特許第6888915号(P6888915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6888915提示制御装置及び提示制御装置の制御方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6888915
(24)【登録日】2021年5月24日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】提示制御装置及び提示制御装置の制御方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 7/04 20060101AFI20210607BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   A61B7/04 W
   A61B5/08
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-64508(P2016-64508)
(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公開番号】特開2017-176271(P2017-176271A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】石戸谷 耕一
(72)【発明者】
【氏名】小林 透
【審査官】 北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−050614(JP,A)
【文献】 特開2005−027751(JP,A)
【文献】 特表2014−533997(JP,A)
【文献】 特開2007−135611(JP,A)
【文献】 特開2008−206593(JP,A)
【文献】 特開2004−033254(JP,A)
【文献】 特表2015−521063(JP,A)
【文献】 特表2008−511415(JP,A)
【文献】 特表2008−528112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 − 5/22
A61B 7/00 − 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の複数箇所から呼吸音に関する呼吸音情報を取得する生体音取得部と、
前記呼吸音情報の呼気期間と吸気期間とを判別する判別部と、
前記呼吸音情報と、前記呼気期間及び前記吸気期間の情報とに基づいて、吸気極大値と空気流入量とを検出する検出部と、
前記呼吸音を発生させている肺の状態を、前記呼気期間と前記吸気期間とを判別可能な態様、且つ、前記肺に含まれる空気量に基づいた大きさで動的に提示手段に提示させると共に、前記吸気極大値と前記空気流入量とに基づいて前記肺の左右差を前記提示手段に提示させる制御部と
を備えことを特徴とする提示制御装置。
【請求項2】
前記呼吸音情報の呼気期間と吸気期間とを判別するための情報を取得する情報取得部を更に備え、
前記制御部は、前記呼吸音を発生させている肺の状態を、前記呼気期間と前記吸気期間とで相異なる提示態様で提示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の提示制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記呼吸音を発生させている肺の状態を、前記呼気期間と前記吸気期間とで相異なる色で提示させることを特徴とする請求項2に記載の提示制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記呼吸音を発生させている肺の状態を、前記肺に含まれる気体量に応じて色の濃淡を変化させるように提示させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の提示制御装置。
【請求項5】
前記生体音取得部は、前記生体の複数箇所から前記呼吸音情報を取得し、
前記制御部は、前記呼吸音を発生させている肺の異常音の音量が最大となる箇所を提示させる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の提示制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記呼吸音を発生させている肺の状態に加えて、前記生体における前記呼吸音情報を取得すべき箇所を提示させることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の提示制御装置。
【請求項7】
生体の複数箇所から呼吸音に関する呼吸音情報を取得する生体音取得工程と、
前記呼吸音情報の呼気期間と吸気期間とを判別する判別工程と、
