特許第6888902号(P6888902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6888902
(24)【登録日】2021年5月24日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】乗り物用ケーブル組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6587 20110101AFI20210607BHJP
【FI】
   H01R13/6587
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-165417(P2015-165417)
(22)【出願日】2015年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-48681(P2016-48681A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2018年6月29日
【審判番号】不服2020-10263(P2020-10263/J1)
【審判請求日】2020年7月22日
(31)【優先権主張番号】14182488.8
(32)【優先日】2014年8月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ベルト ベルクナー
【合議体】
【審判長】 平田 信勝
【審判官】 田村 嘉章
【審判官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−21078(JP,A)
【文献】 特開2014−2979(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0086581(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0024257(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/646 - 13/6599
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物用ケーブル組立体(1)であって、
前記乗り物用ケーブル組立体(1)は、
少なくとも2つのシールドされていない導電性の信号線(2)と、
複数の前記信号線(2)が端子(5)などの外部要素に接続されるように適合される接続領域(3)と、
を備えて100Mbpsを超えるデータ転送速度を可能にするものであり、
複数の前記信号線(2)が前記接続領域(3)の隣では互いに撚り合わされ、かつ、前記接続領域(3)内では互いに撚り合わされず、
前記ケーブル組立体(1)が、少なくとも1つのシールド部(7)を備えるシールド組立体(20)をさらに備え、
前記シールド部(7)が、少なくとも前記接続領域(3)全体に沿って延在しかつ撚り合わされていない少なくとも2つの前記信号線(2)を受容するように適合される導管状受容部(8)を有し、
前記シールド部(7)は、共通の基部(70)によって接合されかつ前記共通の基部(70)とともにケーブル方向(C)に沿って延在する2つの脚部(71)と、前記共通の基部(70)に対向しかつ前記ケーブル方向(C)と平行に延びる開口した長手方向側面(72)とを備え、
前記2つの脚部(71)は、前記共通の基部(70)から離れたそれらの端部に、前記2つの脚部が取り付けられるさらなる外部要素に挿入可能な形状を有した固定部材(75)を備え、
前記シールド部(7)が鏡面対称性を有する、
乗り物用ケーブル組立体(1)。
【請求項2】
前記シールド部(7)がU字、V字、またはC字形状の断面を有する、請求項1に記載の乗り物用ケーブル組立体(1)。
【請求項3】
鏡映面が前記ケーブル方向(C)に対して垂直である、請求項1または請求項2に記載の乗り物用ケーブル組立体(1)。
【請求項4】
鏡映面が前記ケーブル方向(C)と平行である、請求項3に記載の乗り物用ケーブル組立体(1)。
【請求項5】
前記接続領域(3)内で、シールドされていないコネクタ(10、11)が前記導管状受容部(8)内に挿入されるように配置され構成される、請求項1からいずれか一項に記載の乗り物用ケーブル組立体(1)。
【請求項6】
前記接続領域(3)内に、前記シールド組立体(20)が事前装着されるおよび/または前記シールド組立体(20)と一体であるコネクタ(10、11)が配置される、請求項1からいずれか一項に記載の乗り物用ケーブル組立体(1)。
【請求項7】
前記接続領域(3)内で、前記導管状受容部(8)内にコネクタ(10、11)が配置される、請求項1からいずれか一項に記載の乗り物用ケーブル組立体(1)。
