために自分の生体情報を本マルチ生体認識装置100に提供し、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1から取得した生体データを予め登録されているユーザ1の生体データと比較して識別を行うことができる。例えば、ユーザ1は、本マルチ生体認識装置100に自分の生体情報を提供するために、自分の指または手のひらを本マルチ生体認識装置100に非接触状態で近づけながら本マルチ生体認識装置100を眺めるようになる。これにより、本マルチ生体認識装置100内に備えた生体データ入力部10は、ユーザ1の生体データを取得することになる。
【0119】
このとき、本マルチ生体認識装置100は、様々な出入り許容条件を設定することができる。
【0120】
まず、2つ以上のマルチ生体データのうちで先に認証がなされたいずれか1つの生体データに基づいて出入りを許容することができる。この場合、出入りを迅速に許容することができる。
【0121】
次に、2つ以上の生体データのすべてが認証されるときに限って出入りを許容することも可能である。この場合、セキュリティ条件が強化され、誤認識による出入り許容やセキュリティ事故の確率が低くなる。
【0122】
また、上記のような2つのケースを適切に組み合わせた出入り許容条件を設定することも可能である。例えば、データの正確性と安定性、セキュリティ性の高い静脈(手のひら静脈)や虹彩による認証が行われた場合には、その1つの生体データだけに基づいて出入りを許容することができ、これとは異なり、データの正確性と安定性が比較的低い顔画像による認証が行われた場合には、他の生体データ、例えば、指紋や虹彩による認証をも要求することでセキュリティ性を高める方法を取ることができる。この他にも、セキュリティ要求レベルや認証速度などを考慮して様々な出入り許容条件を設定することができる。
【0123】
ここで、本マルチ生体認識装置100を用いた出入りシステムでは、説明しやすくするために、ゲート200(出入りセキュリティゲート)200を通過するための用途として本マルチ生体認識装置100を説明するが、本マルチ生体認識装置100は、これに限定されるものではなく、セキュリティに関わるすべてのシステムに適用できることをすべきである。
【0124】
以下では、マルチ生体データを用いた非接触式マルチ生体認識方法について説明する。
【0125】
ちなみに、マルチ生体データを用いた非接触式マルチ生体認識方法を説明するための各構成要素については、説明の便宜上、本マルチ生体認識装置100の説明に用いた符号と同じ符号を用い、重複した説明を省略する。
【0126】
まず、本マルチ生体認識装置100を用いた非接触式マルチ生体認識方法を説明するに先立って、本マルチ生体認識装置100を用いた生体データの登録過程について説明する。
【0127】
図1を参照すると、ユーザ1または管理者は、本マルチ生体認識装置100にユーザ1の生体データを登録する必要がある。ユーザ1の生体データの登録は、基本的にユーザ1の特徴を抽出して保存する行為である。このように取得したユーザ1のすべての生体データは、生体データ登録部30に保存されてもよい。生体データ登録部30に登録されているユーザ1のすべての生体データは、データの保存のために生体データ保存データベース60にバックアップされてもよい。本マルチ生体認識装置100と生体データ保存データベース60とは、有線または無線で連結されてもよい。
【0128】
次に、マルチ生体データを用いた非接触式マルチ生体認識方法について説明する。
【0129】
図7を参照すると、本マルチ生体認識装置100は、測定可能な所定の範囲内にユーザ1が感知された場合、待機状態を解除する(S10)。
【0130】
待ち状態が解除されると、本マルチ生体認識装置100は、カメラの物理的な移動により、非接触状態のユーザ1から複数の生体データを取得した後、取得した複数の生体データを予め登録された生体データとそれぞれ比較して、各生体データに関するユーザ認証を行う(S120)。ここで、「カメラの物理的な移動」とは、カメラが所定の方向に向かって、ある一地点から他の一地点へ移動する状態を意味するのみならず、カメラが所定の方向に向かって、所定の角度で回転する状態をも意味する。
【0131】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1が感知された場合、カメラを特定の位置に移動させるか、特定の方向に回転させることにより、非接触状態のユーザ1からマルチ生体データを取得することができている。
【0132】
