特許第6888897号(P6888897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6888897指向性光導波路、指向性バックライトモジュール及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6888897
(24)【登録日】2021年5月24日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】指向性光導波路、指向性バックライトモジュール及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/33 20200101AFI20210607BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20210607BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   G02B30/33
   F21S2/00 433
   F21S2/00 444
   F21S2/00 434
   F21S2/00 435
   F21S2/00 443
   G02B6/00 331
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-556674(P2019-556674)
(86)(22)【出願日】2017年4月28日
(65)【公表番号】特表2020-517989(P2020-517989A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(86)【国際出願番号】CN2017082612
(87)【国際公開番号】WO2018196002
(87)【国際公開日】20181101
【審査請求日】2019年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】518409575
【氏名又は名称】深▲セン▼前▲海▼▲達▼▲闥▼▲雲▼端智能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CLOUDMINDS (SHENZHEN) ROBOTICS SYSTEMS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】陳方
(72)【発明者】
【氏名】黄暁慶
(72)【発明者】
【氏名】張濤
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第106443867(CN,A)
【文献】 特開2006−010935(JP,A)
【文献】 特表2016−505898(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102007054294(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0300960(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/106987(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/118107(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/33,6/00
G02F 1/13357
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割多重ユニットと、積層配置されたN層の光導波路とを含み、且つ、N層の光導波路の光出射方向が同じであり、各層の前記光導波路の光出射面にはピクセル型格子が設けられ、Nは2以上の整数であり、
前記時分割多重ユニットは、各フレームビデオストリームサイクルにおいて、N層の前記光導波路の積層順に従って、対応するフレームビデオ時間帯に光源光線を対応する前記ピクセル型格子に導入するようにN層の前記光導波路を制御することに用いられ、各フレームビデオストリームサイクルには、N層の光導波路に逐一対応するNフレームビデオ時間帯が含まれ、
前記ピクセル型格子内に導入された光源光線は、当該ピクセル型格子において回折されて、表示ピクセルに逐一対応する複数の一次回折光線を形成し、複数の前記一次回折光線は、当該ピクセル型格子が設置される光導波路の光出射面に対向する光導波路に入射し、
そのうち、各本の前記一次回折光線は、異なる回折角および回折方位角を有する
ことを特徴とする指向性光導波路。
【請求項2】
前記時分割多重ユニットは、N層の前記光導波路に逐一対応するN個の三次元表示電圧駆動モジュールを含み、各個の前記三次元表示電圧駆動モジュールの電圧駆動サイクルの時間長さΛと各フレームビデオストリームサイクルの時間長さTとが同じであり、
前記電圧駆動サイクルの電圧駆動時間帯ごとの時間長さをΛ/Nとされ、前記フレームビデオ時間帯ごとの時間長さをT/Nとされ、
各電圧駆動サイクルにおいて、N個の前記三次元表示電圧駆動モジュールは、N層の前記光導波路の積層順に従って、光源光線を対応する前記ピクセル型格子に導入するように対応する前記光導波路を制御することに用いられ、
そのうち、電圧駆動時間帯ごとに、N個の前記三次元表示電圧駆動モジュールの中の一つの前記三次元表示電圧駆動モジュールは、光源光線を対応する前記ピクセル型格子に導入するように対応する前記光導波路を制御することに用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載の指向性光導波路。
【請求項3】
N層の前記光導波路において、第1層光導波路の底部と第N層光導波路の光出射面の両方が露出して覆わなく、前記第N層光導波路に対応するピクセル型格子の外側に導光板が覆われており、または、
N層の前記光導波路において、第1層光導波路の光出射面と第N層光導波路の底面の両方が露出して覆わなく、前記第1層光導波路に対応するピクセル型格子の外側に導光板が覆われており、
前記時分割多重ユニットは、制御モジュールおよび二次元表示電圧駆動モジュールをさらに含み、前記制御モジュールの出力端子は、それぞれ前記二次元表示電圧駆動モジュールおよびN個の前記三次元表示電圧駆動モジュールの入力端子に接続され、
前記制御モジュールは、三次元表示の場合にN個の前記三次元表示電圧駆動モジュールを起動するための三次元表示動作コマンドをN個の前記三次元表示電圧駆動モジュールに送信し、二次元表示の場合に二次元表示電圧駆動モジュールを起動するための二次元表示動作コマンドを二次元表示電圧駆動モジュールに送信することに用いられる
ことを特徴とする請求項2に記載の指向性光導波路。
【請求項4】
各層の前記光導波路に対応するピクセル型格子は、チャープ格子である
ことを特徴とする請求項1に記載の指向性光導波路。
【請求項5】
各層の前記光導波路に対応するピクセル型格子は、k個の表示ピクセルに逐一対応するk個の格子を含み、