前記呼吸音情報と、前記呼気期間及び前記吸気期間の情報とに基づいて、吸気極大値と空気流入量とを検出する検出工程と、
前記呼吸音を発生させている肺の状態を、前記呼気期間と前記吸気期間とを判別可能な態様、且つ、前記肺に含まれる空気量に基づいた大きさで動的に提示手段に提示させると共に、前記吸気極大値と前記空気流入量とに基づいて前記肺の左右差を前記提示手段に提示させる制御工程と
を備えことを特徴とする提示制御装置の制御方法。
【請求項8】
生体の複数箇所から呼吸音に関する呼吸音情報を取得する生体音取得工程と、
前記呼吸音情報の呼気期間と吸気期間とを判別する判別工程と、
前記呼吸音情報と、前記呼気期間及び前記吸気期間の情報とに基づいて、吸気極大値と空気流入量とを検出する検出工程と、
前記呼吸音を発生させている肺の状態を、前記呼気期間と前記吸気期間とを判別可能な態様、且つ、前記肺に含まれる空気量に基づいた大きさで動的に提示手段に提示させると共に、前記吸気極大値と前記空気流入量とに基づいて前記肺の左右差を前記提示手段に提示させる制御工程と
をコンピュータに実行させことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば呼吸音等の生体音に関する情報を提示させる提示制御装置及び方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸音等の生体音は、医師が生体の病態を診断する際の指標の一つとして用いられる。一般的には、医師は、聴診器を用いることで、生体音を聞いている。聴診器は、生体の体に押し当てられるチェストピースが採取した生体音を、ゴム管等を介して医師の耳に伝達している。従って、医師は、耳で生体音を識別する(つまり、耳で聞き分ける)ことで、生体の病態を診断している。例えば、医師は、生体音に異常な生体音が含まれているか否かを耳で聞き分けることで、生体の病態を診断している。しかしながら、耳で生体音を聞き分けるためには、高度なスキル(例えば、高度な聴診技術)が必要とされる。
【0003】
そこで、生体音を可視化することで、医師による生体音に基づく病態の診断を補助する装置が提案されている(特許文献1参照)。具体的には、特許文献1には、生体音の一例である呼吸音を可視化処理する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−27751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
日々忙しく患者の対応を行う医療現場では、例えば早期発見という目的から、生体音の可視化装置から出力される画面情報を簡易で分かり易いものにすることが好ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている装置は、呼吸音をそのまま時間軸上で表示するに過ぎない。従って、特許文献1に開示されている装置については、表示態様に関して十分に改善の余地がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題には、上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、生体音に関する情報を好適に提示させることが可能な提示制御装置及び方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための提示制御装置は、生体が発する生体音に関する生体音情報を取得する生体音取得部と、前記生体音を発生させている臓器の状態を、前記生体音情報に基づいて動的に提示手段に提示させる制御部とを備える。
【0009】
上記課題を解決するための提示制御方法は、生体が発する生体音に関する生体音情報を取得する生体音取得工程と、前記生体音を発生させている臓器の状態を、前記生体音情報に基づいて動的に提示手段に提示させる制御工程とを備える。
【0010】
上記課題を解決するためのコンピュータプログラムは、生体が発する生体音に関する生体音情報を取得する生体音取得工程と、前記生体音を発生させている臓器の状態を、前記生体音情報に基づいて動的に提示手段に提示させる制御工程とをコンピュータに実行させる。
【0011】
上記課題を解決するための記録媒体は、上述したコンピュータプログラムが記録されている。
【0012】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例に係る呼吸音モニタリング装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施例に係る呼吸音モニタリング装置による動的表示制御の流れを示すフローチャートである。
図3】呼吸音の取得方法の一例を示す概略図である。
図4】呼吸音信号の解析処理の一例示す概念図である。
図5】呼吸音信号における吸気期間及び呼気期間の判別方法の一例を示す概念図である。