さらに詳しくは、本マルチ生体認識装置100は、
図8に示すように、所定の範囲内にユーザ1が感知された場合、カメラの物理的な移動により非接触状態のユーザ1から顔に関する生体データ及び虹彩に関する生体データを取得し、予め登録された生体データと比較した後、各生体データに関するユーザ認証を同時に行う(S21、S22)。ここで、「同時に行われる」とは、複数の過程が時間的に同じ時期に行われることだけを意味するのではなく、複数の過程が個別的に処理過程による時間差を有するが、全体のプロセスにおいて一回に統合処理されることを意味する。
【0133】
図9から
図12を参照して、顔及び虹彩に関する生体データを用いたユーザ認証過程(S21、S22)についてさらに詳しく説明する。
【0134】
まず、顔に関するユーザ認証過程(S21)について説明する。
【0135】
図9及び
図10を参照すると、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1が感知されると、まずユーザ1から顔画像データを取得する(S211)。
【0136】
さらに詳しくは、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1が近づくと、顔認識カメラ131を所定の方向に移動または回転させて、ユーザの顔映像を取得するとともに、取得したユーザの顔映像を、所定の大きさ及び位置となるように補正する(S2111)。そして、本マルチ生体認識装置100は、上記のようにユーザの顔映像が補正されると、補正したユーザの顔映像から顔画像データを取得する(S2112)。
【0137】
ここで、本マルチ生体認識装置100は、顔認識カメラ131を所定の方向に移動または回転させることができるパン・チルトドライバ15を備えてもよい。
【0138】
パン・チルトドライバ15は、左右及び上下回転が可能なのはもちろん、前後左右に直線移動可能な構造で形成されてもよい。例えば、パン・チルトドライバ15は、複数のアクチュエータ(図示せず)と、顔認識カメラ131を支持することができる支持構造物(図示せず)と、で構成されてもよい。
【0139】
したがって、ユーザ1が本マルチ生体認識装置100側に近づいた場合、本マルチ生体認識装置100は、パン・チルトドライバ15の駆動により自動的にユーザの顔映像を取得することができ、顔認識カメラ131を用いて取得したユーザの顔映像は、予め設定され大きさ及び位置に補正されている可能性がある。
【0140】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1が意図的に自分の顔を本マルチ生体認識装置100に近づけることなく、ユーザ1が、生体データを取得可能な設定範囲内に位置した場合、顔認識カメラ131の物理的(機械的)移動または回転により自動的にユーザの顔映像を取得するとともに、取得したユーザの顔映像を、所定の大きさ及び位置となるように補正することができる。
【0141】
一方、本マルチ生体認識装置100は、補正したユーザの顔映像に関する顔映像情報と所定の基準映像情報とを比較することで、補正したユーザの顔映像の再補正可否を判断する。
【0142】
さらに詳しくは、本マルチ生体認識装置100は、ユーザの顔映像が補正されると、補正したユーザの顔映像に関する顔映像情報と所定の基準映像情報とを比較する(S2113)。このとき、本マルチ生体認識装置100は、顔映像情報が基準映像情報と一致しない場合、顔認識カメラ131に備えられた複数のレンズ(図示せず)を用いて補正したユーザの顔映像を光学的に再補正するように設定される(S2114)。例えば、顔認識カメラ131の内部には、複数のレンズが同軸に配置され、軸方向に沿って互いに距離調節可能な構造で備えられてもよい。また、顔認識カメラ131の内部には、複数のレンズを支持する構造物と締結され、構造物を回転させて複数のレンズを軸方向に移動させることができるモータ(図示せず)が備えられてもよい。したがって、顔認識カメラ131は、光学的にズーム機能を実現することができる。
【0143】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、補正したユーザの顔映像の解像度または映像の大きさが、所定の解像度または映像の大きさと一致しない場合、カメラに備えられたレンズ間の距離調整により当該映像を拡大または縮小する再補正を行うことができる。
【0144】
また、本マルチ生体認識装置100は、ユーザの顔映像の取得に際して、パルス幅変調(Pulse Width Modulation)方式を利用して光量を調節するように設定されてもよい。