【請求項8】
前記接続領域(3)内で、前記信号線(2)がピン(5)に接続される、請求項1からいずれか一項に記載の乗り物用ケーブル組立体(1)。
【請求項9】
前記ケーブル組立体(1)が、前記信号線(2)を外部要素に接続するための端子(4、5)をさらに備え、
前記端子(4、5)が、前記シールド組立体(20)の前記開口した長手方向側面(72)を通して接続するように適合される、請求項1からのいずれか一項に記載の乗り物用ケーブル組立体(1)。
【請求項10】
前記ケーブル組立体(1)が、前記信号線(2)を外部要素に接続するための端子(4、5)をさらに備え、
前記端子(4、5)が、前記シールド組立体(20)の前記開口した長手方向側面(72)を通して接続される、請求項1からのいずれか一項に記載の乗り物用ケーブル組立体(1)。
【請求項11】
ケーブル組立体(1)の、乗り物内での使用であって
前記ケーブル組立体(1)は、少なくとも2つのシールドされていない導電性の信号線(2)と、前記信号線(2)が端子(5)などの外部要素に接続されるように適合される接続領域(3)と、を備えて100Mbpsを超えるデータ転送速度を可能にするものであり、
複数の前記信号線(2)が前記接続領域(3)の隣では互いに撚り合わされ 、かつ前記接続領域(3)内では互いに撚り合わされず、
前記ケーブル組立体(1)が、少なくとも1つのシールド部(7)を備えるシールド組立体(20)をさらに備え、
前記シールド部(7)が、少なくとも前記接続領域(3)全体に沿って延在しかつ撚り合わされていない少なくとも2つの前記信号線(2)を受容するように適合される導管状受容部(8)を有し、
前記シールド部(7)は、共通の基部(70)によって接合されかつ前記共通の基部(70)とともにケーブル方向(C)に沿って延在する2つの脚部(71)と、前記共通の基部(70)に対向しかつ前記ケーブル方向(C)と平行に延びる開口した長手方向側面(72)とを備え、
前記2つの脚部(71)は、前記共通の基部(70)から離れたそれらの端部に、前記2つの脚部が取り付けられるさらなる外部要素に挿入可能な形状を有した固定部材(75)を備え、前記シールド部(7)が鏡面対称性を有する、ケーブル組立体(1)の使用。
【請求項12】
前記シールド組立体(20)が、コネクタ(10)と事前装着されるおよび/またはコネクタ(10)と一体である、請求項11に記載のケーブル組立体(1)の使用。
【請求項13】
前記接続領域(3)が、前記シールド組立体(20)の前記導管状受容部(8)内に挿入される 、請求項11または12に記載のケーブル組立体(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用ケーブル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなケーブル組立体は多くの場合、乗り物内でのデータ伝送のために使用される。空間および製造コストを節約するために、信号線は多くの場合シールドされていない。
しかしながら、そのようなケーブルの伝送速度は制限される。一方、より高い伝送速度に適合されたケーブル組立体は通常、シールドされ、したがって剛性でかさ張り、このことはまた、より高いコストに加えて、これらのケーブル組立体の設置をより困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、設置が容易であり高い伝送速度を可能にする乗り物用ケーブル組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、少なくとも2つのシールドされていない導電性信号線と、信号線が端子などの外部要素に接続されるように適合される接続領域とを備えて、100Mbps(メガビット/秒)を超えるデータ転送速度を可能にする、乗り物用ケーブル組立体によって達成される。この乗り物用ケーブル組立体において、複数の信号線は、接続領域の隣では互いに撚り合わされ、また接続領域内では互いに撚り合わされない。また、ケーブル組立体は、少なくとも1つのシールド部を備えるシールド組立体をさらに備え、ここでシールド組立体は、少なくとも接続領域全体に沿って延在しかつ信号線を受容するように適合される導管状受容部を有する。 シールドされていない導電性信号線の使用により、ケーブル組立体は非常にコンパクトである。接続領域の隣では、信号線の撚り合わせにより、高い伝送速度が可能となる。そこに追加のシールドは設けられないことを理解されたい。信号線が撚り合わされない場所である接続領域内では、シールド組立体はその導管状受容部とともに、高い伝送速度を可能にする。
【0005】