隣接する二層の前記光導波路における、同一の表示ピクセルに対応する格子は、格子周期が同じであり、格子位相が異なる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の指向性光導波路。
【請求項6】
各層の前記光導波路に対応するピクセル型格子は、k個の表示ピクセルに逐一対応するk個の格子を含み、
前記表示ピクセルは、異なる色の複数のサブピクセルを含み、
各前記格子は、複数のサブピクセルに逐一対応する複数のサブ格子を含み、前記サブ格子に対応するサブピクセルの色の波長が長いほど、前記サブ格子の格子周期が大きくなる
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の指向性光導波路。
【請求項7】
各層の前記光導波路の光出射面には、前記ピクセル型格子を構成する複数の凹溝が設けられており、
N層の前記光導波路において、第1層光導波路の底部と第N層光導波路の光出射面の両方が露出して覆わない場合、N層の前記光導波路の積層順に従って、N層の前記光導波路に対応する凹溝の深さが徐々に小さくなり、または、
N層の前記光導波路において、第1層光導波路の光出射面と第N層光導波路の底面の両方が露出して覆わない場合、N層の前記光導波路の積層順に従って、N層の前記光導波路に対応する凹溝の深さが徐々に大きくなる
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の指向性光導波路。
【請求項8】
隣接する二層の前記光導波路の間には、隙間が設置される
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の指向性光導波路。
【請求項9】
各前記光導波路は、表示対応エリアと、前記表示対応エリアの周辺に形成された周辺対応エリアとを含み、前記ピクセル型格子は、対応する前記光導波路の表示対応エリアに形成され、
前記隙間における前記周辺対応エリアに対応する部分には、隣接する二層の前記光導波路の間に位置される支持体が設けられている
ことを特徴とする請求項8に記載の指向性光導波路。
【請求項10】
隣接する二層の前記光導波路の間には、前記隙間に位置される光透過性媒体層が設けられ、
前記光透過性媒体層の屈折率は、前記光透過性媒体層に隣接する二層の前記光導波路の屈折率よりも小さい
ことを特徴とする請求項8または9に記載の指向性光導波路。
【請求項11】
N層の前記光導波路において、第1層光導波路の底部と第N層光導波路の光出射面の両方が露出して覆わなく、各層の前記光導波路の光導波路特性方程式は、
であり、
N層の前記光導波路において、第1層光導波路の光出射面と第N層光導波路の底面の両方が露出して覆わなく、各層の前記光導波路の光導波路特性方程式は、
であり、
そのうち、kixは、第i層光導波路の波数ベクトルがX軸方向における成分であり、k=2π/λ、λは光の波長であり、nは、第i層光導波路の屈折率であり、ni0は、第i層光導波路と第i-1層光導波路との間の領域の屈折率であり、n(i+1)0は、第i層光導波路と第i+1層光導波路との間の領域の屈折率であり、dは、第i層光導波路の厚さであり、mは、第i層光導波路に対応するピクセル型格子によって回折された一次回折光線の本数であり、iは、1以上N以下の整数である
ことを特徴とする請求項8に記載の指向性光導波路。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の指向性光導波路およびN個の三次元表示用光源を含み、N個の前記三次元表示用光源は、N層の前記光導波路に逐一対応し、
各前記三次元表示用光源は、対応する前記光導波路の側面に設置され、N個の前記三次元表示用光源は、それぞれ時分割多重ユニットに信号接続される
ことを特徴とする指向性バックライトモジュール。
【請求項13】
N層の前記光導波路において、第1層光導波路の底部と第N層光導波路の光出射面の両方が露出して覆わなく、第1層光導波路の底部には反射板が設けられており、または、
N層の前記光導波路において、第1層光導波路の光出射面と第N層光導波路の底面の両方が露出して覆わなく、第N層光導波路の底部には反射板が設けられている
ことを特徴とする請求項12に記載の指向性バックライトモジュール。
【請求項14】
前記指向性光導波路が導光板を含む場合、前記指向性バックライトモジュールは、二次元表示用光源をさらに備え、前記二次元表示用光源は、前記導光板の側面に設置され、前記二次元表示用光源は、前記時分割多重ユニットに信号接続される
ことを特徴とする請求項12または13に記載の指向性バックライトモジュール。
【請求項15】
前記二次元表示用光源および各前記三次元表示用光源は、いずれも光源と、光源の光出射面に設けられる光視準モジュールとを含む
ことを特徴とする請求項14に記載の指向性バックライトモジュール。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか1項に記載の指向性バックライトモジュールおよび指向性バックライトモジュールの光出射面に位置される光スイッチ部品を備える
ことを特徴とする表示装置。
【請求項17】
前記光スイッチ部品は、液晶表示パネルであることを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体表示の分野に関し、特に、一種の指向性光導波路、指向性バックライトモジュール及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指向性バックライト裸眼表示技術は、一種の裸眼立体視ディスプレイを実現できる表示方法であり、その原理は、指向性バックライト裸眼表示技術によりバックライトの出射方向を制御することによって、表示パネルに表示される視差のある二つの画像がユーザーの左目及び右目に投影され、ユーザーの脳内で立体画像が統合されることである。
【0003】
既存の指向性バックライト裸眼表示技術は、主に、幾何光学型指向性バックライト立体表示技術と波動光学型指向性バックライト立体表示技術に分けられている。そのうち、波動光学型指向性バックライト立体表示技術は、多方向の導光を実現することができ、大きな方向変調範囲と高い変調精度を持ち、対応する立体表示装置が全方向視を実現できるだけでなく、回転視も実現でき、得られる視覚効果が良く、クロストークが小さいため、波動光学型指向性バックライト立体表示技術は、指向性バックライト裸眼表示技術の研究焦点となっている。
【0004】