【0145】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、照度センサ(図示せず)、光源(図示せず)、および照度情報に基づいて、パルス幅変調方式を利用して光源の光量を調節可能なPWMドライバ(図示せず)を備え、ユーザの顔映像の取得に際して、パルス幅変調方式を利用して光量を調節することができる。
【0146】
したがって、ユーザから映像を取得する場合、周囲の環境に応じて光量が自動的に調節されることで、映像のノイズを低減させ、且つ、一定の解像度の映像を取得することができる。
【0147】
次に、本マルチ生体認識装置100は、取得した顔画像データから特徴点を抽出する(S212)。例えば、顔画像データから抽出された特徴点は、顔に含まれる目、鼻、口、耳、眉毛などの各身体部位間の距離、各身体部位の大きさ、顔の形状、各身体部位の形状などを含み有る。
【0148】
最後に、本マルチ生体認識装置100は、顔画像データから特徴点の抽出が完了すると、顔画像データから抽出した特徴点を、予め登録された生体データから抽出した特徴点と比較し(S213)、それぞれの特徴点間の比較結果に基づいて顔に関するユーザの認証可否を判断する(S214)。
【0149】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、顔画像データから抽出した特徴点と予め登録された生体データから抽出した特徴点との一致率が、所定の基準値以上である場合、顔に関するユーザ認証に成功したと判断し(S214a)、逆に、顔画像データから抽出した特徴点と予め登録された生体データから抽出した特徴点との一致率が、所定の基準値未満である場合、顔に関するユーザ認証に失敗したと判断する(S214b)する。
【0150】
次に、虹彩に関するユーザ認証過程S22について説明する。
【0151】
図11及び
図12を参照すると、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1が感知されると、まずユーザ1から虹彩データを取得する(S221)。
【0152】
さらに詳しくは、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1が近づくと、虹彩認識カメラ131を所定の方向に移動または回転させて、ユーザの目領域映像を取得するとともに、取得したユーザの目領域映像を、所定の大きさ及び位置となるように補正する(S2211)。そして、本マルチ生体認識装置100は、上記のようにユーザの目領域映像が補正されると、補正したユーザの目領域映像から虹彩画像データを取得する(S2212)。
【0153】
ここで、本マルチ生体認識装置100は、虹彩認識カメラ141を所定の方向に移動または回転させることができるパン・チルトドライバ15を備えてもよい。
【0154】
パン・チルトドライバ15は、左右及び上下回転が可能なのはもちろん、前後左右に直線移動可能な構造で形成されてもよい。例えば、パン・チルトドライバ15は、複数のアクチュエータ(図示せず)と、顔認識カメラ131を支持することができる支持構造物(図示せず)と、で構成されてもよい。
【0155】
したがって、ユーザ1が本マルチ生体認識装置100側に近づいた場合、本マルチ生体認識装置100は、パン・チルトドライバ15の駆動により自動的にユーザの目領域映像を取得することができ、虹彩認識カメラ141を用いて取得したユーザの目領域映像は、所定の大きさ及び位置に補正されている可能性がある。
【0156】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1が意図的に自分の目を本マルチ生体認識装置100に近づけることなく、ユーザ1が、生体データを取得可能な設定範囲内に位置した場合、虹彩認識カメラ141の物理的(機械的)移動または回転により自動的にユーザの目領域映像を取得するとともに、取得したユーザの目領域映像を、所定の大きさ及び位置となるように補正することができる。
【0157】
このとき、本マルチ生体認識装置100は、ユーザから虹彩データの一部または全体を取得する。
【0158】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、虹彩の一部または虹彩全体を用いたユーザ認証を行うことができる。
【0159】