図6】呼吸表示画面の表示例を示す平面図である。
図7】吸気量に応じた動的表示の一例を示す概念図(その1)である。
図8】吸気量に応じた動的表示の一例を示す概念図(その2)である。
図9】実施例に係る呼吸音モニタリング装置による左右差及び異常音表示制御の流れを示すフローチャートである。
図10】呼吸音の取得箇所及び順序の表示例を示す平面図である。
図11】肺の左右差の表示例を示す平面図である。
図12】異常音検出箇所の表示例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の提示制御装置に係る実施形態について説明する。
【0015】
<1>
本実施形態に係る提示制御装置は、生体が発する生体音に関する生体音情報を取得する生体音取得部と、前記生体音を発生させている臓器の状態を、前記生体音情報に基づいて動的に提示手段に提示させる制御部とを備える。
【0016】
本実施形態係る提示制御装置では、その動作時には、生体音取得部により生体音情報が取得される。生体音情報は、生体が発する生体音(例えば、呼吸音等)に関する情報であり、例えば生体音の経時的な変化を示す生体音信号として取得される。
【0017】
生体音が取得されると、制御部により、提示手段で生体音情報に基づく情報を提示させるための制御が行われる。具体的には、制御部は、生体音を発生させている臓器(例えば、呼吸音であれば肺)の状態を、生体音情報に基づいて動的に提示させる。なお、ここでの「提示」とは、画面上に画像を表示する態様や音声による案内を含む他、臓器の模型等を動かすような態様を含んでいる。
【0018】
以上のように、生体音を発生させている臓器の状態を動的に提示することができれば、生体音に関する情報を、極めて分かり易い態様で医師等の利用者に提示させることが可能となる。
【0019】
<2>
本実施形態に係る提示制御装置の一態様では、前記生体音情報は呼吸音に関する呼吸音情報である。
【0020】
この態様によれば、呼吸音情報に基づいて、呼吸音を発生させている臓器(即ち、肺)の状態を好適に提示させることが可能である。
【0021】
<3>
上述した呼吸音情報を取得する態様では、前記呼吸音情報の呼気期間と吸気期間とを判別するための情報を取得する情報取得部を更に備え、前記制御部は、前記呼吸音を発生させている肺の状態を、前記呼気期間と前記吸気期間とで相異なる提示態様で提示させてもよい。
【0022】
この場合、呼吸音を発生させている肺の状態が、呼気期間と吸気期間とで相異なる提示態様で提示される。よって、呼気期間の情報と、吸気期間の情報とを容易に判別することができ、生体の診断等をより好適に行うことが可能となる。
【0023】
<4>
上述した呼吸音情報を取得する態様では、前記制御部は、前記呼吸音を発生させている肺の状態を、前記呼気期間と前記吸気期間とで相異なる色で提示させてもよい。
【0024】
この場合、呼吸音を発生させている肺の状態が、呼気期間と吸気期間とで相異なる色で提示される。例えば、呼気期間の肺の状態は青色、吸気期間の肺の状態は赤色で提示される。このように肺の状態を提示させれば、呼気期間の情報と、吸気期間の情報とを極めて容易に判別することが可能となる。
【0025】
<5>
上述した呼吸音情報を取得する態様では、前記制御部は、前記呼吸音を発生させている肺の状態を、前記肺に含まれる気体量に応じて色の濃淡を変化させるように提示させる。
【0026】
この場合、呼吸音を発生させている肺の状態が、肺に含まれる気体量に応じて色の濃淡が変化するように提示される。例えば、肺に含まれる気体量が多い場合には濃い色、肺に含まれる気体量が少ない場合には薄い色で提示される。このように肺の状態を提示させれば、肺に含まれる気体量を極めて容易に判別することが可能となる。
【0027】
<6>
上述した呼吸音情報を取得する態様では、前記生体音取得部は、前記生体の複数箇所から前記呼吸音情報を取得し、前記制御部は、前記呼吸音を発生させている肺の左右差を提示させる。
【0028】
この場合、生体の複数箇所から取得された複数の呼吸音情報に基づいて、呼吸音を発生させている肺の左右差(即ち、右の肺と左の肺とでの状態の違い)が提示される。肺は左右いずれか一方にのみ異常が生ずる場合があるため、左右差が提示されることにより、好適に肺の状態を知ることが可能となる。
【0029】
<7>
上述した呼吸音情報を取得する態様では、前記生体音取得部は、前記生体の複数箇所から前記呼吸音情報を取得し、前記制御部は、前記呼吸音を発生させている肺の異常音の音量が最大となる箇所を提示させる。
【0030】
この場合、生体の複数箇所から取得された複数の呼吸音情報に基づいて、呼吸音に含まれる異常音が検出され、異常音の音量が最大となる箇所が提示される。このため、肺のどの箇所で異常音が発生しているのかを好適に判別することが可能となる。
【0031】
<8>