現在、波動光学型指向性バックライト立体表示技術を適用する立体表示装置において、表示モジュールの導光板の表面には、表示ピクセルに逐一対応するナノ格子が形成され、ナノ格子がサイズの異なる複数の配向角を有するため、立体表示装置が画像表示を行う場合、ナノ格子における各配向角で一方向に沿って伝搬する光線を制御することによって、一方向に沿って伝搬する光線が伝搬方向の異なる複数の光線に回折され、これにより、立体表示装置の表示パネルによって表示される立体画像には、マルチビューで回転可能に観察できるという利点があることを確保する。しかしながら、立体表示ピクセル解像度R3Dは視野角数NNulti−directionに反比例し、視野角数NNulti−directionは、ピクセル型ナノ格子の配向角タイプの数量に正比例するので、二次元平面表示物理的ピクセル解像度R2Dに対して言えば、波動光学型指向性バックライト立体表示技術を適用する表示装置は、マルチビューで回転可能に観察できるという利点があるが、それは立体表示ピクセルの解像度を下げることを犠牲にし、即ち、波動光学型指向性バックライト立体表示技術を適用する立体表示装置は、立体表示ピクセル解像度R3Dが二次元平面表示物理的ピクセル解像度R2Dに対して下げるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例の目的は、波動光学型指向性バックライト立体表示技術を適用する表示装置における、立体表示ピクセル解像度R3Dが二次元平面表示物理的ピクセル解像度R2Dに対して下げるという問題を解決するように、一種の指向性光導波路、指向性バックライトモジュール及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の実施例では以下のような技術方案を採用している。
【0007】
第1側面として、本発明の実施例は、一種の指向性光導波路が提供される。当該指向性光導波路は、時分割多重ユニットと、積層配置されたN層の光導波路とを含み、且つ、N層の光導波路の光出射方向が同じであり、各層の前記光導波路の光出射面にはピクセル型格子が設けられ、Nは2以上の整数であり、前記時分割多重ユニットは、各フレームビデオストリームサイクルにおいて、N層の前記光導波路の積層順に従って、対応するフレームビデオ時間帯に光源光線を対応する前記ピクセル型格子に導入するようにN層の前記光導波路を制御することに用いられ、各フレームビデオストリームサイクルには、N層の光導波路に逐一対応するNフレームビデオ時間帯が含まれ、前記ピクセル型格子内に導入された光源光線は、当該ピクセル型格子において回折されて、表示ピクセルに逐一対応する複数の一次回折光線を形成し、複数の前記一次回折光線は、当該ピクセル型格子が設置される光導波路の光出射面に対向する光導波路に入射し、そのうち、各本の前記一次回折光線は、異なる回折角および回折方位角を有する。
【0008】
従来技術に比べて、本発明の実施例の第1側面に提供される指向性光導波路では、N層の光導波路が互いに積層して配置され、各層の光導波路10の光出射面にはピクセル型格子が設けられ、且つN層の光導波路の光出射方向が同じであり、これにより、各層の光導波路に光源光線が導入された後、各層の光導波路に導入された光源光線は、指向性光導波路において発生する回折の回数が異なり、回折するごとに、前回の回折によって形成された複数の一次回折光線の回折角と回折方位角は、いずれも一定のオフセットが発生するので、各層の光導波路に導入された光源光線の回折する回数が異なる場合に、各層の光導波路に導入された光源光線を対応する回数で回折した後に形成された複数の一次回折光線は、異なる回折角および回折方位角を有する。よって、巨視的観点から言えば、本発明の実施例に提供される指向性光導波路を表示装置に適用する場合、表示装置の各表示ピクセルによって表示される画像は、異なる回折角および回折方位角を有する複数の一次回折光線を重ね合わせることで形成され、これにより、波動光学型指向性バックライト立体表示技術を適用する表示装置の立体表示ピクセル解像度R3Dは、二次元平面表示物理的ピクセル解像度R2Dよりも向上し、波動光学型指向性バックライト立体表示技術を適用する表示装置の立体表示ピクセル解像度R3Dが二次元平面表示物理的ピクセル解像度R2D対して下げるという問題を解決した。
【0009】
本発明の実施例の第2側面は、一種の指向性バックライトモジュールが提供される。当該指向性バックライトモジュールは、本発明の実施例の第1側面に提供される前記指向性光導波路とN個の三次元表示用光源を含み、N個の前記三次元表示用光源は、N層の前記光導波路に逐一対応し、各前記三次元表示用光源は、対応する前記光導波路の側面に設置され、N個の前記三次元表示用光源は、それぞれ時分割多重ユニットに信号接続される。
【0010】
従来技術に比べて、本発明の実施例の第2側面によって提供される指向性バックライトモジュールの有益な効果は、本発明の実施例の第1側面によって提供される指向性光導波路の有益な効果と同じであるので、ここでは贅言しない。
【0011】
本発明の実施例の第3側面は、一種の表示装置が提供され、本発明の実施例の第2側面によって提供される前記指向性バックライトモジュールおよび指向性バックライトモジュールの光出射面に位置される光スイッチ部品を備える。
【0012】
従来技術に比べて、本発明の実施例の第3側面によって提供される表示装置の有益な効果は、本発明の実施例の第1側面によって提供される指向性光導波路の有益な効果と同じであるので、ここでは贅言しない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施例に係るまたは従来技術における技術方案をより明確に説明するために、以下では実施例または従来技術の説明において使用する図面を簡単に説明する。明らかに分かるように、以下に説明する図面は、本発明の一部の実施例に過ぎなく、当業者にとっては、進歩性のある労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本発明の実施例によって提供される指向性光導波路が表示装置に適用される構成を示す図である。
図2】本発明の実施例における各層の光導波路の構成を示す図である。
図3】本発明の実施例におけるピクセル型格子と表示ピクセルの対応関係を示す図である。
図4】本発明の実施例における時分割多重ユニットと光源との接続ブロック図である。
図5】本発明の実施例における時分割多重ユニットのタイミング図である。
図6】本発明の実施例によって提供される指向性光導波路の動作原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施例における図面を結合して、本発明の実施例における技術方案を明確かつ完全に説明する。明らかに分かるように、説明する実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎなく、全ての実施例ではない。当業者が進歩性のある労働をせずに、本発明における実施例に基づいて得られたその他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0015】
<第1実施例>
本発明の実施例は、一種の指向性光導波路が提供される。図1図4に示すように、当該指向性光導波路1は、図4に示す時分割多重ユニット3と、N層の図2に示す光導波路10とを含み、光導波路10は、一般的な導光板または導光フィルムであってもよく、他の導光媒体であってもよい。各層の光導波路10の光出射面には、ピクセル型格子10Aが設けられ、N層の光導波路10は積層して配置され、且つN層の光導波路10の光出射方向が同じであり、Nは2以上の整数である。