したがって、本発明の解決策は、100Mbpsを超えるデータ転送速度を可能にする、乗り物内でのケーブル組立体の使用も含む。このケーブル組立体は、少なくとも2つのシールドされていない導電性信号線と、信号線が端子などの外部要素に接続されるように適合される接続領域と、を備える。この場合、信号線は、接続領域の周りでシールド組立体の導管状受容部を使用することにより、接続領域の隣では互いに撚り合わされ、接続領域内では互いに撚り合わされない。
【0006】
本発明の解決策を、互いに独立しておりかつ所望に応じて組み合わせ可能である以下の有利な発展形態により、さらに改善することができる。
【0007】
接続領域内で電磁的保護のために使用されるシールド部および/またはシールド組立体は、少なくとも部分的には、導電性でなければならない。例として、このことは、たとえば適切な形状へと切断し曲げることのできる、金属シートによって達成することができる。シールド部および/またはシールド組立体は、金属化プラスチックを備えることもできる。さらなる実施形態では、シールド部および/またはシールド組立体は、導電性プラスチック、たとえばプラスチックおよび導電性金属網を備えるハイブリッド材料を備えることもできる。そのような実施形態の製造は、容易であり/またはコスト効率が高い。さらに、そのようなシールド部および/またはシールド組立体は、コンパクトかつ軽量なものとすることができる。
【0008】
シールド部および/またはシールド組立体は、U字、V字、またはC字形状の断面を有することができる。そのような形状は、容易に製造でき、しかも十分なシールド性能を提供することができる。
【0009】
シールド部および/またはシールド組立体は、取外し可能とすることができる。このことにより、容易な設置が可能となる。
【0010】
シールド部および/またはシールド組立体は、鏡面対称性を有することができる。シールド部および/またはシールド組立体は、ある平面に関して対称とすることができる。このことにより、シールド性能を改善することができる。改善されたシールド性能を有する第1の実施形態では、鏡映面は、ケーブルがシールド組立体の中に入るケーブル方向に対して、垂直とすることができる。改善されたシールド性能を有する第2の実施形態では、鏡映面は、ケーブル方向と平行とすることができる。鏡映面は、ケーブル方向を特に含むことができる。有利な実施形態では、2つの鏡映面が存在可能であり、この場合、一方の鏡映面はケーブル方向に対して垂直であり、他方の鏡映面はケーブル方向と平行である。
【0011】
製造が容易な実施形態では、シールド組立体は、1つのシールド部のみを有する。しかしながら、シールド組立体は、2つ以上のシールド部を備えることもできる。結果として得られるシールド組立体は、良好なシールド性能を達成するために、依然として接続領域全体に沿って延在するべきである。2つ以上のシールド部は、装着された状態において互いの間に空隙が存在しないように互いに当接することができる。それでもやはり、シールド部同士の間に、より小さい空隙が存在する場合がある。これらの空隙の許容可能なサイズは、ケーブル組立体の伝送速度に、および伝送に使用される波の周波数に依存する。空隙のサイズは、好ましくはシールドされるべき波長の半分未満であり、より好ましくは波長の10%未満である。シールド部が、それ自身に小さい穴を有する場合もある。穴のサイズに関しては、空隙と同じ選好があてはまる。
【0012】
信号線を、導管状受容部の中心に配設することができる。シールド効率を、この特徴によって改善することができる。信号線を、たとえば全ての壁部からほぼ同じ距離で、導管状受容部の壁部から離間することができる。
【0013】
接続領域内では、複数の信号線は互いと平行に延びることができる。このことにより、製造工程を改善するとともに、良好なシールド性能を可能にすることができる。
【0014】
信号線を対称に、特に鏡面対称に配置することができる。そのような鏡面対称の平面は、シールド部の鏡面対称に関するものと同じ平面とすることができ、結果として良好なシールド効率をもたらす。
【0015】
有利な設計により、シールド部を接地する必要はない。したがって、シールド部は、グラウンドには全く接触せず、自由に浮動(free-floating)するものとすることができる。別の有利な実施形態では、シールド部はやはり、シールド性能を改善するために接地させることができる。
【0016】
シールド部は、共通の基部によって接合された2つの脚部を備えることができる。これらの脚部は、共通の基部から離れたそれらの端部に、固定部材を備える。このことにより、シールド部をさらなる要素に、たとえばプリント回路基板に固定することが可能となる。固定部材は、これらをさらなる要素の穴の中に挿入できるように、たとえばピン形状とすることができる。これらは特に、対応する穴の中に押し込まれるようにかつプレス嵌めによってシールド部を固定するように適合された、プレス嵌めされるピンとすることができる。