さらに詳しくは、本マルチ生体認識装置100は、虹彩全体に関するパターン情報(特徴点)を認識し、予め登録されている生体データと比較できるのはもちろん、虹彩の一部に関するパターン情報を認識し(partial iris donut pattern)、予め登録されている生体データと比較できる。
【0160】
したがって、ユーザ1の虹彩部位が部分的にのみ外部に露出された状態の場合であっても、上述した部分虹彩認識機能によりユーザ1の認証を行うことができる。
【0161】
一方、本マルチ生体認識装置100は、補正したユーザの目領域映像に関する目映像情報と所定の基準映像情報とを比較することで、補正したユーザの目領域映像の再補正可否を判断する。
【0162】
さらに詳しくは、本マルチ生体認識装置100は、ユーザの目領域映像が補正されると、補正したユーザの目領域映像に関する映像情報と所定の基準映像情報とを比較する(S2213)。このとき、本マルチ生体認識装置100は、目映像情報が基準映像情報に一致しない場合、虹彩認識カメラ141に備えられた複数のレンズを用いて補正したユーザの目領域映像を光学的に再補正するように設定される(S2214)。例えば、虹彩認識カメラ141の内部には、複数のレンズが同軸に配置され、軸方向に沿って互いに距離調節可能な構造で備えられてもよい。また、虹彩認識カメラ141の内部には、複数のレンズを支持する構造物と締結され、構造物を回転させて複数のレンズを軸方向に移動させることができるモータ(図示せず)が備えられてもよい。したがって、虹彩認識カメラ141は、光学的にズーム機能を実現することができる。
【0163】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、補正したユーザの目領域映像の解像度または映像の大きさが、所定の解像度または映像の大きさと一致しない場合、カメラに備えられたレンズ間の距離調整により当該映像を拡大または縮小する再補正を行うことができる。
【0164】
また、本マルチ生体認識装置100は、ユーザの目領域映像の取得に際して、パルス幅変調(Pulse Width Modulation)方式を利用して光量を調節するように設定されてもよい。
【0165】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、照度センサ(図示せず)、光源(図示せず)、および照度情報に基づいて、パルス幅変調方式を利用して光源の光量を調節可能なPWMドライバ(図示せず)を備え、ユーザの目領域映像の取得に際して、パルス幅変調方式を利用して光量を調節することができる。
【0166】
したがって、ユーザから映像を取得する場合、周囲の環境に応じて光量が自動的に調節されることで、映像のノイズを低減させ、且つ、一定の解像度の映像を取得することができる。
【0167】
次に、本マルチ生体認識装置100は、取得した虹彩データから特徴点を抽出する(S222)。例えば、虹彩データから抽出された特徴点は、虹彩の各パターン間の距離、特定部位のパターンの大きさ及び形状などを含んでもよい。
【0168】
最後に、本マルチ生体認識装置100は、虹彩データから特徴点の抽出が完了すると、虹彩データから抽出した特徴点を、予め登録された生体データから抽出した特徴点と比較し(S223)、それぞれの特徴点間の比較結果に基づいて虹彩に関するユーザの認証可否を判断する(S224)。
【0169】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、虹彩データから抽出した特徴点と予め登録された生体データから抽出した特徴点との一致率が、所定の基準値以上である場合、虹彩に関するユーザ認証に成功したと判断し(S224a)、逆に、虹彩データから抽出した特徴点と予め登録された生体データから抽出した特徴点との一致率が、所定の基準値未満である場合、虹彩に関するユーザ認証に失敗したと判断する(S224b)。
【0170】
また、本マルチ生体認識装置100は、所定の範囲内にユーザ1が感知された場合、ユーザ1から指紋に関する生体データ及び手のひら静脈に関する生体データを同時に取得し、予め登録された生体データと比較した後、各生体データに関するユーザ認証をさらに行うことができる。
【0171】
すなわち、指紋に関するユーザ認証S23及び手のひら静脈に関するユーザ認証S24は、顔に関するユーザ認証S21及び虹彩に関するユーザ認証S22と同時に行われてもよい。
【0172】
図13及び
図14を参照して、、指紋及び手のひら静脈に関する生体データを用いたユーザ認証を行う過程についてさらに詳しく説明する。
【0173】
まず、指紋に関するユーザ認証過程(S23)について説明する。