例示的に、図1に示すように、当該指向性光導波路1は、積層配置されたN層の光導波路10を含み、N層の光導波路10は、第1層光導波路111、第2層光導波路121、・・・・・・、第N層光導波路1N1であり、第1層光導波路111の光出射面には第1ピクセル型格子112が形成され、第2層光導波路121の光出射面には第2ピクセル型格子122が形成され、・・・・・・、第N層光導波路1N1の光出射面には第Nピクセル型格子1N2が形成される。本実施例によって提供される指向性光導波路が表示装置に適用される場合、第1層光導波路111の側面に第1三次元表示用光源110が配置され、第2層光導波路121の側面に第2三次元表示用光源120が配置され、・・・・・・、第N層光導波路1N1の側面に第N三次元表示用光源1N0が配置され、このように、各層の光導波路は対応するピクセル型格子に光源光線を導入する必要がある時に、各層の光導波路に対応する三次元表示用光源により該層の光導波路に光源光線を提供できることを確保できる。
【0016】
図2及び図5に示すように、N層の光導波路10が対応するピクセル型格子10Aに光源光線を導入する時に、時分割多重ユニット3によって導入順序を制御する。例示的に、各フレームビデオストリームサイクルには、N個のフレームビデオ時間帯が含まれ、N個のフレームビデオ時間帯がN層の光導波路に逐一対応し、時分割多重ユニット3は、各フレームビデオストリームサイクルにおいて、N層の光導波路の積層順に従って、対応するフレームビデオ時間帯に光源光線を対応するピクセル型格子10Aに導入するようにN層の光導波路10を制御することに用いられ、前記ピクセル型格子内に導入された光源光線は、当該ピクセル型格子において回折されて、異なる回折角および回折方位角を有する複数の一次回折光線を形成し、複数の一次回折光線は、複数の表示ピクセルに逐一対応する。理解できるように、格子の配向角が、回折された一次回折光線の回折角と回折方位角に一定の影響を与えるため、ピクセル型格子10Aが複数の一次回折光線を回折すると、ピクセル型格子10Aは、一次回折光線の数量と同じ数量の配向角を有するべきであり、各配向角の大きさは異なっている。
【0017】
そして、本実施例におけるN層の光導波路の積層順は、上から下までの順で積層してもよく、下から上までの順で積層してもよい。時分割多重ユニット3がどのようにしてN層の光導波路の積層順に従って、対応するフレームビデオ時間帯に光源光線を対応するピクセル型格子10Aに導入するようにN層の光導波路10を制御することをより明確に解釈するために、以下では図1図5および図6を結合して、光導波路の層数が二層である場合、時分割多重ユニット3は、第nフレームビデオストリームサイクルにおいて、二層の光導波路の積層順に従って、対応するフレームビデオ時間帯に光源光線を対応するピクセル型格子10Aに導入するように二層の光導波路10を制御する過程を例として説明する。
【0018】
ステップ1:第nフレームビデオストリームサイクルTの第1フレームビデオ時間帯tにおいて、時分割多重ユニット3は、第1三次元表示用光源110をオンにするように制御することで、第1層光導波路111は、第1三次元表示用光源110によって提供された光源光線を第1ピクセル型格子112に導入し、第1三次元表示用光源110によって提供された光源光線は、第1ピクセル型格子112内に導入された後に、第1ピクセル型格子112において異なる回折角および回折方位角を有する複数の第1一次回折光線100を形成し、複数の第1一次回折光線100が表示パネルを通過した場合、立体画像の表示を実現できる。
ステップ2:第nフレームビデオストリームサイクルTの第2フレームビデオ時間帯tにおいて、時分割多重ユニット3は、第1三次元表示用光源110をオフにし、第2三次元表示用光源120をオンにするように制御することで、第2層光導波路121は、第2三次元表示用光源120によって提供された光源光線を第2ピクセル型格子122に導入し、第2三次元表示用光源120によって提供された光源光線は、第2ピクセル型格子122内に導入された後に、第2ピクセル型格子122において一回目の回折を行い、異なる回折角および回折方位角を有する複数の第2一次回折光線200を形成し、複数の第2一次回折光線200は第1層光導波路111の底部から第1層光導波路111に入射し、第1層光導波路111を介して第1ピクセル型格子112内に導入され、且つ第1ピクセル型格子112において二回目の回折を行い、このとき、二回目の回折を行った複数の第2一次回折光線200の回折角および回折方位角は、複数の第1一次回折光線100の回折角および回折方位角と異なり、二回目の回折を行った複数の第2一次回折光線200が表示パネルを通過した場合、立体画像の表示を実現できる。
【0019】
本実施例に提供される指向性光導波路の構造および上記の詳細な説明から分かるように、N層の光導波路10は積層して配置され、各層の光導波路10の光出射面にはピクセル型格子が設けられ、且つN層の光導波路10の光出射方向は同じであるので、第1層光導波路111によって導入された光源光線は、第1ピクセル型格子112により一回回折されて複数の第1一次回折光線100を形成し、第2層光導波路121によって導入された光源光線は、第2ピクセル型格子122により一次回折されて複数の第2一次回折光線200を形成した後に、複数の第2一次回折光線200はまた第1層光導波路111に進入し、第1ピクセル型格子112により再度回折され、順次に類推すると、第N層光導波路1N1によって導入された光源光線は、第Nピクセル型格子1N2において一回回折されて複数の第N一次回折光線N00を形成した後に、複数の第N一次回折光線N00は、また順次に第N層光導波路1N1の光出射面の方向における第N-1ピクセル型格子1N-12、第N-2ピクセル型格子1N-22、・・・・・・、第1ピクセル型格子112によりN-1回の回折を行った。よって、本実施例に提供される指向性光導波路において、各層の光導波路に光源光線が導入された後、各層の光導波路に導入された光源光線は、指向性光導波路において発生する回折の回数が異なり、回折するごとに、前回の回折によって形成された複数の一次回折光線の回折角と回折方位角は、いずれも一定のオフセットが発生するので、各層の光導波路に導入された光源光線の回折する回数が異なる場合に、各層の光導波路に導入された光源光線を対応する回数で回折した後に形成された複数の一次回折光線は異なる回折角および回折方位角を有するので、本発明の実施例に提供される指向性光導波路を表示装置に適用する場合、表示装置の各表示ピクセルによって表示される画像は、異なる回折角および回折方位角を有する複数の一次回折光線の光線を重ね合わせることで形成され、これにより、波動光学型指向性バックライト立体表示技術を適用する表示装置の立体表示ピクセル解像度R3Dは、二次元平面表示物理的ピクセル解像度R2Dよりも向上し、波動光学型指向性バックライト立体表示技術を適用する表示装置の立体表示ピクセル解像度R3Dが二次元平面表示物理的ピクセル解像度R2Dに対して下げるという問題を解決した。
【0020】