他の実施形態では、固定手段を、ラッチ機構によりまたははんだ付けによりシールド部を固定するように適合させることができる。固定部材は特に、シールド部の残りの部分と一体にまたは一個構成とすることができ、したがって容易な組み立てが可能となる。固定部材により、シールド部のさらなる要素への導電性接続が可能となる。たとえば、固定部材により、シールド部の接地が可能となる。
【0017】
接続領域内では、シールドされていないコネクタを、導管状受容部内に挿入されるように配置し構成することができる。そのようなコネクタは特に、信号線を保持または固定するための保持または固定手段を備えることができる。たとえば、このことを圧着によって行うことができる。有利な発展形態では、信号線はプラスチック部へと成形される。コネクタは、信号線のための経路をさらに備えることができる。コネクタは特にカウンタプラグの中にまたは外部要素に差し込むことのできるプラグとすることができる。コネクタは、緊密な嵌合が達成されるように、導管状受容部と少なくとも部分的に相補的なものとすることができる。
【0018】
使用の有利な実施形態では、コネクタは、たとえばケーブル組立体の製造中に、シールド組立体の導管状受容部の中に挿入される。
【0019】
接続領域内には、シールド組立体に事前装着されるおよび/またはシールド組立体と一体であるコネクタを配置することができる。
【0020】
使用の有利な実施形態では、シールド組立体は、コネクタに事前装着されるおよび/またはコネクタと一体である。さらなる要素を、後から追加することができる。たとえば、カウンタコネクタをコネクタに接続することができる。
【0021】
有利な発展形態では、接続領域内で、信号線はピンに接続される。このことにより、容易な接触が可能となる。ピンは、たとえばプリント回路基板のピンとすることができる。
【0022】
好ましい実施形態では、ケーブル組立体は、信号線を外部要素に接続するための端子をさらに備える。これらの端子は、ケーブル組立体内のコネクタまたはプラグの一部とすることができる。端子を特に、シールド部の開口した長手方向側面を通して接続するように適合させることができる、または接続することができる。このことにより、ケーブル組立体の容易な設置が可能となり、結果として十分なシールド効果がもたらされる。長手方向側面は、シールド部の中に入るときの信号線の方向と平行であり、かつ導管状受容部の方向における延長と平行である側面である。これはケーブル方向と平行とすることができる。別の実施形態では、端子を、開口した前方側面を通して接続するように適合させることができる、または接続することができる。この前方側面は、導電性信号線がシールドの中に入るときに通る後方側面の、反対側にある。
【0023】
2つ以上のシールド組立体を並べて配置する場合、開口側面、特に1つのシールド組立体の長手方向の開口側面を、別のシールド組立体の連続した側面、特に基部区域に向けて方向付けすれば有利である。このことにより、連続部は、信号線の2つの対同士の間に配設され、この結果、信号線の2つの対同士の間の干渉が低減される。特に、シールド組立体を、別のシールド組立体の上に配置することができる。
【0024】
別の有利な実施形態では、2つ以上のシールド組立体が、平行で互いの隣に配置される。これらのシールド組立体の開口側面はその場合、同じ方向に面を向ける。この配置では、開口側面を、たとえばシールドのための追加の外部要素によって閉鎖することができ、この追加の外部要素を、たとえばプリント回路基板上に配設できる。そのように配置されたシールド組立体の接続は容易である。
【0025】
本発明について、有利な発展形態に基づいてまた図面を参照して、以下に記載する。実施形態の特徴および有利な発展形態は、互いに独立しており、所望に応じて組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】いくつかの部品を取り外した、第1の有利な実施形態の概略斜視図である。
図2】別の角度からの、図1の実施形態の概略斜視図である。
図3】より多くの部品を取り外した、図1および図2の実施形態の別の概略斜視図である。
図4図1から図3のケーブル組立体のうちの1つを通した概略断面図である。
図5】第2の実施形態の概略斜視図である。
図6図5の第2の実施形態を通した概略断面図である。
図7】第3の実施形態による3つのケーブル組立体の配置の概略正面図である。
図8図7のケーブル組立体の別の配置の概略正面図である。
図9】いくつかの部品を取り外した、さらなる有利な実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および図2に、本発明によるケーブル組立体1の第1の実施形態を示す。内部構造を見ることができるように、いくつかの部品が取り外されている。