【0174】
図13を参照すると、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1が感知されると、指紋に関するユーザ認証を行う(S23)。
【0175】
さらに詳しくは、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1が感知されると、ユーザ1から1つの指紋データを取得し(S231)、取得した1つの指紋データから特徴点を抽出する(S232)。そして、本マルチ生体認識装置100は、1つの指紋データから抽出した特徴点を、予め登録された生体データから抽出した特徴点とリアルタイムで比較し(S233)、各特徴点間の比較結果に基づいて指紋に関するユーザの認証可否を判断する(S234)。
【0176】
ここで、1つの指紋データは、少なくとも1つ以上の指の指紋情報を含む複数のグループ指紋情報で形成されてもよい。
【0177】
複数のグループ指紋情報は、第1指紋認識カメラ111に撮影される第1グループ指紋情報、および第2指紋認識カメラ113に撮影される第2グループ指紋情報で形成されてもよい。すなわち、本マルチ生体認識装置100は、第1指紋認識カメラ111及び第2指紋認識カメラ113を備えてもよい。
【0178】
したがって、複数のグループ指紋情報は、第1指F1に関する指紋情報および第2〜第4指F2、F3、F4に関する指紋情報を含む第1指紋データ(
図6の(a))と、第1〜第2指F1、F2に関する指紋情報および第3〜第4指F3、F4に関する指紋情報を含む第2指紋データ(
図6の(b))と、第1〜第3指F1、F2、F3に関する指紋情報および第4指F4に関する指紋情報を含む第3指紋データ(
図6の(c))と、などで形成されてもよい。しかし、複数のグループ指紋情報は、前記実施形態に限定されるものではなく、より多様な方法で変更されてもよい。
【0179】
一方、本マルチ生体認識装置100は、1つの指紋データから抽出した特徴点を、予め登録された生体データから抽出した特徴点とリアルタイムで比較したとき、1つの指紋データから抽出した特徴点と予め登録された生体データから抽出した特徴点との一致率が、所定の基準値未満である場合、再度ユーザ1から1つの指紋データを追加取得するように設定される。
【0180】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、各特徴点間の一致率が所定の基準値未満である場合、再度ユーザ1から1つの指紋データを追加取得する。例えば、所定の基準値は、管理者により任意に設定できる。
【0181】
また、本マルチ生体認識装置100は、再びユーザ1から1つの指紋データを追加取得する必要がある場合、ユーザから1つの指紋データを追加取得した回数を所定の回数と比較する(S235)。
【0182】
したがって、本マルチ生体認識装置100は、1つの指紋データから抽出した特徴点と予め登録された生体データから抽出した特徴点とをリアルタイムで比較したとき、1つの指紋データから抽出した特徴点と予め登録された生体データから抽出した特徴点との一致率が、所定の基準値以上である場合、指紋に関するユーザ認証に成功したと判断する(S234a)。逆に、本マルチ生体認識装置100は、再びユーザ1から1つの指紋データを追加取得する必要がある場合、ユーザ1から1つの指紋データを追加取得した回数を所定の回数と比較し、ユーザ1から1つの指紋データを追加取得した回数が所定の回数以上である場合、ユーザ認証に失敗したと判断する(S234b)。
【0183】
次に、手のひら静脈に関するユーザ認証過程(S24)について説明する。
【0184】
図14を参照すると、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1の身体情報が感知されると、前記指紋に関するユーザ認証を行う(S23)とともに、手のひら静脈に関するユーザ認証を行う(S24)。
【0185】
さらに詳しくは、本マルチ生体認識装置100は、ユーザ1の身体情報が感知されると、ユーザ1から手のひら静脈データを取得し(S241)、取得した手のひら静脈データから特徴点を抽出する(S242)。そして、本マルチ生体認識装置100は、手のひら静脈データから抽出した特徴点を、予め登録された生体データから抽出した特徴点と比較し(S243)、各特徴点間の比較結果に基づいて手のひら静脈に関するユーザの認証可否を判断する(S244)。
【0186】