本実施形態に係る提示制御装置の他の態様では、前記制御部は、前記生体音を発生させている臓器の状態に加えて、前記生体における前記生体音情報を取得すべき箇所を提示させる。
【0032】
この態様によれば、生体における生体音情報を取得すべき箇所が提示されるため、好適に生体音を取得することが可能となる。なお、生体音情報を取得すべき箇所は、複数存在してもよく、その場合には全てが一度に提示されてもよいし、提示している箇所で生体音情報が取得される度に、順次別の箇所が提示されてもよい。例えば、聴診器を用いて生体音を取得する場合には、聴診器を当てるべき箇所が順番と共に提示される。この場合、医師等は提示された複数箇所に順番通り聴診器を当てていけばよい。
【0033】
<9>
本実施形態に係る提示制御方法は、生体が発する生体音に関する生体音情報を取得する生体音取得工程と、前記生体音を発生させている臓器の状態を、前記生体音情報に基づいて動的に提示手段に提示させる制御工程とを備える。
【0034】
本実施形態に係る提示制御方法によれば、上述した本実施形態に係る提示制御装置と同様に、生体音に関する情報を極めて分かり易い態様で提示させることが可能となる。
【0035】
なお、本実施形態に係る提示制御方法においても、上述した本実施形態に係る提示制御装置における各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0036】
<10>
本実施形態に係るコンピュータプログラムは、生体が発する生体音に関する生体音情報を取得する生体音取得工程と、前記生体音を発生させている臓器の状態を、前記生体音情報に基づいて動的に提示手段に提示させる制御工程とをコンピュータに実行させる。
【0037】
本実施形態に係るコンピュータプログラムによれば、上述した本実施形態に係る提示制御方法と同様の処理をコンピュータに実行させることができるため、生体音に関する情報を極めて分かり易い態様で提示させることが可能となる。
【0038】
なお、本実施形態に係るコンピュータプログラムにおいても、上述した本実施形態に係る提示制御装置における各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0039】
<11>
本実施形態に係る記録媒体は、上述したコンピュータプログラムが記録されている。
【0040】
本実施形態に係る記録媒体によれば、上述したコンピュータプログラムをコンピュータにより実行させることにより、生体音に関する情報を極めて分かり易い態様で提示させることが可能となる。
【0041】
本実施形態に係る提示制御装置及び提示制御方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体の作用及び他の利得については、以下に示す実施例において、より詳細に説明する。
【実施例】
【0042】
以下では、提示制御装置及び方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、提示制御装置が呼吸音モニタリング装置に適用される場合を例にとり説明する。
【0043】
<装置構成>
先ず、本実施例に係る呼吸音モニタリング装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、実施例に係る呼吸音モニタリング装置の構成を示すブロック図である。
【0044】
図1において、本実施例に係る呼吸音モニタリング装置10は、信号音取得部110と、信号解析部120と、呼気吸気判定部130と、表示制御部140と、表示部150とを備えて構成されている。
【0045】
信号音取得部110は、例えば電子聴診器を含んで構成されており、生体が発する呼吸音を示す呼吸音信号を取得可能に構成されている。信号音取得部110で取得された呼吸音信号は、信号解析部120及び呼気吸気判定部130にそれぞれ出力される構成となっている。なお、信号音取得部110は、「生体音取得部」の一具体例であり、呼吸音信号は「生体音情報」の一具体例である。
【0046】
信号解析部120は、信号音取得部110から入力される呼吸音信号に対して、各種解析処理(例えばスペクトラム解析処理)を実行可能に構成されている。信号解析部120の解析結果は、表示制御部140に出力される構成となっている。
【0047】
呼気吸気判定部130は、信号音取得部110から入力される呼吸音信号の、吸気期間及び呼気期間をそれぞれ判定可能に構成されている。呼気吸気判定部130の判定結果は、表示制御部140に出力される構成となっている。
【0048】
表示制御部140は、信号解析部120の解析結果及び呼気吸気判定部130の判定結果に基づいて、生体の肺の状態を表示させるための制御を行う。具体的には、表示制御部140は、肺の状態に関する表示態様を決定して、決定した表示態様で画像表示を行うための制御信号を表示部150に出力する。なお、表示制御部140は、「制御部」の一具体例である。