理解できるように、N層の光導波路10は積層して配置され、且つN層の光導波路10の光出射方向は同じであるので、時分割多重ユニットは、各フレームビデオストリームサイクルにおいて、N層の光導波路10の積層順に従ってN層の光導波路10を制御して、対応するフレームビデオ時間帯に光源光線を対応するピクセル型格子10Aに導入して回折させ、回折によって形成された複数の一次回折光線は、当該ピクセル型格子10Aが設置される光導波路の光出射面に対向する光導波路に入射することができ、これにより、別の光導波路に対応するピクセル型格子で複数の一次回折光線N00の光線を再度回折する。これから分かるように、微視的観点から言えば、各フレームビデオストリームサイクルにおいて、時分割多重ユニットは各光導波路を順次に制御して、光源光線を対応するピクセル型格子に導入して回折させた後に、各光導波路によって導入された光源光線が最終的に人間の目に到達する時間は異なるが、巨視的観点から考えると、これらが各フレームビデオストリームサイクルにおいての各フレームビデオ時間帯の長さは非常に短いため、ユーザーは肉眼で見える場合には、各フレームビデオストリームサイクルにおける、各光導波路によって導入された光源光線が最終的に人間の目に到達する時間の差を無視できる。つまり、人間の目で見られた各フレームビデオストリームは、各光導波路によって導入された光源光線がピクセル型格子により回折されて重ね合わせることにより形成されたものであるので、本実施例に提供される指向性光導波路が表示装置に適用される場合、当該表示装置の立体表示ピクセル解像度R3Dを向上できる。
【0021】
例示的に、図4に示すように、本実施例における時分割多重ユニット3は、N層の光導波路に逐一対応するN個の三次元表示電圧駆動モジュールを含み、N個の三次元表示電圧駆動モジュールは、第1三次元表示電圧駆動モジュール301、第2三次元表示電圧駆動モジュール302、・・・・・・、第N三次元表示電圧駆動モジュール30Nに対応する。各電圧駆動サイクルにおいて、N個の三次元表示電圧駆動モジュールは、N層の光導波路の積層順に従って、光源光線を対応するピクセル型格子に導入するように対応する光導波路を制御することに用いられ、そのうち、各電圧駆動時間帯において、N個の三次元表示電圧駆動モジュールの中の一つの三次元表示電圧駆動モジュールは、光源光線を対応するピクセル型格子に導入するように対応する光導波路を制御することに用いられる。本実施例に提供される指向性光導波路は、積層配置されたN層の光導波路を含み、N個の三次元表示電圧駆動モジュールは、異なる電圧で駆動する場合に光源光線を対応するピクセル型格子に導入するように対応するN層の光導波路を制御しますが、N個の三次元表示電圧駆動モジュールが対応するN層の光導波路を制御する順序は、N層の光導波路の積層順に基づくものであるので、各三次元表示電圧駆動モジュールの電圧駆動サイクルの時間長さΛと各フレームビデオストリームサイクルの時間長さTを同じくするように限定することにより、各フレームビデオストリームサイクルを各電圧駆動サイクルに逐一対応させ、各フレームビデオストリームサイクルにおいて、N層の前記光導波路の積層順に従って、N層の前記光導波路により対応するフレームビデオ時間帯において光源光線を対応するピクセル型格子に導入して回折させる過程を完了できることを確保する。そして、電圧駆動時間帯ごとに、N個の三次元表示電圧駆動モジュールの中の一つの三次元表示電圧駆動モジュールのみが、光源光線を対応するピクセル型格子に導入して回折させるように対応する光導波路を制御することに用いられるので、電圧駆動時間帯ごとの時間長さをΛ/Nとされ、フレームビデオ時間帯ごとの時間長さをT/Nとされると、1フレームビデオストリームサイクルにおいて、各三次元表示電圧駆動モジュールが光導波路を制御して光源光線を対応するピクセル型格子に導入する時間長さは同じであることを確保できる。このようにして、本発明に提供される指向性光導波路が表示装置に適用される場合、微視的観点から言えば、指向性光導波路における各層の光導波路に提供された光線からなる画像が人間の目に入る時間間隔は一致であり、これは、人間の目で見られた画像の品質を向上することにも寄与する。
【0022】
さらに、図1および図3に示すように、本実施例に提供される指向性光導波路におけるN層の光導波路において、第1層光導波路111の底部と第N層光導波路1N1の光出射面の両方が露出して覆わない場合、第N層光導波路1N1に対応する第Nピクセル型格子1N2の外側に導光板102が覆われていてもよい。二次元画像を表示する必要がある場合、時分割多重ユニット3は、各層の光導波路それぞれに対応する三次元表示用光源をオフにして、各層の光導波路による光源光線の導入を停止させるが、光源光線を導出するように導光板102を制御することによって、二次元画像の表示を実現する。
【0023】
同様に、本実施例に提供される指向性光導波路におけるN層の光導波路において、第1層光導波路111の光出射面と第N層光導波路1N1の底面の両方が露出して覆わない場合、第1層光導波路に対応するピクセル型格子の外側に導光板102が覆われている。二次元画像を表示する必要がある場合、時分割多重ユニット3は、各層の光導波路それぞれに対応する三次元表示用光源をオフにして、各層の光導波路による光源光線の導入を停止させるが、光源光線を導出するように導光板102を制御することによって、二次元画像の表示を実現する。
【0024】
上記に基づいて、図4に示すように、本実施例における時分割多重ユニット3は、制御モジュール30および二次元表示電圧駆動モジュール300を含んでもよく、且つ、制御モジュール30の出力端子は、それぞれ二次元表示電圧駆動モジュール300およびN個の三次元表示電圧駆動モジュールの入力端子に接続されているので、制御モジュール30は、三次元表示の場合にN個の三次元表示電圧駆動モジュールを起動するための三次元表示動作コマンドをN個の三次元表示電圧駆動モジュールに送信し、二次元表示の場合に二次元表示電圧駆動モジュールを起動するための二次元表示動作コマンドを二次元表示電圧駆動モジュール300に送信することに用いられる。
【0025】
例示的に、図3図5に示すように、本実施例に提供される指向性光導波路は、第1層光導波路111、第2層光導波路121および導光板102を備える。三次元表示を行う必要がある場合、制御モジュール30は、三次元表示動作コマンドを第1三次元表示電圧駆動モジュール301および第2三次元表示電圧駆動モジュール302に送信することで、第nフレームビデオストリームサイクルTに対応する電圧駆動サイクルにおいて、第1三次元表示電圧駆動モジュール301は、第1電圧駆動時間帯tにおいて、光源光線を第1ピクセル型格子112に導入するように対応する第1層光導波路111を制御し、第2三次元表示電圧駆動モジュール302は、第2電圧駆動時間帯tにおいて、光源光線を第2ピクセル型格子122に導入するように対応する第2層光導波路121を制御する。二次元表示を行う必要がある場合、制御モジュール30は、二次元表示動作コマンドを二次元表示電圧駆動モジュール300に送信することで、二次元表示電圧駆動モジュール300は、光源光線を導出するように導光板102を直接制御し、当然ながら、二次元表示を行う場合、第1三次元表示電圧駆動モジュール301および第2三次元表示電圧駆動モジュール302は、閉じた状態にある。
【0026】