したがって、本マルチ生体認識装置100は、手のひら静脈データから抽出した特徴点と、予め登録された生体データから抽出した特徴点を比較したとき、手のひら静脈データから抽出した特徴点と、予め登録された生体データから抽出した特徴点との一致率が、所定の基準値以上である場合、手のひら静脈に関するユーザ認証に成功したと判断し(S244a)、逆に、手のひら静脈データから抽出した特徴点と予め登録された生体データから抽出した特徴点との一致率が、所定の基準値未満である場合、手のひら静脈に関するユーザ認証に失敗したと判断する(S244b)。
【0187】
再び
図7を参照すると、本マルチ生体認識装置100は、前記各生体データに関するユーザ認証が完了すると、各生体データに関するユーザ認証結果を総合して、各生体データに関するユーザ認証結果が所定の認証条件を満たしている場合、ユーザ1を認可されたユーザとして判断する(S30)。
【0188】
さらに詳しくは、
図15を参照すると、本マルチ生体認識装置100は、各生体データに関するユーザ認証が完了すると、成功したユーザ認証結果と所定のユーザ認証条件との一致可否を確認する(S31)。例えば、所定のユーザ認証条件としては、1つの生体データに基づいたユーザ認証条件、マルチ生体データに基づいたユーザ認証条件、指定された1つの生体データを含むマルチ生体データに基づいたユーザ認証条件、指定されたマルチ生体データを含むマルチ生体データに基づいたユーザ認証条件などの様々な条件を設定することができる。
【0189】
そして、本マルチ生体認識装置100は、成功したユーザ認証結果と所定のユーザ認証条件との一致可否の結果に基づいて、ユーザの認可可否を判断する(S32)。
【0190】
すなわち、本マルチ生体認識装置100は、成功したユーザ認証結果が所定のユーザ認証条件と一致した場合、ユーザ1を認可されたユーザとして判断し、逆に、成功したユーザ認証結果が所定のユーザ認証条件と一致しない場合、ユーザ1を認可されていないユーザとして判断する。
【0191】
このように本発明の実施形態では、独立した生体認識技術を融合して、多数の生体認識及び識別を同時に行うことができ、審美的に優れユーザフレンドリーなユーザインタフェースを提供することができる。
【0192】
また、生体データの登録および識別過程で時間がかかることや不便さを減らし、生体認識過程での心理的抵抗感を減らすことができる。特に、生体情報の認識率が高く、しかも、その内部装置がユーザ1に見えないため、拒否感や不快感が減少したマルチ生体認識装置100を提供することができる。
【0193】
また、ユーザ1の顔及び虹彩を撮影する各カメラを、パン・チルトドライバ15を利用して物理的に移動または回転させてユーザの顔映像を認識可能な状態に補正することにより、ユーザ1の動きまたは姿勢に関係なくどのような状況でもユーザ1の顔及び虹彩画像を均一な位置及び大きさで撮影することができ、これにより解像度の低下、画像の歪みなどの問題を防止することができる。
【0194】
また、虹彩認識過程において、全体はもちろん部分的に虹彩データを取得可能なので、ユーザ1の身体的欠陥の有無に関係なくすべてのユーザに同じセキュリティ基準を適用して、セキュリティ性能を向上させることができる。
【0195】
また、ユーザ1の顔及び虹彩を撮影する場合、映像の大きさ及び位置に基づいて、パルス幅変調方式を利用して光量を調節することで、映像の解像度及び明るさを常に一定に保つことができる。
【0196】
また、ユーザ1から生体データが入力された場合、ユーザ1の身体から取得したすべての生体データを、予め登録されている生体データとリアルタイムで比較してユーザの識別を行うことにより、ユーザ識別の失敗確率を下げ、迅速なユーザ識別を行うことができる。
【0197】
前述した本発明の説明は、例示のためのことであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施形態等は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、単一型として説明されている各構成要素は、分散されて実施されてもよく、同様に、分散されたものと説明されている構成要素も、結合された形態で実施されてもよい。
【0198】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味、範囲およびその等価概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれる。
【0199】
発明を実施するための形態は、上記の発明を実施するための最良の形態で共に記述された。