【0049】
表示部150は、例えば液晶ディスプレイ等のモニタとして構成されており、表示制御部140から入力される制御信号に応じた画像を表示する。なお、表示部150は、「提示手段」の一具体例である。
【0050】
なお、本実施例では、肺の状態を画像表示する装置について説明するが、画像以外の方法を用いて肺の状態を提示しても構わない。具体的には、肺の状態を提示する方法として、肺の模型を動かすような方法が用いられてもよい。
【0051】
<動的表示制御>
次に、本実施例に係る呼吸音モニタリング装置10で実施される動的表示制御について、図2から図5を参照して説明する。図2は、実施例に係る呼吸音モニタリング装置による動的表示制御の流れを示すフローチャートであり、図3は、呼吸音の取得方法の一例を示す概略図である。図4は、呼吸音信号の解析処理の一例示す概念図であり、図5は、呼吸音信号における吸気期間及び呼気期間の判別方法の一例を示す概念図である。
【0052】
図2において、本実施例に係る呼吸音モニタリング装置10の動作時には、先ず信号取得部110によって、生体の呼吸音を示す呼吸音信号が取得される(ステップS101)。
【0053】
図3に示すように、呼吸音信号は、生体200に信号取得部110を接触させて取得される。信号取得部110で取得された呼吸音信号は、信号解析部120、呼気吸気判定部130、表示制御部140、及び表示部150を含む装置本体部50に出力される。呼吸音信号は、図に示すように、呼吸音の振幅(強度)の経時的な変化を示す信号として取得される。
【0054】
図2に戻り、呼吸音信号が取得されると、呼気吸気判定部120によって、吸気期間及び呼気期間の判定が行われる(ステップS102)。即ち、呼吸音信号のどの部分が吸気期間に対応しており、どの部分が呼気期間に対応しているのか判定が行われる。
【0055】
図5に示すように、吸気期間には吸気極大値が存在しており、呼気期間には呼気極大値が存在している。平均的な呼吸音周期は4〜5秒程度であるので、例えば10msec毎に平均化して得られたデータを利用して閾値処理を行い、吸気極大値及び呼気極大値及びそれぞれ極大値前の振幅増加変化点を検出すれば、吸気期間及び呼気期間を判定することが可能である。なお、吸気期間及び呼気期間の判定には、既存の他の技術を適用することもできる。
【0056】
再び図2に戻り、上述した呼気吸気判定に並行して、或いは相前後して、信号解析部120では、呼吸音信号の解析処理が実行される(ステップS103)。即ち、呼吸音信号から肺に関する情報を得るための各種解析処理が実行される。
【0057】
図4に示すように、信号解析部120では、例えばスペクトラム解析(時間周波数解析)が実行される。このような解析によれば、呼吸音に含まれる周波数成分の経時的な変化を示すスペクトラムを得ることができる。スペクトラムからは、図に示すように呼吸音に含まれる異常音(例えば、笛声音、捻髪音、水泡音、類鼾音等)の検出が行える。
【0058】
再び図2に戻り、呼気吸気判定及び解析処理が終了すると、表示部制御部140において、呼吸音を発する肺の状態を表示する際の具体的な表示態様が決定される(ステップS104)。そして、表示制御部140で決定された表示態様に応じた表示が、表示部150で行われる(ステップS105)
以下では、上述した動的表示制御による具体的な表示例について、図6から図8を参照して詳細に説明する。図6は、呼吸表示画面の表示例を示す平面図である。また図7及び図8は夫々、吸気量に応じた動的表示の一例を示す概念図である。
【0059】
図6に示すように、表示部150には、生体200の肺の状態を示す画像が表示される。本実施例に係る呼吸音モニタリング装置10では特に、このような画像が動的に表示される。即ち、呼吸音信号に応じて、肺を示す画像が動くように表示される。
【0060】
図7に示すように、肺の画像は、肺に含まれている空気量(即ち、吸気量・呼気量)に応じて肺の大きさが変わるように表示される。具体的には、吸気期間の開始時点では、吸気量が最小となるため、肺が小さく表示される。その後、吸気期間がある程度経過し吸気量が中程度になると、肺が中程度の大きさのものとして表示される。そして、吸気量が最大となると、肺が大きく表示される。即ち、吸気期間中は、肺が徐々に膨らむような表示が行われる。一方で、吸気期間が終了し呼気期間が開始されると、肺に含まれる空気量は少なくなっていく。このため、呼気期間には、肺が徐々に萎んでいくような画像が表示される。
【0061】
図8に示すように、肺の大きさに加えて、肺の色及び濃淡が変更されてもよい。例えば、吸気期間と呼気期間とで肺が相異なる色で表示され、吸気量に応じて色の濃淡が変化するように表示されてもよい。
【0062】
図に示す例では、吸気期間においては肺が赤色で表示され、呼気期間においては肺が青色で表示される。また、吸気量が少ない場合には薄い色で表示され、吸気量が多い場合には濃い色で表示される。このように色及びその濃淡を変化させることで、より容易に肺の状態を判別することが可能となる。