当業者が理解できるように、本発明の実施例における時分割多重ユニットによって各光導波路および導光板を制御して光源光線を導入する具体的な過程は、コンピュータープログラムによって実行可能であり、各光導波路および導光板を制御して光源光線を導入するという過程を実施するように、これらのコンピュータープログラムをコンピューターで使用可能な記憶媒体(ディスクストレージ、CD−RON、光学ストレージなどを含むが、これらに限定されない)に格納することができる。
【0027】
また、本実施例におけるピクセル型格子は、実質的に光線のマルチビュー(多姿勢)回折を実現することができ、例示として、ピクセル型格子は、一般的なチャープ格子(Chirped Grating)であり、当然ながら、マルチビュー回折を実現できるその他のピクセル型格子であってもよい。例えば、図2図3及び図6に示すように、各層の光導波路10に対応するピクセル型格子10Aは、k個の表示ピクセルに逐一対応するk個の格子を含み、隣接する二層の光導波路10における、同一の表示ピクセルに対応する格子は、格子周期(grating period)が同じであり、格子位相が異なる。
【0028】
例示的に、図3及び図6に示すように、本実施例に提供される指向性光導波路は、第1層光導波路111と第2層光導波路121を備え、第1ピクセル型格子112に含まれる第1格子112Aの数は16個であり、図6では、1a、2c、3e、4g、5a、6c、7e、8g、9a、10c、11e、12g、13a、14c、15e、16gとして示され、16個の第1格子112Aは、16個の表示ピクセルに逐一対応し、第2ピクセル型格子122に含まれる第2格子122Aの数は16個であり、図6では、1b、2d、3f、4h、5b、6d、7f、8h、9b、10d、11f、12h、13b、14d、15f、16hとして示され、且つ、16個の第2格子122Aは、16個の表示ピクセルに逐一対応する。図3に示すように、第1ピクセル型格子112および第2ピクセル型格子122において、同一の表示ピクセルに対応する第1格子112Aおよび第2格子122Aは、格子周期が同じであり、格子位相が異なる。
【0029】
第nフレームビデオストリームサイクルの第1フレームビデオ時間帯tにおいて、第1層光導波路111は光源光線を第1ピクセル型格子112に導入し、第1ピクセル型格子112における第1格子112Aによって一回目の回折を行って、複数の第1一次回折光線100を形成し、複数の第1一次回折光線100は異なる回折角および回折方位角を有するので、これらの光線が画像表示のために用いられるときに、図6Aに示すa、c、e、gの四つの表示点を形成し、表示点の符号がaである光線は、符号が1a、5a、9a、13aである第1格子112Aによって回折された光線からのものであり、表示点の符号がcである光線は、符号が2c、6c、10c、14cである第1格子112Aによって回折された光線からのものであり、表示点の符号がeである光線は、符号が3e、7e、11e、15eである第1格子112Aによって回折された光線からのものであり、表示点の符号がgである光線は、符号が4g、8g、12g、16gである第1格子112Aによって回折された光線からのものである。
【0030】
図1図3図5及び図6に示すように、第nフレームビデオストリームサイクルの第2フレームビデオ時間帯tにおいて、第2層光導波路121は光源光線を第2ピクセル型格子122に導入し、第2ピクセル型格子122における各第2格子122Aによって一回目の回折を行って、複数の第2一次回折光線200を形成し、複数の第2一次回折光線200は、異なる回折角および回折方位角を有し、そして、複数の第2一次回折光線200は第1層光導波路111の底部から第1層光導波路111に入射し、且つ、第1層光導波路111によって第1ピクセル型格子112に導入されて二回目の回折を行われる。そして、光源光線が第2ピクセル型格子122によって一回目の回折を行われる場合、仮に、一部の光線が第r表示ピクセルに対応する第2格子122Aによって、第2一次回折光線200になるように回折されると、この部分の第2一次回折光線200が第1ピクセル型格子112によって二回目の回折を行われるときに、具体的には、第r表示ピクセルに対応する第1格子112Aによって回折される。第1格子と第2格子における同一の表示ピクセルに対応する部分は、格子周期が同じであり、格子位相が異なるので、二回目の回折を行った後に、回折光線の角度は、一回目の回折光線の角度から一定のオフセットが発生した。これらの光線が画像表示のために用いられるときに、b、d、f、hの四つの表示点を形成し、表示点の符号がbである光線は、符号が1b、5b、9b、13bである第2格子122Aによって回折された光線からのものであり、表示点の符号がdである光線は、符号が2d、6d、10d、14dである第2格子122Aによって回折された光線からのものであり、表示点の符号がfである光線は、符号が3f、7f、11f、15fである第2格子122Aによって回折された光線からのものであり、表示点の符号がhである光線は、符号が4h、8h、12h、16hである第2格子122Aによって回折された光線からのものである。
【0031】
第1層光導波路111により導入された光源光線は一回のみの回折を行い、第2層光導波路121により導入された光源光線は二回の回折を行ったため、四つの表示点b、d、f、hと四つの表示点a、c、e、gは、位置が重ならない。そして、第1層光導波路111により光源光線を導入する時間と、第2層光導波路121により光源光線を導入する時間が順次に行われるので、微視的観点から言えば、四つの表示点a、c、e、gと四つの表示点b、d、f、hの形成にはシーケンスがある。しかしながら、このような時間差は、人間の目で区別できないものであるので、巨視的観点から言えば、1フレームビデオストリームサイクルにおいて、人間の目で見た画像は、四つの表示点b、d、f、hと四つの表示点a、c、e、gが重畳されてなる画像である。このようにして、表示装置の立体表示ピクセル解像度R3Dを向上することができる。
【0032】
格子周期と表示ピクセルにおける異なるサブピクセルの色が、サブピクセルの色の波長が長いほど、格子周期が大きくなるという本分野での周知の原則を考慮すると、図2および図3に示すように、各層の光導波路10に対応するピクセル型格子10Aが、表示ピクセルに逐一対応するk個の格子を含み、表示ピクセルが、異なる色の複数のサブピクセルを含み、各格子が、サブピクセルに逐一対応する複数のサブ格子を含み、サブ格子に対応するサブピクセルの色の波長が長いほど、サブ格子の格子周期が大きくなることをさらに限定できる。
【0033】
例えば、図3では、一つの表示ピクセルは、赤サブピクセルR、青サブピクセルG、及び緑サブピクセルBを含み、赤サブピクセルR、青サブピクセルG、及び緑サブピクセルBに対応する色の波長は順次に小さくなるので、図3から分かるように、第1格子112Aと第2格子122Aにおける赤サブピクセルRに対応する部分の格子周期は比較的大きく、第1格子112Aと第2格子122Aにおける緑青サブピクセルBに対応する部分の格子周期は最小であり、第1格子112Aと第2格子122Aにおける緑サブピクセルGに対応する部分の格子周期は中間のものであり、つまり、各ピクセル型格子における一つの格子が有する格子周期は、当該格子に対応する表示ピクセルのサブピクセルの数と同じだけでなく、対応する位置もサブピクセルの色の波長が長いほど、格子周期が大きくなるというマッチング原則に従うべきである。