【0028】
ケーブル組立体1を、乗用車またはトラックのような乗り物におけるデータ伝送のために使用することができる。これは、100Mbpsを超えるデータ転送速度に特に適している。ケーブル組立体1は、2つのシールドされていない導電性信号線2を備える。接続領域3内では、信号線2は、外部要素、本件ではPCB6(プリント回路基板)の端子5に接続されるように適合される。端子5は、PCB6内に受容されかつPCB6の平面と平行に存在するケーブル組立体1の端子4との接触を可能にするために90°曲げられたピンとして具体化される。
【0029】
接続領域3内では、信号線2は、接触を可能とするように撚り合わされることはない。接続領域3の隣では、信号線2は互いに撚り合わされる。2つの信号線2は、電磁的親和性を改善するために、接続領域3の隣でより線対を形成する。2つの信号線は、二重らせん式で互いに撚り合わされる。ここではこれ以上のシールドは設けられない。
【0030】
シールド部7を備えるシールド組立体20は、導管状受容部8を有する。導管状受容部8は、接続領域3全体に沿って延在し、信号線2を受容するように適合される。シールド部7ひいてはシールド組立体20は、接続領域3内で十分なシールド効率を提供し、同時に、シールド部7およびシールド組立体20の容易な製造および装着を可能にする形状を有する。図1から図3に示すようなシールド部7は、U字形状の断面を有する。他の実施形態では、シールド部7は、V字形状またはC字形状の断面を有することもできる。図1から図3に示すようなU字形状の断面を有するシールド部7は、ケーブル組立体1の長手方向側面上に配設される2つの脚部71(または側面区域)を接合する、共通の基部70を有する。したがって、共通の基部70および脚部71は、ケーブル方向Cに沿って延在する。シールドは開口した長手方向側面72をさらに有することができる。この開口した長手方向側面72を通して、信号線2をPCB6に接続することができる。図1から図3の例では、開口した長手方向側面72は、PCB6の表面に面を向ける。PCB6は、導電層、特にグラウンド層を備えることができ、この結果、シールド部7がPCB6とともに、接続領域3をケーブル方向Cの周り360°でシールドするようになる。
【0031】
脚部71は、共通の基部70から離れたそれらの端部に、固定部材75を備える。固定部材75は、シールド部7をPCB6に固定する役割を果たす。さらに、これらはPCB6の導電層と電気的に接触する。固定部材75は、シールド部7の残りの部分と一体であり、たとえば金属シートの切断および打ち抜きによって製造することができる。固定部材75は、PCB6内に押し込むことのできる、プレス嵌めされる要素として設計される。これらを、たとえばPCB6にはんだ付けすることのできる、はんだ付け可能な要素として設計することもできる。シールド部7全体は、切断、曲げ、および打ち抜きによって金属シートから作製される。代替の実施形態では、シールド部7を、導電性プラスチック、たとえばプラスチックおよび金属網を備えるハイブリッド材料から作製することもできる。別の実施形態では、シールド部7を、金属で被覆されたプラスチック部として構成することができる。
【0032】
PCB6の端子5は、プラスチックから作製された保持要素9によって保持される。端子5および保持要素9はこうしてシールドされていないコネクタ、ここではカウンタプラグ10を形成する。
このカウンタプラグ10は、シールド部7によって取り囲まれ、また信号線2およびさらなる保持要素12を備えるプラグ11に接続され得る。プラグ11も、シールド部7によって部分的に取り囲まれる。したがって、ケーブル組立体1は、プラグ11、カウンタプラグ10、シールド部7、およびPCB6を備える。シールド部7は取り外し可能とすることができ、このことにより、プラグ11とカウンタプラグ10との間の接続を、シールド部7が取り付けられる前に確立することができる。この場合、コネクタ11およびカウンタプラグ10は、こうしてシールド組立体20の導管状受容部8内に挿入される。
別の実施形態では、シールド7は、プラグ11がカウンタプラグ10に接続されるとき、既にカウンタプラグ10およびPCB6に取り付けられていてよい。シールド組立体20を、カウンタプラグ10に事前装着することができるか、あるいは、たとえばシールド組立体20がプラグ10の中にもしくはその表面に成形されているまたはその逆である場合に、プラグ10と一体とすることさえできる。
【0033】