【0063】
肺に含まれている空気量からは、例えば無呼吸状態(胸部が動いているように見えるが、実際には空気が肺に送られていない状態)等を判別することができる。
【0064】
<左右差及び異常音表示制御>
次に、本実施例に係る呼吸音モニタリング装置10で実施される左右差及び異常音表示制御について、図9から図12を参照して説明する。図9は、実施例に係る呼吸音モニタリング装置による左右差及び異常音表示制御の流れを示すフローチャートであり、図10は、呼吸音の取得箇所及び順序の表示例を示す平面図である。図11は、肺の左右差の表示例を示す平面図であり、図12は、異常音検出箇所の表示例を示す平面図である。
【0065】
図9において、呼吸音モニタリング装置10では、上述した動的表示と併せて、肺の左右差(左の肺と右の肺との呼吸の大きさの違い)、及び異常音の検出箇所を示す制御が行われる。
【0066】
左右差及び異常音表示制御では、生体200の複数箇所から生体音を取得することが求められる。このため、制御が開始されると、まず呼吸音を取得すべき箇所が表示部150で表示される(ステップS201)。
【0067】
図10に示すように、呼吸音を取得すべき箇所の一例は、生体の画像上に表示されたマーク(丸印)で示される。なお、マーク内の数字は、呼吸音を取得する順番であってもよい。呼吸音を取得する医師等は、この順番通りに生体200から呼吸音を取得していく。なお、現時点での呼吸音を取得すべき箇所については、マークが強調表示される(図中の2番を参照)。
【0068】
図9に戻り、表示されている位置で呼吸音信号が取得されると(ステップS202)、呼吸音の吸気極大値が検出される(ステップS203)。即ち、図5で示したような吸気期間における振幅のピーク値が検出される。また、呼吸音信号からは、異常音も検出される(ステップS204)。即ち、図4で示したような解析処理によって、呼吸音に含まれている異常音が検出される。
【0069】
吸気極大値及び異常音の検出が終了すると、呼吸音を取得すべき全ての箇所において呼吸音信号が取得されたか否かが判定される(ステップS205)。呼吸音が全ての箇所で取得されていない場合には(ステップS205:NO)、次の取得箇所について、ステップS201の処理が繰り返される。
【0070】
一方、呼吸音が全ての箇所で取得されている場合には(ステップS205:YES)、各箇所の吸気極大値情報、肺への空気流入量(吸気開始から吸気終了期間の呼吸音振幅レベルの絶対値の積分値等)等の参照情報データが比較されることで、肺の左右差が算出される(ステップS206)。また、各箇所の異常音の音量(振幅)が比較されることで、異常音の最大箇所が検出される(ステップS207)。そして、算出された左右差及び異常音の最大箇所が、表示部150において表示される(ステップS208)。
【0071】
図11に示すように、肺の左右差は、左の肺及び右の肺の大小をそれぞれ変化させることで表示される。図に示す例では、右の肺(図では左側)が左の肺(図では右側)よりも小さく表示されている。これは、右の肺の吸気極大値、空気流入量等が左の肺の吸気極大値、空気流入量等よりも小さいことを示している。このように、肺の左右差が生じている場合には、例えば肺の一方に穴が空いている等の診断が行える。
【0072】
図12に示すように、異常音最大箇所は、異常音の発生箇所として画面上に表示される。このように異常音の発生箇所を明確に表示することができれば、生体200の病状をより正確に診断することが可能である。
【0073】
なお、上述した例では、複数箇所の検出結果を用いて1つの結果を表示させる場合について説明したが、複数箇所の各々における検出結果が、それぞれ別々に表示されるようにしてもよい。
【0074】
<実施例の効果>
以上説明したように、本実施例に係る呼吸音モニタリング装置10によれば、生体200から取得した呼吸音情報に基づいて、肺の状態を視覚的に分かり易い態様で表示させることが可能である。これにより、例えば医療現場での診断等が極めて好適に行えるようになる。
【0075】
なお、本実施例では呼吸音を発する肺の状態を示す装置について説明したが、音を発する臓器であれば同様の表示を実現可能である。
【0076】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う及び方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
10 呼吸音モニタリング装置
50 装置本体部
110 信号取得部
120 信号解析部
130 呼気吸気判定部
140 表示制御部
150 表示部
200 生体
図1
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図12