【0034】
上記の分析から分かるように、ピクセル型格子で実質的に光線のマルチビュー回折をより良く実現するために、ピクセル型格子のうちの各格子における異なるサブピクセルに対応する部分の格子周期を適切に制御して、光線のマルチビュー回折が制御されることができる。ピクセル型格子のうちの各格子における異なるサブピクセルに対応する部分の格子周期を如何に適切に制御するかについては、実際のニーズに従って制御すればよく、ここでは詳細に説明しない。
【0035】
なお、図2に示すように、上記の実施例における各層の光導波路10の光出射面には、ピクセル型格子10Aを構成する複数の凹溝が設けられており、ピクセル型格子10Aを構成する複数の凹溝の深さは、ピクセル型格子10Aの光回折能力に重要な影響を及ぼし、且つ、ピクセル型格子10Aを構成する凹溝の深さが深いほど、構成されたピクセル型格子10Aの回折強度が強くなるが、凹溝が一定の深さに達すると、ピクセル型格子10Aの回折強度はこれ以上増加しなく、かえって、ピクセル型格子10Aの回折強度は深さの増加につれて弱くなる。よって、この深さを深さ境界値として、深さ境界値よりも小さい深さを有する凹溝によりピクセル型格子10Aを構成する場合、ピクセル型格子10Aを構成する凹溝の深さが深いほど、構成されたピクセル型格子10Aの回折強度が強くなるという原則に従い、深さ境界値よりも大きい深さを有する凹溝によりピクセル型格子10Aを構成する場合、ピクセル型格子10Aを構成する凹溝の深さが深いほど、構成されたピクセル型格子10Aの回折強度が弱くなるという原則に従う。
【0036】
光導波路の光出射面に凹溝を形成するときの形成難しさも形成コストも向上することを考慮すると、図1に示すように、N層の前記光導波路において、第1層光導波路111の底部と第N層光導波路1N1の光出射面の両方が露出して覆わない場合、N層の光導波路の積層順に従って、N層の光導波路に対応する凹溝の深さが徐々に小さくなり、且つN層の光導波路に対応する凹溝の深さが深さ境界値よりも小さく、これは、層数が小さい光導波路であればあるほど、それに導入された光源光線の回折回数が多くなり、光源光線の回折強度が最初から高くないと、光源光線の透過力に多大な影響を与え、結果として画像を効果的に表示できなくなるためである。よって、N層の光導波路の積層順に従って、N層の光導波路に対応する凹溝の深さが徐々に小さくなることを限定することによって、層数が小さい光導波路であればあるほど、回折強度が強くなり、これにより、層数が比較的小さい光導波路によって導入された光源光線が良好な透過力を有することを確保し、層数が比較的小さい光導波路によって導入された光源光線が複数回の回折をした後に画像表示に使用されることができることを確保する。
【0037】
同様に、N層の光導波路において、第1層光導波路111の光出射面と第N層光導波路1N1の底面の両方が露出して覆わない場合、N層の光導波路の積層順に従って、N層の前記光導波路に対応する凹溝の深さが徐々に大きくなり、且つN層の光導波路に対応する凹溝の深さが深さ境界値よりも小さい。N層の光導波路の積層順に従って、N層の光導波路に対応する凹溝の深さが徐々に大きくなることを限定することによって、層数が大きい光導波路であればあるほど、回折強度が強くなり、これにより、層数が比較的大きい光導波路によって導入された光源光線が良好な透過力を有することを確保し、層数が比較的大きい光導波路によって導入された光源光線が複数回の回折をした後に画像表示に使用されることを確保する。
【0038】
例示的に、本実施例に提供される指向性光導波路は、第1層光導波路111と第2層光導波路121を備える場合、第1層光導波路111の光出射面が露出し、第2層光導波路121の底面が露出しており、このとき、第1層光導波路111の光出射面に形成された、第1ピクセル型格子112を構成する凹溝の深さは、第2層光導波路121の光出射面に形成された、第2ピクセル型格子122を構成する凹溝の深さよりも小さいので、第1ピクセル型格子112を構成する凹溝の深さと第2ピクセル型格子122を構成する凹溝の深さは、深さ境界値よりも小さいものであるべきである。
【0039】
そのうちの一層の光導波路のピクセル型格子によって回折された複数の一次回折光線が、次の層の光導波路に入る前に不要な屈折を発生することをできるだけ減らすために、図3および図6に示すように、隣接する二層の光導波路の間には隙間10Bが設置されることによって、そのうちの一層の光導波路のピクセル型格子によって回折された複数の一次回折光線は次の層の光導波路に入る前に、元の回折角および回折方位角をできるだけ維持し、これにより、そのうちの一層の光導波路のピクセル型格子によって回折された一次回折光線が次の層の光導波路に入ることを確保する。
【0040】
表示装置が表示エリアと周辺エリアに分けられ、表示エリアが画像表示に用いられ、周辺エリアが枠エリアであって表示に用いられないことを考慮した。本実施例に提供される指向性光導波路が表示装置に適用される場合、各光導波路は、表示対応エリアと表示対応エリアの周辺に形成された周辺対応エリアを含むべきであり、表示対応エリアが表示装置の表示エリアに対応し、周辺対応エリアが表示装置の周辺エリアに対応し、ピクセル型格子が対応する光導波路の表示対応エリアに形成されて、表示エリアにて画像表示をすることを確保する。また、表示装置での画像表示に影響しないように、図3に示すように、本実施例では、隙間10Bにおける周辺対応エリアに対応する部分には、隣接する二層の光導波路の間に位置される支持体100Bが設けられており、このようにして、画像表示が実行されるとき、支持体100Bは表示装置での画像表示に影響を与えない。
【0041】
当然ながら、隙間10Bにおける周辺対応エリアに対応する部分には、隣接する二層の光導波路の間に位置される支持体100Bが設けられなくてもよいが、隣接する二層の光導波路10の間には、隙間に位置される光透過性媒体層が設けられてもよく、且つ、光透過性媒体層の屈折率が、当該光透過性媒体層に隣接する二層の光導波路の屈折率よりも小さいことを確保することによって、そのうちの一層の光導波路のピクセル型格子によって回折された複数の一次回折光線は、次の層の光導波路に入る前に一定の屈折が発生したが、複数の一次回折光線の回折角および回折方位角はそれに大きく影響されない。
【0042】
また、本実施例における各層の光導波路の厚さは、その光導波路の特性方程式を満たすべきである。そのうち、N層の光導波路において、第1層光導波路111の底部と第N層光導波路1N1の光出射面の両方が露出して覆わない場合、各層の光導波路の光導波路特性方程式は、
であり、
N層の前記光導波路において、第1層光導波路111の光出射面と第N層光導波路1N1の底面の両方が露出して覆わない場合、各層の前記光導波路の光導波路特性方程式は、
であり、