図4に概略断面図を示す。シールド部7は、シールド部7を本質的に通って延びる2つの鏡映面Mに対する2つの鏡面対称性を有する。第1の鏡映面Mは、ケーブル方向Cと平行かつ図面の平面に対して垂直である。これは、端子5の軸方向にかつ同時に端子5から離れるように放射方向に、延びる。端子5同士は、この鏡映面Mを中心に対称でもある。シールド組立体20の対称面である第2の鏡映面Mは、図面の平面と平行である。したがって、この鏡映面Mは、ケーブル方向Cおよび端子5の軸方向に対して垂直である。この鏡映面Mも、端子5から離れるように放射方向に延びる。
【0034】
図4に示す端子5の区域および信号線2は、シールド部7のほぼ中心にある。共通の基部70、脚部71、およびPCB6までの距離は、ほぼ同じである。このことにより、良好なシールド効果が保証される。図4に示す例では、シールド部7の幅は、約7.6mmである。端子5の2つの区域の中心同士の間の距離D1は、約1.8mmであり、端子5の区域の中心と共通の基部70との間の距離D2は、約3.65mmであり、端子5の区域の中心とPCB6との間の距離D3は、約4.25mmである。これらの値は、結果として良好なシールド効率をもたらす。
【0035】
図5および図6に、ケーブル組立体1の第2の実施形態を図示する。ケーブル組立体1は、ここでもシールド部7を備える。この例では、シールド部7は、接続領域3の隣に配設された金属ブロック13の影響を最小限とするのを助ける。
シールド部7はグラウンドに接続されていないが、また、シールド部7はここでも、図5で下向きに面を向けて示す開口した長手方向側面72を有するが、開口した長手方向側面72が金属ブロック13に向けて面を向けないので、シールド部7は良好なシールド効率を有する。
【0036】
図5および図6のシールド部7は、図1から図4に示したものよりも矩形に近い。脚部71と共通の基部72との間の移行領域16は、図1から図4におけるよりもかなり鋭く丸みが少ない。そのような実施形態は、たとえば金属シートを折り曲げることにより、製造がより容易であり得る。図5および図6に示す例では、良好なシールド効率が達成される。右の端子14の中心と金属ブロック13との間の距離D4は、この例では4mmであり、端子14の中心と基部プレート15との間の距離D5は、20mmである。
【0037】
図1から図4の例におけるように、端子14および信号線2は、互いと平行に延び、またシールド部7内で中央に配置される。
【0038】
図7および図8に、信号線2およびシールド7の様々な相対配置を図示する。
【0039】
開口した長手方向側面72によりPCBのような平面要素に接触することが可能になるので、図7の構成は、たとえば図1から図3に示すような90°の接触に適している。図7に示す端子17の全ての区域は、1つの平面上に存在する。複数のシールド部7が、互いの隣に存在する。左のシールド部7の右側の脚部は、中央のシールド部7の左の脚部71に直接的に近接している。中央のシールド部7の右側の脚部71は、右にあるシールド部7の左の脚部71に直接的に近接している。
【0040】
図8では、そうではなく、複数のシールド部7が、互いの上に配置される。左にある左側シールド部7の開口した長手方向側面72は、中央にあるシールド部7の共通の基部70の直接的な近傍にある。そして、中央にあるシールド部7の開口した長手方向側面72は、右にあるシールド部7の共通の基部70の直接的な近傍にある。シールド部7は、開口方向Aに開口する。この開口方向Aは、複数のシールド部7(およびプラグ)が互いの背後に積層される積層方向Sと、平行である。対照的に、図7では、開口方向Aおよび積層方向Sは、互いに対して垂直である。図8の配置の利点は、より良好なシールド効率が達成されることである。
【0041】
図9に、さらなる有利な実施形態を図示する。これは図1に示したものと類似している。しかしながら、図9のシールド組立体20は、2つのシールド部7を備える。小さな空隙21が、2つのシールド部7の間に存在する。それにもかかわらず、空隙21のサイズは、特にケーブル方向Cにおいて小さいので、結果として得られるシールド組立体20のシールド性能に、過度の影響を及ぼすことはない。空隙の最大サイズは、たとえば達成されるべきデータ伝送速度に依存する。
【符号の説明】
【0042】
1 ケーブル組立体
2 信号線
3 接続領域
4 端子
5 端子
6 PCB
7 シールド部
8 導管状受容部
9 保持要素
10 カウンタプラグ
11 プラグ
12 保持要素
13 金属ブロック
14 端子
15 基部プレート
16 移行領域
17 端子
20 シールド組立体
21 空隙
70 共通の基部
71 脚部
72 開口した長手方向側面
73 前方側面
75 固定部材
A 開口方向
C ケーブル方向
M 鏡映面
S 積層方向
W シールド部の幅
D1 距離
D2 距離
D3 距離
D4 距離
D5 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9