そのうち、kixは、第i層光導波路の波数ベクトルがX軸方向における成分であり、k0=2π/λ、λは光の波長であり、nは、第i層光導波路の屈折率であり、ni0は、第i層光導波路と第i-1層光導波路との間の領域の屈折率であり、n(i+1)0は、第i層光導波路と第i+1層光導波路との間の領域の屈折率であり、dは、第i層光導波路の厚さであり、mは、第i層光導波路に対応するピクセル型格子によって回折された一次回折光線の本数であり、iは、1以上N以下の整数である。各層の光導波路の光導波路特性方程式から分かるように、各層の光導波路の厚さ、各層の光導波路の屈折率、及び各層の光導波路とその上の一層の光導波路との間の領域の屈折率、各層の光導波路とその下の一層の光導波路との間の領域の屈折率を調整することで、各層の光導波路に対応するピクセル型格子によって回折された一次回折光線の本数を調整して、光線の回折姿勢を調整することができる。
【0043】
さらに、図6に示すように、本実施例に提供される指向性光導波路は、第1層光導波路111と第2層光導波路121を備え、第1層光導波路111の光出射面と第2層光導波路121の底部が露出して覆わない。
第1層光導波路111の光導波路特性方程式は、
であり、
第2層光導波路121の光導波路特性方程式は、
であり、
1xは、第1層光導波路の波数ベクトルがX軸方向における成分であり、n10は、第1層光導波路111の光出射面が接触している部分であり、n20は、第1層光導波路111と第2層光導波路121との間の部分であり、n30は、第2層光導波路121の底部が接触している部分であり、mは、第1層光導波路に対応するピクセル型格子によって回折された一次回折光線の本数であり、mは、第2層光導波路に対応するピクセル型格子によって回折された二次回折光線の本数である。
【0044】
<実施例2>
図1に示すように、本発明の実施例は一種の指向性バックライトモジュール1が提供され、当該指向性バックライトモジュール1は、上記各実施形態に言及された指向性光導波路とN個の三次元表示用光源を含み、N個の三次元表示用光源は、N層の光導波路に逐一対応し、各三次元表示用光源は、対応する光導波路の側面に設置され、N個の三次元表示用光源は、それぞれ時分割多重ユニットに信号接続される。
【0045】
例示的に、図1および図4に示すように、N個の三次元表示用光源は、それぞれ、第1三次元表示用光源110、第2三次元表示用光源120、・・・・・・、第N三次元表示用光源1N0であり、且つ、図4に示すように、第1三次元表示用光源110が第1層光導波路111の側面に設置され、第2三次元表示用光源120が第2層光導波路121の側面に設置され、・・・・・・、第N三次元表示用光源1N0が第N層光導波路1N1の側面に設置される。
【0046】
時分割多重ユニット3はN個の三次元表示電圧駆動モジュールを含む場合、第1三次元表示用光源110が第1三次元表示電圧駆動モジュール301に信号接続され、第2三次元表示用光源120が第2三次元表示電圧駆動モジュール302に信号接続され、・・・・・・、第N三次元表示用光源1N0が第N三次元表示電圧駆動モジュール30Nに信号接続されることによって、対応する光導波路が光源光線を導入する必要がある場合、対応する三次元表示用光源は、光源光線を導入する必要がある光導波路の側面における三次元表示用光源をオンにするように制御する。
【0047】
従来技術に比べて、本発明の実施例に提供される指向性バックライトモジュール1の有益な効果は、実施例1に提供される指向性光導波路の有益な効果と同じであるので、ここでは贅言しない。
【0048】
理解できるように、図1および図3に示すように、本実施例に提供される指向性バックライトモジュール1は、反射板101をさらに備えるべきである。N層の前記光導波路において、第1層光導波路111の底部と第N層光導波路1N1の光出射面の両方が露出して覆わない場合、光線漏れを防ぐように、第1層光導波路の底部には反射板101が設けられる。または、N層の光導波路において、第1層光導波路111の光出射面と第N層光導波路1N1の底面の両方が露出して覆わない場合、光線漏れを防ぐように、第N層光導波路の底部には反射板が設けられる。
【0049】
本実施形態に提供される指向性バックライトモジュールを三次元画像表示だけでなく、二次元画像表示にも使用できるようにするために、指向性光導波路には導光板102が備えられることを確保すべきである。図1および図4に示すように、この場合、指向性バックライトモジュールは、二次元表示用光源1020をさらに備え、二次元表示用光源1020は導光板102の側面に設置され、二次元表示用光源が時分割多重ユニットに信号接続されることによって、二次元画像表示を行う必要がある場合、時分割多重ユニットにより二次元表示用光源1020をオンにすることができることを確保する。この場合、時分割多重ユニットは、制御モジュール30と二次元表示電圧駆動モジュール300とをさらに備えるべきであり、二次元表示電圧駆動モジュール300は、二次元表示用光源1020に信号接続される。制御モジュール30、二次元表示電圧駆動モジュール300、及び各三次元表示電圧駆動モジュールの接続関係については、実施例1における相応の箇所の記載を参照すればよい。
【0050】
なお、本実施例では、三次元表示用光源であろうと、二次元表示用光源1020であろうと、その具体的な構造は様々である。例えば、三次元表示用光源および二次元表示用光源1020は図3および図6に示す構造を採用する場合、三次元表示用光源および二次元表示用光源1020は、いずれも光源10Cと、光源10Cの光出射面に設けられる光視準モジュール10Dとを含む。
【0051】
<実施例3>
本発明の実施例は、一種の表示装置が提供される。図1に示すように、当該表示装置は、実施例2に提供される指向性バックライトモジュール1および指向性バックライトモジュールの出射面に位置される光スイッチ部品2を備え、光スイッチ部品2は、表示パネルであってもよく、画像表示が可能なその他の光スイッチ部品であってもよい。画像を表示する時に、光スイッチ部品2により指向性バックライトモジュール1が発したバックライトを調整することによって、画像表示が実現される。
【0052】
従来技術に比べて、本発明の実施例に提供される表示装置の有益な効果は、実施例1に提供される指向性光導波路の有益な効果と同じであるので、ここでは贅言しない。
【0053】
そのうち、本実施例に提供される表示装置は、一般的な携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ、ディスプレイ、ノートブックコンピュータ、デジタルフォトフレーム、またはナビゲータなど、表示機能を有する如何なる製品または部品であっても良い。
【0054】
上記は、本発明の具体的な実施形態に過ぎなく、本発明の保護範囲はこれに限定されず、当業者が本発明の開示範囲に基づいて容易に想到できる変更または差替えは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。よって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準じるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6